さて、今回は色々と批判が起きている岸田政権による韓国への態度について、その妥当性について書いていきます。
初めて来られた方はまずこちらを先に読む事をお勧めします。
ブログ『日韓問題(初心者向け)』を始めた理由 - 日韓問題(初心者向け)
注意
・このブログは「日韓の価値観の違い」を初心者向けに扱っています
・当ブログのスタンスは「価値観に善悪や優劣は存在しない」というものです
・相手が不法を働いているからと、こちらが不法をして良い理由にはなりません
・自身の常識が相手にとっても常識とは限りません、「他者がそれを見たらどう思うか」という客観性を常に持ちましょう
・日常生活で注意する程度には言動に注意を心がけてください
先日訪韓した岸田総理に関して、韓国への融和的態度を日本で問題視する論調があり、また自民党総裁選候補からも韓国に融和的な声が出ている事に対しても、(自民支持層の)世論などから批判的な声がある。
この件に関して、日韓双方で価値観が異なりすぎる事からくる歴史問題や韓国が引き起こすトラブルが反発の理由だが、現実問題として日米韓の安保連携は進んでおり、総理や議員達の言動はそれを意識した結果という事が分かる。
この背景には、「アメリカからそう要求されている」という事よりも、現実に差し迫っている中国や北朝鮮、ロシアによる安保脅威に対応しないといけないという、いわゆる西側諸国の共通認識が関わっており、親北系の韓国野党に政権を取らせないためにも、最低限対立を回避しないといけないという課題がある。
※本文中のリンクは引用の元記事、或いはウェブアーカイブやウェブ魚拓(別サイト)へのリンクです。
以下から本文
1:韓国に融和的な言動
まずはこちらから
日韓首脳会談等についての会見
首相官邸 令和6年9月6日
https://www.kantei.go.jp/jp/101_kishida/statement/2024/0906kaiken2.html
【岸田総理冒頭発言】
先ほど、日韓首脳会談を行いました。尹(ユン)大統領との首脳会談は、2年前の9月以来、12回目となりました。この2年間、両国関係の強化に強い思いを有する尹大統領という信頼するパートナーを得て、全力で取り組み、日韓関係、新たな章を開くことができたと感じています。
そして、日韓両国は、これからもこの歩みを続けていかなければなりません。そのためには、両国の首脳が形式にとらわれず頻繁に往来して、難しい課題も含め、率直な議論を続けることが不可欠であると思っています。私と尹大統領が再開し本格化させた「シャトル外交」は、こうした日韓関係のあるべき姿を体現しています。今回の訪問も、正にその信念を形にしたものであります。
本日の首脳会談では、これまでの日韓関係の進展を総覧しつつ、議論を行いました。その中でも触れられたことですが、この2年間で、年間最多ペースとなる両国民の往来など、若い世代を含む交流が大きく拡大をしています。また、政府間においては、尹大統領との信頼関係の下、多岐にわたる協力や対話が積み重ねられてきました。今般、外交当局間で、第三国における緊急事態の際に自国民保護について協力することを確認する覚書が署名されました。これも、両国間の信頼の高まりを示す例であると考えています。
尹大統領とは、この大きく飛躍した日韓関係の果実を、来年の国交正常化60周年も契機として、両国国民が具体的に実感できるようにすることが重要であるという考え方において一致いたしました。特に、人と人との交流を後押しするための方策など、日韓間の協力と交流を持続的に強化していく方針を確認いたしました。現下の戦略環境の下、日韓の緊密な連携は、地域の平和と安定のために欠くことはできません。
本日の会談では、朝鮮半島の平和と安定の問題について、深い議論をすることができました。その上で、広い分野での日韓米協力を強化していくこと、国際社会の諸課題について積極的に連携をしていくこと、こうしたことの重要性を確認いたしました。
こうした諸課題につき日韓が連携することは、日韓双方に利益をもたらし、国際社会からの期待に沿うものであると考えています。この後、晩さん会においても更に語り合うこととなりますが、今回は、未来の日韓関係に向けた深みのある議論ができたと感じています。私からは以上です。
(後略)
先日訪韓した岸田総理による日韓首脳会談に関する、首相官邸からの報告なのですが、日韓交流や「シャトル外交」の成果を強調したうえで、「政府間においては、尹大統領との信頼関係の下、多岐にわたる協力や対話が積み重ねられてきました」「広い分野での日韓米協力を強化していくこと、国際社会の諸課題について積極的に連携していくこと、こうしたことの重要性を確認いたしました」等と書かれています。
また次では
