さて、本日は一連の日韓首脳会談に関して、「否定的」「肯定的」様々な意見が出てきているので、それに対する私見を書いていきます。
初めて来られた方はまずこちらを先に読む事をお勧めします。
ブログ『日韓問題(初心者向け)』を始めた理由 - 日韓問題(初心者向け)
注意
・このブログは「日韓の価値観の違い」を初心者向けに扱っています
・当ブログのスタンスは「価値観に善悪や優劣は存在しない」というものです
・相手が不法を働いているからと、こちらが不法をして良い理由にはなりません
・自身の常識が相手にとっても常識とは限りません、「他者がそれを見たらどう思うか」という客観性を常に持ちましょう
・日常生活で注意する程度には言動に注意を心がけてください
一連の岸田首相による訪韓と、そこで交わされた言葉やその後の動きに関し、これをポジティブにとらえる意見と、ネガティブにとらえる意見がメディアやネット上に多数見られ、かなりの賛否があるのがわかる。
しかし観察していてわかるのは、否定的であれ肯定的であれ、この件を評価している人々が見落としている点として「韓国人の多くが今回の件に不満を持つか、あるいは先送りを選んだだけ」であり、実は「韓国人達の望み通りの結果ではない」ということがある。
つまり、岸田首相の発言やその後に決定されたことは、韓国にとって有利に働くことは無く、またそうであるからこそ「いずれまた問題は再発する」ということがわかり、むしろ慰安婦合意の事例のように利用できるチャンスが来ているともいえる。
※本文中のリンクは引用の元記事、或いはウェブアーカイブやウェブ魚拓(別サイト)へのリンクです。
以下から本文
1:日本で別れる賛否
まずはこちらから
尹大統領、日韓関係「過去最高にできる」 閣僚らに協力策の実行指示
朝日新聞 2023年5月9日
https://www.asahi.com/articles/ASR594G7RR59UHBI00X.html
韓国の尹錫悦(ユンソンニョル)大統領は9日、
閣議で「少し前まで想像できなかったことがいま、韓日の間で行われている」と日韓関係の急速な改善を高く評価し、「互いに交流、協力しながら信頼を積み重ねていけば、韓日関係が過去に最も良かった時期を超え、新しい未来を開拓していけるだろう」と述べた。
韓国の尹政権、ぶれない民主主義陣営の連帯重視 日韓も「未来志向」
尹氏は閣議で、7日の日韓首脳会談後の記者会見で、岸田文雄首相が徴用工問題をめぐって「心が痛む思いだ」と述べたことについても言及。「暗い過去の歴史から目を背けずに真摯(しんし)な心で向き合えば、韓日両国が直面する困難を克服し、新しい未来を開くことができる」と述べた。
その上で関係改善による恩恵を「韓国の国民が体感できる」ようにすることが重要だとし、閣僚らに首脳会談で議論された多様な協力策を着実に推進していくよう指示した。
3月に韓国政府が元徴用工の訴訟をめぐる問題の「解決策」を発表した後、両首脳は互いに行き来しあう「シャトル外交」を約12年ぶりに再開することで合意。各分野の交流も急速に再開・拡大しつつある。
今回の岸田氏の訪韓では、東京電力福島第一原発の処理水の海洋放出をめぐり、日本側が韓国の専門家の現地視察を受け入れることでも一致した。(ソウル=稲田清英)
記事では、尹大統領が一連の日韓首脳会談を肯定的にとらえており、「互いに交流、協力しながら信頼を積み重ねていけば、韓日関係が過去に最も良かった時期を超え、新しい未来を開拓していけるだろう」とコメントしたと書かれています。
「心が痛む思いだ」という岸田首相の発言も、好意的にとらえられていると書かれています。
また次の記事によると
「心痛む」発言は首相判断 安倍氏の慰安婦合意を踏襲
共同通信/47NEWS 2023年05月08日
https://www.47news.jp/9297759.html
岸田文雄首相が韓国の尹錫悦大統領との会談で、歴史問題を巡り「心が痛む」と発言したのは、首相自身の判断だったことが分かった。日本政府関係者が8日、明らかにした。故
安倍晋三元首相が2015年の元
慰安婦合意の際に使った表現を踏襲した形。日本国内の保守層の反発を受けにくいと判断したとみられる。
関係者によると、訪韓前に外務省が歴史認識に関する過去の政府見解をまとめ、首相に渡した。「歴代内閣の立場を全体として引き継ぐ」との日本政府の立場から、どこまで踏み込むかは首相の判断に委ねられた。首相が「心が痛む」と言及したのは、尹氏との少人数会合の場だったという。
「心が痛む」という発言は首相の判断で行われた発言であったとしており、内容的には慰安婦合意の際の安倍首相発言を踏襲したものであると書かれています。
そして話が前後してしまいますが、訪韓の動き自体に関して
まもなく“岸田・尹”日韓首脳会談 「関係改善して良かった」という世論になれば…もう『反日』カード使えなくなるか “おもてなし”と“お土産”にも注目 朝鮮半島情勢に詳しい鴨下ひろみさん解説
カンテレ 2023年05月04日
https://www.ktv.jp/news/feature/230503%E3%80%80nikkannsyunoukaidan/
日韓関係の前進に向け、岸田首相が5月7日から韓国を訪れ、尹錫悦(ユン・ソンニョル)大統領との首脳会談を予定しています。そのさなか、韓国の野党の国会議員が、
島根県の
竹島に上陸し、物議をかもしています。
■【動画で見る】韓国の野党議員が「竹島上陸」 岸田首相の訪韓前に「反日ムード」あおるパフォーマンスか 『反日カード』使えないようにするには? 専門家・鴨下ひろみ氏解説
一方、岸田首相は、“外遊ウィーク”でアフリカなどを歴訪中。その総仕上げとして、7日に韓国を訪れます。シャトル外交での韓国訪問は、12年ぶりのことです。今回の岸田首相訪韓にあたり、日本は韓国に“何を持っていく”ことになるのでしょうか。
このニュースについて、朝鮮半島情勢に詳しい、甲南女子大学・鴨下ひろみ准教授にお話を聞きました。
■議員の“竹島上陸” 韓国内で大きな反応なし 1年生野党議員のパフォーマンスか
まず、韓国の国会議員が竹島に上陸したことについてみていきます。2日、韓国の最大野党「共に民主党」の田溶冀(チョン・ヨンギ)議員らが、竹島に上陸しました。これに対し日本政府は、韓国側に強く抗議しました。
なぜ今このタイミングで竹島に上陸したのか。「岸田首相の訪韓を前に、反日ムードを高めたいから」ではないかと、鴨下さんはみています。親日の立場をとる尹大統領に対して反発し、反日感情をあおる、韓国国民に向けたメッセージなのでしょうか。
【甲南女子大学 鴨下ひろみ准教授】
「野党にとって、尹政権を攻撃するためのカードが『反日』なんです。反日をアピールすることによって、歴史認識問題や領土問題で、日本を批判すれば世論の支持を得やすい、ということがあります。今回竹島に上陸した議員は、野党の中でもかなり厳しい対日強硬派で、政治的なパフォーマンスといった意味合いが大きかったと思います」
