日韓問題(初心者向け)

日韓問題について、初心者でもわかりやすい解説と、日韓問題とマスコミ問題の動画のテキスト版を投稿しています。

徴用工裁判を巡る韓国の反応


さて、本日なのですが、一連の韓国による徴用工裁判に関連した内容を書いて行きます。


初めて来られた方はまずこちらを先に読む事をお勧めします。

ブロマガ『日韓問題(初心者向け)』を始めた理由

注意
・このブロマガは「日韓の価値観の違い」を初心者向けに扱っています

・当ブロマガのスタンスは「価値観に善悪や優劣は存在しない」というものです

・相手が不法を働いているからと、こちらが不法をして良い理由にはなりません

・自身の常識が相手にとっても常識とは限りません、「他者がそれを見たらど
う思うか」という客観性を常に持ちましょう

・日常生活で注意する程度には言動に注意を心がけてください


一連の韓国による徴用工裁判について、日本のいくつかのメディアでも否定的に伝えており、ある程度の情報は流れているが、「韓国内でこの問題がどのように認識されているか」という事は、一部例外を除いて殆ど報じられていない。


実際問題韓国内でこの問題がどう受け取られているかといえば、多数派が韓国の裁判所や政府の対応を支持しており、一部の人々のみがこの対応を批判、むしろ多数派は「文政権の対応が手ぬるい」という批判をする状態となっている。


では「一部の批判者」とはどのような人々かと言えば、それは現在韓国内で「古く腐敗した既得権勢力の代弁者」と認識され批判の対象となっている、「保守系の老人たち」のことで、実際問題彼らは既に韓国内で「消えていく存在」であり、それはつまり今後更に韓国とは対話不能となっていく事を意味している。



※一部を除き、引用記事が日本語の場合には文中にリンク用アドレスとタイトルのみ表記、韓国語のものやリンク切れで参照不能な記事のみ文末にまとめて本文を引用します。
※本文中のリンクは引用の元記事、或いはインターネットアーカイブウェブ魚拓(別サイト)へのリンクです。



1:徴用工裁判を巡る韓国世論


まずはこちらの記事から

やる気も能力もなし……日韓外交を放棄した韓国
FNN 2018年12月10日
https://www.fnn.jp/posts/00397930HDK

相次ぐ徴用工訴訟で泥沼の日韓関係……異例の非難応酬
対策打ち出せぬ韓国政府……ジャパンスクールの凋落
止まらぬ支持率低下に打つ手なし……対日無策に批判も
(一部抜粋)
やる気も能力もなし…ジャパンスクールの凋落

何故、こうした稚拙な対応が続いてしまうのか。

「今の韓国外交当局には、日韓関係を立て直す気力も能力もない」
長年、日韓関係を見続けてきた韓国の知日派はこう嘆く。背景には対日外交政策の根幹を担うべき韓国外務省ジャパンスクールの凋落がある。今年10月、韓国外務省が在外公館の希望者を募ったところ、在日韓国大使館の勤務希望者はゼロだったという。

日本勤務はかつて、アメリカなどと並んで花形のポストであり、出世も約束されていた。それがなぜ、これほどまでに人気を失ったのか。一言でいえば「割に合わない」からだろう。李明博政権では締結寸前だった日韓軍事情報協定の締結がドタキャンされ、協議を進めていた東北アジア課長は責任を取って辞任した。

慰安婦問題での日韓合意では、当時の駐日韓国大使・李丙琪氏が、合意の実現に向けて日本側と水面下で交渉にあたった。李氏は朴槿恵大統領(当時)の側近で日本語も堪能、安倍政権からの信頼も厚く、合意実現に寄与した。しかし、その李氏は政権が変わると朴前大統領への不正資金疑惑で逮捕。当時の東北アジア局長もシンガポール大使を外されるなど不遇を囲っている。

