日韓問題(初心者向け)

日韓問題について、初心者でもわかりやすい解説と、日韓問題とマスコミ問題の動画のテキスト版を投稿しています。

徴用工問題は解決不能

さて、本日は最近また慌ただしくなってきた徴用工問題について書いていきます。

初めて来られた方はまずこちらを先に読む事をお勧めします。

ブログ『日韓問題(初心者向け)』を始めた理由 - 日韓問題(初心者向け)

注意
・このブログは「日韓の価値観の違い」を初心者向けに扱っています

・当ブログのスタンスは「価値観に善悪や優劣は存在しない」というものです

・相手が不法を働いているからと、こちらが不法をして良い理由にはなりません

・自身の常識が相手にとっても常識とは限りません、「他者がそれを見たらどう思うか」という客観性を常に持ちましょう

・日常生活で注意する程度には言動に注意を心がけてください


現在、韓国政府は日韓問題の中心となっている徴用工問題に関して、解決策を提示するとして、「併存的債務引き受け方式」を提案し、それを解決案として日本側に提示するという動きになりつつある。


しかし、韓国側の提案自体が1965年の日韓請求権協定の内容を反故にするものである上に、韓国側は「韓国政府が個人補償を拒否し一括補償の要求をした」事、「日本の支払った資金を韓国政府が流用した」事も把握しており、そのうえで今のような態度であるため、今回の提案はただのその場しのぎでしかない。


さらに「独特の正しさの概念」を持つ韓国社会には、「日韓併合を違法として既成事実化したい」という欲求があり、徴用工問題はこの延長線上の問題であるため、何をしても根元のこれが解決しない限り問題は再燃し続けることになる。

※本文中のリンクは引用の元記事、或いはウェブアーカイブウェブ魚拓(別サイト)へのリンクです。


※以下から本文


1:韓国政府の提案



まずはこちらの記事から

原告同意不要の解決策浮上=元徴用工、既存の財団活用―韓国
時事通信 2022年09月06日
https://www.jiji.com/jc/article?k=2022090600952&g=int


こちらの時事通信の記事によると、徴用工問題について韓国側から新たに、「第三者が共同で賠償支払いを引き受ける「併存的債務引き受け」方式」の提案があったという記事です。


そして次の記事を読んでもらうと

強制徴用解決策回り回って…韓日企業が拠出した資金による賠償に傾く(2)
中央日報/中央日報日本語版2022.09.07 07:50
https://japanese.joins.com/JArticle/295253

韓国側は「再度の謝罪」を要求しているうえに、「しかも外交的協議を通じて日本の謝罪を引き出すとしても日本側は強制徴用問題の不可逆的終結を前提条件に要求する可能性がある」と書かれており、韓国側が問題を終わらせる意思がない事が明白なのです。


そしてさらに問題なのが、なぜ韓国側がこれまでの「弁済方式」から「債務引き受け方式」に提案内容を変えたかといえば

強制徴用巡る3回目の協議会 被害者側は不参加=韓国
聯合ニュース 2022.08.09
https://jp.yna.co.kr/view/AJP20220809004400882


関連記事
徴用被害者支援団体が駐日韓国大使の発言に反発 「どちらの側か」 | 聯合ニュース

2022年7月から8月にかけて、韓国政府が徴用工裁判の原告団と話し合いの場をつくり話し合ったが、原告側は「日本企業からの直接賠償以外を認めない」という態度を維持したため、協議が平行線のまま決裂したという背景があります。


そのため韓国側は、「原告側の意見」を汲む必要のない方式を提案したわけですが、ここで重要なのはこれが「韓国内で完結する」ものであれば、実のところ日本側としては及第点なのです。


なぜかといえば、以前から何度も説明しているように、本来1965年の日韓請求権協定で「個人補償」での「日本側の対応」は既に終わっており、一括で受け取った個人補償分の資金を韓国側が個人にほぼ支払わなかったことがこの問題の発端だからです。

関連記事
第5次 韓・日会談 予備会談 一般請求権小委員会会議録1-13次、1960-61
http://www.f8.wx301.smilestart.ne.jp/honyaku/honyaku-2/718.pdf
上記出典:日韓市民でつくる日韓会談文書・全面公開を求める会
http://www.f8.wx301.smilestart.ne.jp/


韓国政府の「解説書」入手!やっぱりおかしい大法院判決 54年前の文書に記されていた「徴用工問題は解決済み」の根拠|FNNプライムオンライン

なので、どのような形であれ「韓国内で完結する方式」であれば、韓国側が協定をどのように「都合よく解釈」しようとも、それは韓国内でのことであり、日本との請求権協定に影響を与えないからです。


