さて、今回は一連の福島原発処理水問題に関連し、韓国政府の火消しがなぜ成功しないのかについて書いていきます。
初めて来られた方はまずこちらを先に読む事をお勧めします。
ブログ『日韓問題(初心者向け)』を始めた理由 - 日韓問題(初心者向け)
注意
・このブログは「日韓の価値観の違い」を初心者向けに扱っています
・当ブログのスタンスは「価値観に善悪や優劣は存在しない」というものです
・相手が不法を働いているからと、こちらが不法をして良い理由にはなりません
・自身の常識が相手にとっても常識とは限りません、「他者がそれを見たらどう思うか」という客観性を常に持ちましょう
・日常生活で注意する程度には言動に注意を心がけてください
現在、韓国政府は福島原発処理水問題に関し、韓国内で広まっているデマの火消しを行っているが、目に見えた効果はほぼなくむしろ韓国内で少なくない経済的損失まで出始めるという事態になりつつある。
また、この件では韓国政府や与党、与党系メディアが、あたかも現韓国最大野党の「共に民主党」が問題の元凶のように批判しているが、実のところ今批判している側も過去には似たような主張をしており、やっている事がただの政争でしかないため、実際の火消しに繋がらないという背景もある。
また、韓国では「悪い事は全て他人のせい」にし、問題の原因を考えないという価値観が社会にあるため、責任者探しばかりをして問題の根本原因をなくそうとしない特徴があり、この特徴が今回の問題をより悪化させている背景ともなっている。
※本文中のリンクは引用の元記事、或いはウェブアーカイブやウェブ魚拓(別サイト)へのリンクです。
以下から本文
1:火消し失敗
まずはこちらの記事から
韓国の市民社会、知性でデマを退けてこそ民主共和国は存続できる【寄稿】
朝鮮日報 2023/07/15
https://www.chosunonline.com/site/data/html_dir/2023/07/14/2023071480158.html
今回怪談を論破した科学者らは民主共和国の真の英雄
陰謀論を撃破したければ、軍警ではなく市民の論理力を
20年近い
フェイクニュース勢力の所業を残らず記録し、満天下に知らしめるべき
福島「処理水(treated water)」放流を巡る最近の論争は、韓国知性界の底力を示してくれた。その分野の専門家らが公論の場に出てきて科学的知識と冷徹な論理で偽りの主張を撃破し、虚偽の扇動を遮断した。これまでおよそ20年、フェイクニュースと虚偽の扇動にだまされた経験を持つ韓国国民の多数は、おおむね落ち着きを保っている。青少年が間違いを繰り返しつつ成熟していくように、韓国社会も試行錯誤を経て進化している。それでも安心はできない。過去およそ20年にわたってフェイクニュースをばらまき、虚偽の扇動を主導した者たちが、依然として大きな権力を享受しているからだ。
彼らの主張を振り返ってみると、失笑を禁じ得ない。彼らの言う通りであれば、大韓航空858便テロは安全企画部(省に相当)の自作自演で、韓国政府は米国の狂った牛を輸入して国民の脳にぷすぷすと穴を開けようとし、哨戒艦「天安」は米軍の誤爆で沈み、セウォル号は潜水艦と衝突し、THAAD(高高度防衛ミサイル)の電磁波はマクワウリに染み込んで人体を脅かした。でたらめなうそだが、彼らの扇動は毎回、恐るべき破壊力を発揮する。
ごくわずかな危険を膨らませて社会的恐怖を助長し、興奮した群衆を動かして政権を揺さぶるという手法だ。巧みな扇動力、機敏な組織力、緻密なプロの企画力だ。21世紀の大韓民国で、ナチス式の宣伝・扇動と共産党式の戦略・戦術をああもうまく駆使する彼らは、果たして何者なのか? マルクスに魂を売り、レーニンの宣伝術を学び、毛沢東のゲリラ戦術に慣れ親しみ、金日成(キム・イルソン)の革命理論で大衆に潜り込んだ、「昨日の勇士たち」なのだろうか。
今も、その勢力は韓国の政界、学界、官界、言論界、法曹界、文化芸術界、果ては科学技術界でも大活躍している。議会を占領して反自由的法案を作り、公的な媒体を利用してフェイクニュースをばらまき、選挙管理委など憲法機関に入り込んで党派的権力を振るい、法服を着て不公正な判決文を書いている。各界各層で彼らが構築した権力の陣地はあまりにも強固で、学生運動流の「アジプロ(agitprop. 宣伝扇動)」はいつでも津波のように韓国社会を覆い尽くせる。
https://www.chosunonline.com/site/data/html_dir/2023/07/14/2023071480158_2.html
自由民主主義は、表現の自由と思想の多様性を根幹とする。政府は表現の自由をできる限り許容した後、思想の場の外へと退く。政府の退いた世論の場は、完全に市民社会の領分だ。全体主義とは異なり、自由主義体制では政府が公権力で反対世論を鎮圧することはできない。怪談や陰謀論が広まったら、その責任は全くもって市民社会にある。市民が乗り出して真実を明らかにできなければ、うそをつく勢力の支配の下に置かれてしまう。まさにその点で、今回勇気をもって公論の場に出て怪談と風説を論破した科学者らこそ、民主共和国の真の英雄たちだ。
