さて、本日は先日の韓国大統領選後、徐々に尹錫悦政権の方針が見えてきたので、その件について扱っていきます。
初めて来られた方はまずこちらを先に読む事をお勧めします。
ブロマガ『日韓問題(初心者向け)』を始めた理由 - 日韓問題(初心者向け)
注意
・このブログは「日韓の価値観の違い」を初心者向けに扱っています
・当ブログのスタンスは「価値観に善悪や優劣は存在しない」というものです
・相手が不法を働いているからと、こちらが不法をして良い理由にはなりません
・自身の常識が相手にとっても常識とは限りません、「他者がそれを見たらど
う思うか」という客観性を常に持ちましょう
・日常生活で注意する程度には言動に注意を心がけてください
3月9日の韓国大統領選で尹錫悦氏が当選し、その後彼は「文政権での政策方針の刷新」を宣言、対北朝鮮や対中国でアメリカとの足並みをそろえる事や、こじれにこじれた日韓関係の改善などを打ち出している。
しかし少なくとも現状尹氏が「具体的にどうするのか」の方針について述べているのは対北朝鮮だけであり、対日政策やクアッドへの参加などに関しても、全面参加なのか部分参加なのかすらはっきりしないという状態となっている。
また最も根本的な問題として、韓国世論は「先鋭化した対日歴史観」を継承し続けているため、佐渡金山の件なども含む徴用工問題、また慰安婦問題などでどこまで「史実に沿う態度」をとれるかが未知数なうえに、福島原発の処理水の件でも世論がかなり強硬であり、関係改善にどこまで踏み込めるかは疑問が残る。
※本文中のリンクは引用の元記事、或いはウェブアーカイブやウェブ魚拓(別サイト)へのリンクです。
1:尹政権の外交方針
まずはこちらの記事から
韓国次期大統領 外交政策見直しへ=日本とは「協力」強調
聯合ニュース 2022.03.11
https://jp.yna.co.kr/view/AJP20220311004600882
【ソウル
聯合ニュース】韓国の尹錫悦(ユン・ソギョル)次期大統領は11日、米国や日本、中国など周辺の主要国との外交を見直す考えを明らかにした。米国との同盟再建、日本との懸案解決を通じた関係改善、中国とは相互尊重に基づいた関係発展を強調した。
尹氏は同日、ソウルの党本部でデル・コルソ駐韓米国大使代理の表敬を受け、両国関係について、「互いの安全保障を血で守ると約束した国であるため、それにふさわしい関係が再び定着しなければならない」と述べた。また、「経済、気候協力、保健医療、先端技術など全ての議題が韓米間の血盟関係に基づき包括的に発展しなければならない」と強調した。
尹氏は文在寅(ムン・ジェイン)政権が中国と北朝鮮に偏った外交を行ったため崩れた韓米同盟を再建しなければならないという考えを表明してきた。両国の協力分野も新技術や供給網、宇宙など新しい領域に拡大するとの公約を掲げた。
尹氏は1965年の国交正常化以降、最悪といわれる日本との関係については、改善を目指す意思を示している。同日午前、岸田文雄首相と行った電話会談で、「両国の友好協力の増進を目指し協力していこう」と呼び掛け、「両国の懸案を合理的、かつ相互の共通利益に合致するよう解決していくことが重要だ」と強調した。具体的な懸案には触れなかったが、旧日本軍の慰安婦や強制徴用被害者問題、日本による対韓輸出規制などの懸案を両国に役立つ方向で解決したい考えだ。
尹氏は文政権が韓日関係を政治的に利用し、関係改善のため積極的に努力していないと批判してきた。尹氏が所属する「国民の力」の関係者は尹氏の発言について、「修辞的な次元にとどまるものではなく、実質的な政策と行動をするという意志が込められている」と述べた。尹氏側は岸田首相との電話会談で尹氏の就任後、早い時期に対面で会談することで一致したことに意味があると考えている。岸田首相はもちろん、菅義偉前首相も文政権に日本が受け入れられる解決策を提示することを求め、首脳会談に応じなかったためだ。
また、尹氏はケイ海明・駐韓中国大使との面会では、「韓中関係の発展のため両国の指導者の役割が重要で、責任のある世界国家として中国が役割を果たすことをわれわれの国民が期待している」と述べた。北朝鮮の核問題など世界的な課題で国の地位にふさわしい役割を果たすよう促したもので、尹氏が公約に掲げた「相互尊重に基づいた韓中関係」の延長線上にあるという。
政界関係者や外交専門家らは、米国と中国の間でバランスを取る外交を進めた文政権と異なり、尹氏が米国を優先する外交政策を展開することで中国とぎくしゃくする可能性があるとの見方を示している。
尹氏は文政権が取った「3不」政策について、テレビ討論会で、「(文)政権の立場だったため、そのような立場を(今後は)維持する必要がない」と述べていた。3不政策とは、▼米国の最新鋭地上配備型迎撃システム「高高度防衛ミサイル(THAAD、サード)」の追加配備をしない▼米国のミサイル防衛(MD)システムに参加しない▼韓米日の安保協力は軍事同盟に発展しない――。ただ、選挙戦では中国に否定的な見解を示したが、この日の面会では「韓中関係がさらに発展することを確信する」と前向きな態度を見せた。
一方、文大統領は就任後、米国、中国、日本の順で電話会談を行ったが、尹氏はバイデン米大統領に続き、岸田首相と電話会談を行った。
こちらの記事によると、尹氏は対米関係では「中国と北朝鮮に偏った外交を行ったため崩れた韓米同盟を再建しなければならない」としており、また対日関係では「両国の懸案を合理的、かつ相互の共通利益に合致するよう解決していくことが重要だ」と主張していると書かれています。
この件に関してなのですが、これは尹氏個人の意見というよりも現野党の「国民の力」の意向を強く反映した内容であり、尹氏は党の方針に従って外交を進めていくというスタンスであることがわかります。
こうした方針は次にあるように
尹次期大統領、米・日・英の順で首脳と電話会談…中国は後回し
朝鮮日報 2022/03/16
https://web.archive.org/web/20220316041047/http://www.chosunonline.com/site/data/html_dir/2022/03/16/2022031680005.html
