さて、本日は韓国における「約束」の概念に関連した、最近の事例を扱っていきます。
初めて来られた方はまずこちらを先に読む事をお勧めします。
ブログ『日韓問題(初心者向け)』を始めた理由 - 日韓問題(初心者向け)
注意
・このブログは「日韓の価値観の違い」を初心者向けに扱っています
・当ブログのスタンスは「価値観に善悪や優劣は存在しない」というものです
・相手が不法を働いているからと、こちらが不法をして良い理由にはなりません
・自身の常識が相手にとっても常識とは限りません、「他者がそれを見たらどう思うか」という客観性を常に持ちましょう
・日常生活で注意する程度には言動に注意を心がけてください
一連の福島原発処理水問題や、韓国海軍レーダー照射事件に関連した最近の日韓の協議のなかで、情報を時系列でまとめると韓国側が交渉過程で約束破りをしている痕跡が見られ、日本側がまた安易に韓国側を信じてしまっていると疑われる部分がある。
以前から説明しているように、韓国では約束破りは日常であり、そのことで頻繁にトラブルも起きているが、元々社会的な信用を構築して成り立っている社会ではないので、それが大きく問題になるわけではないという背景がある。
またここで重要なのが、日本などでは約束が何らかの形での交渉の「結果」なのに対し、韓国では約束は交渉の「スタート地点」と認識される場合が多く、そのため「その当時はそういったが、今は別の事情ができた」といって約束破りをすることが多く、韓国と交渉をする場合にはこの件を踏まえた交渉が必須になる。
※本文中のリンクは引用の元記事、或いはウェブアーカイブやウェブ魚拓(別サイト)へのリンクです。
以下から本文
1:韓国を安易に信じすぎ?
まずはこちらの記事から
「汚染水」の表現 政府「不安をあおる用語は避けるべき」
KBS 2023-06-23
http://world.kbs.co.kr/service/news_view.htm?lang=j&Seq_Code=85792
東京電力福島第一原発にたまる汚染処理水について、韓国国内では「汚染水」という表現が使われていることについて、韓国政府は22日、「国民に漠然とした不安を感じさせる用語は使わない方が良いだろう」という見解を示しました。
国務調整室の朴購然(パク・グヨン)第1次長は、22日の汚染処理水関連の定例会見で、ALPS(アルプス)と呼ばれる多核種除去設備で処理されたあと放出される水を「汚染水」と呼ぶべきか、日本や欧米のように「処理水」と呼ぶべきかを問われ、「いまは用語の問題で論争を起こすより、科学的に安全かを検証すべきだ」と答えました。
朴次長はまた、「国際的な状況を踏まえ、ふさわしい用語を考えるべきだが、いまは適当なタイミングではない」と話し、用語をめぐる不要な論争に釘を差しました。
朴次長はさらに、「『汚染水』という表現が、漁業関係者に与える否定的なイメージを考えれば、変えた方が良いかも知れない」と話しました。
会見では、最大野党「共に
民主党」などが
IAEA=
国際原子力機関による検証の信頼性に疑問を呈していることに対して、
IAEAの元幹部の韓必洙(ハン・ピルス)氏が出席し、記者団の質問に答えました。
韓氏は、汚染処理水の正しい表現について、「異論の余地なく『処理水』だ」と強調しました。
今月23日の韓国公共放送「KBS」のニュースなのですが、このなかで韓国政府が福島原発処理水に関して、「国民に漠然とした不安を感じさせる用語(汚染水等)は使わない方が良いだろう」とコメントしています。
しかしその後「日本や欧米のように「処理水」と呼ぶべきか」と聞かれると、「国際的な状況を踏まえ、ふさわしい用語を考えるべきだが、いまは適当なタイミングではない」といって逃げてしまっています。
この件なのですが、まず以下にあるように
韓国水産業界 福島汚染水の偽ニュースに対応へ=通報受け付け
聯合ニュース 2023.06.26
https://jp.yna.co.kr/view/AJP20230626003400882
【ソウル
聯合ニュース】韓国の
水産物生産者団体、流通団体、消費者団体などが参加する「韓国産
水産物を守る運動本部」は26日、
東京電力福島第1
原発の処理済み汚染水海洋放出に関連した
フェイクニュースに対応するため、通報を受け付けるセンターを27日から運用すると発表した。
水協(水産業協同組合)中央会のウェブサイトにフォームを設置し、虚偽や誇張が疑われる汚染水に関するニュースなどについて、国民からの通報を受け付けるという。
受け付けた情報は専門家や政府機関などの検証を経て、必要に応じて損害賠償を請求するほか、言論仲裁委員会に被害回復のための申し立てを行う予定だ。
運動本部は水協中央会を中心に生産者団体、漁業者団体、流通団体、消費者団体などで構成されている。
韓国最大野党「共に民主党」が行っているデマ扇動が原因で、韓国内で水産物の買い控えや塩の買いだめ、それに関連した詐欺などが横行し始め、この混乱への対処が必要になったからという背景があります。