岸田首相 韓国 ユン大統領と会談“協力と交流を強化”方針確認
NHK 2024年9月6日
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20240906/k10014574201000.html
岸田総理大臣は、訪問先の韓国でユン・ソンニョル大統領と会談し、来年の国交正常化60年を契機に日韓関係の改善を両国の国民が実感できるようにすることが重要だという認識で一致し、協力と交流を持続的に強化していく方針を確認しました。
去年12年ぶりに再開した日韓両国の首脳による相互往来「シャトル外交」の一環として韓国を訪れている岸田総理大臣はユン・ソンニョル大統領と、ソウルの大統領府で6日午後4時すぎからおよそ1時間、会談しました。
会談では、この2年間の日韓関係について、両首脳の信頼のもとで多岐にわたる協力や対話が積み重ねられ、大きく改善したという認識を共有しました。
その上で、来年の国交正常化60年を契機に関係の改善を両国の国民が実感できるようにすることが重要だという認識で一致し、人の往来の促進をはじめとした協力と交流を持続的に強化していく方針を確認しました。
また、朝鮮半島を含めた地域の平和と安定に向けて、日韓両国や日米韓3か国で幅広い連携を進めていくことも申し合わせました。
会談のあと、岸田総理大臣は記者団に対し「ユン大統領という信頼するパートナーを得て日韓関係の新たな章を開くことができた。この歩みを続けていくには首脳が頻繁に往来し、難しい課題も含め、率直に議論を続けることが不可欠だ」と強調しました。
そして自身が退任することを念頭に「今後も日韓関係の重要性はいささかも変わらない。これからもいかなる立場でも力を尽くしていく」と述べました。
また、6日の会談で、太平洋戦争中の「徴用」をめぐる問題や慰安婦問題など、両国間の懸案についてどのような議論をしたのか記者団から問われ「具体的に申し上げることは控えるが、双方の関心事項や懸案についても率直なやり取りを行った」と述べました。
一方、岸田総理大臣は、日韓の外交当局の間で、第三国で有事などが起き、それぞれ自国民を退避させる場合に互いに協力する覚書を交わしたことを明らかにしました。
さらに来年、大阪・関西万博などが開催されることを踏まえ、日韓両国の入国手続きの円滑化に向けた具体策の検討を始めることも確認したと説明しました。
(後略)
NHKの記事で「(日韓の)協力と交流を持続的に強化していく方針を確認しました」としたうえで、「自身が退任することを念頭に『今後も日韓関係の重要性はいささかも変わらない。これからもいかなる立場でも力を尽くしていく』と述べました」と書かれています。
また、いわゆる「歴史問題」に関しては、「具体的に申し上げることは控えるが、双方の関心事項や懸案についても率直なやり取りを行った」とも書かれており、何らかの意見交換があった事が伺える内容となっています。
そして次の事例では
高市早苗氏、中国に「言うべきは言う」尖閣ブイは撤去 韓国は「昭和ソング人気うれしい」
産経新聞 2024/9/9
https://www.sankei.com/article/20240909-PEQZZMWLUZHMHJ3FAF2FKVIC3U/
自民党の
高市早苗経済安全保障担当相(63)=
衆院奈良2区=は9日、党総裁選(12日告示、27日投開票)への立候補を表明した記者会見で、中国について「世界共通の課題はともに取り組む。言うべきことは言う」と述べ、中国が
尖閣諸島(
沖縄県石垣市)周辺の日本の
排他的経済水域(
EEZ)内に設置した
海上ブイは「撤去する」と語った。
(中略)
また、韓国に対しては「非常に良い関係を築いている。岸田首相のご尽力が非常に大きい」と述べた上で、「世界最悪といわれる安全保障環境を考えると、日米韓が安全保障上の絆を強めていくべきだ」と強調した。
「近年は韓国でも日本の音楽が自由に放送できるようになった。懐かしい昭和ソングが韓国で人気があることを、嬉しく思っている。協力できる分野でしっかりと深めていく」とも語った。
自民党の総裁選に立候補した高市早苗経済安全保障担当相が、韓国に対して「世界最悪といわれる安全保障環境を考えると、日米韓が安全保障上の絆を強めていくべきだ」「近年は韓国でも日本の音楽が自由に放送できるようになった。懐かしい昭和ソングが韓国で人気があることを、嬉しく思っている。協力できる分野でしっかりと深めていく」と発言し、韓国に対して融和的な態度をとっています。
こうした総理や与党議員の言動に対して、ネットなどで批判的な声が相次いでおり、「韓国に対して歴史問題で譲歩するのではないか」等、不安視する声が高まっている事が観察できます。
2:なぜ融和的?
