さて、本日は一部のマスコミが大騒ぎしている改正入管法について扱っていきます。
本日の投稿動画
元記事
改正入管法を巡る報道の問題
http://ooguchib.blog.fc2.com/blog-entry-499.html
過去動画
【ゆっくり解説】対話ができないマスコミ - ニコニコ動画
- YouTube
お品書き
・改正入管法の報道
・実際の判決内容
・補完的保護対象者
注意
・この動画は「マスコミ問題」を扱っています・「マスコミ問題」であり右派・左派等の陣営論争は本題ではありません
・「特定の国との特別な関係」は問題の枝葉です、主問題は業界の体質です
・自身の常識が相手にとっても常識とは限りません、「他者がそれを見たらど
う思うか」という客観性を常に持ちましょう。・日常生活で注意する程度には言動に注意を心がけてください
・リクエストは原則受け付けていません
・引用ソースへのリンクが同時掲載のブログにあります
・毎週土曜日更新
※以下は動画のテキスト版です
レイム マリサ
ゆっくりしていってね。
マリサ
さて、今回は日韓問題なので私が扱っていくぜ。
レイム
改正入管法というと、いくつかのマスコミで問題点が報じられていた件よね。
マリサ
そうだぜ。
それでな、過去動画の「対話ができないマスコミ」でも少し触れたが、批判しているメディアが「改正の原因」や入管側の主張をまるで無視している事もあって、今回の件も調べてみたら、案の定「印象操作」や「事実関係の隠蔽」があったんだぜ。
レイム
またなの?
マリサ
またなんだぜ。
なんというか、どうも改正入管法を批判しているマスコミは「改正に不満を持つ人達」の言い分しか調べていなくて、しかもその主張の裏取りもしていないっぽいんだよな。
レイム
相変わらずの無茶苦茶っぷりね。
マリサ
そんなわけでそろそろ本編へ行くぜ。
改正入管法の報道
レイム
それで、最初は問題のある報道の紹介からでいいの?
マリサ
そうなるな。
まずはいつもの朝日さんだぜ。
「難民申請中でも強制送還」可能に 改正入管法10日に施行
朝日新聞 2024年6月9日
https://www.asahi.com/articles/ASS663Q3GS66UTIL00KM.html難民認定の申請中でも強制送還できるようにする改正入管難民法が10日、施行される。外国人労働者の受け入れ拡大が進む一方、ルール違反への対応は厳格化される。日本に難民としての保護を求めている人の間では、迫害のおそれがある母国に送還されかねないとの懸念が広がる。
従来、難民申請をしている間は送還を一律に停止する規定があった。改正法は、3回目以降の申請者が、難民と認定すべき「相当の理由」を示す資料を出した場合を除き、送還できるとする。
昨年の通常国会で政府は、強制退去処分が決まったのに送還を拒む外国人が増え、2022年末には4233人に達したと説明。一部は送還を回避するために難民申請を繰り返しているとして、法改正に理解を求めた。
改正法では、強制退去が決まった人を原則として施設に収容してきた措置を改め、外国人を監督する支援者のもとで暮らす「監理措置」制度も導入する。
「難民鎖国」との批判も
難民認定を待つ外国人や支援者らには「保護されるべき難民の生命が脅かされる」との不安が高まっている。日本も加入する難民条約は、人種や宗教などを理由に迫害される恐れがあり、母国から逃れた人を難民と定義。迫害の恐れのある国へ送還してはならないとする。日本は欧米の国に比べて難民認定率がきわめて低く、「難民鎖国」との批判もある。
一連の改正では、条約上の難民と認められない場合でも、紛争から逃れた人らを難民に準じて保護する「補完的保護対象者」制度も新設。ウクライナからの避難者らを念頭にした規定で、昨年12月に施行された。
4度の難民不認定、高裁が覆す判決 「理解欠く」と国批判
改正法の付帯決議には、難民認定の審査に関わる調査官らへの研修の充実や、各国の政情などの情報を収集する体制の強化を求めることが盛り込まれた。難民問題の専門家の間には、難民認定の審査の透明性を高めるため、政府から独立した第三者機関が審査を担うべきだとの指摘もある。(久保田一道)
難民として保護を求めていても、強制送還されかねない――。改正入管難民法の10日の施行に不安が広がっている。難民と認めない政府の判断が裁判で覆される例もあり、難民審査のあり方こそ見直すべきだとの批判は根強い。
(後略)
記事の後半では、政府の難民不認定を覆した裁判事例をはじめ、送還への不安を抱く当事者の声、難民審査のあり方についての識者の提言などを紹介しています。
マリサ
