さて、本日はマスコミによるネットのファクトチェックにな関する内容を扱っていきます。
本日の投稿動画
www.nicovideo.jp
元記事
マスコミ業界の欺瞞
http://ooguchib.blog.fc2.com/blog-entry-464.html
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注意
・この動画は「マスコミ問題」を扱っています・「マスコミ問題」であり右派・左派等の陣営論争は本題ではありません
・「特定の国との特別な関係」は問題の枝葉です、主問題は業界の体質です
・自身の常識が相手にとっても常識とは限りません、「他者がそれを見たらど
う思うか」という客観性を常に持ちましょう。・日常生活で注意する程度には言動に注意を心がけてください
・リクエストは原則受け付けていません
・引用ソースへのリンクが同時掲載のブログにあります
・毎週土曜日更新
お品書き
・日本ファクトチェックセンター
・ファクトチェック機能せず
・JFCの中身
※以下は動画のテキスト版です
レイム マリサ
ゆっくりしていってね。
マリサ
さて、今回はマスコミ問題なので私が扱っていくぜ。
レイム
今回の件、大体内容の察しはつくけど、2パートもやるほど分量あるの?
マリサ
あるぜ。
元はそんなに分量なかったんだが、今回の件と関係する2017年から2018年の事例を調べていったら色々出てきて2分割することになったんだぜ。
レイム
という事は、いわゆる「マスコミ不信の歴史」関係って事?
マリサ
それも含まれているが、基本的には現在の問題だぜ。
あと、後編のほうが相対的にいろんな意味でマスコミっぷりが「濃密」だから期待して待っていてほしいぜ。
レイム
なんかもう色々と「お察し」なことになりそうな雰囲気がするのだけど。
マリサ
まあ、そんなわけでそろそろ本編へ行くぜ。
日本ファクトチェックセンター
レイム
日本ファクトチェックセンターって、以前も処理水問題の件で少し触れたところよね。
今回ここがメインなの?
マリサ
前半だけな。
全体としては今回扱う大きな問題の一部に過ぎないぜ。
まず日本ファクトチェックセンターというのは、2022年に設立された組織なんだが、公式ページのQ&Aには設立経緯についてこう書かれているぜ。
よくあるご質問と回答
日本ファクトチェックセンター 2022年10月21日
https://factcheckcenter.jp/n/n21710e20ef3dQ1.日本ファクトチェックセンターの設立経緯について教えてください。
学識経験者で構成された「総務省プラットフォームサービスに関する研究会」の報告書、および学識経験者や事業者で構成された「Disinformation対策フォーラム」の報告書において、SNS上の個人の投稿について対処する必要が指摘され、これを中心となって実施する担い手が求められていました。
そこで、セーファーインターネット協会が「日本ファクトチェックセンター(JFC)」を設立しました。以下が、「総務省プラットフォームサービスに関する研究会」報告書の該当部分です。
第2章 フェイクニュースや偽情報への対応
第6節 我が国におけるフェイクニュースや偽情報への対応の在り方1.自主的スキームの尊重
偽情報への対応の在り方の基本的な方向性としては、法律による規制、自主的取組とその実効性を支える法的規律を組み合わせた共同規制的な枠組みの構築、業界に対して行動規範の策定を求める等による自主的な対応、個社ごとの自主的な対応など、様々なレベルの対応が考えられる。
この点、(……)選挙への影響等により早くから問題が顕在化していた米国や欧州においては、プラットフォーム事業者による自主的な対応を中心に取組が進められてきたところである。一方、一部の国々、具体的には、ドイツ・フランス・シンガポール等の国々では、偽情報の削除義務等を定めた法律が制定されているが、表現の自由への萎縮効果への懸念や、偽情報の該当性判断の困難性による実効性の欠如及び恣意的運用への懸念など、多くの課題や批判の声もある。
したがって、我が国における偽情報への対応の在り方の基本的な方向性としては、まずはプラットフォーム事業者を始めとする民間部門における関係者による自主的な取組を基本とした対策を進めていくことが適当である。
政府は、これらの民間による自主的な取組を尊重し、その取組状況を注視していくことが適当である。特に、プラットフォーム事業者による情報の削除等の対応など、個別のコンテンツの内容判断に関わるものについては、表現の自由の確保などの観点から、政府の介入は極めて慎重であるべきである。総務省『プラットフォームサービスに関する研究会 最終報告書』(2020年2月、p.35-36)
以下は、「Disinformation対策フォーラム」報告書の該当部分です。
第2章 ファクトチェックの取組
▶ 更なる取組の必要性と具体化に向けた留意点
上述の通りプラットフォーム事業者自身により様々な取組が行われている中で、ファクトチェックの結果を活かした更なる取組においては、プラットフォーム事業者が提供するサービスやシステムに精通しつつ、それぞれ専門性が異なる各分野に適したアプローチをとることが可能な、中立的なガバナンス体制を有する団体によるチェックの充実が図られることが望ましい。それらの団体が、サードパーティ・ファクトチェッカーとしてファクトチェックを行うことで、プラットフォームサービスの利用者に対する透明性・客観性の向上にも寄与するものと考えられる。セーファーインターネット協会『Disinformation対策フォーラム報告書』(2022年3月、p.11)
Q2.日本ファクトチェックセンターは、具体的に何をするんですか?日本ファクトチェックセンターでは、インターネットに流通する偽情報・誤情報について、ファクトチェックを実施し、検証過程とともに判定結果や参考情報などを発信するほか、リテラシー教育や調査研究を実施します。支援金は、これらの活動全般に活用していきます。
「プラットフォームサービスに関する研究会」の開催
総務省 平成30年10月12日
https://www.soumu.go.jp/menu_news/s-news/01kiban18_01000050.html
マリサ
総務省が主催する「プラットフォームサービスに関する研究会」というものがあって、ここは「プラットフォーム事業者の利用者情報の適切な取扱いの確保」という趣旨の研究会なんだが、そこから派生した「Disinformation対策フォーラム」において、ネット上の偽情報に対処する組織が必要となり、そこで「プラットフォーム事業者を始めとする民間部門における関係者による自主的な取組み」の一環として立ち上げられた組織が「日本ファクトチェックセンター」ということらしいぜ。
レイム
要するに総務省が主導した、情報を扱うネット事業者のサービスに関する研究会で、いわゆる「ネットのデマ情報」が問題になって、その対処として立ち上がった民間組織って事ね。
でも、デマ情報は既存のマスコミのネット記事にもあるわよね?
