日韓問題(初心者向け)

日韓問題について、初心者でもわかりやすい解説と、日韓問題とマスコミ問題の動画のテキスト版を投稿しています。

今更日本にすり寄りはじめた韓国


さて、今回は最近の韓国のかなり今更な方針転換についてとなります。
元々韓国は、財界などを中心に日本との関係改善を訴える声が強く、アメリカと共に政府が関係回復努力をするよう要求しており、その結果がツートラック・アプローチとよばれる外交と歴史問題を分離させる政策だったのですが、一般の韓国人の大半は親北左派系の意見に同調し、「道徳的に劣った日本に譲歩したら歴史問題が有耶無耶になる」と否定的でした。


が、最近どうも様子がおかしい事に一般の韓国人も気付き始め、以前から韓国の保守系が掲げていた「用日論」に傾きつつあります。
なぜかといえば、韓国人の「本来の予定」では、今頃韓国は世界中から道徳的正しさを評価され名実共にアジアのバランサーとなり、韓国を中心として日本は世界中から叩かれ、韓国の道徳的正しさを理解し深く反省しているはずだったのです。


しかし、現実はそうなっておらず、韓国の要求でアメリカから拒否されるはずだった安倍首相の米議会演説が成功し、更にそこで行われた演説が韓国の納得のいくものではなかったにも関わらず、アメリカでは高い評価を受けたうえに、元々同じ仲間だと思っていた中国までも、バンドン会議で首脳会談を行うと言う、韓国にとって想定外の事が起こりすぎたのです。
(韓国以外から見れば必然だったのですが)


更に、韓国が理想とした「アジアのバランサー」という地位は、中国の経済発展を背景として日本やアメリカと対等以上に渡り合うという非常に手前勝手な「絵に描いた餅」だったのですが、その前提となる中国の経済発展が最近目に見えて鈍化し始めており、日米に対する時は中国の傘に入り、中国と対する時は日米の傘に入るという彼らの思惑がどうも上手く行かないと気付き始めたという事が原因として挙げられます。


結果として、「どうやらこのままでは不味いのではないか」と多くの韓国人が今更ながら彼らの望む理想通りになっていない事に気付いた結果、「日本は気に入らないが学ぶべき事は学ぼう、日本を上手く利用しよう」という、90年代までの韓国の方針へと回帰する用日論に傾きつつあります。
それが今回のタイトルにもある「すり寄り」の中身です。


まずはこちらの記事から


アベノミクスに学べ」 韓国政府の評価一変
朝鮮日報 2015/05/22
http://www.chosunonline.com/site/data/html_dir/2015/05/22/2015052200886.html(リンク切れ)
http://web.archive.org/web/20150522125325/http://www.chosunonline.com/site/data/html_dir/2015/05/22/2015052200886.html(ウェブアーカイブ
日本はアベノミクス安倍晋三政権の経済政策)により大胆かつ機動的な金融・財政政策を進める一方、長期的な成長潜在力を引き上げるための努力も並行している。

 韓国政府が最近、日本経済で最も注目しているのはアベノミクスの第3の矢である成長戦略だ。当初はアベノミクスが第1の矢(金融政策)と第2の矢(財政政策)にばかり重点を置いているように見受けられたが、最近は成長戦略もスピード感を持って進められているためだ。

 対外経済政策研究院が21日に発表した日本の成長戦略に関する報告書によると、日本は産業再生、戦略産業の育成、グローバル市場の開拓という3分野に焦点を当てて成長戦略を進めている。

 チェ・ギョンファン経済副首相兼企画財政部(省に相当)長官は20日の経済関係閣僚会議で「アベノミクスは当初は周囲から懸念もあったが、規制改革と対外開発を両軸に成果を収めている。特に農業、医療、観光分野で目に見える成果が出ている」と評価した。

 チェ副首相は昨年9月、オーストラリアのケアンズアベノミクスについて問われ「プリンティング・マネー(輪転機)で紙幣を刷ること以外の何物でもない」と低評価していたが、見方を改めたことになる。

 企画財政部の関係者は「日本は近ごろ構造改革に力を入れており、さまざまな成果が出ている。チェ副首相の発言は、韓国の4部門(公共・労働・教育・金融)の構造改革がなかなか進まないため、日本から学ぶことは学ぼうという趣旨のものだ」と説明した。



