日韓問題(初心者向け)

日韓問題について、初心者でもわかりやすい解説と、日韓問題とマスコミ問題の動画のテキスト版を投稿しています。

韓国は「日本側が関係改善に向けた努力をするべき」と考えている


さて、本日は産経新聞前ソウル支局長の名誉毀損裁判無罪判決の件を中心に、その後韓国社会の多くが日本に対してどう考えているのかを書いて行きます。


要約


韓国人の多くは、産経新聞前支局長の無罪判決を「日韓関係改善のために、韓国側が努力した結果」と考え、本来は処罰されるべきだが譲歩したのだから、今度は日本側が関係改善のための努力で返す番だと考えている。


彼らは自身に落ち度があったとは一切考えておらず、彼らの価値観に基き「譲歩せざるを得ない国際世論が出来たのは、韓国が日本の被害者である事の国際的アピールが足りていないだけ」と考えており、今後も引き続き「被害者である事」のアピールが様々な方面で展開される事になる。


当然彼らはこれを関係改善の障害とは考えていない。


1:日本に関係改善努力を要求してきた韓国


まずはこちらの記事から


韓日関係 「暗いトンネルの出口に来ている」=駐日韓国大使
聯合ニュース 2015/12/22
http://japanese.yonhapnews.co.kr/headline/2015/12/22/0200000000AJP20151222002100882.HTML

【東京聯合ニュース】韓国の柳興洙(ユ・フンス)駐日大使は22日、東京都内で開かれた在日本大韓民国民団(民団)主催のフォーラムで講演し、国交正常化50周年を迎えた韓国と日本の関係について、「暗いトンネルの出口に来ている」とした上で「もう少しで明るい光が差し込むところに出られる」と述べた。

 柳氏は朴槿恵(パク・クネ)大統領と安倍晋三首相が6月にそれぞれ国交正常化50周年記念式典に出席したこと、安倍首相が戦後70年談話で歴代談話を引き継ぐ姿勢を示したのに対し韓国政府が冷静な反応を示したこと、両首脳による初の首脳会談、産経新聞の加藤達也前ソウル支局長の判決の四つが両国関係の重大事件だったと指摘。両国が4回の危機をうまく乗り越えたと評価し、旧日本軍の慰安婦問題についても来年、「良い結果を見ることができると期待している」と述べた。

 柳氏は朝鮮戦争中、日本が物資供給基地として特需を受け、韓国は国交正常化後に日本から受け取った請求権資金や技術支援を土台に成長したと説明し、両国は「互いに助け合って生きてきたし、互いに必要な存在」と強調した。日本に着任し天皇を表敬訪問した際、天皇が自ら百済の血が流れているとの発言をしたことも紹介した。

 宮内庁によると、天皇は2001年12月18日の会見で、「私自身としては、桓武天皇の生母が百済武寧王の子孫であると続日本紀に記されていることに韓国とのゆかりを感じている」と発言している。


まず日本人が日本人的価値観でこれを読むと、恐らく「4つの危機を回避した」という部分で疑問が浮ぶでしょう。
「全て韓国側が勝手に問題を起こしたりゴネただけじゃないか」と。
また他の部分でも、関係改善を訴える表現として引っかかるフレーズが各所にある事に気が付くでしょう。


彼等がこのような表現をつかっているのは、韓国人の多くが「韓国側に落ち度はないが、日本に問題があるから関係が悪化した」と考えており、だからこそ、例えば戦後70年談話ならば「望む答えでは無く不満があるが妥協した」と考え、産経前支局長の件も、「実際は罪だが関係改善のために妥協したのだ」と考えているからです。


つまり彼らの考えでは、「自分達には何の落ち度もないが、日韓の関係改善のために韓国はこれだけ妥協してやったのだ」ということを、駐日大使がアピールしているのです。
そしてそのうえで、今度は日本が韓国のために努力する番なのだと考えています。


2:「無罪判決」は日本政府の要求に答えてやった


産経の前支局長が起訴された件で、先日ソウル中央地裁が「大統領個人を誹謗する目的なし」と無罪判決をしたわけですが、この判決の少し前から韓国では「韓国の外交部が法務部に日本側の善処要請を考慮するよう求めた」という報道がしきりに行われていました(※1)。


