さて、本日は日本のメディアなどではあまり伝えられていない、韓国の不安要素について書いていきます。
初めて来られた方はまずこちらを先に読む事をお勧めします。
ブログ『日韓問題(初心者向け)』を始めた理由 - 日韓問題(初心者向け)
注意
・このブログは「日韓の価値観の違い」を初心者向けに扱っています
・当ブログのスタンスは「価値観に善悪や優劣は存在しない」というものです
・相手が不法を働いているからと、こちらが不法をして良い理由にはなりません
・自身の常識が相手にとっても常識とは限りません、「他者がそれを見たらどう思うか」という客観性を常に持ちましょう
・日常生活で注意する程度には言動に注意を心がけてください
ここ暫く、韓国経済の低迷などについていくつかのメディアでも記事が出てきているが、低迷の要因としてはGDPの約2割を占めるサムスンの低迷と、建築業界の低迷、インフラ企業の負債が主な原因となっている。
しかしこれ以外にも、大手企業と中小企業の賃金格差の拡大や雇用の偏り、今後半導体やバッテリーなどの技術者が不足していく事がほぼ確実になったことなど、様々な不安要素が影響している。
このような経緯から、現在韓国は何とかして日本に寄りかかろうとしているが、「どちらが上か下か」が人間関係の基本である韓国との間では、台湾などと同じような協力関係は築けそうにもない。
※本文中のリンクは引用の元記事、或いはウェブアーカイブやウェブ魚拓(別サイト)へのリンクです。
以下から本文
1:韓国経済の低迷
まずはこちらの記事から
サムスン電子、15年ぶり「営業利益1位」から後退か…起亜・ヒョンデが有力
ⓒ 中央日報/中央日報日本語版2023.11.16 14:42
https://japanese.joins.com/JArticle/311523
サムスン電子が2009年以来14年ぶりに「国内上場企業営業利益1位」を明け渡す可能性が高まった。子会社を除いた
サムスン電子の財務諸表基準で今年は7-9月期までの営業赤字が10兆ウォンに迫り、残りの10-12月期を勘案しても2位企業との差が大きいからだ。
企業分析機関の韓国CXO研究所が16日に発表した「1996年-2022年の27年間、国内上場企業営業利益1位変動現況」によると、1996年の営業利益1位は韓国電力公社(韓電)で1兆6267億ウォンだった。しかしサムスン電子は1997年(2兆8562億ウォン)からグローバル金融危機前の2007年まで営業利益トップを維持した。2008年のグローバル金融危機当時の営業利益1位はポスコホールディングス(旧ポスコ)だった。
サムスン電子は2012年に初めて営業利益10兆ウォン時代(12兆168億ウォン)を開いた。その後、2013年には国内企業で初めて営業利益20兆ウォンを、17年には30兆ウォンを、18年には40兆ウォンを超えた。最近も2020年が20兆5189億ウォン、21年が31兆9931億ウォン、22年が25兆3193億ウォンなど毎年20兆-30兆ウォン台の営業利益で1位を守ってきた。
しかし今年は主力の半導体事業の悪化で1-9月の累積営業赤字が9兆7748億ウォン(約1兆1360億円)にのぼる。これは1996年以降のサムスン電子の業績のうち最も低調だ。1-9月の営業赤字だけをみると、国内上場企業のうち最下位圏に入る。
(後略)
参考記事
サムスン営業益85%減 23年通期、半導体市況は回復へ
日経新聞 2024年1月9日
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGM083KN0Y4A100C2000000/
サムスン電子、成果給で悲喜…「チームギャラクシー」75%、ファウンドリー0%
ⓒ 中央日報/中央日報日本語版2023.12.21 08:53
https://japanese.joins.com/JArticle/312966
こちらの2023年の記事にあるように、サムスンの営業利益が8割も減少し、現代に韓国国内上場企業営業利益1位の座を譲ったという記事です。
