さて、本日は最近様々な動きが起きている一連の徴用工裁判で、最も注目すべき部分について書いていきます。
初めて来られた方はまずこちらを先に読む事をお勧めします。
ブログ『日韓問題(初心者向け)』を始めた理由 - 日韓問題(初心者向け)
注意
・このブログは「日韓の価値観の違い」を初心者向けに扱っています
・当ブログのスタンスは「価値観に善悪や優劣は存在しない」というものです
・相手が不法を働いているからと、こちらが不法をして良い理由にはなりません
・自身の常識が相手にとっても常識とは限りません、「他者がそれを見たらどう思うか」という客観性を常に持ちましょう
・日常生活で注意する程度には言動に注意を心がけてください
現在徴用工問題に関連し、産経発で輸出優遇解除の件と絡めた報道が、また時事通信などでそれを否定する報道があり、無関係ではあるが「優遇措置を戻す」ことを検討する内容であることが判明する。
そのうえで、報道通りの「検討」が行われた場合発生する問題があり、一つは現在韓国政府が提案している解決案は韓国内でまるで理解を得られておらず、世論の反対にあい失敗することが目に見えており日本の譲歩が無意味になる。
もう一つが、韓国では現在日本に対する「恨(ハン)」の蓄積がかなり進んでおり、日本政府の方針が大規模な「恨の解消行動」に発展する恐れがあり、現状のまま話を進めると新たな問題へと繋がる場合もあり得るという問題がある。
※本文中のリンクは引用の元記事、或いはウェブアーカイブやウェブ魚拓(別サイト)へのリンクです。
以下から本文
1:日本政府の対応
まずはこちらの記事から
<独自>韓国の「ホワイト国」復帰検討、徴用工見極め判断
産経新聞 2023/1/28
https://www.sankei.com/article/20230128-NS3E6LDMY5M63NJS4NSAB54N3I/
政府は、韓国を輸出管理で優遇する「ホワイト国(優遇対象国)」に再指定し、対韓輸出管理を緩和する方向で検討していることが分かった。日本を取り巻く安全保障環境が厳しさを増す中、韓国の尹錫悦(ユン・ソンニョル)政権が関係改善を模索していることを踏まえた。いわゆる徴用工訴訟問題を巡る韓国の解決策も見極めた上で、再指定の可否を慎重に判断する。複数の政府関係者が27日、明らかにした。
対韓輸出管理を巡っては、当時の安倍晋三政権が令和元年8月、徴用工問題をめぐり文在寅(ムン・ジェイン)政権が具体的な対応を示さないことへの事実上の対抗措置として韓国をホワイト国から除外。半導体材料3品目の輸出管理も厳格化した。韓国は輸出管理措置の解除を求めてきたが、日本は韓国の輸出管理体制の不備などを理由に応じてこなかった。
しかし、昨年5月に発足した尹政権は、徴用工問題解決に向けた具体的な検討に着手するなど日本との関係改善に取り組んできた。韓国側がホワイト国への復帰を日本に求めてきた経緯もあり、政府は輸出管理緩和に向けた検討を始めた。
一方、徴用工問題の解決策を巡っては、韓国外務省が今月12日の公開討論会で、日本企業の賠償支払いを韓国の財団が肩代わりする案を公表。原告側が要求してきた日本企業による謝罪や財団への資金拠出などは条件として明示しなかった。この解決案には原告側が反発の声を強め、16日の日韓局長協議で韓国側は国内の情勢を伝えた上で、日本の「誠意ある呼応」が必要との考えを示した。
日本側に韓国世論への理解を求める形だが、日本は昭和40(1965)年の日韓請求権協定で徴用工問題は解決済みとの立場だ。30日にはソウルで日韓局長協議が開かれる予定で、日本側は改めてこうした考えを伝える見通しだ。
□
ホワイト国 日本企業が軍事転用可能な先端材料や電子部品を輸出する際、手続きの簡略化など安全保障上の輸出管理において日本政府が優遇措置を取っている国。現在は輸出管理上の国別カテゴリーをA~Dの4グループに分類し、ホワイト国にあたるグループAは米国や英国など26カ国。韓国は南アフリカやバルト三国が含まれるグループBに分類されている。
先週騒動になったこの産経の記事なのですが、それまで政府が「徴用工問題とは無関係」という態度で一貫していたにもかかわらず、「徴用工問題をめぐり文在寅(ムン・ジェイン)政権が具体的な対応を示さないことへの事実上の対抗措置として韓国をホワイト国から除外。半導体材料3品目の輸出管理も厳格化した」と書かれています。
この記事、非常に分かりにくく、この部分が記者の感想なのか、それとも政府の見解なのかが、文章の後半で「韓国側がホワイト国への復帰を日本に求めてきた経緯もあり、政府は輸出管理緩和に向けた検討を始めた」と書いてあるため、あたかも政府の見解がそうであるかのように読める事が問題になりました。
そして次のその翌日
杉田水脈氏、韓国のホワイト国復帰「時期尚早」いわゆる徴用工よりレーダー照射が問題
デイリースポーツ 2023.01.29
https://www.daily.co.jp/gossip/2023/01/29/0016004017.shtml
自民党の
杉田水脈衆院議員が29日、自身の
ツイッターを更新し、韓国の「ホワイト国」復帰についてコメントした。
杉田氏は「韓国の『ホワイト国』復帰検討、徴用工見極め判断」という記事を引用。政府が、輸出で優遇する「ホワイト国」から除外していた韓国を再度「ホワイト国」に指定する方向で検討しているという内容だった。いわゆる徴用工問題で韓国の尹錫悦政権が解決に向けた動きを示したことで、日本政府も輸出管理緩和に向けた検討を始めたとされていた。
しかし、杉田氏はこれに対して、ツイッターで「韓国をホワイト国から除外したのは、旧朝鮮半島出身労働者問題が直接的な原因ではありません。」と指摘。「対象となる半導体材料3品目がいずれも軍事転用が可能なため、安全保障の観点から杜撰な取り扱いをしている国とは信頼関係を築けないからです。」と説明した。
続けての投稿では「これらの問題に加え、竹島問題やレーダー照射事件も未解決です。」とコメント。2018年に韓国海軍の駆逐艦が自衛隊の哨戒機に対して火器管制レーダーを照射した問題についても言及した。
火器管制レーダーは攻撃をするための照準を定める際に、攻撃対象に照射するもの。日本側は音声付きの動画を公開し、状況を伝えたが、韓国側は漂流していた北朝鮮の遭難船を捜索する中でのレーダー照射であり、自衛隊の哨戒機が威嚇飛行を行ったと主張している。
杉田氏は、韓国とのやりとりを踏まえた上で、ホワイト国復帰については「まだ、時期尚早ではないでしょうか?」と疑問符をつけた。
杉田議員がこの件に関連し、徴用工問題と輸出優遇解除の件は無関係としたうえで、問題なのは「信頼関係は築けない事」とコメントしているため、産経の印象操作記事という可能性も出てきました。
そして更にその翌々日になると