まずこの件で最も危惧されている「歴史問題での譲歩」なのですが、現実的にはほぼあり得ません。
以前から指摘しているように、
慰安婦訴訟「日韓合意踏まえ協議を」 文大統領が言及
日経新聞 2021年1月18日
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGM184YH0Y1A110C2000000/
【ソウル=恩地洋介】韓国の
文在寅(
ムン・ジェイン)大統領は18日の記者会見で、
慰安婦問題の最終解決をうたう2015年の日韓合意が「政府間の公式合意」だと認めた。日本政府に賠償を命じた元
慰安婦訴訟を巡り「合意を土台に解決策を韓日間で協議したい」と述べたが具体案は示さなかった。
【関連記事】韓国大統領、元徴用工訴訟「資産の現金化望ましくない」
ソウル中央地裁は1月8日、日本政府に元慰安婦らへの慰謝料支払いを命じた。日本は1965年の日韓請求権協定で解決済みとの立場。国家は外国の裁判権に服さないとする国際法上の「主権免除」の原則から控訴もしない方針で、判決は23日午前0時に確定する。
文氏はかねて「日韓合意で慰安婦問題は解決しない」と主張してきた。今回は合意の有効性を認めて日本に配慮したが、文政権内に解決策があるわけではない。むしろ日本政府を相手取った同様の訴訟が韓国内で相次ぎ、収拾がつかずさらなる混乱に陥る可能性がある。
(後略)
尹大統領 徴用問題の解決策は「未来のための決断」
聯合ニュース 2023.03.12
https://jp.yna.co.kr/view/AJP20230312000300882
【ソウル
聯合ニュース】韓国の大統領室は12日、尹錫悦(ユン・ソクヨル)大統領が7日の
閣議で、大法院(
最高裁)が日本企業に命じた徴用被害者への賠償を政府傘下の財団が肩代わりする解決策を発表したことについて、「未来のための決断」とし、日本との関係改善の必要性を改めて強調したと明らかにした。
尹大統領は閣議で、「強制動員問題の解決は大統領選の公約を実践するもの」として、1998年に当時の金大中(キム・デジュン)大統領と小渕恵三首相が発表した「韓日パートナーシップ宣言」の継承と未来志向の韓日関係に言及した公約を取り上げた。また、「強制動員問題を早期に解決し、韓日の経済、安全保障、文化分野の交流を活性化させることが切実に求められるという立場を(就任)初期から明確してきた」とし、「国民に約束した公約を実践したということをしっかり認識してほしい」と述べた。
大統領室によると、韓国政府の解決策発表に歓迎と支持の意思を表明したのは米国や欧州連合(EU)、英国、ドイツ、カナダ、オーストラリア、ノルウェー、国連など10カ国・機関に上る。
(後略)
2015年の慰安婦合意はアメリカのオバマ大統領(当時)立ち会いで行われており、国際的には「解決済み」の事ですし、そのことは結局文在寅政権も最終的に認めています。
また徴用工問題に関しても、2023年の代位弁済に関して、記事にもあるように「韓国政府の解決策発表に歓迎と支持の意思を表明したのは米国や欧州連合(EU)、英国、ドイツ、カナダ、オーストラリア、ノルウェー、国連など10カ国・機関に上る」と書かれており、これも問題自体が解決済みです。
ここで重要なのは、代位弁済は国際社会では「日韓請求権協定を韓国が履行する」という意味があり、実際、日本はこの件で一切資金を出していませんし、国際社会がそう認めている以上、今後の解決は完全に韓国の国内問題であり、日本がどうこうする名分自体がありません。
実際、今回も「(歴史問題で)双方の関心事項や懸案についても率直なやり取りを行った」というだけで尹政権は何も要求していませんし、岸田総理も何も約束していません。
そして浮島丸の件に関しても、
※2024年9月12日修正:資料に関して勘違いがあったため、結論は変わりませんが差し替えます。
「浮島丸」乗船者名簿の詳細分析へ 「被害者救済が重要」=韓国政府
聯合ニュース 2024.09.12
https://jp.yna.co.kr/view/AJP20240912004100882
(前略)