この韓国政府の態度なのですが、少し前なら国中から大バッシングを受け「親日派売国奴」とレッテルを貼られていたでしょう。
しかし、先ほども書いた様に明らかに現実が韓国の思惑通りにいっておらず、頼みの綱だった中国も韓国の理想通りに動いてくれない事から、日本を再評価して「すり寄る」という態度が受け入れられつつある事を表しています。


またこちらの記事も韓国人の心境の変化が非常に顕著に現れています。


【社説】日本は浮上、中国は沈滞…北東アジア経済地図が変わる(1)(2)
2015年06月09日11時25分
[ⓒ韓国経済新聞/中央日報日本語版]
http://japanese.joins.com/article/556/201556.html
http://japanese.joins.com/article/557/201557.html
日本経済は回復し、中国経済は徐々に鈍化している。ほぼ一世代続いた「日本没落、中国浮上」という北東アジア経済地図に大きな変化が生じたのだ。日本の今年1-3月期の成長率は1%(年率3.9%)と、韓国(0.8%)を上回った。アベノミクスに対する疑いの目にもかかわらず、持続的な構造改革と円安好況で目を引く成果を出している。一方、中国は4-6月期の成長率予測値が6%台に落ち、5%台のハードランディングまで懸念されている。一言で「ジャパンサプライズ、チャイナショック」だ。

韓日中は緊密な垂直分業構造であると同時に、主力産業で競合関係にある。3カ国間の貿易収支はジャンケンをするようにお互い黒字と赤字で絡み合っている。経済の長期傾向が変われば衝撃波が伴う。中国と日本の間に挟まれた韓国としては、日本が浮上しても問題、中国が沈滞しても問題だ。国内の懸案に陥没している間、北東アジア経済にどんなことが生じているのだろうか。

◆ジャパンサプライズ、企業の投資が牽引

日本内閣府は昨日、1-3月期の実質GDP修正値を前期比1.0%(年率3.9%)増と発表した。4期連続のプラス成長だ。物価上昇率を含む名目成長率は2.3%(年率9.3%)にもなる。1990年以降の最高値だ。この流れなら、今年は日本の成長率が韓国を上回ると予想される。経常収支も観光収支の大幅増加を受け、持続的に黒字を維持している。4月の黒字は1兆3264億円にのぼった。

何よりも企業の設備投資が成長を牽引している。1-3月期の企業の設備投資は2.7%増加した。特に小売業・流通などサービス業の投資が大幅に増えた。日本経済が本格的に消費回復軌道に入ったという分析が出ている。日本企業の体質改善が投資の増加につながっている。売上高は大きく増えていないが、経常利益は2012年以降、最高水準を更新している。1-3月期の日本企業の経常利益は7年ぶり最大の22兆2600億円となった。これに伴い、日本企業の倒産件数は724件にとどまり、前年同期比13%減少した。倒産企業数は1990年以来25年ぶりの最低水準だ。

もちろん円安や原油安など外部的な要因がこうした収益性の向上を支えているが、さらに注目するべき点は日本企業の骨身を削る構造改革だ。改革による体質改善が設備投資の拡大を牽引し、こうした投資が所得を増加させ、消費の拡大につながることで、経済の好循環構造を作るのが、アベノミクスの目標だ。日本経済の回復は、すなわちアベノミクスの成功だ。
(後略)



元々韓国は「日本は既に落ち目であり経済的に没落した、だから発展著しい韓国に嫉妬しているのだ」という評価が一般的でした。
これは要するに、日本のメディアの論調をそのまま鵜呑みにした結果で、つい最近まで韓国はこの日本のメディアの論調をベースとして政策決定までも行い、一般の韓国人の大半もそれを支持していました。


だからこその「あの態度」であり、また2000年代に入り先鋭化した民族主義や蔑視ありきの自民族中心主義がそれを後押ししていたわけです。
しかしそれが今年に入り何もかも上手く行っていないことにようやく一般の韓国人が気付き始め、かなり動揺し始めたのです。
結果「用日論」の再評価へとつながり、最近それが顕著になり始めたという事です。


では韓国のこの方針転換は上手く行くでしょうか。
はっきり書けば失敗するでしょう。
一番の理由は、今の韓国は90年代までと違い民族主義や蔑視ありきの自民族中心主義がかなり先鋭化しているからです。


こうした背景から、韓国人の中のアジアのバランサーとしての「かくあるべき姿」は揺らぎましたが、だからといって先鋭化した民族主義や蔑視ありきの自民族中心主義まで揺らいだわけではありません。
つまり、それらを背景とした「韓国人の中の絶対的正しさ」はそのままという事です。


