日韓問題(初心者向け)

日韓問題について、初心者でもわかりやすい解説と、日韓問題とマスコミ問題の動画のテキスト版を投稿しています。

「反日」という便利すぎる言葉

さて、本日は定義が曖昧過ぎてどうとでも便利に使われ過ぎている「反日」という言葉の問題点について扱っていきます。

初めて来られた方はまずこちらを先に読む事をお勧めします。

ブログ『日韓問題(初心者向け)』を始めた理由 - 日韓問題(初心者向け)

注意
・このブログは「日韓の価値観の違い」を初心者向けに扱っています

・当ブログのスタンスは「価値観に善悪や優劣は存在しない」というものです

・相手が不法を働いているからと、こちらが不法をして良い理由にはなりません

・自身の常識が相手にとっても常識とは限りません、「他者がそれを見たらどう思うか」という客観性を常に持ちましょう

・日常生活で注意する程度には言動に注意を心がけてください


日本で韓国について語る場合「反日」という単語は切っても切り離せず、最近の日韓関係においても、関係改善の指標として「反日かどうか」といった使われ方をしているが、実のところ「どうなると反日なのか」という部分は漠然としており、どうとでも言えてしまっている。


また韓国内においてもそれは同じで、一般的には「日本に対して敵対的・批判的であるかどうか」ではあるが、その程度は使う側によって区々であり、韓国においても「何を反日と定義するか」に違いがある。


このように漠然と使われる「反日」という単語ではあるが、そもそも本来問題となっているのは日本と韓国の歴史観や価値観の違いであり、日本に対する敵対的・批判的態度もそこから導き出されるものであるため、結果としての「反日」という部分にスポットをあてると現状認識に混乱を引き起こす場合が多い。


※本文中のリンクは引用の元記事、或いはウェブアーカイブウェブ魚拓(別サイト)へのリンクです。


以下から本文




1:日本で使われる「反日



まずはこちらから


「相手を対等に」 意識変えた日韓の若者、その背景は?識者に聞く
朝日新聞 2023年10月8日
https://www.asahi.com/articles/ASRB54VLRR9CUPQJ00J.html

朝日新聞の2023年10月の記事なのですが、日本と韓国の草の根交流に関する記事で、「「反日」「嫌韓」というステレオタイプでは、つかめない意識の変化や価値観の多様化により、相手を対等に見るようになっている」と書かれており、反日とは日本に対する非友好的な態度と定義している事がわかります。


また判断基準として、アニメ、食文化、観光、ライフスタイルなどで日本への関心が高く、日本に対する劣等感がないことが好感度の高さと書かれている事から、その逆の態度、つまり日本文化への無関心や無理解、劣等感などが反日という事になります。


そして次の事例では

<社説>週のはじめに考える 「反日」「嫌韓」乗り越えて
東京新聞 2023年4月2日
https://www.tokyo-np.co.jp/article/241624

東京新聞の2023年4月の社説なのですが、色々と突っ込みどころが多い記事ではありますが、その件は置いておくとして、反日というものを「日本の植民地支配を直接経験した人がまだ生存している」「一度謝罪した内容も内閣が代わると一瞬でひっくり返ることがあるため、真実性に疑いを持つ」ことから発生するものであると定義しています。


この定義ですと、最初の朝日の記事の事例とは違い、日本への理解が深まっても歴史問題がある限り反日は続くことになります。


また次の事例では

韓国で「イエスジャパン現象」…けん引するのは若者たち、長く続いた「反日疲れ」か
読売新聞 2023/03/17
https://www.yomiuri.co.jp/world/20230317-OYT1T50088/

2023年3月の読売新聞の記事なのですが、この中では反日を歴史問題や輸出管理強化の件と関連付けていますが、輸出管理強化の件は韓国政府が「徴用工問題への報復の輸出規制」という扇動を行った結果ノージャパン運動に発展したという経緯があるので、これも間接的ではありますが歴史問題での韓国側の非友好的な態度を反日と定義している事がわかります。


