日韓問題(初心者向け)

日韓問題について、初心者でもわかりやすい解説と、日韓問題とマスコミ問題の動画のテキスト版を投稿しています。

韓国を「親日」「反日」で判断してはいけない理由


さて、本日は韓国メディアが何を否定できて何を否定できないか、何を肯定できて何を肯定できないかについて触れながら、韓国を「親日的」「反日的」で判断することが無意味である事を説明して行きます。


韓国関連の話題では、それが肯定的なものであれ否定的なものであれ、親日反日かが話題の中心となることが多いが、実際のところそれはあくまで日本人の常識の尺度で計ったものであるので、殆どの場合意味が無い。


これが最も解り易いのが韓国メディアの記事であり、彼らは親日反日(日本の否定と肯定)という観点から記事を書いているのではなく、韓国社会の常識で受け入れることが出来る事を肯定し、できない事を否定しているだけに過ぎないことが解る。


従って、日本のメディアなどが主張する「日韓関係の改善」などの解釈は意味が無く、彼らは彼ら独特の解釈を今まで通り行っているだけであり、韓国人の日本観が最近になって変わったわけでも、日本への態度を改めようと考えるようになったわけでもない。



※一部を除き、引用記事が日本語の場合には文中にリンク用アドレスとタイトルのみ表記、韓国語のものやリンク切れで参照不能な記事のみ文末にまとめて本文を引用します。
※本文中のリンクは引用の元記事、或いはインターネットアーカイブウェブ魚拓(別サイト)へのリンクです。


1:韓国が否定できない事、肯定できない事



まずはこちらの記事から

【取材日記】葛藤は相変わらず、慰安婦交渉妥結1年
2016年12月28日07時37分
[ⓒ 中央日報/中央日報日本語版]
http://japanese.joins.com/article/015/224015.html

今日は韓国と日本の慰安婦問題交渉妥結から1年になる日だ。1年8カ月間の交渉過程と後続措置を現場で見守った立場で、妥結1周年を迎える心情は複雑だ。

12・28合意は、慰安婦問題の解決を首脳会談の前提に掲げた朴槿恵(パク・クネ)大統領の固執で3年近く冷え込んでいた両国関係が解氷期を迎える契機だった。今年11月を基準に前年同月比で日本を訪問した韓国人は18.6%、韓国を訪問した日本人は29.5%増えた。韓日通貨スワップ議論再開決定(8月)にも合意がプラスの影響を及ぼした。

和解・癒やし財団は日本が拠出した10億円で慰安婦生存被害者29人に1億ウォン(約1000万円)ずつ支給した。年内に2人が追加で支給を受ける。被害者46人のうち1億ウォンを受領するという意思を表したのは34人だった。日本政府が「責任痛感」を前提に出した予算で支援が行われるという点で意味が大きい。

しかし葛藤は相変わらずだ。最も大きな問題は「お金を渡したのでやるべきことはすべてやった」というような日本の態度だ。財団は当初、被害者に1億ウォンとともに日本側の謝罪メッセージを伝える案を議論した。

しかし安倍首相が「毛頭考えていない」(10月)と述べ、なかったことになった。誠意ある反省とは距離がある態度だった。12・28合意に対する韓国国内の世論が悪化したのは当然のことだ。

大統領候補級の政治家が合意無効に言及するのもよくない。12・28合意に法的拘束力はないが、両国の外相が全世界に約束した事案だ。適法手続きに基づく補完はあっても無条件に破棄を主張するのは国の信頼を落とす。

「未来の世代が建てる平和の少女像推進委・サポーターズ」が釜山の日本総領事館前に少女像の設置を推進するのも大きな峠となる。総領事館はもちろん日本官房長官までが反対の意思を明らかにした。管轄地方自治体の釜山東区庁は道路占用許可対象物でないという理由で建立を許可していない。にもかかわらず推進委は31日に除幕式をする計画だ。外交部は「地方自治体が判断する事案」という立場ばかり繰り返す。