談話継承、対韓規制の緩和検討 政府、徴用工解決に合わせ
時事通信 2023年01月31日
https://www.jiji.com/jc/article?k=2023013000885&g=pol
日韓関係で最大の懸案になっている元徴用工問題に関し、韓国政府が日本側の受け入れ可能な解決策を最終的に決めた場合、政府が植民地支配に対する「反省とおわび」に触れた過去の政府談話を継承する立場を表明する案が出ていることが分かった。対韓輸出規制の緩和も検討する。政府関係者が30日、明らかにした。
原告以外の被害者の声聴取へ 徴用問題、「多様な意見」強調―韓国
徴用工訴訟の原告側は被告の日本企業による「謝罪」や「資金拠出」を要求。韓国政府はこれを踏まえて日本側の「前向きな呼応」を促すとともに、韓国の財団が日本企業の賠償金を肩代わりする案を公表し、正式決定へ詰めの調整に入っている。
日本政府は一貫して1965年の日韓請求権協定で解決済みとの立場。国が主導して謝罪や資金拠出に応じるのは困難だと伝えている。
ただ、韓国側に一定の配慮を示す必要はあると判断。「痛切な反省」と「心からのおわび」を明記した95年の村山富市首相談話や、2015年に安倍晋三首相が発表した戦後70年談話を引き継ぐ姿勢を示す案が浮上した。
反省やおわびに重ねて言及することには自民党内の反対論も予想されるため、慎重に進める。
政府は併せて、輸出に当たって優遇措置を適用する対象国に韓国を再指定することを検討している。19年8月に安倍政権は貿易管理手続きを簡素化する「ホワイト国」から韓国を除外。発動時から日本側は「徴用工問題とは関連しない」と説明しているが、「報復」とみなす韓国側は解除を求めてきた。
こうした対応を検討するのは、中国や北朝鮮の動きをにらんで韓国との安全保障協力を推進する必要があるとみるためだ。尹錫悦大統領は対日関係の早急な立て直しに意欲を示しており、日本政府関係者は「改善の大きな流れができれば、いろいろなことを模索する」と語った。
時事通信発で韓国側が「代位弁済」を進める見返りとして「優遇措置の復活」を検討しているという記事が出てきたことで、実態は安全保障問題をスムーズに解決するための実質的な「見返り」という性質があったことがわかり、産経の記事はただの印象操作であったことが判明します。
しかし実際には、「無関係ではあるが韓国側の要望を受け入れ優遇措置を復活させる」であったとしても、複数の問題が発生します。
まず根本的な問題として、「韓国側の輸出入管理が杜撰」であった事が問題視されたことが優遇措置解除の原因であったにも関わらず、未だ「日本による不当な輸出規制」と主張しており、日本の要求する基準を満たせたとしても、「信頼関係」など構築できないという問題があります。
2:解決できない
そして問題はそれだけではなく、もっと根本的な問題として、韓国側の提案してきた代位弁済案が、事実上実現不能であるという事です。
次の記事によると
元徴用工問題「被告企業は直接負担せず」…日韓両政府調整、韓国側は「誠意ある呼応」求める
読売新聞 2023/01/31
https://www.yomiuri.co.jp/politics/20230130-OYT1T50260/
日韓両政府は、韓国側が検討している「元徴用工(旧
朝鮮半島出身労働者)」訴訟問題の解決案を巡り、金銭的負担など被告の日本企業による直接関与を避ける形で決着を図る方向で調整に入った。1965年の日韓請求権・経済協力協定に基づき、「問題は解決済み」との日本の立場は固いことから、韓国政府も被告企業の直接関与は困難との判断に傾いた。
複数の日韓両政府関係者が明らかにした。
韓国政府は今月、政府傘下の「日帝強制動員被害者支援財団」が被告企業の賠償を肩代わりし、賠償金相当額を原告に支払う案を公表した。原告は、被告企業による財団への寄付を訴えているが、日本政府は寄付を「事実上の賠償」として容認できないと主張していた。
これまでの協議で、肩代わりの財源は、主に韓国企業の寄付金が柱になる方向となった。
今後の協議の焦点は、韓国側が解決に際し、日本側に求めている「誠意ある呼応」の内容だ。被告企業以外の自発的な寄付に日本政府は反対しない立場で、経団連などによる財団への寄付の案も浮上している。被告企業が加盟する経団連の寄付は、被告企業が間接的に財源を拠出したと評価することもできるためだ。
また、韓国は日本政府による謝罪の表明も求めている。日本側は、植民地支配への反省やおわびを表明した過去の首相談話を改めて読み上げることなどを検討している。国内世論の動向も踏まえ、今後、形式や内容を詰める。
日韓両国を取り巻く安全保障環境は厳しさを増し、日韓関係の重要性も高まっている。日本政府は、日本との関係改善に尽力する 尹錫悦 大統領の姿勢を歓迎しており、政府内でも今回の韓国側の賠償肩代わり案を活用すべきだとの声が強まっている。
日韓両政府は30日、ソウルで外交当局による局長級協議を開き、元徴用工問題について意見交換した。
◆元徴用工訴訟問題= 韓国大法院は2018年、新日鉄住金(現・日本製鉄)と三菱重工業に対し、元徴用工らへの賠償を命じる判決を確定させた。日韓請求権・経済協力協定で「完全かつ最終的」解決が確認されているとする日本政府の立場と相反するもので、企業側は賠償を拒否。原告側は、韓国国内にある企業の資産を競売にかける「現金化」の手続きを進めている。
代位弁済に三菱や日本製鉄は参加しない事を日本政府が明確にしており、政府として「被告企業以外の自発的な寄付に日本政府は反対しないが、経団連などによる寄付は間接的に三菱や日本製鉄が関わるためできない」という方針で進めるという報道が出てきています。
この件に関して、元々の問題は日韓請求権協定において韓国側は日本側の「(日本政府による)直接の個別補償」の提案を拒否し、韓国政府への一括補償を要求「実質的な補償金」を受け取りましたが、その後韓国政府は受け取った資金をほとんど個人に渡さず、インフラ整備や企業の支援に使用してしまった事が原因なのですから、これは当然の方針です。
参考資料
大韓民国による日韓請求権協定に基づく仲裁に応じる義務の不履行について(外務大臣談話)
外務省 令和元年7月19日
https://www.mofa.go.jp/mofaj/press/danwa/page4_005119.html
「韓国政府、韓日会談で個別請求権放棄」
朝鮮日報 2004/09/17
https://web.archive.org/web/20040923181057/http://japanese.chosun.com/site/data/html_dir/2004/09/17/20040917000026.html
第5次 韓・日会談 予備会談一般請求権小委員会会議録1-13次、1960-61