今週中にオーストラリアやインド首脳との電話会談に向け調整
文大統領は米国、中国、日本、インド、ロシアの順
尹錫悦(ユン・ソクヨル)次期大統領は今月14日、英国のボリス・ジョンソン首相と電話会談を行い、北朝鮮の非核化やロシアによるウクライナ侵攻などの問題について積極的に協力を進めることで合意した。尹次期大統領の報道官を努める金恩慧(キム・ウンヘ)氏が15日に明らかにした。大統領選挙翌日の10日に米国のバイデン大統領、11日に日本の岸田文雄首相と電話会談を行ったのに続き、今回が3人目の外国首脳との電話会談だった。尹次期大統領の周辺によると、今週中にオーストラリアのスコット・モリス首相、インドのナレンドラ・モディ首相とも電話会談を行う方向で調整中だという。4強(米国、中国、日本、ロシア)との関係を非常に重視する韓国特有の政治風土を考慮すれば破格とも言える順序だ。
オーストラリアとインドは米国や日本と共に中国をけん制する安保協力体「クアッド」のメンバー国だ。一方で中国の習近平・国家主席との電話会談はかなり後回しになる見通しで、ウクライナ侵攻により全世界から非難を受けているロシアのプーチン大統領との電話会談も当分は難しそうだ。政権引き継ぎ委員会の周辺では「中国による人権侵害、ロシアによるウクライナ侵攻などに対抗し、自由民主陣営の連帯を強める意味がある」との見方が語られている。文在寅(ムン・ジェイン)大統領は当選直後、米国→中国→日本→インド→ロシア→英国→ドイツ→オーストラリア→フランスの順に電話会談を行った。
会談でジョンソン首相が尹次期大統領の当選を祝うと、尹次期大統領は「エリザベス2世女王が即位70周年(プラチナ・ジュビリー)を迎えることを祝う」と応じた。尹次期大統領はさらに「韓国戦争に参戦し、大韓民国を守ってくれた核心友好国の英国と緊密に疎通しながら、就任後は両国の友好協力関係をさらに発展させていくことを希望する」と述べた。
尹次期大統領とジョンソン首相は「北朝鮮による相次ぐミサイルの試験発射により韓半島情勢が厳しくなっている」として、北朝鮮の非核化を引き出すため米国や国連安全保障理事会と協力する必要性について一致した。尹次期大統領はロシアによるウクライナ侵攻について「英国と韓国が共有する価値観に対する脅威であり、全世界の自由と民主主義に対する攻撃」という点でも一致した。金報道官が付け加えた。
李竜洙(イ・ヨンス)記者
韓国次期大統領 豪首相と電話会談=米・日・英首脳に続き4人目 | 聯合ニュース
当選後の電話会談を米、日、英の順で行い、その後は豪・印と、中国を後回しにしたことなどからも、一部ですでにその外交方針が実践され始めている事がわかります。
また次の記事によると
韓国の政権引き継ぎ委 外交担当に李明博政権高官を登用=対北強硬路線か
聯合ニュース 2022.03.15
https://jp.yna.co.kr/view/AJP20220315004000882
【ソウル
聯合ニュース】韓国の尹錫悦(ユン・ソクヨル)次期政権への移行を準備する政権引き継ぎ委員会は15日、同委員会の外交安保分科に金聖翰(キム・ソンハン)元
外交通商部第2次官と金泰孝(キム・テヒョ)元大統領対外戦略企画官、李鐘燮(イ・ジョンソプ)元国防部合同
参謀本部次長を起用したと発表した。3人とも
保守系の
李明博(イ・ミョンバク)政権で高官を務めた人物で、李政権の人材が登用されたことが注目を集める。
外交専門家らは李政権が掲げていた韓米同盟の重視と原則主義的な対北朝鮮政策の復活を予告するものと分析している。
尹政権では北朝鮮の非核化のため、朝鮮戦争の終戦宣言など北朝鮮の体制保証を積極的に模索した文在寅(ムン・ジェイン)政権とは真逆の政策を展開する可能性がある。
外交安保分科の幹事に任命された金聖翰氏は国際政治学者で、2007年の大統領選で李氏陣営で外交安保政策の諮問を行った。李政権末期の12年2月に外交通商部第2次官に抜てきされ、多国間外交を総括した。政権引き継ぎ委員会は金氏について、「当選者の韓米同盟再建と包括的戦略同盟強化などが早期に推進されるよう力を尽くすことを期待している」と明らかにした。
外交安保分科の委員に金泰孝氏が起用されたことが目を引く。金氏は李政権で外交安保の実力者とされた。大学教授の金氏は08年、李政権の発足後に対外戦略秘書官に任命され、首席秘書官級の対外戦略企画官に昇進した。12年、韓日軍事情報包括保護協定(GSOMIA)締結を巡って「密室処理」との批判を受けて辞任するまでの約4年4カ月間、青瓦台高官を務めた。当時、事実上すべての外交安保政策に金氏が関与していると言われるほど大きな影響力を持っていた。北朝鮮が11年、南北首脳会談に向けた秘密接触を韓国の提案で行ったと暴露し、接触の当事者だと主張した人物だ。北朝鮮が不可逆的な核放棄に乗り出す場合、国際社会の経済支援と安全保証を提供するとした李政権の「グランドバーゲン(一括妥結)」の構想づくりに主導的な役割を果たしたとされる。政権引き継ぎ委員会は金に関し、「強い軍隊を通じた強固な安保と韓米同盟の修復、対北政策の改善を優先させ、何よりも国益を考えて外交安保政策を推進してきた」とし、「当選者の相互主義の原則に基づいた南北問題の解決が揺るぎなく推進されるよう、政府と議論を進めることを信じている」と説明した。新政権でも北朝鮮に完全な核放棄を求めるとみられる。
軍出身で外交安保分科の委員に起用された李鐘燮氏も李政権時代、国防部の政策企画次長として韓米定例安保協議(SCM)など韓米同盟の主な政策に深く関わった。文政権で合同参謀会議のナンバー2である次長を務めた。政権引き継ぎ委員会は李氏について、「北の核とミサイルに対する対応能力拡大と確固たる韓米同盟のための韓米合同演習の強化、(米国の最新鋭地上配備型迎撃システム)高高度防衛ミサイル(THAAD、サード)の追加配備など、当選者が目指す強固な安保公約が早期に実現するよう大きな役割を果たすことを信じている」と述べた。
外交安保分野では、李明博政権時代の対北朝鮮ブレーンの起用を行う事が決定しており、この人々は過去日本とのGSOMIA締結に向けて動いていた背景もあることから、文政権とは違い対北朝鮮で日米との足並みがそろう事は確実なようです。
