日韓問題(初心者向け)

日韓問題について、初心者でもわかりやすい解説と、日韓問題とマスコミ問題の動画のテキスト版を投稿しています。

徴用工問題の現状

さて、本日は現在徴用工問題が韓国でどうなっているかについて書いていきます。



初めて来られた方はまずこちらを先に読む事をお勧めします。

ブログ『日韓問題(初心者向け)』を始めた理由 - 日韓問題(初心者向け)

注意
・このブログは「日韓の価値観の違い」を初心者向けに扱っています

・当ブログのスタンスは「価値観に善悪や優劣は存在しない」というものです

・相手が不法を働いているからと、こちらが不法をして良い理由にはなりません

・自身の常識が相手にとっても常識とは限りません、「他者がそれを見たらどう思うか」という客観性を常に持ちましょう

・日常生活で注意する程度には言動に注意を心がけてください


現在徴用工問題がどうなったかといえば、いわゆる「代位弁済」の財団に資金を出した企業はポスコなどの韓国企業のみであり、また「日韓未来パートナーシップ基金」にも三菱や日本製鉄は参加しておらず、また読売で尹大統領が「日本への請求もしない」としている事から、これで一応二国間の政治問題としては終了している。


また、この件で「政治的決着」が必要であったかといえば、韓国側は「日本が奴隷労働を強いていた」というプロパガンダを積極的に行い、請求権協定とは別の問題があると国際社会に認識されていたため、誤解を解く前にまず「解決した」ということを国際社会にアピールする必要があったことが挙げられる。


そして現在、韓国側は未だ「日本の追加措置」を望んでいるが、それに呼応する第三国は存在しておらず、既に韓国側の外交カードとしての歴史問題は手詰まりとなったうえに、韓国国内で徴用工問題関連の内紛が発生しており、既に問題は韓国の国内問題化している。



※本文中のリンクは引用の元記事、或いはウェブアーカイブウェブ魚拓(別サイト)へのリンクです。


以下から本文




1:「代位弁済」の実態



まずはこちらの記事から

韓国外相 98年共同宣言に初言及=徴用問題巡る日本の謝罪で
聯合ニュース 2023.02.06
https://jp.yna.co.kr/view/AJP20230206005500882


2023年2月の記事なのですが、韓国側はこの時点では「日本政府や被告企業による謝罪」と「被告企業の財団への拠出」という内容を条件に出していました。


また次の記事にあるように

韓国世論の64.2%「徴用工問題、日本の謝罪を前提にすべきだ」
2023 年 3月 6日
https://koreawave.jp/%e9%9f%93%e5%9b%bd%e4%b8%96%e8%ab%96%e3%81%ae64-2%ef%bc%85%e3%80%8c%e5%be%b4%e7%94%a8%e5%b7%a5%e5%95%8f%e9%a1%8c%e3%80%81%e6%97%a5%e6%9c%ac%e3%81%ae%e8%ac%9d%e7%bd%aa%e3%82%92%e5%89%8d%e6%8f%90/

韓国世論も2023年3月の世論調査において、徴用工問題の解決は「日本の謝罪を前提にすべき」という意見が64パーセントあったということからも、韓国側が何を重視していたかがわかります。


また韓国側は、次の記事にあるように

【時論】韓日関係、米国が動いてこそ突破口開かれる
中央日報/中央日報日本語版2023.04.18 09:00
https://japanese.joins.com/JArticle/303348

韓国側は「2015年韓日慰安婦合意当時、副大統領として安倍首相を説得したバイデン大統領が今回も重要な役割を果たすように尹大統領がうまく説得しなければならない」とアメリカ側から日本に「尹政府の決定に相応する措置」、つまり追加謝罪と三菱や日本製鉄の代位弁済への参加の圧力をかけるよう望んでいた事がわかります。