この報道なのですが、一見すると韓国において三権分立が成り立っていない事を、自らアピールしているようなものであり、そもそもこんな要求をした事をメディアを通して公開したこと自体が不可解に見えます。
しかしこれには韓国なりの事情があります。


以前も書きましたが、韓国では法の上位に国民情緒とか民族情緒と呼ばれる、「民族(国民)の全てが共有するべき感情」が存在しており、これによって韓国では法や契約が捻じ曲がる事が多々あります。
そしてそれこそが韓国人にとっての「正しさ」です。


また今回の裁判において、韓国人の多くは「日本人が韓国の大統領を侮辱したのが許せない」と考えており、だからこそソース元が朝鮮日報などの韓国メディアの記事だったとしても、産経のやった事は処罰されるべきと考えていました(※2)。
要するに内容よりも「日本人がやった」ということが、彼らの中で問題だったのです。


このため、「言論の自由の侵害」として、世界中から批判された韓国の司法や韓国政府からしてみれば、なんとかして無罪判決にもって行き国際的な批判をかわさないといけなかったわけですが、上記のように韓国人の多くは「正しさ」を求めていたので、下手に無罪判決を出すと一気に政府批判へ繋がってしまいます。


そこで彼らは「日本からの要請があったから」という事を口実に、「本来は処罰するべきだが、関係改善を優先して無罪にしたのだ」という世論を作り出すために、あえて介入があった事をメディアに報じさせたのです。


ですので多くの韓国人にとっては、「言論の自由の侵害になるから無罪にした」のではなく、「関係改善のために日本に譲歩してやった」となっているのです。


上記のような背景から、現在の韓国では「韓国側はこれだけの事をして関係改善努力をしたのだから、日本は慰安婦問題などで韓国側の要求を受け入れるはず」という趣旨の意見が出てきています(※3)。


3:価値観の違いから来る対応の違い


以前から書いているように、日本人と韓国人は価値観が大幅に異なっています。
そのため、たとえば日本において社会発展の過程で「契約」や「法」の概念が果たしてきた役割を、朝鮮では「上下関係」が果たしており、朝鮮はどこかの段階で停滞した社会では無く、我々とは異なる価値観で平行進化してきた社会です。


この事が今回も重要であり、産経の前支局長起訴事件に関しても、韓国人の多くは処罰は当然の事と考えていたわけですが、予想外に国際的な非難を浴びてしまいました(※4)。


しかし彼らは、そもそもこれ等批判を額面通りに受け取っていません。
今回の判決に対する反応でも、元記事が朝鮮日報であったり、更にその元が韓国の国会で話題になった内容である事は無視して「結果的に無罪であっても、前支局長の記事は虚偽であり、彼は処罰にあたいする内容を書いた」という態度です(※5)。
国際的に問題となった批判内容とは、根本的な部分で認識に違いがあります。


こうした認識のズレは、最初に書いた韓国人の「上下関係絶対社会」が関係しています。


韓国においては、そもそも国際社会からの批判は「加害者の日本、被害者の韓国という立場がしっかりと伝わっていないからだ」という認識です(※6)。


韓国において、正しさというのは上下関係社会における上位の存在の主張や行いのことであり、そこに根拠などは必要ないわけですが、この上下関係絶対社会の枠から抜け出し、無条件に絶対的上位者となれるのが「被害者」であるということを以前書きました。
つまり韓国的価値観では、被害者になりさえすれば「絶対的に正しい」となれるのです。


今回の起訴事件でも、韓国人の多くは「加害者の日本人よりも被害者の韓国人の主張のほうが世界に受け入れられるはず」と考えていたわけですが。そうはならずに逆に韓国が批判されてしまったため、きっと世界に「被害者としての韓国」という立場が正しく伝わっておらず、そのために「経済力が上の日本の意見が受け入れられてしまったのだ」と考えています。


彼らの価値観では、どこまでいってもどちらが上か下かとその派生なのです、それが社会の基盤だからです。
ですから彼らは、そもそも産経の前支局長の件でも、靖国テロ未遂事件でも、自分達が加害者の立場であるとは一切考えておらず、だからこそ一連の出来事も、自分達が起こした問題の後始末をしたという認識ではなく、(加害者である)日本が起した問題に譲歩してやったという態度なのです。