このように日韓合意に尽力したジャパンスクールの外交官は、ことごとく人事で冷遇されている。韓国世論との板挟みになって苦労の末に日本と合意をしても、政治状況が変われば、真っ先に標的にされる。関わりたくなくなるのも無理はない。韓国側は元徴用工らの救済に向け、該当する日本企業と並んで日本からの経済援助の恩恵を受けた韓国企業を加え財団を作る構想を検討中とされるが、日本側の反応は冷たい。

慰安婦合意で作られた「和解・癒し財団」が解散を余儀なくされた状況で、また財団を作ろうと呼びかけても無理というものだ。支持率が9週連続で下落し50%を割り込み、政権発足以来最低を記録した文大統領。経済政策への不満に加え、対日政策での無策ぶりにも批判が高まりつつある。

(執筆:フジテレビ報道センター室長兼解説委員 鴨下ひろみ)


この記事なのですが、「日本の大手主要メディア」の中ではかなり韓国内の情勢に踏み込んでおり、引用部分の前半は過去記事「文在寅政権は対話不能」で書いた通りの内容ですが、後半部分で「支持率が9週連続で下落し50%を割り込み、政権発足以来最低を記録した文大統領。経済政策への不満に加え、対日政策での無策ぶりにも批判が高まりつつある」と書かれています。


参考記事
文在寅政権は対話不能


一見すると徴用工裁判が間違っていると考える世論があるかのようにも読めますが、全体としては韓国の現状がかなり正確に書かれている事から、恐らく「もっと強硬に出ろ」という世論の批判の事であろうと解ります。


日本のメディアとしてはかなり「がんばっている表現」でしょう。


個人的な不満点としては、韓国側は証言や証拠の不備、これまでの政府や裁判所の対応との矛盾を誤魔化すために「日韓併合は違法」としているが、実際には「当時としては合法というのが現在の国際法上の判断である※」という事をちゃんと解説して欲しいですが。


※【日韓問題】韓国との戦後補償問題 後編 10:40頃からを参照。

【日韓問題】韓国との戦後補償問題 前編


youtube
https://youtu.be/bNFazqFtzGE

【日韓問題】韓国との戦後補償問題 後編

youtube
https://youtu.be/yznxxZjsPBM

【日韓問題】韓国との戦後補償問題 続編

youtube
https://youtu.be/ld2DfA7URbY

まあそれはそれとして、このような状態であるため、現政権に批判的ないわゆる「保守系メディア=朴正煕による日韓国交正常化を肯定する人々」も迂闊には批判できず、この問題を否定的に扱う記事もかなり遠まわしな表現です。


【コラム】「反日の代償」は高い 朝鮮日報 2018/12/05 (1/2ページ) (2/2ページ
【社説】徴用判決への対策、ためらう余裕ない=韓国 中央日報 2018年11月30日


上記2つの記事が典型的ですが、元々韓国のいわゆる便宜上の『保守』は朴正煕大統領の行った日韓国交正常化(日韓基本条約と4つの協定、25の付帯文書締結)を肯定しており、4つの協定のうちのひとつである「日韓請求権関連協定」を否定する事になる今回の裁判について実際には批判的です。


しかし、「国民情緒法」のある韓国では、現在この裁判を肯定する世論が多数派であるため迂闊に世論に反する主張をすることもできず、上記のような微妙な批判程度しかできていないというのが現状です。


関連記事
非常に厄介な韓国人の国民情緒・民族情緒


そしてその韓国世論は、文政権に対して「なぜもっと日本に強硬に出ないのだ」と批判しているのが現状であり、先ほどのフジの記事はその部分に中途半端ながら触れているという点でかなり踏み込んだ、日本の全国放送としては珍しい異例な内容というわけです。


日経ビジネスや産経系のzakzakやiza以外でこの部分に触れることができた事にかなり驚いています。)

2:支持率が落ちる理由


しかし実際のところ、現在韓国の文政権の支持率は右肩下がりであり、元々非常に高かった若い世代からの支持離れがかなり顕著になってきています。
これはどういうことでしょうか。


