さて、本日は定義が曖昧過ぎてどうとでも便利に使われ過ぎている「反日」という言葉の問題点について扱っていきます。
初めて来られた方はまずこちらを先に読む事をお勧めします。
ブログ『日韓問題(初心者向け)』を始めた理由 - 日韓問題(初心者向け)
注意
・このブログは「日韓の価値観の違い」を初心者向けに扱っています
・当ブログのスタンスは「価値観に善悪や優劣は存在しない」というものです
・相手が不法を働いているからと、こちらが不法をして良い理由にはなりません
・自身の常識が相手にとっても常識とは限りません、「他者がそれを見たらどう思うか」という客観性を常に持ちましょう
・日常生活で注意する程度には言動に注意を心がけてください
日本で韓国について語る場合「反日」という単語は切っても切り離せず、最近の日韓関係においても、関係改善の指標として「反日かどうか」といった使われ方をしているが、実のところ「どうなると反日なのか」という部分は漠然としており、どうとでも言えてしまっている。
また韓国内においてもそれは同じで、一般的には「日本に対して敵対的・批判的であるかどうか」ではあるが、その程度は使う側によって区々であり、韓国においても「何を反日と定義するか」に違いがある。
このように漠然と使われる「反日」という単語ではあるが、そもそも本来問題となっているのは日本と韓国の歴史観や価値観の違いであり、日本に対する敵対的・批判的態度もそこから導き出されるものであるため、結果としての「反日」という部分にスポットをあてると現状認識に混乱を引き起こす場合が多い。
※本文中のリンクは引用の元記事、或いはウェブアーカイブやウェブ魚拓(別サイト)へのリンクです。
以下から本文
1:日本で使われる「反日」
まずはこちらから
「相手を対等に」 意識変えた日韓の若者、その背景は?識者に聞く
朝日新聞 2023年10月8日
https://www.asahi.com/articles/ASRB54VLRR9CUPQJ00J.html
草の根の交流を深めてきた日本と韓国。未来志向をうたった日韓共同宣言から25年を経て、互いの存在の「日常化」が進みつつある。韓国社会論が専門の春木育美・
聖学院大学教授にその背景を聞いた。
日本も韓国も若い世代を中心に互いを見る目が大きく変わってきている。「反日」「嫌韓」というステレオタイプでは、つかめない意識の変化や価値観の多様化により、相手を対等に見るようになっている。
【そもそも解説】日韓共同宣言から25年 両国関係、何が変わった?
韓国の最近の世論調査で対日好感度が高いのは20、30代だ。アニメや食文化、観光ブームなどの影響もあるが、ライフスタイルへの関心も高い。日本への劣等感がない、新しい日本観を持つ世代だ。
(後略)
朝日新聞の2023年10月の記事なのですが、日本と韓国の草の根交流に関する記事で、「「反日」「嫌韓」というステレオタイプでは、つかめない意識の変化や価値観の多様化により、相手を対等に見るようになっている」と書かれており、反日とは日本に対する非友好的な態度と定義している事がわかります。
また判断基準として、アニメ、食文化、観光、ライフスタイルなどで日本への関心が高く、日本に対する劣等感がないことが好感度の高さと書かれている事から、その逆の態度、つまり日本文化への無関心や無理解、劣等感などが反日という事になります。
そして次の事例では
<社説>週のはじめに考える 「反日」「嫌韓」乗り越えて
東京新聞 2023年4月2日
https://www.tokyo-np.co.jp/article/241624
「
反日の理由VS
嫌韓の理由」
最近出版された『線を越える韓国人 線を引く日本人』(
飛鳥新社)という本の中に、こんな刺激的な見出しの文章があります。
著者のハン・ミンさんは韓国の
文化心理学者。多様な視点で日本人と韓国人を比較しています。
ハンさんによれば、韓国人が持つ
反日感情は、日本の植民地支配を直接経験した人がまだ生存しているからです。また、一度謝罪した内容も内閣が代わると一瞬でひっくり返ることがあるため、真実性に疑いを持つと言います。
一方で日本の
嫌韓感情については、過去の歴史や領土の問題にダダをこね、感情的になる韓国を「子ども」
「弟」と見ているからだ、と分析しています。
