さて、今回は話題の産経新聞ソウル支局長起訴問題についてとなります。
ちなみに今回記事の性質上あまり引用元の省略をしません、結果的に全体として「非常に長い記事」になります、その点だけご了承ください。
まずは問題となったzakzakの該当記事から。
【追跡~ソウル発】朴槿恵大統領が旅客船沈没当日、行方不明に…誰と会っていた?
zakzak 2014.08.04
http://www.zakzak.co.jp/society/foreign/news/20140804/frn1408040858001-n3.htm
http://www.zakzak.co.jp/society/foreign/news/20140804/frn1408040858001-n4.htm
※1と2はあまり関係が無かったので省略
コラムは、7月7日の青瓦台秘書室の国会運営委員会での業務報告で、セウォル号の事故の当日、朴大統領が午前10時ごろに書面報告を受けたのを最後に、中央災害対策本部を訪問するまで7時間、会った者がいないことがわかった」と指摘。さらに大統領をめぐる、ある疑惑を提示した。コラムはこう続く。
「金室長が『私は分からない』といったのは大統領を守るためだっただろう。しかし、これは、隠すべき大統領のスケジュールがあったものと解釈されている。世間では『大統領は当日、あるところで“秘線”とともにいた』というウワサが作られた」。
「秘線」とはわかりにくい表現だ。韓国語の辞書にも見つけにくい言葉だが、おそらくは「秘密に接触する人物」を示す。コラムを書いた記者は明らかに、具体的な人物を念頭に置いていることがうかがえる。コラムの続きはこうなっている。
「大統領をめぐるウワサは少し前、証券街の情報誌やタブロイド版の週刊誌に登場した」
そのウワサは「良識のある人」は、「口に出すことすら自らの品格を下げることになってしまうと考える」というほど低俗なものだったという。ウワサとはなにか。
証券街の関係筋によれば、それは朴大統領と男性の関係に関するものだ。相手は、大統領の母体、セヌリ党の元側近で当時は妻帯者だったという。だが、この証券筋は、それ以上具体的なことになると口が重くなる。さらに「ウワサはすでに韓国のインターネットなどからは消え、読むことができない」ともいう。一種の都市伝説化しているのだ。
コラムでも、ウワサが朴大統領をめぐる男女関係に関することだと、はっきりと書かれてはいない。コラムの記者はただ、「そんな感じで(低俗なものとして)扱われてきたウワサが、私的な席でも単なる雑談ではない“ニュース格”で扱われているのである」と明かしている。おそらく、“大統領とオトコ”の話は、韓国社会のすみの方で、あちらこちらで持ちきりとなっていただろう。
このコラム、ウワサがなんであるかに言及しないまま終わるのかと思わせたが途中で突然、具体的な氏名を出した“実名報道”に切り替わった。
「ちょうどよく、ウワサの人物であるチョン・ユンフェ氏の離婚の事実までが確認され、ウワサはさらにドラマティックになった」
チョン氏が離婚することになった女性は、チェ・テミンという牧師の娘だ。チョン氏自身は、大統領になる前の朴槿恵氏に7年間、秘書室長として使えた人物である。
コラムによると、チョン氏は離婚にあたり妻に対して自ら、財産分割及び慰謝料を請求しない条件を提示したうえで、結婚している間に見聞きしたことに関しての「秘密保持」を求めたという。
証券筋が言うところでは、朴大統領の“秘線”はチョン氏を念頭に置いたものとみられている。だが、「朴氏との緊密な関係がウワサになったのは、チョン氏ではなく、その岳父のチェ牧師の方だ」と明かす政界筋もいて、話は単純ではない。
さらに朝鮮日報のコラムは、こんな謎めいたことも書いている。
チョン氏が最近応じたメディアのインタビューで、「『政府が公式に私の利権に介入したこと、(朴槿恵大統領の実弟の)朴志晩(パク・チマン)氏を尾行した疑惑、(朴大統領の)秘線活動など、全てを調査しろ』と大声で叫んだ」