自由主義の創始者、ジョン・スチュアート・ミル(John Stuart Mill、1806-73)は、功利的効用に基づいて表現の自由を擁護した。ある社会が、うそを退けて真実を明らかにしようと思うのであれば、全ての構成員が自らの見解を表明できなければならない、という論理だった。狂人の詭弁(きべん)、妄想家の妄念、陰謀論者の臆説に至るまで、あらゆる考えが自由に表現できてこそ、社会は批判を通してしっかりとした論理を備え、真実に迫ることができる。それでこそ個人が自らの固有性(individuality)を実現することができ、人類の文明は発展し得る。人類の知性と歴史の進歩を信頼した、ビクトリア時代の楽観論だった。
自由主義とは、そのように「開かれた社会の敵たち」にも自由を保障する、開放的で、寛大で、公平無私な理念だ。その根底には、人類の知性に対する信頼が横たわっている。理性の力で不合理と不条理を退け、知性の光で無知蒙昧(もうまい)を悟ることができる、という信念だ。しかしこの世には、表現の自由を悪用してうそをばらまき、法の庇護を受けつつ法治を破壊する勢力がいる。彼らの怪談と陰謀論を退治しようと思ったら、軍警の物理力ではなく市民の論理力が必要だ。市民が科学と常識を拒否し、社会的責任感と倫理的自律性を喪失した瞬間、自由は失踪し、民主共和国は崩れる。
このところ、韓国の市民社会は開かれた社会の敵たちによっていつもむなしく振り回されてきた。遅まきながらようやく、科学者たちが公論の場で科学と常識を守っているので、まだ希望はある。この際、過去およそ20年にわたりフェイクニュースやでたらめな陰謀論で憲政秩序を破壊してきた記者、政治家、大学教授、法曹人、市民運動家など扇動勢力の蛮行を残らず記録し、満天下に知らしめねばならない。市民の知性で怪談とうそを退けてこそ、民主共和国は存続できる。
宋在倫(ソン・ジェユン)カナダ・マックマスター大学教授(歴史学)
一連の福島原発処理水問題に関連し、デマを流す人々を批判し、デマに立ち向かった学者たちを称賛し、また過去に韓国内で発生したデマなどを例に、これまで韓国内でデマを拡散し広めてきた人々を批判しています。
しかしこうした記事とは裏腹に、以下のアンケートを見てもらうと
福島原発汚染水巡るIAEA最終報告書を信用しますか? 韓国人の54.1%「信用しない」
「信用する」37.6%
朝鮮日報 2023/07/13
https://www.chosunonline.com/site/data/html_dir/2023/07/13/2023071380056.html
60代以上を除く韓国の全年齢層「信用しない」
【NEWSIS】福島原発汚染水の海洋放出は「国際基準に合致している」という国際原子力機関(IAEA)の包括報告書に対し、韓国国民の過半数が信用していないことが分かった。
韓国のニュース・メディア「NEWSIS(ニューシス)」が12日に世論調査専門機関の国民リサーチ・グループ、エース・リサーチに依頼して実施した世論調査によると、「IAEAが『福島原発汚染水海洋放出は国際基準を満たしている』という包括報告書を発表し、韓国政府もこれを確認したが、同報告書についてどう思うか」という質問に、全回答者の54.1%が「信用しない」と答えたとのことだ。
「信用する」という回答は37.6%、「よく分からない」という回答は8.3%だった。
年齢別では、60代以上を除くすべての年齢層が「IAEAの報告書を信用しない」と回答した。
20代は50%、30代は59.7%、40代は68.2%、50代は55.6%が「IAEAの報告書を信用しない」と答えた。60代以上は46.1%が「IAEAの報告書を信用する」と答え、「信用しない」という回答を1.7ポイント上回った。
地域別では、大邱市・慶尚北道を除く全地域でIAEAの報告書に対する不信感があった。保守政党の支持者が多いが、(日本側の)海に面している釜山市・蔚山市・慶尚南道でもIAEAの報告書を信用していないことが分かった。
光州市・全羅道・済州特別自治道では60%、仁川市・京畿道では57.6%、ソウル市では56.5%、釜山市・蔚山市・慶尚南道では53.4%、大田市・忠清道・世宗市・江原道では50.5%が「IAEAの報告書は信用しない」と答えた。
大邱市・慶尚北道は「信用する」が51.9%、「信用しない」が37.7%で、「信用する」という回答の方が多かった。
政党支持度別に見ると、野党・共に民主党支持層の89.1%が「信用しない」と答えた反面、与党・国民の力の支持層は74.7%がIAEAの報告書を「信用する」と答えた。
支持政党のない無党派層では63%が「信用しない」、22.3%が「信用する」と答え、前者の方が40.7ポイント上回った。
今回の調査は今月9日と10日の2日間、韓国全国の満18歳以上の男女1002人を対象に、無作為標本抽出による無線100%自動応答(ARS)方式で行われた。標本誤差は95%信用水準で±3.1%ポイント、回答率は2.0%だ。詳細については中央選挙世論調査審議委員会のホームページ参照。
シン・ジェヒョン記者
「韓国世論の過半数がIAEAの報告書を信頼しない」という結果が出ており、「信頼する」という回答は40パーセント未満なのです。
しかも興味深いのは、60代以上を除くすべての年齢層の過半数が「IAEAの報告書を信用しない」と回答している事です。