マリサ
それに関してQ&Aでは
Q3-1.ファクトチェックの対象から既存のメディアを原則として除外するのはなぜですか?
https://factcheckcenter.jp/n/n21710e20ef3d報道機関を原則として除外する理由は、主に以下の3点です。
1. 報道機関は、報道倫理に基づく訂正の仕組みを有しており、その報道倫理と仕組みに基づき自主的に訂正を行うべきであることから、まずはその仕組みに委ねること。
2. 総務省プラットフォームサービスに関する研究会及びDisinformation対策フォーラムにおける、当センター設立に至る議論の経緯を踏まえ、インターネットに流通する偽情報・誤情報を優先的に対象とすること。以下が、Disinformation対策フォーラム報告書の該当部分です。
第1章 「Disinformation」の定義、議論のスコープ及び踏まえるべき前提
〇議論のスコープ
本フォーラムにおいては、偽情報・誤情報に対するプラットフォーム事業者を始めとする関係者の取組や日本における偽情報・誤情報の状況等を共有し、プラットフォーム事業者による自主的な取組を検討するという目的を踏まえ、また、国民の知る権利を支える報道の自由にまで議論が及ぶことを避けるため、インターネット上のSNS等で個人ユーザが発信する「デマ」の類を対象とし、情報そのものや情報がやり取りされる情報環境の信頼性が損なわれる問題、さらには結果としてプラットフォーム事業者そのものの信頼が棄損される問題を中心に議論することとした。(中間とりまとめp.5-p.6)
偽情報・誤情報はインターネット上にのみ流布するのではなく、口コミを通じて直接人から人へと伝わることはもちろん、媒体を問わずあらゆる情報環境において存在しうるものであるため、本フォーラムにおける議論のスコープは情報環境全体ではなく一部分に限られていることに留意が必要である。
本フォーラムがこのようにスコープを絞ったのは、従来の情報環境においては、新聞やテレビ等の報道機関が日々の取材や発信内容の多重チェックを通じて健全かつ多元的な言論空間を支える役割を担ってきたところ、インターネット上、特に個人が自由に情報を発信するSNS等においては、それに比肩するシステムが未だ不十分であるとの現状認識があり、プラットフォーム事業者の取組を始めとした関係者の協力によりその不足を補うことが重要かつ喫緊の課題であるとの問題意識によるものである。セーファーインターネット協会『Disinformation対策フォーラム報告書』(2022年3月、p.5-6)
3. 当センターは設立したばかりの小さな組織であり、編集部のリソースが極めて限られることから、優先的に取り組むべき対象を絞る必要があること。
JFCファクトチェックガイドラインの全文はこちらをご覧下さい。19条で以下のように規定しております。ガイドライン第19条
1.当センターは、広く一般からの要請及び日常的な調査により収集された言説のうち、以下の条件を満たすものの中から対象言説を設定する。
(1)不特定多数に公開された言説であること
(2)事実に基づき客観的に証明又は反証が可能な内容であること
(3)当該言説の流布が、個人、組織、集団又は広く社会一般に対して影響を及ぼす可能性があること
(4)正確で公正な言説により報道の使命を果たすことを目指す報道機関として運営委員会が認める者が発信した言説ではないこと
2.前項の規定にかかわらず、運営委員会は、特に必要と認める場合には、対象言説を指定することができる。
マリサ
「報道機関は、報道倫理に基づく訂正の仕組みを有しており、その報道倫理と仕組みに基づき自主的に訂正を行うべきであることから、まずはその仕組みに委ねる」「総務省プラットフォームサービスに関する研究会及びDisinformation対策フォーラムにおける、当センター設立に至る議論の経緯を踏まえ、インターネットに流通する偽情報・誤情報を優先的に対象とすること」と書かれているぜ。
マリサ
あとは「当センターは設立したばかりの小さな組織であり、編集部のリソースが極めて限られることから、優先的に取り組むべき対象を絞る必要がある」とも書かれているな。
レイム
というか、「報道機関は、報道倫理に基づく訂正の仕組みを有しており」ってまるで機能していないわよね?