尹引き継ぎ委、「軍コメント工作、秘密裏にGSOMIA推進」した人物らを重用し物議 : 政治•社会 : hankyoreh japan
また次の記事にあるように
韓米 北朝鮮がICBM発射すれば爆撃機訓練再開へ
聯合ニュース 2022.03.16
https://jp.yna.co.kr/view/AJP20220316000300882
【ソウル
聯合ニュース】韓国と米国は
北朝鮮が新型の
大陸間弾道ミサイル(
ICBM)を発射する場合、「それに相応する対応措置を取る」ことで一致し、その一環として中止していた長距離
爆撃機を展開する共同訓練「ブルー・ライトニング」を再開する案を検討している。韓国の複数の政府消息筋が16日、明らかにした。
ブルー・ライトニングは米領グアムのアンダーセン空軍基地に配備されている戦略爆撃機B52HかB1Bを朝鮮半島に派遣し、任務を遂行する手続きを確認する訓練だ。韓国と米国、日本の戦闘機が援護する。
米国は2018年5月、ブルー・ライトニングの実施を計画したが、韓国が米朝首脳会談を控え緊張を招く恐れがあるとし、米国単独で朝鮮半島付近で実施した。
長距離爆撃機の朝鮮半島派遣は17年以降行われていない。北朝鮮がICBMの発射実験を行い、米国が戦略兵器を展開すれば、朝鮮半島を巡る緊張が再び高まるとみられる。
消息筋は「米国は北の挑発の水準によって戦略兵器を出動させるとみられる」として、「空母の艦載機が黄海上まで長距離飛行を行ったのもこの一環」と説明した。米海軍第7艦隊は15日、フィリピン海にある空母「エーブラハム・リンカーン」の艦載機F35Cが黄海まで長距離飛行を行ったと発表した。
一方、米国は韓国、日本との弾道弾迎撃訓練も強化するもようだ。同訓練は3カ国がそれぞれの位置で敵の弾道ミサイル発射を想定し探知・追跡・迎撃する訓練だ。
消息筋は「わが軍は北がICBMを発射する場合、独自にミサイル対応訓練と合同打撃訓練を行う」として、「北の挑発の水準によって、動員する巡航ミサイルと弾道ミサイルなどミサイルの数と機種が決まる」と述べた。
尹氏の方針が既に韓国の対北朝鮮政策に反映され始めており、こちらの記事では文政権で中止された米韓軍事演習の再開などが検討され始めています。
こうしたことから解るのは、北朝鮮による核開発問題などに関して、次期政権では文政権と違い日米と「同じ枠組み」で動いて行くことはほぼ確実でしょう。
2:対北以外は歯切れ悪い
しかし、尹氏の方針で「具体的方針が見て取れる」のはここまでで、実のところそれ以外の部分はほとんどが具体性が無かったり歯切れが悪かったりしています。
例えばこちらの事例
【独自】尹錫悦次期大統領「クアッドへの段階的参加を推進…『外交通商部』の復活も検討」
朝鮮日報 2022/03/15
https://web.archive.org/web/20220315150543/http://www.chosunonline.com/site/data/html_dir/2022/03/15/2022031580242.html
廃止が議論される統一部は維持の方針
尹次期大統領「
自由民主主義的な統一の努力は大統領の責務」
尹錫悦(ユン・ソクヨル)次期大統領と外交・安全保障のブレーンたちが、米国・日本・インド・オーストラリアの4か国による外交・安保の協力体制「クアッド(Quad)」への段階的参加を検討していることが15日までに分かった。クアッドの下で立ち上げられたワクチン・気候変動・先端技術の各分野のワーキンググループに参加して関連各国との接触範囲を広げ、適切な時期に正式参加の手続きを取るという構想だ。
尹次期大統領側の関係者はこの日、本紙の電話取材に対し「韓国がクアッドにフリーライド(便乗)のような形でいきなり参加することはないだろう」としながらも「インド・太平洋地域の安定と繁栄に対する寄与の範囲を広げ、地域のキープレーヤーとして実質的な役割を果たすことに優先的に取り組むだろう」と述べた。
尹次期大統領は、加速する米中の派遣争いに効果的に対応するために、2013年に産業部(省に相当、以下同じ)に移した通商機能を再び外交部に戻し、外交通商部として拡大再編することも検討しているという。尹次期大統領はまた、存続か廃止かをめぐって議論が続いていた統一部について、「自由民主主義的な統一に向けた努力は大統領の責務であるため、維持はするが、十分に機能するよう整備したい」との方針も打ち出していることが分かった。
ノ・ソクチョ記者
日米豪印の「クアッド」への「参加を検討する」としている記事なのですが、「検討する」「優先的に取り組む」と、実のところ「どこまで参加するのか」に関しては明言を避けている事がわかります。
また次の記事では
韓国次期大統領 米国とEUに特使派遣へ=中・日・ロは見送り
聯合ニュース 2022.03.15
https://jp.yna.co.kr/view/AJP20220315005200882
【ソウル
聯合ニュース】韓国の尹錫悦(ユン・ソクヨル)次期大統領が米国と
欧州連合(EU)に特使を送ることが15日、尹氏側の関係者の話で分かった。米国、中国、日本、ロシアの
朝鮮半島を取り巻く主要4カ国では米国だけが特使の派遣先に選ばれた。
また米国に派遣する特使の団長は最大野党「国民の力」の朴振(パク・ジン)国会議員に決まったという。
同関係者によると、尹氏は形だけの使節団ではなく、実質的な政策協力を進めることを求めており、「朴氏は特使団長であり、政策協力団長」と説明した。
外務部(現外交部)出身の朴氏は、韓米議員外交協議会副会長や国会外交統一委員会委員長などを務めた経験があり、2008年8月には米国で当時上院外交委員長だったバイデン大統領と単独で面会した。
ロシアについては、ウクライナ情勢を考慮して特使派遣を見合わせたという。また中国と日本については、各種の懸案が山積しているため、新政権発足後に本格的な調整が必要な部分が多く、次期大統領として急いで特使団を送る理由がないと判断した。
特使は来月の初中旬に派遣される見通しだ。
懸案の少ないアメリカやEUへの特使派遣はすぐに決まったようですが、日本には中露と同じく「先送り」となっており、関係改善を進めるとしながら具体的な方針が一切見えてきていないというのが現状です。