またもう一つ、恐らくですが一連の日韓の様々な関係改善過程において、日本側の歩み寄りの条件の一つとして「汚染水という呼び名」をやめるよう要求した可能性が高いです。
なぜかというと、それまで韓国側は「汚染水」という呼称自体を問題視していなかったにも関わらず、突然こういった話が出てきたこと、「デマ対応」自体は名称を変えなくとも可能である事、ここ1カ月ほどの、日韓の間で様々な形で対話や協議が行われ、進展が多数ある中で出てきた事などが挙げられます。
つまり、日本側から提示された条件のうちの一つであった可能性が高いわけです。
しかし最初の記事にあるように、韓国側は呼称を問題視しながら呼称の変更自体には二の足を踏むという矛盾した態度をとっており、日本側とした約束を反故にした結果なのではないかという疑いがあるわけです。
また次の事例では
文政府「日本哨戒機に追跡レーダー照射しろ」…事実上の交戦指針(1)
ⓒ 中央日報/中央日報日本語版2022.08.18 07:06
https://japanese.joins.com/JArticle/294476
文在寅(
ムン・ジェイン)政府で、軍当局が低い高度で近接飛行する
日本海上哨戒機に対して現場指揮官が追跡レーダーを照射するなど積極的に対応するよう指示をする指針を作っていたことが確認された。2018年12月~2019年1月、相次ぐ
日本海上哨戒機低空威嚇飛行に伴う措置だった。追跡レーダーの照射は艦砲やミサイル攻撃の意志を伝えるものだ。ところでこの指針は韓国
防空識別圏(KADIZ)を絶えず無断進入する中国や領空を侵したロシアには適用されない。そのため公海で唯一日本との交戦は辞さないという趣旨となる。
17日、与党「国民の力」の申源湜(シン・ウォンシク)議員によると、2019年2月軍当局は「日哨戒機対応指針」を海軍に通達した。これはその年1月に作成した「第三国航空機対応指針」とは別途の指針だ。
「第三国航空機対応指針」は公海で第三国の航空機が味方艦艇に近づいた場合、段階的に対応するよう指示する内容を含んでいる。第三国航空機が1500フィート(約457メートル)以下に降りてきて近くまで接近すれば、味方艦艇は相互を識別した後、通信で警告するなどの4段階の手続きに従って行動するよう定めている。1次警告が通じなければさらに強硬な内容のメッセージを2次として発信しなければならない。
ところで「日航空機対応指針」は「第三国航空機対応指針」と比べると、1段階さらに追加された5段階となっている。日本軍用機が2次警告通信にも応じず近距離を飛行した場合、「追跡レーダー照射」で対抗するように規定した。追跡レーダーは艦艇で艦砲やミサイルを狙うために標的の方向や距離、高度を測定するレーダーだ。射撃統制レーダーと称したり、日本では火気管制レーダーとしても使う。
追跡レーダーを稼働し、レーダービームを航空機に照射するのは攻撃する意志があると相手に伝える行為だ。当初、日本海上哨戒機低空威嚇飛行を巡る韓日間の葛藤も追跡レーダーから始まった。
日本海上自衛隊の海上哨戒機「P-1」が2018年12月20日、独島(トクド、日本名・竹島)北東160キロメートルの海上で韓国海軍の3900トン級駆逐艦「広開土大王」に高度150メートル・500メートルの距離まで近づいて飛行した。海上哨戒機の速度を勘案すると、当時の高度と距離は広開土大王に対して威嚇的だったという評価だ。これに関連して日本側は海軍広開土大王艦が先に追跡レーダーを照射したと主張した。しかし軍当局の調査結果、当時広開土大王の追跡レーダー「STIR 180」は稼働していなかった。
その後、日本は2019年1月に3回にわたり海軍艦艇上に海上哨戒機を飛行させ、これによって両国関係が急激に悪化した。
問題は軍当局が日本海上哨戒機に対して「追跡レーダー照射」段階を規定したことに加え、現場指揮官が自衛権次元でこれを決定できるようにしていた点だ。「慎重に実施せよ」という条件を付けたが、一歩間違えれば武力衝突につながりかねない権限を現場指揮官に委ねたといえる。
キム・ジンヒョン前合同参謀本部戦略部長(予備役海軍少将)は「日本は我々と政治的葛藤はあったが、軍事的衝突にまで続いたことはなく、事実上安保分野では協力する国」とし「日本が攻撃する可能性が高くないにもかかわらず指揮部が曖昧な命令で艦長に軍事的衝突を起こしかねない行動を委ねたのはやり過ぎ」と指摘した。
文政府「日本哨戒機に追跡レーダー照射しろ」…事実上の交戦指針(2)
ⓒ 中央日報/中央日報日本語版2022.08.18 07:08
https://japanese.joins.com/JArticle/294477
また「日航空機対応指針」が日本を韓国の軍事管轄権に対して友好的ではない中国・ロシアよりも強硬に扱っている点が問題だという指摘もある。軍事的に緊張を緩めてはいけない中国・ロシア軍用機に対する対応は、日本とは違って第三国と同じように積極的警告通信など4段階までがすべてだった。