「この議員が竹島に上陸したことに対して、韓国内でそれほど大きな反応はないです。まだ1年生議員ですし、野党側の議員ですので、それほど大きな話題にはなっていないと思います」
■尹大統領は強い“信念の人” 親日路線は簡単に“ぶれない”のでは
次に、尹大統領の支持率についてみていきます。韓国世論調査会社のリアルメーターによると、尹大統領の支持率は、3月に日韓首脳会談が行われたときから、わずかにではありますが、下がり始めました。一方、4月に米韓首脳会談が行われたタイミングで、少し上がりました。不支持率は上昇していて、現在60%を超えています。
この状況を尹大統領が危機的だと捉え、日本への姿勢を変えてくることも懸念されますが、鴨下さんは「親日路線は変えない」とみています。数字を見ると、支持率は低いと言えるでしょうが、それでも国民の声に応じて態度を変える動きにはなってこないのでしょうか。
【甲南女子大学 鴨下ひろみ准教授】
「そうですね。尹大統領は、検事出身で、政治経験が全くないまま大統領になった人です。検事時代は、かなり時の政権にたてつく形で、自分の信念を貫いてきたということがあります。そして就任直後から、日韓関係の改善に強い意欲を持っていますので、そう簡単には“ぶれない”とみています」
■岸田首相訪韓の“おもてなし”と“お土産”は?
ぶれずに親日派でいくとみられる尹大統領と岸田首相は、7日に首脳会談を行います。人と会う時に気になる“おもてなし”と“お土産”についてみていきます。
3月の日韓首脳会談で、尹大統領が訪日した際に、日本側は“異例の2次会待遇”でおもてなししました。すきやきとオムライスをはしごして、日本のビールと韓国の焼酎を混ぜた「爆弾酒」で杯を交わして、親交を深めました。
今回、岸田首相が訪問する際に何をお土産に持っていくのか。過去を振り返ってみますと、2011年に野田元首相が韓国を訪問した際は、李明博大統領に、「朝鮮王朝儀軌」などといった書物を引き渡しました。これは植民地時代に朝鮮半島から日本に持ち込まれ、韓国側が返還を求めていたもので、これを渡すことで友好ムードをアピールしたということです。先のウクライナ訪問では、岸田首相が「必勝しゃもじ」を持って行ったということがありました。
【甲南女子大学 鴨下ひろみ准教授】
「韓国側は、日韓のシャトル外交の復活と、日韓関係の改善を強くアピールしたいと考えていると思いますので、何らかのサプライズを検討しているのだと思います。具体的にはまだ分かりませんが、やはり日本と韓国の象徴になるような形のおもてなしを、検討すると思います」
「韓国側は、3月の尹大統領訪日直後から、日本の“誠意ある対応”“誠意ある呼応”をずっと求めてきています。その流れの中で、何らか韓国にとってメリットになる措置を、日本から引き出したいと考えているのではないかと思います」
ここであらためて、日韓首脳会談のポイントをまとめます。
・北朝鮮の軍事偵察衛星に対して連携
・徴用工や慰安婦など歴史問題への“謝罪”継承
これらを韓国側は日本に求めてくると、鴨下さんはみています。
【甲南女子大学 鴨下ひろみ准教授】
「尹大統領は4月の訪米前のインタビューの中で、『100年前の問題について、日本に再び謝れということはできない』と明言しています。ただ、3月に訪日した際に、韓国ばかりが譲歩して、得るものがなかったではないかと、韓国国内からの批判がありました。野党など中心に『屈辱外交』と言われました。ですのでおわびではないのですけれど、過去に歴代政権が表明した『おわびと反省の気持ちを継承する』と言ってほしいのだと思います」
■日韓の関係の先 日米韓の問題も待ち構える
日韓の関係の先に、日米韓の安全保障問題があると考えられます。4月の米韓首脳会談では、核の共有について踏み込んだ発言がありました。日米韓となると、核問題も含めたいろいろな問題が、日本に突き付けられてくる難しさがあるのではないでしょうか。
【甲南女子大学 鴨下ひろみ准教授】
「核の共有の問題については、米韓でも食い違いがあり、4月の米韓首脳会談の際に、韓国側は『共有する』と発表しましたが、アメリカ側は『共有ではない』と否定する場面がありました。ただ北朝鮮をけん制するためには、アメリカの“核の傘”のもとで、日米韓がしっかり連携して対応していく姿勢を示す必要があると思いますので、核共有の問題はさておいて、日米韓の連携の強化ということを改めて確認されると思います」
■「関係改善して良かった」という世論になれば、「反日」カードは使えなくなる
「newsランナー」の視聴者から、「大統領が変われば、日韓関係はまた悪くなるのでは?」と質問がきています。
【甲南女子大学 鴨下ひろみ准教授】
「ご指摘の通りで、今の尹政権の間に、できる限り日韓関係の強化・改善を図って、『日韓関係改善して良かった』という方向に、韓国国民の世論が進めば、いいのではないかと思います」
「『日韓関係は良くした方がいい』という意見が、韓国でも実は大勢を占めます。ただ、歴史問題や領土問題はどちらの国も譲れない立場がありますので、その点をうまくマネージしながら、国民同士が『日韓は関係改善した方がいいよね』というのがコンセンサスとして広がっていけば、韓国の野党が反日カードを使えなくなる。そうすれば政権交代を心配せずに、日韓関係を維持・継続していくことが可能になっていくとみています」
5月7日から行われる日韓首脳会談、どういった形になっていくのか、注目されます。
(関西テレビ「newsランナー」2023年5月3日放送)
こちらの関西テレビの番組で放送された内容によると、甲南女子大学の教授がインタビューに答え、与野党の「親日・反日」で問題をとらえ、「ぶれずに親日派でいくとみられる尹大統領」と、尹大統領の事をかなり高く評価しています。
そのうえで「日韓関係改善して良かったという方向に、韓国国民の世論が進めば反日にはならない」と分析しており、日本側が韓国人に対して「改善したことのメリット」をアピールできれば、その後また反日にぶり返すことは無いのではないかと発言しています。
また次の事例では
「これからは韓国と仲よくできるぞ」と思っていたら「大間違い」 クールに距離を置いて付き合うべき
ニッポン放送 2023年05月09日
https://news.1242.com/article/435820
政策アナリストの石川和男が5月9日、
ニッポン放送「
飯田浩司のOK! Cozy up!」に出演。韓国・ソウルで行われた日韓首脳会談について解説した。
日韓首脳会談、岸田総理大臣が日韓の信頼関係を強調
韓国を訪問していた岸田総理大臣は5月8日午後、日本に帰国した。総理にとって韓国訪問は就任後初めてで、帰国に先立つ記者団の取材に対し、韓国の尹錫悦(ユン・ソンニョル)大統領との首脳会談について、意義と成果を強調した。尹錫悦大統領は19日に開幕する主要7ヵ国(G7)の広島サミットに合わせて来日する予定。
飯田)日韓の動きが活発になってきています。自民党の麻生副総裁も、11日に韓国訪問を調整していることなどが報じられています。今回の一連の外交をどうご覧になりますか?