そして、以前「韓国人は常に「自分達は援助・優遇されて当たり前」と考えている」で書いたように、韓国人は絶対的正しさを背景として、自分達は常に正しい事をしているのだから、全ての国は韓国人の正しさを理解し、かつ韓国人の気持ちを理解し援助するのが当たり前であり、それがこの世の常識であると考えているので、例えば以下のようなことを今でも続けています。


国際社会に「アベノミクスは隣国窮乏化政策」と訴えよ
朝鮮日報 2015/06/07
http://www.chosunonline.com/site/data/html_dir/2015/06/06/2015060600382.html
http://www.chosunonline.com/site/data/html_dir/2015/06/06/2015060600382_2.html
(前略)
■韓国の政府・中銀、求められる政策対応

 為替変動に手をこまぬいていた韓国銀行も今年3月、政策金利を過去最低の水準(年1.75%)まで引き下げ、為替戦争に加わる姿勢を見せたが、円安が急激に進み、効果を失った。アベノミクスが始まった2012年10月、100円=1430ウォンだったウォン・円相場は最近890ウォンまでウォン高が進行し、現代自動車など主力輸出企業まで日本企業に押されぎみとなった。

 韓国金融研究院の辛星煥(シン・ソンファン)院長は「円安が進む状況で、輸出と国内の雇用を守る方法としては、政府は追加補正予算の編成で資金を供給すべきであり、韓銀は利下げをためらってはならない」と述べた。姜萬洙(カン・マンス)元企画財政部長官は「円安は韓国経済に悪夢をもたらす。為替相場を市場に任せる国は地球上に一つもないという事実を肝に銘じるべきだ。韓銀は追加利下げを行うべきだ」と指摘した。

 輸出よりも内需低迷で輸出減少幅が大きいために生じる不況型黒字で、今年は600億ドルの経常収支黒字が予想されており、ドルを国内に積み上げないように、海外への資本輸出を拡大し、ウォン切り上げ圧力を軽減すべきだとの指摘もある。

 また、アベノミクスが隣国を窮乏させる政策であり、為替戦争をエスカレートさせているとの主張を展開し、米国など国際社会が円安を一定のラインで阻止するようにする「為替外交」も求められる。これに関連し、チェ・ギョンファン経済副首相は4日、経済協力開発機構OECD)閣僚理事会で、「経済危機の過程で主要先進国が取った史上例がない通貨政策の副作用なき正常化が当面の課題であり、新興国が大きな打撃を受けることがないようにすべきだ」と主張した。


韓国製よりも安い日本製出現に韓国輸出企業が悲鳴
朝鮮日報 2015/06/07
http://www.chosunonline.com/site/data/html_dir/2015/06/06/2015060600379.html
韓国主力輸出産業に円安直撃、中小企業は崖っぷち

韓国が世界的な為替戦争で劣勢に立ち、韓国の輸出企業が苦しんでいる。円安にユーロ安も重なり、薄氷のグローバル競争を展開する自動車、造船、鉄鋼分野は相次いで不利な立場に立たされている。

 韓国で輸出企業の代表と言える現代自動車と起亜自動車は、今年第1四半期(1-3月)に販売台数が前年同期比それぞれ3.6%、2.7%減少した。トヨタ、ホンダ、ダイムラーBMWフォルクスワーゲンを含む主要11メーカーの中ではそれぞれ11位、10位で事実上の最下位だった。さらに深刻なのは収益性の低下だ。昨年第1四半期に9%だった現代自の営業利益率は今年第1四半期には7.6%、起亜自の場合も6.2%から4.6%にそれぞれ低下した。一方、BMWは同じ期間に11.5%から12.1%に、トヨタは6.6%から8.9%へとそれぞれ営業利益率が上昇した。

 産業研究院(KIET)のイ・ハング上級研究委員は「現代・起亜自の不振は新車発売競争と燃費競争に敗れたこともさることながら、ユーロ安、円安で価格競争力を失っていることが最大の要因だ」と述べた。
(後略)




こうなったのは、要するに韓国が延々と「日本の後追い」をし続けたからです。
そして後追いをするも技術的には全く追いつけなかったため、「日本と全く同じ産業構造」の韓国はダンピングによる価格競争のみで日本との競争を続けていました。