日本にとって、確かに韓国が弟に見えた時期がありました。その弟が「なまいきにも兄に逆らうのはもちろん、弱者が強者に向かって謝罪と補償を要求するなどということは到底受け入れることができないのです」(同書より)
ただ現実を見ると、韓国は、経済、軍事、さらに「韓流」と呼ばれる文化面で著しい成長を続けています。日本にとって、もう弟などとは言えないでしょう。
◆解決策の勇気ある決断
その韓国から、先日、尹錫悦(ユンソンニョル)大統領が日本を訪問しました。長く両国間の懸案だった元徴用工問題について、韓国側がまとめた解決策を説明するためでした。
この問題は二〇一八年に韓国
最高裁が、日本企業に賠償を命じる判決を出したことが発端です。
日本政府は一九六五年の日韓請求権協定で決着済み、との立場ですから、韓国が新たに「謝罪と補償」を求めたことで日韓関係は急激に冷え込みました。
解決策は、賠償金を韓国政府傘下の財団に肩代わりさせることで
最高裁判決と日韓協定の折り合いをつける勇気ある決断でした。
韓国側が注目したのは、この解決策に、
岸田文雄首相がどんな言葉で応じるかでした。
報道によれば韓国側は、九八年十月の日韓共同宣言を読み上げ、韓国民を納得させてほしいと求めたそうです。
この宣言は、日韓両国間で最高の外交文書とされ「両国が過去を直視し、相互理解と信頼に基づいた関係を発展させていくことが重要」との文言や、日本の過去の植民地支配に対する「痛切な反省と心からのおわび」が盛り込まれています。
しかし、岸田首相は宣言の内容には直接言及せず、「
歴史認識に関する歴代内閣の立場を全体として引き継いでいることを確認いたしました」と述べました。
日本政府の原則的立場から出ない発言は、国内の保守派への配慮と解説されますが、ハンさんが指摘する「兄としてのプライド」が影響したのかもしれません。
さらに、岸田首相は尹大統領に
竹島や
慰安婦問題などを提起し、日本政府の立場を説明した、とも伝えられました。
韓国政府は「議題にはなっていない」と否定していますが、韓国のメディアや野党は「得るものは大してなかったのに、日本側の話を一方的に聞いてきたのではないか」と一斉に批判しました。
日韓首脳会談後、岸田首相の支持率は上がる一方、尹大統領は一時急落しました。韓国では解決策の撤回を求める集会=写真、共同=が開かれるなど、反発は収まる気配がありません。
◆若者世代の未来のため
大統領はなぜ政治的危険を冒してまで日本との関係改善を急いだのでしょう。それは大統領自身が訪日中に明らかにしています。
尹大統領は慶応大学での講演で学生に「韓国の責任ある政治家として、両国の若者世代の素晴らしい未来のため、勇気を持って最善を尽くす」と語りかけました。
私的な席では、韓国の
国益にかなうことは、たとえ自分の支持率が1%になろうが取り組む、との決意を語っていたそうです。
韓国内での摩擦を覚悟して解決策をまとめた尹大統領には「弟の国」から脱し、成長した自分の国への自信も感じられます。
今回の日韓首脳会談では首脳が頻繁に相互訪問する「
シャトル外交」再開も決まりました。岸田首相は今夏にも
訪韓の見通しです。
尹大統領の政治決断に日本側が応える番です。「
反日」「
嫌韓」を乗り越え、長年冷え込んでいた日韓関係を改善し、安定させる好機を逃してはなりません。岸田首相には尹大統領同様、未来のための勇気を、両国の若者に誓ってほしいと切に願います。
東京新聞の2023年4月の社説なのですが、色々と突っ込みどころが多い記事ではありますが、その件は置いておくとして、反日というものを「日本の植民地支配を直接経験した人がまだ生存している」「一度謝罪した内容も内閣が代わると一瞬でひっくり返ることがあるため、真実性に疑いを持つ」ことから発生するものであると定義しています。
この定義ですと、最初の朝日の記事の事例とは違い、日本への理解が深まっても歴史問題がある限り反日は続くことになります。
また次の事例では
韓国で「イエスジャパン現象」…けん引するのは若者たち、長く続いた「反日疲れ」か
読売新聞 2023/03/17
https://www.yomiuri.co.jp/world/20230317-OYT1T50088/
【ソウル=溝田拓士、上杉洋司】左派の
文在寅 前政権下で
日本製品の
不買運動が起きていた韓国で、日本人気が高まっている。保守の 尹錫悦 政権と同じく、未来志向で日韓関係の改善を望む若者たちがブームをけん引している。今回の首脳会談で雪解けムードはさらに広がりそうだ。