しかし問題は、韓国側はこの「併存的債務引き受け方式」に、日本製鉄や三菱が最終的に資金を出すことを要求しており、更に日本政府による「再度の謝罪」を要求している事から、『その前提』での提案である場合、明確な協定違反になります。


2:問題はもっと根本的



ここまでの話ですと、「そもそも韓国政府が個人補償分を流用したことを素直に認めればいいのではないか」と考える人もいるでしょうが、実はそれ自体が無意味なのです。


どういうことなのかというと、以前も紹介した次の記事を見てもらうとわかりますが

「韓国政府、韓日会談で個別請求権放棄」
朝鮮日報 2004/09/17
https://web.archive.org/web/20040923181057/http://japanese.chosun.com/site/data/html_dir/2004/09/17/20040917000026.html

2004年、当時の廬武鉉政権が「請求権協定で韓国政府が隠している事がある」と主張し、なぜか「都合よく」その主張と同時に古書店から発見された「日韓国交正常化交渉の議事録」により、「1961年の韓日会談当時、韓国政府が日本政府の韓国人犠牲者に対する直接補償の提案を拒否し、国が補償金を受け取って支給する方法を選んだ」という事実が韓国内で発覚します。


※ちなみにこの事実は日本では既に何十年も前に公表されています


そしてこの件が韓国メディアで大々的に報じられ、「韓国が間違っていた」という世論が一度は形成されたのですが、暫くすると

【韓日会談文書公開の世論調査】「被害者の追加補償、日本が負担すべき」43%
中央日報 2005.01.18 16:11
https://japanese.joins.com/JArticle/59726

記事にも書かれているように、当時の韓国政府は経済発展を優先したため「仕方なく」この方式をとっただけであり、「追加補償は行われるべき」で、その追加補償は「日本が行うべき」という内容に世論が変化したのです。


2018年10月の徴用工裁判の発端はここにあります。


そして2009年に

対日補償要求は終了 韓国政府が公式見解
産経新聞 2009.8.16
https://web.archive.org/web/20090818003831/https://sankei.jp.msn.com/world/korea/090816/kor0908161337004-n1.htm

 


当時の李明博政権が「日本統治時代の韓国人労働者の日本での未払い賃金について、もはや日本に返還要求はできない」という公式見解を発表し、再度「日本側へ請求することはできない」と断言しました。


しかし2012年、韓国大法院は「1965年に締結された日韓請求権協定は日本の植民地支配の賠償を請求するための交渉ではないため、日帝が犯した反人道的不法行為に対する個人の損害賠償請求権は依然として有効」という判決を出し、これが2018年の判決に影響を与えます。


このことから解るのは、韓国側は

  1. 日本側からの個人補償の提案を韓国側が断った
  2. 韓国政府は個人補償分を一括で受け取っている
  3. 韓国政府は個人補償を十分に個人に対し分配していない

という事実を把握しており、そのうえで「日本が補償すべき」と主張しているのです。
つまり彼らは全ての経緯をしったうえで、「日本政府に個人補償の義務がある」という考えを持っている事になります。


日本人からみると明らかに矛盾する思考をしている事になるわけです。


3:歴史の立て直し



では、なぜこのような矛盾が成り立つかというと、以前も紹介した2018年の大法院判決にヒントがあります。

新日鉄住金徴用工事件再上告審判決(大法院2018年10月30 日判決)
http://justice.skr.jp/koreajudgements/12-5.pdf?fbclid=IwAR052r4iYHUgQAWcW0KM3amJrKH-QPEMrH5VihJP_NAJxTxWGw4PlQD01Jo


出典:法律事務所のアーカイブ
http://justice.skr.jp/

要するに、「日韓併合は違法であるにも関わらず、日本側が違法性を認めていない」という事が、徴用工裁判の動機となっているのです。


そして次の記事を読むと

「強制動員」官民協議会、結論を前に「現金化防ぐことばかりに汲々」批判
ハンギョレ新聞 2022-09-07
http://japan.hani.co.kr/arti/politics/44500.html

最初の方で紹介した徴用工問題について韓国政府が設けた話し合いの場に出席した「民族問題研究所※」の所長が「最高裁判決の大前提は日本の植民支配が不法だという点」と語っており、韓国内でこの考え方が広まっている事がわかります。