日韓会談・全面公開を求める会
http://www.f8.wx301.smilestart.ne.jp/honyaku/honyaku-2/718.pdf
韓国政府の「解説書」入手!やっぱりおかしい大法院判決
FNN 2019年2月4日
https://www.fnn.jp/articles/-/8723
しかし問題なのが、以下にあるように
徴用被害者側 日本の誠意ある呼応「仮にあっても意味ない」
聯合ニュース 2023.01.30
https://jp.yna.co.kr/view/AJP20230130004300882
【光州
聯合ニュース】日本による植民地時代の徴用被害者を支援する韓国の団体「
日帝強制動員市民の集まり」の李国彦(イ・グクオン)代表は30日、
聯合ニュースの取材に対し、徴用被害者への賠償問題を巡る韓日の協議について、韓国政府は日本側の「誠意ある呼応」を求めているが、支援団体は仮に日本側の呼応があっても意味を付与するつもりはないとし、批判的な反応を示した。
李氏は、日本の被告企業は韓国大法院(最高裁)の判決に従って賠償命令を履行する主体であり、誠意ある呼応を求める対象ではないと説明した。
日本政府がアジアの国民、または韓国人に対する「痛切な反省と心からのおわび」を表明した1995年の村山談話や98年の金大中(キム・デジュン)―小渕宣言(韓日共同宣言)などを継承する姿勢を改めて表明することについても、否定的な見方を示した。
李氏はこれらについて「植民地支配に対する反省や謝罪に言及したものの、自分たちの違法行為を認めたわけではなかった」と指摘。談話を受け入れるのは、違法ではないという日本の主張を認めることになると強調した。
徴用被害者の梁錦徳(ヤン・クムドク)さんも、過ちを犯した人が謝罪するのは当然とし「(賠償金に)日本ではない韓国のお金が少しでも混ざっていれば絶対受け取らない」と強調した。
韓国と日本の外交当局はこの日ソウルで、徴用訴訟問題をはじめとする懸案事項や相互の関心事について協議し、今後もさまざまなレベルで緊密な意思疎通を続けることを確認した。
そもそも原告側がこの代位弁済案を一切受け入れる意思がなく、「支援団体は仮に日本側の呼応があっても意味を付与するつもりはない」と強硬に反対しているうえに、「植民地支配に対する反省や謝罪に言及したものの、自分たちの違法行為を認めたわけではなかった」と、日韓併合が違法であると日本側が認める事を要求しているのです。
参考動画
【ゆっくり解説】日韓併合はなぜ合法? part1/2 - ニコニコ動画
【ゆっくり解説】日韓併合はなぜ合法? part1/2 - YouTube
原告側は代位弁済を認める意思がないというだけでも問題であるにも関わらず、更には「日本政府は併合の違法性を認めろ」と、さらに受け入れがたい要求しているわけですから、最早合意の上での解決など不可能です。
しかも2015年の慰安婦合意の事例のように、政権が代わると一度決まった合意が反故にされている事から、問題の解決はさらに遠のきます。
そして問題はまだあり、次の記事によると
日本の強制動員解決策「誠意ない呼応」…三菱は賠償・謝罪に応じない見通し
ハンギョレ新聞 2023-02-01
https://japan.hani.co.kr/arti/international/45780.html
韓国の「誠意ある呼応」要求にも措置不十分
日本政府は、韓日間の最大の懸案である強制動員被害者問題について、被告企業の「賠償参加」や「直接謝罪」を受けいれない方針であることが分かった。日本メディアは、韓国も大まかな枠組みでその考えに同意していると報じた。
読売新聞は31日、複数の韓日政府関係者の話を引用し、「日韓両政府は、韓国側が検討している『元徴用工(旧朝鮮半島出身労働者)』訴訟問題の解決案を巡り、金銭的負担など被告の日本企業による直接関与を避ける形で決着を図る方向で調整に入った」と報じた。また、1965年の韓国と日本による請求権協定に基づき、「『問題は解決済み』との日本の立場は固いことから、韓国政府も被告企業の直接関与は困難との判断に傾いた」と付け加えた。産経新聞は「反日感情が強まる3月1日を控え、韓国政府は2月中の最終案公表に向け大詰めの調整を進めている」と報じた。
これに関連し、30日にソウルで開かれた韓日局長級協議で、日本外務省の船越健裕アジア大洋州局長は、韓国外交部のソ・ミンジョン・アジア太平洋局長に新たな謝罪と被告企業の賠償参加はできないとする内容を伝えたことが分かった。韓国外交部は12日の討論会で、日本の被告企業の代わりに日帝強制動員被害者支援財団が作った基金で被害者に賠償する、いわゆる「第三者による重畳的・併存的債務引受」案を公式化した後、被告企業の寄付参加や謝罪など、日本の「誠意ある呼応」を繰り返し求めてきた。
ただし、日本政府は韓国が要求する「誠意ある呼応」について、被告企業ではない他の企業の自発的な寄付は受け入れるとする考えだ。首相官邸幹部は朝日新聞に「ビジネスの観点から拠出したほうがいいと考える企業もあるだろう。それを止めることはない」と述べた。日本経済団体連合会(経団連)を通した財団への寄付案も浮上している。被告企業が所属する経団連が寄付をすれば、被告企業が財源を間接的に拠出したというかたちを作れるためだ。
日本政府は被告企業の直接謝罪も「受け入れられるものではない」と一線を画していると報じられた。日本政府関係者は朝日新聞に「賠償は解決済みなので、政府として新たに反省やおわびをすることはない」と述べた。ただし、問題の解決に乗りだした尹錫悦(ユン・ソクヨル)政権を後押しするために、日本の歴代内閣がすでに示した反省的な歴史認識を加えた談話の継承であれば、再度表明する程度は可能だとする立場だ。日本は、1995年の「村山談話」と1998年の「韓日パートナーシップ宣言」などを通して、「植民地支配に対する痛切な反省と謝罪」に言及したことがある。だが、これについてさえ、韓国の解決策を確認した後、具体的な内容・形式・時期を判断する予定だ。
これに対する韓国世論の反応は、非常に冷ややかな状況だ。文化放送(MBC)が18~19日に実施した世論調査では回答者の63.7%が、韓国放送(KBS)による18~20日の世論調査でも回答者の60%が、現在議論中の解決策は「被害者の意向の反映が不十分であり、同意しない」と答えた。
東京/キム・ソヨン特派員
直近の韓国の世論調査で、6割がこの代位弁済方式に反対し、「日本企業による直接賠償」を要求しているため、問題がこじれる事はほぼ確実なのです。
そしてこれは、慰安婦合意において「軍や国の命令で、軍人や官憲が行った拉致や強要」という韓国側の慰安婦の定義を否定する内容が含まれたことで、韓国世論がこれに反発、文政権による合意の実質的反故の後押しとなった経緯があり、状況的には全く同じなのです。