新型コロナ流行の収束で増えた海外旅行で、行き先の一番人気は日本だ。韓国のチケット販売業者によると1月に販売した国際線航空券の約半分が日本行きで、都市別の上位3か所は大阪、福岡、東京だった。韓国メディアによると、日本の植民地支配に抵抗した独立運動を記念する祝日の3月1日ですら日本行きの便はにぎわった。
ソウルに住む会社員の 白知英 さん(29)も3月上旬に東京と鎌倉を旅した。「周囲もみんな日本旅行に行っている」といい、5月には大阪旅行を計画している。
ノーからイエスへ
韓国では 金大中 政権下の1998年に日本の大衆文化が開放されて以降、四半世紀にわたって日本文化を受け入れてきた下地がある。中でも人気のアニメが最近、記録的ヒットとなっている。
韓国で1月に劇場公開されたアニメ映画「THE FIRST SLAM DUNK」は、3月中旬に累計の観客動員数が400万人を突破した。3月8日に劇場公開されたばかりのアニメ映画「すずめの戸締まり」も、すでに100万人以上を動員している。
https://www.yomiuri.co.jp/world/20230317-OYT1T50088/2/
韓国では、歴史問題で日本を厳しく批判していた文氏が2017年に就任して以降、反日の空気が充満した。19年には、日本政府による韓国向け輸出の規制強化に反発して、日本製品の消費や日本旅行を拒否する「ノージャパン運動」も広まった。
店頭から日本の缶ビールが消え、カジュアル衣料品店「ユニクロ」の店舗数も減った。市民からは「周囲の冷たい視線を感じ、ユニクロに入りにくい」との声も聞かれた。当時から一変した日本人気は「イエスジャパン現象」(中央日報)と騒がれている。長く続いた「反日疲れ」もあるようだ。
出発点
若年層には、歴史問題を長期的な課題としつつも、互いの経済的な発展に向けて協力し合うべきだとの考えが広まっている。
韓国の経済団体「全国経済人連合会」が2月に発表した世論調査結果では、20~30歳代の約7割は「韓日の関係改善が必要」と回答した。「両国協力を通じた相互の経済的利益の拡大」を望む声が4割を超えた。両国が努力すべき事案として「共通の歴史認識の醸成」を望む声も約4割に上る。
尹氏は16日、東京で開いた在日同胞との昼食懇談会で「今、韓日両国はよりよい未来へ向かうための出発点に立っている」と強調した。日韓関係改善の扉をこじ開けた尹氏としては、草の根交流の活発化を追い風にしたい考えとみられる。
2023年3月の読売新聞の記事なのですが、この中では反日を歴史問題や輸出管理強化の件と関連付けていますが、輸出管理強化の件は韓国政府が「徴用工問題への報復の輸出規制」という扇動を行った結果ノージャパン運動に発展したという経緯があるので、これも間接的ではありますが歴史問題での韓国側の非友好的な態度を反日と定義している事がわかります。
しかしこの記事で疑問なのは、「歴史問題を長期的な課題としつつも、互いの経済的な発展に向けて協力し合うべきだとの考えが広まっている」としていますが、そもそも歴史問題が解決していないのであれば、歴史問題で日本との対立点が韓国の若い世代にもあるのであれば、潜在的な反日は残っているのではないか?という事です。
特に2023年に入ってからの日本メディアの論調では、「韓国の若い世代は反日ではない」というものが多いですが、これだと反日はあるのかないのか判然としません。
先ほどの朝日新聞や東京新聞の記事なども含めて考えると、どういうものを「反日」と想定しているのかさえはっきりしないにも関わらず、「反日」という言葉だけが独り歩きしているように見えます。
2:韓国で使われる「反日」
そして次に韓国で使われる「反日」という言葉についてみてみると
気持ちの表示? 意図された象徴?…「外交的ギフト」に隠れた意味=韓国
ⓒ 中央日報/中央日報日本語版2022.01.30 10:25
https://japanese.joins.com/JArticle/287261
独島(ドクト、日本名・
竹島)が描かれた
文在寅(
ムン・ジェイン)大統領の
旧正月ギフトを在韓
日本大使館が拒絶した。韓国固有の領土である独島の図柄を
青瓦台(チョンワデ、大統領府)がギフトに活用するのは極めて正常だが、日本側は「他意がある」とひねくれて受け止めた。実際に国と国の間でやり取りする「外交的ギフト」は言葉通りのギフトでないケースもある。
◇日本の骨殴った青瓦台?