その原因として、半導体事業の低迷が挙げられており、代わりに現代グループが1位になるとしていますが、現代も一応利益を増やしてはいますが、サムスンの低迷で相対的に順位が上がったという要素の方が強いです。
このサムスンの低迷がなぜ問題かといえば
韓国の大企業64グループの売り上げはGDPの84%だが…雇用影響力はわずか10%
ハンギョレ新聞 2020-06-12
http://japan.hani.co.kr/arti/economy/36922.html
(一部抜粋)
一方、64グループの中で最大の売り上げを得たグループは
サムスンで、昨年は314兆ウォン(約28兆円)の売り上げを記録し、
GDPの19.4%を占めた。それに続き、
現代自動車が11.5%(185兆ウォン、約16兆円)、SKが10%(161兆ウォン、約14兆円)の順だった。純利益も
サムスンが最も多かった。64グループの昨年の純利益は計57兆ウォン(約5兆円)で、このうち
サムスンが34.3%(19兆ウォン、約1兆7000億円)を占めた。
2020年の記事なのですが、韓国のGDPにおけるサムスンの割合が2割近くに達しており、現代グループが売り上げを伸ばしたところで、サムスンの低迷による影響を吸収しきれないからです。
また韓国には他にも景気に関して不安要素があり
韓国、建設会社844社・仲介業者月1000社が廃業(1)
ⓒ 中央日報/中央日報日本語版2024.03.14 09:52
https://japanese.joins.com/JArticle/316187
2022年からの急な利上げに触発された不動産沈滞が2年近く続き、建設・不動産業全般に暗い影を落としている。高
金利と不動産プロジェクト
ファイナンス(PF)不良化の懸念で建設現場に資金が回らない
流動性悪化が激しくなり、不動産開発業者から建設会社、下請け業者などに危機が広がっている。
13日、釜山(プサン)のあるマンション建設現場。ここで3カ月間にわたり作業員向け食堂で昼食を作っていたという女性は「5000万ウォンの売掛金がたまっているが回収できるか不透明」と涙を流した。通常の作業員向け食堂は工事を行う複数の下請け業者が食事代を渡すが、これら企業も工事を総括する建設会社から工事費を受け取れずにいるために起きていることだ。下請け業者関係者は「われわれも作業員の月給を払えていないのに建設会社は待ってくれとばかり言う」としてため息をついた。
毎日のように地方の有力建設会社が倒産するかと思えば建設業の賃金未払いも急増している。住宅取引が急減し廃業する不動産仲介業者が全国的に毎月1000社以上出ている実情だ。
国土交通部によると、今年に入り13日までで建設会社の廃業申告件数は844件と集計された。前年同期の751件より11%ほど増え、同期間基準ではこの10年で最多だ。資金難に耐えられず不渡り処理された地方の建設会社も今年に入り6社に上った。昨年1~3月の3社と比べ2倍に増えた。
慶尚南道(キョンサンナムド)のある不動産開発業者代表は「3年前の不動産好況時に高値で土地を買いマンションを作ったが、よりによって金利が上昇して物価が高騰する状況を迎えた。売れ残りが続出し資金回収ができないため倒産する企業が1社や2社ではない」と話す。その上で「開発会社や建設会社が倒産すれば結局下請け企業にまで不良が及ぶ。互いに密接に関連しており建設業全体が連鎖的に崖っぷちに追いやられる雰囲気」と伝えた。
不動産事業は大きく開発会社が土地取得から施工・竣工に至る全過程を管理し、建設会社は開発会社から工事を受注して下請け企業とともに工事を進める構造だ。開発会社は不動産開発費用の大部分を金融会社から借り入れており、これが不動産プロジェクトファイナンス(PF)だ。だが高金利状況では不動産市場が低迷し、売れ残りの可能性が大きくなりそれだけ資金回収が難しくなる。金融会社も事業リスクが大きくなれば満期延長を敬遠することになり、事業者はさらに流動性悪化が深刻化する悪循環に陥ることになる。
