日韓問題(初心者向け)

日韓問題について、初心者でもわかりやすい解説と、日韓問題とマスコミ問題の動画のテキスト版を投稿しています。

韓国が提案する「これをしたら解決する」の意味


さて、今回の内容なのですが、以前書いた「日本人と韓国人とでは「約束・契約」の概念が全く違う」や「韓国人が日本人から嫌われる根本的原因」にも関係した内容となります。


以前書いたものでは、韓国人の価値観では契約や約束をしてもその後自身に都合の悪い事があれば、後から口実を作って契約や約束を破り「理由があるから仕方が無いのだ」と考える傾向にある事を書いたわけですが、今回紹介する事例ではそれに加えて、韓国側が「(相手が)こちらのこの要求を呑めば問題は解決する」と要求してきた場合、それは本当に解決を望んでいるわけではないという事を説明して行きます。


最初に結論を書いてしまうと、彼らがそう要求してくるのは「問題を継続させるため」です。
要するに相手がその要求を呑んだら、そこから更なる問題を後付けで作りだし、「過ちを認めていない」とクレームを入れて問題を延々とループさせ相手を批判し続ける、そのための口実なのです。


その背景にあるのは蔑視ありきの自民族中心主義です。
以前から書いているように、韓国の一般的な価値観では自己の優越さの証明をするためには他者の劣等さが必須です、また自己の主張の正当性を証明するためにも、同じく他者の劣等さが必要です。
ですので、元々問題の解決などありえないのです、それでは彼らの価値観的に自己の優越性や正当性を証明できなくなってしまうからです。


彼らの「これをしたら解決する」という主張にはそんな背景があるわけですが、それを踏まえた上でこちらの記事を。


韓国外相 慰安婦問題は政府間解決を最終決着に
NHK 6月22日
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20150622/k10010123841000.html
http://web.archive.org/web/20150622123533/http://www3.nhk.or.jp/news/html/20150622/k10010123841000.html(ウェブアーカイブ
韓国のユン・ビョンセ(尹炳世)外相は、22日、NHKとの単独インタビューで、いわゆる従軍慰安婦の問題で、日韓の政府間協議で解決が図られれば、それを最終決着とし、韓国側から再び問題として提起することはないという考えを示しました。
日韓の国交正常化50年に合わせて来日している韓国のユン・ビョンセ外相は、22日、都内でNHKのインタビューに答え、「国交正常化50年をよいきっかけとして生かすことができれば、両国の新しい50年に向けての転換点になるのではないか」と述べて、関係改善への意欲を表しました。
そして、いわゆる従軍慰安婦の問題について、ユン外相は、「明確に解決できれば、再び論じる理由はない」と述べ、今後の政府間協議で解決策に合意することができれば、それを最終決着とし、再び提起することはないという考えを示しました。
こうした発言は、慰安婦の問題を巡って、政府間協議で解決が図られても、再び韓国側から問題として提起されるのではないかという、日本側の根強い懸念を払拭(ふっしょく)するねらいがあるものとみられます。
韓国政府の当局者によりますと、21日の外相会談でもこうした日本側の懸念を巡って、踏み込んだ議論があったということで、慰安婦を巡る協議の進展につながるか注目されます。
また、日韓両国が、中国を加えた3か国の首脳会議の年内開催を目指していることについて、ユン外相は、「実現すれば、韓国と日本両国の首脳が会えるきっかけになるのではないかと思っている」と述べ、3か国の首脳会議に合わせる形で日韓首脳会談を実現させたいという考えを示しました。


これなのですが、実のところ河野談話発表のときにも全く同じやり取りがありました。
つまり河野談話のときにも「これをすればそれで終わりにする」と韓国側が提案してきており、日本側がその提案を受けて韓国側の要求通りの談話を発表した結果、現在のように問題がこじれにこじれたという経緯があります。
以下の記事にその時の経緯があります。