こちらでは、日本の難民認定率が極めて低く、「難民鎖国」の状態にあるとしたうえで、「ウクライナからの避難者らを念頭にした規定」としたうえで、「条約上の難民と認められない場合でも、紛争から逃れた人らを難民に準じて保護する「補完的保護対象者」制度も新設」がされたと書かれているな。
マリサ
そして、新たな制度上は3回の申請後に認定を受けられないと「難民として保護を求めていても、強制送還されかねない」として、「難民と認めない政府の判断が裁判で覆される例もあり、難民審査のあり方こそ見直すべきだとの批判は根強い」と書かれているぜ。
レイム
つまり、政府が難民と認めなかった事例でも、後に裁判所が難民と認めた場合がある事から、回数制にすると余計に保護されるべき人がされなくなる可能性があるというわけね。
マリサ
で、この件で重要なのは記事にもある改正後に新設された「補完的保護対象者」という制度なんだが、それは後で説明するぜ。
そして次はこれ
改正入管法の施行 難民を追い返さないよう
毎日新聞 2024/6/9
https://mainichi.jp/articles/20240609/ddm/005/070/073000c(一部抜粋)
滞在を続けるため、審査中は送還されない制度を乱用するケースがあるとの理由から、規定が設けられた。しかし、日本は欧米に比べて認定のハードルが高く、何度も申請を繰り返し、ようやく難民と認められることもある。
ミャンマーの少数派イスラム教徒ロヒンギャの男性は、4回申請しても認められず、今年に入り、裁判を経て認定された。
人命に関わる重大事である。迫害の恐れがある国への送還は国際ルールによって禁じられている。
申請者の訴えを踏まえて、審査を尽くす必要がある。回数制限を超えたからといって、機械的に送還するようなことがあってはならない。
国会審議では、審査の公正さに疑問が呈された。手続きの透明性を高めたり、申請者の出身国の最新情報を集めたりすることを求める付帯決議がなされた。
出入国在留管理庁は職員らの研修を強化しているという。だが、入国や在留を規制する入管庁が認定手続きに当たる現状は、難民保護の観点から懸念が拭えない。独立した第三者機関が審査する仕組みが必要だ。
法改正のきっかけは、国外退去処分を受けても帰国しない人が、入管施設に長期間収容されている問題がクローズアップされたことだった。
マリサ
こちらの毎日新聞の記事によると、さっきの朝日の記事にあった「4回申請が認められず裁判所で難民認定を受けた」という事例なんだが、これはミャンマーの少数派イスラム教徒ロヒンギャ男性の事例で、回数制になるとこうした事例で、迫害されている少数民族が危険にさらされることになるとしているぜ。
記事では、「入管庁が認定手続きに当たる現状は、難民保護の観点から懸念が拭えない」としているな。
レイム
ロヒンギャというと、元々ミャンマーの一部地域で迫害されているという報告があって、2021年のクーデター後は民族全体が軍部からの大弾圧を受けているとして国際問題化している事例よね。
マリサ
そうだぜ。
そして次はこちら
「送還されたら命の危険に…」当事者らは国会で、10日施行された改正入管難民法への恐怖を訴えた
東京新聞 2024年6月10日
https://www.tokyo-np.co.jp/article/332662(一部抜粋)
◆国は「2回目までに適正に保護される」というけれど
「このところ3時間ぐらいしか眠れない。送還されれば間違いなく命の危険にさらされる」。イラン国籍のサファリさん(55)が悲痛な声を上げた。母国で政治運動に加わり、何度もむち打ち刑を受けた。だが、日本では難民と認められず、現在3回目の申請中だ。改正法で出入国在留管理庁(入管庁)は、3回目以降なら申請中でも強制送還する可能性がある。サファリさんは移行期の特例で、今の申請の結論が出るまでは送還されないが、不認定が確定すれば、強制送還の対象になり得る。
入管庁は「保護すべき人は2回目までに適正に保護される」という。だが、最近の裁判例でも、難民審査には疑念が生じている。今年1月、名古屋高裁はミャンマーでの軍の弾圧から逃れた少数民族ロヒンギャの男性を難民認定する判決を出したが、この男性は来日した2007年以降、4回申請し、いずれも不認定とされていた。
マリサ
この人物についてもう少し詳しく報じている東京新聞の記事なんだが、それによると「今年1月、名古屋高裁はミャンマーでの軍の弾圧から逃れた少数民族ロヒンギャの男性を難民認定する判決を出したが、この男性は来日した2007年以降、4回申請し、いずれも不認定とされていた」となっているぜ。
レイム
ちょっとまって、クーデターがあったのは2021年よね、それ以前は迫害が民族全体に向けられたものではなかったようだから、これはその「一部地域」の居住者だったってこと?