4:今後も韓国は「被害者であるため」に対立を作り出す


上記のように、韓国人は「自分達の態度が国際社会に受け入れられなかったのは、被害者としての立場が周知できていないからだ」と考えている以上、今後も「日本が加害者だ」というアピールをしきりに行っていく事が確実です。


最近も韓国は、日本の2つの炭鉱に対して「強制連行の事実を認めろ」と日本が加害者である事をアピールするための活動を始めています(※7)。


こうした活動は、韓国人にとって日韓の関係改善を妨げる行為ではありません。
なぜならば彼らの中では「日本が加害者」であることと「韓国が被害者」であることは、絶対普遍の正しさだからであり、「日本人は正しい行いの要求に答えるべき、それが日本の関係改善努力だ」という考えだからです。


つまり今後は、韓国人による日本人の価値観から見た反日行為が、韓国から日本への「関係改善への努力要求」として、官民挙げて、韓国人から良心的日本人と呼ばれている日韓友好論者の協力で続いて行くという事です。


一般的な日本人の価値観からですと、この態度は喧嘩を売っているようにしか見えないわけですが、韓国人的価値観ではこれは当たり前の事なのです、「我々とは異なる平行進化をした社会」とはそういう事です。
だからこそ日本は、余計なトラブルや対立を避けるためにも、今後韓国とは距離を取るべきなのです。



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以下は当ブロマガのお勧め記事マイリストです、もしよかったらこちらもどうぞ










(※1)
法務部に「日本側の善処要請考慮を」 産経裁判で=韓国外交部
聯合ニュース 2015/12/17
http://japanese.yonhapnews.co.kr/relation/2015/12/17/0400000000AJP20151217002200882.HTML

【ソウル聯合ニュース】韓国の朴槿恵(パク・クネ)大統領の名誉を傷つけたとして在宅起訴された産経新聞の加藤達也前ソウル支局長(49)に対する公判に関し、韓国外交部が法務部に対し、日本側の善処要請を考慮するよう求めたことが17日、分かった。外交部当局者が明らかにした。

 加藤氏の判決公判は同日午後2時ごろから行われている。

 外交部の趙俊赫(チョ・ジュンヒョク)報道官は同日の定例会見で、加藤氏の善処を求める公文書を法務部に送ったかを問う質問に対し、「そうした要請をしたと承知している」とした上で、「司法手続きが行われている事案であるため、具体的に言及することは適切ではない」と述べた。

(関連記事)
日本、韓国政府に加藤被告の善処を要請…外交部、法務部に日本の立場を伝達
2015年12月17日17時26分
[ⓒ 中央日報/中央日報日本語版]
http://japanese.joins.com/article/819/209819.html

虚偽報道判決に反応示さない朴大統領、外交摩擦避ける狙いか
朝鮮日報 2015/12/18
http://www.chosunonline.com/site/data/html_dir/2015/12/18/2015121800685.html
http://web.archive.org/web/20151218171741/http://www.chosunonline.com/site/data/html_dir/2015/12/18/2015121800685.html(ウェブアーカイブ


(※2)
[社説]産経新聞の韓国冒涜は度を越えた
東亜日報 AUGUST 11, 2014
http://japanese.donga.com/srv/service.php3?biid=2014081155588

検察が12日、朴槿恵(パク・クンヘ)大統領の名誉を毀損しているとの告発を受けた加藤達也・産経新聞ソウル支局長に、検察に出頭するよう求めた。同紙は3日、「朴槿恵大統領が旅客船沈没当日、行方不明に…誰と会っていた?」という題名の電子版の記事で、朴大統領がセウォル号沈没事故発生当日、ある男性と密かに会い、その男性は朴大統領の補佐官で最近離婚したチョン・ユンフェ氏だったと報じた。

同紙は、「韓国国会内での議論や韓国紙、朝鮮日報に掲載されたコラムなど、公開されている情報を中心に、それらを紹介するかたちで書かれている」としたが、内容を読んでみると、記事の出処の中心は証券街の情報誌だ。セウォル号沈没事故の当日、朴大統領の行動に関する金淇春(キム・ギチュン)秘書室長の国会答弁の内容を詳細に紹介したが、朝鮮日報のコラムと証券街の情報誌を巧妙に配合し、かえって疑惑を増幅させた。