これが意味するのは、「IAEAの報告書を信用する」と答えた人の多くは、いわゆる韓国保守政党である「国民の力」の支持者※が多く、このことから「IAEAを信用している」というよりも、「国民の力の言う事だから信じている」という人が多いであろうことが分かります。
※「国民の力」の支持層は主に60代以上で、20代男性も比較的多いとされ、最大野党の「共に民主党」は30から50代を主な支持層とし、20代女性も比較的多いとされています。
そして次の記事を読んでもらうと
「放射能怪談」の懸念に韓国与党「水産物消費クーポン・非課税基準を上方修正」
ⓒ 中央日報/中央日報日本語版2023.07.19 10:35
https://japanese.joins.com/JArticle/306796
国民の力の「わが海を守る検証タスクフォース」(TF)が18日、日本の福島汚染水放出をめぐる
論議で苦しんでいる
水産業界を対象に支援策を打ち出した。海産物消費促進クーポンの発行と養殖業者の
所得税に適用される非課税基準の上方修正などを検討しているという。
成一鍾(ソン・イルジョン)TF委員長はこの日午後、国会で開かれた「水産業生産者団体との懇談会」を終えた後、ブリーフィングで「放射能怪談により漁村の所々がかつてより30~35%に達する消費不振に対する深い懸念がある」と明らかにした。
また「政府は新型コロナウイルス感染症の時のように消費を促進できる誘引策や消費クーポンのようなことを話した」として「海洋水産部、企画財政部と協議し、妥当性問題を深く検討する」と話した。
成委員長はまず、休暇シーズンがすでに始まっているだけに、海洋水産部に消費クーポンに対する考慮を急ぐことを求めたと明らかにした。クーポンのための財源調達については「予備費を使わなければならないが、天災地変の場合、一緒に使う費用なので企画財政部と深い議論がなければならないだろう」と付け加えた。
クーポンのための補正予算の可能性を尋ねる質問には「検討する事項ではない」として「現行のシステム内で可能なのか、実行できるのか意見を伝えるということ」と一線を画した。
養殖業界の所得税の非課税基準の引き上げに対する言及もあった。成委員長は「この非課税を現行の3000万ウォン(約330万円)基準から5000万ウォンに引き上げてほしいという要請があった」として「すでにTFが企画財政部に要請し、4人の議員が法案を出して国会に来ている。早急に協議して5000万ウォンまで引き上げることを国会で積極的に推進する」と強調した。
TFはこの他にも▽給食・流通業者を通じた水産物消費の促進▽高速道路の電光掲示板を活用した水産物安全性の広報▽減隻に対する政府支援--などについて検討中だ。
TFの一員であるハン・ムギョン議員はこの日「特定政治勢力が恐怖心拡散に集中するのは漁業人を犠牲にして政治的利益を得ようとすること」とし「漁業人と水産業従事者の生存は眼中にもない行動に手をこまぬいてはならない」と批判した。
韓国では最大野党「共に民主党」の行ったデマ扇動の影響で、水産物の売り上げにダメージが出始めており、海産物消費促進クーポンを計画したり、大きなダメージが予想される養殖業に減税を行うなど、対策に追われるという事態にまでなっています。
つまり、福島原発の処理水を巡る問題が、反日や韓国与野党の政争を超えて実体経済にまで影響を与えるという、一連のNO JAPANで韓国の小売業や旅行代理店、航空会社などが大ダメージを受けたのと同じ状況になりつつあるわけです。
2:なぜここまで悪化したか
では、なぜここまで事態が悪化したのかといえば、それは現在韓国政府与党である「国民の力」や、与党側でデマを批判しているメディアなども、過去にはこのデマに便乗して扇動を行ってきた背景があり、デマへの批判自体が政争の一環でしかないという背景があります。
たとえば以下の記事では
野党になったら反対一辺倒…韓国二大政党のあまりに安易すぎる政治【コラム】
朝鮮日報 2023/07/16
https://www.chosunonline.com/site/data/html_dir/2023/07/14/2023071480159.html
国際原子力機関(
IAEA)のラファエル・グロッシ事務局長が韓国を訪れたのは7月7日の金曜日だった。その後の週末は、まさに大荒れだった。グロッシ事務局長が進歩(革新)系最大野党「共に
民主党」の議員らと会った9日、
福島原発放流反対のデモ隊は韓国国会の囲いを越えて本館にまで入り込んだ。懇談会が行われている最中も「グロッシ・ゴー・ホーム」「放流反対」などを叫び、一部は会議場の窓をたたくことまでやった。既にめちゃくちゃな雰囲気になる中、
民主党議員らはグロッシ事務局長の面前で「
IAEAが中立性を喪失」「日本の注文通りの調査」というような荒っぽい言葉をぶちまけた。
民主党は、福島での放流が始まれば大変な災厄が迫るかのように語る。しかし、その民主党が与党だった文在寅(ムン・ジェイン)政権は、放流について現政権と同じような立場を取っていた。2020年に、当時の康京和(カン・ギョンファ)外相は「日本の主権的な領土内で行われる事項」だと述べた。翌年、鄭義溶(チョン・ウィヨン)外相も「IAEAの基準を満たす適合性の手続きに沿うのであれば反対することはない」と発言した。福島第一原発の水に含まれる三重水素(トリチウム)は、韓国の民主党が与党だったときは基準値以下で野党になったら災厄レベルに跳ね上がる、魔法とでも呼べるものなのだろうか。
