さて、本日は韓国社会では対立の一応の解決を目的とする「落としどころ」のような発想はあまりないという事例について扱っていきます。
初めて来られた方はまずこちらを先に読む事をお勧めします。
ブログ『日韓問題(初心者向け)』を始めた理由 - 日韓問題(初心者向け)
注意
・このブログは「日韓の価値観の違い」を初心者向けに扱っています・当ブログのスタンスは「価値観に善悪や優劣は存在しない」というものです
・相手が不法を働いているからと、こちらが不法をして良い理由にはなりません
・自身の常識が相手にとっても常識とは限りません、「他者がそれを見たらどう思うか」という客観性を常に持ちましょう
・日常生活で注意する程度には言動に注意を心がけてください
韓国は現在も日韓関係を重視するスタンスを続けており、実際の交流なども同様で、政治に関しても首脳同士に険悪なムードは存在しておらず、歴史問題に関し何らかの手打ちがあったようにも見える。
しかし実のところ、こういった事例は韓国内でも非常に多く、激しい対立後に一時的な利益を得るために、問題を先送りしたまま共闘や表面的な協力をしたかと思えば、何かの拍子に問題が再燃するという事が多い。
実際、韓国の与野党は、元々李大統領による「報復はしない」「与野党協力」といった宣言が有名無実化しており、与党「共に民主党」の立場が強くなったことで、対立が激化したという経緯があり、日本も今の韓国の態度を警戒したほうがいい。
※本文中のリンクは引用の元記事、或いはウェブアーカイブやウェブ魚拓(別サイト)へのリンクです。
以下から本文
1:対日融和
まずはこちらから
李大統領 高市首相と交流・協力で一致=シャトル外交の継続確認
聯合ニュース 2025.10.30
https://jp.yna.co.kr/view/AJP20251030005200882
記事にもあるように、先月のAPECに合わせ高市首相と李大統領が首脳会談を行い、「両首脳は和気あいあいな雰囲気の中、幅広い交流を継続することを確認した」「経済、社会、安全保障、民間交流を通じた関係」の構築などが話し合われたと書かれています。
また「李大統領はこうした構想を実現するため、歴史問題と未来志向の協力を切り離して対応するという「ツートラック」の戦略を進めている」と書かれていますが、今のところは大きな問題にはなっていません。
また次を読むと
「韓日、文化・技術の2本の軸で協力の場を開くべき」
ⓒ 中央日報/中央日報日本語版2025.10.30 09:17
https://japanese.joins.com/JArticle/340390
APECに合わせて開かれた第6回世界文化産業フォーラム(WCIF)において、自民党の小渕優子衆議院議員が「韓日は文化と技術という2本の軸を基盤に『未来志向的協力』の新たなページを開かなければいけない」とスピーチ、またネイバークラウドのキム・ユウォン代表「人工知能技術は韓国と日本に大きな波のように押し寄せてくる流れ」等と発言し、技術と文化の交流を積極的に呼びかけています。
そして次の記事を読むと
韓国と日本が対等な隣国になるために【東京支局長コラム】
朝鮮日報 2025/10/25
https://www.chosunonline.com/site/data/html_dir/2025/10/18/2025101880012.html
朝鮮日報東京支局長のコラムの中で、自身が出演したBSフジの番組「日韓は“真の隣国”か 首脳会談『思惑』分析」というテーマの内容を紹介、「信頼だけが真の隣国となる条件」といった声があったと紹介する等、他の事例も交えながら自身の考えを書いています。
そして、歴史問題や領土問題があるにせよ「今韓国にとって日本は共通の利害関係を持つ絶対に必要な隣国になっている」「韓国の「反日」が心配なら、日本は韓国が反日にならない外交政策を進めるべきだ」「1人当たりGDP(国内総生産)が同じになった今こそ韓国と日本が共に未来を歩む対等な隣国となるべき時だ」と締めくくっています。
