さて、本日は最近日本のニュースではあまり取り上げられていない、徴用工問題の現在の状態について書いていきます。
初めて来られた方はまずこちらを先に読む事をお勧めします。
ブログ『日韓問題(初心者向け)』を始めた理由 - 日韓問題(初心者向け)
注意
・このブログは「日韓の価値観の違い」を初心者向けに扱っています
・当ブログのスタンスは「価値観に善悪や優劣は存在しない」というものです
・相手が不法を働いているからと、こちらが不法をして良い理由にはなりません
・自身の常識が相手にとっても常識とは限りません、「他者がそれを見たらどう思うか」という客観性を常に持ちましょう
・日常生活で注意する程度には言動に注意を心がけてください
現在、韓国で徴用工問題がどうなっているかといえば、韓国政府が提案した代位弁済を韓国の裁判所によって否定され、21日に大法院で上告審判決が出されることとなっており、判決内容によっては問題が悪化する可能性が出てきている。
既に多数の第三国立ち合いで「決着がついた」問題であるため、日本側がおかしなことをしない限り問題はないが、韓国内では「日本が賠償すべき」という声が極めて大きく、反発も根強いため、大法院の判決次第では更なる日韓関係の火種になることも十分にありえる。
この件で不審な動きがあり、韓国メディアや政治家が、あたかも日本の政界や経済界が韓国の言う所の「誠意ある措置」を行う用意があるか、或いは話し合う余地があるかのような態度を示しているという情報を出してきており、いつもの「そんな事は言っていない」の可能性が高いが要警戒の状態となっている。
※本文中のリンクは引用の元記事、或いはウェブアーカイブやウェブ魚拓(別サイト)へのリンクです。
以下から本文
1:徴用工問題の現状
まずはこちらから
徴用訴訟巡り「調和の取れた方法探す」 韓国外相候補
聯合ニュース 2023.12.20
https://jp.yna.co.kr/view/AJP20231220001600882
【ソウル
聯合ニュース】韓国の外交部長官候補の趙兌烈(チョ・テヨル)元
国連大使は20日、日本企業を相手取った韓国の徴用被害者の訴訟問題について、「非常に困難な事案。尹錫悦(ユン・ソクヨル)政権が打ち出した解決策を基に、韓日関係も考え、被害者のさまざまな所信も勘案しながら調和の取れた方法を見いだせるよう努めていく」と述べた。国会の人事
聴聞会準備のためのオフィスを置いたソウル市内のビルに向かう途中、記者の質問に答えた。
韓国大法院(最高裁)は21日、徴用被害者と遺族の4人が三菱重工業を相手取って起こした損害賠償請求訴訟の上告審判決を言い渡す予定だ。
損害賠償を命じる判決が確定すれば、韓国政府傘下の財団が日本企業に代わって賠償金などを支給する「第三者弁済」の適用対象が増えることになる。政府は今年3月、この第三者弁済を柱とする徴用問題の解決策を発表し、係争中の訴訟についても原告勝訴が確定した場合は財団が判決金を支払う方針を示していた。ただ、原告の一部は政府の解決策の受け入れを拒んでいる。
趙氏は一方、対中国外交の方向性に関する質問に、「韓中関係も韓米同盟に劣らず重要な関係だ」と応じ、「調和の取れた両国関係を維持する方法を見いだす努力をしていく」と述べた。
政府が来年上半期中の開催を推進する韓中日首脳会談に関しては、「3カ国の間である程度、共通認識ができていると承知している」とし、「できるだけ早期に開催されるよう努める」と語った。
また、「韓米日と朝中ロの対立構図が強まることは韓国の外交にとって決して良いことではない」と述べ、このことを念頭に置いて安全保障情勢に対処していくと説明した。
現在韓国では「徴用工被害者」とされる人々※が尹政権の提示した「第三者弁済」方式による実質的な賠償を拒否し、日本企業に賠償をさせるよう裁判を起こし、地裁がその殆どに対して供託申請を受け入れない不受理決定を下した状態になっています。
※慰安婦問題と同じく証言の客観的検証は行われていません、時系列上の矛盾や「騙されて徴用された」等の証言に裏付けがないという事です。
そして記事にもあるように、韓国政府が上告し21日にその判決が韓国大法院から出されるようなのですが、判決次第では問題が振出しに戻るどころか拡大するというのが現状です。
こうなった経緯として