21日に相星孝一駐韓日本大使が送り返したギフトは青瓦台が旧正月を迎えて内外の人たちに贈るため準備したものだった。梅エキス、ムンベ酒、五味子エキス、栗などが入った箱に独島の日の出の場面が描かれた。
ところが在韓日本大使館は独島に対するこじつけの主張をしてギフトを送り返した。日本だけでなく韓国国内すべての駐韓外交使節団に送ったギフトだが異例の抗議までしたという。
韓国国内世論は「日本に『サイダー』(スカッとする)ギフトをあげた」という意見と、「また反日行動をするのか」という意見に分かれた。今回のギフト返送は、これに先立ち2017年11月のトランプ米大統領訪韓時に青瓦台が晩餐に「独島エビ」をメニューに上げ日本が反発したことを思い出させるという反応もある。ギフトを受け取った時の日本側の反応が明らかに予想されるのに青瓦台が韓国のさまざまな美しい風景の中でもあえて独島の風景を選んだという点からだ。
これに先立ち青瓦台は昨年の旧正月ギフトには「十長生図」、秋夕(チュソク)ギフトには「日月五峯図」が描かれた箱を使った。これと関連し韓国政府は特別な説明はなく「独島は明白な韓国固有の領土」という既存の立場を繰り返した。
◇韓日首脳、ケーキ贈られ笑った時期も…
現政権初期だけでも韓日間でやりとりするギフトは贈る側も、受け取る側も本当のギフトと考えた。2018年5月に文大統領が就任後初めて日本を訪問すると、当時の安倍晋三首相はイチゴのケーキを贈った。「文在寅大統領就任1周年おめでとうございます」という言葉も書かれていた。
当時も両首脳は先の3回の首脳会談で2015年の慰安婦合意や強制徴用など過去史問題と韓米合同演習などさまざまな事案と関連してはほとんど平行線をたどっていた。だが少なくとも昼食の席では「サプライズイベント」を開き、一緒に拍手し明るく笑ったりした。
これより先の2017年12月にも河野太郎外相は水泳が好きな康京和(カン・ギョンファ)外交部長官(いずれも当時)に防水イヤホンを贈った。当時も韓日慰安婦合意検討タスクフォースの結果発表を目前にして会談は対立していたが、両国間でやりとりしたギフトだけは思慮深かったということだ。
だが両国間のこうした最小限の親交も2019年以降はなかなか見られなくなった。同年7月の日本の輸出規制措置以降に両国関係が急冷したためだ。
同年10月、当時の李洛淵(イ・ナギョン)首相が天皇即位式出席のため日本を訪れ、安倍首相に疎通の象徴としてマッコリを贈ったのが事実上品格を備えてギフトをやりとりした最後だった。当時の李首相の訪日でも明確な成果はなく、両国間の疎通の門戸はますます狭まるだけだった。
◇パンダ・孫子兵法・マグカップ…秘話生んだギフトは?