このため、いくら「徴用工問題とは関係がないが」と前置きをしたとしても、徴用工問題と関連付けて「優遇措置の復活を検討する」と発言したことだけが「既成事実」として残り、肝心の代位弁済方式は失敗するという、問題しか残らない結果になる恐れが極めて大きいわけです。
3:「恨(ハン)」の蓄積
そしてもう一つ、韓国独特の「恨(ハン)」に関係した問題があります。
※恨(ハン)とは
あくまで個人的な見解となるが、「主観的な正しさ」を絶対視する韓国社会において、この主観的正しさが相手や社会から受け入れられない場合に、彼らが感じる理不尽さを根底として、そこから派生する様々な感情の総称。
また恨には「解消」という概念があるが、これは完全に恨が消失するものではなく、「一過性」のものでしかない。
韓国人の中にある「主観的正しさ」と「恨(ハン)」 - 日韓問題(初心者向け)
【日韓問題】韓国の「恨(ハン)」とは何? - ニコニコ動画
【日韓問題】韓国の「恨(ハン)」とは何? - YouTube
もう何年も前に引用したことのある、2016年の以下の記事にあるように
5年前、韓国は通貨スワップを「食い逃げ」した
日経ビジネス 2016.9.9
https://business.nikkei.com/atcl/report/15/226331/090700066/
日本は「偽装転向者」とどう付き合うのか
日本と韓国が通貨スワップ再開に向け協議を始める。5年前のスワップは結んだ途端、韓国が掌返し。「慰安婦」を蒸し返したうえ大統領が竹島に上陸。さらには天皇陛下に謝罪まで要求したのだが……。
日本に実利なし
前回は中国との関係悪化に悩んだ韓国が、日本にスワップを頼んできたということでした。
鈴置:朴槿恵(パク・クンヘ)政権の二股外交が破綻、韓国は米中双方からにらまれた。そこで突然に態度を変えて、日本にすり寄って来たのです。
ウォンは弱い通貨なので、韓国からはしばしば資本が逃げ出します。韓国はいざという時に外貨を誰かから借りる仕組み――通貨スワップが必要です。
でも、関係の悪化した米国は容易には結んでくれそうにない。中国には通貨スワップを結んでもらっているけれど、発動してくれるか分からなくなった。
そこで日本にスワップ締結を頼んだのです。なお、日本が外貨不足に陥るとは当面、考えにくい。日本にとっては実利のないスワップです。
「傾中」の歯止めにならない
韓国を海洋勢力側に引き付けておくために、日本が通貨スワップを提供する必要がある、と言う人がいます。
鈴置:確かに、そう言う人が日韓双方にいます。韓国の中央日報も「韓日通貨スワップ、話を切り出してすぐに受け入れた日本」(8月29日、日本語版)でそう主張しました。文章を整えて引用します。
崇実(スンシル)大学のオン・ギウン教授(経済学)は「中国の影響力が過度に大きくなるのを牽制するために、日本も韓国との協力を強化する必要がある」と話した。
韓国が一方的に頭を下げているのではない。日本にも外交的な利益になる――との主張です。でも、韓国がこう考える以上「韓国を引き付けておく」スワップは、逆効果になる可能性が大きい。
この記事も書いている通り、韓国は「引き付けておく」意図を見透かします。すると「我が国が中国側に行くのを米国や日本は恐れている。それなら海洋勢力に対し、もっとわがままを言っても大丈夫」と強気になるからです。
THAAD騒動の発端になった、中央日報の金永煕(キム・ヨンヒ)国際問題大記者の記事を思い出して下さい。以下が肝心な部分です(「『南シナ海』が加速させる『韓国の離脱』」参照)。
・正解はTHAAD配備の放棄だ。韓米関係は若干の後退を容認するだけの余地がある。韓中関係にはそのようなマージンがない。
要は、THAADを拒否しても米国はそれほど怒らない。半面、中国は恐ろしい国だ。何をして来るか分からない。だから、中国の言うことを聞いて、米国の要請を拒否しよう――との主張でした。
https://business.nikkei.com/atcl/report/15/226331/090700066/?P=2
「10億円」貰えるなら即、竹島へ
韓国は「より恐ろしい国」の言うことを聞くのですね。
鈴置:その通りです。好意を見せると「弱い国」と見なされます。すると好意が踏みにじられるのです。
ソウルの日本大使館前の慰安婦像に関しても、日本は韓国に誤解を与えています。「慰安婦合意」で「韓国政府は慰安婦像の撤去に努力する」と約束していました。
だから、政府も一部メディアも韓国側は「韓国の約束不履行を理由に、日本が元慰安婦を支援するための10億円の支払いを渋るのではないか」と懸念していました。
ところが、移転するメドが一切、立たない段階で日本が10億円を支払いました。胸をなでおろした韓国側は「日本は押せば引く」と自信を持ったのです。
「『慰安婦の10億円拠出合意』直後の動き」を見て下さい。日本が10億円支払うと分かった途端、韓国の国会議員団は竹島を訪問すると発表しました。裁判所も、途端に新日鉄住金など日本企業にカネを払えと判決を下しました。
●「慰安婦の10億円拠出合意」直後の動き(2016年8月)
12日 日韓両外相、慰安婦合意に基づく10億円拠出で合意
15日 韓国与野党の国会議員団10人、竹島に上陸
19日 ソウル中央地裁、元徴用工裁判で新日鉄住金に1億ウォンの支払いを命令
25日 ソウル中央地裁、元徴用工裁判で三菱重工業に14人の遺族に1人当たり9000万ウォンの支払いを命令
27日 日韓財務対話で、通貨スワップ再開に向けた協議開始で合意
慰安婦像に関しても韓国政府は「食い逃げ」コースに入りました。外交部の林聖男・第1次官は9月6日、国会答弁で「政府も国民世論を把握しながら動くため、今の段階では政府が前に出てこの問題を推進する考えはない」と述べています。
もう、何をやっても「韓国のせいで慰安婦合意が壊れた」とは言われない、と考えたのでしょう。いかにも韓国らしい。
李明博の食い逃げ
そう言えば、日本が2008年にスワップを付けた時も、韓国は「遅い」「少ない」と文句を付けてきましたね。
鈴置:それだけではありません。韓国は「食い逃げ」しました。2011年秋、欧州金融危機の再燃でウォンが急落。韓国は通貨危機に怯えました。
この時も日本に泣きつきました。30億ドルだったスワップ枠を2011年10月、一気に700億ドルに引き上げてもらいました。これは抗生物質のように劇的に効きました。ウォンも株も戻しました。
すると、当時の李明博(イ・ミョンバク)大統領は直ちに掌返ししました。同年12月の日韓首脳会談で突然、「慰安婦に補償しろ」と言い出したのです。
翌2012年8月10日には竹島に上陸。さらに同月14日には「日王(天皇)が韓国に来たければ、独立運動家に謝罪せよ」とも発言しました(「韓国の主な『卑日』」参照)。