供託10件のうち8件、裁判所が不受理…強制徴用「第三者弁済」の行方は(1)
ⓒ 中央日報/中央日報日本語版2023.07.07 08:11
https://japanese.joins.com/JArticle/306301
徴用問題の解決策として第
三者弁済案を出して賠償手続きを続けてきた韓国政府の動きにブレーキがかかった。2018年の大法院(
最高裁)判決で勝訴した15人(原告基準14人)のうち第
三者弁済を拒否した4人の徴用被害者と遺族に対する賠償金を供託しようとしていた計画が難関にぶつかったのだ。
外交部と日帝強制動員被害者支援財団(以下、支援財団)は3日、被害者・遺族の居住地に基づき光州(クァンジュ)・全州(チョンジュ)・水原(スウォン)地裁などに10件(6日基準)の供託申請書類を提出したが、このうち8件に対して裁判所が供託申請を受け入れない不受理決定を下した。残りの2件のうち1件は不備書類を追加で提出した後に供託が可能かどうかの検討が進行される予定で、1件は書類不備を理由に供託申請が返戻された。6日午後現在まで公式的に供託が確定した事例はまだ一件もない。
◆不受理の根拠は民法
各裁判所は政府の供託申請を受理せず、「被害者の意思に反して第三者の支援財団が日本企業(三菱重工業・日本製鉄)の代わりに賠償金を支給したり供託することはできない」という理由を伝えた。
支援財団が2018年の大法院の判決に基づき日本企業が徴用被害者に損害賠償金を支給すべき債権・債務関係に介入する権限自体がないというのが裁判所の判断だ。根拠は「当事者の意思表示で第三者弁済を許容しない場合(第三者は)債務を弁済できない」という民法(第469条2項)条項だ。
3日に供託申請の件に対して初めて不受理決定を下した光州地裁の供託官はもちろん、その後に不受理結論を出した水原地裁もこの民法規定を根拠とした。これを受け、供託が可能かどうかに対する判断は民事裁判所がすることになった。裁判所の判断に従わない場合、抗告と上告手続きを通じて大法院が最終判断を下す可能性もある。
◆外交部「第三者も供託可能」
外交部の立場は異なる。外交部は外部法律諮問を経て「供託自体が利子負担など弁済が延ばされて生じる不利益から債務者を保護するための制度であり、徴用被害者が第三者弁済を拒否する状況に包括的に活用することができる」とみている。
こうした法の解釈も「債権者が弁済を受けなかったり、受けることができない場合には、弁済者は債権者のために弁済の目的物を供託し、その債務を免れることができる」という民法(第487条)を根拠としている。政府のこうした判断をはじめとする第三者弁済推進過程全般の法律検討は「法務法人世宗(セジョン)」が担当している。
政府関係者は「供託は、債務者(支援財団)が弁済意思を明らかにしたが、債権者(徴用被害者と遺族)が弁済金を受けない状況で、債務者を保護するための制度」とし「第三者弁済を進めてきた支援財団は供託する権限がある」と主張した。そして「債権者がお金を受け取らず供託を進めるが、『債権者が弁済を望まない』という理由で供託を受理しないこと自体が矛盾している」と述べた。
供託10件のうち8件、裁判所が不受理…強制徴用「第三者弁済」の行方は(2)
ⓒ 中央日報/中央日報日本語版2023.07.07 08:12
https://japanese.joins.com/JArticle/306302
◆供託手続きにブレーキ…「解決策完結性」に疑問
しかし今後、裁判所がいかなる判断をするかに関係がなく、供託の可否をめぐり政府と裁判所が対立する状況自体が、徴用解決策の完結性をめぐる疑問につながったという懸念が出ている。
一部の被害者が第三者弁済に反対してきたため、供託は政府が第三者弁済案を発表する時から事実上予想されていたことだった。被害者が支援財団の賠償金支給を最後まで拒否する場合、供託以外には弁済手続きを終える選択肢がないからだ。
現実的に政府は被害者が賠償金受領を拒否する場合、年20%にのぼる遅延利子を支払わなければならない。被害者に対する説得作業を無制限に続けるのは難しい構造ということだ。このため外交部当局者は3月6日に政府が第三者弁済案を公式発表した当時も「法理的に(被害者が)判決金を最後まで受領しなければ供託が可能とみられる」とし、第三者弁済案を設計する初期から供託手続きを念頭に置いていたことを示唆した。