マリサ
詳しくは動画説明欄にあるリンクを見てほしいが、過去動画「処理水問題とマスコミ」で説明したように、既存マスコミがデマ報道をしても同業他社は放置状態というのが実態なんだぜ。
レイム
あと、同じく過去動画の「朝日新聞の慰安婦報道検証」で説明したように、朝日はファクトチェックするといって肝心の部分は一切検証していないし、「輸出管理強化とマスコミ」の事例でも、マスコミ業界は数年にわたってデマ報道を続けていたのよね。
マリサ
他にも「ワクチンを巡る問題報道」や「第四回 お笑いマスコミグランプリ」で取り上げたAERAの事例みたいに、ワクチン関連のデマを報じてそのまま放置なんて事例もあるぜ。
レイム
で、これは今に始まった事ではなくて、同じく過去動画の「国立競技場Public Viewingで何が起きたか」や「毎日新聞waiwai問題」の事例みたいに、以前からずっとこんな状態なのよね。
マリサ
そう、でも日本ファクトチェックセンターや総務省の考えでは「報道機関は、報道倫理に基づく訂正の仕組みを有している」という事になっていて、その前提で「ネットのデマは検証されていないから検証する」という目的で日本ファクトチェックセンターが設立されたわけだ。
レイム
でも現実として既存マスコミのデマ報道は存在するのだから、当然批判されるわよね。
マリサ
それに関しては次にあるように
Q3-2.報道機関が発信する報道に偏向や嘘が見受けられるので、検証していただきたいです。
https://factcheckcenter.jp/n/n21710e20ef3d前述のように、報道機関は原則としてファクトチェックの対象外ですが、1. 「正確で公正な言説により報道の使命を果たすことを目指す報道機関」とはいえないと運営委員会が判断した場合(19条1項4号)、2.「特に必要と認める場合」(19条2項)には、運営委員会が個別に検討した上で、ファクトチェックの対象とすることもあります。「特に必要と認める場合」としては、例えば、重大な悪影響があるにもかかわらず、発信した報道機関自身や第三者によって検証が為されていないような場合が考えられます。
以下は、Disinformation対策フォーラム報告書の抜粋です。
第2章 ファクトチェックの取組
〇対象分野・案件の選定
ファクトチェックの対象となる偽情報・誤情報は、ファクトチェックによる被害抑止と限られたリソースの効率的配分の必要性に鑑みて、可能な限り即時に正しい情報を拡散する必要があるもの(即時性)、また、一旦被害が発生してしまうと被害の回復が困難であるもの(回復困難性)を優先的に取りあげることが効果的である。具体的には下記のような分野が考えられるが、これらに限定するものではなく、社会経済情勢や個々の具体的な内容、想定されるリスク・影響等を勘案し、その都度判断していくことが必要である。なお、その際は対象選定の判断基準を可能な限り明確にするとともに、ファクトチェックの対象として選定しないことが即ち正しい情報であるということではない旨を明示する必要がある。また、公職者の発言や公的機関による発表、メディアによる報道などについては、自ずと有識者やメディアの注目を集め情報の真偽について検証される可能性が高いことからすれば、限られたリソースを効果的に用いるという観点から、現時点におけるチェックの対象としての優先度は低いとも考えられる。セーファーインターネット協会『Disinformation対策フォーラム報告書』(2022年3月、p.14)
マリサ
日本ファクトチェックセンターの基準では「「正確で公正な言説により報道の使命を果たすことを目指す報道機関」とはいえないと運営委員会が判断した場合」「特に必要と認める場合」には「運営委員会が個別に検討した上で、ファクトチェックの対象とすることもあります」とあるな。
レイム
という事は、一応既存マスコミのファクトチェックもやるにはやるって事?
ファクトチェック機能せず
マリサ
それで普通にファクトチェックをやっていたらよかったんだけどな、次の記事を見てもらうと
日本ファクトチェックセンター「テレビ・新聞は対象外」が当然の理由
yahoo 2022/10/4
https://news.yahoo.co.jp/expert/articles/75885e38d0f23a31eab9cc0a974cda45bd4b8e6fGoogleとYahoo!の支援を受けた日本ファクトチェックセンター(JFC)が10月1日に設立された。テレビ・新聞は(検証の)対象外とのSmartFLASHの記事がヤフーに配信され、議論を混乱させている。そもそもの設立経緯を踏まえれば、媒体としての「テレビ・新聞は対象外」は当然と言える。むしろ、注目はネットメディアの扱いだ。
・ファクトチェック機関設立も「テレビ・新聞は対象外」に総ツッコミ「テレ朝・玉川をチェックしろ!」(SmartFLASH、9/30(金)15:48配信)
目的はプラットフォームの信頼性JFCはガイドラインの第1条で「インターネット上の情報に関するファクトチェックの実施」と定めている。その理由は、センターの設立経緯にある。
きっかけは、偽・誤情報対策を検討する総務省の有識者会議「プラットフォームサービスに関する研究会」がプラットフォーム事業者に自主的な対策を促したことだ。そこで、SIA(セーファーインターネット協会)が「Disinformation 対策フォーラム」を立ち上げ、議論を行い報告書をまとめた。この報告書を受けて設立されている(筆者はフォーラムの構成員だったが、設立には関わっていない)。
当初からフォーカスはプラットフォームにおける偽・誤情報対策、信頼性の向上であり、媒体としてのテレビ・新聞は対象外であった。
「Disinformation 対策フォーラム」の報告書には下記のような記述がある。
従来の情報環境においては、新聞やテレビ等の報道機関が日々の取材や発信内容の多重チェックを通じて健全かつ多元的な言論空間を支える役割を担ってきたところ、インターネット上、特に個人が自由に情報を発信するSNS等においては、それに比肩するシステムが未だ不十分であるとの現状認識があり、プラットフォーム事業者の取組を始めとした関係者の協力によりその不足を補うことが重要かつ喫緊の課題であるとの問題意識によるものである。
