さて、本日はタイトルにもあるように韓国の次期政権である尹錫悦政権の方針が見え始めてきたので、その件について扱っていきます。
初めて来られた方はまずこちらを先に読む事をお勧めします。
ブロマガ『日韓問題(初心者向け)』を始めた理由 - 日韓問題(初心者向け)
注意
・このブログは「日韓の価値観の違い」を初心者向けに扱っています
・当ブログのスタンスは「価値観に善悪や優劣は存在しない」というものです
・相手が不法を働いているからと、こちらが不法をして良い理由にはなりません
・自身の常識が相手にとっても常識とは限りません、「他者がそれを見たらど
う思うか」という客観性を常に持ちましょう
・日常生活で注意する程度には言動に注意を心がけてください
現在韓国の尹錫悦次期大統領は、日本との関係改善を訴え、日本に対して政策協議団を送り、また日本との信頼回復を訴えるなど、一見するとかなり前向きな対応をしているように見える。
しかし最近の言動を観察していると、彼らは言葉では関係改善を訴えてはいるが、慰安婦問題にしても徴用工問題にしても、また輸出優遇解除の件に関しても、根本的な部分は文政権とほぼ変わりなく、関係改善とは「日本が譲歩すべき」というスタンスであることに違いが無い。
また、韓国内では現状の尹政権の方針すら「親日的」と批判する世論が存在している事から、尹政権が突発的に歴史問題で強硬な態度に出る事もあり、よりいっそう韓国に対しては毅然とした態度を取る事が重要になってくる。
※本文中のリンクは引用の元記事、或いはウェブアーカイブやウェブ魚拓(別サイト)へのリンクです。
1:関係改善を訴えている
まずはこちらの2つの記事から
韓国次期外相候補 対日関係巡り「信頼回復」強調
聯合ニュース 2022.04.19
https://jp.yna.co.kr/view/AJP20220419001700882
【ソウル
聯合ニュース】韓国の尹錫悦(ユン・ソクヨル)次期政権の外交部長官に指名された朴振(パク・ジン)氏は19日、記者団に対日関係について、「韓日関係が壊れている」として、「政策協議団が日本を訪問すれば韓日の信頼を回復し、協力的な関係をつくるためのさまざまな案を議論すると思う」と述べた。
尹次期大統領は政策協議代表団を24~28日の日程で日本に派遣する。
政策協議団が訪日中、日本側と歴史問題についても議論するかに関しては、「さまざまな問題を含め、信頼を回復する対話をする」と述べるにとどめた。
韓国の次の外相は「日本語できる米国通」 ベテラン議員の朴氏に内定
朝日新聞 2022年4月13日
https://www.asahi.com/articles/ASQ4F5QWHQ4FUHBI01K.html
韓国で5月に発足する尹錫悦(ユンソクヨル)政権の外相に、尹氏が所属する
保守系最大野党「国民の力」の国会議員、朴振(パクチン)氏が内定した。尹氏が13日の会見で発表した。韓国国会の同意を得て任命される。米国通として知られる朴氏は、日本への留学経験もある。尹氏の信頼が厚く、対日外交でも主導的な役割を担うとみられる。
朴氏は外交官出身で、国会議員当選4回のベテラン政治家。米ハーバード大の行政大学院ケネディスクールやオックスフォード大、東大などに留学経験があり、日本語も話せる。2008~13年に在任した李明博(イミョンバク)元大統領の側近だった。
尹氏は会見で「対米外交に精通するなど豊富な経験があり、膠着(こうちゃく)した韓国外交の正常化に大きく貢献してくれると判断した」と語った。
朴氏は、新政権の外交方針などを米バイデン政権側に伝える「政策協議代表団」の団長として、3日から8日間の日程で米ワシントンを訪問。サリバン米大統領補佐官(国家安全保障担当)らと面会し、米韓同盟の強化や日韓関係の改善に取り組む考えを伝えた。
朴氏は韓国に帰国した11日、記者団に「正しい歴史認識を土台に、未来志向的な韓日協力関係を構築していくという尹氏の考えを、米側に伝えた」と述べていた。(ソウル=鈴木拓也)
記事では、尹政権が日本に対して政策協議団を送り、「さまざまな問題を含め、信頼を回復する対話をする」とコメントしているという事が書かれています。
また次の朝日新聞の記事によると、尹政権は外相に東大への留学経験があり日本語が堪能で、また李明博政権にも参加していた人物を内定したとしており、未来志向な日韓関係を目指していくと書かれています。
またさらに次の記事によると
日本派遣の韓国代表団長 「関係復元」目指す
聯合ニュース 2022.04.17
