日韓問題(初心者向け)

日韓問題について、初心者でもわかりやすい解説と、日韓問題とマスコミ問題の動画のテキスト版を投稿しています。

韓国視点から見たヘイトスピーチ


さて、今回はタイトルにもあるように韓国側の視点から定義されるヘイトスピーチとはなんなのかについて、いくつかの実例を挙げながら説明していきます。


ここ数年、日本では嫌韓現象に対してヘイトスピーチという単語が使われる事がメディアを中心によくあるのですが、ほぼ同じ論調がここ1年ほどで韓国でも定着し、対日批判の主要構成要素となってきています。


そして、そこで韓国側が日本と韓国の対比として頻繁に使う単語として、「韓国には反日ヘイトスピーチもないが、日本には嫌韓ヘイトスピーチがある」というものがあります。


反日に関しては、以前こちら(日本人の考える反日と韓国人の考える反日は違う)で書いたように、韓国人は日本人が反日と定義する行為を反日と定義していないため、反日を行っているという自覚が無いと書いたわけですが、実はヘイトスピーチに関しても全く同じなのです。


彼らの中で定義される一般的なヘイトスピーチは、概ね我々の定義するヘイトスピーチと同じ定義なのですが、以前から書いているように彼らの判断基準は主観のみであるので、自らの行いは「彼らの内的事情」により全て「相手に問題があるからやっている事」と解釈される事で、実態としてはほぼ全てヘイトスピーチの定義から外れてしまうわけです。


この根本的な認識の違いが、日韓の間に更なる問題を引き起こしているとも言えるわけです。
まずはこちらの記事から。


日韓地方紙フォーラム 草の根交流促す
統一日報 2015年07月23日
http://news.onekoreanews.net/detail.php?number=79090&thread=01r04
河北新報社韓昌祐・哲文化財団が主催 14年ぶりに仙台で 本紙も参加

地方の視点から韓国と日本の交流促進にどうかかわっていくか。「日韓地方紙フォーラム」が11日、仙台市内で開かれた。河北新報社韓昌祐・哲文化財団が主催した。パネルディスカッションでは、両国の地方紙の代表者らを招き、両国の地域交流とローカルメディアの役割などについて意見が交わされた。統一日報は在日外国人メディアとして初めて参加した。立教大学の五十嵐暁郎名誉教授がコーディネーターを務めたパネルディスカッションの発言内容を抜粋する。

(一部抜粋)
■「記者が見る日韓関係の現状」

五十嵐 ナショナリズムと排外主義の台頭を克服するヒントはありますか。

尹 韓国と日本では状況が異なります。韓国に住んでいる日本人は、自発的に来た人が多い。しかし日本にいる韓国人の中には、本人の意志に反して連れて来られた人が多い。在日韓国人が地域社会に根付くにあたって、あらゆる段階で政治的・歴史的な衝突が起こりました。一方、韓国ではヘイトスピーチが起きることはありません。日本では地方が先んじてヘイトスピーチを規制しようと動いています。日本の地方社会の健全さに安堵しています。



ここで書いてあるように、彼らの中では韓国にはヘイトスピーチが存在しない事になっています。
それは先ほども書いたように、相手に原因を求める事で自己の問題点を打ち消してしまう、以前書いた「劣等性の天秤」(天秤に相手の落ち度を積み重ねる事で自己の落ち度が打ち消されてしまう、韓国人独特の価値観)が働いた結果です。


そして、この文章からは実はもう一つある事が読み取れます。
この引用文の中に彼ら(韓国人と韓国側に立つ人々)の定義するヘイトスピーチがあるのです。


それは「日本にいる韓国人の中には、本人の意志に反して連れて来られた人が多い」という部分です。
以前書きましたが(「我々は強制連行で奴隷として連れてこられた被害者だ」日本の多文化主義と在日韓国・朝鮮人)、在日韓国・朝鮮人の大部分が強制的に連行されてきた人々であるという主張は明らかにデマです。