テレビには番組審議会やBPO(放送倫理・番組向上機構)があり、新聞には第三者委員会などの検証・訂正を行うシステムがある。ネットやSNSのプラットフォームには、このような検証・訂正を行うシステムがないというシンプルな話に過ぎない。システムが「ある」と「ない」だと「ない」ほうが問題だろう。
むろん、テレビや新聞のシステムが機能しているかは議論の余地があるし、これらのシステムではない別のやり方で検証すべきという意見もある。これは別途議論すればよい。批判や検証は自由だが、経緯を踏まえない記事は、読者を混乱させ、社会的な出来事に対する理解を妨げることになる。
追記:BPOの存在意義が問われるという記事を書いたことがあり、システムが機能しているとは考えていません。フジテレビ「ネットのウソ情報放送」BPO委員長談話が示す制作現場の深刻な劣化(藤代裕之、2017年)
対象は運営委員会での判断媒体としての「テレビ・新聞は対象外」ではあるが、テレビも新聞も今やネットに記事を配信しており、それが対象となる可能性はある。ネットの記事はプラットフォームの信頼性と関係するからだ。
ガイドラインの第19条(対象言説の設定)第1項(4)に、「正確で公正な言説により報道の使命を果たすことを目指す報道機関として運営委員会が認める者が発信した言説ではないこと」と記載されている。
これについて、運営委員長の曽我部真裕京都大学大学院法学研究科教授は、『「正確で公正な言説により報道の使命を果たすことを目指す報道機関として運営委員会が認める者」は対象外となりますが、メディア産業全体が対象外となるわけではありません。「正確で公正な言説により報道の使命を果たすことを目指す報道機関」に該当するかの判断は、恣意的であってはならず、ジャーナリズム編集方針を定めていることなどいくつかの指標を考慮して、運営委員会で判断します。また、運営委員会が特に必要と認める場合には、報道機関であっても対象とすることは否定されません』と問い合わせに回答した。
注目はネットメディアの扱いところでガイドラインに、SmartFLASHの記事を当てはめてみるとどうか。
執筆者がJFC設立の経緯を知らないなら勉強不足で低品質な記事ということになる。モーニングショーや玉川徹氏については、テレビ朝日の番組審議会やBPOがある。不十分と思うなら番組審議会やBPOを批判すればよい。これを知っていてJFCとテレビを結びつけているなら、悪質なミスリーディングと言える。ネットの批判が間違っていれば修正・訂正するのもメディアの役割のはずだが、根拠不明の「ネットの反応」を使い、識者としてコメントしているITジャーナリストも存在しているのかすら分からない。正確で公正な言説であるとは言い難い。
このような記事が、ヤフーに配信されていること自体が、プラットフォームの信頼性を低下させていると言える。熊本地震時の「ライオンが逃げた」や先日の台風15号のAIによる偽被害画像のような個人投稿の検証も重要だが、プラットフォームの信頼性向上のためには、まとめサイトやネットメディアの記事のクオリティ向上が不可欠だ。
参考:まとめサイトやネットメディアといったミドルメディアがフェイクニュースの大きな要因となっていることは『フェイクニュースの生態系』で詳しく説明している。
ネットメディアやスポーツ紙では、曽我部委員長の言う編集方針や報告書が指摘するシステムが存在しているのか不明の場合が多い。ネットメディアやスポーツ紙の扱いを運営委員会がどう判断するのかが注目される。
マリサ
元記者の大学教授がこの件について書いているんだが、「むろん、テレビや新聞のシステムが機能しているかは議論の余地があるし、これらのシステムではない別のやり方で検証すべきという意見もある。これは別途議論すればよい。批判や検証は自由だが、経緯を踏まえない記事は、読者を混乱させ、社会的な出来事に対する理解を妨げることになる」と書かれているぜ。
マリサ
ただおかしいのは、続いて「媒体としての「テレビ・新聞は対象外」ではあるが、テレビも新聞も今やネットに記事を配信しており、それが対象となる可能性はある。ネットの記事はプラットフォームの信頼性と関係するからだ」と書かれていて、やるんだかやらないんだか全くわからないんだぜ。
レイム
これ、テレビ・新聞報道自体は日本ファクトチェックセンターの守備範囲外だけど、ネットで記事を配信した分はチェックの範囲内って事?
マリサ
これに関して日本ファクトチェックセンターの運営委員長が「「正確で公正な言説により報道の使命を果たすことを目指す報道機関として運営委員会が認める者」は対象外となりますが、メディア産業全体が対象外となるわけではありません」と説明しているぜ。
レイム
で、「正確で公正な言説により報道の使命を果たすことを目指す報道機関」ってどんな基準で決められるの?
マリサ
知らないぜ。
なにせ日本ファクトチェックセンターの公式を読んでもどこにも基準が書かれていないからな。
しかも「モーニングショーや玉川徹氏については、テレビ朝日の番組審議会やBPOがある。不十分と思うなら番組審議会やBPOを批判すればよい」とか記事では書いているが、抗議しても無視されているのが現状で野放し状態という問題を無視しているんだぜ。
レイム
モーニングショーの玉川氏に関しては、かつて箕面の滝に対するかなり悪質なデマで風評被害をばらまいて問題化し、箕面市から公式抗議を受けたけど、BPOも報道各社もどこも問題にすらしなかったって経緯があるわね。
マリサ
そう、こういうのが問題で、そもそも既存メディアがこの有様なのに、わざわざネットと既存メディアという区分けをしてファクトチェックをする必然性がないんだぜ。
いずれにせよ偽情報による被害が起きるという事実に変わりはないからな。
マリサ
でな、さらに問題なのが次で
東京新聞の処理水問題「印象操作記事」を日本ファクトチェックセンターはどう考えるのか
正確で厳格な報道機関は対象外?