外交的ギフトがむしろ非難と議論を生んだのは韓日間だけのことではない。
2007年にドイツのメルケル首相はフランスのシラク大統領(いずれも当時)にマグカップを贈った。ところがこのマグカップのふたにはオスマン帝国(トルコの前身)の軍隊がフランスのナポレオンにより敗北する場面が描かれているとしてトルコが反発した。当時トルコのギュル外相は「欧州連合(EU)はこれ以上過去にとどまらず未来を見なければならない」と指摘したという。
中国と台湾の間ではパンダをめぐる神経戦が広がった。2005年に当時の胡錦涛中国国家主席は両岸分断後初めて開かれた国共会談で台湾側にパンダを贈ると約束した。
だが当時の台湾政府与党である民進党は中国の一方的な統一工作だとして反発した。パンダを台湾に送ることを「トロイの木馬」のように考えたのだ。
その後2008年に親中性向の馬英九総統が就任した後、台湾は中国からパンダ2頭を贈られた。名前も「離れていたが再会する」という意味の中国語「団円」から取り、オスは「団団」、メスは「円円」にした。パンダは両岸関係改善の象徴として人気を呼んだが、あまりにも多くの関心を集めたためか2016年には中国国営メディアが「オスのパンダが死んだ」という誤報を出すなどのハプニングもあった。
一方首脳間で本を贈る場合、特にその中に込められたメッセージにさらに関心が傾く。2006年に胡錦涛中国国家主席はジョージ・W・ブッシュ米大統領(いずれも当時)に孫子兵法を贈った。これと関連し、「戦わないで敵を屈服させることが最善」という教訓が含まれた孫子兵法を通じて2003年のイラク戦争など米国の対外政策を皮肉ろうとしたとの分析が出された。
2022年1月の中央日報の記事なのですが、在韓日本大使館に対し、文政権が竹島の描かれた旧正月ギフトを送ったところ、受け取りを拒否されたという記事なのですが、領土問題のある相手国にその領土問題の土地の画像付きギフトを送るというのは、明らかに外交上の欠礼です。
それを踏まえたうえで、この件について「韓国国内世論は「日本に『サイダー』(スカッとする)ギフトをあげた」という意見と、「また反日行動をするのか」という意見に分かれた」と書かれています。
この事例が興味深いのは、竹島問題も一応歴史問題の範疇に含まれるといえば含まれるかもしれませんが、同時に現在の問題でもあり、韓国世論はこれを反日と定義する人々と、していない人々、つまり過去記事で書いた日韓の反日の定義の違いの通り、「正しい事をしている」と考える人々と、「反日」と考える人々がいるというわけです。
過去記事
日本人の考える反日と韓国人の考える反日は違う
https://oogchib.hateblo.jp/entry/ar527970
【日韓問題】日本人の考える反日と韓国人の考える反日は違う
https://oogchib.hateblo.jp/entry/ar1505308
そしてここまでは一応「歴史問題」と関係している範疇に入れる事ができるため、最初の日本メディアの記事にある「歴史問題で日本に否定的・敵対的な考えを持つ韓国人」を反日と定義できます。
しかし次を読むと様子が変わります。
「サッカー韓日戦、アイドルは中立を守るべき」と発言し「炎上」
朝鮮日報 2023/10/08
https://www.chosunonline.com/site/data/html_dir/2023/10/08/2023100880061.html
【NEWSIS】男性アイドルグループZEROBASEONE(ゼロベースワン)メンバー、パク・ゴヌクが
杭州アジア大会サッカー男子決
勝戦の韓日戦前に「中立」と発言してインターネット上で炎上している。芸能界関係者らが8日に明らかにした。
関係者らによると、パク・ゴヌクは7日、杭州アジア大会サッカー男子決勝の韓国対日本戦が行われる前、この試合について言及したライブ配信で、「今日のサッカーは一緒に見られない。韓日戦なので、アイドルは中立を守らなければならない。分かってほしい」と語った。
ところが、外国人メンバーではなく、韓国人メンバーが「中立を守る」という発言をしたということで、韓国国内のネット上では批判の声が上がった。
韓国のネットユーザーたちは「反日感情を助長しろという意味ではない。韓日戦で中立を守るという韓国人がどこにいるのか。(音楽)市場が大きな日本の機嫌をうかがっているのではないのか」と指摘した。幸い、決勝戦は韓国が2-1で勝ち、金メダルを獲得した。