しかしこの記事で疑問なのは、「歴史問題を長期的な課題としつつも、互いの経済的な発展に向けて協力し合うべきだとの考えが広まっている」としていますが、そもそも歴史問題が解決していないのであれば、歴史問題で日本との対立点が韓国の若い世代にもあるのであれば、潜在的反日は残っているのではないか?という事です。


特に2023年に入ってからの日本メディアの論調では、「韓国の若い世代は反日ではない」というものが多いですが、これだと反日はあるのかないのか判然としません。


先ほどの朝日新聞東京新聞の記事なども含めて考えると、どういうものを「反日」と想定しているのかさえはっきりしないにも関わらず、「反日」という言葉だけが独り歩きしているように見えます。


2:韓国で使われる「反日



そして次に韓国で使われる「反日」という言葉についてみてみると

気持ちの表示? 意図された象徴?…「外交的ギフト」に隠れた意味=韓国
中央日報/中央日報日本語版2022.01.30 10:25
https://japanese.joins.com/JArticle/287261

2022年1月の中央日報の記事なのですが、在韓日本大使館に対し、文政権が竹島の描かれた旧正月ギフトを送ったところ、受け取りを拒否されたという記事なのですが、領土問題のある相手国にその領土問題の土地の画像付きギフトを送るというのは、明らかに外交上の欠礼です。


それを踏まえたうえで、この件について「韓国国内世論は「日本に『サイダー』(スカッとする)ギフトをあげた」という意見と、「また反日行動をするのか」という意見に分かれた」と書かれています。


この事例が興味深いのは、竹島問題も一応歴史問題の範疇に含まれるといえば含まれるかもしれませんが、同時に現在の問題でもあり、韓国世論はこれを反日と定義する人々と、していない人々、つまり過去記事で書いた日韓の反日の定義の違いの通り、「正しい事をしている」と考える人々と、「反日」と考える人々がいるというわけです。

過去記事
日本人の考える反日と韓国人の考える反日は違う
https://oogchib.hateblo.jp/entry/ar527970
【日韓問題】日本人の考える反日と韓国人の考える反日は違う
https://oogchib.hateblo.jp/entry/ar1505308

そしてここまでは一応「歴史問題」と関係している範疇に入れる事ができるため、最初の日本メディアの記事にある「歴史問題で日本に否定的・敵対的な考えを持つ韓国人」を反日と定義できます。


しかし次を読むと様子が変わります。

「サッカー韓日戦、アイドルは中立を守るべき」と発言し「炎上」
朝鮮日報 2023/10/08
https://www.chosunonline.com/site/data/html_dir/2023/10/08/2023100880061.html

記事では杭州アジア大会でのサッカー男子決勝について、韓国の芸能人が「今日のサッカーは一緒に見られない。韓日戦なので、アイドルは中立を守らなければならない。分かってほしい」とコメントし、炎上したという事例です。


そしてその芸能人への批判として記事で書かれているコメントが「反日感情を助長しろという意味ではない。韓日戦で中立を守るという韓国人がどこにいるのか。(音楽)市場が大きな日本の機嫌をうかがっているのではないのか」というものなのです。


つまり、スポーツの応援においても、日本と対立構造があればそれを「反日」と定義する世論があるという事です。


これはどういうことかというと、韓国では2012年のロンドンオリンピックにおけるサッカー韓国代表の竹島パフォーマンスが代表的な事例ですが、ナショナリズム的な動機からスポーツと結びつけることが多々あり、「だからこそ」というわけです。


また次のように

韓国国会の国政監査で汚染水巡り攻防 野党は「日本の肩を持った」と批判
聯合ニュース 2023.10.10
https://jp.yna.co.kr/view/AJP20231010001800882

福島原発処理水に関して、韓国最大野党「共に民主党」が、韓国政府が放出に抗議せず日本を擁護する態度をとっている事を批判している件を、与党「国民の力」が「国民の不安を助長し反日感情をあおり、漁民や水産業者に被害を与えている」と批判したと書かれています。


当たり前の事ですが、福島原発の処理水は歴史問題とは全く関係ないので、韓国においてはどのような形であれ、日本に対して批判的・敵対的であれば「反日」と定義している事になります。