具体的には何のことだか全く分からないのだが、それでも、韓国の権力中枢とその周辺で、なにやら不穏な動きがあることが伝わってくる書きぶりだ。
ウワサの真偽の追及は現在途上だが、コラムは、朴政権をめぐって「下品な」ウワサが取り沙汰された背景を分析している。
「世間の人々は真偽のほどはさておき、このような状況を大統領と関連付けて考えている。過去であれば、大統領の支持勢力が烈火のごとく激怒していただろう。支持者以外も『言及する価値すらない』と見向きもしなかった。しかし、現在はそんな理性的な判断が崩れ落ちたようだ。国政運営で高い支持を維持しているのであれば、ウワサが立つこともないだろう。大統領個人への信頼が崩れ、あらゆるウワサが出てきているのである」
朴政権のレームダック(死に体)化は、着実に進んでいるようだ。
以上なのですが、ここでいくつか引用されている「コラム」とは、以下の朝鮮日報の記事です。
【コラム】大統領をめぐるうわさ
朝鮮日報 2014/08/10 15:52
http://premium.chosun.com/site/data/html_dir/2014/07/17/2014071704223.html(韓国語)
http://www.chosunonline.com/site/data/html_dir/2014/08/10/2014081000868.html(リンク切れ)
http://web.archive.org/web/20140810072330/http://www.chosunonline.com/site/data/html_dir/2014/08/10/2014081000868.html(ウェブアーカイブ)
http://web.archive.org/web/20140810072441/http://www.chosunonline.com/site/data/html_dir/2014/08/10/2014081000868_2.html(ウェブアーカイブ)
http://web.archive.org/web/20140810072441/http://www.chosunonline.com/site/data/html_dir/2014/08/10/2014081000868_3.html(ウェブアーカイブ)
大統領をめぐるうわさは、世間の人々は皆知っているが、当の大統領本人は知らないに違いない。
記者がそう思ったのは、7月7日、大統領府秘書室が国会運営委員会で行った業務報告がきっかけだ。旅客船「セウォル号」沈没事故が発生した日の午前10時ごろ、朴槿恵(パク・クンヘ)大統領が書面で初めて報告を受けてから中央災難(災害)安全対策本部に出向くまでの7時間、対面での報告も、大統領主宰の会議もなかったということが判明した。当時、野党・新政治民主連合の朴映宣(パク・ヨンソン)院内代表と大統領府のキム・ギチュン秘書室長はこんなやりとりをした。
「大統領は執務室にいたのか」「居場所については私は知らない」「秘書室長が知らなくて、誰が知るのか」「秘書室長がいちいち、一挙手一投足を全て知っているわけではない」
大統領のスケジュールをリアルタイムで把握できないというわけだ。後になって知るという。しかし、問題の日は大惨事が発生した日だ。当然「大統領は今どこにいるのか」と尋ねたり、探したりしてしかるべきだ。
キム室長が「私は知らない」と言ったのは、大統領を守ろうとしたからだろう。だがこれは、秘書室長にも隠したい大統領のスケジュールがあるという意味にもとられかねない。世間では「大統領はあの日、ある場所で誰かと密会していた」といううわさが流れた。いっそのこと「大統領の居場所について公の場で話すのは困る」と言っておけば、こんな状況にならなかったのではないだろうか。