1月基準で全国の売れ残り6万3755戸の約85%に当たる5万3595世帯が地方に集中している。主に首都圏にマンションを作る大手建設会社は独自に緊縮し持ちこたえる体力が残っているが、売れ残りを抱え込んだ地方の中小建設会社で不渡りや廃業が相次いでいる理由だ。
(後略)
こちらにあるように、中国ほどではないにせよ韓国でも不動産の不良債権問題が発生しており、資金回収のできなくなった不動産仲介業者や建築会社で、中小を中心に倒産が相次いでおり、これも韓国の景気低迷に拍車をかけています。
また次の事例では
「負債250兆ウォン」の韓電とガス公社、昨年に利息で6兆ウォンを支出
東亜日報 March. 04, 2024
https://www.donga.com/jp/List/article/all/20240304/4786663/1
韓国電力公社と
韓国ガス公社の負債が計250兆ウォンに迫り、昨年支出した利息費用が6兆ウォンに達したことが分かった。
3日、エネルギー業界によると、昨年末基準の負債が、韓電は202兆4000億ウォン、ガス公社は47兆4000億ウォンと集計された。韓電の負債は1年前(192兆8000億ウォン)より9兆6000億ウォンが増え、ガス公社の負債は1年前(52兆ウォン)より4兆6000億ウォンが減った。
昨年、両社の利息費用は、1年前より2兆3000億ウォン増の6兆ウォンと集計され、史上最高値を記録した。昨年の利息費用は韓電が4兆4000億ウォン、ガス公社が1兆6000億ウォンで、1年前よりそれぞれ57%と75%が増えた。両社の利息費用が急増したのは、国際エネルギー価格が高騰した2021年と2022年に積もった数十兆ウォン台の累積赤字がそのまま残っている状況で、金利まで上がった結果と解説される。
数回の電気料金の引き上げで、韓電は昨年第3四半期(7~10月)からは営業利益を上げ始めている。しかし、昨年全体で見れば、依然として4兆6000億ウォンの営業損失を出しており、韓電は韓電債の発行などで21兆6000億ウォンを借り入れた。
韓電と違って、ガス料金がまだ原価に及ばないガス公社は、解決策作りがさらに難しい状況となっている。ガス公社は昨年、1兆5000億ウォンの営業利益を上げたと公示したが、会計構造を考慮すれば、実際は大幅な赤字を出している。
ガス公社は、原価に及ばない価格でガスを供給後、原価と供給価格の差額を一種の「売掛金」に該当する未収金として処理しているが、昨年末基準の未収金は15兆8000億ウォンで1年前より3兆8000億ウォンが増加した。
韓国の電力公社とガス公社が膨大な赤字を抱えているという記事なのですが、これには2つの理由があり、1つ目は文政権が強引に原発の稼働を停止したため、火力発電の比率が上がり石油やガスの高騰も相まって大幅な赤字を出したというものです。
そしてもう一つは、韓国では元々企業が利益を出すために、企業向け電気料金をかなり低く抑えていたため元々利益率が低く、これが悪影響を与えたというものです。
特にこの件が問題なのは、インフラ企業を安易につぶすわけにもいかず、かといって負債を減らすために大幅に電気料金を上げれば、半導体製造で大電力を必要とするサムスンに更なるダメージとなり、それは韓国のGDPに直接的な影響を与えることになります。
このように、韓国では景気の悪化が顕在化してきているわけですが、ここまでは日本のいくつかのメディアでも報じられています。
2:あまり知られていない問題
そしてここからは、韓国では問題として記事になっているが、日本ではあまり触れられていない問題です。
次によると
20年前はほぼ半分だったのに…韓国の賃金水準、日本を上回る
朝鮮日報 2024/03/18
https://www.chosunonline.com/site/data/html_dir/2024/03/18/2024031880038.html
(一部抜粋)
大企業と中小企業の賃金格差は韓国の方が大きかった。大企業の賃金を100とした場合、中小企業の賃金は韓国では2002年の70.4から22年は57.7へとその差がさらに広がった。同じ期間に日本は64.2から73.7と大企業との格差は縮小した。相対的に見て韓国は大企業、日本は中小企業の賃金がより上昇したことが分かる。