石川)今回は韓国でしたが、トップがその国に行くということは、事務的にもそれなりにセットされているでしょう。「大体こんな言葉をお互いのトップが交わし、大体このような両国関係になる」という内容が事務方とセットされている場合がほとんどだと思います。
改善加速が強調される日韓関係だが
石川)これまで韓国とはいろいろな言い合いをしていますが、戦争をしているわけではありません。あくまでも平和的に交流しています。そのなかで総理が訪れたのは、日韓関係が改善していく動きの1つだと思いたいです。
飯田)思いたい。
石川)岸田総理大臣の訪韓や、尹大統領の日本に対するコメント、政策についての発言などを聞いていると、前の政策・政権では日韓関係は慰安婦問題などもあってギクシャクしていたけれど、「これからはいい関係になり、何か言われることが少なくなるのではないか」と、多くの日本人が思っているのではないでしょうか。
飯田)明るくなるのではないか、と。
石川)マスコミの論調などもそのような捉え方が多いですし、自民党の麻生副総裁も韓国訪問を調整しています。日本側も胸襟を開き、いままでが悪過ぎたのだから、これから日韓関係を改善に持っていこう、という動きに見えることは見えます。
「これからは韓国と仲よくできるぞ」と思っていたら、大間違い ~「いつまで続くか」と冷静に考えるべき
石川)今回はたまたま韓国なのですが、外国との関係を考える際、本当にその国との関係で日本がどんな立ち位置なのか、日本人はどう思われているのか、日本人はどのように思っていくべきなのか。特に韓国は隣にあり、最も近い国ではないですか。
飯田)そうですね。
石川)近いが故に喧嘩してきた歴史を我々は見ています。政治的にも日本人からすれば、言いがかりのようなこともいろいろと言われてきたわけではないですか。そのような国が尹政権になって、ようやく「いい雰囲気ではないか」となること自体はいいのですが、いい雰囲気になったからといって「これからは韓国と仲よくできるぞ」と思っていたら、大間違いだと思います。
飯田)大間違いですか。
石川)経済関係では、日本と韓国はそれほど悪くないのです。
飯田)そもそも論として。
石川)私も韓国の製品を使っていますし、韓国人だって日本の商品やサービスなどを使っています。商業ベースでは、それほど悪い関係だとは思いません。
飯田)商業ベースでは。
石川)ところが、政治になった瞬間にイデオロギーなどが入ってきてしまう。慰安婦問題などもあります。貿易関系でも、日本はホワイト国として貿易上有利になることを認めていましたが、何年か前にホワイト国の指定から外した経緯もあります。それを今回、もう1度ホワイト国として認定するということですが、「これで完全に大丈夫」というわけではないのです。そう思うのはいいのですが、「いつまで続くか」については常にクールに考えるべきです。明日、何が起こるかわかりません。
反日感情を持つ韓国国民もいる ~支持率が下がれば尹大統領もどうなるかわからない
飯田)韓国で政変が起きて、尹さんが辞任する可能性もないとは言えない。
石川)日本と韓国の政治的な交友関係について、岸田総理は「新たな時代を切り開く」と言っていましたが、本当にそうなったとき、韓国国民が尹大統領を見て「なぜ日本に甘い顔をしているのだ」と言う韓国人もたくさんいると思います。
飯田)反日感情を持つ国民が。
石川)そのような状況で韓国の世論や支持率が下がっていったときに、尹さんは大統領なので、どうなるかわからない……と思っておいた方がいいのです。
クールに距離を置いて付き合う方が日韓関係はよくなる
飯田)かつて「親日ではないか」という人が、任期の最後に敵対的な対応をするようなことが何度かありました。
石川)トップレベルの人がそうではなくても、韓国の団体などが反日活動を行っている場面をわざとメディアで映し、それをおめでたいことに日本メディアも大きく報道して、「日本が悪いのではないか」と自虐的に報じることもあります。
飯田)謝罪が足りないから韓国でこうなっているではないか、という。
石川)そういうことを言っている日本の政治家はたくさんいます。「そのような状態に戻るかも知れない」と常に思っておくことが大事です。むしろ、心のなかでは距離を置いてクールに付き合っていく方が、日韓関係や外国との関係はよくなると思います。
こちらのニッポン放送の内容では、政策アナリストの石川和男氏がインタビューに答え、先ほどの関西テレビの内容とは正反対に、「「これからは韓国と仲よくできるぞ」と思っていたら、大間違い、いつまで続くかと冷静に考えるべき」と指摘しています。
その理由として「かつて「親日ではないか」という人が、任期の最後に敵対的な対応をするようなことが何度かあった」としたうえで、尹大統領も政権末期になるとどうなるかわからないうえに、日本のメディアが韓国の反日団体などを好意的に報道することで、「謝罪が足りないから韓国でこうなっているではないか」ということを煽る、以前のような状況に戻るかもしれないと指摘しています。
意見そのものは色々あるでしょうが、ネットや日本のメディア報道などを観察していると、大半は韓国を「親日・反日」を前提に考察し、そのうえで「今後どうなるか」を肯定的あるいは否定的に分析している事がわかります。
2:実態はどうなのか
しかし以前から指摘しているように、日韓問題の根底にあるのは「親日か反日か」という区分けではなく、彼ら独特の「絶対的正しさ」という概念や、対等の概念が希薄な徹底した序列社会であり、正しさが序列の高低で決まるうえに、他者の劣等性を自己の正しさの担保とするなど、独特の価値観が日本の価値観と対立している事が問題の原因です。
「親日」「反日」という枠を超えないと実像は見えてこないのです。
※独特の正しさの概念
彼らの正しさの概念は独特であり、根拠を必要としない。
また「この世には最初から一つの正しさが存在する」と考えられており、自分はその正しさを常に選択していると考える傾向にある。