一部でこれを「韓国内にも今回の裁判を否定する世論があるからだ」と主張する人もいますが、実際には違います。


先ほどのフジの記事でも少しだけ書かれていますが、若い世代の支持率低下は文政権による経済政策を含むいくつかのミスが原因です。


どういう事かというと、フジの記事にある経済政策の失敗として以下の記事が解り易いです。


韓国零細事業者団体「最低賃金の実態調査は衝撃的、恐ろしくて発表できず」 朝鮮日報 2018/12/07
文政府、雇用・不動産に力を注いだが落第点評価 中央日報 2018年12月04日

韓国の青年失業、大企業と中小企業の賃金格差が主因 朝鮮日報 2018/12/06


上2つでは文政権が最低賃金を経済の実態を無視して急激に引き上げた結果、雇用を増やすつもりが中小企業が立ち行かなくなり逆に雇用が減ってしまったという事が書かれています。


そして下の記事では、こうした状況から大企業も雇用を増やさないようになったうえに、中小では雇用を増やす余力も無く、富裕層と貧困層、大企業と中小企業の間の賃金格差が広がってしまったと書かれています。


要するに文政権の支持率が下がったのは、滅茶苦茶な経済政策で若い世代の雇用が縮小してしまうどころか、中小や自営業にとっても最低賃金上昇が苦しいため、「低賃金の雇用すら失われたから」というわけです。


「経済厳しい」70%超… 10人中9人「暮らし向きは良くなっていない」=韓国 中央日報 2018年12月04日
文大統領の支持率、2カ月間に64%→47%…その理由は? 中央日報 2018年12月04日


またもう一つ文政権の支持率が若い世代で減少した理由があり、以下の記事がわかりやすいです。


【コラム】韓国の若者の士気を下げる「若者のための政府」 朝鮮日報 2018/11/19 (1/2ページ) (2/2ページ


記事では、若者が文政権の政策に最初は期待していたが、蓋を開けてみると文政権の支持母体に関係した人々ばかりが就職で優遇され、「私にとっては全てを投入しても入社は難しいが、誰かにとっては自動ドアだ。そのような現実を考えると完全に力が抜ける」という状態なのだそうです。


元々韓国では「生まれや親の地位で将来が決まる」という事の揶揄として、「金匙、銀匙、銅匙、土匙」という表現が使われており、「どの匙をくわえて生まれてきたかで人生が決まる」との悲観から、それが「ヘル朝鮮」という韓国社会への批判につながっていました。


また、朴槿恵大統領退陣騒動にもこの件が関わっており、当時陰の実力者と呼ばれその後逮捕された崔順実氏、その娘である鄭維羅(チョン・ユラ)氏が、2014年にフェイスブックで「能力がないならお前の両親を恨め。うちの親のことでつべこべ言うんじゃない。カネも実力だよ」と露骨に生まれの違いで他者を見下しており、それが問題になっていました。


「影の実力者」の娘チョン・ユラさん「親を恨め、カネも実力だ」 朝鮮日報 2016/10/20


これで金匙、土匙問題が大きくなり、文大統領は大統領候補当時この事を大々的に批判、「こんな社会は変えなければいけない、これが国か」と訴え、2016年末のロウソクデモへの若者参加の原動力となりました。


しかし文政権が誕生してみると韓国社会の露骨な身内びいきは更に悪化し、金匙と土匙の格差は拡大するばかり、それどころか文政権自体が身内人事を繰り返していることから、若い世代の失望につながったわけです。


20代を中心に急落する文大統領支持率に与党幹部が危機感 朝鮮日報 2018/11/19
韓国大企業労組、「雇用世襲」是正要求を拒否 朝鮮日報 2018/11/28
【社説】「安全公企業」だけは天下りではいけない=韓国 中央日報 2018年12月11日


つまり、タイミング的に支持率低下と徴用工裁判の動きが重なったため、一見するとこの2つの問題がリンクしているように見え、「韓国内にも徴用工裁判に批判的な意見が多くあるから支持率が下がった」ように見えますが、実態は経済問題と韓国の社会問題で文政権が自滅したという事が影響しているわけです。