パク・ゴヌクは6日、ファン向けのライブ配信では「韓日戦の決勝戦だ。何が何でも見なければならない」と、韓国を応援することを予告していたため、所属事務所の顔色を見たのではないかという指摘もある。ZEROBASEONEはMnetのサバイバル・オーディション番組『BOYS PLANET(ボーイズ・プラネット)』で選抜されたメンバーにより結成、今年7月にデビューし、人気を集めている。
チョン・ジェギョン記者
記事では杭州アジア大会でのサッカー男子決勝について、韓国の芸能人が「今日のサッカーは一緒に見られない。韓日戦なので、アイドルは中立を守らなければならない。分かってほしい」とコメントし、炎上したという事例です。
そしてその芸能人への批判として記事で書かれているコメントが「反日感情を助長しろという意味ではない。韓日戦で中立を守るという韓国人がどこにいるのか。(音楽)市場が大きな日本の機嫌をうかがっているのではないのか」というものなのです。
つまり、スポーツの応援においても、日本と対立構造があればそれを「反日」と定義する世論があるという事です。
これはどういうことかというと、韓国では2012年のロンドンオリンピックにおけるサッカー韓国代表の竹島パフォーマンスが代表的な事例ですが、ナショナリズム的な動機からスポーツと結びつけることが多々あり、「だからこそ」というわけです。
また次のように
韓国国会の国政監査で汚染水巡り攻防 野党は「日本の肩を持った」と批判
聯合ニュース 2023.10.10
https://jp.yna.co.kr/view/AJP20231010001800882
【ソウル
聯合ニュース】韓国の国会外交統一委員会は10日、外交部などに対する国政監査を実施した。監査では
東京電力福島第1
原発の処理済み汚染水の海洋放出に対する政府の対応などを巡り
与野党の攻防が繰り広げられた。
与党「国民の力」は最大野党「共に民主党」が国民の不安を助長し反日感情をあおり、漁民や水産業者に被害を与えていると批判。共に民主党は尹錫悦(ユン・ソクヨル)政権が汚染水の海洋放出を巡って日本の肩を持っていると非難した。
共に民主党の金炅侠(キム・ギョンヒョプ)国会議員は先ごろ開催された国際海事機関(IMO)のロンドン条約およびロンドン議定書の締約国会議に出席した韓国代表団が「国際基準を満たす放出が行われた」と言及したことを取り上げ、「日本に同調し、日本を代弁した」として、「汚染水放出に待ったをかけられる絶好の機会だったが、完全に諦め、日本の立場を代弁し擁護する結果に終わった」と主張した。
これに対し、国民の力の金碩基(キム・ソッキ)議員は「前政権と同じ原則を持ってしっかり対応しているが、(共に民主党が)問題提起を続け、国民がまだ不安がっている」とし、「反日感情をあおっているのは来年の総選挙に有利だからではないか」と批判した。
福島原発処理水に関して、韓国最大野党「共に民主党」が、韓国政府が放出に抗議せず日本を擁護する態度をとっている事を批判している件を、与党「国民の力」が「国民の不安を助長し反日感情をあおり、漁民や水産業者に被害を与えている」と批判したと書かれています。
当たり前の事ですが、福島原発の処理水は歴史問題とは全く関係ないので、韓国においてはどのような形であれ、日本に対して批判的・敵対的であれば「反日」と定義している事になります。
韓国における「反日」の定義は、日本よりも更に「広い」事になります。
3:「反日」という単語に意味はない
最初の方で書いた通り、日本のメディアでは韓国の反日は若い世代を中心に薄まってきているとしており、また反日とは歴史問題で日本に対して批判的あるいは敵対的な態度の事を指すと定義している場合が多いです。
そのうえで次の記事を
[寄稿]日本好きな韓国の若者世代、強制動員解決策に対しては「別」だった
ハンギョレ新聞 2023-03-21
https://japan.hani.co.kr/arti/opinion/46251.html
イ・ムニョン|
ソウル大学統一平和研究院副教授
尹錫悦(ユン・ソクヨル)政権は、今回の強制動員解決策は「未来」のためのものだと主張する。「未来世代」「未来志向」「未来基金」のような用語が前面に出てきた。韓国内の一部の日本専門家は、韓国のMZ世代(1980年代半ば~1990年代初頭生まれの「ミレニアル世代」と1990年代後半~2010年代初頭生まれの「Z世代」の2つの世代)の格別な日本への愛に、既成世代(現在の社会の主流である壮年層)の古い反感が邪魔になってはならないと語る。日本メディアも同調する。産経新聞は、反日世論にかかわらずに日本文化を楽しむ「イエス・ジャパン世代」が韓国に存在するとして、韓国の20代の51%が強制動員解決策を支持したとまで主張した。これらは事実なのか。統計を通じて確認してみよう。