時系列がよくわからないのだけど。
マリサ
これがまず問題なんだぜ。
実際の判決内容
マリサ
この件なんだが、記事を読んでなんかおかしいとして当初はブログの方で「疑惑」として扱っていたんだが、コメント欄で判決内容を教えてもらってな、まずこちらを見てくれ
ロヒンギャ男性が逆転勝訴難民認定を国に命じる判決名古屋高裁
朝日新聞 2024/1/25
https://www.asahi.com/articles/ASS1T6K13S1TOIPE00Y.html(前略)
判決は、現地では2021年の国軍によるクーデター後、ロヒンギャへの大量殺戮(さつりく)といった迫害が全土で起きていると認定。その上で、男性が反政府活動に参加していた事情も踏まえ、「人種、宗教及び政治的意見を理由に迫害を受ける恐れがあり、難民に当たることは明らかだ」と結論づけた。原告代理人によると、同種訴訟を巡って特定地域以外のロヒンギャも迫害を受けているとの判断が示されたのは異例だという。「ロヒンギャを巡る国の難民認定の判断に影響を及ぼす可能性もある判決だ」と評価した。
判決によると、男性は07年に一時的な保護を求めて来日。計4回難民認定を申請したがいずれも認められなかった。
23年4月の一審・名古屋地裁判決は、男性はロヒンギャと認めつつ、ミャンマー全域で迫害があるとは認められないなどと指摘し、難民には該当しないとの判断を示していた。(高橋俊成)
マリサ
裁判の判決では2021年を起点としてロヒンギャへの弾圧が起きているとして、「男性が反政府活動に参加していた事情も踏まえ、「人種、宗教及び政治的意見を理由に迫害を受ける恐れがあり、難民に当たることは明らかだ」と結論づけた」と書かれているな。
レイム
つまり、元々は危険性がないとして難民認定されていなかったけど、クーデター後には「人種、宗教及び政治的意見を理由に迫害を受ける恐れがある」としているから、2007年に入国後の申請のどこまでかは不明だけど、ほとんどはクーデター前の申請って事よね。
マリサ
しかも、この件って実態は裁判で「3回目の申請」が難民と認められたので、4回目の申請が自動的に却下になったという事例なので、4回申請で認められないって話自体が誇張なんだぜ。
さらに次を読むと
難民の認定をしない処分取消等請求、訴えの追加的変更申立控訴事件
名古屋高等裁判所 令和6年1月25日
https://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail4?id=92830
https://www.courts.go.jp/app/files/hanrei_jp/830/092830_hanrei.pdf
(一部抜粋)
また、国を去った後に後発的に難民になることがあることは、入管法61条の2の2第1項2号の規定から明らかである。控訴人は、適法な旅券を持たずに出国したのであるから、帰国時に投獄される可能性が高い。加えて、控訴人は、かつて、NLDに加入して政治活動をしていたことがあるのだから、NLDと対立する軍事25政権から拘禁及び暴力にさらされる可能性が高い。迫害の現実的な恐れがある以上、ロヒンギャであり政治活動を行っていた控訴人が恐怖を感じることには十分に理由がある。
マリサ
該当の名古屋高等裁判所の「裁判例結果詳細」では、「国を去った後に後発的に難民になることがあることは、入管法61条の2の2第1項2号の規定から明らかである」「控訴人は、かつて、NLDに加入して政治活動をしていたことがあるのだから、NLDと対立する軍事政権から拘禁及び暴力にさらされる可能性が高い。迫害の現実的な恐れがある以上、ロヒンギャであり政治活動を行っていた控訴人が恐怖を感じることには十分に理由がある」となっている事から、裁判所が難民認定した根拠は2021年のクーデターなんだぜ。
レイム
ああ、つまりクーデター前にはそもそも難民の要件を満たしていなかったわけね。
マリサ
ちなみに、NLDというのは「国民民主連盟」という、アウンサンスーチーが党首を務めていた政党で、2021年のクーデターで政権の座を追われているから、そこの活動に参加していたって事だな。
そして次を読むと
3 回目の難民申請で難民該当性が認められたロヒンギャ族の事例
中央大学/株式会社TKC 2024 年 4 月 26 日
https://www.lawlibrary.jp/pdf/z18817009-00-090562441_tkc.pdf(一部抜粋)
三 迫害の理由及び個別性
