日韓問題(初心者向け)

日韓問題について、初心者でもわかりやすい解説と、日韓問題とマスコミ問題の動画のテキスト版を投稿しています。

韓国では「公益」と「私益」に区別がない

2024年6月13日23時45分追記
「拡大されたウリ」の概念と公益の関係について大幅に加筆修正しました。


さて、本日は実質的に「公益」の概念が非常に乏しく、私益の行いがまるで公益であるかのように行われる韓国社会について書いていきます。


初めて来られた方はまずこちらを先に読む事をお勧めします。

ブログ『日韓問題(初心者向け)』を始めた理由 - 日韓問題(初心者向け)

注意
・このブログは「日韓の価値観の違い」を初心者向けに扱っています

・当ブログのスタンスは「価値観に善悪や優劣は存在しない」というものです

・相手が不法を働いているからと、こちらが不法をして良い理由にはなりません

・自身の常識が相手にとっても常識とは限りません、「他者がそれを見たらどう思うか」という客観性を常に持ちましょう

・日常生活で注意する程度には言動に注意を心がけてください


現在韓国では、日本の研修医または専攻医に相当する「専攻医(※1)」が、韓国政府による医学部の増員に反発し、ボイコット運動を続けているが、韓国の大韓医師協会がこの動きに賛同し、「集団休診」を行う動きを見せるなど、医療混乱が続いている。


このボイコット運動には様々な理由があるが、その主な理由として人員の増加に伴う競争激化により、相対的に自分達の賃金が減る事や、韓国では首都圏と地方で明確な序列があるため、人員増で「首都圏の枠」が減ることを危惧するという「私益」が深く関わっている。


こうした背景には、韓国には共同体意識として「ウリ」があり、「ウリ」とはあくまで自己の範囲の拡大でしかないため「公益」という概念に乏しく、私益が公共に影響を与えやすい社会である事が関係している。

※1
専攻医とは韓国の医療制度で医学部卒業後、インターン(1年間)及びレジデント(4年間)の研修過程にいる人を指す

参照
医療大乱、研修医の8割が職場離脱
労働政策研究・研修機構 2024年3月
https://www.jil.go.jp/foreign/jihou/2024/03/korea_02.html

※本文中のリンクは引用の元記事、或いはウェブアーカイブウェブ魚拓(別サイト)へのリンクです。


以下から本文




1:医師のボイコット運動



まずはこちらの記事から

医学部教授団体 賛同可否きょう決定=韓国
聯合ニュース 2024.06.12
https://jp.yna.co.kr/view/AJP20240612000800882




関連記事
医学部定員増巡る政府と医師の対立深まる 開業医も休診の動き=韓国
聯合ニュース 2024.06.11
https://jp.yna.co.kr/view/AJP20240611000600882


医学部集団留年を防ぐために学期制を学年制に変更、8月開講を検討
東亜日報 May. 07, 2024
https://www.donga.com/jp/List/article/all/20240507/4926880/1

戻らぬ専攻医と医学生、取り返しのつかない破局を迎えるのか
東亜日報 May. 23, 2024
https://www.donga.com/jp/article/all/20240523/4959712/1

2024年1月から続いている、韓国政府による医学部の入学定員増員問題なのですが、問題が解決に向かうどころか悪化し続けており、大韓医師協会が医師に集団休診を呼びかけたことで医師不足で患者に適切な医療を施せない病院が出る恐れがあると書かれています。
また、医学部学生がボイコットを続けている事でボイコット学生が全員留年し、来年の講義や医師排出、専攻医不足による病院経営などに支障が出る恐れが出てきており、相当な混乱が発生しています。



そしてこの記事ではさらに、大韓医師協会が増員への抗議で集団休診を発表したうえに、大学医学部の教授団体、全国医科大学教授協議会まで集団ボイコットに賛同する動きを見せ始めたという記事です。


ここまで状況が悪化した背景として


韓国政府「専攻医の辞表受理禁止命令を4日付で撤回」
中央日報/中央日報日本語版2024.06.04 17:59
https://japanese.joins.com/JArticle/319521


関連記事
韓国の「兵役未実施」の専攻医、辞表が受理されればすぐに兵役履行の義務
ハンギョレ新聞 2024-02-26
https://japan.hani.co.kr/arti/politics/49252.html

辞表が受理されないと医師として様々な不利益があるようで、辞表受理禁止命令を盾に韓国政府は現場復帰をするよう圧力をかけていたのですが、記事にもあるように専攻医側が折れないため、4日で撤回してしまい、逆に彼らを勢い付かせてしまったという背景があります。


また次の事例のように

専攻医たち「尹大統領面会」で内紛、「代表弾劾」の声明も
東亜日報 April. 06, 2024
https://www.donga.com/jp/List/article/all/20240406/4864528/1




