日韓問題(初心者向け)

日韓問題について、初心者でもわかりやすい解説と、日韓問題とマスコミ問題の動画のテキスト版を投稿しています。

韓国社会における独特な関係「甲と乙」


さて、本日は序列社会である韓国独特の、「甲と乙」という特殊な関係について書いていきます。


始めて来られた方はまずこちらを先に読む事をお勧めします。

ブロマガ『日韓問題(初心者向け)』を始めた理由


以前から書いているように、韓国社会は「対等」の概念が希薄であり、殆どの人間関係において「どちらが上か下か」を重視する傾向にあるが、この独特な序列においては、「上位のものは下位のものに何をしても許される」という考え方がある。


この事は韓国で度々問題となっており、近年は契約書の甲乙の関係に準えて、序列の上位者=甲、下位者=乙とし、「甲の横暴」が度々問題となり、最近は特に「朴政権の関係者」や「財閥関係者」が甲として槍玉に上がる事が多い。


ただし、この現象を観察していると興味深い事がわかり、韓国社会はこの件を問題としながらも、「甲と乙の関係」そのものを解消しようとする動きが一切無く、ただ単に「甲と乙の関係を逆転」させ、元乙の甲と元甲(力のなくなった甲)の乙を新たに作り出し、「甲の横暴」が繰り返されている。



※一部を除き、引用記事が日本語の場合には文中にリンク用アドレスとタイトルのみ表記、韓国語のものやリンク切れで参照不能な記事のみ文末にまとめて本文を引用します。
※本文中のリンクは引用の元記事、或いはインターネットアーカイブウェブ魚拓(別サイト)へのリンクです。


1:「甲」は何をしても許される


まずはこちらの記事から


【コラム】脱原発、「積弊扱い」の恐怖に震える識者たち
朝鮮日報 2017/07/25
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 韓国科学技術院(KAIST)原子力・量子工学科のチョン・ヨンフン教授は最近ネットで激しい批判にさらされている。今月12日に「脱原発政策の問題点」をテーマに開催された討論会で、原子力発電所の爆発事故が起こった日本の福島県について「考えられているほど危険ではない」と発言したからだ。チョン氏は「福島に1年いて受ける放射線量は大人が4ミリシーベルト、子供は7ミリシーベルトを少し上回る程度だが、これに対して北欧の一部地域において自然状態で受ける放射線量は10ミリシーベルト以上だ」と述べた。

 チョン氏がこの内容を発言した時の動画、あるいは討論会の様子が撮影された写真などはネットやSNS(会員制交流サイト)などを通じて拡散しているが、どのサイトもチョン氏を攻撃する書き込みであふれかえっている。「国を売り渡した」「精神障害者」「原発マフィア」などはまだ穏やかな方で、中には口にするのもはばかられる侮辱的な言葉も数多く見受けられる。しかしチョン氏の発言に対して科学的に反論する書き込みは一つもない。

 文在寅ムン・ジェイン)政権は本来なら何度も検討を重ね、慎重に取り組むべき政策を次々と実行に移しているが、影響で関係する分野の識者や専門家たちが大きな批判にさらされている。事実を説明しても、政府の政策や国民の好みに合わなければ、チョン氏のようにたちまち国賊扱いだ。ある国立シンクタンクで勤務する研究員も、つい先日同じような経験をした。この研究員は自らが書いた論文の内容について、電子メールや電話を通じて多くの非難や攻撃、抗議を受けた。あるグループにとって不都合な内容が書かれていたからだ。影響でこの研究員は数カ月にわたり夜も寝られず、体重も一気に減少するほど苦しんだという。研究員は「へたをすれば自分も積弊にされるかと思った。この問題が起こった後、研究員たちは批判されそうなテーマを研究対象にすることはしなくなった」と語る。

 非正規社員の正社員化に対する意見を聞くため、先日ある民間の研究所に勤務する男性に電話をかけた。この男性は「どんな批判にさらされるか分からないので、何も言わない」として取材を拒否した。匿名を保証すると説得したものの「それでも個人が特定される恐れがある」として最後まで取材に応じなかった。
(後略)


記事を読むと、一見現在の韓国で何かとんでもない言論弾圧が起きているようにも見えますが、実際のところこの手の事は以前から発生しており、有名なところでは金完燮著「親日派の弁明」や、朴裕河著「帝国の慰安婦」などで同様の事例が発生しています。


そしてこの二例について、「帝国の慰安婦」に関しては朴裕河教授が裁判にかけられた事を批判した記事はありましたが、内容への弁護は一切ありませんでしたし、金完燮に至っては政府により実質的な国内軟禁状態にされてもどのメディアも批判していませんでした。