民主党は、一時「50年、100年政権」を夢見た167議席の巨大野党だ。かつての政権時代と今とで立場が変わったのであれば、韓国国民に対し最低限の理解を求めるのが公党の道理だ。そうした理解を求めるどころか、「核廃水投棄」「セシウムクロソイ」といった刺激的な言辞で恐怖感をあおることにばかり忙しい。苦痛を訴える漁民らの存在は眼中にもない。極端な支持層の反日感情に頼って現政権の支持率をなんとか削り取りたいという、浅薄な政治工学あるのみだ。野党第1党としての国政に対する責任感は全くないように見える。
保守系与党「国民の力」は、グロッシ氏来韓直後の週末、こんな民主党に向けて終始猛攻を展開した。「デマ麻薬の中毒」「中世暗黒時代の思考方式から抜け出せていない21世紀版天動説」といった表現は、かつての民主党こそ使いそうなきらびやかな修辞だった。しかし「国民の力」もまた、野党時代には福島からの放流に決死反対していた。ある広域自治体長は「ただの一滴の汚染水も容認できない」と言い、ある院内代表は「いかなる理由であろうとも決して妥協する余地はない」と言った。そんな「国民の力」が、水産市場や水族館の水を試飲する様子を、漁民らはせせら笑っている。
民主党の懇談会でグロッシ事務局長は、大きくため息をついたり、眼鏡を外したりすることもあった。韓国政府の関係者は「IAEAなど国際機関の目に、韓国がどういう国に映るか心配」と語った。韓国は既に、外交・安全保障政策の一貫性を担保し得ない国になった。中国・北朝鮮の顔色をうかがうときは、THAAD(高高度防衛ミサイル)基地を放置していた国が韓国だ。与野党どちらも党派の利益を国益よりも優先し、国民普遍よりも自己の支持層を先にする、安易な政治をしているからだ。ある現役議員は「野党のときは反対だけしていれば楽」と語った。共同体のエネルギーを消耗し、国の国際的信認度をむしばむ、この「楽で安易な政治」。その代価は韓国国民全体と後世の荷として返ってくる。
ウォン・ソンウ記者
現在与党の「国民の力」は最大野党「共に民主党」によるデマを批判しているが、その国民の力も同じようにデマを扇動し「「国民の力」もまた、野党時代には福島からの放流に決死反対(原文ママ)していた。ある広域自治体長は「ただの一滴の汚染水も容認できない」と言い、ある院内代表は「いかなる理由であろうとも決して妥協する余地はない」と言った。そんな「国民の力」が、水産市場や水族館の水を試飲する様子を、漁民らはせせら笑っている」と書かれています。
ではこれを書いている朝鮮日報はどうかといえば、次の記事にあるように
放射能論争にもかかわらず…日本政府、原発汚染水の海洋放出を決定
朝鮮日報 2021/04/14
https://web.archive.org/web/20210414011921/http://www.chosunonline.com/site/data/html_dir/2021/04/14/2021041480012.html
福島で2023年から
日本政府が13日、福島第一原子力発電所から出る放射能汚染水(原文ママ)を2023年からおよそ30年にわたり海洋放出するという方針を公式に決定した。2011年の東日本巨大地震直後に1度放流を行った後、10年間たまり続けた汚染水の累積で、もはや貯蔵する空間がないからだ。韓国を含む周辺諸国はすぐさま強く反発した。日本国内でも反対の世論は強い。放射能汚染水はなぜ発生し続けているのか、海に流したら生態系や食卓の安全に問題はないのかなどを問答形式で解き明かしてみる。
1.なぜ汚染水の放出を押し付けるのか
日本政府は周辺国の反発にもかかわらず、汚染水放流という立場を固守してきた。2011年3月に東北地方を強打した地震で福島第一原発の冷却水供給が途絶え、核燃料が溶け落ちる事故が発生した。現在でも、熱い原子炉を冷やすため冷却水を注入している。また原発内部に雨水や地下水まで流れ込み、1日に140トンずつ汚染水が発生している。敷地内に貯蔵できる総量は137万トンで、現在、この91%程度となる125万トンが貯蔵されている。放流をしなければ2022年末には満杯になると予想され、もはや放出を遅らせることはできないというのが日本政府の判断だ。
2.海洋放出される汚染水は安全か
汚染水125万トンには合計860兆ベクレル(Bq)の放射性物質が含まれている。1リットル当たり58万Bqという水準だ。1Bqは、1秒につき放射線が一つ出る量だ。日本政府は、セシウム・ストロンチウムといった強い放射性物質はほとんど処理し、化学的に除去ができない三重水素(トリチウム)と一部の炭素14が残ったと明らかにしている。海に放出する際には、日本の原発における冷却排水のトリチウム濃度基準である1リットル当たり6万Bqよりはるかに低い1500Bqに希釈するから、問題はないという立場だ。専門家らは「基準値以下のトリチウムはすぐに被害をもたらすことはない」としつつも「ただし、これほどの規模で汚染水が放出されたことはなく、海洋生態系や周辺国に対する長期的な影響は不確実」と語った。実際、最近福島付近の沿岸で取れたクロソイから基準値の5倍に達する放射性セシウムが検出され、日本の処理能力に疑問が投げ掛けられたこともあった。韓国の原発の場合、冷却水のトリチウム排出基準は日本より厳しい1リットル当たり4万Bqだが、月城原発のケースでは2019年に13.2Bqに希釈して放出した。