また、名簿の内容が明らかになれば被害の再申請が行われる可能性があるとして、「犠牲者の救済が最も重要なので努力する」と述べた。かつて「対日抗争期強制動員被害調査および国外強制動員犠牲者ら支援委員会」を通じて慰
労金が支給された際、浮島丸事件の犠牲者については資料がなかったため被害が認定されなかった。
浮島丸は1945年8月22日に青森県の大湊港を出航し、2日後の24日に京都の舞鶴港で爆発し沈没した。日本側は浮島丸が海底の機雷に接触して爆発し、乗船者約3700人のうち524人が死亡したと発表したが、遺族らは日本が意図的に船を爆破し、乗船者7500~8000人のうち3000人以上が死亡したと主張している。
外交部当局者は、資料を事実上隠蔽(いんぺい)していた日本側が資料を提供した理由を問われ、「韓日関係改善の効果もあった。日本国内の多くの団体の努力も重要だった」と述べた。
旧海軍等から引き継いだ「浮島丸」関連名簿の韓国政府への提供について
厚生労働省 令和6年9月5日
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_43332.html
昭和20年8月24日に
朝鮮半島出身者を乗せ
京都府舞鶴湾内で沈没した「浮島丸」の関連名簿の一部を、韓国政府に提供したのでお知らせします。
1 先般、韓国政府から日本政府に対して、
厚生労働省が旧海軍等から引き継ぎ
保有している「浮島丸」関連文書の提供について要請があった。
2 これを受けて、
厚生労働省は、「浮島丸」関連名簿について内容の精査を進めているところである。
3 今般、精査が終了した一部の名簿について、5日、外務省を通じて韓国政府に提供した。
4 今回提供した文書(別添参照)は、「乗船名簿」「浮島丸乗船
朝鮮人名簿」「船乗者名簿の件報告」等の文書である。
参考
朝鮮半島出身旧軍人軍属に関する資料については、これまでに厚生省(当時)から(1)昭和46年に旧軍人軍属の死亡者連名簿(約2万2千人)、(2)平成5年に旧軍人軍属の包括的な名簿(約24万4千人)、(3)平成19年に朝鮮半島出身旧軍人軍属の供託書の正本の写し(延べ約11万件(約1万4千頁))をそれぞれ韓国政府に対して引き渡している。
「意図的に沈没させた」「強制連行被害者」等の客観的検証のされていない表現を使っており、その部分では問題ですが、用途としては韓国内での慰労金等の支給を行うための物であり、対日請求云々と主張しているのは今のところ野党と民間団体のみです。
先ほども書いたように、日韓の間の徴用工問題は既に「解決済み」だからです。
ではなぜ岸田総理などが韓国に対して融和的な態度であったかといえば、それは先ほどの代位弁済に関する記事の「韓国政府の解決策発表に歓迎と支持の意思を表明したのは米国や欧州連合(EU)、英国、ドイツ、カナダ、オーストラリア、ノルウェー、国連など10カ国・機関に上る」という部分が関係しています。
まず、これら国や機関はボランティアで歓迎を表明したわけではありません、別に目的があるからです。
その理由は以下を読むと分かります。
「ソウル安保対話」開催 過去最多の67カ国・地域参加
聯合ニュース 2024.09.11
https://jp.yna.co.kr/view/AJP20240911003800882
【ソウル
聯合ニュース】世界各国の国
防相や国際機関関係者、専門家らが安全保障について話し合う「ソウル安保対話(SDD)」が11日、ソウル市内のホテルで開幕した。
SDDには過去最多となる67カ国・地域と国際機関の関係者ら計約900人が参加した。8カ国からは閣僚級が出席した。
本会議で韓国の金龍顕(キム・ヨンヒョン)国防部長官は北朝鮮の核・ミサイル開発が続き、挑発の手段を多様化させているなか、ロシアと北朝鮮の協力が世界の安全保障に大きな脅威になっていると強調。カナダのブレア国防相は中国と北朝鮮に懸念を表明し、カナダの軍事力増強について言及した。北大西洋条約機構(NATO)のバウアー軍事委員長はロ朝軍事協力がウクライナ戦争を悪化させているとして、NATOと韓国などがルールに基づいた国際秩序の維持に協力しなければならないと強調した。