◆不受理結論なら論争が再点火
裁判所が政府の立場とは違い「不受理が正しい」という結論を出す場合、状況はさらに複雑になりかねない。
政府が供託を推進した理由は、大法院の判決に基づく賠償金支給のために日本企業の国内資産売却とこれを通じた現金化手続きを防ぐためだった。しかし供託が不可能になる場合、韓日関係悪化の核心原因となった現金化をめぐる論争が「原点」に回帰する。
外交筋は「供託の可否をめぐり外交部と裁判所の供託官の立場が対立し、それぞれの法的根拠を前に出しているだけに、結果は予断するのが難しい」とし「内部的には、最悪の場合、裁判所が不受理決定を出す状況が生じることがあるという懸念も一部あるのが事実」と話した。続いて「ただ、第三者弁済案を通じて15人のうち11人の被害者と遺族が賠償金を受領し、韓日関係が改善してから一定水準以上の信頼が築かれただけに、現金化の論争が生じるとしてもその余波は制限的なものになるだろう」と話した。
こちらの記事にあるように、2018年の大法院判決で勝訴した原告14人のうち2人と既に死亡した2人の遺族が、第三者弁済を拒否し裁判所に訴え、地裁が、「被害者の意思に反して第三者の支援財団が日本企業(三菱重工業・日本製鉄)の代わりに賠償金を支給したり供託することはできない」という判決を出したのです。
記事では不受理となったのは2件のみとなっていますが、その後結局全て不受理となり、韓国政府が大法院に上告したというのが現在の状況なわけです。
普通に考えれば、国際的には既に「解決済み」となった問題であるわけですから、大法院が訴えを棄却して終わりそうなものなのですが、「国民情緒法」というものがある韓国の現状ではどうなるか未知数です。
また尹政権は釜山万博誘致失敗や景気悪化の件で支持率を下げており、場合によっては2024年4月に韓国で行われる総選挙で与党「国民の力」の大敗もあり得る状況であることから、こちらの面からもどう転ぶかわからない状態です。
参考記事
尹大統領の支持率36.3% 与党36.7%・最大野党44.7%
聯合ニュース 2023.12.18
https://jp.yna.co.kr/view/AJP20231218000200882
尹大統領の支持率31% 再び小幅下落=韓国
聯合ニュース 2023.12.15
https://jp.yna.co.kr/view/AJP20231215002200882
韓国与党 非常対策委員長に尹大統領最側近の法相指名=来春の総選挙見据え
聯合ニュース 2023.12.21
https://jp.yna.co.kr/view/AJP20231221004800882
2:韓国内の動き
当然の事ですが、「解決済み」である以上は日本側がおかしなことをしない限り、日本にこの件で直接的なダメージはありません。
むしろこの状況で大法院が代位弁済を否定し、日本企業の資産現金化という状況になった場合、日本は本当の意味での「報復」を行えますし、少なくともG7諸国は日本を支持するでしょう。
むしろ問題は韓国内の動きで
強制動員問題めぐり、いまだ満たされない「コップの半分」…韓国与党もため息
ハンギョレ新聞 2023-10-17
https://japan.hani.co.kr/arti/international/48098.html
外交通商委員会の国政監査で、尹錫悦政権の対日外交めぐり攻防
韓日関係の最大の争点だった強制動員被害者賠償問題と関連し、日本の被告企業の基金参加など後続措置が行われていないことが、駐日韓国大使館に対する国政監査で議論の的になっている。尹錫悦(ユン・ソクヨル)大統領が一方的な譲歩案を進めているが、日本側が「誠意ある呼応」を示す措置を取っていないという声が与野党からあがった。
国会外交統一委員会所属のユン・ホジュン議員(共に民主党)は16日、東京の駐日韓国大使館で開かれた国政監査で、「強制動員被害者4人は(日本の被告企業の賠償金を韓国の日帝強制動員被害者支援財団が肩代わりする)尹政権の案を今も受け入れていない。韓国政府が大きく譲歩したのに、岸田文雄首相は果たして何を決断したのか」と指摘した。ユン議員は「政府の言う『コップの残りの半分』はまだ満たされていない」と強調した。
