さて、本日は「自主外交」をするといいながら、実質北朝鮮の言いなりになっている韓国について手短に書いて行きます。
初めて来られた方はまずこちらを先に読む事をお勧めします。
ブロマガ『日韓問題(初心者向け)』を始めた理由
注意
・このブロマガは「日韓の価値観の違い」を初心者向けに扱っています
・当ブロマガのスタンスは「価値観に善悪や優劣は存在しない」というものです
・相手が不法を働いているからと、こちらが不法をして良い理由にはなりません
・自身の常識が相手にとっても常識とは限りません、「他者がそれを見たらど
う思うか」という客観性を常に持ちましょう
・日常生活で注意する程度には言動に注意を心がけてください
※一部を除き、引用記事が日本語の場合には文中にリンク用アドレスとタイトルのみ表記、韓国語のものやリンク切れで参照不能な記事のみ文末にまとめて本文を引用します。
※本文中のリンクは引用の元記事、或いはインターネットアーカイブやウェブ魚拓(別サイト)へのリンクです。
1:北朝鮮の狙い
まずはこちらの記事から
[社説]与野党、平壌の南北首脳会談成功のため意を結せよ
ハンギョレ新聞 2018-09-10
http://japan.hani.co.kr/arti/opinion/31595.html
大統領府は18日に平壌(ピョンヤン)で開かれる文在寅(ムンジェイン)大統領と金正恩(キムジョンウン)北朝鮮国務委員長の南北首脳会談に国会議長団と与野5党の代表の同行を要請した。イム・ジョンソク大統領秘書室長は10日「国会が一緒になってこそ南北交流協力が安定すると言われている」として「皆さんが招請に応じれば国会・政党特別代表団を構成する」と話した。しかし大統領府の発表に先立ち自由韓国党のキム・ビョンジュン非常対策委員長と正しい未来党のソン・ハクキュ代表は拒否の方針を表明して、5党代表同行の北訪問は実現しにくくなっている。
今回の平壌南北首脳会談は金大中(キムデジュン)、廬武鉉(ノムヒョン)大統領に続く3度目の北朝鮮訪問会談で、北の核の解決と南北関係進展の重大な山場といえる。大統領府の望み通り5党代表が一緒に北を訪問して国会・政党レベルの対話がなされるなら錦上に花を添えるものだが、首脳会談に野党代表が同行するのは容易ではないことだ。南北首脳会談の日程が多少急に決められたし、北と米国の交渉が膠着状態にある点も野党としては負担だろう。大統領府もこのような事情を考慮して5党代表を公式招請しているものの、民主平和党のチョン・ドンヨン代表と正義党のイ・ジョンミ代表ら一部代表の同行を念頭に置いていると見られる。ムン・ヒサン国会議長も定例国会に専念するために今回同行しないことにしている。
文大統領と5党代表の同行訪問は難しくなったものの与野党政界が今回の首脳会談成功のために意見交換することは緊要だ。大統領府は最後まで野党代表の北朝鮮訪問のために誠意を尽くして説得して協議しなければならない。自由韓国党と正しい未来党も党代表が難しいならば党内外交安保関連の幹部でも同行させる策を考慮するのもいい。今回の会談を機に南北間の国会次元の会談を着実に準備する必要がある。
ムン国会議長と与野党の国会代表は政府が11日の国会に提出する予定の板門店宣言批准同意案を今回の首脳会談の結果を見ながら処理することで合意した。首脳会談を控えてこの問題を政争化すまいとの趣旨という。南北問題は与野党ができるだけ合意に基づいて静かに進めるのが良い。政府・与党は欲を出して強く押しつけようとしてはならない。野党は南北問題に関する限り非協力で一貫する態度は捨てるべきだ。
与野党とも歴史的な平壌首脳会談の成功のために互いに配慮して知恵を集めて協力する道を見い出すべきである。
この記事なのですが、要するに文政権が野党に対して「一緒に平壌を訪問するべき」と要求したが、保守系野党は拒否したという記事です。
この件での文政権の狙いは明白です。
元々野党がそんな要求を受け入れられるわけが無い事を知った上で、「南北の和解に協力しない保守」というイメージを作りたかったのです。
この事は以下の記事からもわかります。
野党の首脳会談同行拒否、文大統領は「党利党略」と批判 朝鮮日報 2018/09/12
(1/2ページ) (2/2ページ)
【社説】国会・野党を金正恩氏の前に連れていきたい文政権 朝鮮日報 2018/09/11
要するに文大統領は、「野党は党利党略のために南北の和解を妨害している」と宣伝し、まさに文大統領自身がこの問題を党利党略のために利用しているのです。
ではこの「平壌南北首脳会談」は文大統領の支持率稼ぎが主な目的かといえばそれも違います。
恐らくですが、元々この「野党も平壌に連れて行く」という計画は北朝鮮が考えたものであり、文政権は単に利用されているだけです。
では北朝鮮の目的は何かといえば、これはご存知の方も多いでしょうが「核廃棄をしないままの経済制裁解除」であり、もし文政権が野党を連れて平壌へ向かえば、明確な核放棄をしないままの経済制裁解除を「韓国の総意」として宣伝できます。
また、野党が上記記事のように同行を断った場合には、文政権と一緒になって「和解を妨害する積弊だ」と攻撃できますから、現在の韓国の情勢では北朝鮮にとってどちらに転んでもメリットしかありません。
もし仮にこの件で大きな失敗があったとしても、ダメージを受けるのは実際に行動に移した韓国側だからです。