同紙が、証券街の情報誌を事実確認もなく報道したことは、同紙の低劣な水準を示す。外国特派員は取材の限界のために現地の報道を引用して記事を書いたりもする。しかし、そうする時も現地報道の出処が確認されなければならない。同紙が引用した朝鮮日報のコラムもうわさを扱ったものだった。うわさを扱ったコラムがニュースのソースになれないのは、言論人には一種の常識だ。

産経新聞は、保守嫌韓新聞として悪名高い。今年3月、朴大統領の外交政策を「告げ口外交」と呼び、「告げ口外交は民族的習性」と言った。野田佳彦元首相が、朴大統領の外交を「女学生の告げ口のようだ」と言った性差別的発言をそのまま引用して新聞の用語として書いたのだ。今回問題になった報道も、朴大統領が独身女性であることを念頭に置いた女性卑下の性格が強い。非常識な韓国卑下記事で日本国内でも批判を受けている新聞であるとしても、韓国人全体が侮辱を感じるほどなら、かなり度を越えている。

韓国憲法は、言論と表現の自由を保障しているが、他人の名誉を毀損し、人格を冒涜する自由までは許されない。大統領府は、産経新聞の報道を国家元首に対する冒涜と見なし、民事・刑事訴訟などの対応を準備しているという。検察捜査は検察に任せ、大統領府まで乗り出すことは言論の自由に対する侵害と映るため望ましくない。ただ、産経新聞のような低劣な新聞を日本の他のメディアと同等に扱うことはできない。政府も取材制限など適切な措置を講じなければならない。

(※3)
産経前支局長に無罪判決 韓日関係改善につながるか
聯合ニュース 2015/12/17
http://japanese.yonhapnews.co.kr/relation/2015/12/17/0400000000AJP20151217003700882.HTML

(一部抜粋)
今月9日には靖国神社爆発音事件と関連して韓国人が容疑者として逮捕されるなど、韓日関係改善にとっての悪材料が相次いだ。

 このような状況での今回の判決は、韓日関係改善の障害となる悪材料の一つが取り除かれたとみることができる。これにより両国関係が急速に改善することはなくても、中長期的には慰安婦問題解決のための条件などで日本が肯定的な態度を見せるとの期待も出ている。

 韓国外交部が加藤前支局長に対する1審判決に先立ち、日本側の立場を法務部を通じて裁判所に伝える極めて異例な動きをみせたことからも、今回の無罪判決が重いものであったことが分かる。

(※4)
国境なき記者団「韓国の法律、国際基準に反する」
産経新聞 2014.10.11
http://www.sankei.com/world/news/141011/wor1410110041-n1.html

【ローマ=宮下日出男】韓国のソウル中央地検が情報通信網法の名誉毀損(きそん)で産経新聞の加藤達也前ソウル支局長を在宅起訴したことを受け、国際ジャーナリスト組織「国境なき記者団」(RSF、本部パリ)は10日、ジャーナリズム上の問題を「自ら司法に委ねることは危険だ」と批判した。RSFは加藤前支局長を起訴しないよう求めていた。

 RSFは「起訴の決定を非難する」とした上で、旅客船セウォル号」が沈没した当日の朴槿恵大統領の行動について、「公的関心事に関わる問題だ」と改めて強調。「編集方針などに関係なく、産経新聞には疑問を提起し、噂がどのようなものかに言及する権利がある」と主張した。

 その上で、この問題は「ジャーナリズム上の議論のテーマ」であり、刑罰を伴う韓国の名誉毀損に関する法律は国際基準に反していると指摘した。


韓国の名誉毀損罪は「報道の自由」への脅威、速やかな法改正を 国際人権団体が声明
産経新聞 2014.12.15
http://www.sankei.com/world/news/141215/wor1412150009-n1.html