現代ビジネス 2022.10.05
https://gendai.media/articles/-/100659東京新聞の一面トップで
《 東電、トリチウムを検知できない線量計で処理水の安全性を誇張 福島第一原発の視察ツアーで 》《「印象操作」批判免れず 》──。
2022年10月3日。東京新聞は一面トップとオンライン記事で、東京電力福島第一原子力発電所に溜められているALPS処理水に深刻な問題があるかのように報じた。
さらにツイッター上でも、東京新聞公式アカウントや同紙の望月衣塑子記者らが記事を取り上げて、「東電が福島第一の視察者に放射性物質のトリチウムが検知できない上にセシウム高濃度でないと反応しない線量計を使い、処理水の安全性を強調する宣伝を繰り返していた」などと発信した。
記事は大きな反響を呼び、
〈 未だにこんなでまかせな行為を行う原子力行政。隠蔽・改竄・廃棄に嘘。〉
〈 日本は平気で息を吸う様に嘘をつくと!嘘や改竄をする国が信じられるか?そんな政権が、与党が信じられるか?東電と関係省庁の秘密なのか?国民に不利な事は全部、仕組まれた事だな? 〉
〈 もはやウソとインチキとゴマカシしかできないデタラメな国に成り下がりましたね 〉
〈 原発汚染水の海洋放出に反対します。 #原発反対 #脱原発 #原発汚染水の海洋放出に反対します #汚染水の海洋放出に反対します #原発処理水の海洋放出に反対します #NoNukes 〉
などの反応が見られ、保坂展人世田谷区長までもがSNSでこの記事を共有していた。
https://gendai.media/articles/-/100659?page=2
真に「印象操作」をしているのは誰か
しかし、実際には東京新聞こそが「印象操作」の批判を免れない報道をしている。
ALPS処理水の安全性はすでに国際原子力機関(IAEA)の査察でも確認されているが、東京新聞はそれを無視しているからだ。
IAEAとはご存じの通り、原子力の安全に関する国際的な基準をつくる専門家で構成されている組織である。2022年2月には、米国・アルゼンチン・英国・韓国・中国・ベトナム・ロシア・フランスの国際専門家で構成されたチーム(IAEAタスクフォース)が来日して福島第一原発の現地視察に入り、2月14日~18日の約1週間をかけて以下の3点に対するレビューが行われた。
(1)放出される処理水に含まれる放射性物質の特性評価
(2)処理水の放出プロセス(放出のために使用される装置など)の安全性
(3)人と環境を守るための放射線影響評価その結果、
・ALPS処理水の取り扱いに関する実施計画、関連設備の設計と運用手順において、「安全性を確保するための予防措置が的確に講じられている」
・放射線影響評価については、ALPS処理水の放出によって人が受ける放射線の影響は(国際ルールに基づく)日本の規制当局がさだめる水準よりも大幅に小さいという事実が改めて確認されている。
さらに5月にはグロッシー事務局長が福島第一原発を視察し、「私たちIAEAは、処理水が太平洋に放出されるときに、それが国際的な基準に完全に適合した形で(in full conformity with the international standards)実施され、放出は環境にいかなる害も与えることはない( it will not cause any harm to the environment )と確認できるでしょう」というコメントを残している。
参照)『「復興と廃炉」に向けて進む、処理水の安全・安心な処分4~IAEAがALPS処理水の安全性を確認』(資源エネルギー庁HP、2022-06-17)
ALPS処理水の海洋放出には現在も中国、韓国、ロシアが強く反発しているが、前述のようにIAEA査察団の専門家には中国、韓国、ロシアの専門家らも含まれている。その上で、安全性に対する評価は全く揺るがなかった。ALPS処理水海洋放出に反対する科学的妥当性は全く無いと言えるだろう。
にもかかわらず、東京新聞はこれに真っ向から反する内容を朝刊一面で報じたのだ。専門家らの国際チームの結論に異を唱える東京新聞の「専門性」とは、いかなるものなのか。
https://gendai.media/articles/-/100659?page=3
恣意的なチェリーピッキング
東京新聞の報道が反響を呼んだ同日のうちに、東京電力は「処理水ポータルサイト」でこれに反論した。内容は以下の通りだ。
ご視察時のALPS処理水サンプルキットを用いたご説明について本日、一部報道において、福島第一原子力発電所をご視察いただいた際の、多核種除去設備(ALPS)処理水サンプルキットを用いたご説明について、『「印象操作」批判免れず』と報じられております。
当社のALPS処理水サンプルキットを用いたご説明の主旨は、以下の通りです。・ALPS処理水は、ALPS等で浄化処理することで、セシウム137などのガンマ線核種等の62核種が十分に低減されていること
・その結果、外部被ばくとして人体に影響を及ぼすガンマ線は、バックグラウンドと同程度のレベルまで下がっていること・一方で、ALPS等で浄化処理後の水には、処理できないトリチウム(ベータ核種)が告示濃度限度を超えて残っていること
・ALPS処理水に含まれるトリチウムが出すベータ線は、紙1枚で遮られるほどエネルギーが弱く、処理水サンプルキット(ボトル容器)でベータ線が遮られること
・従って、仮にベータ線を計測できる線量計で測定したとしても、放射線量を現場でお示しすることは難しいこと
・また、説明時に使用しているガンマ線を測定する線量計では、ベータ線は測定できないこと
これらを、フリップおよびガンマ線を測定する線量計等でご説明しています。なお、ご説明させていただいている場所(発電所構内)の空間線量は概ね0.12マイクロシーベルトであり、この場所で、ボトル容器表面を線量計で測定する(針が振れる)には、ボトル容器内の水のセシウム137の濃度が、計算上では約 4,000ベクレル/リットル(告示濃度限度90ベクレル/リットルの約44倍)以上あることが必要となりますが、ALPSで処理後の水の中には、外部被ばくするようなレベル(約4,000ベクレル/リットル)の放射性物質は残っておらず、そのこともフリップでご説明しています。
当社は引き続き、ALPS処理水に関する情報をはじめ、廃炉に関しても正確に分かりやすくお伝えできるよう、様々な工夫をしながら取り組んでまいります。
以下、少し掘り下げて解説しよう。
放射線には複数の種類があり、それぞれ性質が異なる。トリチウムが出すベータ線は透過力が弱く、外部被曝として影響を及ぼす力は極めて弱い。
「実演は、外部被ばくで人体に影響を及ぼすガンマ線が低減されていることを説明するのが目的。ベータ線を発するトリチウムが、放出基準値を超えていることも説明している」中で、
・セシウム137などのガンマ線核種等の62核種が十分に低減されていること
・その結果、外部被ばくとして人体に影響を及ぼすガンマ線は、バックグラウンドと同程度のレベルまで下がっていることを示す主旨である以上、トリチウム以外の核種が充分に低減されていることを証明するためガンマ線測定器を用いたことは合理的と言える。無論、トリチウムのベータ線を測定する方法もあるが、複数の手順と大型設備が求められるために一般向け視察でのデモンストレーションには向かない。