正答を見つけるのは難しい問題だ。政府は被害女性が「もういい」という時まで疎通、説明する努力をする方法しかない。日本も被害者の傷を癒やす誠意ある態度を見せるべきだ。安倍首相は真珠湾を訪問し、戦争犠牲者を追悼している。歴史を直視する態度を慰安婦被害者にも見せてこそ、まともな指導者という評価を受けられるだろう。


いわゆる慰安婦合意関連の記事なのですが、この記事は一般的な韓国人が否定できない事と肯定できない事の両方が非常に解り易い記事です。


記事全体としては「合意を覆すべきではない」という、いわゆる韓国の保守系の論調なのですが、それはあくまで「渋々である」という事も文章から非常に良くわかります。


また、記事中で「最も大きな問題は「お金を渡したのでやるべきことはすべてやった」というような日本の態度だ。」と書かれているように、彼らの望みはあくまで「日本が韓国に謝罪し続ける事(=日本が劣等性を認め続ける)」であって、だからこそ日本の態度に納得できないわけです。


参照記事
韓国では被害者が一番偉い


そして慰安婦合意を「無効にすべき」と主張している韓国の親北左派系との違いは、合意そのものを否定するか肯定するかだけであり、日本が「謝罪し続ける事」を解決とする考え方や、慰安婦の定義を「軍命令で軍人が組織的に行った拉致」とする考え方は共通です。


「慰安婦被害者を売り渡した」非難が続く「和解・癒やし財団」 ハンギョレ新聞  2016.12.28


つまり、日本のメディアが言うように「合意の履行を肯定する韓国人は日本に歩み寄っている」と考えるのは間違いで、合意を否定しようと肯定しようと、根本的な部分で謝罪の意味も慰安婦の定義も日本とは異なっており、今はそれが「表面化していないだけ」というわけです。


要するに、韓国人の一般的な考え方では「加害者の日本は永久に韓国に謝罪し続けるべきで、それこそが友好であり解決だ」と考えており、また慰安婦の定義は「軍命令で軍人が組織的に行った拉致」であるということを絶対視しており、決して否定できないわけです。


そして当然の事ですが、日本人的な解釈である「謝罪をすればそれで終わり」という考え方や、「軍命令で軍人が組織的に行った拉致は存在しない」という考えは、韓国人の一般的な考え方では決して「肯定できない」わけです。


朴裕河世宗大学教授が韓国で名誉棄損で訴えられ、現在検察から懲役3年を求刑されているのも、要するにこの韓国側の常識を著書「帝国の慰安婦」で否定したからです。


検察、「帝国の慰安婦」の著者・朴裕河教授に3年求刑 ハンギョレ新聞  2016.12.21

※余談になりますが、この記事では証言がころころ変わることで有名な「李容洙さん」の証言が掲載されていますが、いつもの事ですがまた証言内容が変わっています。


この事は日韓問題に多少なりとも関心のある人なら周知の事実ですが、日本のメディアが全く触れないこともあり知らない人が多いことが非常に問題です。


また、慰安婦問題以外でも竹島問題や日本海呼称問題、旭日旗問題などでも基本的な部分は全く同じで、韓国社会ではこれらを否定する事や日本側の意見を肯定する事は一切出来ませんし、公的に日本の意見を認める発言をすると最悪警察のご厄介になる(実際に逮捕されるかどうかは別として)事態になります。


2:韓国が否定できる事、肯定できる事


次に上記とは逆に韓国内で否定できたり肯定できたりする事は何かという事になるのですが、これに関しては以前書いた「ウリとナムの概念」や、「韓国独特の評価基準」で言及した、あてつけ的な「相対的な序列の向上」が関係しています。


たとえば、最近韓国では日本と比較して「日本はしっかりやっているが、それに比べて韓国は~」といった内容の記事が多く、最近も鳥インフルエンザの対策に韓国が失敗している事を、日本の対策と比較して批判しています。


【社説】鳥インフル殺処分数から分かる韓日の違い 朝鮮日報 2016/12/20
韓国は「渡り鳥注意」、日本は全面防疫…鳥インフルエンザ初期対応が違った 中央日報 2016年12月15日


