日韓問題(初心者向け)

日韓問題について、初心者でもわかりやすい解説と、日韓問題とマスコミ問題の動画のテキスト版を投稿しています。

韓国独特の評価基準


さて、本日は韓国的価値観において非常に重要な役割を果たしている「他者の劣等性」について、最近新たに気が付いたことがあるのでその件について書いて行きます。


以前から書いているように、韓国では自己の優越性や正当性を証明する方法として最も効果的な手段が「他者の劣等性」の指摘なのだが、これまでは単純に劣等性を指摘された相手は自動的に「下位の序列」の存在となると定義してきていた。


しかし今回の一連の崔順実問題を観察していると、過去に劣等性を指摘され「下位の序列」となった相手の優越性や「被害者である事」が強調されている事例があり、相対的に「現在劣等性を指摘されている相手」よりも序列が上になる現象が確認できる。


これは、「現在の感情」が最も重視される韓国において自己の優越性や正当性を証明するために重要なのは「現在劣等性が指摘されている相手」であって、その目的のためには過去に劣等性を指摘された相手よりも対象が「より劣っている」という認定が行われているからであり、下位に位置付けられた対象が再評価されたわけではない。


※一部を除き、引用記事が日本語の場合には文中にリンク用アドレスとタイトルのみ表記、韓国語のものやリンク切れで参照不能な記事のみ文末にまとめて本文を引用します。
※本文中のリンクは引用の元記事、或いはインターネットアーカイブウェブ魚拓(別サイト)へのリンクです。



1:劣等性認定は永久に消えない


まずはこちらの記事から


<韓国・100万人集会>100万の叫び声、新たな歴史を作る(1)(2)
2016年11月14日09時00分
[ⓒ 中央日報/中央日報日本語版]
http://japanese.joins.com/article/560/222560.html
http://japanese.joins.com/article/561/222561.html

(前略)
大統領、財閥、首相、長官、検察、国会議員、そして秘線実勢(影の実力者)とか、親なんとか、真なんとか言って媚びへつらっていたすべての反逆者は犬×だ。歴史はいくら汚い歴史でも構わない。われわれにとって真鍮の茶碗よりも高らかに響く、今、この通りの思い出がある限り、人は永遠で、愛も永遠だ。

私は朴槿恵候補が大統領になった時、残念という気持ちを越えて絶望すら感じたが、父親〔=朴正煕(パク・チョンヒ)〕のカルマを解消し、成功した大統領になるよう願う文章を書いた。事実、大統領選挙を控えてある日刊紙から受けたインタビューで、記者が「万一、朴槿恵が大統領になったらどうするか」と尋ねた時、私はためらいなく「ではこの国にはいられない。いっそフランスの平和な田舎に行って家庭食の食堂でもしながら余生を静かに送りたい」と冗談半分本音半分で答え、朴槿恵を支持した人々からあらゆる非難を受けた。しかし、言葉ではそうは言ったものの、作家である私が母国語を捨てて別の場所に移り住んだりするだろうか。

この状況になる時まで、一体どこで何をしていたのかと、私はこの偉大な民衆に尋ねないでおきたい。蔚山(ウルサン)・浦項(ポハン)・大邱(テグ)・釜山(プサン)・光州(クァンジュ)・全州(チョンジュ)・清州(チョンジュ)・大田(テジョン)など各地域からバスに乗り汽車に乗って上京してきた人々に、済州(チェジュ)から飛行機に乗ってきたかもしれない人々にも、その間の強い忍耐心について不平を言わないでおきたい。彼らは耐えに耐え、これ以上無理だと思えばいつでも適時立ち上がり、抑えきれない大波となり、とうとうと流れる川の水のように新しい歴史の流れを作ってきたではないか。まさに彼ら全員が新しい世紀の偉大な市民だ。

魯迅の比喩である「水に落ちた犬は打て(打落水狗)」に躊躇するのはやめよう。噛み付いた犬を助ければまたわれわれに噛み付くことになるから。フェアプレイの代わりに彼らを職から辞めさせることに集中しよう。それが賢い歴史的前例になるだろう。今こそわれわれの生涯に最も大きな月が浮び上がろうとしている。光化門ビルの間に、やや欠けた月が浮いていた。もうすぐ雲海から白い満月に乗ったセウォル号の花のような幼い魂がゆらゆらと踊りながらわれわれを見下ろすことだろう。

