日韓問題(初心者向け)

日韓問題について、初心者でもわかりやすい解説と、日韓問題とマスコミ問題の動画のテキスト版を投稿しています。

韓国では「加害者探し」が日常化している


さて、今回は以前書いた「韓国は『事実上』社会が暴力による問題解決を容認している」で書ききれなかった部分についてとなります。


以前書いたものでは、韓国ではテロ行為を美化し義挙とする風潮があるため、主観的な判断で暴力行為やその他不法行為に至るまでのハードルが低いと書いたわけですが、今回は韓国人がこういった行為に至る行動原理のもう一つの理由となります。


その行動原理は「被害者には加害者に報復する正当な権利がある」という考え方です。
そして重要なのは、この考え方は我々が想定する被害者と加害者の関係性における概念とはかなり違うという事です。


まずはこちらの記事から。


【コラム】誰もが弱者ばかりの世の中=韓国(2)
2014年12月17日13時51分
[ⓒ 中央日報/中央日報日本語版]
http://japanese.joins.com/article/152/194152.html
(前略)
社会の底辺に広がるルサンチマン(ressentiment、弱者の強者に対する復讐心)が改革と改善の原動力の役割を果たすのであれば、さらに望むことはない。しかしこの頃の風景は単発的・消耗的な発散という面がさらに目立っているようにみえる。誰もが被害者然として、すっかり弱者ばかりの世の中だ。自分のせいより人のせい、制度のせい、世の中のせいだ。成就よりもさげすみが、駆け足よりも(他人の)足首をとることが安易だからなのか。軍隊内の苛酷な行為や学校暴力も、加害者がいれば被害者もいるはずなのに、自分の子供が加害者である可能性は最初から抜きにして考えている。当然、政治家たちも彼らの顔色を伺って機嫌を取るのに余念がない。チョン・ユンフェ氏、趙顕娥(チョ・ヒョンア)氏が、権力もお金のなくて悔しい思いをしている「弱者」たちの関心をたっぷり受けている間に、公務員の年金改革のような本当に重要なイシューは失踪したような格好になってしまった。私も弱者で君も被害者だという退行的な感情消費の世相が果たしていつまで続くのか心配だ。この渦中で本当の甲は、ひそかにソロバンをはじいて笑っているはずだ。



記事にもあるように、韓国ではまず「自分は被害者なのだ」と発想することから物事を考えます。
その行動原理は以前の「韓国では被害者が一番偉い」で書いた通り非常に主観的で流動的なものなのですが、当然被害者がいるのならば加害者がいなければ成り立ちません。


そこで、韓国では何か問題が起きるとまず「加害者という名の生贄」を探す作業が始まり、「絶対的に正しい被害者」と主観的に感じた人々から様々な報復を受けます。
その報復は文字通り「加害者には何をしても良い」というもので、相当に理不尽な扱いを受ける場合もあるわけですが、その結果加害者と設定された側も「自分も被害者だ」と感じるようになり、社会に対して復讐心を持つようになります。


例えばこちらの事例が典型的でしょう。


チョ・ヒョンミン大韓航空専務が姉のチョ前副社長に「必ず復讐する」とメール
ハンギョレ新聞 2014.12.31
http://japan.hani.co.kr/arti/politics/19206.html
チョ前副社長の令状実質審査過程で明らかに
「すべての社員の過ち」に続く不適切な言動
「復讐の対象」明確でないが社内人物と思われる

 チョ・ヒョナ前大韓航空副社長(40)の妹のチョ・ヒョンミン大韓航空専務(31)が今回の事件に関連し「必ず復讐」すると誓う内容のメッセージをチョ前副社長に送っていたことが確認された。“ナッツリターン”事件をめぐり「すべての社員の過ち」と明らかにし物議をかもしたのに続き新たな問題を起こしそうだ。

 30日、裁判所と検察の説明を総合すると、チョ専務は姉のチョ前副社長がソウル西部地検に出席した17日頃、「必ず復讐する」という内容のメッセージを送っていたことが明らかになった。チョ前副社長の携帯電話を押収した検察が事件と関連するメッセージを確認する過程で分かったことで、この日にソウル西部地方裁判所で開かれたチョ前副社長の令状実質審査で提出された捜査資料に含まれたと伝えられた。

 チョ専務が誰を“復讐”の対象としているかは明らかでない。ただチョ前副社長が置かれている状況に関連した社内人物を指すものと思われる。

 チョ専務はチョ副社長が検察に出頭した17日、大韓航空マーケティング部門社員に「反省文」と題して送ったEメールで「私から反省する」としつつも「組織文化や今までの会社の誤った部分は一人だけでは作られない。すべての社員の誤りだ」と伝えていた。チョ専務が財閥オーナー家の誤った行動で起きた今回の事態について反省していないとする批判が出ている。