これらなのですが、一見すると日本の対策を高く評価しているので、韓国的価値観を知らない人が読んだら「韓国が日本に対して融和的になった」と解釈する人が多いでしょう。


なぜかといえば、一般的に反日とは「とにかく日本のことを何でも激しく否定しバッシングする事」という印象が日本において強いからです。


しかし実際にはそんな単純なものではなく、現在韓国では崔順実問題とそれに関連した朴大統領の弾劾の影響で、政府の行いは何でも否定的に解釈する傾向があり、政府の行いを批判するために「韓国内で道徳的に劣等とされている」日本を引き合いに出して、「それ以下だ」とやっているに過ぎません。


また、韓国独特のウリとナムの概念では、ウリ(自身と自身の身内・仲間)の範囲が状況に合わせて拡大縮小・移動するため、韓国政府をウリの範囲から外しているので批判できるという背景もあります。


要するに、都合が悪くなったらその対象をウリの範囲から外してナムとしてしまえば、「自分は関係が無い」となるので、日本を肯定的に引き合いに出して相手を否定しても問題が無いわけです。


逆説的に、ウリの範囲であるものを「日本より劣っている」と定義すると彼らは激しく反発します。
要するに、実態がどうかよりもウリとナムどちらに定義されているのか、それが彼らにとって重要であり、韓国が日本を肯定的に引き合いに出す事例はほぼ全てこの法則に沿っています。


また他にも最近ニコニコのブロマガでも話題になった、韓国のコスメ会社がポップアート作家の奈良美智氏のデザインを丸パクリした絵を使用し、奈良氏が抗議をしたところ逆提訴されてしまった問題では、韓国内でもコスメ会社の方を批判する人が多いです。


(※1)
韓国コスメ会社、作家・奈良美智とデザインの紛争か コンシューマーワイド(韓国語) 2016.12.22


これに関して「韓国は反日である」という前提のみで判断すると、韓国人はコスメ会社の方を擁護しそうに見えるので、「韓国は実はあまり反日ではないのではないか」とか「対日観が変わったのではないか」と判断されがちです。


「韓国の若い人は親日的」という意見が出てくるのもこの延長の考え方でしょう。


しかしこれに関しても実態はまるで異なっており、まず大前提として奈良氏は世界的に有名な作家であり、奈良氏がこの件をツイートしたことで世界中の多くの人がこのコスメ会社の対応に否定的な意見を持ちました。


韓国社会ではこの世の中に絶対的な正しさがあると信じられており、その正しさは「世界中全ての人が共有するもの」と考えられているので、世界中の多くの人が奈良氏側に立ったことでそれを「正しさ」と判断したわけです。


またそれと同時に、韓国では企業や裕福層による不正が日常的に発生しており、特に最近は崔順実問題の影響で裕福層や権力を持つ人々による不正に敏感になっており、また「企業が一般人を騙して搾取している」という社会不信も強いため、個人対企業なら個人を支持する人が多いのです。


この件に関しては、いわゆる韓国社会独特の「恨(ハン)」の概念も関係しているでしょう。
韓国では裕福であるとか権力があるということは、それ自体が「恨」の蓄積対象となるわけですから。


要するにこれらの件も、一見すると日本人の常識の範囲内でも解釈できそうではありますが、実際には内部で「全く別のロジックによる処理」が行われています。


ですから、こうした事例を見て「韓国も頑なな反日から親日的に変わった」と考えて、日本の常識を当てはめて関わると、「(日本人からみて)非常識であったり、反日的であったりする態度」を取られたりします。


彼らは私達とは全く異なる、彼ら独特の価値観=常識で物事を否定したり肯定したりしているのです。


3:「親日」「反日」の定義は意味が無い


日本では韓国の動向に関して親日反日かの区分けで判断することが多いですが、今回書いたようにそれはあくまで「日本の常識に韓国を当てはめているだけ」であって、実態はまるで異なっています。