デマで特定の民族や人種・国家に対しての憎悪を煽るのは、彼らの基準では明確なヘイトスピーチですから、これは同じ視点で客観的に判断すればそう定義できるわけですが、彼らの主観的視点では強制連行されてきたという話は「正しい歴史」であるため、「正しい主張をしているだけ」であり、彼らの中ではこれはその定義に当てはまりません。


そして、彼らのこの主張に反する今回の私の記事の論調は、彼らや彼らを支持する日本人の中ではヘイトスピーチとなります。
根拠を提示して反論をしようとも、彼らの「正しい歴史」に反すれば、それは議論の余地無くヘイトスピーチだからです。


つまり、彼らが何をヘイトスピーチと定義するのかには特定のベクトルがあり、普遍性や客観性はなく同じ事をしても彼らの主観的正しさに沿うか沿わないかでヘイトスピーチかどうかが決定される事が解ります。


これを踏まえたうえで次の記事を


韓国与党幹部「対馬を取り返すために立ち上がるべき」
朝鮮日報 2015/07/23
http://www.chosunonline.com/site/data/html_dir/2015/07/23/2015072300796.html
セヌリ党最高委員・金乙東氏「歴史的に領有権明白」

独立運動家・金佐鎮(キム・ジャジン)将軍の孫娘に当たる金乙東(キム・ウルドン)セヌリ党最高委員が独島(日本名:竹島)の領有権を主張する日本の防衛白書を批判、「韓国も歴史的に(領有権が)明白な対馬を取り返すために立ち上がるべきだ」と22日に述べた。

 金最高委員は同日午前、国会で開かれたセヌリ党最高重鎮連席会議で「戦犯企業・三菱は韓国人強制徴用被害者には沈黙し、米軍捕虜にだけ謝罪するというあきれたことをしている。日本政府は防衛白書で11年連続で独島を日本領土だと主張した」として、対馬に言及した。

 金最高委員は「李承晩(イ・スンマン)元大統領は60数回にわたって日本に対馬返還を要求している。サンフランシスコ講和条約の過程でも韓国は日本から対馬を返してもらわなければならないと訴えた」と述べた。

 さらに、「対馬が韓国領土だという根拠は歴史の中にも見いだすことができる。高麗の昌王の時代(第33代高麗王、在位:1388-89年)に文官のパク・ウィが、世宗1年(1419年)には武官の李従茂(イ・ジョンム)が対馬を征伐し、我が国の領土として服属してきた」と語った。

 そして、「(インターネット検索大手)グーグルが独島を何の説明もなく無人島と表記した。今年3月にグーグルから独島の名前を取り返すための大韓民国国民同胞署名運動が始まっている。8月15日に光復節(日本の植民地からの開放)を迎えるにあたり、署名をグーグル本社に渡す予定だ。セヌリ党と指導部はもちろん、国民の皆さんも関心を持ち、積極的に参加してほしい」と述べた。


※余談となりますが、文中の「世宗1年(1419年)には武官の李従茂(イ・ジョンム)が対馬を征伐し」とあるこれは日本で応永の外寇と呼ばれる歴史上の出来事です。
そして、公的記録ではこの時朝鮮軍対馬にボロ負けして撤退しています。

参照
世宗元年(1419年) 7月 22日 左議政朴訔啓
http://sillok.history.go.kr/inspection/insp_king.jsp?id=wda_10107022_006&tabid=w
原文
左軍節制使朴實對馬島敗軍時所、護漢人宋官童等十一名, 備知我師見敗之狀, 不可解送中國, 以見我國之弱
現代語訳
朴実が負ける時、護衛し共にいた11人の中国人が、我が軍の敗れる状況を見てしまったので、彼らを中国に返還できない