そして正しさ同士がぶつかった場合には、(曲解でも捏造でもその件と全く関係なくともなんでもいいので)相手の劣等性を指摘する事でそれを自己の正しさの担保とする。
また相手の劣等性を指摘した時点で自身が指摘された問題は相手の問題にすり替わる。
【日韓問題】日韓で異なる「正しさ」の概念 前編 - ニコニコ動画
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※被害者が偉い
序列社会の韓国において、何が正しく何が間違っているのかは多くの場合で「序列」によって決定されるが、これには例外があり、「自身が被害者である」と訴え「加害者の劣等性の指摘」を行いそれが社会に認められた場合、一気に序列を飛び越えて「序列の上位者」の地位を得る事ができる。
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そのうえで、「好転している」という評価の韓国の実態を見てみると
韓国国家安保室長「日本、そろそろ韓国の利益のためになるようなことをするべき」
ⓒ 中央日報/中央日報日本語版2023.05.02 06:59
https://japanese.joins.com/JArticle/303857
尹錫悦(ユン・ソクヨル)大統領と
岸田文雄首相
今月7~8日、日本首相としては5年3カ月ぶりに韓国を訪れる
岸田文雄首相の“手土産”に「歴史反省」よりも「未来協力」に対するメッセージが入るという展望が外交界から出ている。
1日、韓日関係に精通したある外交消息筋は「韓国政府は岸田首相が訪韓して今年3月強制徴用解決策発表に呼応する歴史反省発言をするよう期待しているが、日本は韓日米共助の“潤滑油”を供給するための目的で訪韓を計画するとみられる」とし「現在のところはシャトル外交再開のための答礼の訪問以上の意味づけをするの容易ではない状況」と説明した。
これに関連し、実務協議で日本側は1998年金大中(キム・デジュン)-小渕宣言に含まれた「痛切な反省と心からのお詫び」を岸田首相が言及することに対して否定的な態度を見せているという。
これに先立って岸田首相は3月6日の韓国政府の強制徴用解決策発表に呼応して「金大中-小渕宣言」を含む歴代内閣の歴史認識を全体的に継承すると明らかにした。1998年発表された「金大中-小渕宣言」には過去の植民地支配に対する日本の「痛切な反省と心からのお詫び」という内容が含まれているが岸田首相はこれに対して直接言及しなかった。
趙太庸(チョ・テヨン)国家安保室長もこの日YTNに出演して岸田首相の歴史謝罪の必要性に対して「はっきりと申し上げるのは適切ではないようだ」と回答を避けた。このような状況は現在の韓日関係改善動きの出発点が基本的に米国バイデン政府が追求してきた中国・ロシア・北朝鮮関連の韓日米共助強化ドライブにあるためだという指摘だ。岸田首相の訪韓が米国の要請で19~21日に広島で開かれる主要7カ国(G7)首脳会議(サミット)「以後」から「以前」に調整された点もこのような状況をよく表している。
これに伴い、3月に韓国政府が強制徴用解決策を発表して「コップに水が半分以上は入っていて、日本の誠意ある呼応によりそのコップは満たされるだろう」という韓国政府〔朴振(パク・ジン)外交部長官〕の期待通りには物事がスムーズに運ばなさそうだ。日本共同通信も先月30日「岸田首相は自民党保守派の動向に神経を尖らせており、韓国側の要請に応じる見通しは立たない」と診断した。
これとは違い、一部ではバイデン大統領が韓日関係改善のための尹大統領の措置を歓迎して協力拡大を強力に支持したことから岸田首相が最小限の「誠意」を示さなければならないという負担を感じているかもしれないとの観測もあることにはる。
代わりに岸田首相の訪韓は韓日シャトル外交の完全な再開、韓日米安保共助の強化、半導体など経済安保分野協力などに焦点が合わされることが予想される。これに関連して趙室長はYTNのインタビューで「韓日関係が正常化したのでそろそろ韓国の利益のためになるようなことを日本がするべきだ」とし「国民が『韓日関係が正常化するとこういう良いこともある』と感じられるように努力を尽くしていく」と述べた。
◆米国「G7時に韓日米首脳会談開催」
米政府高位当局者は1日、電話を通じて「バイデン大統領がG7首脳会議への出席のために日本を訪問する」とし「この期間に米日韓首脳会談が開催される」と明らかにした。韓日米首脳会談は昨年11月にカンボジア・プノンペンで行われた東南アジア諸国連合(ASEAN)サミット当時に開催されて以来6カ月ぶり。北核脅威の高度化に対応した安保協力、サプライチェーン(供給網)問題の対応などが議題になる見通しだ。
記事では韓国の国家安保室長が日本に対して、岸田首相の訪韓前の時点で「はっきりと申し上げるのは適切ではないようだ」と前置きして「そろそろ韓国の利益のためになるようなことをするべき」と発言しており、韓国政府が「新たな謝罪」を求めていた事がわかります。
つまり、岸田首相が個人的な意見と前置きしたうえで「心が痛む思いだ」と発言したことは、日本でこの発言を否定的にとらえ、「韓国の思惑通りの事をした」と批判している事とは裏腹に、「期待通りの言葉ではなかった」ということがわかります。
と同時に、関係が改善するとしている肯定派の思惑とも異なり、韓国側が岸田首相の態度に本心では満足していない事もわかります。
何より、この国家安保室長の発言は、典型的な「プマシ」です。
関連記事
一連の徴用工問題で注意すべきこと
https://oogchib.hateblo.jp/entry/2023/03/09/020106
(一部抜粋)
これは「プム=手間」「アシ=交換」、意味としては手間のかかることを交換する、つまり一種の共助の事で、日本における田植え、屋根葺きなど一時に多大な労力を要する際におこなう共同労働「結」と例えられることの多い概念です。
しかし実態としては日本の「結」よりももっと広範な概念なうえに、以前紹介した「朝鮮における信頼の断絶」と「疑似的信頼関係を構築するため(日本人から見た)パーソナルスペースへどんどん入り込んでくる態度」などと深く関係した概念です。