余談になりますが、日本で一部の人達が「韓国はなんて民主的なんだ」と褒め称えていた政権の実態がこれなのだという事も興味深いです。

3:今後は更に関係悪化


では実際のところ徴用工裁判の判決や政府の動きを批判している人々はいないのかといえば、少数ながら存在しています。


先ほども少し書きましたが、韓国内のいわゆる便宜上『保守』と呼ばれている、朴正煕政権の行いを肯定している老人たちです。


例えばそうした人々が大きく支持している朝鮮日報では、彼らの言葉を最近よく取り上げており、以下を見るとその意見がどのようなものかがわかります。


強制徴用:三菱重工への賠償命令、記事への韓国読者コメント 朝鮮日報 2018/11/30 (1/2ページ) (2/2ページ
強制徴用:日本国内の韓国側資産差し押さえ検討、記事への韓国読者コメント 朝鮮日報 2018/12/01
1/2ページ) (2/2ページ
コラム「『反日の代償』は高い」への韓国読者コメント 朝鮮日報 2018/12/06 (1/2ページ) (2/2ページ


朝鮮日報自体は否定とも肯定ともつかない微妙な論調ばかりなのに対して、こうしたコメントでは率直に「この裁判は間違いだ」としている意見が多く、内容を見ても比較的真っ当なものが多いです。


そして朝鮮日報は文政権になってからこうした「読者コメント」を頻繁に掲載するようになりましたが、それは「世論と文政権が怖い」ので、こうして「読者に意見を代弁してもらっている」という有様なのです。


この状態からも解るように、韓国世論の大勢は「対日本強硬論」が主流であり、現在日本のいくつかのメディアや韓国の官僚などが提案してきている、日本企業が参加した財団方式は、以下の聨合ニュースの記事のようにやったところで、まず間違いなく記事にある理由で否定されます。


三菱重工への賠償命令に日本「極めて遺憾」 視界不良の韓日関係
聨合ニュース 2018.11.29
https://jp.yna.co.kr/view/AJP20181129002000882

(一部抜粋)
陳昌洙(チン・チャンス)世宗研究所日本研究センター長は「韓国政府と65年の請求権協定によって恩恵を受けた韓国企業、日本企業がともに資金を出す形が、ある程度妥協可能な案だと思う」と話す。

 ただ、韓国側が解決を図れば、賠償を命じられたのは日本企業だとして被害者や世論が反発することも考えられる。陳氏は「国民をどう説得するかが鍵になる」とし、「日本とずっと言い争うわけにはいかず、韓国政府の果敢な決断が必要なときだ」と指摘した。


ここで問題なのは、こうした提案をしているのもいわゆる便宜上の「保守系の老人たち」であり、彼らはなんとかして火消しをしたくてこんな提案をしているわけですが、韓国世論が望んでいるのは「日本政府による謝罪と賠償」という強硬論であることです。


そしてこの提案をする保守系の老人たちは近い将来消えていく人々なうえに、彼らは韓国社会から「古く腐敗した既得権勢力の代弁者」と思われているため、下の世代からも支持される事はほぼなく、韓国はこの先更に先鋭化していく事になります。


自由韓国党の新院内執行部、保守再建の突破口を開かなければ 東亜日報 December. 12, 2018



当然の事ですが、これは今後日本と韓国の間のトラブルが更に増えていくという事であり、同時に「間を取り持つ人々は増えることなく減っていく」という事でもあります。


更に現状日本側で韓国との友好を進めていこうと主張する人々の大半は、こうした韓国側の態度を肯定し支持する人々であるため、状況が好転する事はほぼ無いと言ってもいいでしょう。
日本側で現状の韓国の態度を肯定する人々がいる事は、状況を更に悪化させる原因にしかなっていないのです。


これが今の韓国の姿です。
今回の徴用工裁判問題や慰安婦合意の実質破棄は「始まり」に過ぎず問題はこの先ずっと悪化し続けていくことがほぼ確定に近い状態になってきています。



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