日韓問題(初心者向け)

日韓問題について、初心者でもわかりやすい解説と、日韓問題とマスコミ問題の動画のテキスト版を投稿しています。

徴用工裁判の新たな問題について

さて、本日は徴用工裁判において韓国大法院が出した判決の問題に付いて扱っていきます。

初めて来られた方はまずこちらを先に読む事をお勧めします。

ブログ『日韓問題(初心者向け)』を始めた理由 - 日韓問題(初心者向け)

注意
・このブログは「日韓の価値観の違い」を初心者向けに扱っています

・当ブログのスタンスは「価値観に善悪や優劣は存在しない」というものです

・相手が不法を働いているからと、こちらが不法をして良い理由にはなりません

・自身の常識が相手にとっても常識とは限りません、「他者がそれを見たらどう思うか」という客観性を常に持ちましょう

・日常生活で注意する程度には言動に注意を心がけてください


2月20日、ソウル中央地裁が日立造船に関連した徴用工裁判で、日立側が差し押さえを止める目的で提出した供託金を、原告側に賠償金として支払うための出金許可を出し、日本政府が駐日韓国大使を呼んで抗議するなど、様々な動きがあった。


またこの件に関して、供託金が目的外の事に使われている事を韓国側も把握しているうえで「賠償金としている」事や、原告側が供託金では足りない分を「韓国政府の代位弁済で賄う」としており、それに対して韓国政府が明確な答えを出さないなど、新たな問題も発生している。


この件に関して、日本側の動きが鈍く韓国側も反応が薄い理由の一つとして考えられるのが、北朝鮮をめぐる情勢で、現在北朝鮮は韓国を「統一すべき相手」ではなく「敵対国」とする方針転換を行ったうえに、ロシアと急接近をし兵器などの取引もしており、現状で日韓の関係が目に見えて悪化するのは、ロシアや北朝鮮にとっての利益になるという考えがある可能性が高い。


※本文中のリンクは引用の元記事、或いはウェブアーカイブウェブ魚拓(別サイト)へのリンクです。


以下から本文




1:徴用工問題の新たな動き



まずはこちらの記事から

徴用被害者が日本企業の資金を初めて受け取り 日立造船の供託金=韓国
聯合ニュース 2024.02.20
https://jp.yna.co.kr/view/AJP20240220001800882

記事では、徴用工被害者とされている人物の遺族が、日立造船を相手取って起こした裁判の韓国大法院(日本の最高裁に相当)判決に関連し、日立造船がソウル中央地裁に預けた供託金6000万ウォン(約670万円)が、賠償金として原告側に支払うための手続きに入ったという記事です。


また、この供託金は元々「資産に対する強制執行を防ぐためにソウル中央地裁に納めていたもの」と書かれている事からも、目的外のお金を賠償金として利用したことが分かります。


また次の記事を読むと

原告の供託金受領、「極めて遺憾」=元徴用工訴訟で官房長官
REUTERS 2024年2月20日
https://jp.reuters.com/markets/japan/funds/WWWTKBWT3ZJYRCKDB5JER36MRE-2024-02-20/

この件に関して日本政府は、「これは日韓請求権協定2条に明らかに反する判決に基づき、日本企業に不当に不利益を負わせるものであり、極めて遺憾である」「適切な対応がなされるよう韓国政府に求めている」という公式コメントを発表したという事が書かれています。


また「日韓間に存在する諸懸案について引き続き管理し、相手方と緊密に意思疎通を図るべきことは、政府として当然の責務である」「わが国の一貫した立場に基づき、適切に対応していく」とコメントもしているようですが、現状ではそれがどんなものになるかは確認できません。


次の記事を読むと

韓国政府「緊密に意思疎通」 供託金受け取りで日本政府が駐日大使に抗議
聯合ニュース 2024.02.21
https://jp.yna.co.kr/view/AJP20240221004200882

韓国政府はこの件で駐日韓国大使が外務省に呼ばれ抗議された件に関して、「双方の立場に基づいた発言があった」「韓日間の懸案について緊密に意思疎通している」としたうえで、大法院判決に関し「関係法令に定められた手続きにより供託金が支給されたものと理解している」というただの現状説明のみしか見解を発表しなかったことが書かれています。


これまでの情報を総合すると、日本政府はこれが国際法違反であるという認識はあり、また何かしらの対処をするという見解だが、具体的にどのような対応をするかには言及していないという事と、韓国政府はそもそも見解自体を発表しておらず、今後両国政府がどのような対応をするのかが見えてこないという事が分かります。