日本では、これまでロヒンギャであることのみをもって迫害を受ける恐れがあるとは考えられておらず、当該個人の政治的活動と合わせてそれが認定されてきた 7)。しかし、国際司法裁判所がロヒンギャが深刻な危機にさらされていると指摘し、ミャンマーに対してあらゆる手段を用いてジェノサイドを阻止するようにと仮保全措置を命じた現在、その点は一層の争点となる。判決は、まず、判決の要旨1で示したように、迫害の恐怖を抱くような「客観的事情」が存在しているというためには「その者について迫害を受ける恐れがあるという恐怖を抱くような個別的かつ具体的な事情が必要」なことを確認した上で、本件難民認定処分①の時点においてのロヒンギャの状況とともに、控訴人の政治活動及びそれに対する政府の対応も考慮した上で、「控訴人には、個別的にも看過できないような人種、宗教及び政治的意見に関する事情が積み重なって」いることから、迫害を受ける恐れがある客観的・現実的な危険があったとして、累積的・総合的判断を行った。
他方で、 2021 年のクーデター後については、ロヒンギャに対する民族浄化並びに国内各地での超法規的殺害及び強制失踪等の発生は、通常人において受忍しえない苦痛をもたらす迫害に当たると指摘し、「通常のロヒンギャであれば、仮にラカイン州以外のロヒンギャであったとしても、迫害の恐怖を抱く客観的事情が存在しているということができ、当該恐怖は十分に理由のあるもの」と述べ、「迫害の恐怖を抱くような客観的事情」の存在を民族 (人種) のみによって広く認める見解が示された 8)。
このことは、現在の迫害の状況ではロヒンギャであれば一見したところの(primafacie )難民該当性を認めていると言えるだろう。
マリサ
この裁判では「2021年のクーデター後については、ロヒンギャに対する民族浄化並びに国内各地での超法規的殺害及び強制失踪等の発生は、通常人において受忍しえない苦痛をもたらす迫害に当たる」、「通常のロヒンギャであれば、仮にラカイン州以外のロヒンギャであったとしても、迫害の恐怖を抱く客観的事情が存在しているということができ、当該恐怖は十分に理由のあるもの」としていて、クーデターによって難民認定を受けることになった人物である事がはっきりしたぜ。
マリサ
また、この件では「控訴人の姉と在日ビルマロヒンギャ協会とのつながり、控訴人がラカイン州の市で出生したことを記載する出生届謄本の存在などが認定された」と書かれている事から、本人の政治活動自体はアウンサンスーチーのNLD関連の活動のみっぽくて、クーデターが無ければ難民認定は無理っぽいんだぜ。
レイム
つまり、最初の3紙の記事はクーデターで新たに難民の要件を満たしたという重要要素を無視して、4回申請を受けて却下されたとか書いているわけね。
マリサ
もうひとつあってな、過去動画「対話ができないマスコミ」で紹介した新潮の記事で説明していたが、難民申請をすると2年間は日本に滞在出来て仕事もできるようで、この人物の場合3回目の申請中か却下直後にクーデターが起きた可能性が高いんだぜ。
レイム
それはなんで?
マリサ
時系列でみると、4回目の申請がされていたこと、裁判は地裁が23年4月に判決、名古屋高裁が2024年1月に判決を出している事から、逆算すると3回目の申請が2020から2021年ころ、4回目が2022から2023年頃、弾圧はクーデター後に徐々にその内情が判明してきた経緯を考慮すると、色々と辻褄が合うんだぜ。
訂正
※3回目の申請が2015年、その後2020年訴訟が始まり、2021年2月のクーデター後に4回目の申請後2022年1月に不認定、2024年に高裁で難民認定という流れのようなので、4回目の申請に対する入管の審査が最近の情勢を考慮していなかったということのようです。ただし、今後はクーデター前のような事例でも、相応の事情があれば難民認定を受けずとも「補完的保護対象者認定制度」で保護される可能性が出て来ることになります。
レイム
ああそうか、判決は3回目の審査についてが争われているし、4回目の申請をしていたって事は3回目の申請から2年以上経過していた事になるうえに、地裁の判決が23年4月、クーデターが2021年2月だから、4回目の申請中に地裁判決が出ている可能性が高いわけね。
マリサ
つまり、こういう背景をまるで無視して、あたかも入管が命の危険がある人を無理矢理追い出しているかのように印象操作していたというわけだ。
マリサ
クーデター以前は、民族対立よりも仏教徒とイスラム教徒の対立という、宗教対立の要素が強かったみたいで、入管の判断ではロヒンギャであるからと必ずしも弾圧対象ではないってものだったようだな。
補完的保護対象者
レイム
さっきもでてきていたけど、「補完的保護対象者」って?