参照)トリチウムの測定・評価方法(新型転換炉原型炉ふげんHP)
また、除去できないトリチウムのベータ線による内部被曝を懸念する声もあるが、海洋放出時にはこれを基準値以下にまで希釈する。
https://gendai.media/articles/-/100659?page=4
そもそも、トリチウムは自然界にも存在し、海水はもとより水道水や人体を含めあらゆる水の中に一定程度存在する。さらに、トリチウムはほとんどがトリチウム水として存在し、それは水と同じ挙動を示すため、人や魚介類に取り込まれても体内に蓄積も濃縮もされず、比較的速やかに体外に排出される(逆説的に、蓄積や濃縮が可能ならば除去も出来る)。
その性質もあって、トリチウム1ベクレル当たりの人体への健康影響の程度(実効線量係数)はセシウム137の約700分の1と言われている。
参照)東日本大震災関連情報「Q1 基準値を満たす食品は、本当に誰が食べても安全なのですか?」(厚生労働省HP「よくある質問」)
これに対し、東京新聞は、
《 放射性物質のトリチウムが検知できないうえに、セシウムについても高濃度でないと反応しない線量計を使い処理水の安全性を強調する宣伝を繰り返している 》
《 ガンマ線を発するセシウムなどは除去し、処理後の水は周囲の放射線量と同等になっていると説明したが、ベータ線用の測定器を使っていない以上は「線量計を反応させるほど高濃度のセシウムは含まれない」ことがいえるにすぎない 》
などと書いたが、まさか一般視察のデモンストレーションが現場の全てだとでも思っているのだろうか。
さらに、
《 トリチウムのエネルギーは弱い。ろ紙などに染み込ませてベータ線測定器を当てても、もっと濃度が濃くないと反応は出ないだろう」と指摘 》
《 科学的には全く無意味。ガンマ線はセシウムだと1リットル当たり数千ベクレル入っていなければ線量計は反応しない。セシウムが放出基準(同90ベクレル)の数十倍入っていても「ない」印象を与える」と話した 》
とする専門家らの話を取り上げ、
《 専門家が指摘する通り、東電の実演では、ベータ線についてもガンマ線についても、何ら検証をしたことにならない 》
などと結論を書いたが、専門家らの話から実際に導き出されるのは真逆の結論だろう。
「もっと濃くないと反応が出ない」「線量計が反応しない程度のガンマ線」は処理水が安全であることの証左でしかない。《セシウムが放出基準(同90ベクレル)の数十倍入っていても「ない」印象を与える》との議論も、実際のALPS処理水の二次処理性能確認試験状況データは公開されており、放出基準を上回っていない以上は無意味だ。
参照)「多核種除去設備等処理水の二次処理性能確認試験の状況等について」(TEPCO)
何より、ALPS処理水の安全性と海洋放出の妥当性は前述のように既にIAEAが査察した上で認めている。東京新聞はこの事実を覆す論拠を何一つ示さず、それどころかIAEAにさえ全く触れず、ALPS処理水サンプル測定の主旨と説明を何一つ理解しないまま、言いがかりに等しい難癖を付けているに過ぎない。
これでは、東京新聞が記した「処理水の海洋放出に向けた印象操作と言われても仕方ない」「本当に処理水への理解を得る気があるのか」の言葉が向けられるべきは、東京新聞自身であると言えるだろう。
https://gendai.media/articles/-/100659?page=5
「印象操作報道」を止めるのは誰か
SNSでは今回の東京新聞報道を真に受けた反応が見られたが、同時に数多くの否定的な反応もあった。
そんな中でも特に目立ったのは、10月1日に発足したばかりの「日本ファクトチェックセンター」への言及の多さだ。
〈 日本ファクトチェックセンター @fact_check_jp さん、早速お仕事の時間ですよ。まさか東京新聞のことを「正確で厳格な報道機関」なんて言わないですよね? 〉
〈 ファクトチェックセンターさん、こういう記事をチェックしないで、どこで存在意義を発揮するんだよ。頼むからこれ以上、現役記者たちが働くメディアの信頼を落とさないでほしい。〉
〈 インターネット上にばらまいているので、日本ファクトチェックセンターとやらの出番ですよ。〉
など、「ファクトチェック」の用語で少し検索しただけでも数多くの発言が出てきて、枚挙に暇が無い。
日本ファクトチェックセンターの設立については東京新聞記事の数日前に報じられており、
《 Disinformation対策フォーラムの報告書を受け、「情報空間の健全性向上」「人材の育成」「情報リテラシーの向上」を柱として偽情報・誤情報対策を総合的に実施していく 》
《 運営資金は当面、Googleの慈善事業部門「Google.org」が2年間で最大150万ドル(約2億1,700万円)、ヤフーが1年で2,000万円を提供。 》
参照)『「日本ファクトチェックセンター」設立。Googleが150万ドル』(Impress Watch,清宮信志,2022年9月28日)
とされていたが、報道の中にあった
《 ファクトチェック対象は基本的にはSNSなどで配信されている情報とし、「正確で厳格な報道機関は対象外」としている。その理由について運営委員会事務局長を務める吉田奨氏は、「報道機関はそもそも自身で事実を確認して報道することが使命であり、そこは報道機関自身に委ねる」という 》
とする方針に批判が相次ぎ、波紋を呼んでいた。
参照)『ファクトチェック機関設立も「テレビ・新聞は対象外」に総ツッコミ「テレ朝・玉川をチェックしろ!」』(SmartFLASH,2022.09.30)
https://gendai.media/articles/-/100659?page=6
既に述べたように、今回取り上げた東京新聞記事は、IAEAの査察結果すら報じず誤解と不安を広めるものであり、「正確で厳格な報道機関」とはかけ離れた報道姿勢であった。
実際、この記事を真に受けた反応がSNSなどで確認されたのみならず、韓国では福島への偏見を益々煽る報道にも利用された。これこそまさにファクトチェックが最も必要とされる出来事の一つであっただろう。
参照)『도쿄전력, '엉터리 선량계'로 후쿠시마 오염수 안전성 홍보』(news1.kr,2022.10.3)
今回のように報道が誤解と不安を拡散させてきた事例は、実は全く珍しくない。特に東電原発事故に関連した風評は、メディアが拡大させてきたと言っても過言ではない。それが人々に知られているからこそ、「正確で厳格な報道機関は対象外」とした日本ファクトチェックセンターの方針に対する反発も大きかった。
日本ファクトチェックセンターには、今回の東京新聞記事へのファクトチェックを求める声が今も相次いでいる。これを取り上げるか否かが、同センターの存在意義に大きく関わってくることは間違いないだろう。
マリサ
日本ファクトチェックセンターって2022年10月1日に立ちあげられたんだが、同じ時期に東京新聞が福島原発の処理水問題の件でデマ報道を行って問題化していたんだぜ。
レイム
この前扱ったのとは別件でってこと?