加害者と設定された側が、報復行為に対して「自分も被害者だ」と感じ加害者探しと報復を考えていると言う記事です。
そしてこれは、例えばこのナッツ・リターン問題のように、実際に罪以上の「報復行為」を受けた事例だけではありません。


韓国では加害者の側となったら何をされても文句を言えないという風潮があるため、加害者認定を受けそうな人々もまず「加害者探し」をしたり、或いは被害者側を加害者に設定し立場を逆転させようとする場合もあり、結果として全員が「自分は被害者だ」と訴えるようになります。


たとえば数日前に起きた米大使襲撃事件に関しても、犯人の要求は「米韓合同軍事演習への抗議」だったため、韓国政府も殆どのメディアも「親北派が加害者だ」と大宣伝を行うことで、いかに自分たちが被害者なのか、いかに親北派が加害者なのかをアピールしているわけですが、その結果現在韓国内の親北左派全てが加害者認定を受けかねない事態となっています。


当然韓国内の親北派も黙ってはいません。
結果親北左派系のメディアは最近こういった記事が多いです。


[コラム] 米国大使襲撃…それでも言うべきことは言おう
ハンギョレ新聞 2015.03.13
http://japan.hani.co.kr/arti/politics/19964.html
(前略)
 朴槿恵(パク・クネ)大統領はマーク・リッパート駐韓米国大使が襲われた事件を「韓米同盟に対する攻撃」とまで規定した。 そしてさらに「反米や韓米軍事演習中断などの極端な主張と行動は、自由民主主義を守ろうとする大多数の韓国国民の考えとは背馳するものだ」と言った。 イ・ビョンギ大統領府秘書室長も「韓国社会の憲法的価値を否定する勢力に対し、根本的な対策を立てることにした」と口を添える。

 「韓米軍事演習中断」は、リッパート大使を襲ったキム・ギジョンが叫んだという理由で、にわかに自由民主主義と憲法的価値を否定するスローガンになってしまった。 「餅を見たついでに法事まで」(ことのついでにやってしまう)という言葉があったが、政府はこの機に「反戦・平和」を叫ぶ口を完全に封じ込んでしまおうという算段のようだ。しかし、過去に韓米軍事演習を中止させた大統領は金大中(キム・デジュン)あるいは盧武鉉(ノ・ムヒョン)大統領ではなく、軍人出身の盧泰愚(ノ・テウ)大統領だった。 短く見ても40年、長くは60年になる韓米軍事演習において、たった一度だけあった1992年の中断だ。

 米国が朝鮮半島内の核弾頭を撤収すると決定したのがきっかけになった。 糸口をつけたのは米国政府だったが、北朝鮮との対話に自信と意志を持って北朝鮮を対話の場に引き入れたのは、盧泰愚政権だった。 そしてそのために、韓米軍事演習の中断という切り札を取り出した。
(後略)



要するに、米韓合同軍事演習で平和を脅かすアメリカと韓国政府が悪いのだと、北朝鮮の行いを棚に上げてアメリカと韓国政府を加害者に設定しようと躍起になっているのです。


これが韓国で一般的な、問題が生じた場合の行動原理であり、その先にある「報復行為」までのハードルを低くする価値観の土台となっている考え方です。
誰もがとにかく被害者になろうとするのです、そして韓国人的価値観に基いて加害者への「正当な報復」を行い、その報復を受けた側も報復行為を受けた事により「自身も被害者だ」と考えるようになり、機会さえあれば「被害者の正当な権利としての報復」を行おうとするのです。
なぜなら「被害者は正しい、加害者は間違っている」という考えが韓国では絶対的価値を持つからです。


そのため、韓国ではこういった事件も度々起こります。


【社説】「デパート母娘事件」…他人に対する配慮が消えた韓国社会
2015年01月08日16時42分
[ⓒ 中央日報/中央日報日本語版]
http://japanese.joins.com/article/060/195060.html
韓国ソウル近郊の富川(プチョン)のデパートで、「デパート代表の親戚」と明らかにした母娘が駐車アルバイト生をひざまずかせて頬を殴ったという主張がネット上に流れて大きな論議を呼んでいる。デパート側はこの母娘が代表の親戚でもVIP顧客でもないと釈明した。加害者とされている母娘は「駐車案内員が私たちの車に向かって拳を振るった」とし「逆に私たちが被害者」と反論した。