韓国経営者総協会は「日本と違い韓国では大企業で大幅な賃金上昇が続き、その結果、中小企業との賃金格差が一層広がったため賃金の二重構造がさらに固定化した。これは社会的葛藤をもたらしている」とした上で「賃金が高い水準にある大企業は賃金の引き上げを可能な限り自制し、若者の雇用拡大と中小の協力会社の経営環境改善に努力すべきだ」と指摘した。
日本でもよく記事になっている「韓国人の給与が日本人を超えた」という内容なのですが、後半に興味深い事が書かれており、韓国では大企業と中小企業の賃金格差が非常に大きく、「賃金が高い水準にある大企業は賃金の引き上げを可能な限り自制し、若者の雇用拡大と中小の協力会社の経営環境改善に努力すべきだ」と書かれています。
これが今韓国では非常に大きな問題となっており、
韓国の大企業雇用の割合OECDで最低…これが入試競争と少子化を招いた
ⓒ 中央日報/中央日報日本語版2024.02.28 10:17
https://japanese.joins.com/JArticle/315559
(一部抜粋)
韓国開発研究院(KDI)のコ・ヨンソン研究副院長は27日、「より多くの大企業雇用が必要だ」という報告書を出した。報告書によると2021年の韓国の従業員250人以上の企業の雇用の割合は13.9%で、関連統計がある
経済協力開発機構(
OECD)加盟32カ国のうち最も低いことがわかった。大企業が雇用全体で占める割合をみると、
OECD平均は32.2%だ。韓国は主に従業員300人を基準として大企業と中小企業を区分するが、
OECDは250人を基準とする。
いわゆる先進国と比較すると韓国の大企業雇用の割合は極度に低かった。米国が57.7%で最も高く、フランスが47.2%、英国が46.4%、日本が40.9%と40%を超えた。
事業者の規模による賃金格差も大きい。2022年に従業員5~9人の事業者の賃金は300人以上の事業者の54%にすぎなかった。従業員100~299人の中堅企業級事業者もやはり71%水準にとどまった。
大企業という良質の雇用が制限され過度な入試競争と深刻な少子化現象を呼んだ。4年制一般大学を入学生の修能試験の成績により5分位に分け、下位20%の1分位から上位20%の5分位の大学卒業生の平均賃金を年齢帯別に計算した結果も公開した。5分位大学卒業者の賃金は1分位と比較して25~29歳では25%高かったが、40~44歳では51%まで格差が広がった。
上位圏の大学卒業者は大企業就業、長期勤続など有利に賃金格差を広げたことがわかった。限定的な雇用を占めるための競争が大学進学前から始まり私教育の過熱まで呼んだ。建国(コングク)大学経営学科のユン・ドンヨル教授は「大企業と中小企業の格差があまりにも大きい上に労働柔軟性が確保されていないため最初の職場が事実上一生の賃金を決める構造」と話した。
関連記事
少子化の一因は大企業の雇用不足? 大企業が雇用全体に占める割合、韓国はOECD最下位
朝鮮日報 2024/03/04
https://www.chosunonline.com/site/data/html_dir/2024/02/28/2024022880149.html
大企業の雇用は全雇用者の14%で「OECD最下位」、KDIが分析
東亜日報 February. 28, 2024
https://www.donga.com/jp/List/article/all/20240228/4777036/1
韓国では大企業の雇用率が13.9%とOECD中で最も低く、他国は「米国が57.7%で最も高く、フランスが47.2%、英国が46.4%、日本が40.9%と40%を超えた」と書かれています。
先ほどの記事では韓国の中小企業は大企業の6割程度の賃金水準という事もあり、「大企業と中小企業の格差があまりにも大きい上に労働柔軟性が確保されていないため最初の職場が事実上一生の賃金を決める構造」となっており、子供の私教育の増大を招き、これが少子化に悪影響を与えているとしています。
また次を読むと