実際、北朝鮮は表では核廃棄交渉をしながら核兵器の増産をしている可能性が高く、また核施設の放棄も中途半端なまま止まっており、そのうえで韓国に対して実質制裁解除になるような要求をし続けており、巧妙に韓国を手駒として動かしています。
「北朝鮮、今年に5~8個の核兵器生産した可能性」 米NBC報道 東亜日報 September. 12, 2018
金委員長「一方的非核化措置取る計画はない」 ハンギョレ新聞 2018-09-11
【萬物相】韓国とイスラエル 朝鮮日報 2018/09/09 (1/2ページ) (2/2ページ)
そして北朝鮮は、「南北和解という得点を稼ぎたい」文政権に対して、事あるごとに注文をつけ、「成果を出したいなら言う事を聞け」と圧力をかけ続けています。
実際上記の「【萬物相】韓国とイスラエル」では、北朝鮮の要求でイスラエル大統領の訪韓を拒否したのではないかと問題を提起しています。
北朝鮮「南朝鮮の所得主導成長は虚構」 朝鮮日報 2018/09/08
要するに文政権は、自分達は自分達の党利党略のために北朝鮮を利用しているつもりなのでしょうが、実際には北朝鮮の「思惑通り」に動かされているだけなのです。
2:韓国内の「自主派」
ではなぜ文政権はここまで北朝鮮の「言いなり」なのか、大雑把には「親北朝鮮だから」という説明で終わってしまうのですが、韓国の「親北」にも色々あり、文政権の支持母体となっている労組や慰安婦団体などは明らかに北朝鮮と直接繋がっていますが、文政権には恐らくですが直接のつながりはありません。
(もし文政権に直接の繋がりがあったのなら、アメリカや韓国三大紙はとっくにそこを突いているでしょう)
では文政権はどんな「親北」なのかといえば、それは「自主派」とよばれる考え方に基いた親北であり、この自主派というのは以下の朝鮮日報の鮮于鉦記者の記事の説明がわかりやすいです。
【コラム】「わが民族同士」で韓半島の未来は決められない 朝鮮日報 2018/09/09 (1/3ページ) (2/3ページ) (3/3ページ)
少々長い記事ですが、自主派を民族主義に根ざした「わが民族の運命はわれわれ自身で決定する」という考えに基き、記事では「我族の国は我族が主張するという主義」という解釈をしています。
要するに、他国の判断を排除した独自の外交によって朝鮮半島を統治していくという、ある種の孤立主義とでもいうような考え方で、北朝鮮は度々韓国に対してこの主張をしており、韓国内の「自主派」というのはこれに同調した民族主義者の事です。
文政権はこの考え方を持つ人々が集まった政権で、過激な韓国労組や慰安婦団体のように単純に北朝鮮の利益に追従するのではなく、「自分達が朝鮮半島情勢や核をコントロールするのだ」「周辺三国(日本、中国、ロシア)やアメリカの意向は拒否する」というスタンスから、北朝鮮に同調するという考え方になってます。
しかしこの考え方は、結果的に最初のほうで書いたように北朝鮮が「核を維持したまま経済制裁を解除する」という方針に利用されており、現在のアメリカと韓国の軋轢はここから生まれています。
そのため、以下のハンギョレの記事のように
[寄稿]恵山市の変化と金正恩の非核化の動機 ハンギョレ新聞 2018-09-10
「北朝鮮への経済制裁は効果がない」という論調をされると簡単に同調してしまい、それが結果的に先月に発覚した北朝鮮からの石炭輸入問題を引き起こしたり、北朝鮮への経済制裁を有名無実化しかねない南北連絡事務所の設置問題などに繋がるわけです。
こうした外からの北朝鮮への核放棄の働きかけを「自主派」は「外国からの不当な介入」と考え、「恨(ハン)」を感じるからです。
米国、南北の連絡事務所開設に「同意」へ転換 東亜日報 September. 10, 2018
※恨(ハン)とは
あくまで個人的な見解となるが、「主観的な正しさ」を絶対視する韓国社会において、この主観的正しさが相手や社会から受け入れられない場合に、彼らが感じる理不尽さを根底として、そこから派生する様々な感情の総称。
また恨には「解消」という概念があるが、これは完全に恨が消失するものではなく、「一過性」のものでしかない。
韓国人の中にある「主観的正しさ」と「恨(ハン)」
また、最初のほうで取り上げた平壌訪問問題でも、野党の同行と共に韓国の経済界関係者の同行を要求しており、明らかに北朝鮮はこの南北会談を核放棄の場ではなく経済協力の場にしたいのが明白にも関わらず、文政権は経済界に圧力をかけてでも同行を強要しようとしています。
南北首脳会談に同行すべきか、頭を抱える韓国財界 朝鮮日報 2018/09/12 (1/2ページ) (2/2ページ)
恐らく文大統領の思惑としては、経済協力によって韓国企業を北朝鮮に進出させ、それで低迷する韓国経済の好材料にしたうえで、低下した自身の支持率を立て直しをするという「二兎」を想定しているのでしょうが、そこを北朝鮮に見透かされ利用されているわけです。
つまり現在の韓国の動きは、韓国内の民族主義系「自主派」が、「外国の思惑で動いてなるものか」という考えを先鋭化させ、更に自主派の文政権が韓国内での支持や国際的評価のために現状を利用しようとしたため、北朝鮮にそれを見透かされた結果なのです。
ある意味で、現在の韓国内の動きは、先鋭化した民族主義に根ざした「自主派」の動きを、北朝鮮が北朝鮮の国益のために利用しているとも言えます。
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