上記「疑似的な信頼関係構築」では、お互いに迷惑をかけたり無理を通したりすることで「こんなに相手に負担をかけられるのだ」という事を信頼の担保とし、それを継続させ続けることが人間関係を円滑に進める手段となっているわけですが、プマシとは相手の無理を断らず聞くことで、次に自分も同じく相手に無理を聞いてもらう「予約」をしたことになるという概念です。
つまり、徴用工問題における代位弁済などを、韓国側では「日本側の無理なお願いを聞いた」と考えているので、「それに見合った相応の「返礼」を期待していた」というわけです。
親日・反日ではなく、価値観の違いから来ているすれ違いである事がよく分かる事例です。
また韓国世論の反応を見ても
韓国人の55%「歴史問題謝罪が先」 43%「未来志向の韓日関係を」
聯合ニュース 2023.05.09
https://jp.yna.co.kr/view/AJP20230509000600882
【ソウル
聯合ニュース】韓国での
世論調査で今後の韓日関係について尋ねたところ、55.4%が「関係改善のためには過去の歴史に対する日本の心からの謝罪が先」と答えた。「歴史問題解決への持続的な努力とは別に、未来志向の韓日関係へ進んでいかなければならない」との回答は43.2%だった。
聯合ニュースと
聯合ニュースTVが9日、調査会社のメトリックスに依頼し全国の成人1000人を対象に6~7日に実施した調査の結果を発表した。
韓日は首脳が相互訪問する「シャトル外交」を12年ぶりに再開するなど、本格的な関係改善に乗り出している。ただ今回の調査は、日本の岸田文雄首相が7日に来韓して尹錫悦(ユン・ソクヨル)大統領と会談した結果は反映されていない。
革新層の回答では歴史問題での謝罪をまず求める意見が79.3%に上ったのに対し、尹大統領の支持者が多い保守層では未来志向の韓日関係に重きを置く回答が65.5%を占めた。中道層は「歴史問題の謝罪が先」が61.1%で優勢だった。
支持政党別にみると、「歴史問題の謝罪が先」との回答は、革新系最大野党「共に民主党」支持層で86.0%、革新系野党「正義党」支持層で79.2%だった。保守系与党「国民の力」支持層の場合、20.8%にとどまった。
国民の力支持層では78.9%が「未来志向の韓日関係」を求めた。こうした意見は共に民主党支持層で13.3%、正義党支持層で18.9%だった。
地域別には、革新地盤と呼ばれる光州・全羅道で「歴史問題の謝罪が先」が76.8%に上った。保守層が多いとされる釜山・蔚山・慶尚南道と大邱・慶尚北道はほぼ半々だった。
首都圏をみると、ソウルは「歴史問題の謝罪が先」が48.9%、「未来志向の韓日関係」が50.5%で、仁川・京畿道は「歴史問題の謝罪が先」(58.9%)が優勢だった。
今回の首脳会談を踏まえ「関係改善のためには過去の歴史に対する日本の心からの謝罪が先」という意見が55%、「歴史問題解決への持続的な努力とは別に、未来志向の韓日関係へ進んでいかなければならない」が43%となっており、過半数が「日本はまず謝罪すべき」と考えている事がわかります。
またそれ以上に注目すべきは43%の「歴史問題解決への持続的な努力とは別に、未来志向の韓日関係へ進んでいかなければならない」です。
どういうことかというと、彼らは別に日本に謝罪を求めていないわけでも、韓国の歴史観への追従を求めていないわけでもないということです。
つまり、岸田首相の発言に満足したわけでも、歴史問題での和解が行われたわけでもなく、文政権の頃から基本的な部分が何も変わっていないということです。
岸田首相の発言を「こちらの意図通りの内容だった」と考えている韓国は殆どいないのです。
なので現在の状態は一過性の物でしかないので、「好転した」というわけでもなく、また「岸田首相が考えなしに韓国の思惑通りに発言した」というわけでもない事がわかります。
今回の関係改善を肯定的に評価している韓国人は、「今はひとまず問題を棚上げにした」というだけなのです。
また一連の処理水問題に関しても、
「文字通り視察」という日本…韓国政府の「汚染水実際の検証」に釘刺す
ⓒ 中央日報/中央日報日本語版2023.05.10 09:13
https://japanese.joins.com/JArticle/304174
韓国外交部が韓日首脳会談で合意した福島汚染水視察団の役割と関連し、「汚染水処分の安全性を評価する機会が確保されたもの」と明らかにした。
外交部当局者は9日に記者らと会った席で、視察団派遣と関連し「既に参加してきた国際原子力機関(IAEA)モニタリングタスクフォースに続き独自に汚染水処理の安全性を重層的に検討・評価する機会を確保した。汚染水処分の安全性を重層的に検討し評価する機会を確保したということに意味がある」と強調した。福島に派遣する視察団が独自に汚染水放流の適正性と関連した独自の検証と評価の役割をすることになるだろうという意味だ。
外交部は「視察団」という名称と関連しても、視察団派遣を通じて得られる情報にさらに意味がなければならず、用語にあまり束縛される必要はないと強調した。視察の辞書的意味は「あまねく歩き回り実地の事情を調べる」だ。
外交部が視察団が「視察」を超え「評価」の役割をすることになると強調した背景は、韓国の視察団を派遣したとしても汚染水の安全性を独自に検証するのには限界があるだろうという懸念を意識した措置と解説される。
実際に日本メディアによると、日本の西村康稔経済産業相はこの日の会見で、上半期に出されるIAEAの報告書を基に透明に情報を発信して韓国を含む国際社会の理解を求めるために努力するとしながらも、「処理水の安全性について評価や確認を行うものではない」と話した。視察団の役割が単純な視察にだけ限定されるだろうという意味だ。