http://www.chosunonline.com/site/data/html_dir/2021/04/14/2021041480012_2.html
(リンク切れ)
3.韓国にはどのような影響が及ぶか
2011年の福島第一原発事故当時、太平洋に汚染水が一部放出された後、韓国政府は海水の放射能汚染監視を強化した。まだ放射能の測定数値に変化はない。今回の日本政府の決定で2023年から汚染水が排出されたら、韓半島付近まで汚染水が流れてくるのに4-5年ほどかかるというのが専門家らの分析だ。ソウル大学原子核工学科の朱漢奎(チュ・ハンギュ)教授は「放射性物質は海で希釈が行われ、大きな影響はないだろう」と語った。他方、「海洋生態系の食物連鎖を経て、放流の影響がわれわれの食卓にまで及ぶ可能性を完全に排除できない」という意見も出ている。
4.周辺諸国の反発をどうするか
周辺諸国は、放射能汚染の懸念から、国際協調を要求し続けてきた。放流問題は日本国内の問題なので、周辺国が日本政府に決定を強制することはできない。ただし、日本国内でも福島近辺の地域住民の反発が強く、内部での合意が見られない状態で周辺国が無条件に受け入れることはできないというわけだ。日本は国際原子力機関(IAEA)の同意を得たというが、周辺諸国と直接的な話し合いを行ったことは特にない。このため、海洋放出後も監視情報がきちんと共有され得るかどうかについての疑念は少なくない。韓国科学技術院(KAIST)のチョン・ヨンフン教授は「日本政府が汚染水の放流を強行したら、無条件に反対ばかりするのではなく、放射性物質がきちんと処理されているかどうか韓国が直接検証する方がよい」と語った。
李永完(イ・ヨンワン)科学専門記者 , ユ・ジハン記者
参考記事
海外でもトリチウム放出 韓国原発は年間136兆 仏再処理施設は1・3京
産経新聞 2021/4/13
https://www.sankei.com/article/20210413-Z3M7OKIROBNRPP6OIB3NL7AXEA/
2021年4月の記事で、「ただし、これほどの規模で汚染水が放出されたことはなく、海洋生態系や周辺国に対する長期的な影響は不確実」「海洋生態系の食物連鎖を経て、放流の影響がわれわれの食卓にまで及ぶ可能性を完全に排除できない」と安全に疑問を呈し、事実上デマを煽るような内容を書いているのです。
また同じく現在火消しをしている中央日報も
日本、結局は海に汚染水放流へ…恐怖広がる韓国
ⓒ 中央日報/中央日報日本語版2021.04.10 10:14
https://japanese.joins.com/JArticle/277501
日本政府が
放射性物質が含まれた福島第1
原発の汚染水を海洋放出する方針を固めたと、NHKなど日本メディアが9日、一斉に報じた。日本政府は13日に
閣議を開き、
福島原発汚染水の海洋放出を公式決定する見通しだ。
福島第1原発では2011年の東日本大震災の余波で原子炉施設に雨水・地下水などが流入し、一日平均140トンの汚染水が発生している。毎日発生する汚染水は原発内の貯蔵タンクに保管中だが、先月中旬基準で汚染水の総量は125万トンにのぼる。すでに貯蔵空間の90%以上が汚染水で埋まり、来年秋ごろタンクの貯蔵容量が飽和状態になると予想される。
◆「トリチウム」は浄化されないが…
NHKなどによると、日本政府は汚染水の海洋放出目標時期を2年後の2023年としている。特に海洋放出前に多核種除去設備(ALPS)を活用して汚染水に含まれる62種の放射性物質を基準値以下で浄化するという立場だ。浄化後にも環境汚染などで周辺の漁民などに被害が発生する場合、政府が賠償するという計画も立てた。ただ、トリチウム(三重水素)の場合、ALPSでも浄化は難しく、汚染水放出時に海洋にそのまま露出するという懸念が提起される。
日本政府もALPSでトリチウムを除去できない点は認めながらも、それによる生態系および人体への悪影響は否認してきた。在韓日本大使館の関係者は昨年11月、韓国の記者らとの懇談会で「トリチウムは水を飲む時にも吸収されることがある物質であり、(福島第1原発)施設付近ではトリチウムが原因とみられる影響は発見されていない」と述べた。にもかかわらず国際社会の憂慮を勘案して日本政府は汚染水を飲料水レベルに薄めて放出する方針を決めたと、共同通信は伝えた。
梶山弘志経済産業相は9日、記者らに対し「トリチウムなど放射性物質を含む処理水(汚染水)を処分する場合、国際原子力機関(IAEA)がその安全性を客観的に確認し、国内外に透明に発表する」とし「私が先頭に立つ覚悟で責任を持って対策に取り組みたい」と述べた。
◆広がる汚染水への恐怖
日本政府のこうした立場にもかかわらず、国内外の専門家はトリチウムを含む汚染水の海洋放出による危険性を警告してきた。ALPSによる浄化自体が完ぺきでないうえ、基準値以下に薄めるとしても海洋生態系に放射性物質が流入する場合、食物連鎖を破壊し、魚類を通じて各種がんを誘発するおそれがあるという理由からだ。