https://jp.yna.co.kr/view/AJP20220417001100882
【ソウル
聯合ニュース】韓国の尹錫悦(ユン・ソクヨル)次期大統領が日本に派遣する「政策協議代表団」の団長を務める鄭鎮碩(チョン・ジンソク)国会副議長は17日、
聯合ニュースに対し、「最悪の状況で放置されていた韓日関係の復元がわれわれの
国益というのが尹氏の考え」と述べた。
また、1998年、当時の金大中(キム・デジュン)大統領と小渕恵三首相が過去の植民地支配への謝罪と両国の未来志向の関係発展をうたった「韓日共同宣言」に触れ、「歴史を直視しながら金大中・小渕宣言水準の未来志向の韓日関係を構築しなければならない」と強調した。
尹氏は大統領選で、「大統領になれば就任後直ちに韓日関係改善に乗り出す。金大中・小渕宣言を改めて確認することから始まる」との考えを表明していた。
鄭氏は「尹氏が目標としているのは韓日関係が最も良好だった金大中・小渕宣言当時の水準の未来志向の韓日関係を構築すること」と重ねて強調した。
また、「深刻な北の核をめぐる状況、米中競争の深刻化、強大国政治の復活、技術大変革など急変する国際情勢下で韓日の戦略的な協力を復元、強化することは朝鮮半島はもちろん、グローバルレベルでも平和と繁栄に寄与する」と述べた。
協議代表団は24~28日に日本を訪問し、各界の要人と面会。北朝鮮政策を巡る連携や韓日懸の案解決などを議論する。
鄭氏は岸田文雄首相との面会に関し、決まったことはないとしながらも「面会を期待している」と述べた。林芳正外相との面会については「幅広い(分野の要人との)面会を推進している」と詳しい言及を避けた。
韓米日3カ国の安全保障協力問題が議題になるかどうかに関しては、「韓米日協力関係の復元も含まれる。急変する国際情勢で韓日関係の復元と正常化も重要だが、韓米日協力関係の復元も非常に重要な懸案」と述べた。
日本へ派遣予定の政策協議団の団長は「歴史を直視しながら金大中・小渕宣言水準の未来志向の韓日関係を構築しなければならない」「尹氏が目標としているのは韓日関係が最も良好だった金大中・小渕宣言当時の水準の未来志向の韓日関係を構築すること」とコメントしています。
また、対北朝鮮での日本との協調路線も提示しており、文政権との違いを強調しているようです。
そして日本政府側も、こうした尹氏側の態度に対し
「日本政府、尹氏の政策協議団派遣に歓迎の声」
ⓒ 中央日報/中央日報日本語版2022.04.19 14:30
https://japanese.joins.com/JArticle/290120
韓国の尹錫悦(ユン・ソクヨル)次期大統領が日本に韓日政策協議団を派遣することにしたことに対して日本政府内から歓迎の声があがっている。
松野博一官房長官も18日、「(政策協議団の)訪日の機会を捉え新政権と緊密に意思疎通する」という意向を明らかにした。
19日、読売新聞は尹氏の政策協議団派遣の便りに対して政府から歓迎する声があがっているとし、これは「米国に次ぐ2番目の派遣で、日韓関係改善に向けた尹氏の意欲の表れとみられるため」と説明した。
特に尹氏が外交部長官として日本への留学経験がある国民の力の朴振(パク・ジン)議員を指名したことに続き、政策協議団まで派遣すると発表したことに対して日本政府関係者は「関係改善に向けたメッセージ」と受け止めていると伝えた。
時事通信も19日、政策協議団派遣決定に対して外務省の幹部が「前向きな動きだ」と評価したと報じた。
◆「課題山積、本気度の見極めを」
これに先立ち、18日の記者会見で松野官房長官は尹氏の政策協議団派遣に関連して「尹錫悦次期大統領のリーダーシップに期待している」とし「訪日の機会を捉え新政権と緊密に意思疎通する」という反応を出した。
日本政府の態度はひとまず好意的だが、両国の間に難題が山積しているだけに解決の過程は荒波が予想されると日本メディアは伝えた。時事通信は「協議を通じて対日関係改善に意欲を示す尹氏側の『本気度』を見極める方針」としながら「そもそも、保守政権時代も日韓関係がぎくしゃくした例は過去にある」と指摘した。
読売も長期化した韓日歴史問題の解決は容易ではなさそうだとし「元徴用工問題は韓国の裁判所で日本企業の資産売却手続きが進行中」とし「新政権が放置すれば、最速で年内に資産が現金化される可能性がある」と指摘した。日本政府は自国企業の資産現金化を韓日関係の「越えてはいけない一線」と規定している。