韓国国防部はSDDに合わせ、約30カ国・地域の国防当局者や専門家が参加する宇宙安保ワーキンググループフォーラムも開催した。
2024年9月11日に韓国で世界各国の国防相や国際機関関係者が集まり、「安保対話」を行ったという記事なのですが、その目的として「ロシアと北朝鮮の協力が世界の安全保障に大きな脅威になっている」「ロ朝軍事協力がウクライナ戦争を悪化させている」と書かれています。
つまり、北朝鮮やロシアの問題に各国が協力して対応するために、日韓の安保協力が必須であることから、日韓の懸案を解決する事が関係各国の国益と合致するからです。
またこちらの2つの記事では
米国防副次官代行が訪韓 韓米・韓米日の安保協力議論へ
聯合ニュース 2024.09.10
https://jp.yna.co.kr/view/AJP20240910001000882
【ワシントン
聯合ニュース】米
国防総省は9日(現地時間)、韓米両国と韓米日3カ国の安全保障協力について議論するため、アバクロンビー副次官代行(政策担当)が韓国を訪問すると発表した。
米国防総省によると、アバクロンビー氏は10日に開かれる韓米日防衛実務者協議(DTT)と、韓国と在韓国連軍司令部参加国との国防相会合に米国側の首席代表として出席する予定だ。また、韓国政府高官との会談に臨むほか、11~12日に開かれる多国間安全保障会議「ソウル安保対話(SDD)」にも出席する。
米国防総省はアバクロンビー氏の訪韓について「(韓米日)3カ国の協力を深める措置と、国連軍司令部参加国との協力に向け国連軍司令部の肯定的な未来ビジョンを発展させるための措置を取り、中核技術を守りながら防衛産業協力を拡大することの重要性を強調する」と説明した。
一方、日本の防衛省は鬼木誠・防衛副大臣がSDDに出席するため10~12日に訪韓すると発表した。防衛省によると、同省の政務三役の訪韓は2015年の中谷元・防衛相(当時)以来9年ぶり。
韓米日 近く新共同訓練を再実施へ=実務者協議で確認
聯合ニュース 2024.09.10
https://jp.yna.co.kr/view/AJP20240910001500882
【ソウル
聯合ニュース】韓国、米国、日本は10日、ソウルで定例の防衛実務者協議(DTT)を開き、加速していている3カ国による安全保障協力を維持していく意思を改めて確認した。韓国国防部が伝えた。
韓国から国防部のチョ・チャンレ国防政策室長、米国から国防総省のアバクロンビー次官代理(政策担当)、日本から防衛相の大和太郎防衛政策局長が出席した。
(中略)
3氏は北朝鮮とロシアが軍事協力の拡大などを盛り込んだ「包括的戦略パートナーシップ条約」を締結したことに深刻な憂慮を表明した。
また北朝鮮の核・ミサイル活動を糾弾し、朝鮮半島および域内の緊張を高めるあらゆる行為を直ちに中止するよう促した。
国防部によると、3氏は南シナ海を含むインド太平洋地域における中国の危険で攻撃的な行動に対し、それぞれの立場を改めて示した。
さらに、台湾に対する3カ国の基本的な立場に変わりがないという点を確認し、国際社会の安保と繁栄の必須要素として台湾海峡の平和と安定の重要性を強調し、中台問題の平和的解決を促した。
次回のDTTは来年の上半期中に日本で開くことを申し合わせた。
国防総省副次官代行が韓国を訪問し、その目的を「(韓米日)3カ国の協力を深める措置と、国連軍司令部参加国との協力に向け国連軍司令部の肯定的な未来ビジョンを発展させるための措置を取り、中核技術を守りながら防衛産業協力を拡大することの重要性を強調する」としています。
また次の記事では日米韓がソウルで定例の防衛実務者協議を開催し、「北朝鮮とロシアが軍事協力の拡大などを盛り込んだ『包括的戦略パートナーシップ条約』を締結したことに深刻な憂慮を表明」し、「国際社会の安保と繁栄の必須要素として台湾海峡の平和と安定の重要性を強調し、中台問題の平和的解決を促した」と書かれています。
つまり、日米韓が協力し北朝鮮、ロシア、中国の問題に対応していくという事です。