33歳「新入社員」増加…就職モラトリアムが作り出した非効率社会=韓国(1)
ⓒ 中央日報/中央日報日本語版2024.01.29 15:24
https://japanese.joins.com/JArticle/314376
京畿道
安山市(
キョンギド・アンサンシ)のある中小機械・工具メーカーは最近3年間、新入社員募集風景が変わった。合格した社員を見ると、過去は満28歳以下の志願者がほとんどだったが、最近では満33歳前後の新入社員がかなり増えたためだ。一時実務部署長が30代の新入社員を敬遠してしていたが、今では当然のように考える。ソウルにある食品メーカー中小企業人事チーム関係者は「ここ数年間、30代の志願率がはるかに高まり、むしろ20代半ばの志願者の履歴書を見ると、先に不思議に思うようになった」とし「大企業を志願していたか、国家試験の準備を長くしていたものの失敗して歳を重ねて新入社員として入ってくる場合が増えた」と述べた。
2008年金融危機以降、本格化した「猶予世代(Delayed Generaion)」増加現象は国家経済・産業構造にも影響を及ぼしている。特に青年層の労働市場進入が遅れて社会的費用が発生し、結婚・出産の猶予および放棄で少子化が加速するなど国家的に社会・経済的非効率が高まっているという指摘が出ている。
◇雇用ミスマッチ、労働市場の供給空白で
まずは青年層の大卒・就職猶予は「雇用ミスマッチ(需要・供給間の不均衡)」と結びつき、労働市場の供給空白につながりかねないと専門家は指摘する。相対的に高級人材は卒業・就職を先送りして大企業などの事務職や専門職、公務員試験に集まり、労働市場の「扉」の前で長期間待機する。中小企業では若く能力のある就業者を集めるのが困難になり、労働供給空白がますます深まる傾向だ。2022年職種別事業体労働力調査によると、事業体別の不足人員は合計60万5000人に達した。職種別には製造業(6.5%)、金属・材料設置・整備生産業(6.1%)、食品加工・生産業(5.5%)など製造・生産分野で顕著であることが分かった。
雇用需給不均衡による労働供給問題が国家競争力の低下につながりかねない。中央(チュンアン)大学社会学科のイ・ビョンフン名誉教授は「いわゆる『移行世代』である青年層が卒業を猶予して労働市場の新陳代謝を遅らせている」とし「中小企業が相対的に高齢人材で耐えているとすると、長期的に企業そのものはもちろん、経済基盤全体にダメージを与えることができる」と指摘した。韓国労働研究院のキム・ユビン研究員は「青年雇用改善のための政策課題報告書(2022年)」で「従事者の規模、あるいは雇用形態などに伴う労働条件の格差が大きくなり、労働市場に進入するための青年層の雇用競争とミスマッチが深まっている」とし「これに伴い、青年層の労働市場進入が遅れ、離職・退職が頻繁に発生することが青年問題の核心になった」と分析した。
特に高齢化問題と結びつく場合、労働市場の供給非効率問題はさらに深刻化する展望だ。全体経済活動人口のうち比較的長く、効率的に働ける若年層の比重がますます小さくなるためだ。統計庁によると、全体人口を年齢別に並べてみると、中間に該当する中位年齢は1997年30歳から今年46.1歳に高くなった。労働市場で若手人材プールの比率が減っているといえる。高麗(コリョ)大学経済学科のカン・ソンジン教授は「高齢化は少子化問題と結びついて福祉支出の負担増加につながり、これは国家成長潜在力の弱化につながる恐れがある」とし「特に経済生産性部門に対する支出余力が弱くなるのが深刻な問題」と話した。
韓国では若者の就職口も減っているわけですが、それに加えて先ほど挙げた大企業の雇用率や賃金格差の問題などもあり、希望する職場に就職できるまで「待機する」20代が増えた結果、韓国では「30代の新入社員」が増加するという現象が起きているようなのです。
しかも格差の問題から中小企業に就職する若者が減り、中小企業の高齢化が深刻化しているとも書かれています。
そして記事では、年々悪化していく少子高齢化と相まって「国家成長潜在力の弱化につながる恐れがある」と書かれています。