同党のパク・ホングン議員も「先日の韓日相互認識調査で、尹政権の韓日関係改善に向けた取り組みは、韓国より日本の方でより支持されていることが分かった」とし、「強制動員問題と汚染水の海洋放出などに対して政府と国民の間に認識の隔たりが大きい」と述べた。さらに「強制動員被告企業である三菱重工業と日本製鉄は、今後謝罪し、基金に参加する可能性があるのか」と追及した。また、韓国が韓日関係改善のために「コップの半分を水を入れ、さらに足しているのに、日本はその水をすぐに飲み干して、歴史歪曲と汚染水で満たしているというのが多数の国民の認識」だと主張した。
与党の「国民の力」からも、日本側の反応が不十分だという指摘が出た。同党のユン・サンヒョン議員は「支援財団にはポスコが40億(約4億4200万円)、個人などが1億(約1100万円)を出した。(韓国の全国経済人連合会と日本の経団連が作った)韓日未来パートナーシップ基金には、両団体がそれぞれ10億ウォン(1億円)拠出している」と述べた。ユン議員は「パク・チン外交部長官は(今年3月)『我々がコップの半分を満たしたため、残りは日本が満たすべき』と発言したが、まだ不十分なのは事実だ」とし、「日本企業が基金にお金を拠出するよう、環境を作らなければならない」と強調した。
このような指摘に対し、ユン・ドクミン大使は「岸田首相はいろいろな国内状況の中で、本人にできる最大限の誠意と真摯さを見せている」と評価した。ユン大使は、今年5月に韓国を訪問した岸田首相が記者会見で歴史問題と関連し「私自身、当時の厳しい環境のもとで、多数の方々が大変苦しい、悲しい思いをされたことに心が痛む思いだ」と述べたことと、広島の韓国人原爆犠牲者慰霊碑に参拝したことを例に挙げた。
ユン大使は韓日未来パートナーシップ基金については「日本企業や経団連と接触しているが、日本側では関連企業が参加するのに時間が必要だという雰囲気」だとし、「全経連に新しい指導部が発足して経団連と協議をしており、良い結果が出るのではないかと思う」と述べた。
東京/キム・ソヨン特派員
野党寄りメディアのハンギョレ新聞2023年10月の記事なのですが、そのなかで最大野党「共に民主党」議員の声として「コップの半分を水を入れ(原文ママ)、さらに足しているのに、日本はその水をすぐに飲み干して、歴史歪曲と汚染水で満たしているというのが多数の国民の認識」というコメントが紹介されています。
また与党議員からも「パク・チン外交部長官は(今年3月)『我々がコップの半分を満たしたため、残りは日本が満たすべき』と発言したが、まだ不十分なのは事実だ」、「日本企業が基金にお金を拠出するよう、環境を作らなければならない」という声があったと書かれています。
以前から何度か書いていますが、日本側の認識では「韓国が国際法違反の状態を是正したのが代位弁済」という認識であるので、マイナスをゼロに戻したというだけの事なのですが、「請求権協定は賠償金ではない」という認識の韓国では、この前提で「日本に一方的に譲歩した」という認識であるので、このような反応になっているわけです。
参考記事
韓国政府の「解説書」入手!やっぱりおかしい大法院判決
FNN 2019年2月4日
https://www.fnn.jp/articles/-/8723
またこうした考え方であるため
韓日未来基金が本格化…「三菱・日本製鉄の参加? 個々の企業が決める」
ⓒ 中央日報/中央日報日本語版2023.05.11 07:08
https://japanese.joins.com/JArticle/304213
韓国の
全国経済人連合会(全経連)と
経団連(
日本経済団体連合会)が共同運営委員会を設置して「韓日・日韓未来パートナーシップ
基金(未来
基金)」造成を本格化する。
全経連と経団連は10日、東京の経団連会館で共同記者会見を行い、未来基金運営委員会と諮問委員会の構成に合意したと明らかにした。
運営委員会共同委員長は金秉準(キム・ビョンジュン)全経連会長職務代行と十倉雅和・経団連会長が務めることになった。運営委員には、韓国側から金ユン(キム・ユン)三養(サムヤン)会長・李雄烈(イ・ウンヨル)コーロングループ名誉会長・ペ祥根(ペ・サングン)全経連専務が、日本側からは佐藤康博・みずほフィナンシャルグループ特別顧問、東原敏昭・日立製作所会、久保田政一・経団連副会長が参加する。諮問委員長は姜晟振(カン・ソンジン)高麗(コリョ)大学経済学科教授と深川由起子・早稲田大学政治経済学術院教授が務める。