実際、最近韓国の領空を侵したのはロシア軍用機だった。ロシア空軍の早期警戒機「A-50」は2019年7月23日午前9時1分ごろ、独島領空を2回侵犯した。当時、韓国空軍の戦闘機「F-16」が機関砲で警告射撃をしながらロシア早期警戒機を領空の外側に追い出した。ロシア早期警戒機の領空侵犯はロシアの戦略爆撃機「Tu-95」と中国戦略爆撃機「H-6」の連合編隊がKADIZを我が物顔で行き来する過程で起きた。戦略爆撃機は核攻撃が可能だ。
追跡レーダー照射が引き起こしかねない外交・軍事的爆発性のために、2019年2月軍当局が「日航空機対応指針」を作った際、軍内部からは「日本と戦争をしようということか」という批判が多く出ていた。関連事情をよく知る匿名の政府消息筋は「『日航空機対応指針』は青瓦台(チョンワデ、旧大統領府)安保室が主導し、軍当局の原案よりも強硬に作った」と話す。
申源湜議員は「日本海上哨戒機を特定して、別途の指針で現場指揮官に軍事的対応まで委任したというのは非常に危険な政策」としながら「軍事的に日本を例外的に優待するのもいけないが、特に強硬な措置を講じるのも不適切だ」と指摘した。
国際法学者であるイ・キボム延世(ヨンセ)大学法学専門大学院教授は「国家が自衛権を行使できるのは当然だが、自衛権行使に先立ち外交的関係も考慮しなければならない」と述べた。
軍当局は日本軍用機に強く対応するように指示する指針を作ったが、実際の前線では対立状況を作らないように相互の動きを事前に知らせていた。国防部が申源湜議員室に報告した内容によると、韓日両国の軍用機が相手側軍艦側に飛行する場合、両側は積極的に情報を交換した。また、韓国軍艦の近隣に中国・ロシア軍艦が現れる場合、日本海上哨戒機が識別・採証のために低高度飛行をする前に、韓国側にこのことを事前に知らせた。
また別の政府消息筋は「韓国と日本の政治家が国内政治を意識して強硬基調を取る場合も、両国安保当局では偶発的な衝突は大きな禍根を残す場合があるので、とりわけ注意が必要だという認識があった」と話した。一歩間違えれば韓日間の軍事衝突につながりかねないため、現場では「日航空機対応指針」は事実上有名無実だった。これに関連して国防部は「日航空機対応指針の破棄を検討中だと申源湜議員室が伝えた。
レーダー指針廃棄に意欲 韓国国防相
産経新聞 2022/8/29
https://www.sankei.com/article/20220829-Q6X4F4XOSBM3DLUFGDPEWZUOBM/
【ソウル=時吉達也】
韓国海軍が
文在寅(
ムン・ジェイン)前政権下の2019年、軍艦に接近する日本の
自衛隊機に対し火器管制レーダーを照射する指針を作っていた問題で、韓国の李鐘燮(イ・ジョンソプ)国
防相は29日、「韓日関係とともに全体的に検討しなければならないのは確かだ」などと述べ、指針の廃棄に意欲を示した。国会の国防委員会で議員の質問に答えた。
韓国海軍は、日本が11月に相模湾で開催する「国際観艦式」への招待を受け、参加の可否を検討している。式典参加に先立ち、日韓当局間の障害を取り除く目的で指針廃棄を進めているのか野党議員に問われ、李氏は「別個の問題で関連しない」と説明した。野党側は自衛艦旗の旭日旗が掲揚される式典への参加を問題視している。
観艦式への参加については「憂慮される部分を踏まえ、総合的に考慮して決める」と述べるにとどめた。
問題の指針は、自衛隊機が2回の警告に応じず接近を繰り返した場合にはレーダーを照射するとの内容。18年12月、韓国駆逐艦による海上自衛隊哨戒機へのレーダー照射が行われ、経過をめぐる主張の食い違いから両国間の不信が増大していた時期に指針が作成されたことが、今月に入り判明していた。
2022年8月、産経新聞と韓国の中央日報が一連の韓国海軍による「対日レーダー指針」を破棄する意思があるという報道を行っており、去年8月時点でこの件で何らかの動きがあったことがわかります。
また最近のニュースでも
レーダー照射、4年半越し収拾探る 日韓防衛相が会談へ
日経新聞 2023年5月30日
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUA262ED0W3A520C2000000/
韓国軍は指針撤回を用意
韓国海軍が2018年12月、自衛隊機に火器管制レーダーを照射した問題を巡る日韓両政府の協議が詰めの段階に入った。韓国側は照射の事実を否定しているものの、その後に作成した軍の指針を撤回する用意がある。日本は再発防止を確実にすることで、韓国との防衛協力を前に進める方針だ。
浜田靖一防衛相と韓国の李鐘燮(イ・ジョンソプ)国防相が6月3日にもシンガポールで会談する。日韓防衛相の会談はおよそ3年半ぶりとなる。両氏は同月2〜4日に同地で開くアジア安全保障会議(シャングリラ会合)に出席する。
レーダー照射問題は韓国が革新系の文在寅(ムン・ジェイン)政権下にあった18年12月20日に起きた。日本海の能登半島沖を警戒監視していた海自厚木基地(神奈川県)所属のP1哨戒機に、韓国海軍の駆逐艦「クァンゲト・デワン」級が火器管制レーダーを当てた。