松野官房長官も前日の会見で「1965年の国交正常化以来築いてきた日韓友好協力関係の基盤に基づき、日韓関係を発展させていく必要がある」としながらも「国と国の約束を守ることは国家間の関係の基本」と付け加えた。
また「日韓関係を健全な関係に戻すべく、日本の一貫した立場に基づき」協議団を迎えると述べた。日本政府の「一貫した立場」というのは、徴用および慰安婦問題は韓日請求権協定などによって解決済みで、したがって現在冷え込んだ関係を改善するためには韓国側が先に解決策を提示するべきだという主張だ。
鄭鎭碩(チョン・ジンソク)国会副議長が率いる政策協議団は今月24~28日に東京を訪問し、日本政財界の要人と面談する予定だ。時事通信は「岸田文雄首相が面会に応じることも検討する」と伝えた。
「尹錫悦次期大統領のリーダーシップに期待している」「訪日の機会を捉え新政権と緊密に意思疎通する」という反応をしていると書かれています。
そのうえで、「1965年の国交正常化以来築いてきた日韓友好協力関係の基盤に基づき、日韓関係を発展させていく必要がある」「国と国の約束を守ることは国家間の関係の基本」というスタンスをとっており、いわゆる「請求権協定」の順守を訴えていく方針であるようです。
ここまでですと、細かな部分の調整は必要としても、尹政権側も関係改善に前向きであり、また対北、対中に関しても、尹政権は文政権のような方針をとらないとアメリカに対して明言している事から、関係改善の糸口がありそうに見えます。
2:見え始めた本音
しかし、特にここ数日の尹氏側の言動を見ていると、実際には関係改善に繋がるような兆候が無いどころか、スタンスとしては文政権とほとんど変わっていないという事が見え始めています。
先ほど紹介した記事においても、尹氏が派遣を決めている政策協議団の団長が「歴史を直視しながら金大中・小渕宣言水準の未来志向の韓日関係を構築しなければならない」とコメントしていますが、この「歴史を直視」が何なのかが重要です。
次の記事を読むと
韓国外相候補 慰安婦被害者の名誉回復へ「韓日が共に努力を」
聯合ニュース 2022.04.20
https://jp.yna.co.kr/view/AJP20220420001600882
【ソウル
聯合ニュース】韓国の尹錫悦(ユン・ソクヨル)次期政権の外交部長官に指名された朴振(パク・ジン)氏は20日、2015年の韓日
慰安婦合意について、「韓日の公式合意であり、
文在寅(
ムン・ジェイン)政権でもそれは認めている」として、「最も重要なのは被害者の名誉と尊厳を回復するため、韓日が共に努力することだ」と記者団に述べた。
慰安婦合意を巡り、韓国政府は被害者の意見を十分に反映しなかったと主張する一方、日本政府は合意を履行するよう求めており、両国の対立の主な原因となっている。
尹氏は慰安婦問題などの具体的な解決策を示していないが、対日関係の改善に意欲を見せている。
朴氏は尹氏が24日に日本に派遣する「政策協議代表団」が岸田文雄首相と面会する可能性に関しては、「あらゆる可能性を開いて協議している」と述べた。
一方、米国が5月12日にオンライン形式で開催する新型コロナウイルス対策を話し合う首脳会議に韓国も参加するかどうかについては、「新政権の発足(5月10日)から2日後になるため、検討しなければならないことがある」として、「今(参加の可否を)検討している」と述べた。
本日の記事なのですが、先ほども出てきた「日本通」とされる外相候補が慰安婦問題について、「最も重要なのは被害者の名誉と尊厳を回復するため、韓日が共に努力することだ」とコメントしています。
この「被害者の名誉回復」とは何かといえば、要するに韓国側の慰安婦の定義である「軍や国の命令で軍人や官憲が直接的に行った動員(or拉致)」の法的責任を日本政府が認めるという件です。
この態度は、文政権が去年あたりから「慰安婦合意は有効」としながらも、「被害者の名誉回復が必要」と主張し、合意の履行を事実上拒否する口実にしていた内容と全く同じなのです。
更に世論に関しても、次の記事を読むと
韓国企業の10社に4社が「新政権発足後に韓日関係良くなる」
ⓒ 中央日報/中央日報日本語版2022.04.20 16:39
https://japanese.joins.com/JArticle/290175
韓国企業の10社に4社は新政権発足後に韓日関係が改善すると期待していることがわかった。
大韓商工会議所は20日、韓国企業327社に「新政権発足後の韓日関係見通し」を質問した結果、回答企業の45.3%が「韓日関係は改善されるだろう」と答えたと明らかにした。「韓日関係の変化はないだろう」という回答は44.0%、「悪化するだろう」という回答は10.7%となった。