マリサ
これが今回の改正入管法で最も重要な部分で、批判しているマスコミ各社が無視したりまるで関係ないかのように報じている部分だぜ。
レイム
どういう事?
マリサ
まずこちらを見てくれ
令和5年入管法等改正について
出入国在留管理庁
https://www.moj.go.jp/isa/policies/bill/05_00036.html令和5年6月9日、第211回通常国会において「出入国管理及び難民認定法及び日本国との平和条約に基づき日本の国籍を離脱した者等の出入国管理に関する特例法の一部を改正する法律」が成立し、同月16日に公布されました(令和5年法律第56号)。
この改正法は、送還停止効の例外規定の創設、罰則付き退去命令制度の創設、収容に代わる監理措置制度の創設、「補完的保護対象者」認定制度の創設、在留特別許可の申請手続の創設等を内容とするものです。「補完的保護対象者」認定制度の創設については、令和5年12月1日から、送還停止効の例外規定の創設、罰則付き退去命令制度の創設、収容に代わる監理措置制度の創設、在留特別許可の申請手続の創設などについては、令和6年6月10日から施行されます。
マリサ
出入国在留管理庁のページにある、改正入管法についての説明なんだが、そこには「この改正法は、送還停止効の例外規定の創設、罰則付き退去命令制度の創設、収容に代わる監理措置制度の創設、「補完的保護対象者」認定制度の創設、在留特別許可の申請手続の創設等を内容とするものです」と書かれているぜ。
レイム
よくわからないけど、「補完的保護対象者認定制度の創設」というのが重要ってこと?
マリサ
それに関して、具体的に書かれているのがこれで
入管法改正案について
出入国在留管理庁
https://www.moj.go.jp/isa/policies/bill/05_00007.html(一部抜粋)
(1)保護すべき者を確実に保護
➀ 補完的保護対象者の認定制度を設けます。紛争避難民など、難民条約上の難民ではないものの、難民に準じて保護すべき外国人を「補完的保護対象者」として認定し、保護する手続を設けます。
補完的保護対象者と認定された者は、難民と同様に安定した在留資格(定住者)で在留できるようにします。➁ 在留特別許可の手続を一層適切なものにします。
在留特別許可の申請手続を創設します。
在留特別許可の判断に当たって考慮する事情を法律上明確化します。
在留特別許可がされなかった場合は、その理由を通知します。➂ 難民認定制度の運用を一層適切なものにします。
法改正事項ではありませんが、次のような取組を通じて、難民認定制度の運用を一層適切なものにします。難民の定義をより分かりやすくする取組
難民条約上の難民の定義には、「迫害」等、そのままでは必ずしも具体的意義が明らかではない文言も含まれています。そこで、これまでの日本における実務上の先例や裁判例を踏まえ、UNHCR(国際連合難民高等弁務官事務所)発行の文書や諸外国の公表する文書なども参考にしながら、こうした文言の意義について、より具体的に説明するとともに、判断に当たって考慮すべきポイントを整理する取組みを進めていきます。難民の出身国情報を一層充実する取組
難民に当たるかどうかを判断する上で必要となる申請者の出身国情報(本国情勢等)を充実させるため、UNHCR等の関係機関と連携して、一層積極的に収集していきます。職員の調査能力向上のための取組
難民に当たるかどうかの調査を行う当庁職員(難民調査官)に対して、出身国情報の活用方法や調査の方法等に関する研修を行うことなどにより、一層調査能力を高めていきます。
マリサ
このページによると、「補完的保護対象者の認定制度」とは、「紛争避難民など、難民条約上の難民ではないものの、難民に準じて保護すべき外国人を「補完的保護対象者」として認定し、保護する手続を設けます」「補完的保護対象者と認定された者は、難民と同様に安定した在留資格(定住者)で在留できるようにします」となっているぜ。
マリサ
また、難民の定義や認定に関しても、実務上の先例以外に「UNHCR(国際連合難民高等弁務官事務所)発行の文書や諸外国の公表する文書なども参考」と書かれていて、日本独自の判断だけではなく、外国や国際機関の情報も取り入れていくとしているぜ。