この日十倉会長は被告企業の参加に対して、「(三菱重工業・日本製鐵を)必ず入れなければならないとか排除するつもりはない。事業内容によって個々の企業の参加を要請する」としながら「事業への参加は個々の企業の判断に任せる」と述べた。キム職務代行は「被告企業の参加に対して質問すればするほど未来志向的な基金の意味が色あせる」と付け加えた。
また「韓国の全産業体、全経済界に関連した問題であることから誰に対しても開いている」とし「両国が産業的、経済的影響力を高めることなら、4大グループもこのようなプログラムに参加しない理由がない」と述べた。
両団体は半導体や脱炭素問題などを話し合うために7月6日、ソウルで「韓日産業協力フォーラム」を開催する。また、未来世代の交流に関連して両国の大学間の連携の一層の推進や、韓国の高等学校の教員の日本への招へいなどを検討中だ。産業協力の強化に関連して、経済安全保障環境の整備、自由で開かれた国際秩序の維持・強化、グリーントランスフォーメーション・デジタルトランスフォーメーションの実現、産業の国際競争力の強化、感染症など地球規模課題への対応なども検討を深めていく計画だ。
事業時期はまだ決まっていないと明らかにした。キム職務代行は「どれも持続性を持っている事業なので『特定の時期にどこまで完成する』という概念ではない」とし「現在としては半導体協力を通した両国のサプライチェーン(供給網)の構築が急がれているようにみえ、これを早急に進める可能性がある」と答えた。十倉会長は「今はコンセプトを作る段階」とし「7月の日韓産業協力フォーラム前後に運営委員会を招集して議論する」と述べた。
未来基金は尹錫悦(ユン・ソクヨル)大統領が今年3月の訪日の際に日帝強制徴用被害補償問題を「第三者弁済」方式で対応していく方針を明らかにしながら始まった。当時全経連と経団連はそれぞれ10億ウォン(約1億円)と1億円を拠出して基金の運用を始めることにした。
日韓・韓日未来パートナーシップ基金の今後の運営について
一般社団法人 日本経済団体連合会 2023年5月10日
https://www.keidanren.or.jp/policy/2023/032.html
こちらの2023年5月の中央日報の記事でも書かれているように、韓国側は代位弁済以外にも「韓日・日韓未来パートナーシップ基金」という「若手人材交流の促進」や「産業協力の強化」を目的とした財団を設立し、そこに三菱や日本製鉄が資金を出すことを要求しています。
名目上は裁判とは関係ない財団という事になっていますが、韓国側の意図としては「実質的な賠償金を支払った」という既成事実つくりに利用しようとしているわけです。
そのため記事では「被告企業」と表記されています。
またこちらの記事にあるように
徴用訴訟政府案拒否の原告のための募金 75日で目標の6割に=韓国
聯合ニュース 2023.09.11
https://jp.yna.co.kr/view/AJP20230911003000882
【光州聯合ニュース】日本による徴用被害者を支援する韓国の市民団体「日帝強制動員市民の集まり」は11日、徴用訴訟を巡り韓国政府の解決策を拒否した被害者のための募金が開始から75日で6億ウォン(約6600万円)を突破したと発表した。
同団体によると、11日午前9時時点での募金額は6億57万8500ウォン(8389件)で、団体名での募金が多いため、実際に募金に参加した人は件数より多いと予想されるという。
同団体は日本企業の賠償支払いを韓国の財団が肩代わりするという政府の解決策に応じていない徴用訴訟の原告4人を支援するため、6月29日から10億ウォンを目標に募金活動を開始。8月には原告4人に1人当たり1億ウォンの募金を手渡した。
韓国の市民団体が「韓国政府の解決策を拒否した被害者のための募金」を行っており、この流れは慰安婦問題でも度々発生し、問題を拗れさせてきたという経緯があり、同じことが繰り返されている事が分かります。
またこちらの事例のように
韓国政府 徴用問題巡る意見書の修正版を国連人権理事会に再提出
聯合ニュース 2023.12.12