韓国原子力安全委員会のオム・ジェシク委員長は昨年10月、国会科学技術情報放送通信委員会の国政監査に出席し、「(福島の汚染水を)海洋放流すれば放射性トリチウムの海洋拡散は避けられない」とし「特に汚染水の放流がある場合、北太平洋海流の流れによって韓国にも影響が及ぶおそれがある」と指摘した。
韓国政府は日本の汚染水放出決定に関連する今後の進行状況を注視するという立場だ。韓国外交部は「わが政府はその間、日本政府に対して汚染水処理に関する透明な情報公
開、国際社会が受け入れることができる環境基準の遵守、客観的で透明な検証の必要性を持続的に強調してきた」とし「今後もこの問題に関連してIAEAなど国際機関と日本政府を含むすべての利害当事国と緊密に議論していく予定」と明らかにした。
「基準値以下に薄めるとしても海洋生態系に放射性物質が流入する場合、食物連鎖を破壊し、魚類を通じて各種がんを誘発するおそれがある」と煽り、韓国原子力安全委員会委員長の言葉として「特に汚染水の放流がある場合、北太平洋海流の流れによって韓国にも影響が及ぶおそれがある」と不安を煽ってきた背景があります。
このことからもわかるように、現在「共に民主党」が煽っているデマと似たような扇動を、現韓国与党も与党寄りのメディアも、過去には同じように行っており、結局は問題自体が一連の与野党と双方側のメディアによる政争の一部でしかないという事がわかります。
つまり、本当に問題を火消ししたいのではなく、また本当に安全性を疑っているわけでもなく、ただひたすら対立相手を貶めるための道具として処理水問題を利用しているだけなので、一向にデマがなくならないわけです。
そもそも、本当にデマを鎮静化させたいのであれば、「汚染水」ではなく「処理水」という単語を使い、まずは汚染を引き起こすというイメージを払しょくさせるのが先にも関わらず、それをやろうとすらしていないからです。
関連記事
「処理水」表現に問題なし 「核廃水」は不適切=韓国政府
聯合ニュース 2023.07.10
https://jp.yna.co.kr/view/AJP20230710001900882
3:他人のせい
そして韓国で処理水問題が沈静化しない原因としてもう一つ挙げられるのは、韓国では問題の原因よりも「他者に責任を取らせる」事に躍起になるという特徴があることが挙げられます。
たとえば、一連の梨泰院事故の事例でも紹介したように、彼らは基本的に「なぜそうなったか」よりも「誰のせいでこうなったか」に注目し、とにかく生贄探しに躍起になり問題の改善が無視される場合が多いです。
関連記事
梨泰院事故と韓国的価値観(韓国人編) - 日韓問題(初心者向け)
梨泰院事故と韓国的価値観(政治編) - 日韓問題(初心者向け)
これは先日の韓国での大雨による土砂災害でも同様の事例が発生しており
自然災害の全責任を公務員に転嫁、韓国社会のルールに匿名でぼやく公務員たち
朝鮮日報 2023/07/18
https://www.chosunonline.com/site/data/html_dir/2023/07/18/2023071880045.html
「ここに15年以上住んでいるが、土砂崩れなんて起きたことはない」
全羅南道のある自治体の職員A氏(34)は最近、土砂崩れの危険地域で避難を呼びかけた際、住民からそんな言葉を聞いた。相次ぐ避難要請にも不快感を示し、「崩れそうになれば勝手に逃げるから口出しするな」「公務員の言葉には皆が従わなければならないのか」という言葉を浴びたという。A氏は「事故が起きれば担当者である私の責任にされるのは明らかなのに、被害防止のための規制に簡単に従う住民はほとんどいない」と話した。
韓国全土に数日間降続いた豪雨により、17日までに41人の死亡が確認された。特に14人の死者が出た忠清北道清州市五松邑の宮坪第2地下道の浸水事故では、清州市の対応が被害を増大させた原因として指摘され、公務員に批判が殺到している。事故直前に関係機関の連携が取れていなかったことが明らかになり、「予想できた人災」だといういつもの指摘も続く。
しかし、こうした批判が出るたびにたたかれていた公務員が異なる声を上げ始めた。災害の全責任を公務員に転嫁するのは不当だとの主張だ。災害時に一線に投入され被害防止に努めても、現場でそれに素直に従う国民は少ないという苦悩も打ち明けた。現在の行政の能力で全ての災害を防止することは現実的に不可能だという主張も聞かれた。
公務員のこうした「抗弁」は社会人の匿名コミュニティー「ブラインド」で特に活発だ。警察庁職員は「防ぐことができたという発言だらけ(笑)。それを防ぐことができれば、この世界は武陵桃源(理想郷)だろう」とした上で、「結果が発生してから防ぐことができたとは誰でも言えるだろう」と書いた。このコメントには285人が反応した。「雨がたくさん降るのは当然公務員の責任」「韓国には自然災害がなく、人災だけがある」「自然災害は管轄官庁の公務員による殺人で、大韓民国に自然死はない」「規制すれば『お前何様だ』、事故発生時には『助けてくれ』、落ち着けば『なぜ規制しなかったのか』というのが国のルールだ」といった自嘲もあった。