そして韓国経済の問題はまだあり
医学部はもちろん他の理工系にも押された先端学科、韓国に未来はあるか
東亜日報 September. 19, 2023
https://www.donga.com/jp/List/article/all/20230919/4437931/1
(前略)
随時募集の医学部への偏好現象は、今年も合格者発表後、医学部に向かって大々的な離脱行列が続くことを知らせる前触れだ。昨年の入試では、「SKY(ソウル大、高麗大、延世大)」大学の定時合格者10人中3人が登録をあきらめた。延世(ヨンセ)大学と漢陽(ハンヤン)大学の
半導体関連学科は、1次合格者全員が登録を諦める事態になった。その大半が医学部に詰め掛けたものとみられる。政府が
半導体人材の養成を国政課題とし、大々的な支援を発表したにもかかわらず、先端学科がそっぽを向かれる現象が解消されていない。KAISTを含めて国家から支援を受ける5つの科学技術特性化大学で、この5年間で1105人が自主退学したが、彼らも多くが医学部に移動した可能性が高いという。
医学部への嵐による人材育成の不均衡は、国家競争力に悪影響を与えている。政府の試算によると、今後10年間、半導体ディスプレイやバッテリー、バイオなどの先端分野の人材需要は32万人だ。しかし、韓国国内の優秀な人材は海外企業から引き抜かれ、彼らに次ぐ新進人材は先端分野に魅力を感じていない。医学部内でも学科間の偏り現象が深刻だ。大きく成長した製薬会社一つが、国家経済の成長率を2倍に引き上げる世の中だが、医科学にはそっぽを向いたまま、患者を見る臨床だけに集中し、臨床の中でも金になる皮膚科と整形外科のみが志願の対象となる。
政府は医学部の定員を増やせば、医学部への偏好が緩和されるものと期待しているが、むしろより多くの学生が集まる可能性もある。ソウルの最上位圏の大学で博士号を取得し、海外の大学で博士号を取った後、国内大手半導体の研究員として就職しなければ、手取り1億ウォン以上を稼ぐことは難しいという。医者の年収の半分にも満たない。医師は免許を持っているが、理工系は50代前半に引退すれば、さらに途方に暮れることになる。基礎科学と先端分野の人材にふさわしい補償を行い、研究インフラも拡充しなければならない。最高の頭脳がすべて美容医学だけに飛びつく国に何の未来があるのだろうか。
現在、韓国では優秀な学生ほど医学部へ向かうという状況が続いており、それに比例して半導体ディスプレイやバッテリー、バイオなどの先端分野の人材需要に対し不足傾向にあり、これも今後韓国の競争力に悪影響を与えることがほぼ確実となってきています。
この背景には、最初の方で引用したサムスンの低迷などのこともあり、そうした分野に魅力を感じていない事と、韓国の大企業は定年が非常に早く、中には40代で定年にされてしまう場合も多い事から、医師や公務員のように早い定年の不安のない職業に人材が集まった結果のようです。
またこうした人材難が既に影響を与えている分野も出てきており
Kバッテリー人材難、「専門家不足でユーチューブを参照」
東亜日報 February. 15, 2024
https://www.donga.com/jp/List/article/all/20240215/4748764/1
(一部抜粋)
この会社の研究員は、「
フォームファクタの開発初期は、米国のバッテリー関連学科の研究室がアップロードした開発過程のユーチューブ映像を見て真似したこともあった」とし、「
半導体や自動車のように海外が先導していた産業とは違って、バッテリー分野はベンチマーキングする先行技術さえないのに専攻人材も指で数える水準なので、途方に暮れる時が多い」と話した。
グローバル電気自動車市場をリードしている「Kバッテリー」が、人材難に苦しんでいる。これまでは韓国企業がグローバルバッテリー産業の初期成長期をリードしてきたが、高級人材なしには未来市場で競争力を維持するのが難しいためだ。一方、最大のライバル国である中国は、政府の全面的な支援に支えられ、専門人材を大規模に投入している。