「韓国がいろんな要望」 河野談話で石原元副長官
産経新聞 2014.4.2
http://sankei.jp.msn.com/politics/news/140402/plc14040217180014-n1.htm(リンク切れ)
http://web.archive.org/web/20140402090031/http://sankei.jp.msn.com/politics/news/140402/plc14040217180014-n1.htm(ウェブアーカイブ
石原信雄元官房副長官は2日、参院統治機構調査会に参考人として出席し、従軍慰安婦問題をめぐる1993年の河野洋平官房長官談話の作成過程で韓国側から要望があったと明らかにした。「事務方が文案を作る過程で、韓国側がいろんな要望を言っていると耳にした」と述べた。具体的には「(談話の)どの部分かは知らない」とした。

 安倍晋三首相は、従軍慰安婦問題をめぐり旧日本軍の関与と強制性を認めた河野談話を見直さない考えを明言している。ただ、談話の作成経緯は検証する方針だ。

 石原氏は調査会で、河野談話は未来志向の日韓関係を構築するためだったと説明した。同時に「韓国側も『これで過去の問題に一応区切りをつける。未来志向でいく条件ができる』と言っていたので、それを信じた」と述べた。



そして重要なのは、この頃から日本政府の基本姿勢は一切変わっていないという事です。
ではなぜこじれ続けたのかといえば、以前こちら「【河野談話】韓国政府が自爆しました」やこちら「来月、慰安婦問題に関連した日韓局長級協議が開かれる事が決定したようなのでちょっと書いておきます」で書いたように、韓国側の想定する「慰安婦強制連行」の定義に問題があり、その問題のある定義を日本側に受け入れるよう「新たに」要求し続けているからです。


韓国側の定義する強制連行とは「軍人が軍命令でやってきて銃で脅して女性を拉致して行った」というものです、これは韓国の国定教科書でもそのように書かれています。
当然そんな事実は存在せず、存在しないからこそ日本で韓国側に立つ人々は「強制があったか無かったかは問題ではない」という態度をとり、尚且つ韓国側の主張をはぐらかし問題を継続させるために「軍関与」という曖昧な単語を使うわけです。


また過去にはこんな事もありました。


「謝罪、反省求めない」対日関係で李明博・韓国次期大統領
産経新聞 2008.1.17
http://sankei.jp.msn.com/world/korea/080117/kor0801171645003-n1.htm(リンク切れ)
http://web.archive.org/web/20080119061447/http://sankei.jp.msn.com/world/korea/080117/kor0801171645003-n1.htm(ウェブアーカイブ
【ソウル=黒田勝弘】韓国の李明博(イ・ミョンバク)次期大統領は17日、当選後初めて外国記者団と会見し、対日関係については「謝罪と反省は求めない」と明言し「今後は形式的なことはやめ、実質的に両国にプラスになる外交を進めたい」と述べた。これは「韓国の歴代大統領は決まって過去問題を取り上げ日本に謝罪や反省を求めてきたが、李次期大統領もそうするのか」との日本人記者の質問に答えたもの。

 李次期大統領は「謝罪、反省の問題では日本も形式的にやってきたのは事実で、そのため韓国国民にそれほど感動を与えることができなかった。しかし、自分としては成熟した両国関係のために謝罪や反省は求めない。日本も要求がなくてもそういう話ができるような成熟した外交をすると思う」と語った。
(後略)

以下はヘラルドトリビューンによるインタビュー記事の原文

South Koreans seek new relationship with Japan
herald tribune January 10, 2009
http://www.iht.com/articles/ap/2009/01/10/asia/AS-SKorea-Japan-Relations.php(リンク切れ)
http://web.archive.org/web/20090303224238/http://www.iht.com/articles/ap/2009/01/10/asia/AS-SKorea-Japan-Relations.php(ウェブアーカイブ
(前略)
Lee has pledged not to seek a new apology from Japan for the use of forced labor and sex slaves during colonial rule. He also resumed top-level visits, which had been suspended since 2005 to protest former Japanese Prime Minister Junichiro Koizumi's repeated visits to a Tokyo war shrine.