韓国の東アジア研究院と日本の「言論NPO」は、2013年から「韓日国民相互認識調査」を実施してきた。その結果によると、韓国のMZ世代が既成世代よりもはるかに日本を好きなのは事実だ。一例として、2021年の韓国人(平均)の日本への非好感度は63.6%、20代ではそれより20ポイントも低い43.1%、30代は59%だった。20代の場合、好感度(29.9%)も平均(20.4%)より10ポイントも高く、さらに2019年には、好感度(41.9%)が非好感度(33.9%)を超えてもいた。これは、調査期間全体の全世代をあわせて唯一の、きわめて異例の結果だ。韓国のMZ世代、特に20代の日本への好意は確実だ。
ならば、歴史問題はどうだろうか。日本が好きだから歴史問題にも寛大になるのだろうか。あるいは、古い歴史問題には最初から関心がないのだろうか。2021年、韓国人の51.6%が韓日関係の発展のために解決しなければならない問題の第1位として「慰安婦、強制動員などの歴史問題」を挙げた。ならば、20~30代はどうだろうか。20代の51.5%、30代の51.9%が歴史問題の解決を同じく第1位に選んだ。歴史にまったく無関心なのではない。
それどころか、歴史問題に対する彼ら彼女らの考えは、2017~18年の調査によると、2015年の韓日政府間の慰安婦合意に対する否定評価は20代で79.1%、30代で82.3%となり、韓国人平均の75%よりむしろ高かった。またその解決策について、「(2015年の合意廃棄と)再協議」という最も強硬かつ原則的な立場は、全世代をあわせて20代で最も高く現れた(平均48.2%、20代で55.1%)。
強制動員問題も同じだ。2018年の日本企業の賠償責任を認めた大法院(韓国最高裁)判決以降、日本の輸出規制措置、韓国のGSOMIAによる正面対抗など、歴史・経済・安全保障に関する複合対立によって、韓日関係は最悪の危機を迎えた。次は、これについて実施したアンケート調査の結果を世代別に整理したものだ。
すべての項目で、韓国人の平均より20代は若干低く、30代は若干高い。すなわち、強制動員問題について、既成世代と20~30代の認識には大きな違いはなく、30代の場合はさらに強硬だ。今回の強制動員解決策に直結した質問項目も同じだ。関連する2020~2021年の調査の平均を出してみると、「韓国司法府の判決に従い、(被告企業による被害者への賠償の)強制執行が行われなければならない」に対する20代、30代、全世代の賛成比率は、それぞれ31.3%、33.4%、34.4%だった。20~30代が若干低いが、大きな差はなく、他の世代と同じように20~30代もこの案を解決策の第1位に選んだ。
特に20代の場合、「最高裁判決は1965年の韓日協定に反するため、日本企業は従う必要はない」を選択した割合(10.2%)は平均(13.6%)より低く、「(日本企業でなく)韓国政府が補償する」の場合も同様だった(平均15.2%、20代14.0%)。
統計が示す現実は、未来のためだとする今回の強制動員解決策が、本来の未来世代の認識といかにかけ離れているかを如実に示している。「若い韓国人」はいくら日本好きでも歴史問題は決して軽視しない。楽しむべきことは思う存分楽しむが、非難すべきことは同様に厳しく非難する。時には既成世代よりも厳しい。「慰安婦」や強制徴用で苦痛を受けた高齢の被害者の涙は、青年世代特有のジェンダーと人権の感受性に突き刺さる。歴史を越えて、人間の普遍的価値の問題だからだ。
「文化は文化で、歴史は歴史だ」という軽快でクールな感覚は、これまでのすべての対日政策者がスローガンとして叫んできたが誰も成功できていない「(歴史・政治/文化・経済)ツートラック戦略」を20~30代がすでに日常で先取していることを示している。比類なく高まった国家の地位に、金九(キム・グ)先生があれほどまでに願った文化強国まで成し遂げた現在、韓国の青年たちは、それだけより堂々とした正しい歴史を望む。
最近の世論調査がこれを端的に示している(イム・ソンヒョン、「毎日経済」2023年3月8付)。今回の強制動員解決策について、韓国人の57.9%が「間違った決定」だと答えた。20~30代はどうか。20代で60.1%、30代で59.7%。平均より高い。今回の解決策は、過去だけでなく未来も封印した惨事だということだ。前代未聞の外交惨事を、若者たちを盾に正当化してはならない。若者たちを犠牲にした惨事はもう十分だ。恥ずべきことではないか。
イ・ムニョン|ソウル大学統一平和研究院副教授
ハンギョレ新聞の2023年3月の記事なのですが、記事の最後に「「毎日経済」2023年3月8付)。今回の強制動員解決策について、韓国人の57.9%が「間違った決定」だと答えた。20~30代はどうか。20代で60.1%、30代で59.7%。平均より高い」と書かれています。