これらを読むと、韓国側は諸問題で妥協する意思はなく日本側の譲歩を望んでいる事と、日本のGDPを見て「対等」と考えている事が分かり、彼らの序列意識から「経済で対等になったから友好出来る」という発想が根底にある事が分かります。
日本では、あたかも日韓で何らかの手打ちがあったかのような印象を受けている人が多いようですが、実際にはそれは日本人の感覚であり、韓国側は何の妥協もしておらず、ただ「自身の序列が上がった」という一点のみで現在の日韓関係を成り立たせているわけです。
参考記事
韓国「65年体制」、変化が必要…対等な関係で日本から統一協力を引き出すべき(2)
中央SUNDAY/中央日報日本語版2014.10.21 12:12
https://japanese.joins.com/JArticle/191628
「脅威」から「対等」に=韓国、変わる対日意識―先進国化で共通の課題・国交正常化60年
時事通信 2025年06月22日
https://equity.jiji.com/oversea_economies/2025062200319
2:目先の利益優先
そしてここで問題なのは、韓国側の発想はあくまで主観や感情に根差したものであるため、非常に不安定で、先ほどの記事にもあるように、根底には「韓国の「反日」が心配なら、日本は韓国が反日にならない外交政策を進めるべきだ」という発想があり、そこに「落としどころ」のようなものはない事です。
実際、韓国の現与党である「共に民主党」内では、主流派である親文在寅派と非主流派である李在明派がかつて争っており、
文前大統領、「あのクズ(李在明)のせいで復活した国民のお荷物クズ」ツイートに「いいね」
朝鮮日報 2022/06/02
http://www.chosunonline.com/site/data/html_dir/2022/06/02/2022060280034.html
尹錫悦政権発足直後頃には、twitter(現:X)に投稿された「あのクズのせいで復活した『クッチム』のクズたち」というツイートに文在寅氏が「いいね」をしていたと書かれています。
記事によると2022年6月1日に行われた、第8回全国同時地方選挙(統一地方選挙)に関する「国会議員補選で共に民主党が惨敗すると予想される」という情報に対するツイートで、「「あのクズ」とは李在明(イ・ジェミョン)共に民主党常任顧問・国会議員補選仁川市桂陽区乙選挙区候補者を指すものと見られる。「クッチム(国民のお荷物)」は共に民主党寄りのネットユーザーたちが与党・国民の力をさげすんで呼ぶ時の表現だ。」と説明されています。
つまり、双方には相当な禍根があり、文在寅氏はそれを隠そうともしていなかったという事です。
そして次を見ると
民主党の親文系と親明系が公認めぐり正面衝突、任鍾晳氏カットオフし全賢姫氏は戦略公認
東亜日報 February. 28, 2024
https://www.donga.com/jp/article/all/20240228/4777030/1
2024年2月の事なのですが、「共に民主党」で公認(候補者選定)をめぐって親文在寅(親文)系と親李在明(親明)系の対立が激化したと書かれており、党の戦略公認管理委員会は、親文系議員の任鍾晳氏をカットオフ(公認除外)し、代わりに全賢姫氏を戦略公認することを決定。この決定には親文系の韓秉道委員長らが最後まで反対したが、最終的に親明系が押し切ったと書かれています。
結果、反発した「親文系(=主流派)」内から「共に民主党」を離党する議員まで現れ、それ以前に実質的に党を追い出された李洛淵氏の政党「新しい未来」に合流しているという記事です。
このように、親李在明派と親文在寅派の対立は激化し続けていたわけですが、最近になってこの両者が共闘し始めており
司法リスク高まる文在寅・前大統領と李在明・共に民主代表が「防弾同盟」
朝鮮日報 2024/09/09
https://www.chosunonline.com/site/data/html_dir/2024/09/09/2024090980156.html
https://web.archive.org/web/20240910013918/https://www.chosunonline.com/site/data/html_dir/2024/09/09/2024090980156.html