韓国の主な「卑日」
「従軍慰安婦」像設置
2011年12月14日、韓国挺身隊問題対策協議会がソウルの日本大使館前に「従軍慰安婦」像を設置。日本政府が抗議したが、ソウル市と韓国政府は無視。その後、韓国と米国の各地に相次ぎ設置された。「像」以外に「碑」も世界中で立てられている。2014年1月には仏アングレームの国際漫画祭で、韓国政府主導の慰安婦をテーマにした企画展が開催。
大統領の竹島上陸
2012年8月10日、李明博大統領が竹島に上陸。日本政府は抗議し駐韓日本大使を一時帰国させた。同月13日これに関連、李大統領は「日本の影響力も昔ほどではない」と発言。同月17日、野田佳彦首相がこの問題に関し親書を李大統領に送るが、同月23日に韓国政府は郵便で送り返した。
天皇謝罪要求
2012年8月14日、李大統領が天皇訪韓について「独立運動をした人に心から謝罪をするのならともかく(昭和天皇が使った)『痛惜の念』だとか、こんな言葉1つなら、来る必要はない」と発言。
対馬の仏像窃盗
2012年10月8日、韓国人が対馬の仏像と教典を盗んだ。2013年1月に韓国の警察が犯人の一部を逮捕、仏像2体を回収。しかし韓国・大田地裁は「韓国から盗まれた可能性がある」と日本に返さず。2015年7月18日に1体だけ日本に返還。
中国人放火犯の本国送還
2013年1月3日、ソウル高裁が靖国神社放火犯の中国人を政治犯と認定、日本に引き渡さない決定を下した。日本政府は日韓犯罪人引渡条約をたてに抗議。犯人は2011年12月26日の靖国放火の後、2012年1月8日にソウルの日本大使館に火炎瓶4本を投げ、逮捕されていた。
朴大統領の「告げ口外交」
2013年2月の就任似来、朴槿恵大統領は世界の首脳やメディアに会うたびに、安倍晋三首相の「歴史認識」など日本を批判。
産経元支局長起訴
2014年10月8日、ソウル中央地検が産経新聞の加藤達也元ソウル支局長を在宅起訴。容疑は「大統領に関し虚偽の事実を報じ、名誉を棄損した」。報道の元となった朝鮮日報の記事に関してはおとがめなし。同年8月7日からの加藤元支局長への出国禁止措置は2015年4月14日に解除。12月17日、1審で無罪判決、5日後に確定。
安倍首相の米議会演説阻止
2015年2月に聯合ニュースが「在米韓国人、演説阻止へ」と報道以降、韓国は大統領、外相、国会議長、学者らが世界の要人を対象に、同年4月の安倍首相の米議会演説を阻止する運動を展開した。阻止できないと判明後は、演説に慰安婦への謝罪を盛り込ませるよう米国に要求した。メディアも連日、阻止キャペーンを張った。韓国の国を挙げての筋違いで執拗な要求に、米政界では「韓国疲れ」という言葉が使われた。
日本から獲れるモノを獲ったら、態度をがらりと変えるのが韓国という国です。スワップを再開したら関係が良くなるとは限りません。むしろ悪化すると考えた方がいい。朴槿恵大統領の竹島訪問を後押しするかもしれません。
https://business.nikkei.com/atcl/report/15/226331/090700066/?P=3
5年ごとの王朝交代
でも、そんなことをしていたら韓国は信用を失います。
鈴置:韓国社会は「信用を積む」という観念に乏しいのです。企業同士の取引でも契約は平気で無視される。びっくりした日本企業が文句を言っても「状況が変わった」と言い返されるだけ。
目先はともかくも、長期的な韓国の国益を毀損しませんか。
鈴置:損してもいいのです、政権にとっては。自分の時だけうまくやればいい。次の政権がうまくやれない方がむしろいいのです。
2018年に江原道・平昌(ピョンチャン)で冬季五輪が開かれます。問題が噴出し、韓国では日本との共催案――要は、面倒は日本に押し付けようとのアイデアまで浮かびました。でも、現政権は問題解決に本腰を入れません。
開会式は朴槿恵大統領の任期中に開かれます。しかし、2018年2月25日の閉会式は次期大統領が仕切ります。成功しても現政権の手柄にはならないのです。
神戸大学大学院の木村幹教授は「韓国の政権交代とは小さな王朝交代である」と喝破しておられます。韓国では5年ごとに王朝が替わるのです。至言と思います。
まかり通る半可通
通貨スワップによって日本も得する、との意見を聞いたことがあります。
鈴置:半可通の意見です。「韓国に通貨スワップを付ければ、ウォン安に歯止めをかけることができる。輸出市場で製品が競合する日本はウォン安を防いだ方が得だ」という説です。
ウォンはマーケットから攻撃されやすい通貨です。経済規模に比べ、韓国には大量のホットマネーが入り込んでいる。そのうえ、外貨準備の流動性が低い。いったん外貨が流れ出だすと歯止めがかからないという弱点があります。
韓国の金融当局が通貨安に誘導している最中に、世界的な金融危機が発生すると、ウォンのパニック売りが起こりやすい。実際、この現象は2008年に発生しました。
つまり、世界経済の雲行きが怪しくなった時、韓国は通貨安に誘導したくても、おいそれとはしにくいのです。
反対に、日本とスワップを結んでもらえれば、安心して通貨安に持っていけます。これが2009年以降の状況です。スワップがあればこそ、ウォン安にできるのです。
https://business.nikkei.com/atcl/report/15/226331/090700066/?P=4
「反日」したらスワップ破棄
でも、1997年の通貨危機の際にはウォンが暴落しました。
鈴置:本格的な通貨危機になれば、確かにそうなります。でもその時は金融システムそのものが破壊されます。
通貨がいくら安かろうと、輸出ドライブをかけるはずの企業がバタバタと倒産してしまうのです。1998年にこの現象が起きました。
「日本の輸出を維持するために韓国とスワップを結ぶ」という理屈はかなり怪しいのですね。
鈴置:この理屈はマーケットを知らない役人や政治家がよく唱えます。誰かに吹き込まれたか、聞きかじりでしょう。
では、日本はどうすればいいのでしょうか。
鈴置:どうしても韓国にスワップを付けたければ「反日的な動きをしたら、スワップは破棄する」との条項を入れたうえ、公開しておく手があります。
告げ口外交など「卑日」に韓国が動いたら、マーケットは「日韓スワップは消滅する」と読みます。世界経済の状況が悪ければ、韓国から資本逃避が起きます。これへの恐怖から、韓国は「食い逃げ」しにくくなります。
あるいは、スワップの期間を半年とか3カ月に短縮する方法があります。韓国が「反日」「卑日」をしたら更新しないわけです。
1年以上に設定するから「自分の任期中はカバーされる」などと考え「食い逃げ」する大統領が出るのです。
スワップ協定に「卑日条項」を入れるなんて、先例はあるのですか?