外交部は日本メディアの報道に対して直接反論はしなかった。しかし内部的には韓日の外交的関係を考慮して名称を視察団にしただけで検証の役割をする余地は十分という立場だ。このため視察団の派遣日程も当初伝えられた23~24日の2日間ではなく4日以上必要だとみて近く日本と局長級協議を始める計画だ。
この日国会外交統一委員会懸案報告に出席した外交部のチャン・ホジン第1次官も「視察団は実際の検証に近い活動をするだろう」と明らかにした。日本メディアの報道に対しては「用語上の違い。来週視察団をどのように運営するのか局長級協議をする計画」と話した。
チャン次官は「日本は主権国家で、主権国家のことを他の主権国家が検証するのは問題があるため日本が『検証』という用語を避ける側面がある。(視察団がすることが)検証であれ視察であれ観察であれ、実際に重要なことは現場に入ってどんな活動をするかで、韓国政府は国民の懸念を払拭させるため最大限の努力をするだろう」と強調した。
チャン次官はまた、福島産水産物輸入問題に対しては、「福島産水産物問題は(汚染水)評価とは全く関係なく水産物に対する立場に全く変化はない。水産物に対しては国民の生命と安全、衛生を最優先にするだろう」と強調した。ただ日本政府が汚染水放流を計画する時期が「今年春から夏の間になるものと承知している。それほど時間は多くない状況」と付け加えた。
大統領室高位関係者もやはりこの日記者らと会った席で「検証の役割はIAEAの専門家がするものと承知している」としながらも「まだ韓日当局間で具体的な協議手続きが完了していない状態」と話した。実務協議で視察団の役割が規定されるだろうという意味だ。同関係者はその上で「韓国と日本国民の健康を懸念させる放流は絶対ないだろう。日本国民と韓国国民の安全を心配させたり、海洋環境を悪くする放流は認めないだろう」と強調した。
韓国側は「事実上の査察だ」ということにしたいようですが、日本側は「汚染水処分の安全性を評価する機会」と説明しており、韓国側の「視察団」がIAEAによる検証以上の事ができるわけでもなく、単に「やってきて説明を受けた」というだけになることがほぼ確実です。
そして韓国側では以下のように
韓日首脳会談 「汚染水放出の名分作り」と批判=韓国市民団体
聯合ニュース 2023.05.09
https://jp.yna.co.kr/view/AJP20230509002100882
【ソウル
聯合ニュース】韓国の市民団体「歴史正義と平和な韓日関係のための共同行動(韓日歴史正義平和行動)」などは9日、国会で記者会見を開き、7日にソウルで開かれた韓日首脳会談について、「日本の汚染水投棄(海洋放出)のための名分作りにすぎなかった」と批判した。
また、「肝心なのは日本の真摯(しんし)な謝罪と反省の表明だったが、結局、一言の謝罪もない『手ぶら』会談に終わった」と指摘。岸田文雄首相が徴用問題を巡り、「当時、厳しい環境で多数の方々が大変苦しい、悲しい思いをされたことに心が痛む思いだ」と発言したことについては、「心が痛むという表現が本心なら謝罪せよ」として、「日本の植民地支配を謝罪せず、強制動員を認めないままでの韓日関係改善は屈辱だ」と主張した。
東京電力福島第1原発にたまる処理済み汚染水の海洋放出問題を巡り、韓国の視察団を現地に派遣することに合意したことに関しても、「具体的な計画のない視察は韓国が日本の汚染水放出を理解したものとして利用される」とし、「形だけの視察団派遣ではなく、共同調査団を構成し、福島産水産物の輸入禁止を正式な措置に転換すべきだ」と求めた。
訪問が「日本の汚染水投棄(海洋放出)のための名分作りにすぎなかった」と批判が出てきており、こちらも「韓国の思惑通りに行く」と考えている韓国人達が殆どおらず、韓国に有利になったということもないとわかります。
そもそも韓国側の求める謝罪とは以下のように
【コラム】尹錫悦外交、内部説得に失敗すれば水の泡に(2)
ⓒ 中央日報/中央日報日本語版2023.05.01 11:55
https://japanese.joins.com/JArticle/303840
(一部抜粋)
岸田首相が7日に答礼訪問する。尹大統領は日帝徴用被害者への賠償を日本戦犯企業にさせない第三者代位弁済を決断した。岸田首相も「痛切なお詫びと反省」程度の表現で呼応しなければならない。尹大統領は「百年前のことで無条件にひざまずけといえない」と発言し、厳しい批判を受けた。このような時に岸田首相が「百回、千回でもひざまずく用意がある」と言えばどうだろうか。
李容洙ハルモニ、正義記憶連帯理事長に会い「水曜集会は支持するが方式変えねば」
朝鮮日報 2020/07/04
https://web.archive.org/web/20200705025557/http://www.chosunonline.com/site/data/html_dir/2020/07/04/2020070480005.html
(一部抜粋)
李容洙さんはまた、「韓日青年世代交流のため、地域別の慰安婦歴史教育館活性化が必要だ。(慰安婦被害者生活施設)『ナヌムの家』を『京畿道広州、日本軍慰安婦歴史館』に名前を変え、歴史館内に教育館を設置するべきだ」と主張した。また、「少女像を最終的には東京の真ん中に建てて、行き来する人々がみんな謝罪できるようにしなければならない」とも言った。
「日本が謝罪し続ける限り、その間は許す」というもので、彼らは謝罪すれば問題を解決できるとは元から考えていないわけですから、事実上日本側の想定するような関係改善などできるわけがないのです。
3:どんな意図があったか
今回紹介したように、実のところ今日本国内で岸田首相の訪韓を否定的であれ肯定的であれ、何らかの評価を行っている人達の大半は、「実際に韓国側はどうとらえているか」「何を問題視し何を望んでいるか」を評価の判断に入れていないものが大半なのです。
そのうえで、あくまで現状に関しての私の評価としては、岸田首相の言動は日本にとってプラスにつなげられるのではないかと考えています。
どういうことかというと、一連の岸田首相の言動は、「韓国ではなく別の相手へのメッセージではないか」と考えたからです。