レーダー照射は本来、攻撃前に標的の位置を測定する目的で使う。武力衝突を誘発しかねない危険な行為で、日本は抗議し再発防止を求めた。
抗議を受けた韓国側は探索レーダーを使い北朝鮮の遭難船を捜していたと主張した。「哨戒機が低空飛行で韓国軍艦を威嚇した」と反論し日本側に謝罪を求めた。
防衛省は19年1月に「韓国側が事実とは全く異なる主張を繰り返している。客観的、中立的な事実認定に応じる姿勢が見られない」との最終見解を発表した。
韓国側は照射の事実を認めず、同年2月には「日本哨戒機対応指針」を海軍内に通達した。自衛隊機が2回警告にこたえず近距離を飛んだ場合、レーダーを照射すると定めている。自衛隊機に限った異例の対応だった。
日本政府は自衛隊のみを敵視するような指針の撤廃が必要との立場をとる。韓国の姿勢が変わったのは22年5月に保守系の尹錫悦(ユン・ソンニョル)政権が発足してからだ。
尹政権はレーダー照射の指針を取り下げる検討を進めてきた。防衛省はこれが実現すれば、同様の事案の再発を防ぐ環境が整うと判断する。
岸田文雄首相と尹大統領は今年3月以降に3度会談し安全保障協力を強めると確かめた。防衛関係の修復の動きは顕著だ。
4月には18年以降に途絶えた外務・防衛当局の日韓安全保障対話を5年ぶりに開いた。海自の護衛艦は5月29日、韓国の釜山港に自衛艦旗(旭日旗)を掲げて入港した。海自艦艇が韓国の港に入るのは17年以来となる。
韓国艦艇がレーダーを照射したとする日本側の見解は変わらない。6月の日韓防衛相会談で、浜田氏は李氏に事実認定の表明は求めない意向だ。
懸案だったレーダー照射問題を収拾できれば、安保協力は18年以前の状況に戻る。滞っていた海自と韓国海軍の2国間訓練の速やかな再開を調整する。
海自トップの酒井良海上幕僚長は30日の記者会見で、レーダー照射問題の収拾を巡り「日米韓の連携を阻害しないよう日韓の連携も強化する」と話した。韓国軍との共同訓練について「機は熟している。速やかに交流を再開できる」と語った。
シンガポールでは日米韓3カ国の防衛相会談も予定する。北朝鮮のミサイル発射情報を即時に共有する取り組みを早期に始める調整を急ぐ。
米国は同盟国とともに抑止力や対処力を高める「統合抑止」を掲げる。日米韓の安保連携を強めるためにも、協力の妨げとなっていたレーダー照射問題の収拾が必要だとして日韓両政府に対応を望んでいた。
(竹内悠介、ソウル=甲原潤之介)
日韓関係に残る「最後のトゲ」取り除く狙い…防衛省幹部「いつまでも、こだわるべきではない」
読売新聞 2023/06/05
https://www.yomiuri.co.jp/politics/20230605-OYT1T50047/
【
シンガポール=天野雄介、溝田拓士】日韓の防衛相が4日、レーダー照射問題の再発防止策を含めた協議加速で一致したのは、事実関係の追及よりも、両国の連携強化を優先したためだ。日韓関係の改善が急速に進む中、防衛当局間に残る「最後のトゲ」を取り除き、日韓、日米韓の防衛協力を進める狙いがある。
浜田防衛相と 李鐘燮 国防相は会談前、笑顔で握手を交わし、融和ムードを印象づけた。浜田氏は会談後、李氏について「お互いにしっかりと率直に議論をしようという姿勢があった」と記者団に語った。
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約3年半ぶりの日韓防衛相会談が実現したのは、韓国の 尹錫悦 大統領が3月に来日して以降、「日韓関係改善の動きが軌道に乗った」(岸田首相)ことが大きく影響した。韓国政府は3月、軍事情報包括保護協定(GSOMIA)の破棄通告を撤回した。5月には海上自衛隊の護衛艦が約6年ぶりに自衛艦旗(旭日旗)を掲げて韓国に入港した。
レーダー照射問題の発生は、韓国の 文在寅 政権下の2018年12月だった。韓国側は4日の会談でも、韓国海軍による照射の事実は認めなかった。だが、防衛省幹部は「前政権で起きたことに、いつまでもこだわるべきではない。二度と起きないようにすることが重要だ」と語った。
韓国側にも、北朝鮮による「軍事偵察衛星」打ち上げに日韓が連携して対応するために、再発防止協議に応じることが得策だとの判断もあったようだ。
韓国軍は照射問題後、2度警告しても近付く自衛隊機には、現場の判断で照射を認めるという他国軍と異なる「対日指針」を設けた。韓国政府は今後の協議で、指針撤回も含めて対応を検討する方向だ。日本側も撤回を求めており、韓国側の判断を注視している。
レーダー照射、決着見通せず アジア安保会議開幕
産経新聞 2023/6/2
https://www.sankei.com/article/20230602-4ZQION2IPVNTDCXMBW2MCPJ25E/
(一部抜粋)
【
シンガポール=市岡豊大、森浩】アジア各国の防衛担当閣僚らが地域情勢を議論するアジア
安全保障会議(シャングリラ対話)が2日、
シンガポールで開幕した。4日までの期間中、
浜田靖一防衛相は、日韓、日米韓などの枠組みでの防衛相会談に臨む予定で、日韓両政府が