黄ソ暎(ファン・ソギョン)/小説家


一連の崔順実問題に関連した中央日報の記事なのですが、記事の最後のほうで「水に落ちた犬は打て(打落水狗)」という内容が出てきています。


少々余談となりますし、これを詳しく書いているとそれだけの記事になってしまうので手短に書きますが、この言葉も含めネット上で「韓国のことわざ」として出回っている内容の中には、上記記事にもあるように中国由来のものがあります。
また記事では魯迅の比喩となっていますが、実際には昔からある言葉のようです。


他の例として一つ挙げると「他人の家の火事見物をしない君子はいない」というものがありますが、これはその後に、「しかし、そうではいけない」と続いており、これも中国由来の内容です。
他にもいろいろありますが、詳しく知りたい方は調べてみると良いでしょう。



本題からだいぶ逸れてしまいましたので最初の記事の件に話を戻すと、記事にもあるように韓国では一度「道徳的に劣等である」と認定を受けるとその後名誉回復などは一切行われず、原則的には半永久的に「劣等な存在」とされます。


そして彼らの考え方では、「この劣等性は生来のものであり、その後の生き方で変わるようなものではない」とされているため、この考え方を前提に「噛み付いた犬を助ければまたわれわれに噛み付くことになる」という解釈がなされているのです。


以前韓国メディアがこぞって広島や長崎の原爆被害の慰霊式典を「被害者コスプレ」と表現したのにもこの考え方が根元にあり、こうした考え方から韓国では劣等認定を受けた相手が死亡しても永久に「道徳的劣等者」として吊るし上げられる事になり、韓国人の優生論的考え方もこの大前提が関係しています。


つまり韓国的考え方では、「君子は生まれたときから君子であるから地位が高いのであり、劣等者が自身を偽って高い地位につく事があるが、劣等である事を隠しきれないためにその地位から転落するのだ」という考え方があるという事です。


このため、韓国では現代でも「劣等性が証明される」と死者の墓暴きなどが行われることがあり、こうした習慣の違いから、例えば豊臣秀吉による文禄・慶長の役後に慰霊のために作られた「耳塚」なども、彼らから「戦果の記念碑だ」という解釈が行われることがあります。


この考え方が彼らの「血縁による罪の連座」にも繋がっているのですが、一連の崔順実問題でもこの考え方が顕著に現れており、崔順実の娘の鄭維羅(※)に関しても、現状は「人格的に問題がある人物」だけであるにも関わらず、韓国内では「吊るし上げ要求」が高まっています。


※(姓が違うのは父親の鄭潤会の姓を名乗っているからで、朝鮮では伝統的に姓とは「一族の名」であるため、結婚しても妻は元の一族の姓を名乗るのが一般的、いわゆる「夫婦別姓」とは根本から考え方が違うので注意が必要)



[社説]検察は崔順実の娘チョン・ユラの召喚を遅らせるな 東亜日報 November. 15, 2016


彼らにとっては、法的に罪があるかどうかよりも「権力をかさに好き放題していた」という事と、崔順実の娘であるという事から来る「劣等性の連座」による断罪の方が重要なのです。


要するに彼らには「罪は償える」という概念がなく、一度道徳的に劣等であるという認定を受けると、半永久的に「罪を償い”続ける”」ことが必要であり、それは血縁にも連座し劣等性は消えることがなく残り続けます。


ここまでが以前から説明してきた「韓国的価値観における劣等性認定」となります。


2:相対的な序列の向上


上記のように、韓国では一度「道徳的劣等さ」を指摘されると、その認定を覆すことができず半永久的に血縁者まで劣等認定を受け、加害者として序列社会における「最下位」となるのですが、実は最近このセオリーから半ば外れる法則がある事をみつけました。