これに先立ち昨年10月に大韓商工会議所が実施した調査では、韓日関係改善を予想する企業は12.9%にとどまった。大韓商工会議所のイ・ソンウ国際通商本部長は「尹錫悦(ユン・ソクヨル)次期大統領の政策協議代表団訪日を控え日本と取引する韓国企業を中心に韓日関係改善に対する期待感が大きくなったようだ」と話した。
今回の調査で質問に答えた企業の50.4%は韓日関係が改善されれば貿易と投資を増やすと答えた。特に調査対象企業のうち現在日本と貿易している企業115社のうち69.5%が「韓日関係改善時には投資を増やすだろう」と答えた。
韓日関係で最も緊急な問題として、企業は「輸出規制など両国間の貿易摩擦解消」(39.4%)を最も多く挙げた。次いで「首脳会談などトップ外交再開」(30.3%)、「経済、文化など民間交流拡大」(17.1%)、「クアッド、TPPなどの協議体加入問題」(5.5%)、「韓日通貨スワップ再開」(2.8%)などと続いた。
両国関係の最大の障害では「過去史問題」が57.2%、韓日関係改善に向けた政策課題では「過去史と領土紛争解決」が52.9%で最も多く挙げられた。新政権の外交政策方向に対しては「米中日均衡外交」が45.3%で1位となった。
韓国企業は尹政権になれば日韓関係が好転すると考える企業が多いとはしていますが、その中で最も期待されているのが「輸出規制など両国間の貿易摩擦解消」と書かれています。
しかし、以前から指摘しているように、元々これは韓国による兵器転用可能な戦略物資の輸出入管理が杜撰であり、その件について日本政府が2018年6月の定期対話で話をしようとしたところ、韓国側が定期対話を拒否するようになったことが原因です。
その結果、輸出国側の要求する基準を満たした国にのみ特例として認められていた「(輸出の)包括許可」の有効起源切れになったのが2019年7月1日であったわけですから、政権が変わったからとそれで優遇措置が復活するわけではないにも関わらず、韓国企業の多くは「それ」を期待しているのです。
またこの件で重要なのは、こういった状況にある以上、本来であれば尹政権が「何が本質的原因なのかの説明」をしなければいけないわけですが、尹政権はそうした説明をする兆候すらなく、この件でも文政権と態度にほとんど違いがありません。
これはつまり、文政権と同じく「問題の原因を把握しながら日本に原因を転嫁する」という態度を取る確率が極めて高いという事です。
そしてこの状態で、韓国メディアからは次の記事にあるように
韓国「尹錫悦時代」、韓日関係でまずやるべきこと(1)
ⓒ 中央日報/中央日報日本語版2022.04.16 14:00
https://japanese.joins.com/JArticle/290018
5月に発足する尹錫悦(ユン・ソクヨル)政権には外交的な難題が多い。いつでも高強度の挑発ができるよう準備する
北朝鮮の脅威、米中間で激化する戦略競争など、どれ一つも容易なものはない。
しかし実際これをうまく解決していくことが可能な隠れたポイントがある。それは日本だ。韓国は自由民主主義と市場経済という核心価値を共有する隣国の日本と多くの安保懸案で利害関係が一致するからだ。脅威に対応するための連携はやりやすい。
一例として北朝鮮のミサイル脅威が挙げられる。非核化の方法は対話が必要だが、米朝が当事者となる非核化対話で「スモールディール」に対する懸念は常に存在する。米国本土に脅威となる長距離ミサイルの除去を優先視する場合、韓国を脅かす短距離ミサイル問題は看過されやすい。こうした状況を共に防げる唯一の国が日本だ。韓日は北朝鮮の中距離・短距離ミサイルによる安保の脅威を共有する。
それで、文在寅(ムン・ジェイン)政権が韓日関係を最悪の状況になるよう放置または助長したのは、北核の脅威をはじめ多くの安保的懸案を扱ううえで自らを不利な状況に追い込むのと同じだった。
もちろん誰が原因を提供し始めたのかを問いただせば、非難されるべき側は日本だ。不当な経済報復措置を取り、過去の問題に誠意ある態度も見せなかった。
しかし外交力というものは「それで」でなく「それでも」を成し遂げるものだ。断交するのではない限り、それでも韓日関係をこれほどまで悪化させないために、政府は今よりもっと努力するべきだった。
ところが国内政治的に反日感情を活用して対決構図にさせたのが文政権の敗着だ。その間、葛藤の根源である過去の問題解決のための国内的努力も十分にしなかった。
