日韓問題(初心者向け)

日韓問題について、初心者でもわかりやすい解説と、日韓問題とマスコミ問題の動画のテキスト版を投稿しています。

韓国関連でよく見かける「民族精気」という単語

次回4月10日は記事更新をお休みします。


さて、本日は今まで扱っているようで扱っていなかった、韓国の「民族精気」という単語について扱っていきます。

初めて来られた方はまずこちらを先に読む事をお勧めします。

ブログ『日韓問題(初心者向け)』を始めた理由 - 日韓問題(初心者向け)

注意
・このブログは「日韓の価値観の違い」を初心者向けに扱っています

・当ブログのスタンスは「価値観に善悪や優劣は存在しない」というものです

・相手が不法を働いているからと、こちらが不法をして良い理由にはなりません

・自身の常識が相手にとっても常識とは限りません、「他者がそれを見たらどう思うか」という客観性を常に持ちましょう

・日常生活で注意する程度には言動に注意を心がけてください


韓国で大ヒットした映画「破墓」は、その内容に反日的な要素を持っているというだけではなく、実際の韓国の政策に影響された「オカルト」も含んでおり、またこの映画には「韓国人の普遍的な感情」も含まれているという監督自身の評価まである。


この件に関連した「日帝の呪いの鉄杭」に関して、韓国では日韓併合時代に彼らが信じた迷信を、90年代以降の韓国政府が政治的に利用、政府や政治家の人気取りの手段として「呪いの杭除去運動」をし始めたというもので、その影響が現在でも韓国に残っているという事を表している。


また、これには韓国人の民族主義小中華思想的な考え方も色濃く影響しており、「日韓併合が無ければわが民族はもっと繁栄していたはずであり、日本が朝鮮の民族精気を棄損したために発展が遅れた」という考え方が根底に存在している。



※本文中のリンクは引用の元記事、或いはウェブアーカイブウェブ魚拓(別サイト)へのリンクです。


以下から本文




1:映画「破墓」のヒット



まずはこちらの記事から

「破墓」、オカルト映画初の観客1000万人
東亜日報 March. 25, 2024
https://www.donga.com/jp/List/article/all/20240325/4835977/1

この映画は近年の韓国映画では大ヒットであり、記事では「庶民ヒーロー映画」であると同時に、「日帝時代の「鉄杭説」を採用した抗日映画」であり、これが韓国の観客層に広くヒットしたと書かれています。


つまり、日本では「韓国では反日が下火」と報じられることが多いですが、実際には韓国においてこの映画は年齢や性別に関係なくヒットしており、「韓国は何も変わっていない」という事が分かります。


また次の記事を読むと

観客動員1000万人突破 映画『破墓』監督「反日・左派の映画? 同意できない…韓国人なら感じることのできる普遍的な感情」
朝鮮日報 2024/03/31
https://www.chosunonline.com/site/data/html_dir/2024/03/27/2024032780145.html

記事の主題はこの映画の監督へのインタビューなのですが、同時期に公開された李承晩を英雄視するプロパガンダ映画「建国戦争」の監督が「破墓」について「反日をあおる映画に左派の人々が殺到している」と主張、記者が「これがかえってノイズマーケティング(炎上商法)効果をもたらした」と評価したうえで、監督にこの件について聞いたところ、「人それぞれの見方があるため、正しいとか間違っているとか言うことはできません。私が意図したことではないため、そんなに気にしませんでした。関心を持っていただけてありがたく思っています」と答えています。


そのうえで、「韓日の霊と巫女(みこ)が戦いを繰り広げることに加え、独立運動を思わせる内容を至る所に忍ばせ「反日映画」というレッテルも付いた」という評価については、「韓国人であれば、程度の差はあるものの、誰もがこの地の悲しみと痛みに対するもどかしい気持ちを抱いていますよね。韓国人なら感じることのできる普遍的な感情を盛り込んだと考えています」とも答えており、これが韓国人にとって強い共感を得る事の出来る内容であると答えています。


つまり、日本人を倒すことや、抗日を想起する表現、そして「日帝の呪いの鉄杭を抜く運動」という、国レベルでかつて行われた運動を盛り込むことで、韓国人の共感を産み、大ヒット映画となったというわけです。


2:日帝の呪いの鉄杭とは?