鈴置:ないと思います。でも「慰安婦合意」には「韓国は蒸し返せない」との条項を入れました。これも異例のことです。
韓国相手には、普通のやり方ではうまくいかないのです。約束や契約が尊重される国ではない――法治国家ではないのです。中国と同じです。
日韓スワップは中国への裏切り
韓国は本心から海洋勢力側に戻ってはいない。偽装転向、ということですね。
鈴置:ざっくり言えば、そういうことです。今は中国とのスワップが信じられなくなって、日本にすり寄っている。でも韓国は少なくとも金融面では完全に中国ブロックに属しています。
通貨スワップも中国頼み。米国が入るなと言ったAIIB(アジアインフラ投資銀行)にも積極的に参加した。今回の日韓スワップを報じる韓国メディアに、彼らの本音が見え隠れしています。
中央日報の「韓日財務相会談…韓中関係の亀裂で韓日通貨スワップ再開か」(日本語版)をご覧下さい。関連する部分を文章を整えて引用します。
「通貨同盟」たるスワップを巡る韓日中の力学関係を勘案すると、韓国としては日本とのスワップ再開が中国との関係に及ぼす影響も考慮するほかない。
「日本とスワップを結ぶと『裏切った』と中国からにらまれるのではないか」と韓国人は恐れているのです。
聯合ニュースの「米利上げ可能性が高まり…韓日通貨スワップ電撃再開」(8月27日、韓国語版)も、その懸念を吐露しています。
ソン・テヨン延世大教授は、韓日通貨スワップ再開により韓中関係が影響を受けるとの一部の憂慮に対し「スワップは中国の経済的な側面に危害を与えるものではない」と述べた。
気分はもう「中国圏の一員」
韓国には「中国圏の一員」との意識がしっかりと根付いています。そこで日本とスワップを結べば「裏切り」と中国に叱責されると恐れた。それに対し、ソン・テヨン延世大教授は「実害がないから中国は怒らない。大丈夫だ」と説明しているわけです。
日本に揉み手をしながら近づいてきても韓国はもう、すっかり中国側の国なのです。中国との関係が改善すれば、またスワップを発動してもらえると安心して、日本には後ろ足で砂をかけるでしょう。
韓国に好意を示せばいい関係が生まれると期待してはいけません。次にスワップを食い逃げされたら「またも騙された」と日本人が不快になるのは確実です。それが嫌なら韓国とは間合いをとって付き合う方がいいのです。
韓国は長年、窮地に陥ると日本にすがりつき助けてもらい、窮地を乗り切るといきなり手のひらを返して裏切るという行為を続けてきました。
そして日本は何度も騙されてきたのだと、記事では書かれています。
他にも、2005年には違法操業をしていた韓国漁船を日本の海保が拿捕しようとしたところ、韓国の海洋警察が妨害、海上で数十時間にわたりにらみ合いとなり、最終的に「韓国に連れ帰り、そのうえで違法操業の罪を認め罰金を支払う」という政治的な手打ちがありました。
しかしいざこの漁船が韓国に戻ると、韓国側は「違法性はなかった、ただの事故である」として無罪放免にしてしまった挙句、拿捕を妨害した韓国海洋警察を表彰するという、あからさまな裏切りをしたこともあります。
参考記事
韓日の「海上対峙」が39時間ぶりに解決
朝鮮日報 2005/06/02
https://web.archive.org/web/20050603235855/http://japanese.chosun.com/site/data/html_dir/2005/06/02/20050602000052.html
「違法操業なかった」、海洋警察が調査結果発表
聨合ニュース 2005/06/02
https://web.archive.org/web/20051025052519/http://japanese.yna.co.kr/service/article_view.asp?News_id=572005060203300&FirstCd=01
【韓日の海上対峙】蔚山海警30人を表彰へ
朝鮮日報 2005/06/03
https://web.archive.org/web/20050605023407/http://japanese.chosun.com/site/data/html_dir/2005/06/03/20050603000045.html
これらには、以前から何度か書いたように彼ら独特の「恨(ハン)が関係しており、これは平たく書けば「自身の正しさが実現しない場合に発生する強いフラストレーションの一種」です。
そしてこのフラストレーションが特徴的なのは、相手の行いが当人と直接関係なくとも、それどころかほとんど独り相撲のような状況ですら相手に対して恨をため込む場合すらあり、それが恨の解消行動として上記のような行いを誘発させる原因となり得るのです。
そして現在、韓国では日本に対してかなりの恨の蓄積が起きており、たとえば次の記事にあるように
【時視各角】スラムダンク熱狂者たちの時代=韓国
ⓒ 中央日報/中央日報日本語版2023.02.01 08:36
https://japanese.joins.com/JArticle/300474
劇場内の熱気はとにかくすごかった。30代と見られる隣の席の2人の男性が何度も涙を拭いていた。名言が登場するシーンでは短い感嘆の声を上げた。公開4週目にしてボックスオフィス1位に返り咲き、200万人に肉迫する観客を集めている日本の劇場版アニメ『ザ・ファースト・
スラムダンク(THE FIRST SLAM DUNK)』のことだ。1990年代に大人気を博したバスケットボール漫画『
スラムダンク(SLAM DUNK)』の後続作だ。当時原作漫画のファンだった30~40代が興行の中心に立ち、これに10~20代が加勢するような形だ。原作漫画だけでなく関連出版物、グッズも翼が生えたように売れている。先週末、ソウル汝矣島(ヨイド)のデパート「ザ・現代」に用意されたポップアップストアにはフィギュアや限定ユニフォームなどを買おうとする数百人の若いファンが氷点下という天候の中にも関わらず明け方から「オープンラン」(立場待ち)の列に並んだ。好きなものは「堀って、また掘って」過消費する「digging」カルチャーの一環だ。SNSには26年ぶりに帰ってきた『