5年間のトンネルを過ぎて、ようやく韓日関係改善の環境が形成されつつある。尹錫悦次期大統領は候補時代から関係改善の意志を見せ、日本でも文政権が退くだけでも状況が変わるという期待感が高い。
しかし最近の日本発の報道を見ると、尹政権はこのような期待感を満たすのではなく、期待感を下方調整する方向を定めるべきではないかと感じるほど心配が多い。
尹錫悦次期大統領が就任直後の5月末に開催されるクアッド(日米豪印)首脳会合へのオブザーバー出席を希望し、「非公式」に訪日を打診した、という日本経済新聞の14日の報道が代表的な例だ。非公式という表現自体が引っかかるうえ、日本政府当局者でなく「クアッド参加国の政府高官」が明らかにしたという。
物証はないが、国内外的な反応を見ようとする一種の探りではないかと疑われる。案の定、松野博一官房長官は報道の直後、「打診がわが国に対して行われた事実はない」と反論した。情報の出処が日本でもなく、さらに非公式の打診であり、反駁するのも容易だ。これに先立ち大統領職引き継ぎ委員会が直ちに「全く議論されていない」と一線を画したのはもちろんだ。
大統領選挙が終わってからずっとこのような流れだ。尹次期大統領の就任式に送る祝賀使節に関しては一行も報道されないが、韓国が日本に政策協議団(特使団)を送る計画だという報道は多い。
開始からこのような形の駆け引きはよくない。韓国側でいくら韓日関係改善に向けた環境が形成されたとしても、日本が呼応する意志がなければいかなる効果もない。手のひらも互いに接してこそ音が出るものではないのか。
政策協議団に関しても簡単に結論を出せない理由がある。4月末または5月初めには日本が毎年「外交青書」を公開するが、今回も独島(ドクト、日本名・竹島)に関する主張を入れるのは明白だ。政策協議団を日本に送る場合、ちょうど4月末が適期となる。韓国の領土主権を堂々と否定する日本に尹次期大統領がどうやって快く政策協議団を送れるのか。
韓国「尹錫悦時代」、韓日関係でまずやるべきこと(2)
ⓒ 中央日報/中央日報日本語版2022.04.16 14:00
https://japanese.joins.com/JArticle/290019
まず、日本は過去に対する反省もまともにせず「韓国が解決策を出すべき」という高圧的な姿勢で一貫した韓国たたきをやめなければいけない。それで十分だというのではなく、新たな始まりのための基本の中の基本だ。
尹錫悦政権は関係改善のための日本との協議に先立ち、両国間の葛藤の根源である過去の問題解決のために国内的な努力から取り組む必要がある。その最初は被害者の声を聴くこと、その次もまた聴くことだ。
裁判所の判決の枠に縛られれば、過去の問題と韓日関係を同時に解決するのは百万年過ぎても可能でない。被害者が望む解決方式も多様であり、これは国がどれほど誠意を持って被害者の声を聴くかによって十分に変わる可能性がある。
まず、尹次期大統領が被害者に直接会ったり、被害者を就任式に招待したりするのはどうだろうか。日本に強硬なメッセージを与えようというのではなく、無力な国に生まれたという理由一つで生涯を苦痛の中で過ごした被害者のために国が当然やるべき道理というレベルでだ。
今も考える。もし2015年の慰安婦合意当時、その前後に朴槿恵(パク・クネ)大統領が被害者を青瓦台(チョンワデ、韓国大統領府)に接待し、誠意を持って十分に状況説明をして意見を聴いていればどうなっていたのだろうか。合意の本質が変わらなくても、その後の激しい反対の様相は変わっていたかもしれない。
尹政権では過ぎた後にこうした「残念な仮定」をすることがなければよい。
日本との関係改善を訴えながら「もちろん誰が原因を提供し始めたのかを問いただせば、非難されるべき側は日本だ。不当な経済報復措置を取り、過去の問題に誠意ある態度も見せなかった」と原因を日本に完全に転嫁してしまっているのです。
更には「日本は過去に対する反省もまともにせず「韓国が解決策を出すべき」という高圧的な姿勢で一貫した韓国たたきをやめなければいけない。それで十分だというのではなく、新たな始まりのための基本の中の基本だ」とも書かれており、問題が「韓国が国と国との間で正式に取り決められた協定や合意を一方的に破ったこと」にあるという認識自体が存在していないのです。
しかもこの状態で
韓国文化体育観光部長官候補「天皇祝宴への出席、歴史歪曲の現場取材だった」
ⓒ 中央日報/中央日報日本語版2022.04.19 06:40