そしてこれはいわゆる「西側諸国」の共通課題であり、そのために日韓の安保協力が必須であり、だからこそ北朝鮮、ロシア、中国に足をすくわれないために、日本側からも韓国との融和的な態度を演出する必要があったわけです。
3:現実的な脅威
これまで書いてきたように、差し迫った問題があるからこそ、足並みをそろえるために各国が協力して「歴史問題の解決」をしたのですから、韓国がどんなに譲歩を望もうと日本が韓国に折れる理由はなく、韓国が新たに歴史問題を外交カードとして利用すれば、国際社会から叩かれるのは韓国です。
また現実的な問題として
中国軍用機による韓国防空識別圏進入、ここ5年で最多…韓国空軍の緊急出動は60回【独自】
朝鮮日報 2024/08/31
https://www.chosunonline.com/site/data/html_dir/2024/08/31/2024083180003.html
26日に中国軍軍用機が日本の領空を侵犯した問題で日本の複数の閣僚らが中国側に抗議したが、一方で昨年、中国軍軍用機が韓国の
防空識別圏(KADIZ)に無断で進入した回数は133回だった。
韓国軍関係者が明らかにした。それによるとここ5年間に中国軍軍用機がKADIZに進入した回数は2018年140回、2019年50回、2020年75回、2021年65回、2022年65回、2023年は133回で、昨年中国軍軍用機がKADIZに進入した回数は2018年以来、5年ぶりに最も多くなった。
中国軍軍用機によるKADIZ無断進入に対し、韓国空軍戦闘機が緊急発進した回数は昨年1月から11月までに60回以上に達したという。
(後略)
中国による軍事的挑発は韓国に対しても行われており、中国側が日米韓の安保連携に対して神経質になっている事が分かります。
また次にあるように
中国海軍の測量艦、鹿児島沖で領海侵入 防衛省発表
日経新聞 2024年8月31日
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUA311KU0R30C24A8000000/
防衛省は31日、中国海軍のシュパン級測量艦1隻が同日朝、鹿児島県
口永良部島の南西の日本領海に侵入したと発表した。中国海軍測量艦の
領海侵入は2023年9月以来、10回目。中国軍は26日にも
長崎県男女群島沖の領空を侵犯したばかりだ。
防衛省によると測量艦は午前6時に日本の領海に入り、1時間53分ほど続いた。海上自衛隊の掃海艇と哨戒機が警戒監視・情報収集にあたり、航行目的などを問いかけた。自衛隊法に基づき限定的な武器使用を認める「海上警備行動」の発令はなかった。
外務省の鯰博行アジア大洋州局長は31日、直近の領空侵犯も踏まえ施泳駐日中国臨時代理大使に強い懸念を伝え、抗議した。
測量艦は一般的に海水の温度や海底の地形、水深などを計測する。艦艇や潜水艦が航行する上で必要な情報となる。
領海は領空と異なり、他国の船舶が秩序や安全を害さない限り通航を妨げてはならないと定める「無害通航権」が認められている。防衛省は今回の航行が無害通航に該当するかなど測量艦の動きを分析する。
中国による領海侵入や領空侵犯はこれまで主に日中両国が領有権を主張する沖縄県尖閣諸島周辺で起きていた。海上保安庁は8月29日までに尖閣諸島沖で同月だけでも5日の領海侵入を確認している。
(後略)
中国は日本に対する領空侵犯以外に、領海侵入も行っており、中国側の示威的行動がエスカレートしている事から、もし韓国との足並みをそろえる事ができない場合、それこそ「中国の思惑通り」になってしまうという問題があります。
また他にも
金正恩氏「核兵器を幾何級数的に拡大」 軍事力強化に自信=建国記念日に演説
聯合ニュース 2024.09.10
https://jp.yna.co.kr/view/AJP20240910000300882
【ソウル
聯合ニュース】
北朝鮮の
朝鮮中央通信は10日、
金正恩(
キム・ジョンウン)国務委員長(
朝鮮労働党総書記)が76回目の
建国記念日(9月9日)に合わせて党・政府の幹部を対象に行った演説で「共和国(
北朝鮮)の核戦闘武力は堅固な指揮統制体系の中で運用されている」とし、「われわれは今、