今回紹介したように、日本国内での批評とは裏腹に、韓国内で岸田首相の今回の言動に満足している韓国人はほとんどおらず、むしろ尹政権はその場を取り繕おうと火消しに必死というのが実態です。
また、ある程度韓国を観察していれば、岸田首相の今回の言動程度で韓国側が満足しないであろうことは大体わかります。
つまり、岸田首相や日本政府は「それをわかっていての言動」というわけです。
では岸田首相のメッセージはどこに向けてのものかといえば、それは以下を読めばわかります。
米「韓日会談、真のリーダーシップの見本」…3カ国NCGには「協力すべき」
ⓒ 中央日報/中央日報日本語版2023.05.09 17:56
https://japanese.joins.com/JArticle/304163
米国政府が韓日首脳会談に対し「真のリーダーシップの見本」として再度評価した。尹錫悦(ユン・ソクヨル)大統領が「過去に足かせをかけられてはならない」として韓日間の未来協力を強調し、日本の
岸田文雄首相が個人の考えであることを前提に「厳しい環境のもとで多数の方々が大変苦しい思いをされたことに心が痛む」と事実上強制徴用被害者に対し遺憾を示したことと関連してだ。
米国務省のパテル副報道官は8日の定例会見で、今回の会談と関連した質疑に「歓迎する。われわれの同盟とパートナーに重要な新たな1ページであり新たな始まり、真のリーダーシップの見本」と明らかにした。その上で「これは法治主義とインド太平洋地域で平和と繁栄を進展させるための同等な献身と共同の約束を尊重する同じ考えを持つ国同士の新たな推進力を作り出した。われわれはこうした利益を増進するために同盟である韓日と他のパートナーたちと協力を続けるだろう」と付け加えた。
パテル副報道官は尹大統領が7日の首脳会談後の共同記者会見で、韓米間の核協議グループ(NCG)と関連して「日本の参加を排除しない」と話したことに対しては「きょう(韓米首脳会談の結果である)ワシントン宣言の変化と関連して発表する内容はない」と即答を避けた。その一方で「もちろんわれわれはパートナーである韓日間の協力の増大を歓迎し、これは韓米日間の協力増大についても同じこと」と話した。今後韓米・日米の2国間と3カ国間で関連議論を継続できるという意味とみられる。
パテル副報道官はまた、中国が韓日首脳会談の結果に対して強い不満を示し、今年末の韓日中首脳会談の開催に否定的な反応を見せたことに対しては「それはわれわれのパートナーである韓日に問う内容」と話した。続けて「われわれはどの国にも米国と中国、あるいは米国とある国の中から選択しろと要求しないことを明確にしてきた」と付け加えた。
◇「三角軍事協力の上限高める」
米議会でも今回の会談に対する肯定的な評価が続いた。マイケル・マッコール下院外交委員長はボイス・オブ・アメリカ(VOA)とのインタビューで、「韓日首脳会談と韓日米首脳会談がインド太平洋地域で米国とわれわれのパートナーの間で増加する協力をベースに発展を続けることを希望する」と明らかにした。19日に広島で開かれる先進7カ国(G7)首脳会議を契機に開かれる3カ国首脳会談に対する期待感を示したものだ。
これと関連してマッコール委員長は「今月G7諸国が中国共産党の経済的強要に対抗して共助を拡大するよう望む」とも話した。事実上3カ国間でも対中牽制に向けた協議がなければならないという意味だった。
韓日シャトル外交復元が韓米日の安保協力だけでなく米国が主導する半導体供給網再編のスピードを高めるだろうという見通しも米国の専門家の間で出ているとVOAは9日に伝えた。米国外交問題評議会(CFR)のスコット・スナイダー韓米政策局長は「韓日シャトル外交復元が重要なことは(韓米日)三角協力の上限線を高めたという点。軍事協力の可能性が大きくなった。2018年のレーダー照射問題後に韓日間の軍事作戦と関連して存在した制約が取り除かれることを希望する」と話した。
これに先立ち文在寅(ムン・ジェイン)政権時代の2018年12月に韓国海軍の艦艇が日本の海上哨戒機に対して低空威嚇飛行を理由に一種の攻撃の意思を意味する射撃統制レーダーを照射したかをめぐり両国間の外交問題に飛び火した。この懸案に対して両国当局の立場の違いは変わらない状況だ。
米ハドソン研究所アジア太平洋安全保障部長のパトリック・クローニン氏は「(NCGの日本参加は)共同の脅威を考慮すれば必要な部分。先に韓米間で推進するが、追加で3カ国間で核戦略計画を話し合う余地がある」と指摘した。
ブルッキングス研究所のアンドリュー・ヨー上級研究員は放送で「(韓日の半導体分野協力は)米国と同盟の経済安全保障と供給網の弾力性強化に極めて重要な措置。米国が輸出統制をしながら中国に対する圧力を強化したが、韓日の協力なくして米国が中国に対する効果的な輸出統制をする方法はない」と分析した。ただヨー氏は「韓日が一部領域では競合するので米国が望む水準の半導体供給網協力を図るのは依然として難しいかもしれない」と付け加えた。これは韓国と日本がそれぞれ大規模な半導体インフラ新設に出るなど国を挙げた総力戦に突入した状況を意味したとみられる。
米政府「韓日関係の改善、バイデン大統領が水面下で役割」
ⓒ 中央日報/中央日報日本語版2023.04.27 06:51
https://japanese.joins.com/JArticle/303697
米
ホワイトハウスが26日、韓米首脳会談以前に韓日関係を先に正常化するための「水面下での役割」を果たしたと明らかにした。また、米政府は韓日関係の改善を「今後立てられる集合の初期段階」とし、今後韓日米3カ国が中心となった強い協力モデルを構想中であることを示唆した。
米高官は25日(現地時間)、電話ブリーフィングで「バイデン大統領は韓日関係の改善のために水面下で対話を支援することに長い間関心を持ってきし、我々はそうしてきた」とし「尹錫悦(ユン・ソクヨル)大統領の成功的な東京訪問と日本が5月広島で開かれる主要7カ国(G7)サミットに韓国を招待したことも注目するだろう」と述べた。この高官は「3カ国の指導者がカンボジア・プノンペンで発表した3カ国宣言はリアルタイムでミサイルデータの共有と新しい経済安保対話を含む新しい計画を意味する」とし「今後、この分野で大きなチャンスを得ることになるだろう」と強調した。