https://japanese.joins.com/JArticle/290085
韓国の朴普均(パク・ポギュン)文化体育観光部長官候補側は、8年前に
天皇誕生日の祝宴に出席したという疑惑に対して18日、「当時、朴氏は
中央日報論説委員で、安倍政権の歴史わい曲などを集中的に取材していた」とし「現場取材の一環だった」と説明した。
文化体育観光部長官候補の人事聴聞会準備団は「日本人がどのように天皇誕生日を扱うのか、日本の軍国主義の痕跡が作動し続けているのかを確認するために現場に行った」とし「現場確認は記者の基本的かつ常識的な取材姿勢」と説明した。
朴候補側は「朴氏は取材直後の2014年1月、中央日報に『安倍首相の歴史挑発に、松陰の影がちらつく』という大型ルポ記事を集中報道した」とし「松陰の征韓論がどのように安倍氏の狡猾な歴史挑発に注入されたのかを分析報道し、日本の歴史歪曲(わいきょく)のルーツを追跡報道した」と明らかにした。
人事聴聞会準備団は「候補の現場主義取材精神を悪意的に歪曲した」とし、これを正さない場合、言論仲裁などに出ると話した。
これに先立ち、一部のメディアは共に民主党の田溶冀(チョン・ヨンギ)議員室を引用し、朴候補と韓悳洙(ハン・ドクス)首相候補が2013年5日ソウル中区小公洞(チュング・ソゴンドン)のロッテホテル2階で開かれた明仁天皇の79歳の誕生日パーティーに出席したと報じた。
当時、韓候補は韓国貿易協会の会長、朴候補は中央日報論説委員だった。
韓候補の人事聴聞会準備団は「両国の歴史を考える時、見る視角によっては適切ではないと思われる場合もあるかもしれない」としながら「両国の貿易規模を考える時、韓国企業の利益を代弁する韓国貿易協会会長として避けられない選択だった」と了解を求めた。
人事聴聞会準備団は「韓国政府で毎年外交部第1次官をこの行事に派遣することも同じ悩みが含まれている」とし「2017年には文在寅(ムン・ジェイン)政府の林聖男(イム・ソンナム)外交部第1次官が出席し、2018年にはチョ・ヒョン外交部1次官が祝辞を述べた」と付け加えた。
こちらの記事では尹政権の文化体育観光部長官候補が、「8年前に天皇誕生日の祝賀行事に参加した」という事を問題視されたという記事なのですが、その釈明で「日本人がどのように天皇誕生日を扱うのか、日本の軍国主義の痕跡が作動し続けているのかを確認するために現場に行った」と主張しているのです。
こんな釈明をしなければいけないような状況では、当然ですが真っ当な関係改善など見込めるわけもなく、言葉では「関係改善」を訴えながら、実態は文政権の方針とほとんど変わっていないも同然なのです。
結局のところ、韓国側では問題の原因と向き合える人材が存在していないという事です。
3:毅然とした態度が必要
予想通りといえば予想通りな展開ですが、今回紹介したように尹政権になったところで、問題が継続されることがほぼ確定したというのが現在の状況です。
ここで重要になるのが、李明博政権末期に起きた出来事です。
どういうことかというと、李明博大統領は末期に竹島上陸を行い、その結果日韓関係が致命的に悪化したわけですが、李明博大統領が「そういう行動を取った原因」の一つとして、日本と韓国の間でGSOMIA(軍事情報保護協定)を締結しようとし、それが世論からの反発を受け支持率が急落、撤回せざるを得なくなったという背景があります。
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これはどういうことかというと、韓国では「日本との協力は日本が”正しい歴史”を受け入れることが条件」という世論が圧倒的な多数派であるため、それをせずに日本との協調路線を取る事は政権の致命傷になりかねないのです。
そのため、李明博大統領はGSOMIAの撤回をしたうえで、竹島上陸というパフォーマンスを行い「禊」をしたわけです。
これは、以前紹介した韓国の侮辱文化が関係しています。
oogchib.hateblo.jp
どういうことかというと、正しさに根拠の必要ない序列社会の韓国では、「自身がなぜ正しいのか」を直接的に説明する手立てがないため、その代わりとして「相手に対して侮辱的な態度を取る」事で、「相手にこんなに侮辱的な態度を取れるのは自身の方が序列が高いからだ」とアピールするわけです。
つまり、李明博大統領は「親日的」「日本の手下」と批判されたことで、「日本より自分の方が上だ」とアピールするためにあのような態度を取ったというわけです。