つまり、対北朝鮮は方針がはっきり決まっているが、対日や対中に関しては、実際には具体性がまるでなく非常に歯切れが悪いという事がわかるわけです。
この件なのですが、対日に関しては後で説明するとして、対中に関しては次の記事がわかりやすいです。
韓国貿易協会「習近平再任のため今年5.5%の成長守るだろう…韓国には機会」
ⓒ 中央日報/中央日報日本語版2022.03.14 08:48
https://japanese.joins.com/JArticle/288748
中国が今年景気浮揚に積極的に出ると予想されることから、韓国企業には現地市場進出の機会が拡大するだろうと韓国貿易協会が予想する。
韓国貿易協会国際貿易通商研究院は13日に公開した「2022年両会を通じて見た中国の経済・産業政策方向と示唆点」と題する報告書で、中国政府が最近開かれた全国両会(全国人民代表大会、全国人民政治協商会議)で今年の経済成長目標を5.5%と提示したと明らかにした。
研究院は特に10月に習近平国家主席の党総書記職留任を決める場となる第20回全国代表大会を控えており経済成長目標値をどのようにしてでも守るとみた。したがって韓国企業にビジネスの機会が開かれたもので中国の政策方向に注目するよう助言した。
報告書は全国両会で発表された中国政府の業務報告資料などに基づいて▽安定的成長▽強小企業育成▽企業税金負担緩和▽質的成長▽炭素ピーク・炭素中立▽地域開発の6種類を中国の今年の経済・産業・政策の主要キーワードとして提示した。
これによると、中国政府は安定した成長を追求し、投資拡大と消費促進をそれに必要な主要手段として活用する見通しだ。合わせて製造業競争力強化に向け「専精特新」(専門化・精密化・特性化・革新)強小企業を育成し中小・零細企業向けの税金負担緩和など企業支援政策を強化するだろうという予想だ。ここに次世代半導体、人工知能など新産業を育成し既存の製造業のスマート化を促進する産業構造転換と高品質化も推進する。
また、中国政府が2030年までに炭素排出ピーク、2060年までに炭素中立達成というロードマップを提示しただけに、低炭素・クリーンエネルギー分野のビジネスチャンス拡大も期待される。
ただ報告書は中国の科学技術革新、産業構造再編を通じた製造業の競争力強化が結果的には中間財輸出に偏った韓国企業の対中輸出に否定的な影響を及ぼしかねないと指摘し、中長期的な備えを注文した。
貿易協会のチョン・ボヒ首席研究員は「中長期的にデジタル経済、先端製造業、炭素中立など未来成長分野で韓国と中国の企業が互いに利益になるよう未来指向的なビジネスモデルを発掘しなければならない」と話した。
こちらの記事でもわかるように、この期に及んで韓国の財界は対中依存度を深めようとしており、記事では中国の経済発展が韓国のビジネスチャンスになると書かれています。
またこちらの記事によると
中国の輸入市場シェア…韓国は減少、台湾・ASEANは躍進
ⓒ 中央日報/中央日報日本語版2022.03.16 15:36
https://japanese.joins.com/JArticle/288880
過去5年間、中国の輸入市場で韓国のシェアは主な競合国と比較して減少したという分析が出てきた。
全国経済人連合会(全経連)は中国の20大輸入国のうち米国・日本・ドイツ・フランス・英国の「G5」、台湾、ASEAN6カ国と韓国の中国輸入市場シェアを2012-16年と2017-21年に分けて比較した結果、このように表れたと16日、明らかにした。
全経連によると、中国の輸入市場で韓国のシェアは2012-16年の9.8%から2017-21年には8.8%と、1.0ポイント減少した。半面、同じ期間にASEAN6カ国と台湾のシェアはそれぞれ2.5ポイント、0.8ポイント増加した。
韓国は2013年から2019年まで7年連続でシェア1位を維持したが、一昨年と昨年は2位だった。主に中国の台湾産半導体輸入増加、ASEAN6カ国の躍進、中国の部品・素材自給化政策などの影響と分析された。
米国が中国に対する半導体技術・装備輸出を制限して以降、台湾産半導体の輸入が増え、中国輸入市場で台湾のシェアが拡大した。
全経連は韓国の対中輸出品のうち比率が最も大きいメモリー半導体を除けば、韓国の中国輸入市場シェアは2012-16年の8.8%から2017-21年には6.8%と2.0ポイント減少すると説明した。
一方、同じ期間、ASEAN6カ国のシェアは2.8ポイント増加した。また、中国が部品・素材自給化政策を推進し、過去5年間の韓国の部品・素材輸出金額も直前の5年に比べて6.6%減少した。
医薬品、化粧品、乳児用食料品、プラスチック製品など中国の10大消費財輸入市場で、韓国のシェアは2012-16年の5.4%から2017-21年には4.2%へと1.2ポイント減少した。
全経連のキム・ボンマン国際本部長は「中国の輸入構造が高付加価値の中間財と消費財製品を中心に変わっているだけに、韓国企業は半導体のほかにも鉄鋼材・精密化学製品など高付加価値の戦略輸出品目を発掘し、政府は韓中自由貿易協定(FTA)商品の改定など政策支援を強化する必要がある」と述べた。
韓国の対中輸出シェアが減少しており、記事では「中国の輸入構造が高付加価値の中間財と消費財製品を中心に変わっているだけに、韓国企業は半導体のほかにも鉄鋼材・精密化学製品など高付加価値の戦略輸出品目を発掘し、政府は韓中自由貿易協定(FTA)商品の改定など政策支援を強化する必要がある」と書かれています。
THAAD関連で実質的な経済制裁まで受け、「対中依存度を減らさないといけない」状況にあるにも関わらず、韓国ではこの状況で対中依存度を増やそうとしているのです。
これはどういうことかというと、基礎技術に乏しい韓国が現在の経済規模を維持するためには輸出に頼るしかなく、中国の技術水準が韓国に追いつき始め、徐々に韓国のシェアを脅かし始めても、それでも中国への輸出に頼るしかないという、経済構造上の問題があるためです。
これは以前から言われていた事で、韓国は技術レベルで日本に追いつけず、中国には追い付かれるという「サンドイッチ」状態にあり、これは十数年前から韓国内で指摘されていたにも関わらず、「何の対策も取らなかった」ため、対中依存から抜け出せなくなったからです。
