さて、本日はあまりにも便利に使われているが、実際にはほぼ意味がない「反日」という単語について書いていきます。
初めて来られた方はまずこちらを先に読む事をお勧めします。
ブログ『日韓問題（初心者向け）』を始めた理由 - 日韓問題（初心者向け）
注意
・このブログは「日韓の価値観の違い」を初心者向けに扱っています・当ブログのスタンスは「価値観に善悪や優劣は存在しない」というものです
・相手が不法を働いているからと、こちらが不法をして良い理由にはなりません
・自身の常識が相手にとっても常識とは限りません、「他者がそれを見たらどう思うか」という客観性を常に持ちましょう
・日常生活で注意する程度には言動に注意を心がけてください
韓国に関して使用される単語に「反日」があり、最近も韓国映画「破墓」の日本での上映開始に関して、「この映画は反日映画ではない」という記事が掲載されたが、そもそも「反日」という単語は定義が曖昧であり、個人の主観でどうとでも解釈できるため、まるで意味がない。
「反日」と呼ばれている事柄を分析してみると、実は「憎悪・嫌悪」「民族主義」「韓国的価値観」の3つに大別することができ、大半の「反日」と呼ばれている事柄は、この3つか3つの組み合わせで構成されている事がわかる。
また、このカテゴリー分けからいわゆる「徴用工問題」も、主観次第で反日ともそうでないとも定義できるが、上記3つのカテゴリーにあてはめればその組み合わせでできている事がわかり、問題のある行いと定義することができる。
※本文中のリンクは引用の元記事、或いはウェブアーカイブやウェブ魚拓（別サイト）へのリンクです。
以下から本文
１：「反日」という便利な単語
まずはこちらから
1200万人動員の韓国ホラー「破墓／パミョ」は「反日」映画か？ 「娯楽映画に政治を見る」ことの愚
デイリー新潮 2024年10月25日
https://www.dailyshincho.jp/article/2024/10251051/?all=1
記事では、以前このブログでも紹介した韓国映画「破墓」について書かれているのですが、この映画の日本での「反日」という評価に対して異論を提示しており、たとえばアメリカ映画でステレオタイプ的な日本人が描かれている件を例に出し、それと同じだから反日ではないとしています。
また、「日本人の強烈な悪役が登場する映画に、その一方で心ある日本人が登場した場合、それは「（広く一般としての）日本人を悪として描いている」といえるのだろうか」とも書いており、問題提起しています。
他にも、いわゆる反日的な作品が近年韓国でヒットしておらず、そうした映画が韓国で受け入れられていない事から破墓がそれたとは別物である事や、この映画の監督が日本の作品や文化にかなり影響を受けている等もその根拠としています。
まずこの記事なのですが、この映画が日本で上映する際に書かれたものであることからも、映画の興行に不都合な評価を打ち消すための宣伝記事である事は明白です。
どうもこの映画は、日本での上映にかなり力を入れている人達がいるようで、以下にあるように
韓国大ヒット映画が日本公開！ トップ俳優、キム・ゴウンが映画『破墓／パミョ』で大切にしたこと。
FIGARO 2024.10.18
https://madamefigaro.jp/series/interview/241018-kim-go-eun.html
今週の映画ランキング 10月25日～10月27日
興行通信社
https://www.kogyotsushin.com/archives/weekend/
国内映画ランキング : 2024年10月25日～2024年10月27日
映画.com
https://eiga.com/ranking/jp/破墓／パミョ（2022年製作の映画）
フィルマークス 上映日：2024年10月18日製作国： 韓国上映時間：134分
https://filmarks.com/movies/114202破墓 パミョ 劇場公開日：2024年10月18日
映画.com
https://eiga.com/movie/102078/review/
出演者が日本でメディアからインタビューを受けたり、レビューの高評価が多いわりにランキングには入っていない等、韓流でよくある挙動をしているわけですが、とにかくかなり力を入れて売り込んでいる事だけは分かります。
そのうえで、最初の記事への突っ込みとして、
[仁川の朝]「パミョ」の歴史意識
京畿日報（韓国語） 2024-04-08
https://www.kyeonggi.com/article/20240407580318
どちらかというと保守系と韓国で評価されている地方紙、京畿日報での破墓の評価を見ると、全体として高評価で、「登場人物の名が実際に存在した独立運動家たちを連想させ、映画前半部の依頼人の親日行跡などがこの映画の抗日テーマを強調している」としたうえで、「『パミョ』は日帝強占期の歴史で過ったことを正し、この地の傷を治癒するというメッセージを大衆的に簡単に解いている。物語自体の興味、大衆的な面白さも一役買っているが、私たちの時代が欲する話を新たに発掘したという側面から、より新鮮だ」と締められています。
つまり、最初の記事で取り上げられていた「抗日」とはマイナス評価ではなく、好意的な評価として定義されている事が分かります。