尹大統領は昨年11月の韓日米首脳会談で初めて3カ国共同声明を採択した後、「北朝鮮のミサイルに関するリアルタイムでの情報共有、経済的強圧に対応するための連携、サプライチェーンかく乱、気候変動、デジタル経済など複合課題に対する共同対応を話し合った」と明らかにした。
梨花(イファ)女子大学のパク・インフィ教授は「米国が韓日米を中心に置いて統合的安保協力モデルを構想しているという意味だろう」とし「韓日関係の正常化推進で国内政治的に負担を抱いている尹錫悦政府を支援する効果を期待した可能性もある」と話した。
一方、松野博一官房長官は同日の記者会見で、韓国が日本を「ホワイトリスト」(輸出審査優待国)に復帰させたことに対して歓迎の意を表し、「(日本も)責任ある判断をする」と述べた。
アメリカ側は今回の会談を「真のリーダーシップの見本」「歓迎する」と手放しで評価しており、また次の記事を読むと、一連の尹大統領による「(日本に)100年前のことでひざまずけとは言えない」という発言なども、恐らく尹大統領の意思というより、アメリカ側の意向で行った発言であろうことがわかり、一連の日韓の動きにアメリカが深く関わっている事がわかるわけです。
これは「単にアメリカの御機嫌を取った」というものではありません。
むしろ慰安婦合意と同じく、「こちらはやるべきことをやり、けじめをつけて終わらせた」というメッセージをアメリカと国際社会に向けて送ったということです。
なぜそれが重要なのかといえば、そもそもの問題点として「韓国側の歴史観の問題点」というのは、現状世界どころか日本国内ですらあまり周知されていません。
なので慰安婦合意の事例では、まず慰安婦合意と「首相のお詫び」で「けじめ」をつけたうえで、その後ラムザイヤー論文などの手法で、「誤解を解いていく」という手法を取っています。
なのでその後韓国側の慰安婦問題関連での動きはほとんどありません、なぜなら「問題は終わった事」と国際社会から見られているうえに、そのうえでの検証で「それまで言われていた事と異なる慰安婦像」が出てきたので、韓国に協力するところがほどんどないからです。
私は一連の代位弁済、そして今回の岸田首相の言動を見て、同じことをやっているのではないかと考えました。
また処理水問題に関しても、韓国側にIAEA以上の事ができないのですから、「来て説明を受ければそれ以上のことはできない」うえに、同じくこれも国際社会からは「日本の説明を受け問題は解決した」と判断されます。
つまり、一連の言動は「問題が解決した」という事を、アメリカと国際社会に向けて送ったものであり、端から韓国の事など考慮されていないというのが私の評価です。
実際、代位弁済でも
国連やEUも徴用問題解決策を歓迎…中国は「米国の圧力で和解」
朝鮮日報 2023/03/08
https://www.chosunonline.com/site/data/html_dir/2023/03/08/2023030880069.html
韓国政府が発表した
日帝時代の強制徴用問題解決策について、国連と
欧州連合(
EU)は一斉に歓迎の意向を明確にした。国連のグテーレス事務総長は6日(現地時間)、米政府系放送「
ボイス・オブ・アメリカ(
VOA)」とのインタビューで「最近韓日間で行われている前向きな交流と未来志向的な対話を歓迎する」「両国が紛争への包括的な解決策を見いだすよう後押ししたい」と述べた。
EUの外務省に相当する欧州対外活動庁(EEAS)は声明を出し「EUは韓国と日本の政府が両国関係を発展させ、未来志向的な関係を構築する努力の一環として今回発表した重要な内容を歓迎する」「韓国と日本はEUと同じ考えを持つ重要な戦略的パートナーだ。両国の協力は国際規範に基づく秩序を強化し、インド・太平洋地域を自由で開かれたものとする重要な軸になるだろう」と歓迎した。
これに対して中国は、韓国政府の発表により韓日関係が急速に回復することを警戒しているようだ。中国国営の新華社通信は「(韓国の発表は)日本と米国から歓迎されるだけで、韓国国内では歴史を排斥したものと批判されている」「尹錫悦(ユン・ソンニョル)政権の解決策は最終的に米国政府が推進したものであり、米国は引き続き韓日両国に圧力を加え双方を和解させている」と報じた。中国外交部(省に相当)は日本にざんげを求めた。中国外交部の毛寧報道官は「強制徴用と奴隷労働は日本の軍国主義が対外侵略と植民統治の期間に中国や韓国などを含むアジアの人たちに犯した深刻な人道主義的罪行だ」「日本側は歴史を直視し、歴史を反省し、歴史的罪行に対するざんげと被害者尊重を実際の行動で示すべきだ」と指摘した。
チャン・ミンソク記者
国連やEUが代位弁済を「歓迎」しており、これ以上韓国が日本に要求を繰り返せば、「もう代位弁済で解決したではないか」と言われ、むしろ国際社会は韓国側に不信感を持つのは確実です。
つまり、歴史というものは後世の「発見」で覆されることなど日常なので、まず「問題の解決」をしたうえで、歴史問題の「後処理」をして行けばいいだけであり、今回の岸田首相の言動は、国際社会へ向けての「問題は解決した」というメッセージであるというのが、私の評価です。
韓国的価値観ではそもそも問題の解決などできるわけもないですし、このまま日本が強硬であり続けても「双方に問題がある」と国際社会から評価されるだけですから、それを見越して先手を取り区切りをつけることで、最善ではないにせよ、今回の訪韓で「最も現実的で妥当な選択をした」というわけです。
ある意味で、日本政府は「まず終わらせてから問題を解決する」という手法を取ったとも言えます。
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