なので日本と渡り合える部分が価格しかなく、そのためこうした為替のちょっとした変動で窮地に陥っているだけの事であり、本来ならばある一定のラインを超えたところで台湾のように独自路線の産業構造へと変化させるべきところをしなかった事がこの結果を生み出しているわけです。


しかし韓国人は、自分達は常に正しい事をしているのだから、世界中の人々はこの正しさを理解しなければいけないと考えています。
傍から見たら単なる韓国の経済政策の失敗でしかないのですが、韓国人にはそれが世界に通用する大義名分に見えているのです。


この事が重要です。
韓国は今後「用日」に転換していくでしょうが、極々私的な韓国の利益を国際社会の公益と思いこんでいるので、日本に対する用日の態度も「相応の物」となり続けるのです。
つまり、韓国の利益でしかない物を「これこそが世界秩序の利益だ」と日本に要求し続けていくという事です。


当たり前の事ですが、日本は韓国の保護者ではないのですから、日本の国益を超えて韓国の国益のために動く事など出来ません。
結果的に、関係改善どころか今後は韓国が用日をしようとすればしようとするほど関係は悪化していくでしょう。


更にもう一つ問題があります。
韓国が非常に独善的で手前勝手な関係改善を日本に対して望んでいる事に対して、日本側から韓国に手を差し伸べるのはこんな人達だという事です。


日本の知識人281人が声明 安倍談話には謝罪が必要
聯合ニュース 2015/06/08
http://japanese.yonhapnews.co.kr/relation/2015/06/08/0400000000AJP20150608003400882.HTML
【東京聯合ニュース】和田春樹・東京大名誉教授など日本の知識人281人は8日、「2015年日韓歴史問題に関して日本の知識人は声明する」という題名で、過去の歴史問題をめぐり悪化した韓日関係に関する見解を発表した。

 声明は安倍首相が韓日国交正常化50周年である今年に発表する戦後70年談話が、河野談話村山談話など、これまでの日本政府の談話の継承を確認することからはじめなければならないと主張した。

 またアジアの国々に対する侵略と植民支配が中国や韓国など隣国の人々に損害と苦痛を招いたことを再確認し、反省と謝罪の心を再び表明しなければならないと提言した。

 また韓日の間に存在する歴史問題のうち、最も解決が急がれるのは旧日本軍による慰安婦問題とした上で、河野談話以降、日本政府や韓日の研究者・市民により、慰安婦制度に関する新しい資料が発掘・公開され、慰安所の設置・運営は民間業者ではなく、旧日本軍が主体となって行っていたことが明確になったと指摘。日本が国の責任を認めるよう促した。

 また声明は、現在の韓日関係がヘイトスピーチ(憎悪表現)などにより、危機に直面していると主張する一方で、共通の歴史認識を拡張していけば、危機を克服することができるとの考えを示した。

 声名は和田氏のほか、水野直樹京都大教授、林博史関東学院大教授、上野千鶴子東京大名誉教ら17人が発起人となり作成され、8日までに朝鮮半島関連の専門家を中心に281人が参加した。英語と韓国語でも発表される予定。



以前から書いていますが、彼らは別に韓国のためを思って「韓国の想定する公益」を理解して日韓友好を訴えているわけでも、日本政府に謝罪を求めているわけでもありません。
彼らは韓国が自らの政治的思想に利用しやすいから利用しているだけです。
また或いは多文化主義をこじらせて、上から目線で韓国を助けてやる事が国際交流であると自己満足の「おためごかし」をしているだけに過ぎません。


当たり前の事ですが、そんな人達が韓国の問題点を指摘できるわけもなく(実際指摘していませんが)、指摘できなければ韓国のこの独善的な暴走は延々と続くわけですから、より一層日本人から韓国へのイメージは悪化していくわけです。


こうして、韓国は韓国なりに考えて日本との関係改善に本格的に取り組み出したのですが、余りにも特異すぎる韓国的価値観と、日韓友好を訴える人々の意図的・無意識に関わらない悪質さから、何もかもが更なる最悪の方向へと今後向かっていくだろう事が、容易に想像が出来るわけです。


今後日本としては、韓国はもうどうしようもないですから韓国が私益と公益を取り違えた要求をしてきても拒否し続け、付かず離れずの一定の距離を取った対応をし続けていくだけです。
それよりも問題は、日本側で上辺だけの日韓友好を訴える人々をいかにして糾弾していくかが重要でしょう。


日本にとっての問題は韓国よりも彼らです。
彼らは明らかに韓国暴走の主要原因となっているわけですから。