韓国における「反日」の定義は、日本よりも更に「広い」事になります。


3:「反日」という単語に意味はない



最初の方で書いた通り、日本のメディアでは韓国の反日は若い世代を中心に薄まってきているとしており、また反日とは歴史問題で日本に対して批判的あるいは敵対的な態度の事を指すと定義している場合が多いです。


そのうえで次の記事を

[寄稿]日本好きな韓国の若者世代、強制動員解決策に対しては「別」だった
ハンギョレ新聞 2023-03-21
https://japan.hani.co.kr/arti/opinion/46251.html

ハンギョレ新聞の2023年3月の記事なのですが、記事の最後に「「毎日経済」2023年3月8付)。今回の強制動員解決策について、韓国人の57.9%が「間違った決定」だと答えた。20~30代はどうか。20代で60.1%、30代で59.7%。平均より高い」と書かれています。


つまり、日本に対して融和的であっても、歴史問題では日本に対して否定的であるという事です。


このことから、日本のメディアの記事のように「韓国の若者は日本文化等に融和的」であっても、「反日」とは矛盾しないことになります。
つまり、「若い世代は反日ではない」という論調は成り立っていないのです。


また次の事例では

あす総選挙なら与党に投票32.6%・野党は31.3% 韓国世論調査
聯合ニュース 2023.10.11
https://jp.yna.co.kr/view/AJP20231011000200882

日本においても「反日」と定義されることの多い、韓国最大野党の「共に民主党」なのですが、あれだけ日本に対して否定的な言動を繰り返していたにも関わらず、最新の世論調査では与党と支持を二分しており、「18~29歳と30代では両党が拮抗した」と書かれています。


日本では一時期「共に民主党反日をし過ぎて世論の支持を失った」という論調が多かったことがありましたが、少なくとも現状はそんなことは無いという事です。


なぜ日本のメディアの論調と実態がここまで大きくかけ離れているかといえば、結局は定義の曖昧な「反日」という言葉を便利に使いすぎた結果、自分達に都合のいい情報と「反日」を関連付けすぎた結果です。


日本に友好的であるからと、安易に「だから反日ではないのだ」としてしまったがために、韓国で使われる「反日」の定義との間に差異が生まれているうえに、韓国内の実情とも大きくかけ離れた「韓国の若い世代は反日ではない」という論調になってしまったのです。


本来であれば、定義が曖昧で使う側の物差しでいくらでも融通の利いてしまう「反日」という単語ではなく、「対立点は何か」という部分にスポットを当てないといけないのです。


以前から説明しているように、韓国における慰安婦の定義は「軍や国の命令で軍人や官憲が直接的に行った拉致や動員」の事であり、徴用工問題の定義とは第二次大戦中のドイツ「ランメルスベルク鉱山」のように、「有刺鉄線のある強制労働施設で朝鮮の人々を強制労働させた」事であり、また日韓併合は違法という主張です。

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https://japanese.joins.com/JArticle/272667
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https://japanese.joins.com/JArticle/295960
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ⓒ韓国経済新聞/中央日報日本語版2023.09.23 13:24
https://japanese.joins.com/JArticle/309404

そして日本との対立点とは、韓国側のこれら主張に「客観的根拠がない」事であり、今回紹介したように韓国の若い世代であっても、この韓国側の定義を支持しており、日本との歴史問題の解決とは「日本がこの定義を受け入れる事」であることに変わりはありません。


ですから、日本との対立点は現在も韓国人の中に存在しており、日本の文化や日本旅行に好意的であるからと、それで「日本と関係改善ができている」というわけではないという事です。


つまり、定義の曖昧な「反日」という言葉に引っ張られて、どこに問題があるのかが見えていないというのが実態という事になります。


既に定着している単語ではあるので、「反日」という表現を使うなとまでは言いませんが、そもそも日本と韓国の問題の指標として使える単語ではないという事は意識しておくべきでしょう。
反日だから」「反日ではない」という表現は、今回紹介したように現状を説明できる言葉ではないわけですから。



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