また他にも

米国の歓待に日本も応える…主導権を握った尹錫悦外交
朝鮮日報 2023/05/01
https://www.chosunonline.com/site/data/html_dir/2023/05/01/2023050180016.html

岸田首相の訪韓直前の朝鮮日報の記事なのですが、こちらではアメリカが今回の件でかなりの役割をしたのだから「岸田首相が訪韓する際、米国を意識して「誠意ある呼応」となる措置を取るかどうかに関心が寄せられている」と、アメリカが韓国の要求を受け日本に圧力をかけるだろうという趣旨の記事を書いています。


またこうした記事からは、「安保問題を盾にすればアメリカは韓国側の要求を呑むはず」という打算が韓国側にあったことがわかります。


ここで重要なのは、韓国側の望みは追加謝罪と三菱や日本製鉄の代位弁済への参加ということです。


しかし実際は

韓国・ポスコ 徴用賠償金肩代わりの財団に約4億円寄付=他の企業も続くか
聯合ニュース 2023.03.15
https://jp.yna.co.kr/view/AJP20230315002700882

3月時点で1965年の請求権協定の資金で発展したポスコが資金を拠出する事しか決まっておらず、日本側は「解決済み」という態度を現在に至るまで崩していません。


また次の記事にあるように

強制徴用寄付金を出した駐韓米国商工会議所会長「韓日がうまくいってこそ事業に役立つ」
中央日報/中央日報日本語版2023.03.21 08:57
https://japanese.joins.com/JArticle/302273

駐韓米国商工会議所がこの財団に資金を出しており、その後1965年当時韓国政府から資金を受け取った企業がどれだけ参加したかはわかりませんが、少なくとも出資企業の主体が当時もっとも大きな支援を受けたポスコであることがわかります。


また次の記事を読むと

尹大統領、元徴用工再燃に「心配には及ばぬ」・日韓正常化は共通の利益…単独インタビュー
読売新聞 2023/03/15
https://www.yomiuri.co.jp/world/20230315-OYT1T50012/

尹大統領は読売とのインタビューに答えて「後で求償権の行使にならないようにする解決策だ。その部分は心配に及ばないと私は判断している」と明言しており、各国の首脳達は尹大統領のこの言葉を受けたうえで「解決を歓迎する」とコメントしています。


一連の出来事から解るのは、まず名目は代位弁済となっていますが、実態としては日韓国交正常化交渉において、韓国側が日本側の「個別補償の提案」を拒否し、「それは韓国側で行う」とした約束を、「58年後に実行した」というのが実態ということです。
恐らくこのコメントはアメリカから圧力で「言わざるを得なかった」というのが実態でしょう、「代位弁済」という名称からもわかるように、韓国側はあくまで「一次的な建て替え」であり、日本側への外交カードは残しておきたかったようですから。


また、「後から日本に請求しない」と大統領が明言し、アメリカをはじめ各国の首脳がその言葉を受けて「歓迎」を表明している事から、韓国側がまたゴールポストを動かしたとしても、批判されるのは韓国であるということです。


こうして、「徴用工問題」は政治的な決着となったわけです。


また、次の記事で書かれているように、

韓日未来基金が本格化…「三菱・日本製鉄の参加? 個々の企業が決める」
中央日報/中央日報日本語版2023.05.11 07:08
https://japanese.joins.com/JArticle/304213


日韓・韓日未来パートナーシップ基金の今後の運営について
日本経済団体連合会 2023年5月10日
https://www.keidanren.or.jp/policy/2023/032.html

「代位弁済への日本企業の参加」の折衷案として、韓国政府が提案した「若手人材交流の促進」を目的とする「日韓未来パートナーシップ基金」についても、三菱と日本製鉄は参加していません。