ではなぜ朝鮮日報はこの件で批判的なのかといえば、韓国社会における独特な関係性、「甲と乙」と、「被害者が一番偉い」という独特の価値観から来る序列の逆転現象が関わってきます。


これを知ってもらうためにまず甲と乙とはどんな状態なのかを知ってもらわないといけないわけですが、以下の3つの記事がわかりやすいです。


【コラム】韓国経済の成長を阻む「強者の横暴」 朝鮮日報 2015/10/15 (1/2ページ) (2/2ページ


上記の記事では、韓国では「契約書の甲乙になぞらえて、社会的な強者と弱者の関係を「甲乙関係」と呼ぶ風潮がある。抑圧的で固定的なこの甲乙関係に縛られ、これが成長の足かせになっている中小企業も決して少なくない。」と書かれています。


【コラム】「冷静な離婚」が難しい韓国 朝鮮日報 2016/07/03 (1/2ページ) (2/2ページ


上記の記事では、「甲チル(優越的な地位を利用した無理強い)」という単語が出てきており、「上位の者は下位の者に何をしても許される」という韓国独特の価値観に対する問題提起をしている記事です。


【噴水台】憤怒が興行になる韓国社会 中央日報 2015年12月04日


更に上記の記事では、甲の横暴と乙の鬱憤、報復が韓国の映画やドラマのなかで主流となりつつあるとしており、「これはあくまで架空の話である」として、以下のようにまとめています。

しかしこのように権力を絶対悪だと単純化し、映画の中の絶対悪への報復を通じて正義の実現の快感を得るのは実際の現実の中では格別な力はない。すべての権力が絶対悪でもなく、悪が作用する方式もまたそれほど単純ではないからだ。相手を絶対悪と押しつけて自ら正義を独占したという認識も、正しいものではない。

※ただし中央日報は(特に対日関連で)頻繁にこうした善悪二元論に基く記事を書いています。


甲と乙の関係性とは、このように序列社会における強者と弱者の関係の事となるわけですが、当然のことですが韓国社会における乙=弱者となった人々は不満を持ち、この関係性を解消しようという欲求を持ちます。


結果、最後の引用のように創作物の世界で「被害者が最も偉い」という独特の価値観を用いて序列(甲と乙の関係)を逆転させ、乙だった者が元甲(力の無くなった甲)に復讐を果たす映画やドラマがヒットし始める兆候が出てきている、それが2年前です。


そして現在、韓国では朴元大統領とそれに連なる人々を「甲(加害者)」とし、反朴でまとまった人々を「乙(被害者)」として「甲への劣等性の指摘」を行い、文字通りの「甲と乙の逆転現象」が現実に発生したのです。


韓国社会が望み、「創作物の世界のみで起きていた事」が実社会で実現されたのです。


つまり、韓国人の多くは甲と乙の関係を批判しながら、朴大統領の逮捕を契機にこの関係性を解消しようと動くのではなく、立場を逆転させて甲と乙の関係を継続させたのです。
その結果が最初に引用した朝鮮日報の記事です。


甲(序列の上位者)は乙(序列の下位者)に「何をしても許される」ので、自分達に都合の悪い意見は何であれ徹底的に攻撃して叩き潰すのです。
そして、朝鮮日報は便宜上の保守系であったため、現政権から積弊=元甲(力の無くなった甲)の乙と認識されており、自身が「甲の横暴を受ける側」となったため批判(劣等性の指摘)記事を書いているというわけです。


視点を変えると、韓国人の多くは甲と乙の関係を批判しているのではなく、「自身が甲でないこと」を批判していた、という事でもあります。
韓国人の多くは、「乙に何をしても許される存在」としての甲になりたいのです。


2:「元乙(力をつけた乙)」による横暴


上記のような背景から、「乙(序列の下位者)の支持」を取り付けて政権についた文在寅大統領は、自身が乙から甲(序列の上位者)となったことで元甲である「乙」に対して文字通り「何をしても許される」を実行しています。


例えば、最近韓国では大法院(最高裁)が法廷の傍聴や撮影に関する規定を変更し、「国民の関心が高い場合裁判の中継を認める」状態にしました。
これは実質的に朴元大統領とサムスングループの事実上のトップである李在鎔氏を裁判でさらし者にするためです。


朴槿恵氏、サムスントップの判決も生中継へ 韓国最高裁が規定を改定 産経新聞 2017.7.25


本来ならこれは人権問題ですが、「甲の横暴」をしてきた側が加害者として糾弾されているだけと認識されているので、韓国でこれを批判する人はほぼいません。
批判したら最初に引用した記事のような状態になるだけです。