そしてこの映画のヒットに関して、「民族精気」という、日本ではあまり聞き慣れない単語が深く関わっており、この単語を知る上で最もわかりやすいのが「日帝の呪いの鉄杭」というものです。


どういうものかというと、1990年代に韓国の金泳三政権が、「光復50周年」の一環として「歴史立て直し事業」という政策を行います。


これは、日本統治時代に日本が残したものが総じて「日帝残滓」であり、排除されるべきだと訴え、排除運動を行ったのですが、その中に「日本が朝鮮半島の地脈や民族の精気を絶つために風水侵略を行った」というものがあります。


日本が韓国の風水上の要地の地脈に杭を打ち、韓国人の民族精気を棄損することで、韓国人本来の能力を発揮できなくしたという、いわゆる「オカルト」です。
これの除去を韓国政府が政府事業として、90年代以降に予算を立てて国民運動として行ったのです。


例えば以下の事例のように

風水で朝鮮の「気」断とうとした?
朝鮮日報 2013/12/29
https://www.chosunonline.com/site/data/html_dir/2013/12/29/2013122900113.html

全体としては、元々は朝鮮のシャーマニズム道教的な考えからくる迷信であるとしていますが、「「日本人鉄杭説」はどうだろうか。各地でこうした説が伝えられている。部分的に見れば蓋然(がいぜん)性がある場所もある」としており、完全否定はしていません。


また、「「鉄杭」のうわさは国を奪われた人々の「主人意識の欠如と被害意識の産物」」とも書かれており、いわゆる現代韓国人の「抗日意識」と深くリンクしている事が分かり、金泳三政権はこれを統治をスムーズに行うプロパガンダとして利用したという事が見て取れます。


また次を読むと

韓半島大運河は先祖代々受け継いできた錦繍江山に消すことのできない傷あとを作る悪巧み
newsis1/NAVER 2008.01.26
https://n.news.naver.com/mnews/article/003/0001938620?sid=100


韓国の国会議員が2008年に、李明博大統領(当時)が計画していたいわゆる「四大河川事業(朝鮮半島大運河計画)を批判する際に、「これは日帝韓半島の民族精気を抹殺するために白頭山脈に鉄杭を打ち込んだ悪巧みと比肩される」と発言しており、少なくない韓国人達がこのオカルトを信じていたと同時に、これが政治的に様々な形で利用されていたという事が分かります。


また次を読むと

【萬物相】政治家への「風水テロ」
朝鮮日報 2021/05/22
http://www.chosunonline.com/site/data/html_dir/2021/05/22/2021052280024.html

こちらでも一応鉄杭の件を否定はしていますが、「独立運動家・李相竜(イ・サンリョン)の慶尚北道安東にある本家・臨清閣は、日本が敷いた鉄道により真っ二つになった」等、どうしても、「その発想」から抜け出せないでいる事はわかります。


また、韓国では祖先の墓を汚したり荒らしたりする、呪術的な嫌がらせの事例が後を絶たない事も書かれており、「自分達がそうなのだから、相手もそうに違いない」という発想が根底にある事が分かります。


ここで重要なのは、日本では韓国のような儒教的祖霊崇拝も、道教的な風水思想も殆ど信じられておらず、一般的ではないという文化的背景があるにも関わらず、「日本が韓国人的な宗教観で嫌がらせをしている」という発想が、呪い杭を否定している人々の間ですら一般的に広く信じられている事です。


※余談になりますが、80年代の映画「帝都大戦」で一躍有名になった、「江戸を守る風水結界」も、あれは典型的な都市伝説で、事実とは異なります。
調べてみると分かりますが、結界の要とされている「五色不動」の名称が文献に登場するのは明治以降ですし、五色不動のうち江戸時代以前からあったのは目黒不動目白不動目赤不動の3つだけで、目黄、目青の名称が登場したのも明治以降、結界があったとすると歴史との整合性が取れません。
少なくとも、江戸時代の日本において、国政に道教を由来とする呪術的な要素が関わっていない事が分かります。


3:民族精気



ではなぜこういったオカルト話が現代の韓国で、日本の文化的背景まで無視して信じられているかというと、そこには韓国人の小中華思想に基づく対日観が深く関わっています。


次に、「新天地イエス教証しの幕屋聖殿」という、韓国のキリスト教系カルトとかかわりの深い天地日報の記事を読むと

[天地時論] 朝鮮は「太陽が早く浮かぶ東方の国」
天地日報(韓国語) 2011.11.08
https://www.newscj.com/news/articleView.html?idxno=103232

「私たちが知っていることは日帝強制占領期間に日帝から受けた内容が定説や正論になって今日、私たちの歴史観として確立され位置づけられたにすぎない」と書かれていますが、これは韓国で既存の学術的な歴史観を「日帝史観だ」として否定し、民族主義に基づく歴史観が正しいとする思想です。


「私たちの古代国家を否定し檀君朝鮮を神話と説話に切り下げ」と書かれていたりするのがその典型例で、記事では書かれていませんが、三国史記や隋書、広開土王碑などで、百済が倭に服属していたという記述を、「日帝の陰謀」とする考え方などもこれに根差しています。