関連記事
大韓医師協会会長が裁判長の写真をさらして「この女、正気ですか?」と批判…昌原地裁が「極めて不適切」と抗議
朝鮮日報 2024/06/11
https://www.chosunonline.com/site/data/html_dir/2024/06/11/2024061180075.html

結果、状況が5カ月近くも全く改善せず、低賃金で雇える専攻医(低賃金で様々な雑用までこなさないといけないため非常に負担が大きい)に頼り切っていた韓国の病院は、深刻な医師不足に陥り、場所によっては病院が機能しない事態となっているという有様です。



2:問題の背景



先ほども少し説明したように、韓国の専攻医の制度自体に問題があるのも事実で


韓国の医師はなぜ「医学部の定員増加」に反対するのか…希望職業2位でも医師不足という「階級社会」のひずみ
FNN 2024年2月25日
https://www.fnn.jp/articles/-/662176?display=full

低賃金で長時間労働を強いられるうえに、「中でも「金を稼げない」小児科や内科、「医療事故などのリスクが高い」外科・産婦人科では医師の減少に歯止めがかからない。残された医師の負担は膨らみ、専攻医が病院を離れる要因となっている」と書かれているように、診療科ごとの格差が大きく、増員だけでは問題が解決しないのも事実のようです。


ただし、当然この「格差」の問題なども解決は必須ですが、増員が無ければそもそも問題解決のスタートラインにすら立てないはずで、いずれにせよ専攻医以外にまでボイコットが波及している現状はかなり不可解です。


ではその原因は何かというと、以下は大きな要因で

専攻医らが抵抗続けるわけは…「見返り減り、競争激化という危機意識のせい」=韓国
ハンギョレ新聞 2024-06-06
http://japan.hani.co.kr/arti/politics/50226.html

「研修期間の4~5年間、週77.7時間(大韓専攻医協議会、2022専攻医実態調査)の低賃金と長時間労働に耐えられるのは、専攻医研修後に確保できる高所得(2022年基準で3億100万ウォン)と社会的地位があるからだが、医師数が大きく増えれば「将来の見返り」が不透明になる」と書かれているように、医師が増えるとその分競争が激しくなり、自身の収入が減ることを危惧しているようなのです。


これには少し説明が必要なのですが、以前から書いているように韓国は徹底した序列社会です。
そしてこの序列には「首都圏とそれ以外」という区分けもあり、首都圏以外の医療はかなり「軽くみられる」傾向にあります。


実際、地方の患者が、その必然性もないのにわざわざ首都圏の大きな病院での受診を望むケースも多いようで、以下のように

「共に民主・李在明代表のヘリ移送は特権意識」「地域医療を無視」 釜山市医師会が批判声明
朝鮮日報 2024/01/05
https://www.chosunonline.com/site/data/html_dir/2024/01/05/2024010580060.html


※2024年6月14日23時45分、引用を追記し、引用にあわせて続く文を若干修正しました。

「なぜ私は希望する病院に無料搬送してもらえないのか」 共に民主・李在明代表のヘリ転院に抗議相次ぐ
朝鮮日報 2024/01/09
https://www.chosunonline.com/site/data/html_dir/2024/01/09/2024010980038.html

韓国最大野党「共に民主党」の李在明代表が襲撃を受けた際、現地の釜山大学病院で十分治療が可能な怪我であったにも関わらず、わざわざヘリを呼んでソウル大学病院に移送させ批判を受け、一般の患者たちが「なぜ自分達は首都圏の希望する病院への転院をしてもらえないのか」という抗議が出たという記事です。


李在明氏の場合は、実のところ傷が非常に浅かったが、政治的な演出をするために「共に民主党」系の医師による治療を希望したという背景も噂されていますから、噂通りであれば少々事情が特殊という事になりますが、この件からわかるのは、韓国における地域差別や地方軽視の考え方が病院に対しても存在しており、李在明氏が「(必然性もないのに)望み通り首都圏の病院に転院できた」ため、転院できない患者たちの怒りが爆発したというわけです。


また次の事例を読むと

韓国の「ベスト病院」17ヵ所のうち地方は1ヵ所だけ、偏りの解消が急がれる
東亜日報 March. 06, 2024
https://www.donga.com/jp/List/article/all/20240306/4791214/1

ニューズウィークの病院評価で世界ベスト病院に選ばれた韓国の病院が「首都圏」に集中しており、日本などの他国のように地方に設備と人員のそろった病院がほとんどないそうなのです。


結果、「地域の病院は、人口減少と首都圏の患者集中で慢性的な赤字と医師の求人難に苦しんでいる」そうで、医学部増員はこうした問題解消を目的としているため、韓国の医師達には「増員で地方に飛ばされる」という危機意識が働いているようなのです。


こうした事から見えてくるのは、今回の騒動が韓国の地域医療行政の失敗と、韓国の医師達の私益(給料が下がる・地位が下がる)が大きく影響した結果、医療という「公益」に支障が出ており、背景には「序列によって秩序が維持されている社会」の弊害がある事が分かります。