また他にも、韓国では財閥企業が「甲」として「何をしても許される存在」としてまかり通ってきていた事から、文大統領は財閥企業に対し「呼びつけて自分の政策を強要する」行為を繰り返しています。


文在寅政権 慎重論ある最低賃金1万ウォンへとまい進 聨合ニュース 2017/07/25
韓経:【社説】事前相談なく一方的に通知した大統領-財界人対話=韓国 中央日報 2017年07月25日
月2万ウォンの「普遍料金制」を来年導入、音声200分にデータ1GBか 東亜日報 July. 22, 2017


要するに、大統領という財閥よりも上位の「甲」となったことで、相対的に乙である財閥企業に対して「甲の横暴」を行っているわけです。


また、文政権では富裕層に対する増税も検討しています。


韓経:【社説】わずか10日間で「富裕層増税」を決めた韓国政府 中央日報 2017年07月25日
韓国人10人に8人「富裕層増税」に賛成 中央日報 2017年07月25日


韓国における富裕層とは、序列の上位者であり「甲の横暴」を行う張本人たちとして、一般庶民から「恨(ハン)」の対象となっていたわけですが、文政権は国民の多数の支持を受けてこの増税を強行しようとしています。


どの事例も、客観的に見たら先ほど引用した記事にある「甲チル(優越的な地位を利用した無理強い)」の事例です。


文大統領は韓国内における最上位の「甲」となったことで、自分より立場の弱い乙に対して「何をしても許される」を実行し、更にその対象を「庶民の恨の対象」に限定する事で、庶民に「力の無くなった甲を懲らしめた(甲と乙の関係が逆転)」という事を実感させています。


「誰もが甲になりたい」ので、文政権は庶民を「甲にしてあげている」わけです。
まさに「パンとサーカス」の典型例です。


3:韓国にとって日本は力の無くなった甲


今回書いたように、韓国社会では「甲と乙の関係」が社会的な問題とされながらも、誰もが「甲になりたがっている」背景があります。
関係そのものを解消したいのではなく、「乙でいることが不満」なだけであり、対等の概念が希薄な韓国らしい考え方といえます。


そして韓国国内でこの状態である事は、当然対外的にも同じ発想をしている事になります。


韓国が自国よりも経済的に規模の小さい国に対して横暴な態度を取るのはこのためなのですが、日本に対しては今回取り上げた朴元大統領や財閥、富裕層と同じく、「元甲(力のなくなった甲)」と認識されています。


つまり、被害者と加害者の関係や劣等性の指摘などによって甲と乙の関係が逆転した状態であると定義されているわけです。


だからこそ、「常に甲でいたい」多くの韓国人は、日本に対して何をしても許されると考えているのです。


そしてここで重要なのは、韓国における甲と乙の関係とは、あくまで「自身が乙である」と感じている人々からの主観的な視点による定義付けであって、甲と定義されている人々は「正しい事をしているだけ」との認識である事です。
(そのため甲であるとされている人々は大半が「自分は乙だ」と考えています。)


また以前から書いているように、韓国では「正しさ」に根拠が必要なく、「常に自分は正しく、正しさが実現しないのは他に問題があるからだ」と考える傾向にあります。


つまり、韓国人の多くは「日本に対して何をしても許される」と考えていますが、それは「日本が悪いから」であって、自身が甲となり「甲の横暴をしている」という認識が存在していないのです。


当然のことですが、文政権も文政権の支持者たちも韓国内で現在行われている行為に対して、自身が甲であるとは考えていません、今でも自分は「乙である」と考えており、「甲の横暴に抵抗しているだけ」という認識です。


日本に対してもこれは同じであり、「日本が韓国の正しさを受け入れないのは未だに甲の横暴をしているからだ」という認識なのです。
実態としては韓国側による「甲の横暴」でも、本人には全くその自覚が無いのです。


こうした背景があるわけですが、日本人の多くはそもそもこのかなり特殊な「甲と乙の関係」そのものを認識していないため、韓国と「対等な関係を築くつもり」で交流を持とうとします。


しかし韓国側はそもそも対等な関係の構築など望んでおらず、「日本に対して(実質的な)甲でいたい」だけであるので、この意識のズレがトラブルを引き起こす場合もあるわけです。


もう一度書きますが、当人には「自身が甲である」という認識は元々一切無いのです。
「常に自分は道徳的に正しい」のですから、道徳的な劣等者である「甲」のはずがないのです。



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