大統領をめぐるうわさ話はつい最近まで、証券業界の情報紙やタブロイド紙で取り上げられるようなものだった。良識のある人々は、そのようなことを口にすること自体、自らの地位を下げるものだと考えていた。誰かが話題にしようものなら『そんないいかげんな話はやめろ』と止めたものだ。
そんな扱いをされていたうわさ話が、7日の国会でのやりとりをきっかけに、一般のメディアでも取り上げられるようになった。プライベートな場での数人の人々の雑談の中でそのような話が出るのではなく、「ニュース」として登場しているのだ。
さらに、うわさ話に登場していたチョン・ユンヒ氏が離婚していたことまで判明し、事態はさらにドラマチックになった。チョン氏は財産分与や慰謝料の請求をしないという条件で、妻に対し婚姻期間中の出来事について「秘密の維持」を求めた。故・崔太敏(チェ・テミン)牧師の娘婿に当たるチョン氏は、朴大統領が国会議員時代に秘書室長を7年間勤めた。チョン氏は最近、あるメディアとのインタビューで「私の利権への介入や(朴大統領の弟)朴志晩(パク・チマン)氏に対する尾行疑惑、裏での活動などについて、政府が公然と調査をやればいい」と大声で怒鳴った。
世間の人々は真実かどうかを抜きにして、このような状況を大統領と関連付けて考えた。以前なら、大統領を支持する勢力は烈火のごとく怒っただろう。支持者ではない人たちも「言及する価値すらない」と思ったに違いない。ところが今は、そのような常識が崩壊し、理性的な判断ができなくなっているようだ。
国政運営で高い支持率を維持していれば、うわさが流れることもないだろう。大統領個人に対する信頼が失われたことで、あらゆるうわさが流れているのだ。それは身体の免疫力が落ちたとき、鳴りを潜めていた病原菌が活発になるのと似ている。
これは大統領として、非常に深刻に受け止めなければならない。なぜ、どこで免疫力が低下したのだろうか。現政権ほど国政をめぐるアジェンダ(検討課題)の多い政権はない。「国民の幸福」「国民の大統領」「不正常を正常に」「規制緩和」「統一大当たり」「国家の大改革」など―。だが、任期中にどれか一つでも十分やり遂げられると信じる人はいない。大部分は掛け声倒れに終わるかもしれない。
自分の部下に誰を起用するかという問題だけで、多くの時間や精力を無駄にした。また、これだけ論議を呼び、不信感を与えた政権もないだろう。大統領は「時代の要求に応えられる方を起用するということは、決して容易なことではなかった」と言うが、世間の人々は「あんな候補者を一体誰が推薦するのか」という目で見ている。こうして疑念が深まり、それが累積したことで、免疫力も次第に低下していったというわけだ。
「国家の大改革」を成し遂げることを第2次内閣のテーマに掲げたものの、街頭で誰に聞いてみても、それが可能だと考えている人はいない。そんな状況を目の当たりにすると、韓国の将来に対する期待を持つのは難しい。国家の大改革を目指すのなら、大統領本人や周囲の人々の大改革を実行するのが先決だ。
大統領は依然として、前時代のシンボル同然のキム・ギチュン秘書室長を従えている。キム室長の忠誠心や、秘書室の安定を放棄したくないからだろう。だが、キム室長がその職にとどまっている限り「大改革」に向けた大統領の意志を信じる人はいないだろう。
また、人事を行うたびに「大統領府の門番」3人の名が世間に知られるが、大統領府の内部では平穏な日常が続いている。大統領が彼らを呼んで「少しでも誤解されるようなことや、職務を逸脱するようなことはあってはならない」と注意したという話も聞かない。それはたとえ該当者にとって気に障るようなことでも、国民に向けたメッセージという意味で必要なことだ。
梅雨時のカビのように増殖するうわさを聞かないためにも、大統領は自らの耳をふさいではならない。カビは太陽の光に当たれば死滅するのだから。