またこの記事での破墓への好意的評価は、日本では人によって「反日」と受け取る人もいるでしょうし、受け取らない人もいるでしょう。
結局のところ、本人の主観次第で反日になることもならない事もあるというわけです。
また、最初の記事ではハリウッド映画などのステレオタイプの日本人像を挙げて、それらは反日ではないとしていますが、2000年代半ば頃までならいざ知らず、現在そうしたステレオタイプ的な表現をすれば、「嫌悪表現である」として炎上の原因になります。
実際、破墓では日本を絶対悪としているうえに、いわゆる「日帝の鉄杭」などの偏見も多数取り入れられているため、この映画はいわゆる「嫌悪表現」のある映画という事になります。
韓国人の対日歴史観は政治的プロパガンダによってかなり歪められており、史実とはかけ離れたものがかなりあるため、それに不快感を覚える人も多いからです。
例としては、慰安婦問題や徴用工問題、竹島問題、最近上げた事例では日本海呼称問題などが典型的でしょう。
映画分類基準
映画倫理委員会 ２００９年４月２３日制定
https://www.eirin.jp/img/classification-ratings.pdf
（一部抜粋）
１ 映画倫理委員会は、「映画倫理綱領」「映画の区分と審査方針」に基づき、本「映画分類基（２） 特定の個人や集団が、不快、侮辱、嫌悪感あるいは差別感を受ける恐れのある表現。
関連記事
スポーツと民族主義
https://oogchib.hateblo.jp/entry/2024/09/05/021956
【ゆっくり解説】韓国の民族主義と高校野球 part1/2
https://oogchib.hateblo.jp/entry/2024/09/22/210000
【ゆっくり解説】韓国の民族主義と高校野球 part2/2
https://oogchib.hateblo.jp/entry/2024/09/29/210000
この映画は日本人に対する嫌悪表現のある映画という事になります。
２：3つの分類
ここで問題になるのが、「反日とは何か」という根本的な問題です。
あらためて考えてほしいのですが、「反日とは何か」と定義づけするとした場合、客観性のある定義はあるでしょうか。
私はそうした意味での定義づけを「反日」に対してまるで考えつきません。
実際、使う人の主観に基づく裁量で反日かどうかが決定されているのですから、当然です。
つまり、主観でいくらでも「反日かどうか」を判定できるので、無意味な評価なのです。
そこで、あくまで韓国限定ですが、どう定義づければいいかを考えたところ、一般的に「反日」と『定義されやすい』内容に、いくつか共通のパターンがあることと、それを3つに大別できるという結論に至りました。
以下がそれです。
１：憎悪・嫌悪表現
２：民族主義
３：韓国的価値観
あくまで韓国限定ですが、この3つの単独、或いは組み合わせで大抵の事が説明できます。
つまり、先ほど書いたように、破墓は日本に対する嫌悪表現があるので、1に該当することが分かります。
また他にも、いわゆる「日帝の鉄杭」というものは、単なる「噂」レベルの事柄ではなく、1990年代に金泳三政権が、「光復50周年」の一環として「歴史立て直し事業」という政策の中で、「日本統治時代に日本が残したものが総じて「日帝残滓」であり、排除されるべきだと訴える排除運動」として、日本人が韓国の気脈を絶つために打ち込んだ鉄杭を抜く運動というものがあり、税金を投入した国策事業として行われたという経緯があります。
過去記事
韓国関連でよく見かける「民族精気」という単語
https://oogchib.hateblo.jp/entry/2024/04/04/022829
【ゆっくり解説】韓国の民族精気と日帝の鉄杭
https://oogchib.hateblo.jp/entry/2024/04/21/210533
こうした事を、韓国では「抗日」と呼ぶわけですが、他の抗日の事例として
「日帝残滓清算支援します」京畿（キョンギ）文化財団、事業公募
newsis（韓国語） 2024.05.04
https://www.newsis.com/view/?id=NISX20240503_0002723323
※京畿文化財団とは
自治体の助成金と監督の下で運営されており、地域文化の保存・振興、アーティスト支援、文化イベントの開催などを行う組織。
日本の財団法人とは資金源や運営方法が異なる。
京畿文化財団※という、京畿道傘下の文化芸術公共機関が主催した「2024年京畿道日帝残滓清算支援事業」という活動があり、その目的は「日帝残滓を清算し、抗日・独立運動認識向上と文化享有機会拡大のため」であり、「学校内の一斉象徴物(校標、校歌、施設・名称など)に対する清算・改善、認識改善教育プログラム支援」を行うとしています。
※京畿文化財団
これは何かといえば、要するに韓国の学校などにある日本統治時代の名残を一掃し別のものに変えようという運動で、たとえば統治時代に作成された校歌などを、「抗日・愛国精神」を鼓舞するものに変えようというものです。
つまり、いわゆる「抗日」というのは、日本の影響を否定する事で韓国人の民族主義を鼓舞する意図があるという事になります。
また他にも
釜山・日本領事館付近を「抗日通り」に 韓国団体
聯合ニュース 2019.08.16
https://jp.yna.co.kr/view/AJP20190816002100882