これなのですが、今回は与党ですが韓国ではこの論調は非常に頻繁に与野党関係なく繰り返されています。
当たり前の事ですが、国を代表する政治家が、歴史を改竄し国際法上の領有権原(国際法上の領有根拠)を無視して他国の領土の領有を主張し国民を煽っているのですから、彼らの定義では反日でありヘイトスピーチです。


しかし先ほども書いたように、彼らの判断基準は主観のみであり、何をヘイトと定義するのかに特定のベクトルがあるため、これも彼らの中ではヘイトとは定義されません。


また、この韓国人による対馬の領有主張なのですが、以下のような論調も見られます。
「日本人が竹島の領有を主張しているから、自国の領土を侵害される意味を知らせるためだ」と。


これなのですが、そもそも百歩譲って仮に韓国側の竹島領有根拠にちゃんとした根拠があったとしても、現代の国際常識ではハーグの国際司法裁判所で決着を付ければ良いだけであって、全く関係ない相手国の領土の領有主張を「反撃」として行って良いわけではありません。


しかし、自己の正当性の証明を他者の劣等性に求める彼ら独特の価値観では、彼らの中の「正しい歴史」としての竹島問題で日本の劣等性を提示することで、この全く前提の異なる問題を相対化する行為が正当化されているわけです。


そして、彼らの中ではこれに反論する行為はどんなものであれヘイトスピーチなのです。
なぜならば韓国人の中の「主観的正義(道徳的正しさ)」に反する行いをして憎悪を煽っているとなるからです。


このような思考プロセスによって、韓国人の中では韓国には日本へのヘイトが存在せず、日本には韓国ヘイトで溢れていると、そのような認識の構図が出来上がるわけです。
繰り返しになりますが、主観的視点のみが物事の判断基準である韓国一般の価値観の認識では、我々の考える「ヘイト」や「反日」は、ヘイトや反日ではないのです。


そしてこのような考えに立ち、「正しい事」をしているだけの一般的な韓国人にとっては「正しい事をしているだけなのだから、多くの日本人も本来は正しさを知っているはずだ」との認識であり、だからこそ「悪いのは歴史修正主義者で極右の安倍とその一味なのだ」との認識が一般的です。
結果として以下のような考えになっています。


「韓国の反日感情は反安倍」=峨山政策研究院
朝鮮日報 2015/07/23
http://www.chosunonline.com/site/data/html_dir/2015/07/23/2015072300659.html
韓国での反日感情の対象は日本人全体でなはく、安倍晋三首相に対するものだとする分析が示された。

 峨山政策研究院のキム・ジユン世論計量分析センター長らが22日発表した「韓日関係に関する誤解と真実」と題する報告書は「今年6月の調査で安倍首相の好感度が日本に対する好感度よりも低かった点が目立つ」と指摘した。
(中略)
その上で、キムセンター長は「結論的に韓国人の反日感情は日本、日本人ではなく、安倍首相を通じて強く表れている。安倍首相の歪曲(わいきょく)された歴史認識民族主義的な言行が韓国人の反感を呼んだものだ」と分析した。

 キムセンター長はまた、「安倍首相が就任前から歴史問題に民族主義的傾向を示し、就任後は竹島の日を政府主催行事に格上げしたことや、靖国神社参拝、慰安婦の強制性否定発言などで韓国人を刺激した」と述べた。


主観的視点のみが判断基準であり、その主観的判断により「絶対的正しさ」を信じて疑わない韓国人にとっては、自分達の行いがヘイトや反日でないというだけではなく、自分達は間違った歴史を広めようとしている安倍政権を攻撃しているだけであって、一般の日本人を攻撃しているわけではないと、そのような考えなのです。


価値観やあり方の違いとは、ここまで決定的な「ズレ」を生み出すのです。


最後に、この問題のもう一つの側面を。
現在の日本において、韓国との友好を進めようとする人々は、往々にして「韓国にもまともな人がいる」「反日をしているのは政府や一部の人達だけであって、政府の行いに批判的な人もいる」との論調が見受けられます。