つまり、日本に対して融和的であっても、歴史問題では日本に対して否定的であるという事です。
このことから、日本のメディアの記事のように「韓国の若者は日本文化等に融和的」であっても、「反日」とは矛盾しないことになります。
つまり、「若い世代は反日ではない」という論調は成り立っていないのです。
また次の事例では
あす総選挙なら与党に投票32.6%・野党は31.3% 韓国世論調査
聯合ニュース 2023.10.11
https://jp.yna.co.kr/view/AJP20231011000200882
【ソウル
聯合ニュース】韓国の
世論調査で「明日が投票日ならどの政党の候補に投票するか」と尋ねたところ、
保守系与党「国民の力」の候補に投票するとの回答が32.6%、革新系最大野党「共に
民主党」との答えは31.3%だった。調査は
聯合ニュースと
聯合ニュースTVが調査会社のメトリックスに依頼し、7~8日に全国の18歳以上の男女1000人を対象に実施された。韓国で国会議員を選ぶ総選挙は来年4月に実施される。
先月2~3日に実施した前回調査と比べると、国民の力は2.1ポイント、共に民主党は1.4ポイントそれぞれ上昇した。両党の差は0.6ポイントから1.3ポイントとやや拡大した。
「支持する政党がない」との無党派は18.2%で、前回調査より0.2ポイント増加した。
年齢別では40代と50代で共に民主党が国民の力を上回った。60代以上は国民の力が共に民主党を超えた。18~29歳と30代では両党が拮抗した。地域別ではソウル市と南東部の釜山市・蔚山市・慶尚南道、大邱市・慶尚北道、北東部の江原道と南部の済州道で国民の力が、首都圏の仁川市・京畿道、中部の大田市・世宗市・忠清南道・忠清北道、南西部の光州市・全羅南道・全羅北道では共に民主党を選んだ回答者が多かった。
日本においても「反日」と定義されることの多い、韓国最大野党の「共に民主党」なのですが、あれだけ日本に対して否定的な言動を繰り返していたにも関わらず、最新の世論調査では与党と支持を二分しており、「18~29歳と30代では両党が拮抗した」と書かれています。
日本では一時期「共に民主党は反日をし過ぎて世論の支持を失った」という論調が多かったことがありましたが、少なくとも現状はそんなことは無いという事です。
なぜ日本のメディアの論調と実態がここまで大きくかけ離れているかといえば、結局は定義の曖昧な「反日」という言葉を便利に使いすぎた結果、自分達に都合のいい情報と「反日」を関連付けすぎた結果です。
日本に友好的であるからと、安易に「だから反日ではないのだ」としてしまったがために、韓国で使われる「反日」の定義との間に差異が生まれているうえに、韓国内の実情とも大きくかけ離れた「韓国の若い世代は反日ではない」という論調になってしまったのです。
本来であれば、定義が曖昧で使う側の物差しでいくらでも融通の利いてしまう「反日」という単語ではなく、「対立点は何か」という部分にスポットを当てないといけないのです。
以前から説明しているように、韓国における慰安婦の定義は「軍や国の命令で軍人や官憲が直接的に行った拉致や動員」の事であり、徴用工問題の定義とは第二次大戦中のドイツ「ランメルスベルク鉱山」のように、「有刺鉄線のある強制労働施設で朝鮮の人々を強制労働させた」事であり、また日韓併合は違法という主張です。
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そして日本との対立点とは、韓国側のこれら主張に「客観的根拠がない」事であり、今回紹介したように韓国の若い世代であっても、この韓国側の定義を支持しており、日本との歴史問題の解決とは「日本がこの定義を受け入れる事」であることに変わりはありません。
ですから、日本との対立点は現在も韓国人の中に存在しており、日本の文化や日本旅行に好意的であるからと、それで「日本と関係改善ができている」というわけではないという事です。
つまり、定義の曖昧な「反日」という言葉に引っ張られて、どこに問題があるのかが見えていないというのが実態という事になります。
既に定着している単語ではあるので、「反日」という表現を使うなとまでは言いませんが、そもそも日本と韓国の問題の指標として使える単語ではないという事は意識しておくべきでしょう。
「反日だから」「反日ではない」という表現は、今回紹介したように現状を説明できる言葉ではないわけですから。
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