北朝鮮のミサイル発射への対処力向上を進めることを確認する。一方、
韓国海軍による
海上自衛隊機へのレーダー照射問題は、日韓関係改善を優先して触れない見通しだ。
5月30日の日経と6月5日の読売で、この「対日指針」の撤回を示唆する内容が書かれており、複数のメディアでこれだけ長期にわたって情報が出ていたという事、日本側がその後実質手打ちとするような対応を取っている事から、恐らく日本側は撤回を最低限の条件に設定して、韓国側の約束を取り付けていたのでしょう。
産経の記事にもあるように、「レーダー照射問題は、日韓関係改善を優先して触れない見通し」という情報が出ていたにも関わらず、そこから急展開したことも、「何かあった」と見たほうが良いからです。
しかし実際には、以下にあるように
韓国国防相 自衛隊機にレーダー照射の指針「廃棄準備は事実ではない」
聯合ニュース 2023.06.12
https://jp.yna.co.kr/view/AJP20230612004500882
【ソウル
聯合ニュース】韓国の李鐘燮(イ・ジョンソプ)国防部長官は12日、
韓国海軍が
文在寅(
ムン・ジェイン)前政権下の2019年、軍艦に接近する日本の
自衛隊機に対し火器管制レーダーを照射する指針を作っていた問題を巡り、韓国側が指針の廃棄を進めているとする日本メディアの報道は事実ではないと述べた。この日国会で開かれた政治・外交・統一・安全保障分野の対政府質疑で最大野党「共に
民主党」尹昊重(ユン・
ホジュン)議員の質問に対して答弁した。
ただ、指針の再改定を検討したことがないのかと改めて問われると、「指針のこの部分については軍事的なセキュリティーの問題があるため、具体的に答えないのが正しいと思う」と答弁した。
李氏は「18年12月から19年1月までに4回、日本の海上自衛隊の哨戒機が韓国艦艇に対して低空での威嚇飛行をした事実があるが、これは対北監視活動に対する明白な妨害行為とみなすことができるのではないか」とする質問に対しては、「その問題については韓国と日本の立場が相反する状況だ」とし「韓国政府の立場は威嚇飛行と認識している」と答えた。
李氏は4日、訪問先のシンガポールで日本の浜田靖一防衛相と会談した席で、哨戒機問題を巡り日本側から謝罪があったかについては、「対話内容を具体的に話すのは適切ではない」と答弁した。そのうえで「私が申し上げたいことは未来志向で解決しようという立場に(両国が)一致し、再発防止策について実務協議をしていくことにした」と説明した。
これに対して尹氏は「日本が威嚇飛行をしたにもかかわらず、逆に韓国海軍がレーダー照射をしたと歪曲(わいきょく)しているのに、韓国政府が何の謝罪も受けずに再発防止の協議をすること自体が問題」と非難。李氏は「威嚇飛行かどうかという問題と、レーダー照射をしたかどうかという問題で双方の立場が相反する」と説明した。
韓国国防相は6月12日、公式に「指針のこの部分については軍事的なセキュリティーの問題があるため、具体的に答えないのが正しいと思う」と事実上撤回せず、更に「日本が威嚇飛行をしたにもかかわらず、逆に韓国海軍がレーダー照射をしたと歪曲(わいきょく)しているのに、韓国政府が何の謝罪も受けずに再発防止の協議をすること自体が問題」と問題を振り出しに戻してしまっています。
恐らくですが、アジア安保会議での交渉では韓国側からこれ以上追求しない事を条件に、指針の撤回をすると約束をしていたため、日本側はそれを受けて防衛省幹部が「いつまでも、こだわるべきではない」と発言したのでしょうが、韓国側からそれを即反故にされてしまったのではないかという事です。
参考記事
【ゆっくり解説】レーダー照射問題で何が起きている? - 日韓問題(初心者向け)
どちらの事例でも、恐らく日本側は「韓国側も関係改善を望んでおり、またアメリカからも相当な圧力があったうえでの約束なのだから守るだろう」という安易な判断をしてしまった結果がこの状況なのではないでしょうか。
2:信用が無いから約束が軽い
ここで重要なのは、以前から指摘しているように日本と韓国では約束の概念が大幅に異なっているので、私たちの常識は韓国に通じないという事です。
参考記事
日本人と韓国人とでは「約束・契約」の概念が全く違う - 日韓問題(初心者向け)
【日韓問題】日韓で異なる「約束」の概念 - 日韓問題(初心者向け)
また韓国内においても一応約束を守るという発想はあり
韓国国内の政争は国境線の内側にとどめるべきだ【6月27日付社説】
朝鮮日報 2023/06/27
https://www.chosunonline.com/site/data/html_dir/2023/06/27/2023062780085.html
チベット亡命政府は韓国野党・共に
民主党の都鍾煥(ト・ジョンファン)議員らを批判しているという。都議員らは中国政府の招待を受け
チベット自治区を訪問し、現地で中国による
チベットの人権弾圧について「70年前のこと」と発言した。これに対して