では、彼らの想定する「まともな人」とはどんな人達なのでしょうか。
これを知る上で重要なことがあります、現在の韓国政府や世論に対して公的に批判する韓国人も確かに存在します。
そしてその人達は韓国社会でどのような扱いなのかといえば、以下のような扱いです。


嫌韓診断]「日本政府、慰安婦の介入の証拠はない」韓国人歯科医の痴漢論(恥韓論) "恥ずかしい"
国民日報(韓国語) 015-01-06
http://news.kmib.co.kr/article/view.asp?arcid=0009006869&code=61111411&sid1=pol&cp=du1
「恥韓論」をご存知ですか? 日本人が韓国を嫌悪するという嫌韓論(嫌韓論)は、聞いたと思いますが。 韓国人が韓国を恥じている恥韓論もあります。

韓国人の歯科医師が、昨年5月に発刊した「恥韓論」が日本で20万部以上売れて興行を記録していますよ。 本には、「日本と韓国の併合は、当時の国際法に基づいた合法的な日」(70ページ)、「慰安婦は性奴隷だったのか(強制があったのか)、日本政府が直接的に介入したのか、日本政府や軍が直接介入していることの証拠はどこにもない」(115ページ)、「(独島問題について)国際裁判で解決しようという日本の主張に全面的に同意する」(197ページ)など、日本人も口に厳しい発言が溶けています。
(中略)
日本ネチズンたちはシンシアリーを絶賛しています。 「地元韓国人シンシアリー妄想と嘘の国である韓国の実態を暴いている」「内部で見通す暴露したという事実は、恐ろしいまでだ」という評価が続いています。 また、「知面百戦不敗という言葉がある。 慰安婦問題と東海併記問題を解決するために役立つだろう」という評価も出ました。

国会外交統一委員会所属のチェ·ジェチョン新しい政治民主連合議員の調査によると、日本で公開されてされている嫌韓出版物は、2012年以降急増する傾向ですが。 2004年までに毎年2巻以下で発刊された嫌韓の出版物は、2005年5冊をはじめ、2012年に47巻、2013年54巻、昨年98巻が発刊されました。 崔議員は「嫌韓が韓日関係の未来のために決して望ましくない」と憂慮した。

日本人が韓国を嫌悪するという嫌韓論(嫌韓論)が流行思うよ韓国人が韓国を恥じている恥韓論が登場ですね。 韓国が恥ずかしいなら、仮名ではなく、堂々と実名を明らかにして日本植民地時代に歴史学者や歴史的検証をすることがいかがでしょう? 彼恥ずかしがる大韓民国も、最終的に日本植民地時代に犠牲になった先烈たちの愛に作成された。


見ての通り、韓国人が現在の韓国の行いに疑問を持ち、そのえで韓国を批判している内容すらも、彼らはそれを「ヘイト本嫌韓本)」と定義している事がわかります。
そして、最後にこの記事ではシンシアリー氏に対して実名を公表しろと迫っていますが、韓国で「韓国人の絶対的正しさ」を否定するような事をしたらどうなるか、確実に社会的に抹殺され、韓国で生きていくことが出来なくなるわけです。


では、「韓国にも“まとも”な人がいる」と主張する人々は、このような人々の事を指しているのでしょうか?
大抵の場合違います。
むしろそう主張する日本人ほど、このように韓国内の現状を韓国人として批判する人々を無視する傾向にあります。


では彼らはどんな人達を「まとも」と定義しているのでしょうか。
彼らの論調を見ていると解るのですが、殆どは今回紹介した「韓国には反日もヘイトも無い」と主張している韓国人、これをそう定義しているわけです。


今まで書いてきたように、そう主張する韓国人は日本人との価値観やあり方の違いから、問題意識や認識のズレによってそう考えているだけであって、単にその自覚が無いだけです。
この状態で、価値観や認識のズレを無視して彼らの言分を鵜呑みにしていたら、問題は増えて悪化していくだけなのですが。