参考記事
危機の「サンドイッチ・コリア」…追い越す中国=韓国メディアのコラム│韓国経済│wowKora(ワウコリア)
韓国が中国から離れられない理由の一つがこれです。
技術面では日本に依存し、輸出面では中国に依存して現在の「世界10位の経済水準」を維持してきたうえに、文政権が対中依存度を徐々に減らしていかないといけない時期に「増やした」ため、最早抜け出したくても抜け出せなくなっているのです。
そのため、対北では歯切れよく日米との連携を宣言していますが、対中では歯切れが悪くならざるを得ないというわけです。
3:対日方針
そして対日方針に関しては更に歯切れが悪いです。
以前動画の方でも指摘していますが、尹氏は「関係改善をする」「一括妥結する」とは言っていますが、肝心の「どうやるのか」がまるで見えてきません。
oogchib.hateblo.jp
なぜかといえば、「方法がない」からです。
更に韓国内の対日方針も問題で
次の記事を読んでもらうと
【コラム】試される韓国次期大統領の協治と国益の約束
ⓒ 中央日報/中央日報日本語版2022.03.16 11:37
https://japanese.joins.com/JArticle/288866
韓国次期大統領に選出された尹錫悦(ユン・ソクヨル)氏が光化門(クァンファムン)執務室を進めるのは良い兆候とみられる。晩の軽い飲酒も同じだ。
民主党は「飲酒政治」と批判するが、
青瓦台(チョンワデ、韓国大統領府)官邸で一人で酒を飲むよりは100倍よい。「当選しても王宮のような
青瓦台には入らない」。尹氏は大統領選挙直前に尊敬する検察の先輩たちの前で誓ったという。開かれた政治は尹氏の古くからの考えであるようだ。今後さらに重要な協治と有能な政府という約束もどう進めていくか注目される。
今回の大統領選挙は特異だった。記憶に残る公約は女性家族部廃止、脱毛防止、光州市(クァンジュシ)の複合ショッピングモール誘致などしかない。大統領選挙が終わった後の風景も奇異だ。以前のように民主党議員らは光化門(クァンファムン)広場や国会の階段でひざまずいて団体謝罪をしなかった。むしろ「0.73%(差で勝利した)大統領」と連日こき下ろしている。民主党議員らは「我々がやるべき改革をあまりしなかったため失敗した」と逆に向かっている。運動圏特有の慣性だ。「我々が172議席であるため尹錫悦の思い通りにはならない」とし、「攻撃が最善の防御」と話している鄭清来(チョン・チョンレ)議員が代表的な人物だ。
このように表面上では声を高めているが、民主党は今回の大統領選挙で致命傷を受けた。信仰と変わらなかった労働の価値からして根本から毀損された。国民の力は不動産失敗を執拗に攻撃し、「汗の価値が地に落ちた」として進歩の政治的核心資産を奪った。20・30代は「チョ・グク(元法務部長官)事態」のため「努力までが裏切られる世の中」とし、民主党に背を向けた。
「民主化」という包装に隠されていた運動圏の論理もボロが出た。進歩陣営は絶えず政府主導の輸出型経済成長を「国家独占資本主義」と攻撃してきた。しかし自分たちが執権した5年間、国家主導の官製雇用ばかりを量産し、不動産も政府主導で税金の棒ばかりを振り回して崩れた。そして財政ばかりをつぎ込む矛盾を繰り返した。軍事政権と戦ったが、国家独占というより大きな怪物になった。こうした無能と偽善は抜け出すのが難しい。
尹氏は大統領選挙で「良識がある民主党の方たちと協治をする」と数回約束した。協治は力がある側が相手に手を差し出し、譲歩してこそ可能だ。民主党が厳しい今こそ統合の手を差し出す機会だ。与党発の金富謙(キム・ブギョム)首相再任説が新鮮に感じられるのもこのためだ。元喜龍(ウォン・ヒリョン)業務引き継ぎ委員会企画委員長は「個人的に楽しみ。とても良い案だ」と述べた。元委員長は20余年間、金首相、李光宰(イ・クァンジェ)議員、南景弼(ナム・ギョンピル)元京畿道(キョンギド)知事らと毎月の勉強会でお互い能力をよく知っているだけに再任説を歓迎したはずだ。民主党の蔡利培(チェ・イベ)非常対策委員も「協治の側面で金首相の留任はプラス」とし、李相ミン(イ・サンミン)議員も「可能でさえあれば本当に良い案」と評価した。尹氏側は公式的に再任説を否認したが、まだ可能性は消えていない。
むしろ問題は大義名分を重視する金首相が受け入れるかが疑問だ。昨年末の金首相の言葉だ。「大学時代にデモをしたからといって吏曹判書(行者部長官)に領相(首相)までしたのは過分だ。妻ももう選挙は支援しないと一線を画している。最近、楊坪(ヤンピョン)に退任後に起居する小さな家を建てている」。金首相の知人らも野党分裂手段として誤認されかねないと警戒した。「与党が公式要請し、民主党が快く『協治を助けるべき』という党論を出すまでは、金首相が決して受け入れることができないカード」と話した。
今回の大統領選挙で社会は完全に二分した。金首相の再任が実現する場合、韓国政治は統合という新しい変曲点を通過することになる。DJP(DJ=金大中、JP=金鍾泌)連合とは次元が異なる連立政権が生まれる。地殻変動が伴うだけに、与党も野党も慎重に検討して意見を出すべき事案だ。こうしたアイデアをいきなり流すいわゆる尹氏の側近がむしろ不安だ。あまりにも軽率だとみられる。
尹氏の周辺も整理されていない印象を与える。象徴的な場面が日本・米国の首脳との電話だ。尹氏は「ただ、国益と国民だけを見て進んでいく」と述べたが、最初の試験となる海外首脳との電話は物足りなさがあった。実際、最大の国益となる通貨スワップの復元には触れなかった。米国の利上げと7%台のインフレ、ロシアのウクライナ侵攻で、為替レートの安定は目の前の懸案だ。文在寅(ムン・ジェイン)政権は韓中通貨スワップを延長し、昨年はトルコとの通貨スワップを締結したがリラ暴落で1兆ウォン(約950億円)近い損失が生じた。何より最も重要な米国・日本との通貨スワップがない状態だ。日本は少女像をめぐる摩擦で通貨スワップを一方的に中断し、米国も年末に静かに韓米通貨スワップを終了させた。冷めた韓米同盟の現状だ。尹氏はこうした非正常から着実に正常化していく必要がある。通貨スワップは市場を安心させる最後の安全弁だ。最近、当局の市場介入にもかかわらずウォン安ドル高が続いている。昨日はマジノ線の1ドル=1250ウォンに迫った。