2019年のこちらの記事のように、韓国の「市民・社会団体」が、「日本の安倍晋三政権を糾弾する意味を込めて、釜山の日本総領事館付近の区間を「抗日通り」に指定する計画」を進めていると書かれています。
この事例も要するに、これで日本がどうこうなるわけでもないので、韓国人の日本への敵意や民族主義を「煽る目的があることと、１と２が組み合わさっている事が分かります。
こうした事から、「破墓」も「１：憎悪・嫌悪表現」と「２：民族主義」の組み合わせであると定義付けできるわけです。
３：韓国的価値観
そしてもう一つ、「破墓」にも関わってくる件として「韓国的価値観」があります。
その前に、韓国的価値観に該当する典型例を挙げると
徴用訴訟 また日本製鉄などに賠償命じる＝韓国地裁
聯合ニュース 2024.10.30
https://jp.yna.co.kr/view/AJP20241030003500882
一連の徴用工裁判に関して、また韓国で日本企業に有罪判決が出たというニュースなのですが、判決理由として「負傷、死亡の確率が高い環境で給与をきちんと支給せず強制労働をさせたことを踏まえれば、日本製鉄の行為は反人道的」と指摘した上で、「被告は精神的苦痛に対して賠償する責任がある」と書かれています。
しかし過去記事でも何度か説明していますが、韓国は日韓国交正常化交渉に際し、「8項目の対日請求要綱」というものを提示しており、「未収金はその当時の規定によって貰えるものを貰えないことをいい、補償金は生存者、負傷者、死亡者を含み被徴用者に対する補償、即ち精神的苦痛に対する補償をいうものだ。そしてこの被徴用者には軍人軍属を含む」と説明しています。
また、日韓国交正常化後、韓国政府が国民に対して行った日韓請求権協定の説明においても、「8項目の対日請求要綱」について説明しており、「8項目を包含する形で完全かつ最終的に解決することにした」としています。
関連記事
第5次 韓・日会談 予備会談 一般請求権小委員会会議録
1-13次、1960－61
日刊市民でつくる日韓会談文書・全面公開を求める会
http://www.f8.wx301.smilestart.ne.jp/honyaku/honyaku-2/718.pdf
（該当部分抜粋 101ページ）韓国政府の「解説書」入手！やっぱりおかしい大法院判決
FNN 2019年2月4日
https://www.fnn.jp/articles/-/8723
つまり、協定によって解決済みの件を、韓国の裁判所が勝手に反故にして国際法違反をしているわけですが、これは要するに韓国的価値観では約束の概念が希薄であるためです。
そしてこれも人によっては「反日」と定義しますが、問題の原因は韓国的価値観にあります。
以前も紹介した次の記事にあるように
韓国はなぜ約束守れない 「遡及法」がまかり通る国
産経新聞 2019/1/20
https://www.sankei.com/article/20190120-GY7AUNBUVZJZNIYK2XTKHINPSY/
韓国では、「日韓間で結ばれた合意や協定が事実上反故にされる」としており、その理由として「オルバルダ」という韓国語を紹介していますが、これは「道徳的に正しい」「人間として正しい」といったニュアンスがあり、この「オルバルダ」によって現在の都合で過去を善悪で評価し、都合の悪い約束を「道徳的（人間的）に間違っている」として、一方的な都合で反故にしてしまうと書かれています。
また過去記事でも説明しましたが、この「正しさ」とは現在の感情的利益の事なので、国際法であろうと何であろうと、その時の感情的利益に沿わなければ反故にしてしまうという事になります。
※独特の正しさの概念
彼らの正しさの概念は独特であり、根拠を必要としない。
また「この世には最初から一つの正しさが存在する」と考えられており、自分はその正しさを常に選択していると考える傾向にある。そして正しさ同士がぶつかった場合には、（曲解でも捏造でもその件と全く関係なくともなんでもいいので）相手の劣等性を指摘する事でそれを自己の正しさの担保とする。
また相手の劣等性を指摘した時点で自身が指摘された問題は相手の問題にすり替わる。
これも人によっては「反日」と定義されたりされなかったりするわけですが、「３：韓国的価値観」に由来する考え方とすれば、客観的に定義付けできます。
破墓の場合にも、韓国人は客観的な事実を無視し、現在の都合で「日本による統治は悪だった」としているため、その歴史観に沿った内容の映画となっているという特徴があります。
このように、「反日」としてしまうと、主観によっていくらでも定義を変更できるため、何をしても「反日ではない」とできたり、何でも「反日」と定義できてしまったりするため、相反する意見同士で水掛け論になりやすく、その汎用性の高さから最初に引用した記事のように、映画を興行的に成功させるために、ネガティブ要素を打ち消すための宣伝に利用されたりもします。
しかし、今回紹介したように、3つの分類とその組み合わせによる定義付けをし、それを問題提起に使用すれば、定義に客観性があるので水掛け論になり難く、韓国との問題を整理しやすくなるというメリットがあります。
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