 【ソウル=名村隆寛】国際人権団体ヒューマン・ライツ・ウオッチ(HRW)は15日、産経新聞の加藤達也前ソウル支局長が名誉毀損で訴追されている問題などに関し、韓国政府が自分たちに不利な報道をするメディアを沈黙させる目的で名誉毀損罪を利用していると非難する声明を出した。声明は、「報道の自由」に対する脅威の除去に向け、速やかな法改正も訴えた。

 HRWのロバートソン・アジア局局長代理は「名誉毀損罪は表現の自由を萎縮させる力を持つ」と指摘。朴槿恵大統領への名誉毀損で在宅起訴された加藤前支局長の公判を踏まえ、「韓国政府は仕事に徹しているだけのジャーナリストたちを刑事告訴することをやめるべきだ」と強調した。

 局長代理はさらに、「韓国のジャーナリストは政府の脅しを恐れながら仕事をする状況に置かれるべきではない」とも指摘した。

(※5)
[社説]“大統領顔色うかがい”起訴に鉄槌加えた産経無罪判決
ハンギョレ新聞 2015.12.18
http://japan.hani.co.kr/arti/opinion/22833.html

(一部抜粋)
もちろん今回の報道が無罪になったといって、産経の記事の正当性が確認さけたのではない。産経の該当記事は事実判断の誤りと恣意的な判断が混ざった“不良品”であることは明らかだ。今回の事件は、言論の自由は幅広く容認しなければならないがマスコミ関係者も責任ある報道に努めねばならぬという重い教訓を投げかけている。

【社説】言論の自由と責任を再確認した「加藤無罪」判決
2015年12月18日10時51分
[ⓒ 中央日報/中央日報日本語版]
http://japanese.joins.com/article/836/209836.html

(一部抜粋)
しかしもう一つ明確であるのは、加藤前支局長の報道が倫理的免罪符まで受けたわけではないという点だ。加藤前支局長は新聞記者という職業人として事実確認の義務を十分に履行しなかった。裁判所は判決を終え、「言論の自由の限界を認識し、健全な言論風土が醸成されることを望む」と強調した。無責任な報道が続く場合、メディアが立つ空間は消えるしかない。


産経前支局長コラムは虚偽報道・名誉棄損だが誹謗の目的なし
朝鮮日報 2015/12/18
http://www.chosunonline.com/site/data/html_dir/2015/12/18/2015121800669.html
http://web.archive.org/web/20151218010025/http://www.chosunonline.com/site/data/html_dir/2015/12/18/2015121800669.html

(一部抜粋)
一方で、判決は「裁判所の判断範囲は、記事が犯罪構成要件に該当しないということであって、被告の行為が普遍的に妥当だというわけではない。被告は朴大統領を皮肉り、韓国を風刺する内容の記事を作成しながら、事実関係を確認しなかった」とも指摘した。処罰の問題とは別に、客観的事実とかけ離れた虚偽事実を記事で流布した加藤元支局長の行為は言論人として不適切だと指摘したものだ。

(※6)
[産経前支局長起訴波紋]日本の立場だけ浮かした‘パク・クネの握手’
京郷新聞(韓国語) 2014-10-10
http://news.khan.co.kr/kh_news/khan_art_view.html?artid=201410102217235&code=940301

日本産経新聞、加藤達也前ソウル支局長起訴事件が‘日本の立場’を世界に知らせる道具に変質している。

今回の事件を伝える海外マスコミの報道を見れば軍慰安婦強制連行など歴史的事実を否定し、嫌韓反韓感情をそそのかしてきた極右メディア産経の実体は消え、‘大統領名誉毀損罪で記者を起訴した’韓国政府の行為とそれに対する日本側の反発に焦点が合っていることだ。

AFP通信は9日、日本政府が駐日韓国公使を呼んで産経記者‘名誉毀損起訴’に抗議したと報道した。ソウル外信記者クラブが前日、加藤起訴に「深く憂慮する」という声明を出した事実も一緒に紹介した。

ロイター通信も「日本が韓国側に強く抗議している」とし、今回の事件が「パク・クネ大統領との首脳会談を推進してきた安倍晋三日本総理の努力に葛藤をもたらしかねない」と報道した。