イ・チョルホ/中央日報コラムニスト
最後の方で日米関係に触れていますが、そこで出てきた内容が「通貨スワップ」に関してのみで、「そうするにはどうすればいいのか」が抜け落ちています。
つまり、韓国内でもどうしたらいいのかに答えがなく、一足飛びで「自国の利益」の話になってしまっているのです。
また韓国内の歴史観も足を引っ張っており
【コラム】独仏の戦争のわだかまりぬぐった学生交流、韓日でも通じるか(1)(2)
ⓒ 中央日報/中央日報日本語版2022.03.16 10:43
https://japanese.joins.com/JArticle/288859
58年前の1964年、34歳のフランス人歌手
バルバラ(1930~97)はドイツ中部
ゲッティンゲン大学の学園祭に招かれた。万感が交差しただろう。10歳の時である1940年6月に
ナチスドイツの侵攻でパリが占領されてから1944年8月の解放時まで4年以上を死の恐怖の中で隠れながら暮らさなければならなかったためだ。
バルバラは
ユダヤ人だった。
それでも運が良い方だった。同世代のアンネ・フランク(1929~45)はオランダ・アムステルダムの屋根裏部屋に隠れて暮らし1944年8月に家族全員がゲシュタポに逮捕され強制収容所に連行された。1945年ドイツ北部のベルゲン・ベルゼン収容所で16歳の若さで亡くなった。『アンネの日記』を残したユダヤ人の少女だ。
あえてユダヤ人ではなくてもフランス人のドイツに対する感情は良くない。一世を風靡したフランスの映画俳優アラン・ドロンは1968年に英仏合作映画『あの胸にもういちど』の撮影のためにドイツを訪問してから1994年にベルリン映画祭に招待されるまで一度もドイツを再訪しなかったという。
バルバラは何回も招待を断ったが粘り強い説得にゲッティンゲンを訪れた。行ってみたら約束したグランドピアノも準備されておらず、腹を立てて宿舎に入ったきり出ていかなかった。すると大学生があちこち駆け回ってピアノを調達してステージに準備した。
◇歌でぬぐい落とした長期にわたる敵対感
このように多くの辛酸と苦難の末に公演に出たバルバラは学生たちの熱狂的な歓呼に気持ちが解けた。そして現地にさらに数日滞在しながら曲を書いた。ドイツの都市の名前を題名に付けたシャンソン『ゲッティンゲン』の誕生だ。
歌詞は平凡に始まる。「もちろんそれはセーヌ川ではなく/バンセンヌ(パリ近郊の地名)の森でもない/しかし楽しいのは同じこと/ゲッティンゲンで、ゲッティンゲンで」。パリのようにベランダに花が飾られ、通りでは子どもたちが走り回り、互いに歴史的な共通点もあるという話が続く。あえて説明するなら、ドイツにも人が暮らしているという発見だ。ゲッティンゲンにきて公演し頭の中の敵対感が消え代わりに暮らしている人の姿に目が行ったという意味だ。
バルバラはフランス語で歌った歌が人気を呼ぶとドイツ語版も出した。この歌は木浦(モクポ)で『木浦の涙』が、釜山(プサン)で『釜山港へ帰れ』がそうだったように、すぐにゲッティンゲンを象徴する歌になった。注目すべき点はここからさらに一歩進んでドイツとフランスの若者たちがともに歌う歌になったという点だ。偶然な招待とこれを契機に作られたひとつの歌が戦後互いにぎくしゃくしていたフランスとドイツの戦後世代間で疎通と相互理解を促進した。5年前にゲッティンゲンに行ったことがあるが、バーで『ゲッティンゲン』を初めて聞き、由縁を尋ねてこうした驚くほどのエピソードを知ることになった。
https://japanese.joins.com/JArticle/28886
文化が外交をリードしたケースだ。その背景には指導者の努力が隠れている。フランスと西ドイツはその1年前の1963年1月23日にフランス大統領官邸であるパリのエリゼ宮で両国友愛条約を締結した。エリゼ条約と呼ばれるこの条約に基づき両国の大統領と首相、外相、国防相、教育相、軍参謀長は毎年会談を持つことにした。
注目すべき点は、この条約で仏独青年センター(FGYO)を開設した点だ。FGYOは両国政府の財政支援を受けながらこれまで36万回の学生交換プログラムを稼動した。これを通じ900万人の両国の青年・青少年交流を支援した。1870~71年の普仏戦争、1914~18年の第1次世界大戦、1939~45年の第2次世界大戦、1947~56年の戦後フランスの独ザールラント占領などで両国間に積もった怨恨・敵がい心・敵対感はこれを通じて相互理解に変わっていった。2003年にエリゼ条約40周年を迎え集まった両国青年議会フォーラム(YPF)代表は両国共同の歴史教科書を作ろうというアイデアを出した。フランス教育省とドイツ外務省が支援して2006年に独仏共同歴史教科書が誕生した。
◇両国の言葉で同時送出の放送局設立
1964年にこの学校の学生だったゲルハルト・シュレーダー(1998~2005年首相在任)は2003年1月にエリゼ条約40周年記念行事でバルバラの歌に言及した。『ゲッティンゲン』は両国の心をつなぐ架け橋になった。持続して疎通するという指導者の決断が青年と青少年の絶え間ない交流につながり、これは両国国民の間の長い間のわだかまりをぬぐい去る契機になった。ゲッティンゲンの奇跡だ。ドイツとフランスは1991年に同じ文化番組を両国の言葉で同時送出する放送局アルテを国境都市ストラスブールに共同設立するに至った。
独仏学生交流プログラムが成功を収めると1987年には欧州連合(EU)次元の学生交換プログラムであるエラスムスプログラムが稼動した。欧州全域を回りながら学び働き知識と経験・洞察力を拡大した16世紀オランダ出身のカトリック修道者であり人文主義者・世界主義者・自由主義者であるデジデリウス・エラスムスの名前を取った。別のプログラムとして拡大した2014年までに欧州31カ国4000の大学で330万人の学生が互いに交流した。
政権交代で韓国と日本が長い間の反目を清算し交流と協力で相互理解のドアを開ける機会が開かれるか注目される。青少年と青年世代の交流プログラムで韓日の間で「ゲッティンゲンの奇跡」が広がることを期待する。