災害防止のために事前に規制を行い、苦情を浴びたという公務員の訴えも多数あった。ある公務員は「大雨で登山道を閉鎖したが、一日中電話が鳴りやまなかった。雨が降っているのに無理に登ると大騒ぎし、きょう現場に行ってみたら禁止テープが切られていて、みんな登山していた」と書き込んだ。最近水害地域勤務になったという警察官は「道路が浸水してるので通行できないと言っても、大声でなぜ邪魔するのか騒いで入っていくやつが大半だ」と主張した。このほか「暴言を吐くなら、少なくとも普段から規制や指示によく協力してからにしてほしい」「(いっそ)雨がたくさん降ったら戒厳令を出してほしい」という反応もあった。
公務員の間には専門性を欠く一般公務員が災害対応に投入されるシステム自体が問題だという指摘もある。一般行政職で全羅南道に入庁した職員は「今回の豪雨のような状況では、通常業務ではなく、災害対応に投入されるが、正直(上が)やれと言うからやっているが、業務自体をよく知らずに臨んでいる」とし、「緊急時に下した判断による責任を自分が追及されることも恐ろしい」と話した。「(さまざまな部署を転々とする循環勤務のせいで)ある人が基礎知識のない部署に配属され、仕事を覚えて専門性を備える十分な時間がないまま、本人の能力を超える出来事に直面し、その結果が死者が出たとして、それは個人の責任なのか、システムの責任なのか」という投稿もあった。
キム・ミョンジン記者
記事では、「予想できた人災」と公務員が非難されると、公務員が避難指示に従わない人への不満を指摘し、また「結果が発生してから防ぐことができたとは誰でも言えるだろう」と反発、一般人と公務員の間で対立が発生しているという記事です。
また次の事例では
市役所「道から連絡受けていない」、道庁は「不可抗力」…警察は「人手不足」
東亜日報 July. 18, 2023
https://www.donga.com/jp/List/article/all/20230718/4296661/1
最悪の地下車道浸水惨事と記録された
忠清北道清州市興徳区五松宮坪邑(チュンチョンブクド・チョンジュシ・フンドクグ・オソン・クンピョンウプ)2地下車道事故と関連して、主な疑問は、「川の水が押し寄せてくるのに、なぜ車両が進入するのを誰も防げなかったのか」ということだ。これに対して17日、清州市と
忠清北道、警察などはお互いに責任を転嫁するのに汲々としている。専門家たちは、「災害
基本法により、清州市に最も大きな責任がある」としながらも、「他の行政機関も責任を完全に回避することはできないだろう」と指摘した。
●責任転嫁に汲々としている清州市と忠清北道
まず清州市は、「忠清北道から別途連絡を受けられなかったため、対応できなかった」と主張している。清州市の関係者は、「市レベルで総括災害安全対策本部を設け、区と邑面洞単位まで非常勤務者を編成して運営した」とし、「当日も、午前2時15分に災害安全対策本部を非常3段階に格上げさせた」と釈明した。また「道路法上、該当道路の統制権限は忠北道にある」と話した。しかし清州市の自然災害マニュアルには、「浸水および氾濫地域の住民避難と通行制限をしなければならない」という内容がある。
清州市傘下にある興徳区の場合、「午前6時半頃、美湖(ミホ)川の氾濫の危険性の事実を、錦江(クムガン)洪水統制所から通報され市に知らせた」という立場だ。区の関係者は、「興徳区は自治区ではなく一般区で、区長も清州市で任命する」とし、「別途の災害対応のマニュアルもない」と説明した。国と自治体の対応義務などを規定している災害安全法によると、災害対応の主体は自治体にあるが、興徳区は地方自治法上、自治体に分類されないという。
忠清北道は、道路管理の責任があるという事実は認める。惨事が発生した地下車道の管理主体である忠清北道は、錦江洪水統制所から事故の4時間前にすでに危険通報を受けている。しかし、警察などに交通統制の協力要請をしなかった。それでも忠清北道は、「清州市と行政中心複合都市建設庁(幸福庁)に1次的な責任がある」という立場だ。忠清北道の関係者は、「幸福庁が氾濫した美湖川周辺の堤防の高さを下げなければ、問題はなかっただろう」とし、「事故当時の状況を見れば、水が突然押し寄せたため、不可抗力的な側面がある」と話した。
これに対して警察の関係者は、「112に受け付けられた通報には、忠清北道や清州市、興徳区などどこからも道路統制の要請を受けた事実がない」と話した。
●警察と消防も事故を防ぐ機会を逃す
だからといって、警察と消防も責任から自由ではない。忠清北道警察庁によると、警察は事故が発生した15日午前7時半ごろから午前9時まで、15件の浸水関連112通報を受け付けたことが分かった。
特に浸水が始まる約40分前の午前7時58分頃に受け付けられた通報では、「宮坪地下車道を統制しなければならないようだ」として、通報者が具体的に場所まで特定したという。しかし、当時警察は、江内面塔淵(カンネミョン・タブヨン)交差点の随所に浸水が発生したという理由で、ここ一帯に警察力を集中させたという。警察の関係者は、「当時、土砂崩れと都心の道路浸水で、すでに人員が総動員された状況だった」とし、「追加交通統制に困難があった」と話した。