つまり、徴用工問題の解決として始まった動きは、名目上「代位弁済」となっていますが、日本側は実は「補償関連の譲歩」をしていないのです。



2:「政治的決着」が必要だった理由



ここで重要なのが、「なぜ既に解決済みの件で政治的決着が必要だったか」です。
それを知ってもらうためには、まず「第三者視点」でこの件を見る必要があります。


どういうことかというと、たとえば日本が関係しない第三国同士(仮にA国とB国)の外交問題において、A国がB国に対し「B国がA国に対して過去に行った非人道的行為に謝罪もしないどころか否定した」と、日本のメディアがA国寄りの報道をしたらどうなるでしょうか。


それが仮に実態とかけ離れていたとしても、そのことに殆どの人は関心も示さないでしょうし、ほとんどの人は「ただ漠然と」「B国が悪いのだろう」と考え、消極的にA国に同調するでしょう。


この「無関心な人々による消極的同調」が問題で、無関心であるからこそ「実態の掘り下げ」はしないですし、メディアがこの件でB国を批判的に扱えば、「良い人」ほどB国にネガティブな印象を持ち、逆にA国に対しては同情的になるでしょう。


これがこれまで日本側がおかれていた状況でした。


例えば次の記事にあるように

大江健三郎さん死去 韓国でも追悼広がる
聯合ニュース 2023.03.14
https://jp.yna.co.kr/view/AJP20230314003600882

韓国人だけではなく、国際的影響力のある日本人までもが、「日本は韓国に対し大きな犯罪を犯したが韓国人に十分な謝罪をしていない」と公言し、それが多数の国のメディアで取り上げられるという状況だったのです。


また次の記事にあるように

勤労挺身隊問題を提起して14年…日帝強制動員市民の会、野火賞受賞=韓国
ハンギョレ新聞 2023-05-29
https://japan.hani.co.kr/arti/politics/46858.html

(一部抜粋)
 市民の会は、日帝強占期における女子生徒の強制労働などの人権侵害の実態の問題を提起した。日帝は1944年から1945年にかけて、13~15才の女子生徒に「女学校に通えるようにする」と言ってだまし日本の軍需工場に動員して働かせたにもかかわらず、賃金は一銭も与えず、これまで一言の謝罪もない。


尹大統領と岸田首相が原爆慰霊碑に献花…韓国与党「植民地の歴史を反省」、野党「つじつまが合わない」
朝鮮日報 2023/05/22
https://www.chosunonline.com/site/data/html_dir/2023/05/22/2023052280048.html

(一部抜粋)
 これに対して共に民主党の姜仙祐(カン・ソンウ)報道官は「韓国人原爆被害者は日帝による強制動員で連れ去られ、命を失った方たちがほとんどだ」「日帝による強制動員に対する謝罪や補償から顔を背け、岸田首相が韓国人原爆犠牲者を追悼するのはつじつまが合わない」と主張した。

韓国側は「日本が未成年を騙して連れていき、無賃金の奴隷労働をさせていた」と、実態と大きく異なるプロパガンダを続けており、これを「協定とは関係の無い人権問題」として国際社会にアピールしていました。


他にもこちらの事例のように

強制徴用被害者のヤン・グムドクさん、「日本の謝罪のない汚い金は受け取ることができない」
中央日報日本語版2019.12.20 11:40
https://japanese.joins.com/JArticle/260745

朝鮮半島での徴用開始は1944年からであるにもかかわらず、2019年に91歳(=「小学校6年で」ということは1940年前後に連れていかれたことになる)の人物が「名古屋の三菱会社に連れ去られた」という話を、無検証に事実認定しており、こうした話も「人権問題」として世界中に報じられてきました。


更には以前から何度も指摘しているので、リンクのみの紹介ですが、韓国は「ドイツのランメルスベルク鉱山のような強制労働施設があった」とプロパガンダも行ってきました。

関連リンク
韓国外交次官「世界遺産、全体の歴史が重要」…軍艦島を間接的に批判
中央日報日本語版2020.11.25 10:46
https://japanese.joins.com/JArticle/272667
NS-Zwangsarbeit im Erzbergwerk Rammelsberg (ドイツ語)
https://de.wikipedia.org/wiki/NS-Zwangsarbeit_im_Erzbergwerk_Rammelsberg