このことから、日本との融和を訴えながら一切妥協できない尹政権も「同じ状況になる」確率が非常に高く、そうなった場合李明博大統領と同じく「日本を挑発するような態度」を取りかねないという事です。
万が一そうなった場合、日本は毅然とした態度で韓国のそうした態度を批判しないといけません。
韓国側は「メンツだけは保たせてほしい」という態度を取るでしょうが、断固とした態度が必要です。
そしてこうした件なのですが、ある意味「お手本」となるアメリカの事例があります。
以前も紹介した次の事例
韓国外相、北朝鮮の核実験再開の可能性に「そのような動向ある」
ハンギョレ新聞 2022-03-29
http://japan.hani.co.kr/arti/politics/42978.html
チョン・ウィヨン外交部長官は28日、
北朝鮮の核実験再開の可能性について「そのような動向があると聞いている」と述べた。
チョン長官は同日、国会外交統一委員会の全体会議で「豊渓里(プンゲリ)の核実験場などで施設の復旧と拡張の動きがあり、核実験も今後再開する可能性がある」という国民の力所属のキム・ソッキ議員の指摘に対し、こう答えた。北朝鮮が今月24日に火星‐17型と主張する大陸間弾道ミサイル(ICBM)を発射したのに続き、来月核実験を再開する可能性があると政府当局者が認めたわけだ。
また、朝米対話の成功のために韓国側の考えを米国と共有してきたが、「米国と完全に共感が形成されていない状況で、我々が北朝鮮側にそのような我々の案を伝えることはできなかった」と明らかにした。そのうえで「最近は米国も我々の判断にかなり近づいている」とし、「北朝鮮がどんな状況なのか分からないが、状況を誤って捉えているのではないかと懸念される」と付け加えた。
イ・イニョン統一部長官も同日の会議で「一部で予測している核実験と関連し、小型化や多弾頭などと関連した(核実験の)可能性も依然としてあり、注視している」と明らかにした。また「4月になれば、衛星打ち上げを口実にした、衛星と結びつけた関連行動がさらに増える可能性もある」とし、「今後、北朝鮮は米国との長期的な対決準備という名分を掲げ、核武力など国防力の強化に努めながら、4月中の主要な契機ごとに緊張をさらに高めることも考えられる」と付け加えた。
一方、チョン長官は同日、国民の力所属の議員らが北朝鮮の「モラトリアム破棄」などを取り上げ、文在寅(ムン・ジェイン)政権の北朝鮮政策の失敗によるものではないかと問い詰めたことに対し、「朝鮮半島平和プロセスは続けられるべき過程だと思う。それ以外にどんな代案があるのか疑問だ」と強調した。
そのうえで、金正恩(キム・ジョンウン)朝鮮労働党総書記兼国務委員長が2018年に核実験とICBMのモラトリアム(猶予)を宣言した後、「このような決定が正しかったことを立証できる人は米国大統領だけだ」と述べたと伝えた。「(2019年2月の)ハノイ(第2回朝米)首脳会談直前まで、米国側からかなり前向きな進展があるという話を聞いていたが、ご存知の通り(米国側が)一方的に決裂させてしまった。実際、ハノイ会談の決裂は我々にとってあまりにも失望的なものだった」と残念さをにじませた。
チョン長官は「我々にとっては悲しい話だが、非核化と朝鮮半島の完全かつより恒久的な平和定着は、韓国政府単独では決められない。米国の同意が必要であり、米国が主導的に北朝鮮に関与しなければ実現できない目標」だとし、「それが我々が置かれた国際政治の現実」だと付け加えた。
ソン・チェ・ギョンファ、チェ・ハヤン記者
文政権は今年3月末、北朝鮮の核実験再開の可能性について問われると、突然「ハノイ会談決裂はアメリカのせい」と言いだしたという事がありました。
そして今月になると
金正恩委員長「文大統領の過度な関心は不都合」 トランプ氏に直接対話を要請していた
朝鮮日報 2022/04/09
https://web.archive.org/web/20220408232017/http://www.chosunonline.com/site/data/html_dir/2022/04/09/2022040980006.html
2018年の第3回南北会談の直後、親書を送る
2018年から2019年にかけて「仲裁者」「韓半島の運転手」を自任し、米朝首脳会談実現のため東奔西走していた韓国の文在寅(ムン・ジェイン)大統領の「過度の関心」を負担に感じた北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)国務委員長が、米国側に韓国の干渉なき米朝直接対話を要請していたことが明らかになった。時事ジャーナルは8日、金正恩委員長と米国のドナルド・トランプ大統領(当時)との間でやりとりされた27通の親書を入手し、このように報じた。