14日、政府と傘下機関が昨年末に行った「国内バッテリー業界の人材実態調査」によると、2022年末現在、韓国のバッテリーメーカー3社と素材など全体業界でR&Dの主要柱である修士・博士人材は、約9400人に過ぎなかった。企業の需要に比べて、約700人が足りない状況だ。韓国のバッテリー業界のR&D人材に関する調査は初めて。
比較的韓国で好調とされているバッテリー分野では、既に専門家不足が始まっており、記事では「フォームファクタ※の開発初期は、米国のバッテリー関連学科の研究室がアップロードした開発過程のユーチューブ映像を見て真似したこともあった」という状況まで起きているようなのです。
※フォームファクタ
ハードウェアの形状や大きさを決定する要因となるものの総称
このように、現在の韓国では大企業と中小企業の不均衡や、それに伴う20代の就職難、上位人材の医学部偏重、技術者不足など、まだ不景気の入り口に差し掛かったばかりであるにも関わらず、今後10年20年先に大きな弊害となりそうな問題が次々と発生してきているのです。
3:共存ができない
今回紹介したように韓国の問題は、今現在の問題よりも、10年、20年、30年先という未来に大きな問題となるような要素が非常に大きく、現在の景気低迷はほんの入り口に過ぎないという事が分かります。
このことは韓国政府も企業も十分わかっているため、なんとかしようとしているのですが、その解決方法は「日本に寄りかかる事」です。
例えば次を読むと
韓日経済団体がソウルでセミナー 「少子化・地方消滅克服」取り組み紹介へ
聯合ニュース 2024.03.23
https://jp.yna.co.kr/view/AJP20240322002700882
【ソウル
聯合ニュース】韓国経済団体の韓国経済人協会(韓経協)は22日、ソウル・汝矣島のFKIタワーで28日に
セミナー「
少子化と地方消滅克服のための企業の役割:韓日経験と比較」を開催すると発表した。
日本の経団連のシンクタンク、21世紀政策研究所と共催するこのセミナーは、少子化の克服と地域活性化のための両国企業の経営事例と政策を比較し、政策への提言を示すために開かれる。
増田幹人・駒沢大教授(経済学)と韓経協傘下のシンクタンク、韓国経済研究院の劉鎮声(ユ・ジンソン)首席研究委員が韓日両国の少子化と地方消滅の現状を報告する。
今回引用した事例からもわかるように、「少子化」といっても日本と韓国ではその背景に大きな違いがあるわけですが、それでも韓国は日本に寄りかかろうとしています。
また次の事例では
韓国政府 韓米日財務相会合の開催「協議中」=米で来月か
聯合ニュース 2024.03.10
https://jp.yna.co.kr/view/AJP20240310000700882
【ソウル
聯合ニュース】韓国企画財政部は10日に出した報道資料で、韓米日
財務相会合について「開催時期と場所、議題を3カ国が協議している」としたうえで、決定したものはないと伝えた。
開催時期を巡っては3カ国の財務相が集まる4月の国際通貨基金(IMF)・世界銀行の春季総会か、10月のIMF・世界銀行総会になる見通しだ。いずれも米ワシントンで開かれる。
来月の開催が有力視されているが、鍵は議題となる。経済協力の強化という原則的なレベルを超えて具体的な合意がなされるかに注目が集まる。外国為替市場での協力策などが取り扱われる可能性がある。
韓米日は昨年8月の首脳会談で、3カ国財務相による閣僚会合を定期的に開くことを決めた。
関連記事
米国「同盟国の半導体装備部品、対中輸出統制も米国水準にならなければ」
ⓒ 中央日報/中央日報日本語版2024.03.22 11:11
https://japanese.joins.com/JArticle/316541
恐らく日本やアメリカとしては、関連記事にもあるように、対中包囲網に関連した問題を話し合いたいのでしょうが、韓国側は「経済協力の強化という原則的なレベルを超えて具体的な合意がなされるかに注目が集まる」と、実質的な日米による韓国への経済支援のことばかりを期待しています。
また次の記事を読むと