チベット亡命政府は「中国による宣伝、扇動と抑圧的な統治の正当化に利用されたことは遺憾」「中国は
チベット人を120万人以上殺害し、6000カ所以上の寺院を破壊した」などとした上で、共に
民主党議員らに「
チベット人の苦痛に関心を持ってほしい」と要求した。一連の批判を受け韓国の
禅宗系仏教宗団「
曹渓宗」も
遺憾の意を表明している。
中国が1950年代に武力で併合したチベットは、新疆ウイグル自治区や香港と共に中国における深刻な人権問題として国際会議などでは常に取り上げられ、中国における人権の尺度とも言われている。最低限の常識や国際的な感覚さえあれば、中国共産党からの招待は当然断るか、その言葉は慎重を期さねばならない。ところが韓国の議員団は現地で中国報道官のような言動を示した。共に民主党は今月初めに李在明(イ・ジェミョン)代表が福島汚染水関連の「韓中連帯」のためにケイ海明・駐韓中国大使の公邸を訪問し、その場でケイ大使が内政干渉発言を行い習近平・国家主席にへつらった際にはその立会人となってしまった。
共に民主党は先日オーストラリア、フィジー、マーシャル諸島など太平洋の18カ国の政府に「福島汚染水放流問題での連帯」を呼びかける書簡を送ったが、これも大きな問題になっている。韓国政府が先月、太平洋の島国と行った首脳会議後の共同宣言で、「汚染水は国際法と国際的な基準に合わせて処理しなければならない」との立場をすでに表明したにもかかわらず、共に民主党はこの問題で再びこれらの国々と接触した。これは明らかに無用な行動であり、外交的な常識にも反するものだった。
共に民主党による一連の動きはどれも内政と関係している。過度な親中姿勢を示すことについては、「米国や日本など自由民主主義陣営との関係強化を目指す尹錫悦(ユン・ソンニョル)政権との対立軸を設定するため」と多くの識者が指摘する。荒唐無稽なデマに過ぎない福島原発処理水の韓半島流入問題もそうだ。国民の不安を刺激し、来年の総選挙に利用することが目的だ。
「国内におけるあらゆる政争は国境線の内側にとどめよ」という言葉は「内政は外交に影響を及ぼしてはならない」という金言としても通用している。共に民主党は絶対多数議席を持ち国会を掌握しているが、それでも野党であることに変わりはない。外交は基本的に政府が権限を持ち責任をもって行うものであり、外交に関する限り野党は守るべき一線がある。共に民主党はその一線をあまりにも越えており、国内での政争以外には何も見えていないのだ。
こちらの事例のように、最大野党の「国民の力」が韓国政府の福島原発処理水に対する方針と正反対の「書簡」を各国に送り、贈られた国が困惑すると、その行いを「太平洋の島国と行った首脳会議後の共同宣言」に反していると批判している記事です。
また次の事例では
共に民主党、「不逮捕特権の放棄」など革新委の刷新案に立場表明を留保
東亜日報 June. 27, 2023
https://www.donga.com/jp/List/article/all/20230627/4250410/1
「国会会期中に逮捕同意案の要求があるた場合、党の統一意見として否決を選択しない。そして、
不逮捕特権放棄に対する所属議員の総意を集めていく」(共に
民主党の権七勝(クォン・チルスン)首席報道担当)
最大野党「共に民主党」の執行部が、党に新設された「金恩京(キム・ウンギョン)革新委員会」の1号刷新案である△議員全員の不逮捕特権放棄△逮捕同意案を党の統一意見として可決するーーに対し、このような立場を明らかにした。「革新委の提案を尊重する」としながらも「議員一人ひとりの立場も重要だ」として革新委がまとめた二つに刷新案に対し、いずれも立場表明を留保した。革新委の提言に対して党執行部でさえ「立法権を保護するための憲法的権利を放棄しろというのか」、「政界をあまりにも知らない要求」と反発する声が出ているためと分析される。
政界では、「革新委が党の統一意見としての可決を要求したのに、『否決はさせない』ということか」という批判の声が上がった。与党「国民の力」も、「革新委が最初の課題として提示した不逮捕特権の放棄さえ通せないのなら、そんな革新委は存在する価値自体がない」と圧力をかけ続けた。
●革新委の刷新案第1弾に党内から反発
首席報道担当の権七勝議員は26日、党最高委員会議後の記者ブリーフィングで、「(党所属議員に対する検察の拘束令状請求時に)逮捕同意案を否決させるための臨時国会を召集せず、非会期期間を確保することで令状実質審査を受けるようにする」とし、「会期中に逮捕同意案の要求がある場合、否決を党の統一意見として採択しない」と述べた。
「革新委が要求したのは逮捕同意案の可決を党の統一意見として決めろということではないのか」という質問に対し、権氏は「議員一人ひとりの権利であるため、議員の同意が必要であって手続きや形式が必要だ」と答えた。民主党はこれに先立ち、盧雄来(ノ・ウンレ)議員と李在明(イ・ジェミョン)代表、「全党大会での現金封筒ばら撒き疑惑」で離党した尹官石(ユン・グァンソク)、李成萬(イ・ソンマン)二議員の逮捕同意案採決の際も党の統一意見として「否決」を決めず、党所属議員たちの自由意思に委ねることで「事実上の否決を誘導した」という批判を受けた。権氏は、「既存の党の立場と同じではないか」という指摘に対しては、「革新委の要求を公式化するところに意味がある」と話した。