ニューヨークタイムズも「日本が韓国のジャーナリスト起訴に抗議している」として日本側の反発を報道した。

ドイツのドイチェ・ヴェレはウェブサイトの‘メディアの自由’カテゴリーに「日本はジャーナリスト(加藤)を擁護する」という記事を上げた。同紙は問題になった加藤の記事内容を詳細に報道し、同時に‘デマ’を一番最初に報じた朝鮮日報は起訴されなかった事実も伝えた。

ガーディアン、ハフィントン・ポスト、ガルフニュースなどはAFPとロイターの報道をウェブサイトに転載した。シカゴトリビューンは‘大統領府が産経事件の背後にいる’という題名の読売新聞英文版記事専門をウェブサイトに上げた。

加藤は10日付産経新聞に‘社会部編集委員’名義で韓国検察の調査過程と自身の心境を入れた‘手記’をのせた。彼は「検査は‘(セウォル号事故当日)大統領の所在問題がダブー視されているのでそれを書いたがどう思うか’と訊ねた。日本では毎日、詳細に公開される国家指導者の動静が‘タブー’ということに、私は強い違和感を感じた」と主張した。

(※7)
「強制連行」案内板の要求を不許可 高島炭坑 長崎市「客観的事実を」
産経新聞 2015.12.23
http://www.sankei.com/west/news/151223/wst1512230019-n1.html

世界文化遺産明治日本の産業革命遺産」の一つ、高島炭坑(長崎市高島町)近くの供養塔に、韓国人大学生らが「強制連行」の言葉を盛り込んだ案内板の設置を市に求めていた問題で、市側が許可しないと回答したことが22日、分かった。

 この問題は10月下旬、漢陽大学(ソウル)の学生を名乗る人物らから、メールや電話で、供養塔周辺に案内板を設置したいと要請があった。案内板の文案として「強制連行された韓国人の魂が眠っている場所だ」などとしていた。

 だが、供養塔にまつられた炭鉱労働者に朝鮮半島出身者が含まれるかは不明だ。長崎市の島民への聞き取りなどの調査でも、供養塔に半島出身者の遺骨が納められているとは確認できなかった。

 また、供養塔にあった遺骨は昭和63年、近くにある金松寺に預けられた。

 長崎市は「供養塔の遺骨は金松寺納骨堂に移転の上、慰霊碑が高嶋神社横に建立されている」とする説明板を、供養塔周辺の3カ所に設置した。その上で、韓国側の要求を退けた。

 同市の山口太理財部長は「韓国側の意見や感情はいろいろあろうが、供養塔を訪れる人には客観的な事実を伝えなければならない」と説明した。

 高島炭坑が世界遺産に登録されて以降、強制連行された半島出身者の慰霊目的で、多くの韓国人が供養塔に訪れるようになった。聯合ニュース(電子板)など韓国側の報道によれば、9月に韓国放送局文化放送(MBC)が「高島の供養塔は、半島出身者の遺骨埋葬地の目印として建てられた」などとバラエティー番組で放映した。


朝鮮人犠牲の長生炭坑事故 韓国政府機関が日本語版報告書
聯合ニュース 2015/12/22
http://japanese.yonhapnews.co.kr/relation/2015/12/22/0400000000AJP20151222000200882.HTML

【ソウル聯合ニュース】韓国の政府機関「対日抗争期強制動員被害調査および国外強制動員犠牲者ら支援委員会」は22日、「長生炭坑水没事故真相調査報告書」の日本語版を25日に刊行すると明らかにした。

 長生炭坑は山口県宇部市にあった海底炭坑だ。太平洋戦争中の1942年2月3日に落盤事故が発生し、朝鮮半島出身者136人を含む183人の抗夫が犠牲になった。

 報告書は朝鮮人136人の強制連行の過程と炭坑での労働生活、事故の経緯と事後措置、死亡者名簿などを調べたもので、韓国語版は2007年に刊行された。

 委員会は日本語版を日本の市民団体や大学の図書館、在日韓国大使館・領事館などに配布する。

 委員会はこれまでにも、シベリア抑留の朝鮮人捕虜や朝鮮人被爆者の真相調査など3冊の報告書を日本語版にしてきた。しかし、現行法に基づき委員会の活動期間は今月末で終了することになっており、旧日本軍慰安婦による口述記録集などほかの資料の日本語版が刊行されるかは不透明だ。