※「李成桂を民族の反逆者に糊塗して無理に作った李氏朝鮮王朝の不法性を刻印し」については、何のことかよく分かりませんでした。


また「私たちの文化をそのように徹底して抹殺しようと「文化抹殺政策」までしなければならなかったのだろうか。さらに主要な名山と聖山に鉄杭まで打ち込んで私たちの偉大な精気を切ってしまおうと血眼にならなければならなかったのだろうか」と書かれている事から、この考え方が「日本の文化抹殺政策」や「呪い杭」などのオカルトと深く結びついている事が分かります。


またこちらの記事では

[単独]臨清閣前鉄道撤去現場に日帝鉄杭?
韓国毎日新聞(韓国語) 2021-05-03
https://news.imaeil.com/SocietyAll/2021050310440311075
https://web.archive.org/web/20210503070026/https://news.imaeil.com/SocietyAll/2021050310440311075


参考記事
宝物「臨清閣」
東亜日報 August. 16, 2017
http://japanese.donga.com/List/3/all/27/1028147/1

ここで書かれている「安東臨清閣」というのは独立活動家である李相龍の生家で、韓国では「日帝が鉄道を敷いて真っ二つにした」と主張しており、文政権で「民族精気が流れるようにする」ために、鉄道の除去を行うという事を公約にしていました。


つまり、文政権が人気取りのためにオカルト話を政治的に利用し、国家予算をかけて線路の移設工事をし、その際に出てきた杭を「日帝の呪いの鉄杭か検証する」とやっているわけです。


また次の記事を読むと

釜山の市街地でも「大日本」の文字を確認
中央日報 2009.04.10
https://japanese.joins.com/JArticle/113887


関連記事
空からソウルを見たら「大日本」があるって? 笑わせないでください(下)
朝鮮日報 2023/07/08
https://www.chosunonline.com/site/data/html_dir/2023/07/07/2023070780161.html


「現在新庁舎の建築で工事中のソウル市庁の建物は日本の「本」という字、現在は取り壊された中央庁(旧朝鮮総督府庁舎)の建物は「日」という字、青瓦台(チョンワデ、大統領府)の前身である景武台(キョンムデ)は「大」という字をデザインしている、という主張がある。 日本が韓半島の心臓部に「大日本」という字を刻み込んだということだ」と書かれています。


そしてその目的は「日本が植民統治をしながら、いわゆる「風水侵略」を試み」と分析されています。


2023年になってやっとこのオカルトは韓国内でも否定されましたが、背景には「共に民主党」がこの件を政治的に利用して尹政権批判につなげようとしたため、それに対抗して否定したという事情があります。


また次の記事を読むと

朝鮮総督官邸」青瓦台旧本館の復元に…韓国野党「何を考えているのか理解できない」
中央日報/中央日報日本語版2022.07.22 07:01
https://japanese.joins.com/JArticle/293452


新年は壬寅年!国立生物資源観で虎気勢受けます
東洋経済(韓国語) 2021-12-25
http://www.sateconomy.co.kr/news/articleView.html?idxno=3003153
https://web.archive.org/web/20220524153158/http://www.sateconomy.co.kr/news/articleView.html?idxno=3003153

本来であれば歴史的建造物である朝鮮総督官邸は、記事にもあるように1993年に取り壊されていますが、その理由について「民族の精気を正し、国民の自負心を回復するために撤去された」と書かれています。


また次の記事では「日帝強占期に朝鮮総督府は山林資源を容赦なく収奪し、韓民族の精気を弱化させる目的で虎、ヒョウ、熊などを有害動物に指定し乱獲した」と書かれています。
いずれも数十年前の記事ではなく、2020年代に入ってからの記事です。


こうした事例から解るのは、韓国では民族の精気と呼ばれる、道教の気脈に由来する「オカルト的な力」が存在しており、日本はそれを弱体化させる目的で棄損していたという事になっているわけです。


ではこれが何かといえば、韓国では「日本による統治が無ければ朝鮮はもっと発展していた」という考え方があり、この「民族の潜在能力」とも呼べるものを日本が恐れ、それを封じるために、鉄杭やその他もろもろ、朝鮮の気脈を棄損し民族精気というものを弱体化させていたという考え方があるのです。


また間接的に「小中華思想」とも関連しており、明における朱子学の衰退、明の滅亡と蛮夷である「満州族」による中原の支配(清王朝)などにより、「真の中華の継承者は朝鮮民族であり、だからこそ自分達は東アジアで最も優れた民族であるにも関わらず、日本に支配されたから発展できなかったのだ」という考えと繋がっています。


つまりこの「民族精気」という概念から解るのは、日本人が反日と呼んでいるものの背景は、日韓併合よりもずっと根深く、いわゆる歴史問題が解決した程度でなくなるようなものではないという事です。
日韓の問題には、小中華思想と現代の韓国の政治的なプロパガンダ、そして現代韓国人の民族主義などが複雑に絡まって現状があるわけです。



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