引用が少々長くなってしまいましたが、比較してみれば一目瞭然、zakzakの記事は朝鮮日報コラムの丸パk(ry…もといかなり詳しい引用である事が解ります。
まあ引用方法はまた別問題として、要するにこの記事は朝鮮日報の記事と殆ど同じである事が解ります。
そして、朝鮮日報のほうでも引用元は証券業界の情報誌(どの情報誌なのかは不明)である事が解ります。
現在韓国は産経は大統領を不確かな記事で中傷したと批判していますが、そもそもその元ネタは朝鮮日報と元々韓国内に存在していた噂話なのです。
そのうえで次にこちらを読んでみて下さい。
[社説]産経新聞の韓国冒涜は度を越えた
東亜日報 AUGUST 11, 2014 07:41
http://japanese.donga.com/srv/service.php3?biid=2014081155588
検察が12日、朴槿恵(パク・クンヘ)大統領の名誉を毀損しているとの告発を受けた加藤達也・産経新聞ソウル支局長に、検察に出頭するよう求めた。同紙は3日、「朴槿恵大統領が旅客船沈没当日、行方不明に…誰と会っていた?」という題名の電子版の記事で、朴大統領がセウォル号沈没事故発生当日、ある男性と密かに会い、その男性は朴大統領の補佐官で最近離婚したチョン・ユンフェ氏だったと報じた。
同紙は、「韓国国会内での議論や韓国紙、朝鮮日報に掲載されたコラムなど、公開されている情報を中心に、それらを紹介するかたちで書かれている」としたが、内容を読んでみると、記事の出処の中心は証券街の情報誌だ。セウォル号沈没事故の当日、朴大統領の行動に関する金淇春(キム・ギチュン)秘書室長の国会答弁の内容を詳細に紹介したが、朝鮮日報のコラムと証券街の情報誌を巧妙に配合し、かえって疑惑を増幅させた。
同紙が、証券街の情報誌を事実確認もなく報道したことは、同紙の低劣な水準を示す。外国特派員は取材の限界のために現地の報道を引用して記事を書いたりもする。しかし、そうする時も現地報道の出処が確認されなければならない。同紙が引用した朝鮮日報のコラムもうわさを扱ったものだった。うわさを扱ったコラムがニュースのソースになれないのは、言論人には一種の常識だ。
産経新聞は、保守嫌韓新聞として悪名高い。今年3月、朴大統領の外交政策を「告げ口外交」と呼び、「告げ口外交は民族的習性」と言った。野田佳彦元首相が、朴大統領の外交を「女学生の告げ口のようだ」と言った性差別的発言をそのまま引用して新聞の用語として書いたのだ。今回問題になった報道も、朴大統領が独身女性であることを念頭に置いた女性卑下の性格が強い。非常識な韓国卑下記事で日本国内でも批判を受けている新聞であるとしても、韓国人全体が侮辱を感じるほどなら、かなり度を越えている。
韓国憲法は、言論と表現の自由を保障しているが、他人の名誉を毀損し、人格を冒涜する自由までは許されない。大統領府は、産経新聞の報道を国家元首に対する冒涜と見なし、民事・刑事訴訟などの対応を準備しているという。検察捜査は検察に任せ、大統領府まで乗り出すことは言論の自由に対する侵害と映るため望ましくない。ただ、産経新聞のような低劣な新聞を日本の他のメディアと同等に扱うことはできない。政府も取材制限など適切な措置を講じなければならない。
要するに、朝鮮日報のコラムと証券街の情報誌の記事を組み合わせて書いたことが罪だと言うのです。
何を言っているのか解らないと思いますが、書いている私も解りません。
そもそもこれでは明らかに「法の下の平等」に反しています。
しかも朝鮮日報は口頭注意のみ、産経新聞、朝鮮日報双方で引用されている証券街の情報誌にいたっては、続報にも何一つ情報が無いので恐らく全くのノータッチです。
この起訴の何が問題かといえば、「起訴動機がそもそも意味不明」という事なのです。
韓国側は調査不足のいい加減な記事だからだと最近言い出しているようですが、それならば全体として全く同じ内容の朝鮮日報も、名前の挙がらないこの情報誌も「調査不足でいい加減な記事」なのですから、なぜ産経だけ狙い撃ちなのかわけが解りません。