親日派財産没収法の時にも紹介した親北系の団体です


しかし、以前の動画で説明したように、日韓併合は「当時としては合法」であり、これを覆すには「新たな線引き」を行うか、あるいは「国際法の定義を変更する」か、または「2つとは全く異なる新たな国際法解釈」を行うしかありません。

関連動画
【ゆっくり解説】日韓併合はなぜ合法? part1/2 - ニコニコ動画
【ゆっくり解説】日韓併合はなぜ合法? part1/2 - YouTube

【ゆっくり解説】日韓併合はなぜ合法? part2/2 - ニコニコ動画
【ゆっくり解説】日韓併合はなぜ合法? part2/2 - YouTube


しかし彼らはそれを行わず、「日韓併合は違法である」という前提で、違法性を認めない日本を批判し、だから「反省がない」と主張し、徴用工裁判の動機としているのです。


そして、彼らが「併合の違法性」に拘る理由は以下で紹介する2つの記事がわかりやすいです。

韓経:【コラム】「反日」と「嫌韓」の間
中央日報/中央日報日本語版2019.03.29 09:32
https://japanese.joins.com/JArticle/251835


記事では韓国の大学教授が日韓の違いを「大義を前面に出す韓国とは違い、日本は『勝者が正義』いう形で生存を重視する」とし「韓国が『歴史の立て直し』に執着する半面、日本は過去を流れてきた歴史として認識する」と説明しています。


ここで重要となるのは「歴史の立て直し」というフレーズなのですが、その前にこの文章を読んで日本人ならば一つの疑問がわくでしょう。


この教授の日本観では「『勝者が正義』いう形で生存を重視する」となっていますが、これが正しいのならば「判官びいき」という概念が日本で生まれるわけがないのです。


また興味深いことに、実は韓国人の多くはこの「判官びいき」の概念を理解できず、「なぜ間違っている側を支持するのだ」と首をかしげる場合が多いです。
韓国においては「正しい」と「地位が高い」と「優れている」が同じ意味で使われることが多いため、敗者は「間違っている」はずだからです。


※なかには「恨」の概念と関連付けて韓国的価値観にあてはめる韓国人も稀に存在します。

※恨(ハン)とは
あくまで個人的な見解となるが、「主観的な正しさ」を絶対視する韓国社会において、この主観的正しさが相手や社会から受け入れられない場合に、彼らが感じる理不尽さを根底として、そこから派生する様々な感情の総称。

また恨には「解消」という概念があるが、これは完全に恨が消失するものではなく、「一過性」のものでしかない。

韓国人の中にある「主観的正しさ」と「恨(ハン)」 - 日韓問題(初心者向け)

【日韓問題】韓国の「恨(ハン)」とは何? - ニコニコ動画
【日韓問題】韓国の「恨(ハン)」とは何? - YouTube

ではなぜこの教授がこんな解釈をしているかというと、そこに「歴史の立て直し」という概念が関わってきます。


これは直接的には90年代に韓国の金泳三政権が提唱した概念なのですが、これは「(韓国的)正しさ」で歴史を再解釈するという意味です。


以前から書いているように、韓国には独特の「正しさの概念」が存在しています。

※独特の正しさの概念

彼らの正しさの概念は独特であり、根拠を必要としない。
また「この世には最初から一つの正しさが存在する」と考えられており、自分はその正しさを常に選択していると考える傾向にある。

そして正しさ同士がぶつかった場合には、(曲解でも捏造でもその件と全く関係なくともなんでもいいので)相手の劣等性を指摘する事でそれを自己の正しさの担保とする。

また相手の劣等性を指摘した時点で自身が指摘された問題は相手の問題にすり替わる。

【日韓問題】日韓で異なる「正しさ」の概念 前編 - ニコニコ動画
【日韓問題】日韓で異なる「正しさ」の概念 前編 - YouTube

関連記事
韓国社会では「記憶の改変」が起きているわけではない? - 日韓問題(初心者向け)


記事中の「大義を前面に出す韓国」というのはこの「韓国的正しさ」の事であり、「歴史の立て直し」とは、この正しさの概念に基き「歴史を正しい形に再解釈する」つまり「自分達に都合の良い歴史観を作り出す」という意味です。


なので、「正しい歴史」に沿わない歴史観を持つ日本人は、韓国人から見ると「間違っている」はずであり、「日本人には大義が存在せず、勝者に媚びへつらうからそんな考えになるのだ」と解釈するわけです。


これは上記を踏まえて以下を読むとわかりやすいです。

【コラム】韓日関係、被害者と加害者の共感から積んで行かなくては(2)
中央日報/中央日報日本語版2022.07.07 07:55
https://japanese.joins.com/JArticle/292917