議員の不逮捕特権放棄に対しても「総意をまとめていく」とし、「具体的な形式や手続きについてさらに議論を進める」と述べるの止まった。
「革新委の意見を全面的に受け入れる」と公言していた執行部だが、このように原則論だけを繰り返している背景には、革新委の刷新案をめぐって執行部と所属議員、非明系(非李在明氏系)、親明系(親李在明氏系)が揃って反発している現状がある。
最高委員の一人は、「逮捕同意案の採決自体が国会法上無記名投票なのに党の統一意見として選択を強制すること自体、実現可能ではない」とし、「革新委の委員らがあまりにも政界を知らないのではないか」とも話した。院内執行部の議員も、「可決を党の統一意見としてクギを刺しておけば憲法的権利の制約や離脱者の発生などとんでもない問題が起きかねない」と話した。中道派の2期目議員も「直ちに現金封筒ばら撒き疑惑で民主党議員20人を政治的に捜査している状況下では危険だ」と話した。
●党内部と外部からは「革新への意志はないのか」と批判の声
与党は直ちに「革新委無用論」を提起した。与党の関係者は、「党執行部が党の革新委に全権を与えると言っていたのに、いざ革新案第1弾が示されると議員たちの意見収斂に乗り出すとしって一歩退いている状況ではないか」と批判した。
与党の金起鉉(キム・ギヒョン)代表は同日、同党の最高委員会議で「李在明代表が(国会の交渉団体演説で)不逮捕特権放棄を明言してから1週間が過ぎたにもかかわらず、何度も『不逮捕特権放棄書』への署名提案に応じないのなら、嘘をついたという批判を免れられないだろう」と言い、「国会ローテンダーホールにっテーブル一つを置いて会えば済む、極めて簡単なことだ。それが難しいなら、私が民主党代表室を訪ねる」とプレッシャーをかけた。
アン・ギュヨン記者 イ・ユンテ記者
先日「共に民主党」の代表である李在明氏が、「不逮捕特権のために知事から議員になった」と批判を受けていた件で、「不逮捕特権を放棄する」と宣言し、党としても同じく放棄するとしていたのですが、それを数日で覆してしまったという事例です。
ここで重要なのは、普通の国であればどちらもかなり重大な約束破りであり、責任問題になってもおかしくないのですが、記事を書いた朝鮮日報も批判をしている韓国与党も、これ以上の批判をしていないのです。
また、こうした約束破りは韓国の政界で日常的に発生しており、このブログでも何度も扱っていますが、どの事例でも「その場での批判」以上のものがありません。
特に今回の処理水問題の事例では、明らかに外交問題にまで発展しているにもかかわらずです。
なぜかというと、基本的に「約束破り」というのは相手の信用を失うからこそ「批判されるべき事柄」なのですが、以前も何度か指摘したように、韓国では「他者との間に絶望的な断絶」があるので、基本的に韓国内では「本貫」と呼ばれる狭いコミュニティー内でしか信頼関係を構築できません。
参考記事
韓国との間で繰り返される問題 - 日韓問題(初心者向け)
韓国社会にも「嘘はよくない」という共通認識はある - 日韓問題(初心者向け)
なので、彼らは「約束破り」をしても、元々社会的な相互信頼自体が存在していない、つまり「失う信頼」が存在しないため、約束を破ることをそこまで問題視しないのです。
韓国と何らかの交渉をする場合には、本来はこのことを常に頭の片隅に置いておかないとトラブルの原因になるわけです。
3:約束はスタート地点
そしてもう一つ重要な要素として、こうした考え方が韓国で一般的であることから、約束というものに対する考え方が私たちとは大きくかけ離れているという事が挙げられます。
たとえば、日本などでは約束をするという事は、何らかの結果であり何らかの「ゴール」であるわけですが、韓国では元々「約束破りで失われる信頼」が存在しないので、約束後に「あの時はそうだったが今は違う」という状況が頻繁に発生します。
これはつまり、約束がゴールではなく、交渉の「スタート地点」という事です。
例えば以下の記事を見てもらうと
【時視各角】攻守が入れ替わった韓日関係
ⓒ 中央日報/中央日報日本語版2022.09.20 08:56
https://japanese.joins.com/JArticle/295685
故人となった
安倍晋三元首相の報道写真の中で忘れられない場面がある。2014年1月の
世界経済フォーラム年次総会(
ダボス会議) で聴衆席の一番前の席に座り、当時の
朴槿恵(パク・クネ)大統領の演説を傾聴する姿だ。日本が
慰安婦問題を解決すべきだとして就任から1年経っても首脳会談に応じなかった朴大統領に近づくための
ジェスチャーだった。
朴槿恵-安倍の初会談はそれから2カ月後に韓日米会談形式を借りて行われ、2国間会談は3カ国会談からまた1年8カ月が経過した後に実現した。少なくとも過去の問題に関しては韓国が攻勢、日本が守勢の立場というのが韓日関係の定形化されたパターンだった。