そして今回この件を書いたのは、最近ネット上でもこうした「親日反日か」という日本の常識を前提とした韓国観を持つ人が意外と多く、「目立たない件なだけに日本人が陥りやすい問題ではないか」と考えたからです。


そしてこれは何も、韓国人達から「良心的日本人(例1 例2)と呼ばれている、私が便宜上「日韓友好論者」と呼んでいる人々や、或いは韓国に対する予備知識が皆無の人達だけではなく、「嫌韓」と定義されている人達もこの問題に陥りがちです。


要するに「反日親日)だから○○だ」と固定観念を持ってはいけないという事です。


結局のところ、韓国的価値観=常識が日本人のそれと大幅に異なっているからこそこうした現象が発生するわけですが、これをやってしまうとものによっては「問題が全く別物」になってしまい、余計に問題が拗れるうえにメディアの行う印象操作が通り易くなってしまうので問題なのです。


そして韓国は現在経済的にも政治的にも苦しくなってきており、また中国がTHAAD問題に関連し「韓流排除」や「韓国企業排除」に動いている事から、その代替案として「日本への再接近」が活発化してきています。


この状況のなかで「日本人の常識で親日反日かを定義する」という事をしていると、日本側の判断ミスが積み重なって問題が拗れていくという状況になりかねず、日韓の間の問題が更に複雑化していく可能性があります。


来年からはこれまでにも増して「日本と韓国の価値観=常識の違い」を意識することが重要となって来るでしょう。
特にこれからは、あらゆる意味で「東アジア情勢が激変」しそうですから。


お知らせ
今後の更新に関してなのですが、このブロマガの今年の更新はひとまず今回が最後となります。(何か大きなことが起きれば臨時で書くかもしれませんが)


12月31日は更新をお休みし、次回更新は2017年1月4日を予定しています。
また、もう一つやっているマスコミ問題を扱う「暇つぶしにどうぞ」のほうは、前回の更新が今年最後となり、次回は2017年1月9日を予定しています。


それでは皆様、今年はこのブロマガを読んでくださりありがとうございました、そして来年もよろしくお願いします。
良いお年を。



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以下は当ブロマガのお勧め記事マイリストです、もしよかったらこちらもどうぞ。









(※1)
韓国コスメ会社、作家・奈良美智とデザインの紛争か
コンシューマーワイド(韓国語) 2016.12.22
http://m.consumerwide.com/news/articleView.html?idxno=13255

コスメ会社、ダブリューラボ(W.Lab)の「ハニービームクッション」が、日本のアーティスト奈良美智とデザインの法的紛争に巻き込まれる羽目になった。製品ケースのイラストが奈良美智の画風と似ていることが問題になった。

作家、奈良美智は22日、Twitterに、これに関連して自分の立場を上げた。このツイッターの内容は、投稿から3時間後に約8000回リツイートされ、日韓両国で話題になっている。奈良美智ツイッターは約13万5000人が購読している。

奈良美智側によると、韓国の化粧品会社の製品の画像がとても自分の画風と似ているため警告を送ったところ、逆に、この会社が訴訟を提起した。小さなコピー製品やお店の看板などは、目をつぶっている。しかし、警告を送信することでこの会社の改心を期待していた。だが、この会社は、「著作権は会社側」「奈良美智に損害賠償の請求権はない」と述べたのである。

奈良美智Twitterを使って「著作権の専門の弁護士と相談しながら対応する」とし、「聞きたいのは、その会社よりあくまでデザイナーとその周辺」と明らかにした。最後に、「それでも韓国での展覧会は、またやりたい」と付け加えた。

韓国内の消費者は不合理だという反応を見せている。奈良美智ツイッターを翻訳した内容を上げて、その事実を広く知らせるという消費者も出てきた。「事実を知る前は、当然コラボレーション製品だと思っていた」、「奈良美智のように有名な作家の絵もコピーなんて」、「全世界的にRTするのに恥ずかしい」、「逆告訴は一体何の名目でしているかどうか気になる」などの意見を提示した。