さて、今回は20日に政府が発表した河野談話の検証結果に関する内容となります。
まず問題の要点を。
従軍慰安婦問題に関して、日韓で最も問題になっているのは軍命令による慰安婦の強制や拉致の有無となるわけですが、日本政府は「そのような事実はなかった」とし、韓国政府は「軍による強制はあった」としています。
結果意見の食い違いがあり対立する事となっているのですが、今回の日本政府による検証は、その辺りの日本の態度を公式にはっきりさせようと言うものです。
それに対して、韓国政府は「軍による強制はあった、誤魔化すな」と怒っており、朝日新聞などの日本の一部メディアは「軍による強制があったか無かったかは問題ではない、被害者がいることが重要だ」と論点逸らしに必死になっています。
そして、昨日の政府発表では以下のような検証報告が公表されました。(ソースは時事通信より)
1:談話作成時に韓国側と文言調整していた
2:元慰安婦とされた女性への聞き取り調査では、事後の裏付け調査を行わなかった
3:談話発表の直前に、日韓両政府が文言調整の事実を対外的に非公表とすることで一致していた
という、元々表に出ていた情報を公式に発表しただけの内容となるのですが、まあそれはそれで意味があります。
要するに軍による強制を客観的に証明する証拠は何も無かったという立場です。
そして、実はこれに先立つ6月15日、韓国政府より以下のような公式発表がありました。
(※韓国の聯合ニュースの公式サイトなのですが、先ほどアクセスしようとしたところyonhapnews.co.krそのものが疑わしいサイトとしてブロック されてしまいました、記事内容は事前に確認しておりますが、上記の理由により本日聯合ニュースソースのものは全てリンクなしでアドレスのみの表記となります)
聯合ニュース2014/6/15
http://japanese.yonhapnews.co.kr/relation/2014/06/15/0400000000AJP20140615000700882.HTML
韓国の政府当局者は15日、慰安婦問題で旧日本軍の関与を認めた河野談話の検証結果が来週にも日本の国会に提出されることをめぐり、「河野談話を損なう検証結果を発表する場合、韓国政府は同問題の歴史的真実と責任に関する国内外の権威ある立場や資料を積極的に提示する」との方針を明らかにした。
日本のメディアは今週にも国会に提出される報告書に「当時の日本政府関係者が水面下で韓国当局者と入念に文言を調整した」との内容が盛り込まれると報じた。
同当局者は河野談話は被害者や旧日本軍人、朝鮮総督府関係者、慰安所経営者などの証言や現地調査、日本や米国の公文書、韓国の報告書などについて日本政府の独自調査と判断を基に発表されたと強調した。
要するに、韓国政府は検証結果を公式発表をしたら資料つきで反論するぞと言っているわけですが、「だったらもったいぶらずに今出せばいいじゃない」と当然の突っ込みをしたくなります。
そして20日に日本政府が検証結果を報告すると、今度は以下のような見解を韓国政府が発表します。
韓国政府「日本の河野談話検証強行に遺憾」
聯合ニュース
http://japanese.yonhapnews.co.kr/headline/2014/06/20/0200000000AJP20140620003300882.HTML
【ソウル聯合ニュース】 韓国政府は20日、慰安婦問題への旧日本軍の関与を認めた1993年の河野洋平官房長官談話について日本政府が検証結果を公表したことに対し深い遺憾を表明した。
韓国政府は外交部報道官声明を通じ「日本政府が河野談話を継承するとしながら検証を行ったこと自体が矛盾した行為だ」と指摘。談話の検証が無意味で不必要なことだと重ねて強調してきたとして、日本政府を批判した。
また、「日本政府は河野談話の検証について談話の作成経緯を客観的に調査することが目的で慰安婦問題に関する事実関係をあらためて明らかにするためではないとしているが、検証結果は事実関係をごまかすことで河野談話の信頼性を損なう結果をもたらす内容を含んでいる」と非難した。
韓国政府は「河野談話は日本政府が自主的な調査と判断を基に日本政府の立場を盛り込んで発表した。われわれは、真相究明は両国間の交渉の対象ではないという立場を明確に堅持した。
日本側の度重なる要請を受け非公式に意見を提示したにすぎない」と明らかにした。
また、16人の元慰安婦女性の証言こそ、慰安婦問題の強制性を立証するいなかる文書よりも強力で明確な証拠だと強調した。
韓国政府は、日本政府が公表した検証結果に対する評価と立場を示す予定だとした上で、国際社会と共に対応措置を取っていく方針を明らかにした。
(後略)
before(6月15日)
>韓国政府は同問題の歴史的真実と責任に関する国内外の権威ある立場や資料を積極的に提示する
after(6月20日)
>16人の元慰安婦女性の証言こそ、慰安婦問題の強制性を立証するいなかる文書よりも強力で明確な証拠だと強調した
え?
「証拠出すんじゃないのかよっ!」と突っ込みを入れたくなりますが、まあ韓国ネタをウォッチしている人にとっては「毎度の事」なんですよね、韓国はこの手の「夏休みの宿題を忘れた小学生」みたいな言い訳をよくします。
要するにこんな事を言ってしまっては「証拠は持っていません」と言っているようなものなのですが、韓国政府はその意味解っているんでしょうかね。
こんな事をするくらいならただ黙っているだけの方がずっとマシなのですが、常に自己を無条件に絶対正義としている韓国人には、これが自爆である事すら気付けません。
そして、韓国政府のこの明らかな自滅行為があるにも関わらず、朝日新聞は本日こんな社説を掲載しています。
慰安婦検証―問題解決の原点に返れ
朝日新聞 2014年6月21日(土)付
http://www.asahi.com/paper/editorial.html
(前略)
安倍首相はかつて、慰安婦への謝罪と反省を表明した河野談話の見直しを主張していた。
だが、国際社会からの強い反発もあって、河野談話を見直さないとの方針に転じた。
もう談話に疑義をはさむのはやめるべきだ。
報告書は、河野談話やその後の「アジア女性基金」について、韓国政府が一定の評価をしていたことも明らかにした。
韓国にすれば、日本側から秘密にしようと持ちかけられていたことである。
それなのに了承もなく、一方的に公表されるのは信義に反することになる。
報告書に韓国政府は猛反発し、せっかく始まった日韓の外務省局長級協議も中断する可能性が出てきた。
また、韓国政府は「国際社会とともに対抗措置をとる」とも表明した。
慰安婦問題が日韓の大きな懸案に浮上して、四半世紀がたとうとしている。
この間、両政府関係者やNGOなど多くの人々が関わってきた。
だが、もっとも大切なのは元慰安婦たちの救済であることは論をまたない。
韓国政府に登録した元慰安婦の生存者は54人になった。
日韓両政府に、互いをなじり合う余裕はない。
河野談話をめぐって「負の連鎖」を繰り返すことなく、今度こそ問題解決の原点に返るべきだ。
韓国政府があんな自爆をしてしまった後では論点逸らしにすらなっていません。
日韓両政府の論点は「軍による強制があったかなかったか」であり、強制があったとする立場の韓国政府は事実上証拠が無いと公式声明で自白してしまっているのですから。
朝日新聞は、ネットによって個人がいくらでも外国のニュースを自由に集められるようになったこの時代に、こんな小手先の誤魔化しや論点逸らしが通用するとでも思っているのでしょうか。
こんな事をしているから信用を失っていくわけですね。
手短ですが本日は以上となります。