理由は何でも良いのです、とにかく不都合があったらまず相手が加害者であると認定する、そしてとにかく自分は被害者なのだから「その行為は正当だ」と訴える、そこに客観的事実は存在せず、主観的な判断によってあらゆる行為が正当化されるわけです。


当然ですが、これは対日関係においても同じです。
たとえば対馬の仏像盗難事件などが良い例でしょう。
盗難事件を起こして日本側から返還要求をされたら、その時点で韓国側が加害者という事になってしまいます。しかし、「あれは元々韓国のものであり、600年前に日本が盗んだものだ」とすれば、それで彼らの中では日本が加害者となるので、自動的に韓国的価値観では韓国側が被害者となり、仏像を返還しない事は「正当な報復」となるのです。


そこに「本当に日本が盗んだ物なのか」とか「国際法上どうすべきか」という発想は彼らの中にありません。なぜならば、これはあくまで「自身が加害者にならないため」の動機付けであって、事実関係を証明するのが目的では無いからです。
「どうしたら相手を加害者に出来るか(自身を被害者に設定できるか)」が全てです。


また、たとえば未だ拘束されている産経の元韓国支局長逮捕問題なども同じです。


ありもしない日王のスキャンダルを私たちのメディアが報道したとすれば?
デイリアン(韓国語) 2014-10-11
http://www.dailian.co.kr/news/view/462848
(前略)
今回の事件に対する検察捜査は国内のある市民団体の告発によってなされた。告発に続く捜査着手、そして不拘束起訴という法的手続きで進められた。大統領府や政府が直接出ていれば、韓日間外交問題に飛び火しかねないが、今はあくまでも‘民間と民間’の問題にすぎない。

また、加藤前支局長はメディアの当然の義務である‘ファクト確認’を経なかった。彼は検察で「私が記事を書いてパク大統領7時間空白の問題が明らかになった。韓国には良い結果ではないのか」と主張したことが分かったが、確認されなかった‘ファクト’は虚偽でなければ嘘、二つのうち一つにすぎない。

万一、我が国のメディアの日本特派員が確認されてもいない日王のスキャンダル容疑の記事を出せば、日本メディアの反応と日本市民団体が告発するか知りたい。特に加藤支局長はどのように反応しただろうか。

これと共にこれまで産経新聞嫌韓感情をそそのかす記事を継続的に掲載してきた点も注目される懸案だ。産経新聞は特に日本軍慰安婦問題を集中的に報道し、強制動員事実を否定するのに先頭に立っている。特に「慰安婦は高級売春婦であった」、「韓国といった時、思い浮かぶイメージは売春」などの発言をためらいなく吐きだすこともした。

日本メディアは加藤前支局長の起訴をめぐり‘外交問題に飛び火’と主張するが、逆に慰安婦問題など歴史的事実を歪曲し、韓日関係を悪化させるのは産経新聞だ。文字通り話にならない説の状況をはやく悟らなければならない。



これに関しても、そもそも最初に記事にした朝鮮日報がなぜ口頭注意のみなのかとか、当事者の朴大統領の名誉毀損をなぜ第三者の民間団体が告発できるかなど、様々な問題があり韓国は各国の政府や報道機関から批判されたわけですが、それだと韓国が加害者の側になってしまいます。


ですから、記事にもあるように「産経は元々問題があったのだ」と、産経側を加害者に設定し自身を被害者に設定する事で、「この行為は正当な報復なのだ」としているわけです。
これも当然、先ほど書いたような問題と照らし合わせて「本当に逮捕は正当だったのか」を彼らが検証する発想はありません。


また、記事中にある「産経の嫌韓記事」は、我々の価値観からすると起訴動機と全く関係ないわけですが、彼らからすると「相手に落ち度があれば良い」ので、これも正当な理由となるわけです。
この記事にしても韓国政府の対応にしても、あくまで韓国が被害者であり、産経(日本)が加害者なのだから自分達には報復の権利があると、そう結論付けるための動機付けなのです。
韓国で重要なのは、いかにして相手を加害者にし、「正当な報復の権利を得るか」だからです。


最後にもう一つ重要なことを。
韓国にはこういった非常に特殊な価値観があるわけですが、それに対して日本側が安易に「自分達は加害者だ」と認めてしまったらどうなるでしょうか。
当然の事ですが、韓国人の多くはこう考えます「日本が自ら加害者と認めたのだから、自分達には正当な報復の権利があるのだ」と。
そしてその報復の内容は、全て韓国人個人の主観的判断に委ねられます。


価値観の違いを無視した安易な言動が、更なる問題を引き起こすのです。