消防の場合、事故当日の午前7時51分頃、「堤防が流されてあふれそうだから、現場に来て措置してほしい」という要請を受けた。ところが地下車道の近くに午前8時3分頃に到着し、26分間とどまってから清州市に状況を伝えた後、事故直前の午前8時29分ごろ現場を離れた。消防の関係者は、「清州市役所に3回、興徳区役所に7回電話での連結を試みたが、誰も出なかったため他の現場に向かったと聞いている」と話した。
草堂(チョダン)大学消防行政学科のソン・ウォンベ教授は、「災害基本法は、地元で災害が発生した時、中央政府が介入するまで時間がかかるため、地元の事情に最も明るい基礎団体長に執行権を付与する」とし、「1次的に基礎団体長である清州市長に最も大きな責任がある。ただ、状況を見れば、忠清北道と警察なども完全に責任を避けられないようだ」と話した。
ソン・ユグン記者 チュ・ヒョンウ記者
「市」と「道(日本の都道府県に相当)」と「警察」と「消防」が互いに責任転嫁をしており、記事を読む限り「防災システム自体に問題がある」にも関わらず、そんな事はお構いなしに「犯人探し」をしている事がわかります。
こうした事例からもわかるように、韓国においては「問題の解決」よりも「誰のせいなのか」を探すことの方が重要であるという事がわかるわけですが、一連の処理水問題においてもそれは同じなわけです。
元々尹政権が処理水問題を含め、日韓の懸案の解決に乗り出した背景には、以下の記事にあるように
尹大統領、バイデン大統領が両手で握手する写真を載せて「親密な友情・信頼うれしい」
ⓒ 中央日報/中央日報日本語版2022.05.23 15:31
https://japanese.joins.com/JArticle/291348
韓国の尹錫悦(ユン・ソクヨル)大統領が「バイデン
米大統領と親密な友情と信頼を築く機会を持ったことをうれしく思う」と明らかにした。
尹大統領は23日、自身の英語ツイッターに、別れのあいさつをする時にバイデン大統領が両手で尹大統領の手を強く握りった写真を載せ、「民主主義という必須価値に対する考えを共有し、グローバル包括的戦略同盟に関する互いの約束を改めて確認する良い時間を持った」とコメントした。
一方、韓米首脳会談の後、尹大統領は訪韓の答礼として蝶菊唐草書案と紺色牡丹鏡台、マーク・ロスコ展示図録を、バイデン大統領は卓上ネームプレートとパイロットのサングラスを送った。
尹大統領がバイデン大統領に贈った書案は朝鮮時代にソンビが読書したり客を迎えて対話する時に使用した一種の机だ。鏡台と図録は金建希(キム・ゴンヒ)夫人が今回の訪韓に同行できなかったジル・バイデン夫人のために準備した。
バイデン大統領が尹大統領に贈った卓上ネームプレートはトルーマン元大統領が在任中に机に置いたものと同じ形態で、「すべての責任は私が負う」という意味の「The Buck Stops Here」と書かれている。
バイデン大統領は2泊3日の訪韓日程を終え、22日に日本に向けて出国した。韓米首脳は23日午後、インド太平洋経済フレームワーク(IPEF)発足宣言オンライン首脳会議で再会する。
尹大統領の就任当初からバイデン政権の意向が強く働いていた事が解っており、バイデン大統領が尹大統領に贈った卓上ネームプレート「すべての責任は私が負う」に、「諸問題を全て解決させるべき」という無言の圧力があった事がよく分かります。
なので、結局のところ尹政権にしても与党の「国民の力」にしても、「外圧で渋々やっている」という背景が見て取れ、それが「汚染水」という単語を未だ止めない事から読み取れます。
「放出に問題ない」と主張するのであれば、IAEAや諸外国も使用している「処理水」の方がネガティブなイメージを持たれ難いからです。
以前から指摘しているように、処理水問題に限らず、一連の歴史問題や竹島問題、日本海呼称問題、レーダー照射問題、輸出管理強化の事例などを見ても、彼らが客観的な事実に基いた結論よりも感情的な扇動をよしとしてきた背景があり、いきなり処理水問題で「客観的事実に基いてデマを払拭する」などとやっても、これまでがこれまでなのでできるわけがないのです。
それを無理やりやろうとしたため、火消し自体がただの政争となり、今のように火消しに失敗し政治対立ばかりが過激化していくという状況になっているわけです。
最後に余談となりますが、少し興味深かった記事があり、紹介します。
以下の記事で立憲民主党の岡田幹事長が、処理水問題で韓国の野党議員団に同調し一緒に記者会見を行った同党議員に対し、「ただ、ちょっとやり方が、韓国内で党派争いのような、あるいは政局のような形で論じられているところがあって、それと連動しているような印象を与えたとすれば、やや慎重さを欠いた行動だった」と、問題が韓国の政争であることを把握していた事です。
立憲民主党の議員が、これを認識しまた公言するというのは、少し意外でした。
今までであれば「仮にわかっても決して口にしなかった」であろうことが容易に想像がつくので。
立民が阿部氏注意 韓国議員と処理水放出中止で連携
産経新聞 2023/7/18
https://www.sankei.com/article/20230718-YFHASYT7MFJB7DRYNASEKP7VHM/
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