去年の7月末、ニコニコでインタビューを受けた朴大統領の妹の朴槿令氏を覚えているでしょうか。


彼女はインタビューで「謝罪に何度も言及するのは不当だ」と主張したり、靖国神社を肯定する発言などを行ったわけですが、このことが韓国人の「主観的・絶対的正しさ(真正性)」を否定する事となり、韓国で大バッシングを受け「反民族的」とか「政治的禁治産者」とか「親日売国奴」などのレッテルを貼られました。


朴槿恵大統領の妹・槿令氏「対日謝罪要求は不当」 朝鮮日報 2015/07/31
朴槿令氏発言に韓国市民団体「反民族的で恥ずかしい」 朝鮮日報 2015/08/01
朴槿令氏発言に挺対協「歴史を学んでいない人の発言」 朝鮮日報 2015/08/06
【コラム】「政治的禁治産者」朴槿令氏をのさばらせるな 朝鮮日報 2015/08/14


彼女は別に親日というわけではなく、単に昔ながらのいわゆる「用日論者」であり、父親の朴正熙大統領の考え方をそのまま継承しているだけの人物だったのですが、上記のように「韓国的正しさ」を否定したとして「道徳的劣等者」認定を受けたのです。


また、以前から書いているように韓国では権力者による血縁への露骨な利益供与が日常化しているため、妹や弟を露骨に避ける朴大統領は「血縁への利益供与を行わない潔癖な人」としての評価を受けていたため、政治的な口出しをした朴槿令氏は尚更バッシングされました。


更に、彼女は今年の8月に詐欺罪で告訴されており、崔順実の事例のように道徳的劣等者として社会的な制裁を受け続けていました。


<青瓦台特別監察>朴槿恵大統領の妹を詐欺罪で告発…検察が捜査に着手 中央日報 2016年08月23日


が、崔順実問題が浮上すると韓国における朴槿令氏の社会的な扱いが変化します。


10月末頃からメディアで「姉を祈祷師から遠ざけようとした妹」という評価が登場し始め、これまでの「親日売国奴」という評価が突然一変してしまったのです。


<朴大統領秘線>崔氏と42年の縁…どういう関係?(2) 中央日報 2016年10月26日
国政介入:「女王になる」と洗脳された朴大統領 朝鮮日報 2016/11/04 (1/2ページ) (2/2ページ
「大統領府におばさんが来るという噂が…それは崔順実だった」 東亜日報 November. 10, 2016


これは私がこれまで説明してきた「劣等性本位制」ともいえる概念とはかなりずれた現象であり、私はこの事を以下のように解釈しました。


原則的には、他者の劣等性を担保に自己の優越性を証明するという価値観そのものは変わりませんし、一度道徳的劣等者の認定を受けると序列社会における最下位に位置付けられる事も変わりません。


しかし同時に、韓国では「現在の感情」が最も重視されるため、現在バッシングされている相手を「最も劣等な存在」と認定するために、過去に道徳的劣等者と認定された人物を引き合いに出し「更に劣等な者がいる」とすることで、より相手を貶め自己の優越性を導き出しているのです。


つまり以前は朴大統領を評価するために、朴槿令氏の劣等性を指摘して朴大統領や自己の優越性を証明していたのですが、現在朴大統領の劣等性が次々と発覚したので、今度は朴槿令氏を引き合いに出して朴大統領の劣等性を指摘し、それで自己の優越性を証明しているわけです。


要するに、朴槿令氏が再評価され過去の言動が見直されたわけではなく、朴大統領の劣等性を指摘するために一端朴槿令氏の劣等性は横に置いておく、或いは朴槿令氏の劣等性よりも朴大統領のほうがより劣等であるとしているわけです。


劣等性がなくなったわけではなく、より自己の優越性を証明しやすい相手が出てきたのでそちらを批判するために相対的な序列を上げたという事です。


この考え方を、李朝末期に朝鮮を滅亡に追いやった閔妃が国母として評価されている現象に当てはめると見方が変わってきます。


以前私は閔妃の悪政について「現在の韓国ではなかったことになっている」としており、実際に去年産経新聞が朴大統領を「閔妃のようだ」と評価する記事を掲載したところ、韓国政府や韓国紙、韓国世論から猛反発を受け公式な訂正要求まで出てきました。