報道によると、金正恩委員長は2018年9月21日、トランプ大統領宛の親書に「今後、朝鮮半島の非核化問題は南朝鮮の文在寅大統領が同席するものではない、閣下と自分が直接話し合うことを希望する」と記した。さらに「現在われわれの諸問題に文大統領が示している『過度の関心』は不都合」だとし、「もし閣下がこちらの意見に同意するのであれば、ポンペオ(当時の国務長官)を再度、速やかに平壌へ派遣してほしい」と要請した。
金正恩委員長がこの親書を送った時期は、文大統領を平壌へ呼び寄せて第3回南北首脳会談を開いたわずか二日後だった。当時、南北首脳は平壌市内で自動車パレードを行い、一緒に白頭山へ登るなど、親密な関係を誇示していた。文大統領は韓国の政治家として初めて、15万の平壌市民の前で演説も行った。
だが親書の内容を見ると、金正恩委員長は内心では文大統領を「厄介な存在」と認識していた可能性が高い。こうした金正恩委員長の胸中は、2019年2月のハノイ米朝首脳会談の決裂後、露骨に現れた。金正恩委員長は「ハノイ・ノーディール(会談決裂)」直後の2019年4月、最高人民会議施政演説で文大統領に向かって「図々しく仲裁者、促進者ぶったことをするな」と警告した。その後、北朝鮮メディアは「茹でた牛頭」「おびえたイヌ」など、荒っぽい表現を動員して文大統領を非難した。
記事では、韓国メディアが「金正恩委員長と米国のドナルド・トランプ大統領(当時)との間でやりとりされた27通の親書を入手」として次のように書かれています。
親書の中で金正恩は「今後、朝鮮半島の非核化問題は南朝鮮の文在寅大統領が同席するものではない、閣下と自分が直接話し合うことを希望する」「現在われわれの諸問題に文大統領が示している『過度の関心』は不都合」「もし閣下がこちらの意見に同意するのであれば、ポンペオ(当時の国務長官)を再度、速やかに平壌へ派遣してほしい」と、徹底して文大統領を邪魔者扱いしていたと書かれていたそうなのです。
これを韓国メディアに「リーク」したのは明らかにアメリカ政府です。
そしてタイミング的に、その動機は「文政権がハノイ会談の決裂をアメリカに責任転嫁したこと」が原因です。
つまり、アメリカは文政権による責任転嫁に対して、徹底して文政権のメンツをつぶすことで答えたというわけです。
これが非常に重要で、特に日本に抜けている態度です。
なぜ重要なのかというと、韓国社会は約束やルールというものに無頓着であり、だからこそこういった場当たり的な責任転嫁が安易にできてしまうわけですが、これに対処できる方法が一つだけあります。
それは、約束やルールの重要性そのものは理解できないが、「約束やルールを破る事で発生するリスク」に関しては、経験則として彼らでも理解できるという事です。
平たく書けば、「約束を破る事自体の問題点」は理解できないが、「約束を破ることで受けた被害」なら理解できるため、「〇〇との約束やルールを破るとリスクがある」という事はわかるのです。
なのでアメリカは、責任転嫁に対して「即座に文政権のメンツを潰す」という方針に出たわけです。
日本は何かと「相手のメンツを立てる」という態度を取りがちで、韓国に対しても「メンツだけは保てるように配慮する」という方針をとる場合が多いですが、それを繰り返してきた結果が現状です。
日本側は「お互い様」を期待してそうした方針をとるのでしょうが、韓国側にはそれが通じないからメンツを守ってあげればあげるほど事態が悪化していったわけです。
そしてアメリカはそれとは逆に、文政権のメンツを徹底的につぶすことで、「そういう事をすればリスクがあるのだ」と解らせたというわけです。
実際、文政権はその後同様の事を一切言っていないどころか、アメリカに対しても何一つ不満の声を挙げていません。
日本の場合には、これまでがこれまでである上に、「韓国の側に立つ人々」が多数いるため、なかなかアメリカのようにうまくはいかないでしょうが、韓国のメンツを無駄に保とうとせず、欠礼にははっきりとメンツをつぶすような態度を取り続ければ、いずれ彼らは「欠礼がリスクにしかならない」と学習するようになるというわけです。
もちろん、その場合にも感情的にならず「淡々と無味乾燥に、事務的に」行う必要がありますが。
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