そして更に問題は続きます。
実はこの起訴に関して、様々な国や団体から批判が相次いでいるのですが、その中で特に国境なき記者団が真っ先に韓国政府の行いを批判しました。
まあ、動機がここまで意味不明では当たり前の反応なのですが。
また韓国は、先月末に国連から「韓国の人種差別状況の調査」の査察団が派遣され、現在調査中です。(まあ調査団の中心が人種差別撤廃委員会なのであまり期待は出来ませんが)
当然今回の事も念頭に置いた調査だと思うのですが、恐らく国境なき記者団などからも同じような指摘を受けたのでしょう、疑惑を払拭するためか文字通り火に油な事をしています。
それが以下です。
朴大統領をネット上で誹謗した主婦 懲役4月・執行猶予1年
2014年10月01日15時28分
[ⓒ 中央日報/中央日報日本語版]
http://japanese.joins.com/article/806/190806.html
ポータルサイト討論掲示板に朴槿恵(パク・クネ)大統領を誹謗する内容を載せた40代の主婦が執行猶予付きの判決を受けた。
ソウル中央地裁のイム・ジョンテク判事は、情報通信網利用促進及び情報保護等に関する法律違反(名誉毀損)容疑で起訴されたA(48、主婦)に対し、懲役4月、執行猶予1年を言い渡したと1日、明らかにした。
Aは昨年6月、あるインターネット討論掲示板に「死ぬ日は遠くない」と題した文章を載せた。暴言を含むこの文章で、Aは「朴大統領は崔太敏(チェ・テミン)牧師、彼の婿チョン・ユンフェ氏と不倫関係」と主張した。
Aは法廷で、「チョ・ウン牧師のインタビュー映像と政治家のインタビュー記事を見て事実と信じていた」と主張した。しかしイム判事は「この内容に対する客観的根拠資料を探した事実もなく、見たという記事も私生活に関する抽象的な風聞を伝えるものがほとんどであり、これを事実と信じたという主張は納得しがたい」と明らかにした。また「虚偽ということ知りながらも一般の人の関心が大きい朴大統領の私生活に関する内容をインターネット掲示板に載せた」とし「公共の利益のための目的は認めがたく、表現の自由の限界を越えた」と述べた。
韓国が場当たり的な法執行を行うのは年中行事で、このブロマガでも過去何度かその事例を書いたことがありますが、ここまで来ると単なる「(既成事実つくりのための)生贄」です。
結果現在韓国がどうなっているのかと言えば、韓国内でこれ関連の記事やそれ以外の朴大統領を否定的に扱っている記事を引用したり批判的記事を書いたブログなどが、次々と該当記事を消して行っているのです。何の後ろ盾もない一般人からしたら皆「とばっちり」が怖いのです。
これが韓国の現状なのですが、これが朴政権の独裁化かといえばそうでもないのです。
この状況を作り出しているのは、以前も紹介した国民情緒とか民族情緒と呼ばれるものです、これらはこと日本が絡むと極端になりやすく、もう誰も後に引けないのです。
そして実は更に問題があります。
実は韓国メディアは多くがこの起訴に反対の立場を取ってはいるのですが、内容を読んでみると根本から何もかもがズレているのです。
以下の記事が解りやすいでしょう。
[産経前支局長起訴波紋]日本の立場だけ浮かした‘パク・クネの握手’
京郷新聞(韓国語) 014-10-10 22:17:23
http://news.khan.co.kr/kh_news/khan_art_view.html?artid=201410102217235&code=940301
日本産経新聞、加藤達也前ソウル支局長起訴事件が‘日本の立場’を世界に知らせる道具に変質している。
今回の事件を伝える海外マスコミの報道を見れば軍慰安婦強制連行など歴史的事実を否定し、嫌韓・反韓感情をそそのかしてきた極右メディア産経の実体は消え、‘大統領名誉毀損罪で記者を起訴した’韓国政府の行為とそれに対する日本側の反発に焦点が合っていることだ。