とにかく現状ではわからない事だらけなのです。


2:不審な点



そしてこちらを読んでもらうと

韓国の徴用工訴訟、日立造船の供託金が原告側に渡る 敗訴企業で初
毎日新聞 2024/2/20
https://mainichi.jp/articles/20240220/k00/00m/030/193000c

毎日新聞は「日本製鉄などが敗訴した他の訴訟では、原告は財団から賠償相当額を受け取る。このため、今回の供託金受け取りが日韓関係に与える影響は限定的とみられる」と書いています。


また、日本政府は「本件は供託金が裁判所に納められていた点で、特殊であり、同種の事案の中で他に例がないものだ」とコメントしているようです。


そのうえで次を読むと

日本企業供託金、原告が初受領 日立造船の元徴用工訴訟―韓国
時事通信 2024年02月20日
https://www.jiji.com/jc/article?k=2024022000516&g=int

記事では「解決策の枠外で発生した特異な事例と位置付け、日韓間での問題拡大を防ぎたい考えだ」と書かれており、毎日新聞の論調のように大したことではないかのように認識しているのではなく、「問題拡大を防ぎたい」という方針であると説明されています。


ただし次の記事を読むと

勝訴の徴用被害者「賠償金は日本企業の供託金から」
聯合ニュース 2023.12.29
https://jp.yna.co.kr/view/AJP20231229002400882
(一部抜粋)

去年12月の記事なのですが、一連の問題に関して「この供託金は強制執行停止のために収めたものであり、被害者への賠償金とは言えず、裁判所側が原告側の請求を受け入れたとしても、日立造船側が異議を申し立てる可能性もある」と書かれています。


つまり、韓国側でも供託金を賠償金に流用することは問題だとする認識がありながら、今回のソウル中央地裁の判決になったという背景が見て取れ、典型的な「国民情緒法」である事がわかります。

国民情緒法
韓国では根拠や客観性よりも感情(情緒)が何より優先されるため、法や約束よりも「その時の感情」が上位に来る場合が多く、またこの「情緒」を全ての人が「等しく共有しているはず」という前提で話が進むため、この情緒に合わない態度を取ると社会的に迫害を受ける場合がある。
そのため韓国では裁判所などが法や憲法を無視した判決をする場合があり、それを韓国人自身が皮肉った言葉。


記事
非常に厄介な韓国人の国民情緒・民族情緒 - 日韓問題(初心者向け)

動画
【日韓問題】韓国の国民情緒法
【日韓問題】韓国の国民情緒法 - ニコニコ
【日韓問題】韓国の国民情緒法 - YouTube


また次の記事を読むと

韓国の強制動員被害者、日本の戦犯企業から賠償金を確保…初の受領例
ハンギョレ新聞 2024-02-20
http://japan.hani.co.kr/arti/politics/49205.html

原告側が「供託金を受け取っても弁済されない約1億ウォン(約1120万円)については、日帝強制動員被害者支援財団から受け取るために財団の論議の結果を待っている」と主張しているのです。


これは事実上、代位弁済方式により「民間の自発的な寄付などで調達した資金で支払う」という、韓国政府の当初の約束に反しており、一連の韓国政府による「コップの半分の水」論や、現状の韓国政府が問題解決の意思があるかどうかすら不明な見解を出している事からも、韓国政府の現状認識に問題があるように見えます。



関連記事
韓国・ポスコの寄付で賠償肩代わりの基本財源確保 徴用訴訟
聯合ニュース 2023.03.15
https://jp.yna.co.kr/view/AJP20230315003100882
(一部抜粋)
【ソウル聯合ニュース】韓国の鉄鋼大手・ポスコが15日までに、徴用被害者への賠償を日本企業に代わって支払う政府傘下の「日帝強制動員被害者支援財団」に40億ウォン(約4億1000万円)を寄付したことで、賠償肩代わりのための基本的な財源が整った。

 韓国政府は今月6日、2018年に大法院(最高裁)で勝訴が確定した徴用被害者15人(原告は14人、訴訟3件)の判決金(賠償金)と遅延利息について、同財団が民間の自発的な寄付などで調達した資金で支払うとする徴用問題の解決策を発表していた。賠償金と遅延利息は合わせて約40億ウォンになる。