チェ・インテク/国際専門記者
こちらの記事を読んでもらうとわかるように、「日韓関係の改善」を求める記事で、例に出しているのがドイツなのです。
これの問題点は2つあり、まず一つ目はフランスなどは韓国と違って「双方同意のうえで締結された戦後補償問題」を一方的に反故にしたりはしていません。
もう一つは、先日の動画や過去記事でも指摘したように、日本は韓国に対して「ドイツと同じ事」をしたという記録が一切ないにも関わらず、韓国では近年の民族主義の先鋭化から歴史観の現実との乖離がこれまでにもまして激しくなっており、この事例でもこの「乖離し先鋭化した歴史観」を前提として記事が書かれています。
つまり、歩み寄ろうにも韓国世論が強硬過ぎてどうにもならず、尹政権は世論から大きく外れた方針を行えない以上、「解決可能な具体策」など考えつかないというわけです。
これは当然一連の佐渡金山のユネスコ登録問題でも同じですから、いずれ対立が激化するのは目に見えています。
またこれは福島原発の処理水問題でも同じで
釜山市、福島原発汚染水放流備えて放射能監視体系強化
ⓒ 中央日報日本語版2022.03.15 10:27
https://japanese.joins.com/JArticle/288805
釜山市(
プサンシ)は釜山沿岸の海水と
水産物に対する
放射能監視体系を強化すると15日、明らかにした。日本政府の
福島原発汚染水海洋放流計画に関連した市民の心配を解消するための趣旨でだ。
日本政府は福島原発から出た汚染水を多核種除去設備(ALPS)で濾過したあと、海水に希釈して来年春から海洋に放出するという計画を昨年4月に確定した。先月は国際原子力機関(IAEA)調査団が福島第一原子力発電所の現場を訪問するなど、汚染水海洋放出のための準備手続きを踏んでいる。
釜山市はまず海洋放射能監視と水産物安全管理を強化し、市のホームページに市と国家の放射能検査結果に対する統合メニューを開設して情報を速かに提供する。また、現在の江西区(カンソグ)・東区(トング・海雲台区(ヘウンデグ)・機張郡(キジャングン)など5カ所に設置された放射能無人監視網を南区(ナムグ)に追加設置し、沿岸海水の放射能分析回数を180件に拡大する。
同時に16の区・郡と既存の市場、卸売市場、大型スーパー、オンライン販売店などを対象に年間約800件の水産物を回収・検査する計画だ。釜山市教育庁とは学校給食の食材料に対する放射能安全性検査を併行する。市の上水道事業本部水質研究所は機張郡と影島区(ヨンドグ)で毎日または週1回の三重水素(トリチウム)分析を行う。
管内の養殖場や水産物委販場など生産段階の水産物放射能検査も強化する。このために水産資源研究所は放射能検査装備(前処理装置1台)を追加で確保し、近海水産物など114品目を対象に年間300件以上の深層分析を行う予定だ。
市関係者は「産業界と懇談会などの疎通の場を拡大し、市民の安全と海洋環境の保護、水産食品業界への被害予防のために必要なすべての措置を取っていく考え」と話した。
福島原発事故から11年 次期大統領に汚染水放出反対促す=韓国市民団体
聯合ニュース 2022.03.11
https://jp.yna.co.kr/view/AJP20220311002400882
【ソウル
聯合ニュース】
東日本大震災により福島第1
原子力発電所から大量の
放射性物質が放出された事故から11年を迎え、韓国市民団体の「日本
放射能汚染水放流阻止共同行動」は11日、ソウルの
日本大使館前で記者会見を開き、処理済み汚染水の海洋放出の決定は「人類全体に対する核テロであり最悪の犯罪行為だ」として撤回を求めた。
同団体は、日本政府は事故発生から11年が過ぎても汚染土などを放置しているだけでなく数百万トンに上る汚染水の放出を決定し、韓国政府に環太平洋経済連携協定(TPP)加入の条件として福島産農水産物の輸入を再開するよう圧力をかけていると主張した。
そのうえで、日本政府は汚染水を希釈して放出すれば問題はなく、福島産の農水産物からも放射性物質は検出されなかったと説明するが、放射性物質は自然に消えたり中和されたりすることはないとして、海洋生物の食物連鎖により濃縮され、最終的に人間が放射性物質を食べることになると指摘した。
また、韓国大統領選で当選した保守系最大野党「国民の力」の尹錫悦(ユン・ソギョル)前検事総長は同団体が送った質問への回答で海洋放出の決定に反対する立場を明確に示したとして、日本政府に速やかに立場を伝えるよう促した。
同団体は尹氏に対し、日本政府と東京電力に透明で正確な情報公開を求めるとともに、福島産農水産物の輸入再開の圧力に対し断固として反対するよう求めた。
処理水問題に関連し、韓国の自治体が独自に「強硬策」に出始めているのです。
更に、韓国の市民団体が尹氏に対して圧力をかけだしており、今後尹政権と国民の力は国会で少なくともあと2年間は「少数与党」であることが確定しており、また韓国世論は処理水を「汚染水」と呼んで放出反対が多数派であるだけに、これも関係悪化に拍車をかけることが予想できるのです。
そして問題はこれだけではなく
船橋洋一氏「力の論理時代が到来、日韓協力に先送りする余裕なく」
ⓒ 中央日報/中央日報日本語版2022.03.15 14:34
https://japanese.joins.com/JArticle/288823
日本を代表する国際問題専門家であり、アジア・パシフィック・イニシアチブ(API)理事長の
船橋洋一氏(77・
元朝日新聞
主筆)は「国際秩序が激変する中で、韓国に日本との関係を『未来志向的』に解決していくと宣言した政権が生まれたことは大きな機会で、(日本も)この機会を掴まなくてはならない」と述べた。
今月11日、ズーム(Zoom)を通じて行ったインタビューで、船橋氏は「日韓、日米韓協力を通じて中国の現状修正意志に対抗することが我々の未来を左右する」としながら「日本と韓国が協力することによって得る潜在的利益をこれまで十分に活用してこなかったが、今はもうそのような余裕がない」と強調した。
--韓国に次期大統領が誕生した。選挙結果をどのように見るか。