産経新聞 韓国政府のコラム削除要求を拒否 聯合ニュース 2015/09/01

【特別寄稿】日本の恥、産経新聞の韓国大統領恫喝 朝鮮日報 2015/09/02 (1/2ページ) (2/2ページ


産経は当時閔妃の行った悪政を朴大統領の執政になぞらえ揶揄したにも関わらず、韓国側はその事を無視して「閔妃は日本人に暗殺された、産経はその事を揶揄して恫喝しているのだ」と批判していたため、私は「完全に悪政がなかったことになっている」と解釈していました。


しかし最近、上記のように産経を猛烈に批判していた朝鮮日報自身が朴大統領を閔妃になぞらえ、しかも閔妃がカルトに傾倒し国を傾けたことを朴大統領の一連の問題にたとえ揶揄したのです。


【萬物相】21世紀の韓国で起こった「封建時代にもあり得なかったこと」 朝鮮日報 2016/10/26


しかもこの記事を見て過去の資料をいくつかあさってみたところ、実は朝鮮日報は過去にも政府を批判するときに閔妃を例に出している記事がありました。


【コラム】朝鮮亡国招いた傲慢、明治維新生んだ危機意識 朝鮮日報 2015/04/02


これも要するに同じです。


閔妃の「道徳的劣等性」が韓国内で消え去ったわけではなく、単に「日本の道徳的劣等性」を指摘するために相対的に「閔妃の序列」を上げ、「日本が国母を殺した」としていただけと解釈すると、色々と整合性が取れます。


あらゆる評価基準が「他者の劣等性」で決まるという、特異な価値観を持つ非常に韓国らしい反応です。


3:高評価されたからと認識が変わったわけではない


今回書いたように、韓国では一度道徳的劣等者という認定を受けると序列の最下層に位置付けされ、その評価が変わる事は原則的にありませんが、現在進行形で「道徳的劣等者」認定を受けている相手に対して引き合いに出す場合に限り、「相対的に」過去の劣等者の序列が上がり評価を受けることがあります。


ここで注目すべきは、去年辺りから韓国で安部政権の経済政策に対してかなり高い評価をする論調が増えている事です。


【コラム】アベノミクスの成功と韓国政治 朝鮮日報 2016/11/06
韓経:【社説】輸出が牽引する日本経済の予想以上の成長 韓国経済新聞/中央日報 2016年11月15日
韓経:日本、7-9月期は予想以上の成長…消費・設備投資は不振続く 韓国経済新聞/中央日報 2016年11月15日


これに関しても、現在の韓国と対比して日本経済を羨んでいるという側面も全く無いわけではありませんが、主な動機は朴政権や韓国財界の劣等性を指摘するために、相対的に日本の序列を引き上げているだけなのです。


ですから韓国では、こうした記事が出てくると同時に今でも「日本の嫌韓は韓国の躍進に嫉妬したからだ」という評価が同時進行しているわけです。


そして重要なのは、今後韓国は政治的にも経済的にも今よりも更に困難な状況になっていくことが予想されますが、そうなればなるほど「原因を他者に求める傾向」の強い韓国では、韓国内の劣等性を見つけるための手段として、相対的に日本への高評価が増えていくと言う事です。


これは韓国が現状の反日などを改め日本に対して歩み寄りをし始めたとか、或いは事大し始めたとか(結果的にいずれそうなる可能性はありますが、現状は”まだ”そこまで行っていないと判断しています)ではなく、今回書いたような作用の結果というわけです。


つまり、日本に対する認識はこれまでとまるで変わっておらず、単に韓国内で「現在の問題」の犯人探しを行い劣等性を指摘するために、相対的に「劣等者としての日本」の序列を引き上げて評価しているだけなのです。


この事を解っていないと、今後日本で「やっと韓国が態度を改めた」と考える人が出てくるでしょうから注意が必要です。



人気ブログランキングに参加中です、もしよかったらクリックをお願いします。


クリックで人気ブログランキングへ


以下は当ブロマガのお勧め記事マイリストです、もしよかったらこちらもどうぞ。