韓国が自力で問題を解決できない理由 - 日韓問題(初心者向け)

3:両国が慎重な理由



ただし、現在の東アジア情勢を考えると、日韓ともに対応に慎重にならざるを得ないという現実も見えてきます。


次の記事を見てもらうと

ウクライナ攻撃のロシアミサイルにハングル 「明白な北朝鮮製」
聯合ニュース 2024.01.24
https://jp.yna.co.kr/view/AJP20240124001000882

ウクライナ戦争で使用された兵器に関して、イギリスの研究所が分析を行った結果、北朝鮮製のミサイル部品などが発見されており、アメリカもロシアが北朝鮮から提供を受けた弾道ミサイルウクライナで使用しているとの見解を示しているという記事です。


またさらに、パレスチナハマスが使用した武器にも北朝鮮製の兵器が発見されており、北朝鮮ハマスが武器取引をしているという疑惑が提起されています。


つまり、ウクライナパレスチナでの戦争を契機に、北朝鮮が制裁逃れの外貨稼ぎの手段を新たに手に入れたことと、ロシアとの取引で弾道ミサイルのアップグレードをした可能性がかなり高いという事です。


更にこの流れを受け

駐朝ロシア大使「北朝鮮、米国の域内挑発的措置継続時には7回目の核実験も」
中央日報/中央日報日本語版2024.02.07 17:59
https://japanese.joins.com/JArticle/314787

ロシアが「韓米間の拡大抑止または、北朝鮮に向けた他の挑発的措置が続くならば、あるいは米空軍の戦略爆撃機韓半島朝鮮半島)上空を飛び回り続けるならば北朝鮮指導部が自国の防衛力追加増強に向け新規核実験をすることに決める方がより良い」とコメントしているという記事です。


つまり、北朝鮮がロシアを通じて米韓の軍事連携を揺さぶり、「これ以上連携を続けるのであれば、北朝鮮は核実験をする、そしてそれはアメリカの責任だ」と脅迫を行っているのです。


また次の記事を読むと

韓国を「敵対的交戦国」と規定する北朝鮮、放送・ウェブサイト、半島統一イメージを削除
朝鮮日報 2024/02/20
https://www.chosunonline.com/site/data/html_dir/2024/02/20/2024022080072.html

北朝鮮は元々、韓国を建前上とはいえ「同胞」と定義しており、「いずれ統一すべき相手」としていたわけですが、今年に入りその方針を撤回し、韓国を「敵対的交戦国」と規定したという記事です。


これはつまり、韓国との経済交流を通じた北朝鮮の経済再建という目標を放棄したという事です。


なぜなら、すでにロシアは一連の取引で安保理決議の北朝鮮制裁を無視するようになっており、また中国もロシアほどあからさまではないですが、米中対立の延長で北朝鮮との違法な取引を増やしており、これは北朝鮮が中露などとの貿易を通じた経済再建で韓国との戦争準備をし始めているとも受け取れます。


そのため次の記事を読むと

米政府 北朝鮮の軍事動向を緊密に注視
聯合ニュース 2024.01.24
https://jp.yna.co.kr/view/AJP20240124000200882

アメリカも、北朝鮮のロシアへの急接近をかなり注視しており、今後北朝鮮がロシアを通じて制裁をかいくぐり軍事力を強化することによる、東アジア情勢の悪化を警戒している事が分かります。


このような情勢で、徴用工裁判を口実に日韓関係が悪化すれば、単に東アジア情勢が不安定化するというだけではなく、その影響がウクライナ情勢やパレスチナ情勢にまで飛び火しかねないうえに、更にそれが東シナ海南シナ海での中国による問題にも影響を与えることが十分に予想できるのです。
日米韓3国の軍事連携が弱まれば、地域紛争レベルの戦争リスクが高まり、それは北朝鮮や中国、ロシアにとってのチャンスだからです。


日韓関係が悪化し連携に不具合が生じれば、そのしわ寄せとして日米の行うべき安保負担が増えるからです。


なので、「韓国が国際法違反をした、制裁だ」と安易に動けば、北朝鮮や中国やロシアが状況を利用して韓国人達を扇動し始めるでしょうから、この3国の思惑通りに踊らされることになります。


そのため、こうしたロシア、中国、北朝鮮の思惑を回避したうえで、かつ韓国に国際法違反をさせないという、慎重な対処が日本政府に求められるわけです。




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