https://jp.yna.co.kr/view/AJP20231212004500882
【ソウル
聯合ニュース】国連特別報告者のフェビアン・サルビオリ氏が国連人権理事会に提出した報告書に関連し韓国政府が送った意見書に「徴用問題に対して日本は公式に謝罪した」とする内容が盛り込まれていた問題で、韓国政府が意見書の内容を修正し先月再提出していたことが12日、分かった。
提出済みの意見書の内容を維持しつつ、「一部の徴用被害者と遺族が引き続き日本政府と企業の公式謝罪と賠償を要求している」という説明が新たに追加された。そのほかの部分については8月に提出された意見書と同じ内容だ。
国連公式文書システムに保存された内容によると、韓国政府は先月14日に修正した意見書を国連に提出した。
岸田文雄首相は5月の韓日首脳会談で徴用問題を巡り、「当時厳しい環境のもとで多数の方々が大変苦しい、悲しい思いをされたことに心が痛む」などと発言。サルビオリ氏の報告書に関連して提出された韓国政府の意見書には岸田首相のこの発言が「公式謝罪」として収録された。これに対し、岸田氏が個人の思いとして発言したものを公式謝罪とは見なせないとして批判が出ていた。
外交部はこのような批判を受け、実務者の不注意だったと釈明し、修正した内容の提出を国連人権理事会側と協議すると表明していた。
外交部当局者は記者団に対し、「修正した意見書の内容が批判の趣旨にあっていない」という指摘に対し、「(岸田氏の発言を)日本の公式謝罪として認めるという意味ではない」とし、「これまで日本が示してきた立場をこの項目に記述しただけ」と説明した。
新たに追加された内容については、「徴用被害者と遺族が日本政府や企業に公式謝罪と賠償を要求しているという客観的内容を新たに追加することになった」と説明した。
外交部の任洙ソク(イム・スソク)報道官はこの日の定例会見で、意見書の再提出に関連し、植民地支配に対する日本政府の謝罪が盛り込まれた1998年の「韓日共同宣言」の精神を一貫して忠実に継承し、未来志向の両国関係を築いていけるよう努力するなどと述べた。
韓国政府は2023年5月、岸田首相が「公式謝罪をした」という意見書を国連人権理事会に提出していたのですが、記事にもあるように韓国内でこれに対し「岸田氏が個人の思いとして発言したものを公式謝罪とは見なせない」という批判が韓国内にありました。
そしてこの件を「共に民主党」が政争に利用し、尹政権批判に使っていたのですが、一連の釜山万博誘致失敗などで政府の失政が続くと、批判にたえられなくなり、「一部の徴用被害者と遺族が引き続き日本政府と企業の公式謝罪と賠償を要求している」という文書を追加した意見書を再提出しました。
根幹部分は変わっていませんが、一度出した意見書を撤回し修正して再提出したことや、引き続き謝罪と賠償を要求する「原告」が存在している事を強調したことは、外交問題がまだ続いている事を認めたようなものであることから、徐々に韓国政府の意見が後退している事がわかります。
3:不審な動き
先ほども書いたように、ここまでであればあくまで「韓国内の問題」であり、日韓関係は悪化してもそれは韓国内の問題が原因でしかなく、日本が何か対応をしなければいけない類の問題ではありません。
しかし一点不審な点があります。
次の記事を読んでもらうと
裏金疑惑で混乱の日本政界、「元徴用工の誠意ある措置、当分難しいだろう」
東亜日報 December. 18, 2023
https://www.donga.com/jp/List/article/all/20231218/4626637/1
岸田文雄首相の支持率が10%台に落ち込み、今後の韓日関係に与える影響に関心が集まっている。尹錫悦(ユン・ソクヨル)政府発足後、尹大統領と岸田氏は今年だけで7回の首脳会談を行うなど、両国首脳の主導で韓日関係の改善が進められてきた。
外交筋は17日、「現在の韓日関係は、今後日本の政権が代わったからといって手のひらを返すように覆されるような性格ではない」とし、「両国は、大法院の元徴用工賠償判決で引き起こされた対立をある程度解消し、『キャンプデービッド』首脳会談を通じて安全保障協力でも顕著な結果を出した」と話した。国民大学の李元徳(イ・ウォンドク)教授(日本学)も、「自民党内のどの指導者も韓米日協力と関連して他の路線を話す人はほとんどいない」とし、「次期首相が誰になろうと現行の路線は続くだろう」と見通した。