台湾+日本「半導体密着」…韓国と戦略的研究開発の友になる可能性
ⓒ 中央日報/中央日報日本語版2024.03.26 07:09
https://japanese.joins.com/JArticle/316633
(一部抜粋)
きょうのライバルはあすの友になるだろうか。これまで
半導体産業で激しく競争してきた韓日と台湾が世界的
半導体供給網再編の中で関係を再確立する必要性が提起された。米国の対中規制と中国の空襲という巨大な高波の前に、「韓国のメ
モリー、日本の材料、台湾の製造」が意気投合する可能性だ。
(中略)
◇韓国「3カ国研究開発協力」提案
台湾と日本の密着とは違い、フォーラム全般的に韓国と協力に対する言及は少なかった。韓国が世界のメモリー半導体市場の60%以上を占め、ファウンドリーではサムスン電子がTSMCに次ぐ2位であるだけに、ライバルと見る雰囲気だった。
この日講演に立った13人のうち、韓国人は『半導体三国志』の著者である成均館(ソンギュングァン)大学化学工学部のクォン・ソクチュン教授が唯一だった。クォン教授は「韓国・台湾・日本が研究開発オープンプラットフォームを作って長期的に技術協力をすべき」と提案した。欧州は半導体生産能力が少ないが、ベルギー・フランス・オランダの3カ国が共同設立した半導体研究所のIMECがASMLの次世代極端紫外線(EUV)露光装備開発とテストを専門的に担当し業界に影響を及ぼしている。このように東アジア3カ国も「戦略的友人」としてまとまるべきという主張だ。
クォン教授は、半導体がすでに技術的・物理的限界に到達しており、AI用半導体革新が至急で、すでに半導体ファブの消費電力・費用が高まったので3カ国の協力の必要性が大きいと説明した。
楊教授も「いま韓国とは率直に協力より競争関係」としながらも、「韓国はメモリー半導体強国で、AI時代にはメモリーとロジックともに必要なため協力する時代がくるかもしれない」と話した。
ご存じのように日本と台湾は半導体で協力関係を構築したわけですが、そこに韓国が「韓国のメモリー、日本の材料、台湾の製造が意気投合する」可能性があると主張しだしていますが、記事を読む限りでは韓国側がそう言っているだけで、日本と台湾は乗り気のようには見えません。
こうした事例からもわかるように、とにかく韓国は「日本が何とかしてほしい」という態度なのですが、そもそも台湾と違って韓国との共存というのはかなり難しいのが現状です。
徹底した序列社会の韓国では、人間関係の基本は「どちらが上か下か」であり、序列の高い側の総取りが普通であるため、序列の下位者は「そのおこぼれをもらう」というのが一般的な構造です。
そのため、彼らとの間では対等な付き合いというものが構築し難いという特徴があり、現在日本と台湾が行っているような、「対等な共存関係」というのはほぼ不可能です。
また、ジャンルは違いますが彼らの考え方を知るのにいい情報として次が挙げられます
「アジアのベスト50レストラン」授賞式が韓国初開催 ソウル市長「Kフードのトレンド開花」
聯合ニュース 2024.03.26
https://jp.yna.co.kr/view/AJP20240326003700882
(一部抜粋)
その上で「もし世界に寿司よりもプルコギを思い浮かべる人が多くなれば、ソウルを訪れる観光客の数が東京を上回るのではないかと期待する」とつづった。
全体としては韓国料理の普及に関する記事なのですが、最後に「もし世界に寿司よりもプルコギを思い浮かべる人が多くなれば、ソウルを訪れる観光客の数が東京を上回るのではないかと期待する」と書かれています。
彼らの思考では、「日本の評価と成果を自分達の評価と成果で上書きする」という発想なのです。
価値観の違いを考慮しないままの関係では、日本側がいくら対等のつもりで支援をしても、いずれ寝首を掻かれることになります。
これでは韓国の経済がいくら苦しかろうと、安易に協力の手を差し伸べるわけにはいきません。
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