この後李大統領はこの発言を反故にし、以下のように「これをすれば解決する」と要求してきます。


李大統領 日本に慰安婦問題の人道的措置求める
2012年06月11日20時13分
[ⓒ聯合ニュース]
http://japanese.joins.com/article/539/153539.html(リンク切れ)
http://web.archive.org/web/20120615193748/http://japanese.joins.com/article/539/153539.html?(ウェブアーカイブ
【ソウル聯合ニュース李明博(イ・ミョンバク)大統領は11日、青瓦台(大統領府)で国内外のメディアとの共同インタビューに応じ、旧日本軍の従軍慰安婦や植民地時代に強制徴用された被害者に対する補償問題について、日本政府に人道的な措置を取るよう促した。

 李大統領は、昨年12月に京都で野田佳彦首相と会談した際、従軍慰安婦問題について提案したにもかかわらず、現在まで少しも進展していないと指摘。「日本政府は法律的でなくとも人道主義的な措置を必ず取るべき」と日本の対応を促した。

 一方、北朝鮮が最近、韓国政府に対する挑発的で強硬な発言を繰り返していることについては、「権力世襲後の政権安定に向けた内部事情によるもの」との見方を示した。



そしてこの件を特に取り上げたのには理由があります。
注目すべきは「日本政府は法律的でなくとも人道主義的な措置を必ず取るべき」という部分です。
この時点で韓国政府は、法的責任は問わないからとにかく何らかの形での解決をすれば、それでそれ以上は歴史問題を扱わないとしていたわけです。


しかし、最近の韓国政府の態度はこうなっています。


「日本は慰安婦の法的責任認め、韓国は国民説得しなければ」
2015年06月23日08時29分
[ⓒ 中央日報/中央日報日本語版]
http://japanese.joins.com/article/159/202159.html
韓日首脳会談の開催に向かうために解決しなければならない最大の難題は「慰安婦交渉」だ。

現在、韓日間の慰安婦交渉は相当部分の進展がある状態だが、日本政府の法的責任の認定という核心の争点が残っている。今回の韓日外相会談でもこの部分について異見を狭めることができなかった。尹炳世(ユン・ビョンセ)長官は「慰安婦被害者問題に関しては、韓国の主な関心事についての立場を明確に伝えた」と明らかにした。

慰安婦交渉の争点は▼事実確認▼公式謝罪▼被害者の補償・賠償▼慰安婦の共同研究など大きく4つだ。このうち事実確認と公式謝罪は河野談話などを通してすでに日本も認めただけに、妥協点を見出せると専門家たちは話した。解決が容易ではない部分は被害者の補償・賠償問題だ。韓国は日本政府の法的責任の認定と賠償を要求している。一方、日本は慰労金などの形で補償金を支給することを望んでいる。
(後略)


見ての通り「法的責任を認めろ」としており、事実上ハードルが上がっています。
問題を解決したいのならば、本来このように相手が容認しにくいような材料を新たに付け加える事は通常しないわけですし、何よりそもそも韓国政府の主張は「【河野談話】韓国政府が自爆しました」で書いたように、客観性も何もないわけですから法的責任以前の問題です。


そして当然韓国政府もその事は十分わかっています。
解っているうえでこう要求する事で、「こちらは解決策を提案しているにも関わらず、日本が罪を認めないから関係が悪化している」という形を作りたいのです。
そうすれば、韓国的価値観では日本の劣等性を担保に自らの正当性を証明できるからです。


またこちらの事例でも同じロジックが働いている事が解ります。


【社説】両国民の決断が左右する韓日関係の未来
朝鮮日報 2015/06/22
http://www.chosunonline.com/site/data/html_dir/2015/06/22/2015062201519.html
http://www.chosunonline.com/site/data/html_dir/2015/06/22/2015062201519_2.html
http://www.chosunonline.com/site/data/html_dir/2015/06/22/2015062201519_3.html
(一部抜粋)
韓国は日本から「請求権資金」という名目で10年にわたり無償3億ドル(約370億円)、有償2億ドル(約250億円)の資金提供を受けた。韓国政府はこれらの資金を使い浦項製鉄を立ち上げ、また京釜高速道路の建設など国内のインフラ整備や原材料の購入に当てた。その結果、国交正常化からの10年で韓国の輸出額はおよそ30倍、一人当たり国民所得は6倍にまで膨れ上がった。