自民党内の強硬保守派閥である安倍派が最近、裏金疑惑で捜査を受けて打撃を受けているため、韓日関係などに関心を持つ余裕がないという観測も流れている。
しかし、元徴用工問題と関連して、韓国政府が第3者弁済案の発表後、日本に要求してきた「誠意ある対応措置」は当分難しいという見方もある。政府消息筋は、「10%台の支持率では岸田内閣は誠意ある対応に向けた主導権を握ることは難しいだろう」との認識を示した。また、「岸田内閣は外交成果に執着して国民の生活を疎かにしたという批判まであるため、日本政府も企業も元徴用工問題に取り組むことは容易ではないだろう」と付け加えた。
岸田氏の支持率急落、安倍派崩壊の危機など、現在の日本の政治状況が中長期的に韓日関係に悪影響を及ぼすという指摘も出ている。世宗(セジョン)研究所の陳昌洙(チン・チャンス)日本研究センター長は、「韓国が積極的に出てくる時、岸田氏のように応じる姿は見られないかもしれない」と指摘した。安倍派の危機については、「自民党内の強硬な主張が多く飛び出すと、管理ができないかもしれない」と指摘した。
聖公会(ソンゴンフェ)大学のヤン・ギホ教授(日本学)は、「日本国内のリーダーシップが安定的に維持されるのが韓国にとっては良い」とし、「日本の不安定な状況が深刻化すれば、『韓国叩き』のようなムードが醸成される可能性がある」と強調した。
イ・ギウク記者 コ・ドイェ記者
一連の自民党による裏金疑惑に関連し、「日本に要求してきた「誠意ある対応措置」は当分難しいという見方もある」、「10%台の支持率では岸田内閣は誠意ある対応に向けた主導権を握ることは難しいだろう」と書かれています。
まるで日本政府が「第三者弁済」か「日韓・韓日未来パートナーシップ基金」に三菱や日本製鉄が資金を出すことを容認する用意があるかのような書き方です。
また次の記事でも
徴用工第3者弁済案、受け入れ11人拒否4人…資産現金化なら韓日関係は再び悪化
朝鮮日報 2023/11/28
https://www.chosunonline.com/site/data/html_dir/2023/11/28/2023112880082.html
(一部抜粋)
■「被告企業は来年の総選挙まで動かない」
尹錫悦大統領が提案した「第3者弁済案」の成功と韓日関係の安定的発展は、韓国側の努力だけで実現できない。日本政府、市民社会、 被告企業の呼応が絶対的に必要だが、これまでの日本の反応は韓国の期待する水準には満たないと評する見方が多い。岸田首相は5月にソウルを訪問し、徴用工被害者に「胸が痛い」と話した。 同月、広島で行われたG7で尹大統領と韓国人原爆犠牲者慰霊碑を共に訪れたことが歴史問題に関連した唯一の立場表明だ。
今年3月、韓国の朴振(パク・チン)外交部長官は第3者弁済案を発表するに当たり、日本企業の参加と関連し、「コップに例えると、水が半分満たされたと思う」とし、「日本の呼応によってコップが満たされることを期待する」と述べたが、そうはなっていない。 日本の財界を代表する経団連が韓国経済人協会(韓経協)と共に未来パートナーシップ基金に10億ウォンずつ拠出したこと以外には大きな動きがない。
被告企業の日本製鉄、三菱重工業はまだ参加意思を表明していない。 日本の消息筋は「日本でも尹大統領の第3者弁済案に呼応すべきという動きがあるが、両社は依然として社内で議論中だと聞いている」と話した。 日本国内では「元々1965年の韓日請求権協定で完全に解決された問題を韓国が蒸し返しておいて、韓国がそれを解決したのだから、なぜ日本が呼応しなければならないのか」という雰囲気も影響を及ぼしている。日本では被告企業が呼応するにしても、来年4月の韓国総選挙前には動かない可能性が高いとみている。 「日本企業が尹大統領と与党の勝利を支援するために総選挙前にカネを払った」という論争に巻き込まれたくないからだ。
「日本でも尹大統領の第3者弁済案に呼応すべきという動きがあるが、両社は依然として社内で議論中だと聞いている」「日本では被告企業が呼応するにしても、来年4月の韓国総選挙前には動かない可能性が高いとみている。 「日本企業が尹大統領と与党の勝利を支援するために総選挙前にカネを払った」という論争に巻き込まれたくないからだ」と書かれています。