要するに、「日本は勝者である欧米に便乗しているだけなのだ」「大義も何もないのだ」というのが彼らの考え方なのです。


つまり韓国人達が「個人補償を韓国政府が受け取っている」と認識しながら、「日本が補償すべき」と主張するのは、韓国人の考える「普遍的正義」では日韓併合は違法なのだから、「日本はその罪を認め清算しなければならない」という考えが根底にあるのです。


韓国には「被害者が偉い」という考え方があるため、常に日本に対してマウントをとりたい韓国側が、「問題を終わらせたくない」という意思も働いていますが、それ以外にも今回紹介したように、彼ら独特の「正しさ」や「正義」に基き「日本に謝罪と賠償をさせたい」という思考が働いているわけです。


なので、どのような方式で韓国政府が解決策を提案しようと、「日韓併合は違法である」と日本側が認めない限り、それはその場しのぎにしかならず、いずれ同様の問題が再発するというわけです。


こうした背景を知らずに徴用工問題を解決しようとするのは非常に危険であり、「弁済方式」や「併存的債務引き受け方式」などはかつての「アジア女性基金」と同じ末路をたどることになりかねません。


2022年9月8日追記
彼らからしてみれば、小中華思想によって「日本より優れている」はずの自分達が、「日本に支配された」という事実を認めてしまうと、「日本の方が優れている」という事になってしまい、序列が何よりも重要な韓国社会ではそれが受け入れられないのです。


そのため、併合は違法であり自分達はその違法な行為の被害者であるとすることで、「被害者は偉い」という価値観に基づき、「自分達の方が序列が上である」とアピールし、日本に「謝罪させ続ける」という状態にしたいわけです。


【日韓問題】韓国では被害者が「偉い」
https://oogchib.hateblo.jp/entry/ar1356385



お知らせ。
転載について
・個人の利用であれば、一般的に「引用」とされる範囲での転載は自由にしてもらってかまいません、報告も必要ありません。
・企業・団体等が「転載」する場合は私の方へ事前連絡いただき、許可を取ってから行ってください。
イデオロギー色の強い団体等に関しては、理由の如何に関わらず「転載は原則禁止」とさせていただきます。

もしよかったらクリックをお願いします。
blog.with2.net

以下は当ブログのお勧め記事です、もしよかったらこちらもどうぞ。

韓国人が日本人から嫌われる根本的原因 - 日韓問題(初心者向け)

【韓国起源説】日本人の反論は韓国人に通じない - 日韓問題(初心者向け)

日本人と韓国人とでは「約束・契約」の概念が全く違う - 日韓問題(初心者向け)

日韓問題(初心者向け)の方針について色々 - 日韓問題(初心者向け)

【河野談話】韓国政府が自爆しました - 日韓問題(初心者向け)

フランスのJapan Expoから韓国がいなくならない原因 - 日韓問題(初心者向け)

「Japan Expoに寄生しないで独自のコリアエキスポやればいいのに」→過去にやった事があります - 日韓問題(初心者向け)

韓国人の差別意識の特徴とタイの嫌韓 - 日韓問題(初心者向け)

嫌韓の出発点、2002年日韓共催ワールドカップで何が起きたのか - 日韓問題(初心者向け)

嫌韓を「排外主義者=ネトウヨ」と考える人達に対する考察をしてみた - 日韓問題(初心者向け)

「韓国に対して謝罪すれば解決する」は大きな間違い - 日韓問題(初心者向け)

韓国視点から見たヘイトスピーチ - 日韓問題(初心者向け)

メアリー・スーとネトウヨ論 - 日韓問題(初心者向け)

日韓問題とイデオロギー論争 - 日韓問題(初心者向け)

韓国では異論が徹底的に排除される - 日韓問題(初心者向け)

日韓問題基礎知識簡易版まとめ 前編 - 日韓問題(初心者向け)

日韓問題基礎知識簡易版まとめ 後編 - 日韓問題(初心者向け)

初心者でも解る韓国対策 - 日韓問題(初心者向け)

韓国社会では「記憶の改変」が起きているわけではない? - 日韓問題(初心者向け)

【再現】2002年日韓ワールドカップ Public Viewing in 国立競技場 - 日韓問題(初心者向け)

徴用工裁判問題まとめ - 日韓問題(初心者向け)

慰安婦問題で重要な事 - 日韓問題(初心者向け)



動画版マイリスト



番外編マイリスト