スラムダンク』を「謁見」した感動後記や長年のファンであることを告白する称賛文、映像があふれている。同作に熱狂するファンを「
スラムダンクに狂った者」という意味の「スルチンジャ」という言葉も出てきた。繰り返し映画を見る、いわゆる「N回鑑賞」も続いている。『
スラムダンク』はSBS(ソウル放送)でテレビ漫画映画として放映されたこともあり、当時の声優の声をもう一度聞くことができる吹き替え版も人気だ。
1998年の日本大衆文化開放に先立ち92年に韓国で出版された原作漫画は青少年の必読書であり、90年代バスケットボールブームの火付け役だ。高校の弱小バスケットボール部が全国制覇を夢見て成長していく「アンダードッグ」ストーリーだ。最近流行っている「チュンコンマ」(重要なのは折れない心)の元祖と言える。「左手は添えるだけ」「諦めの悪い男」「オヤジの全盛期はいつだ? オレは…オレは今なんだよ!」「あきらめたらそこで試合終了だよ」のような名言が有名だ。名言はミームになってネット上に広がり、このようなツールに慣れ親しんでいる10~20代が今回新たに『スラムダンク』ファンに流入した。原作漫画は日本で1億7000万部、韓国で1450万部が売れた。90年代アジアを席巻した日本漫画の地位、韓流に先立ち韓国の大衆文化に強大な影響力を及ぼしたJコンテンツの威力を思い出させる。
映画はOTT時代の劇場の進むべき道も示してくれている。 映画は一種の「思い出召還旅行」イベントとして消費されるが、これは最近驚異の技術力の饗宴で1000万人の観客を動員した『アバター:ウェイ・オブ・ウォーター(アバター2)』がそうだったように、単に素晴らしい映画を見るためだけに劇場に行くわけではない点を見せてくれている。特別な「体験」場所としての劇場だ。原作者である井上雄彦監督が脚本・演出を引き受けた映画は、コンピュータグラフィック(3D)と手のスケッチ(2D)を適切に配置し、キャラクターを追うカメラの目線で選手たちの動きに密着してこれを表現し、並ならぬ迫力感をスクリーンに投影している。『神と共に』の漫画家チュ・ホミンは「漫画本が生きて動いているような感じ」と評した。
ところがスラムダンクの熱烈なファンである40代男性は過去の政府が火を付けた「ノージャパン」(日本製品不買)運動など反日情緒の核心層とも重なる。実際、映画公開初期には一部の親野コミュニティを中心に「ノージャパンなのに日本映画とは一体何事か」という批判文が投稿されたことがあったが「私の青春の一部だ。嗜好を尊重しろ」という反論に力を失った。現在、韓国内の劇場街には『スラムダンク』以外に日本のロマンス映画『今夜、世界からこの恋が消えても』が観客動員100万人を突破して静かな興行を継続している。日本(実写)映画が韓国内で100万人を突破したのは2003年『呪怨』以降、20年ぶりだ。アニメでは『鬼滅の刃 無限列車編』がノージャパン運動の真っ最中だった2021年に215万人を集めて目を引いた。「政治は政治、文化は文化」として受け入れる若者観客の増加、政治的に企画された大衆感情の有効期間を見せている。もう一方では依然として韓日間の政治的葛藤を解く重要な道が文化にあるという考えも新たにすることになる。『ザ・ファースト・スラムダンク』の国内人気とともに日本Netflix(ネットフリックス)では『昼と夜』『ザ・グローリー ~輝かしき復讐~』など5本の韓国ドラマがトップ10(テレビショー)に入って韓流ブームを継続している。
ヤン・ソンヒ/中央日報コラムニスト
関連記事
「日本は嫌い」と言いながら『スラムダンク』に熱狂する韓国人…日本メディアも驚く人気
朝鮮日報 2023/01/28
https://www.chosunonline.com/site/data/html_dir/2023/01/28/2023012880015.html
https://web.archive.org/web/20230129054934/https://www.chosunonline.com/site/data/html_dir/2023/01/28/2023012880015.html
韓国では最近劇場版アニメの「スラムダンク」が大ヒットしているのですが、その件に関してノージャパン問題関連で論争が発生しているのですが、ここで重要なのは韓国内では「徴用工問題の報復として日本が輸出規制をした」という事になっているため、この論争の「双方」が日本に対して恨をため込む結果になっているのです。
──
2023年2月2日追記
なぜなら「日本が不当な報復措置をした、だから対抗措置としてノージャパンを行った」という前提があるので、映画を見た側は「見たことを批判する人々」に対して恨を蓄積しそうではありますが、実際には「こうなった原因は日本にある」と考え、それは批判する側も同じだからです。
いわゆる「ウリとナム」の概念によって、「同じ韓国人」は「ウリ」になり、日本人は「ナム」となり、「ウリは常に正しい」という思考をする結果です。
※ウリとナム
ウリ(自分達)ナム(それ以外)
自他の境界が非常に曖昧な概念であり、彼らはウリである場合自身と全く同じ正しさと感情を共有しており、「ナム」はそれ以外、或いは正しさを理解しない劣等な相手と認識される。
また、このウリの範囲はその時の都合で自身を中心に拡大縮小する。
韓国人独特の「ウリ」と「ナム」という概念 - 日韓問題(初心者向け)
【日韓問題】韓国独特の「ウリ」と「ナム」の概念 前編 - ニコニコ動画
【日韓問題】韓国独特の「ウリ」と「ナム」の概念 前編 - YouTube
──
また他にも以下のように
韓国の旧正月連休、最高の人気旅行先は日本
ⓒ 中央日報日本語版2023.01.31 12:02
https://japanese.joins.com/JArticle/300453
韓国の航空会社エア
プサンは31日、
旧正月連休期間に日本路線の乗客が全国際線搭乗客のうち約65%を占め最高人気路線であることを確認したと明らかにした。