核兵器の数を幾何
級数的に増やす核武力建設政策を揺るぎなく貫徹している」と評価したと報じた。
正恩氏はまた、北朝鮮の核の力とそれを国の安全権保障に正しく使用できる体制が完備されなければならないと強調した。
続けて、韓米日の軍事協力強化の動きなどに言及し「米国が主導する軍事ブロック体制の無分別な拡張策動と、それが核に基づく軍事ブロックという性格に進化したことにより重大な脅威としてわれわれの前に迫った」と主張した。
さらに、このような現実的脅威は将来的により多様な脅威を招くとしながら「核を保有する敵国が強要するいかなる威嚇的行動にも徹底して対応できる核の力を不断に強化していくだろう」と強調。「強力な力、これが真の平和であり、わが国の発展の絶対的な担保」とも述べた。
(後略)
北朝鮮はもはや核保有を隠さなくなっており、金正恩が演説で「共和国(北朝鮮)の核戦闘武力は堅固な指揮統制体系の中で運用されている」「われわれは今、核兵器の数を幾何級数的に増やす核武力建設政策を揺るぎなく貫徹している」と発言しています。
また「米国が主導する軍事ブロック体制の無分別な拡張策動と、それが核に基づく軍事ブロックという性格に進化したことにより重大な脅威としてわれわれの前に迫った」とも発言しており、日米韓の安保協力に対して警戒している事もわかります。
他にも次にあるように
北朝鮮からロシアにコンテナ1万3千個超 砲弾支援か=韓国軍
聯合ニュース 2024.08.27
https://jp.yna.co.kr/view/AJP20240827003500882
【ソウル
聯合ニュース】
北朝鮮とロシアの軍事協力拡大が
朝鮮半島情勢に及ぼす影響が懸念される中、
北朝鮮が2022年半ばから約2年間でコンテナ1万3000個以上をロシアに向けて送ったことが27日、韓国国防部の国防情報本部が国会国防委員会所属の与党議員に提出した資料で分かった。
コンテナ1万3000個の中身が全て152ミリ砲弾だと仮定した場合、約600万発分に相当する規模だ。
韓国はロシアのウクライナ侵攻が始まって以降、北朝鮮によるロシアへの兵器支援に関する情報を2022年から入手してきた。申源湜(シン・ウォンシク)国防部長官は今年2月、北朝鮮がロシアに送ったコンテナは約6700個と推定されるとの見方を示したが、その後半年で急増したことになる。
(後略)
北朝鮮によるロシアへの砲弾支援は日に日に増加しており、EUの安全保障も脅かされる事態になっている事から、日本と韓国の安保協力がどんな形であれ阻害されることは、いわゆる西側諸国の不利益になると同時に、中国、ロシア、北朝鮮の利益になるという事です。
また、日韓の安保協力に不満を持つ人の中には、「アメリカがそう言っているのだから従うしかない」といった論調の人もいますが、それも違います。
中国による東シナ海や南シナ海での示威的行動、ロシアによるウクライナ侵攻、北朝鮮の核配備は、日本にとっての安保脅威でもあり、これは「アメリカに言われるから仕方なく協力する」という他人事ではなく、日本の目の前に存在する直接的な脅威なのですから、どこかに言われて仕方なくというような受動的性質ではなく、日本が自らの意思で能動的に動かないといけない問題なのです。
勿論、日本と韓国は価値観が大きく異なることから、下手に謙った態度を取ったり、あるいは過剰に韓国を立てるような態度をとると、序列社会の韓国人達は「自分達の方が上だ」と勘違いし、トラブルの原因になり得るため、価値観の違いに沿った対応は必須になりますが、「安保協力をするうえで必要な最低限の融和的態度」はどうしても必要なのです。
韓国と断交や疎遠になる外交を行っても、それは安保上日本にとって不利益にしかならないのですから、韓国との価値観の違いを把握したうえで、違いに対応した付き合い方をしていけばいいだけなのです。
これまで日本が韓国外交で失敗してきたのは、双方の価値観に大きな隔たりがある事を理解していなかったからです。
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