数か月前まであれだけ対立していた両者が会談を行ったという記事なのですが、その動機は双方の「司法リスク」にあり、李在明氏の数々の司法リスクと共に、文在寅氏の娘の元夫を巡る疑惑※があるため、その防御目的の共闘のようなのです。
※タイ・イースター航空(韓国のLCC、イースター航空のタイ法人)に役職で雇用されたが、この人物には航空業界での実務経験が皆無であり、イースター航空創業者である李相稷氏が政府系機関の社長に任命された件の見返りではないかと言われている。
また、この記事では書かれていませんが、文在寅氏が大統領時代に発生した雇用や不動産価格を巡る統計データ改ざん問題や、2020年に韓国海洋水産部傘下の職員が海に転落し、北朝鮮に銃殺された事件において、「北朝鮮に亡命した」と嘘の発表がされた件では、文氏も捜査リストに入っており、これも司法リスクです。
このように、禍根の手打ちや「落としどころ」のようなものがないまま、単に私的な利害で「共闘」するような事例は、韓国で度々起きており、それでも李在明氏は大統領に当選出来ており、韓国ではそこまで問題視されていないのです。
つまり、李政権は短期的な利害の一致で行動しており、根本的な和解を志向していません。
日本では利害が一致すれば、遺恨を残さないよう「落としどころ」を相互に設定したうえで一時的にでも妥協が成立しますが、韓国ではそもそも自身が少しでも折れると「負けた」と判断する場合が多いこともあり、お互いが一時的に利用しようというだけで、対立の根本解決には至らないわけです。
3:状況次第で変わる
ここで問題なのが、「手打ち」も「落としどころ」もない場当たり的な協力関係であるため、何かしら切っ掛けがあれば対立は激化するという事です。
例えば李在明大統領は、野党「国民の力」との融和や「報復政治は行わない」という宣言をしていましたが、次第に自身や「共に民主党」に有利な状況になってくると
近い!近い! 韓国国会で共に民主議員が野党院内代表に詰め寄る光景が話題に
朝鮮日報 2025/11/10
https://www.chosunonline.com/site/data/html_dir/2025/11/10/2025111080003.html
こちらの事例では、最大野党「国民の力」の院内代表が、国会運営委員会の国政監査中に与党「共に民主党」の議員に怒鳴りつけられ体をぶつけられたと書かれており、原因は「共に民主党の蔡鉉一(チェ・ヒョンイル)議員が国民の力の朱晋佑(チュ・ジンウ)議員の(国政監査への)出席資格を問題視して攻防が激化」した事にあるそうです。
また次の事例では
韓国民放SBS時事番組、「脳の実験をしたい」と保守系野党の女性党員(31)に出演オファー
朝鮮日報 2025/11/11
「国民の力」の元選挙対策委員会報道官が、親与党系の番組から「脳の実験をしたいとの趣旨の出演依頼を受けた」として強く反発したと書かれています。
そして「犯罪を取り上げる番組で、私を分析対象にしようとする『いんぎん無礼』な視線がひどく不快だった。右派を支持する極めて正常な多数の国民に対し、彼らの態度はまるで病菌扱いをするかのように差別的なだけでなく、このように暴力的なものだ」と述べたと書かれています。
更に次の事例では
国会の国政監査の場で、初日から与野党の怒号が飛び交い、国政監査の本旨と無関係なYouTubeショート動画対決まで発生、「7年間国政監査をモニタリングしてきた市民団体がF評価を付け、「歴代最悪の国政監査」と評したほどだ」と書かれています。
記事によると「与野党の議員らは、法務委員会では互いを「ガーガーうるさい奴」「豚八戒」などと罵り合って争い、科学技術情報放送通信委員会では「ひと殴りで倒せる」「お前なんか俺が勝つ」といったチンピラまがいの言葉を投げ合った」と書かれており、子どもの喧嘩のような状態だったようです。
李在明氏が野党との共同統治を呼びかけながら、なぜ韓国の政界でこのような事が繰り返されているかといえば、彼ら独特の正しさの概念により、「自分が常に正しい」という前提で思考するため、そもそも「手打ちにする」とか「落としどころを設ける」という発想に乏しく、一度対立が激化すると収拾がつかなくなり、序列で抑え込むしかなくなるからです。