そのパターンが崩れて攻守が逆転したのは文在寅(ムン・ジェイン)政権の時期からだ。日本は2018年の韓国大法院(最高裁)の強制徴用賠償判決以降、「韓国が国際法を違反したため韓国が先に問題を解決してこそ韓日関係は正常化する」として攻勢に転じた。文在寅政権の反日「竹槍歌」は高まったが、一方では首脳会談の実現にこだわった。多国間会議のレセプション場で先に近づくのはいつも韓国の大統領だったし、できるだけ避けようとする日本の首相が遠ざかることもあった。文前大統領は東京オリンピック(五輪)を契機に韓米朝会談の火種を生かそうという一念で日本に注力したが、菅義偉前首相の反応は冷淡だった。
先週の小さな騒動もこうした攻守逆転の産物といえる。金泰孝(キム・テヒョ)国家安保室第1次長は今週のニューヨーク国連総会を契機にした韓日首脳会談の開催に日本が「快く」応じたと発表した。韓国の新聞は1面記事で33カ月ぶりに首脳会談が開かれると報じた。すると日本では直ちに反論報道が出てきた。日本の新聞は「いかなる合意もない」という外務省の否認と同時に、両首脳が会う場合は30分間ほど向き合う会談でなく、立ち話のスタンディング会談になるだろうと報じた。事情を知る日本側の知人らに尋ねると返答は似ていた。「文在寅政権とは違い尹錫悦(ユン・ソクヨル)政権には期待を抱いているのは事実だ。しかし首脳会談はまだ早いという意見が多い。強制徴用解決策がまだ整理されていないため」。
経験からみて、両国政府間に実際にどれほど話が交わされているのか察するのは難しくない。おそらく両首脳はニューヨークで会うだろう。残りの問題は形式だが、日本メディアがいう立ち話でもなく韓国が望む正式会談でもない中間、すなわち外交関係者の間でプルアサイド(pull aside)と呼ばれる略式会談になる可能性が高い。正式会談テーブルに両国の国旗を置いて事前調整された議題を議論するのではなく、儀典と格式なく気軽に座って短く言葉を交わす形式だ。それを韓国大統領室はあえて「会談」と意味付けすることを望み、日本は「会談」でなく「対話」ほどに縮小することを望む。
なぜか。首脳会談に対する両国間の認識の違いが存在する。ある日本側の人物の分析はこうだ。「首脳会談を解決の出発点とみる韓国とは違い、日本では解決の終着点ではなくとも確実な解決の糸口をつかんだ後に首脳会談をすべきという立場だ」。尹錫悦大統領はニューヨークタイムズのインタビューで「グランドバーゲン(一括妥結)」で問題を解決すべきだと述べた。韓日首脳会談が開かれれば懸案を一括で解決できるという意味として聞こえる。そうなればよい。しかし韓国の行動を先に見るという日本の立場は不動の姿勢だ。日本の頑なな姿勢も問題だが、焦りが見える韓国の姿勢も心配だ。韓国は会談の実現にこだわり、日本は断れないふりをして応じる様相なら、駆け引きの結果は片側に傾くのが自明であるからだ。会談の実現そのものをあまりにも重要な交渉カードとして日本の手に握る結果を自ら招くべきではない。
イェ・ヨンジュン/論説委員
首脳会談に関する認識の違いを韓国側が日本側に問うと、「首脳会談を解決の出発点とみる韓国とは違い、日本では解決の終着点ではなくとも確実な解決の糸口をつかんだ後に首脳会談をすべきという立場だ」と返してきたと書かれています。
一見するとトップダウン式の交渉とボトムアップ式の交渉の違いにも見えますが、実際には約束を「スタート地点」とする韓国と、約束をゴールとする日本との考え方の違いです。
基本的に首脳会談というのは、大抵どこでもそうですがまず事務方がある程度の交渉をおこない、道筋や妥結点を見出した後で、最終的な決定を首脳会談で行うというのが一般的であり、これは国と国同士の交渉では考慮すべき情報が膨大であり、それを個人の判断一つで決定するとなると、判断ミスや間違いが起きやすいからです。
しかし韓国では、一度した約束や決定事項であっても、約束自体をスタートラインとしているので、いくらでも後から変えて良いと考えるため、本来終着点であり何らかの形で答えを出すはずの首脳会談が、「出発点」と解釈されるわけです。
なので、最初の福島原発処理水問題や韓国海軍レーダー照射事件の事例において、韓国側が時系列的に不可解な反応をし、日本側が問題のある妥協をしたように見えるのは、韓国側が日本と内部的にした約束を、その独特の約束の概念によって反故にした結果と考えると、色々と辻褄が合うわけです。
そして同時に、この推測が正しいとすると、現在の日本政府は対韓国の専門家がいないことになります。
また、徴用工問題や慰安婦問題で現在同様の問題が起きていないのは、恐らく専門家がいた時点で「筋道ができていた」ので、それに沿った動きが続いているだけという疑念も出てきます。
個別の交渉過程にまでアメリカが事細かに口を出しているとも考えられませんし。
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