AFP通信は9日、日本政府が駐日韓国公使を呼んで産経記者‘名誉毀損起訴’に抗議したと報道した。ソウル外信記者クラブが前日、加藤起訴に「深く憂慮する」という声明を出した事実も一緒に紹介した。
ロイター通信も「日本が韓国側に強く抗議している」とし、今回の事件が「パク・クネ大統領との首脳会談を推進してきた安倍晋三日本総理の努力に葛藤をもたらしかねない」と報道した。
ニューヨークタイムズも「日本が韓国のジャーナリスト起訴に抗議している」として日本側の反発を報道した。
ドイツのドイチェ・ヴェレはウェブサイトの‘メディアの自由’カテゴリーに「日本はジャーナリスト(加藤)を擁護する」という記事を上げた。同紙は問題になった加藤の記事内容を詳細に報道し、同時に‘デマ’を一番最初に報じた朝鮮日報は起訴されなかった事実も伝えた。
ガーディアン、ハフィントン・ポスト、ガルフニュースなどはAFPとロイターの報道をウェブサイトに転載した。シカゴトリビューンは‘大統領府が産経事件の背後にいる’という題名の読売新聞英文版記事専門をウェブサイトに上げた。
加藤は10日付産経新聞に‘社会部編集委員’名義で韓国検察の調査過程と自身の心境を入れた‘手記’をのせた。彼は「検査は‘(セウォル号事故当日)大統領の所在問題がダブー視されているのでそれを書いたがどう思うか’と訊ねた。日本では毎日、詳細に公開される国家指導者の動静が‘タブー’ということに、私は強い違和感を感じた」と主張した。
こちらから解る事がいくつかあります。
まずこの記事では、韓国人の主観の正義に基き産経を劣等と定義し、起訴には反対だが起訴されるだけの理由はあったと正当化していること。
もう一つは、同じく韓国人の主観の正義に基き、「悪いのは産経新聞にも関わらず海外メディアが産経の側に立っている」ことが不満であるということ。
要するに何が問題とされているのかをそもそも理解していない節があるのです。
ここから韓国人の本音が見えてきます。
要するに今回の起訴は、朴大統領に対する誹謗というのは直接的動機に過ぎず、今まで韓国を否定的に扱ってきた産経新聞への「報復」だという事です。
以前から書いているように、韓国では蔑視ありきの自民族中心主義が価値観の根底部分にあり、結果前回書いたように周囲の異民族・異人種・異文化を悉く蔑視しているのですが、だからこそ韓国人は「絶対的に正しいはず」の自分達を批判する相手が許せないのです。
以前「韓国人が日本人から嫌われる根本的原因」でも書きましたが、こういった価値観だからこそ、韓国では相手を批判するということは、すなわち「相手が劣等だ」と指摘するのと等しいので、絶対的に正しく高尚な自分達が「劣等な日本の右翼」から批判される事が我慢ならないのです。
この辺りは以下の記事が解りやすいでしょう。
【コラム】産経支局長を処罰してはならない理由
朝鮮日報 2014/10/03 10:54
http://www.chosunonline.com/site/data/html_dir/2014/10/03/2014100301041.html(リンク切れ)
http://web.archive.org/web/20141003040323/http://www.chosunonline.com/site/data/html_dir/2014/10/03/2014100301041.html(ウェブアーカイブ)
日本のB級メディアはわれわれが考えている以上に低質だ。最近日本で発行されている雑誌の韓国批判報道には驚かされることが増えた。
週刊誌の代表格である週刊文春は昨年、朴槿恵(パク・クンヘ)大統領の女らしさに触れた記事を掲載した。記事は朴大統領について「人から愛された経験が少ないのではないか」「大人の彼氏が必要だ」などと皮肉ったものだ。週刊新潮は「身内に犯罪者 『朴槿恵大統領』孤独な夜」との記事に「弟は麻薬使用で5回逮捕、妹は詐欺で有罪」などという脇見出しを付けた。