マリサ
そう、この前のは 2023年7月8日の事例だが、この事例はそれより前の2022年10月3日の記事の事例だぜ。
で、記事では日本ファクトチェックセンターの規約には「「正確で公正な言説により報道の使命を果たすことを目指す報道機関」とはいえないと運営委員会が判断した場合」「特に必要と認める場合」に既存メディアに対するファクトチェックを行うとあるのだから、当然この問題を扱うべきという声があったと書かれているが、この件も2023年7月の件も日本ファクトチェックセンターは無視しているんだぜ。
レイム
これはおかしいわね。
過去動画「処理水問題とマスコミ」で扱ったように、日本ファクトチェックセンターは処理水の件のデマ情報をテーマにしていたのだから、水産物等への風評被害に繋がる東京新聞の事例は「正確で公正な言説により報道の使命を果たすことを目指す報道機関」ではないはずなのに。
マリサ
なのになぜか「日本ファクトチェックセンターの運営委員会」はこれを「そう判断しなかった」って事だぜ。
レイム
情報をまとめると、一応規約では状況次第でテレビや新聞のファクトチェックも行う事になっているけど、実際には問題を指摘されても「テレビや新聞に言え、こっちに言うな」と言い出すうえに、明らかなデマ報道にも反応しないと。
マリサ
しかも日本ファクトチェックセンターのQ&Aでは既存メディアのチェックを行う事例として「重大な悪影響があるにもかかわらず、発信した報道機関自身や第三者によって検証が為されていないような場合が考えられます」としているのにな。
JFCの中身
レイム
日本ファクトチェックセンターの「中身」ってどういう事?
マリサ
次に、日本ファクトチェックセンターのQ&Aで、さっき扱わなかった部分に書かれている内容を見てほしいぜ。
Q4.なぜ特定の会社に勤務経験のある方で編集部が構成されているのですか?
https://factcheckcenter.jp/n/n21710e20ef3d編集長、エディターが特定の会社に勤務した経験のある人に偏ることで、公正性が損なわれるのではないかというご懸念は、当センターとしても理解しており、当然のご指摘と考えております。
ファクトチェックを監修するエディターに必要なスキルは、広範なテーマに関する取材や調査の経験、正確性・簡潔さなどを担保できる編集経験、まだ経験の浅いチームメンバーを育成する能力です。この条件を直ちに具備するのは一定以上の記者・編集経験者であり、それらを勘案し、編集長がエディターを選考し運営委員会に諮りました。特定の会社への勤務経験があるメンバーに偏っていることについては運営委員会でも懸念が示され、編集長自身も「多様性の面からは明らかに問題で、外部から公正性を疑われる面からも望ましい状況ではない」との認識を示していました。一方で、編集チームの立ち上げからセンター設立まで時間がなかったために、現在の体制でのスタートとなりました。今後、例えばインターネットメディアや研究・調査機関の出身者など、多様性のある採用を進めていく計画です。
また、JFCファクトチェックガイドラインにおいては、中立性、透明性、公平性について規定を置き、運営委員会が編集部を監督するとともに監査委員会が全体の運営状況を監査するという二重のガバナンス体制を確保することをもって、公平性を担保しています。ご懸念についてはよく理解しておりますので、編集部によるガイドラインの遵守と運営委員会と監査委員会の二重チェックによって、偏り等が発生しないよう努めて参ります。
マリサ
「なぜ特定の会社に勤務経験のある方で編集部が構成されているのですか?」という問いに対して「偏りは認識しているが、ファクトチェックを監修するうえでのスキルが必要であり、それを勘案して一定以上の記者・編集経験者を選定している」「今後、例えばインターネットメディアや研究・調査機関の出身者など、多様性のある採用を進めていく計画」としているぜ。
レイム
というか、これ質問の答えになってなのでは?
この説明だと、ファクトチェックをするための技能を特定の企業の記者・編集経験者しか持っていないって事になってしまうし。
マリサ
なんか他にも、「立ち上げまでの時間がなかった」って事を理由に挙げているが、そもそも他者のファクトチェックをするのに、そんな大急ぎでそろえた急場しのぎのメンバーって時点でおかしいんだぜ。
この辺り、次回の内容にもつながるけどな。
レイム
ところで、なんか嫌な予感がするけど、「特定の会社に勤務経験」ってどこの事?