 しかし条約の中で侵略と植民地支配に対する謝罪を明確にしなかった影響で、この問題はその後もずっと両国の間で禍根として残った。日本は「1910年の強制併合」についての違法性を最後まで認めず、「謝罪」などの言葉を使用することも強く拒否した。しかも「請求権」という言葉も日本国内に残る朝鮮の資産を返すという意味合いであり、賠償を意味するものではなかった。日本による歴史否定の根はここにあるのだ。




この記事で注目すべきは「日本は「1910年の強制併合」についての違法性を最後まで認めず」という部分です。
これなのですが、以前「韓国ではなぜ自浄作用が殆ど作用しないのか」で書いたように、2000年に韓国政府の実質的な主催で日韓併合が違法であるという学術的な既成事実を作ろうと国際会議を開催した結果、韓国側が指名したケンブリッジ大学国際法学者から「当時としては合法」という結論が出され、韓国側がそれに反論する事ができず国際会議が事実上無期延期となったという背景があります。


当たり前の事ですが、韓国政府自体が合法論に未だまともに反論出来ないにも拘らず、「日本が違法である事を認めないから問題なのだ」では意味不明です。
そして当たり前ですが韓国政府も韓国メディアもその事は十分承知しており、そのうえで「認めない日本が関係悪化を招いている」としているのです。


当然これも解決など出来る訳がありませんし、何より日本政府が韓国側の要求を認めることなどできるはずもないのです。
しかし韓国側はこのように要求し、実質解決不可能な問題をまた新たに作り出しているのです。
勿論仮に日本政府が韓国側の要求を認めたとしても、それで終りではありません。
慰安婦問題と同じように、法的責任を根拠に日韓基本条約を超えた謝罪と賠償の要求をしてくるだけです。


また更に、今まで書いてきたような事を韓国側に指摘しても実際のところ全くの無意味です。
なぜかといえば、彼らの価値観では「自分達は絶対的に正しいのだから、自分達が行う事は全て正しいのだ」と、自らの個別の言動ごとに正しい・間違っているという判断をするのではなく、自分達の言動は無条件に全て正しいという考えに基いているからです。


そしてもう一つ。
蔑視ありきの自民族中心主義に関係しているのですが、以前このブロマガのコメント欄で非常にわかりやすい表現を使っていた方がいたのでその方の言葉を借りると、彼らには「劣等性の天秤」というものがあるのです。


これはどういうものかというと、彼らは常に自分達が絶対的に正しいとしており、また自己の「正しさ」は他者の劣等性で証明されるわけですが、自身が問題点を指摘されたら、こじ付けでも曲解でもなんでもいいので「相手にも同じ問題がある」と指摘し、劣等性の天秤の相手側にその問題を積み重ねる事で、自らの問題を「打ち消した事」にしてしまうのです。


そして、天秤の反対側の自分たちの問題は些細な事、相手の問題の方が「同じ」で「より重い」のだから、相手には問題を指摘する資格が無いのだ、だから自分達は正しいのだと考える傾向にあるのです。
問題が発生したら自らの正当性を証明するのではなく、他者の劣等性が自らの正当性と=という非常に独特の価値観に基いているわけです。


彼らはこのような価値観に基き、日本に様々な要求をしてきます。
そして他者の劣等性=自らの正当性だからこそ、彼らは「問題を継続させ続けないといけない」のです。


ですので、今回取り上げた問題も彼らは恐らく殆どの場合計画性を持って意図してやっているわけではなく、それどころかその自覚すらないでしょう。
彼らの価値観ではこれが当たり前であり、自らの正当性を証明するには「そうするしかない」からこのような反応をしているのです。


なので、日本側が「韓国は決めた事を守らずすぐ反故にしてしまうではないか」と懸念を指摘しても、彼らは日本側がなぜそのような事を言うのか理解できない、もしくは「日本側に問題があるのになぜ韓国側に転嫁するのか」としか考えないでしょう。


前提として持つ「常識」が双方で根本から全く異なるのですから、この現象はある意味当たり前の事なのですが、その当たり前の事がまずそもそも日本側で自覚している人があまりにも少なすぎる、その事がこの件の一番の問題ではないかと、私はそのように考えています。