浅田真央に勝ったという理由でフィギュアスケートのキム・ヨナも人格攻撃にさらされる。ある夕刊紙はキム・ヨナが実力で勝る理由を「お尻が大きいからだ」とするあきれた記事を掲載した。安倍首相の前任の野田佳彦前首相は朴大統領を「女学生のような『言いつけ外交』をやって日本を批判している」と見下したこともあった。朴大統領が女性である点を狙って、言葉による暴力に及んだ格好だ。
産経新聞ソウル支局長による朴大統領の「空白の7時間疑惑」報道が論議を呼んだ。この記事も単純に掲載されたものではない。女性をいじめることに快感を覚えるサディズムといえるだろう。
最近日本のB級メディアの韓国攻撃を見ると、変態のようなサディズム傾向が漂うケースが多い。元従軍慰安婦のおばあさんを侮辱する政治家の発言しかり、女性大統領にけちをつける報道しかりだ。産経ソウル支局長の記事もその延長線上にある。
問題の記事はセウォル号沈没事故当日の朴大統領の行動を巧妙にスキャンダルに結び付けたものだ。産経の支局長は証券業界関係者の話として「(うわさは)朴大統領と男性との関係に関するものだ」と書いた。「“大統領とオトコ”の話」という表現も使った。メディア報道と証券街のうわさをつぎはぎして、男女の問題というトーンを漂わせた。大統領としてというより、一人の女性を卑劣に中傷しようという悪意まで感じる。
もちろん記事の内容は事実とは異なった。セウォル号事件直後の7時間、朴大統領は青瓦台(大統領府)にいたことが確認された。産経の支局長が相手として名指ししたチョン・ユンフェ氏もその時間に他の人物と会っていた。虚偽の事実を根拠に他国の大統領を性的に侮辱したといえる。朴大統領本人はもちろん、その記事を見た韓国人が感じた侮辱の度合いも大きかった。
実際の産経のクオリティーがどうなのか、そういった事を別にしても韓国人の価値観では相手から批判される=相手から劣等だと指摘されたら、いかにその相手が劣等であるかを証明し報復しないと、自身が劣等である事になってしまうわけです。
今回の事件にも、結局は「韓国人の価値観ゆえ」に起きた事だというわけです。
最後に、実はこれ以外にも恐らくですが韓国政府には動機があります。
それを説明するためには、まず韓国政府の特徴を説明しないといけません。
朴政権以前の政権では、政権が中盤から後半になる頃に支持率維持のために反日や北との統一、輝かしい韓国の経済的成功の未来などの「夢物語」を語って支持率を維持してきたという経緯があり、これは韓国が民主化して以降ずっと続いてきました。
それが朴政権になると、前任とその前の大統領が(反日以外でも)やってきた事のツケが一気に周ってきてしまい、どうにもならない状況で閣僚のなり手すらいないという状態にまで追い込まれ、当初から不安視され支持率が低いうえに、親北派が「隙あらば親日派認定しよう」と狙っているという事態になっていました。
結果朴政権は何をしたかといえば、この政権末期に行う「支持率回復のためのカンフル剤」を、就任当初から考えなしに次々と連発してしまったのです。
そして、セウォル号事故以降は文字通り「ネタ切れ」となり、あらゆる批判が朴政権へと向かう事になります。
そんな中、新たな支持率回復のためのカンフル剤として考え付いたのがこれではないかと、私はそう考えているのです。
実際、当初は朴政権のこの起訴に批判的だった世論が、政府の意向を汲んだメディアが上で挙げた引用のように反日とセットで煽り出すと、「生贄」が出たこともあり批判が減り次第に政府支持が増えてきています。、尚且つ対日本であるがゆえに批判しにくく、なし崩し的にどんどん話は進んでいます。
要するに、韓国政府は国際的信用と国内の支持率をトレードしたと、私はそう考えています。
産経の元支局長はいいとばっちりです。
(「おいしいネタをみつけた」と考えているかもしれませんが。)