旧正月連休期間の20日から25日までエアプサンが運航した21の国際線路線のうち、日本路線の搭乗客が3万6182人を記録した。全国際線搭乗客5万5371人の65%に達する。
釜山(プサン)~福岡が9977人、釜山~関西が7476人、仁川(インチョン)~関西が5402人、仁川~成田が4849人の利用客を記録した。日本のほか、釜山~台北、釜山~バンコク、仁川~ニャチャン路線など東南アジアも人気旅行先だった。
釜山~福岡路線は平均搭乗率95%を記録した。釜山~バンコクが94%、釜山~千歳が94%、仁川~成田が91%など多くの路線が90%以上の搭乗率を記録した。
エアプサン関係者は「これまで抑えられていた海外旅行需要が短距離路線で大幅に発生している。学校の休みが続く来月まで増加傾向が続くと予想される」と話した。
韓国では旧正月の連休での人気旅行先トップが日本だったようなのですが、元々「ノージャパン運動」の中核として「日本旅行ボイコット」があったため、この件でも日本に対しての恨の蓄積が発生しています。
──
2023年2月3日23時40分追記
韓国では「日本が(韓国的な)正しい歴史認識を持たないため、強制連行(徴用工問題)の罪も認めない」という前提が存在しており、そのうえで、韓国人達は「徴用工問題の報復として輸出規制をしてきた(実態は韓国による輸出入管理の杜撰さが原因ですが)」と認識しているので、対抗措置としてノージャパン運動を行ったという事になっています。
このため、「日本旅行に行きたい韓国人」にとっても「悪いのは日本」であり、「正しい歴史観を持ち反省しない日本に問題があるのだ」という認識になっています。
なので、「ノージャパンなのになぜ日本に行くのか」と咎められると、日本に対して「日本が正しい歴史観を持ち反省しないからだ」と恨が蓄積するわけです。
ちなみに余談になりますが、2021年当時与党だった「共に民主党」所属でソウル市長選に立候補した朴映宣氏は、夫の名義で東京赤坂に高級マンションを所有しており、その状態でノージャパン運動を扇動し、更に当時野党だった「国民の力」の議員などを「土着倭寇」とレッテル貼りをしていました。
「釜山市長候補は対馬ビューマンション」批判に「ソウル市長候補は靖国ビューか…もうやめよう」
ⓒ 中央日報/中央日報日本語版2021.03.18 09:46
https://japanese.joins.com/JArticle/276681
李俊錫(イ・ジュンソク)元国民の力最高委員が17日、「朴亨ジュン(パク・ヒョンジュン)釜山市長候補のマンションが
対馬ビューだと言って
親日フレームを作ろうとしているようだが、それなら、あなたたちの候補の家は日本王宮ビューなのか」と指摘した。
前日、与党・共に民主党の申東根(シン・ドングン)議員は国会法制司法委員会で、「朴亨ジュン候補をみると、対馬まで見える、とても眺めが良い75坪、当時の分譲価格が20億5000万ウォン(約2億円)を下と上に持っている」と述べた。続いて「公職に出ようとする人は持っているものを売却するが、この人はむしろこれを昨年買った。なのに釜山市長の公認を受けて出てくるのか」と話した。
これに対し李元最高委員はこの日、自身のフェイスブックに、共に民主党の朴映宣(パク・ヨンソン)ソウル市長候補の配偶者が東京にマンションを保有していることに関連し、「赤坂の別宮のそばになぜ家を持っているのか」と尋ねた。続いて「(朴候補の東京のマンションから)西側に少し行けば明治神宮があり、北に少し行けば靖国神社がある」とし「(朴候補のマンションは)靖国神社ビューなのか。意味もないことを持ち出すのはやめよう」とコメントした。さらに「南海(ナムヘ)が対馬近海と考えているのだろうか。それなら盧武鉉(ノ・ムヒョン)大統領も南川三益ビーチマンションの対馬ビューで暮らしていたのか」と反問した。
◆朴亨ジュン候補の不動産投機疑惑で攻撃する民主党
この日、民主党は釜山で選挙対策委員会の会議を開き、LCTマンション現場では朴候補の特恵分譲疑惑を特別検察にまで言及しながら強く提起した。
金太年(キム・テニョン)党代表職務代行兼院内代表は「LCT特検導入を強く提案する。不動産積弊を清算しなければいけない」とし「土建腐敗勢力の象徴であるLCTを所有する朴候補が堂々と釜山市長に出馬した良心不感症に市民が虚脱感を感じる」と非難した。
李洛淵(イ・ナギョン)常任選対委員長は「LHが全国的な憤怒であれば、LCTは釜山の羞恥」とし「釜山の野党候補は不動産だけでなく不法査察と子どもの入試不正疑惑関与の疑いもある。恥ずかしく嘆かわしい」と話した。
金栄春(キム・ヨンチュン)釜山市長候補は「釜山市長をするという方が海雲台(ヘウンデ)の白い砂浜を壊した不法開発怪物に入って暮らすのか」と指摘した。
申東根最高委員は「LCTゲートの扉が開く。朴候補は謝罪して辞退すべきだ」と主張した。
こうしたダブルスタンダードな言動に一切のためらいがないのも、彼らのなかで日本へ旅行したりマンションを買ったりしても、それは「日本の事情を理解する」という事に一切繋がっていない事がわかります。
彼らには、「日本の物が好きなのだから多少なりとも日本に理解があるはず」という前提自体が成り立たないのです。
──
こうした状態で、韓国世論の6割以上が「受け入れられない」としている代位弁済方式が強行されたうえに、日本政府が「問題は解決済み、代位弁済を行うなら優遇措置を復活させる」という態度を取ったらどうなるかという事です。
韓国内で猛反発が起きるのは確実なうえに、これまでの傾向から韓国政府は事が済んだ後で大規模な「恨の解消行動」を行うでしょう。
過去に何度も同じことは起きているわけですから。
つまり、日本政府による「徴用工問題とは関係ないが、問題が解決するのであれば優遇措置復活を検討する」という態度は、それだけで大きな問題を引き起こす爆弾となりかねず、これまでの韓国との外交の失敗から学習した態度にはとても見えないわけです。
明らかに余計な火種をまいています。
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