レイム
これを読む限りでは、ミャンマーの事例のようなケースも裁判をせずにスムーズに在留資格を与えられることになるから、問題なんて起きなさそうなのだけど。
訂正
裁判で争ったミャンマー人の事例は、「難民申請後の情勢悪化」が関係しているので改正は関係なさそうですが、入管法改正後は、「補完的保護対象者認定制度」以外に、難民認定制度自体に「補完的保護対象者該当性の判断」が組み込まれるようになったので、難民申請者は全般的に改正前よりも「在留資格」が受けやすくなっているようです。
マリサ
改正入管法を批判するほとんどのメディアは、この部分をさらっと流して説明しないか、あるいは完全に無視するかのどちらかだが、実際には危惧されているようなことは起きようがないんだぜ。
マリサ
というより、そもそもこの改正入管法の主旨は、申請をすれば2年間は問題なく働けることを悪用し、資格のない密入国者が申請だけして却下されるとまた申請して2年間働くという事を繰り返し、入管の業務を圧迫していた問題を解消するためだからな、「難民を入れないための制度」ではないんだぜ。
レイム
そもそも、批判している人達ってこの問題についてはほぼ触れていないって事ね。
今回紹介したように、枝葉を拡大解釈して大騒ぎしているだけで。
マリサ
実際問題、この改正で困るのは資格がないのに申請だけ繰り返すという、既存の制度の悪用をしている人達だけなんだぜ。
今回のまとめ
・複数のメディアがミャンマー人の例を出し批判
・実態は政変が考慮されただけ
・改正入管法の主旨を無視
マリサ
それでな、今回の件に限らないんだが、マスコミ業界を観察していると彼らが大きな勘違いをしている事に気付くんだぜ。
レイム
それはどういう事?
マリサ
あの業界の人達って、「権力の監視者」を自称していて、だから権力を批判すれば正しいと思い込んでいる節があるんだぜ。
レイム
ああ、そういえば記者って「権力の監視者」であると主張する人多いわね。
マリサ
でもな、仮に相手が間違っていたとしても、それを批判する側が正しいとは限らないんだぜ。
レイム
そういえばそうね。
パターンとしては「両方間違っている」ということだってあり得るし。
マリサ
そういうことだぜ。
だから本来は「批判が客観的事実に基いているか」が何よりも重要なのに、あの業界の人達は「権力を批判しているから正しい」と自動的にしてしまうから、今回のような問題が度々起きるんだぜ。
レイム
重要なのは「批判する事」ではなくて「批判の内容」というわけね。
マリサ
そんなわけで今回の本編はここで終わるぜ。
レイム マリサ
ご視聴ありがとうございました
大口
おつかれ~。
今回、ちょっと前回のオマケの件で訂正があります。
マリサ
何か間違ってたのか?
大口
まず、インドサイのサイズ等に関してなのですが、「比較的小型」というのは間違いで、インドサイはアフリカのシロサイについで大きい種です。
なぜか私の中で比較的小さいスマトラサイとごっちゃになっていました。
大口
それと、ネパールの街中にいる野良インドサイなのですが、どうもコロナ禍のロックダウン前からいたようで、これもコロナ禍でインドサイが増えて生活圏が拡大したというニュースとごっちゃになってました。
レイム
という事は、野良インドサイが出現した理由は何なの?
大口
調べてみた範囲だと、どうも野良インドサイがいるのはネパールのサウラハという街なのだけど、ここってインドサイの保護区と川を挟んで対岸にあるようなんですよ。
マリサ
保護区から川を渡って街に来ているって事か?
大口
というより、どうやら街の先にある農村の畑にあるカラシナが目的らしく、農村の人達はサイが来ると花火で追い払っているらしい。
レイム
カラシナの味を覚えてしまったのね。
農村の人達にしてみたらたまったものではないでしょうけど。
大口
サイは農村に観光客を呼び込む資源にもなっているようで、色々と複雑みたいだね。
マリサ
そんなわけで今回はここで終わるぜ。
レイム マリサ 大口
またらいしゅ~
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