結果、「日本は未成年者を騙して奴隷労働させるという非人道的な行為をしながら、謝罪どころかその事実すら認めていない」という国際世論が出来上がっていたうえに、「そんな事実はない」と否定しようとしても、「事実を認めず謝罪すらしない」と論点をすり替えられてしまうという悪循環があったわけです。


なので、まずは今回のように「解決した」という政治的手順を踏まなければ、そもそも日本側の検証自体が「韓国に同調する良い人たち」に聞いてもらえないという状況だったわけです。


「政治的に解決した」という手順を踏むことで、「日本は謝罪もしないどころか罪を認めない」という、「政治的主張の横やり」の介入を防ぐ環境作りが必要だったわけです。


3:現在どうなっている?



こうして、「歴史問題に決着をつける」土台が出来上がったわけですが、「政治的解決」によって、今後韓国は「徴用工問題を外交カード」つまり、対中協力から逃げる理由として「日本との歴史問題」を口実にコウモリ外交をすることができなくなりました。


元々韓国は、経済で中国に大きく依存していたため、アメリカの対中包囲への参加に消極的で、参加したくない理由として「日本との歴史問題」を事あるごとに主張し、軍事演習などにも消極的でした。


つまり、対日本以外でも歴史問題を外交カードとして都合よく使ってきたのが、今後はできなくなったわけです。


また、実際に資金が支払われる段階になると

徴用解決策で反対派5人中1人が容認意向 生存者で初=韓国
聯合ニュース 2023.05.07
https://jp.yna.co.kr/view/AJP20230507000100882

一連の大法院判決で勝訴し「代位弁済受け入れの反対」を表明していた人物からも、政府の決定を受け入れるという態度をとる人物が出てきています。


そして徴用工問題を「継続させたい」人々は次の事例のように

徴用被害者支援団体 韓日首脳会談は「謝罪なく得たものない」と非難
聯合ニュース 2023.05.08
https://jp.yna.co.kr/view/AJP20230508003500882

日韓首脳会談で「岸田首相の謝罪がない」として反発、最初の方で紹介していたように、韓国人の過半数は「日本の新たな謝罪」を望んでいたため、世論を味方につけて状況を切り崩そうとしています。


しかし次の記事にあるように

韓国の徴用被害者支援団体 「第三者弁済」受けた原告に賠償金の2割要求へ
聯合ニュース 2023.05.23
https://jp.yna.co.kr/view/AJP20230523004400882

徴用工団体が11年前に、「損害賠償金、慰謝料、合意金など名称を問わず実際に支払われた金額の20%」を団体に寄付すると約束していたらしく、「代位弁済」自体を否定しているにも関わらず、「代位弁済の資金を受け取ったら2割を支払え」と要求してきたようなのです。


つまり、元々は日本に対して謝罪と賠償を要求することで、ある種の団結をしてきた人々が、「日本との間で政治的決着」をしたことで、内紛を起こし始めたわけです。


このことから解るのは、最早徴用工問題は日本との問題ではなく、韓国内の問題という事です。


つまり、既に韓国側は日本との間で外交カードとしてこの問題を利用することどころか、各国首脳に言質を取られ「ゴールポストを動かす」事も実質的に不可能になった状態で、問題を主導してきた団体そのものが内紛を起こして空中分解寸前ということです。


なので、仮に尹政権が政権末期に態度を翻しても、また次の政権が約束を反故にしようとしても、それが韓国側に有利に働くことは今後無いわけです。


あとは、ラムザイヤー論文と同じように、「学術的に」「奴隷労働はなかった」ということを証明していけばいいだけです。
最早この検証に政治的横やりが入り込む余地はないわけですから。



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