マリサ
それに関しては次を見てくれ
「日本ファクトチェックセンター」設立。Googleが150万ドル
Impress Watch 2022年9月28日
https://www.watch.impress.co.jp/docs/news/1443285.htmlセーファーインターネット協会(SIA)は、偽情報・誤情報対策を行なうファクトチェック機関「日本ファクトチェックセンター」(Japan Fact-check Center:JFC)を10月1日に設立する。
インターネット上での虚偽情報・誤情報の流通防止や、リテラシーの向上、人材育成など、総合的な偽情報・誤情報対策を行なう機関。新型コロナウイルス感染症に関する偽情報など、誤った情報による社会の混乱を未然に防ぐ試みで、有識者などを交えて情報を収集し、その真贋をWebサイト上で公開する。
SIAは、2020年6月に偽情報対策の産学官民連携した取り組み「Disinformation対策フォーラム」を設立し有識者による議論を進め、2021年7月に「ワクチンデマ対策シンポジウム」を開催するなど、偽情報・誤情報対策に取り組んできた。
日本ファクトチェックセンターは、Disinformation対策フォーラムの報告書を受け、「情報空間の健全性向上」「人材の育成」「情報リテラシーの向上」を柱として偽情報・誤情報対策を総合的に実施していく。
運営資金は当面、Googleの慈善事業部門「Google.org」が2年間で最大150万ドル(約2億1,700万円)、ヤフーが1年で2,000万円を提供。今後もプラットフォーマーや情報通信業界などからの資金提供や募金によって運営を行ない、広告収入や有料化は考えていない。
主な活動内容の1つは、ファクトチェック記事の伝播とし、日本ファクトチェックセンターのWebサイト「Facts matter.」で月10本のファクトチェック記事を配信する。主にSNSなどで配信されている真贋不明の情報について有識者やファクトチェッカーなどによって情報を精査し、事実か否かをチェックして記事化していく。
例えば、台風15号で被害を受けた静岡県の画像としてドローンで撮影された画像がTwitterで物議を醸していたが、この画像はAIによる偽画像である、とするファクトチェック記事を公開。画像の詳細な検証や静岡県の見解などを交えて偽画像であるという結論を出している。
ファクトチェック対象は基本的にはSNSなどで配信されている情報とし、「正確で厳格な報道機関は対象外」としている。その理由について運営委員会事務局長を務める吉田奨氏は、「報道機関はそもそも自身で事実を確認して報道することが使命であり、そこは報道機関自身に委ねる」という。また、人員リソースの問題もあり、全ての記事のファクトチェックは行なえないことも理由にあげた。
ファクトチェックを行なう体制は、「監査委員会」「運営委員会」「編集部」からなる。
監査委員会は、東京大学大学院法学政治学研究科教授の宍戸常寿氏が委員長を務め、ガバナンス全体の適正性確認や協業企業等との利益相反チェックなどを実施。
運営委員会は、京都大学大学院法学研究科教授の曽我部真裕氏が委員長を務め、監査委員会の監修の元、運営ガイドラインの制定や運用状況の監督、ファクトチェック効果の評価、案件や分野選定の評価などを行なう。これら運営ガイドラインなどを元に編集部がファクトチェック記事を執筆する体制。
編集長を務めるのは、元朝日新聞記者でBuzzFeed Japan創刊編集長も務めた古田大輔氏。その下に、同じく朝日新聞出身の2人のエディターが付き、さらに4名のインターン、3名のリサーチチームがファクトチェックを行なう。
常勤は古田氏のみで、当初は月に10本ほどのファクトチェック記事を掲載することをめざす。会見に参加した記者からは、「編集部の主要人員が元朝日新聞記者だけで構成されているのは偏りがないか?」という指摘もあったが、運営委員会の吉田氏は、「経験と能力をみて人材の選定を行なった。偏りについては厳正なガイドラインを制定することで公正性を失わないようにする」としている。また、将来的には記事の掲載本数を増やし、それにともなって多様な人材を迎えることで体制を強化していく方針。
編集長の古田氏は、「ファクトチェックは最新技術を使って協力しながらやっていくしか対応策が無い」とし、情報提供を呼びかけるコーナーも設置。読者が疑問に思っている情報などを投稿できるようにする。
マリサ
記事によると、編集長は元朝日記者、他にも朝日新聞出身のエディターが2人、NHK出身が1人、あとは大学生のインターン4人とリサーチチーム3人で、上がほぼ朝日なんだぜ。
あと、運営委員に毎日新聞客員編集委員の小川一氏という人物がいるが、後編にも名前が出て来るので覚えておいてほしいぜ。
レイム
よりにもよって朝日新聞なのね。
というか、朝日は慰安婦報道や一連の韓国への輸出管理強化の件でデマ報道を繰り返しているわけだから、ファクトチェックをするならよそをやる前にまず自分の古巣をどうにかするのが先では?
というか、韓国メディアをチェックしていると、度々朝日新聞の元記者が処理水デマを寄稿しているのだけど。
マリサ
なんというか、日本ファクトチェックセンターの問題点はここに凝縮されているよな。
レイム
日本有数のデマ報道発生源の元記者がネットのファクトチェックをやるって、どんなブラックジョークよ。
今回のまとめ
マリサ
でな、最初の方でも少し触れたが、今回の内容は前座に過ぎないぜ。
レイム
ちょっと待って、後編はもっと凄いのがあるって事?
マリサ
凄いというか、この問題の根っこにはマスコミ業界全体の利権構造とかまで関わっていて、今回の日本ファクトチェックセンターの件は問題の末端部分に過ぎないんだぜ。
しかも今回紹介した日本ファクトチェックセンターの言い分、ほとんどが吹っ飛ぶぜ。
レイム
今回の日本ファクトチェックセンターの事例だけでもかなり「アレ」なのに、これが末端部分に過ぎないってどういう事よ。
マリサ
この問題って結構長い事リサーチしているが、問題を追っていくと恐らく2000年代に度々発生した新聞やテレビのネットでの炎上騒動まで間接的に関係してくるからな。
根が深いなんてもんじゃないぜ。
レイム
まあ、次回見てみればわかるって事ね。
マリサ
そういうことだぜ。
そんなわけで今回の本編はここで終わるぜ。
レイム マリサ
ご視聴ありがとうございました。
大口
おつかれ~。
今回は前後編の前編なのでおまけはないよ。
レイム マリサ 大口
またらいしゅ~
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