こちらの事例でもあたかも日本政府が第三者弁済への三菱や日本製鉄の参加に前向きな反応があるかのように書かれています。
そして次のこちらの記事でも
駐日韓国大使 岸田首相は歴史問題で「最大の誠意見せている」
聯合ニュース 2023.10.16
https://jp.yna.co.kr/view/AJP20231016002300882
【東京
聯合ニュース】韓国の尹徳敏(ユン・ドクミン)駐日大使は16日、在日韓国大使館で行われた同大使館に対する国会外交統一委員会の国政監査で、
岸田文雄首相が歴史問題を巡り遺憾を表明したことについて、「いろいろな国内状況のなか、本人にできる最大の誠意と真摯(しんし)さを見せている」と評価した。
尹氏は「岸田首相と日本政府は痛切な反省と心からのおわびを盛り込んだ25年前の金大中(キム・デジュン)大統領と小渕恵三首相が発表した(韓日パートナーシップ)共同宣言などを継承することを明確にしている」と指摘。「岸田首相が(5月に訪韓した際)『当時の厳しい環境のもとで多数の方々が大変苦しい、悲しい思いをされたことに心が痛む思いだ』と記者会見で発言し、広島の(韓国人)原爆犠牲者慰霊碑を韓日首脳が史上初めて参拝する姿を見せたのは言葉より行動で真摯な姿勢を示したのではないか」との認識を示した。
徴用訴訟の被告企業である三菱重工業と日本製鉄(旧新日鉄住金)が今年創設された「韓日・日韓未来パートナーシップ基金」に参加するかどうかに関しては、「日本企業、経団連と接触しているが、日本側では関連企業の参加に時間が必要だという」と答弁。「全国経済人連合会(現韓国経済人協会)の新しい指導部が経団連と議論しており、良い結果が出るのではないかと思う」と期待を寄せた。
一方、韓国の旧日本軍慰安婦被害者支援団体の前理事長で国会議員(無所属)の尹美香(ユン・ミヒャン)氏が9月、在日本朝鮮人総連合会(朝鮮総連)主催の関東大震災犠牲者追悼式典に出席したことについては問題があるとの認識を示した。
東京電力福島第1原発の処理済み汚染水の海洋放出に関しては、「国民の安全を最優先とし、客観的に安全を検証することに最善を尽くしている」と答弁した。
韓国政府が開催を進めている韓中日首脳会談の実現可能性については、「日本と中国は経済的な利害関係には気を付けながら領土や政治問題で争う構造」とし、「日中関係のため開催されないことはない」と述べた。
駐日韓国大使が、「日本企業、経団連と接触しているが、日本側では関連企業の参加に時間が必要だという」「全国経済人連合会(現韓国経済人協会)の新しい指導部が経団連と議論しており、良い結果が出るのではないかと思う」と書かれており、日本の経済界でも韓国側の要求が好意的に受け取られているかのように書かれています。
常識的に考えれば、これは日本が自発的に「日本側に不利になる」協定違反をするという事になるわけですから、あり得ない事ではありますし、韓国は相手が了承していない事を「了承したかのように」主張し、それを既成事実化しようとしたことが過去に何度もあり、それで日本やアメリカとトラブルにもなっています。
こうした論調が2023年10月ころから韓国発で次々と出てきており、まだ既成事実化をするための公式見解というところまではいっていませんが、事実に反しているのであればかなりの問題であるにも関わらず、日本側から何の反応もないというのは少し不気味です。
また、ここ数か月日本の経済界が韓国の経済界や政府との交流を一気に増やしており、タイミングがタイミングであることから、なにかしら日本企業にとって「おいしい」取引があり、その「代価」として「第三者弁済」か「日韓・韓日未来パートナーシップ基金」に三菱や日本製鉄が資金を出す条件を飲もうとしているという疑惑があるわけです。
あくまでこれは憶測にすぎずただの疑惑でしかないですが、日韓関係ではこれまでもあり得ないような日本側の譲歩がくりかえされてきた過去があり、近年もレーダー照射問題が実質的な棚上げ状態になっています。
このため、警戒はしておいた方がいいのです。
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