※独特の正しさの概念
彼らの正しさの概念は独特であり、根拠を必要としない。
また「この世には最初から一つの正しさが存在する」と考えられており、自分はその正しさを常に選択していると考える傾向にある。そして正しさ同士がぶつかった場合には、(曲解でも捏造でもその件と全く関係なくともなんでもいいので)相手の劣等性を指摘する事でそれを自己の正しさの担保とする。
また相手の劣等性を指摘した時点で自身が指摘された問題は相手の問題にすり替わる。
しかし、民主主義の構造上与野党に序列はないうえに、元々非主流派だった親李在明派は脆弱な基盤を気にして野党にも気を使っていましたが、司法を掌握できたことでそれも必要なくなり、結果野党にマウントを取ろうとしてこうなったわけです。
ここで重要なのは、こうした構造は対日本でも同じという事です。
最初の方で引用した朝鮮日報の記事にもあったように、根本的に韓国は日本との諸問題で一切の妥協をする意思がなく、あくまで「日本側の一方的な譲歩」を望んでいます。
そのうえ、彼らが「日本と友好出来る」と考えているのは、朝鮮日報の「1人当たりGDP(国内総生産)が同じになった今こそ韓国と日本が共に未来を歩む対等な隣国となるべき時だ」という記述からもわかるように、「経済的に追いついた」と考えているからで、あくまで序列意識からです。
しかし、元々日韓では経済の土台となる基盤に大きな差があり、表面的に韓国側が「日本に追いついた」と考えていても、実際には日本との間には大きな経済的な差がある上に、差がなくなった直近の原因は日本の円安による為替(+成長率の差)が大きな原因で、実態としての経済が追い付いたわけではありません。
また、韓国は経済がかなり落ち込んでおり、「1990年代の通貨危機の時より悪い」という状況であるため、いずれ「経済で追いついた」という余裕も消えるわけですから、「日本に経済で寄りかかればなんとかなる」と考えているうちはいいですが、「望む通りの支援が受けられない」となった場合、また豹変する可能性があります。
最初の方で書いたように、日本では日本的な感覚で「韓国と諸問題で何らかの落としどころがあったのだ」と考えている人が多いようで、メディアでもその前提で「若い世代は反日ではない」等と主張している事が多いですが、日本では問題が解決されたと感じやすい一方、韓国では関係が安定しただけで根本問題は残っていると見る傾向がある、という価値観の違いがあるわけです。
参考記事
韓日国民「経済・安全保障の戦略的利益」に共感、両国関係の新たなページを開く時
東亜日報 June. 20, 2025
https://www.donga.com/jp/article/all/20250620/5673235/1(一部抜粋)
歴史問題について、韓国の回答者の85%が「日本は十分に謝罪していない」と答えた一方で、日本では67%が「十分に謝罪した」と回答しており、それだけ潜在的な対立要素が残されていることを意味する
韓国国民90%「日本との関係は重要」、同時に90%「過去の謝罪は不十分」…相互利益へ「包括的協力」必要
KOREA WAVE 2025 年 3月 5日
https://koreawave.jp/%e9%9f%93%e5%9b%bd%e5%9b%bd%e6%b0%9190%ef%bc%85%e3%80%8c%e6%97%a5%e6%9c%ac%e3%81%a8%e3%81%ae%e9%96%a2%e4%bf%82%e3%81%af%e9%87%8d%e8%a6%81%e3%80%8d%e3%80%81%e5%90%8c%e6%99%82%e3%81%ab90%ef%bc%85/(一部抜粋)
一方で、過去の歴史問題に関しては、87%が「日本は十分に謝罪していない」と回答した。これは、この問題がいつでも日韓関係悪化の引き金となり得ることを意味している。
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