また、こうした公益と私益の混同は今回取り上げた問題だけではなく、例えば以下のように


共に民主党院内代表の口から出た「判事選出制」【6月11日付社説】
朝鮮日報 2024/06/11
https://www.chosunonline.com/site/data/html_dir/2024/06/11/2024061180076.html

韓国最大野党「共に民主党」代表の李在明氏が第三者収賄の容疑などで起訴されそうだという情報が出て来ると、「共に民主党」は検察と裁判部(概ね日本の裁判所に相当)に圧力をかけ、「対北送金事件を捜査した検察を捜査する特別検察官を党の意見として推進したい」と言い出し、更に李在明氏に有利になるよう党憲・党規改正案を最高委で議決まで出しているようなのです。


また与党側でも

李鐘燮・駐豪韓国大使は結局辞任へ、最初から最後まで不可解な問題【3月30日付社説】
朝鮮日報 2024/03/30
https://www.chosunonline.com/site/data/html_dir/2024/03/30/2024033080022.html

2023年に、洪水への対応で出動させた兵士に死者が出た件で、軍の責任問題になると、捜査に圧力を加えた容疑で出国禁止状態だった李鐘燮氏(元陸軍中将)を、強引にオーストラリア駐在大使に任命し信任状もないまま出国させ、捜査を妨害しようとしたことが発覚、結局帰国させることとなったという事例です。


どちらの事例でも、党や内輪のための「私益」で公益が侵害されているのですが、韓国では国を代表するレベルの「党」や政府でもこうした事が度々起きており、公益よりも私益が優先されることが多い事が分かります。


3:公共の概念が希薄



こうした公益よりも私益が優先される事例がよく起きる背景には、韓国独特の概念である「ウリとナム」が関わっています。

※ウリとナム

ウリ(自分達)ナム(それ以外)
自他の境界が非常に曖昧な概念であり、彼らはウリである場合自身と全く同じ正しさと感情を共有しており、「ナム」はそれ以外、或いは正しさを理解しない劣等な相手と認識される。
また、このウリの範囲はその時の都合で自身を中心に拡大縮小する。

韓国人独特の「ウリ」と「ナム」という概念 - 日韓問題(初心者向け)

ニコニコ動画(Re:仮)
【日韓問題】韓国独特の「ウリ」と「ナム」の概念 前編 - YouTube


この概念において、「ウリ」とはあくまで「相手もウリと同じ考えや利益・感情を共有している」という、自己の拡大をしていく概念であり、どこまで行っても私益の延長しかなく、不特定多数の利益を含む「公益」という発想は極めて希薄です。


そして韓国はこの「ウリ」を社会の基盤とした集団であるため、ウリの範囲にとっての利益を社会で実現させようとする傾向が強く、そのため今回取り上げた医学部定員増加を巡る問題や、与野党の行った内輪への利益誘導のようなことが度々起きますし、頻繁に大統領やその身内が任期後に逮捕されるのも、これが原因です。


韓国では、「ウリ」と「ナム」の概念の影響で、「ウリ(拡大された私益)の利益の実現」という発想はあっても、「公益(社会・共同体全体の利益)」という考え方自体があまり定着していないのです。


これは韓国内だけではなく、国家間でも同じであり、

ベルリンの少女像 「撤去、あってはならない」=韓国人慰安婦被害者
聯合ニュース 2024.05.22
https://jp.yna.co.kr/view/AJP20240522002900882

一連の慰安婦像の問題で、ベルリン市長が「対立の解決を図る方針」を示唆すると、韓国の様々な団体などが像を撤去しないよう在韓ドイツ大使館前などで抗議を行ったという事例です。


常識的に考えれば、これは日本と韓国の問題であり、ドイツには関係がないわけですから、ベルリン市長が問題を解決したいといい、それが像を撤去することになったとしても、ドイツ人の自由意思を韓国人が批判する権利は本来ありません。


ドイツの公益を決めるのはあくまでドイツ人だからです。


しかし韓国人にはそれがわかりません。
韓国人には「社会全体の利益(=公益)」という発想が希薄であり、「この世には一つの普遍的正しさがある」と考え、それを「ウリの利益」と認識しているため、この事例のように慰安婦像という「韓国人の利益」にしかならないものを、「ウリ」の範囲を拡大させ(ドイツ人達もウリの範囲に組み込み、同じ考えと利益を共有していると発想し)、ドイツでも設置するよう要求するのです。


日本との間の問題は、その多くがこの事例と同じく、「ウリの利益」と公益の区別がつかないため、相手に「ウリの利益」を守るよう要求するからこそ起きている問題とも言えます。


そのため、「話し合い」が成り立たず、噛み合わない事が多いわけです。
「公益」の前提がそもそも違うわけですから。




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