「60代以上の方々が尹錫悦(ユン・ソクヨル)氏のほうに相当多く流れたところを見て、朝鮮戦争を記憶している世代が最近ウクライナ情勢等で非常に強い(安保)危機を感じたのではないかと考えた。だが一方で、半数近くの左派のバネの強さも感じた。国会もまだ民主党が多数なので、今後国家運営は本当に大変だろうと思う」
--尹氏が掲げた対日政策をどのように評価するか。
「日米韓(関係)を重視すると極めて明確に言及したということで、(日本の)官邸・国会含めて期待が強まっているのを感じる。岸田政権も尹氏を『一緒に政策を語れる相手』とみる雰囲気だ。尹氏は急激に変化する国際秩序の中で国の安全保障のために何をしなければならないかを最も優先順位として考えなければならない。日本と韓国が今のように対立状態にあることは損失が非常に大きい」
--韓国の新大統領が真っ先にすべきことは。
「現在ウクライナで起きている状況は、これまで日本と韓国に繁栄をもたらしてきた国際秩序に挑戦する現状修正的な動きが本格化していることを見せている。そのような動きに対して、我々はパワーバランスや秩序のレジティマシー(正統性)で対抗する必要がある。このために日米韓の安全保障協力は大変重要だ。環太平洋パートナーシップに関する包括的及び先進的な協定(CPTTP)には韓国も加入するべきで、日米豪印戦略対話(QUAD=クアッド)のようなものにも、どんな形式でもよいので参加することが望ましい」
--韓国が日米のほうに近づく場合、中国との間で摩擦が起きる可能性がある。
「中国だけでなく北朝鮮にも考慮しなければならない。今回、北朝鮮が2017年秋以降、5年ぶりに大陸間弾道ミサイル(ICBM)性能試験を行い、正面から挑戦してきている。北朝鮮の核・ミサイル威嚇を決して過小評価してはいけないし、中国がこれまで北朝鮮に対して少なくともイネイブラー(助力者)の役割を果たしてきたことも忘れてはならない。経済的には中国と不必要な対立を最小化しながら、安全保障においては日米韓が力を合わせて抑止力を強化していくべきだ」
--日本が「韓国が先に解決策を持って来るべきだ」という立場を固守すれば関係改善が容易ではなさそうだ。
「『ボールは韓国側にある』という言葉は安倍晋三政権以降、一貫した日本政府の立場だ。核心事案は最高裁の徴用工判決から(日本企業の資産)現金化に至る部分だと思う。この問題は1965年日韓基本条約で法的に解決したという日本の立場は表向きは変わらないと思う。それでも実際問題として岸田政権はより柔軟な姿勢で出てくる可能性が高いとみているし、またそうすべきだと思う」
--韓日首脳会談の再開はいつごろになりそうか。
「首脳間のシャトル外交は尹氏が先に提案をしたので、日本政府も真剣に受け止めなければならない。だが、その前に実務者を中心に両国が現在なぜこのような関係まで悪化したのかを検証して共有する作業が必要だ。結局、『トップダウン(Top-down)』と『ボトムアップ(bottom-up)』が同時に進まなければならない」
--尹氏は1998年の「金大中(キム・デジュン)-小渕宣言」の精神に何度も言及
している。
「事実、日本の戦後外交史全体を見てもあのように心に染みる、アスピレーショナル(大きな志のある)な宣言はない。あれ以上の宣言が出てくるのは難しいと思う。現在とその時が大きく違うのは、東アジアで『チャイナリスク』が非常に大きくなったという点だ。したがって今後日韓を取り巻く地政学的現状を見据え、両国がどのように協力していくのか、現実的な側面で組み直さなければならない」
--韓国ではウクライナ事態を契機に日本が軍事力強化動きを見せていることに対して懸念が大きい。
「安倍氏が取り出した米国との『核シェアリング』議論はこれ以上進展しないと考える。岸田首相が受け入れないと国会で宣言しているので、少なくともこの政権では封印されるだろう。敵基地攻撃能力保有は実行可能なシナリオだ。これは日本だけの意志ではない。今まで米国は日本に『鉾の役割は我々がするから日本は盾の役割だけしてほしい』と役割分担を求めていた。だが、今や日米同盟も日本に独立的な攻撃力を持たせて、これを基にインターデペンデンス(相互依存)するほうへと大きく方向転換しつつある」
--ウクライナ事態をどのように展望するか。
「現在進行形なので予断を許さない。明らかなことは、この戦争以降、ロシアを国際秩序の枠組みの中にどう組み込んでいくのか大変重要な問題になったという点だ。具体的に言えば、2010年代に中国から大国論理、力の論理を前面に出す時代が始まり、ロシアの挑発でそれが鮮明に現れた。極東アジアに広がるこの新しい変化の中で日韓関係もリアリズムの目で見なければならない。今、我々にはハードなリアリズム的思考が必要だ」
こちらの記事にあるように、「日本が歩み寄れば解決する」と、無責任に韓国に耳打ちする人々が日本にまだまだ多数おり、こうした人々の主張が韓国側の判断を誤らせる原因となっているのです。
実際問題、今起きている問題というのは、「双方合意の下で行われた取り決め」を、韓国側が韓国の国内事情で勝手に何度も反故にしてしまったのが原因であり、次に何かを決めてもいずれ「同じことになる」のが目に見えている以上、韓国側が「これで完全に解決する」と提案しない限り過去と同じ結果にしかなりません。
この事態を引き起こしたのは韓国である以上、韓国側に問題解決の責任があるにも関わらず、こうした韓国寄りの日本人たちは「日本の歩み寄りで関係悪化を是正するべきだ」と、無責任なことを韓国に言い続けているのです。
つまり、尹氏の対日方針が漠然としていて具体性がないのは、韓国内の世論が強硬なうえに少数与党になるのが確定しており、しかも「問題は日本が解決してくれる」と、無責任にメディアを通じて韓国世論を煽る日本人達がいるという、どうにもならない状況にあるからなのです。
ですので、今後の尹政権は「対北朝鮮では進展があるが、それ以外ではほとんど何も期待できない」と考えたほうが良いでしょう。
すくなくとも現状ではそういう判断しかできませんし、何か大きな変化でもない限りはほぼ確実にそうなるでしょう。
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