日韓問題(初心者向け)

日韓問題について、初心者でもわかりやすい解説と、日韓問題とマスコミ問題の動画のテキスト版を投稿しています。

韓国を操る金正恩


初めて来られた方はまずこちらを先に読む事をお勧めします。

ブロマガ『日韓問題(初心者向け)』を始めた理由


注意
・このブロマガは「日韓の価値観の違い」を初心者向けに扱っています

・当ブロマガのスタンスは「価値観に善悪や優劣は存在しない」というものです

・相手が不法を働いているからと、こちらが不法をして良い理由にはなりません

・自身の常識が相手にとっても常識とは限りません、「他者がそれを見たらど
う思うか」という客観性を常に持ちましょう

・日常生活で注意する程度には言動に注意を心がけてください


さて、本日は「韓国(朝鮮)的価値観」を良く理解し巧妙に世論や政府をあやつる北朝鮮について書いて行きます。


最近の韓国では、平昌五輪や4月の南北会談以来北朝鮮金正恩への好感度が上がっているが、この件は「それだけ」では済まされず、北朝鮮はこれを外交に利用して韓国を取り巻く環境に自分達に都合のいい「ウリ・ナム」を作り出し、巧妙に韓国世論を操っている。


実例として日本やアメリカに対しては勿論、韓国内で北朝鮮に都合の悪い意見や人物が現れると、「平和交渉を妨害している」と露骨にその対象への個人攻撃を行い、その人物を韓国人に「ナム」認定させ、更に韓国人に「自主的に」その対象への攻撃を促す戦略を行っており、これはかなり成功している。


また、「飴とムチ」の使い方も「対韓国」専用に非常に巧妙化しており、実質的に現在の韓国では北朝鮮に逆らえない状況ができつつあり、典型的なポピュリズム政権である文在寅政権は「国民情緒」に沿って北朝鮮の意思通りに動いている。



※一部を除き、引用記事が日本語の場合には文中にリンク用アドレスとタイトルのみ表記、韓国語のものやリンク切れで参照不能な記事のみ文末にまとめて本文を引用します。
※本文中のリンクは引用の元記事、或いはインターネットアーカイブウェブ魚拓(別サイト)へのリンクです。

1:北朝鮮の急激な態度変化


まずはこちらの記事から

北朝鮮だけ痛みもなく有利に…北の板門店宣言“我田引水”
2018年05月22日07時53分
[ⓒ 中央日報/中央日報日本語版]
http://japanese.joins.com/article/583/241583.html

米朝首脳会談を控え、北朝鮮は連日悪知恵を働かせながら、韓国が板門店(パンムンジョム)宣言を違反したという主張をしている。これは典型的な我田引水という批判が出ているが、韓国政府は状況が変わってしまうのではないかと危惧するあまり、公式反論もできずただ心を痛めている。いわゆる「板門店宣言の逆襲」が本格化する局面だ。

(1)離散家族対面合意、白紙に戻る?=19日、北朝鮮赤十字社中央委員会報道官は、2016年女性従業員集団脱北を問題にして「南朝鮮当局は反倫理的蛮行を認めて我々女性公民を直ちに家族の元へ送り返せ」と要求した。それと共に「傀儡保守輩党〔朴槿恵(パク・クネ)政府〕の集団誘引拉致事件をどう処理するかが板門店宣言に反映された南北間の人道主義的問題解決の展望を決めるのに大きな影響を及ぼすことになる」としながら離散家族対面問題との連携を示唆した。

しかし、板門店宣言は「南と北は民族分断で発生した人道的問題を至急解決するために努力(1条5項)」をすることにしている。引き続き、具体的に「南北赤十字会談を開催して離散家族・親戚対面をはじめとする諸般問題を協議解決」することにした。北朝鮮は人道的イシューとして女性従業員問題を持ち出したが、かえってこれを理由に離散家族対面を白紙に戻してしまうのが板門店宣言違反だという指摘もある。

(2)高官級会談も一方的に中止=北朝鮮は韓米合同演習であるマックスサンダー(11~25日)を非難しながら、16日に予定された南北高官級会談を突然中止した。板門店宣言上の「すべての空間で、軍事的緊張と衝突の根源になる相手方に対する一切の敵対行為の全面中止(2条1項)」部分を根拠としたのだ。

しかし、北朝鮮は先立って韓米軍事演習に対しては「理解する」という立場を明らかにした。先月27日の南北首脳会談当時も大規模な韓米合同演習「キー・リゾルブ(KR)」と「トクスリ演習(FE)」の真っ最中だった。合同演習を言い訳に南北対話を中断するなら、板門店宣言上の「高官級会談をはじめとする各分野の対話と交渉を早期に開催(1条2項)」、「軍事当局者会談を頻繁に開催し、5月中の将軍級軍事会談開催(2条3項)」合意違反となる。

(3)度を越えた脱北者問題提起=北朝鮮の「我が民族同士」は19日、太永浩(テ・ヨンホ)元駐英国北朝鮮公使の国会講演を非難して「南朝鮮当局は事態がさらに険悪になる前に脱北者虫どもの妄動に格別の対策を取らなければならない」と要求した。このメディアは、20日には最近一部の脱北者団体のビラ散布に関連して「一握りにもならない人間ゴミの発狂で、第一歩を踏み出した南北和解の局面が今一度重大な難関にぶつかることになる場合、その責任は全面的に南朝鮮当局が負うことになる」と警告した。

だが、板門店宣言には脱北者問題に対する内容がない。むしろ北朝鮮のこのような主張は「新たな平和時代を厳粛に闡明」と「南北関係の全面的かつ画期的な改善と発展」意志を盛り込んだ板門店宣言の合意趣旨に背く。

(40)巧妙な「完全な非核化」否定=16日、北朝鮮外務省の金桂冠(キム・ケグァン)第1外務次官は、談話文で米朝首脳会談再考の可能性を言及した。

金桂冠は「ホワイトハウス国務省の高位官僚は『先に核放棄、後に補償』方式を言いふらしながら、リビア核放棄方式だの『完全かつ検証可能で不可逆的な非核化』だの『核、ミサイル、生物化学兵器の完全廃棄』だのとする主張をためらいなしに吐き出している」とした。金桂冠のこのような発言は、板門店宣言で共同の目標に確認した「完全な非核化(3条4項)」を否定したものだとの解釈がある。


まずこの記事なのですが、ポイントは先月末の南北会談時点では北朝鮮はここで問題とされているような件を一切問題としていなかった事です。


特に最近韓国内で話題となっている米韓軍事演習のキーリゾルブに関しては、そもそも南北会談で金正恩が「理解する」と融和的な態度を示し、これが韓国内で「北朝鮮は変わった」という印象を与え、金正恩の好感度上昇に影響を与えていたのがいきなり一変しています。


韓国人の8割近くが北朝鮮の金正恩委員長を信頼-世論調査 ブルームバーグ 2018年5月2日


また、中国の北朝鮮レストランからの集団亡命の件でも、元々北朝鮮は「亡命直後」から「これは韓国政府による拉致である」と抗議していましたが、今年に入ってからは一切その事に言及しておらず、先日「韓国のテレビ局が」この件を問題とすると、それに連動して突然抗議を再開し始めました。


女性従業員の集団脱北は韓国情報機関が強制か ソウル地検が捜査 聨合ニュース 2018/05/15
総選挙の5日前に海外の北朝鮮レストラン従業員らが集団脱北…朴槿恵国情院の作品か? ハンギョレ新聞 2018-05-12


他にも、ボルトン米大統領補佐官や日本の安倍政権が原則論として「まず核放棄後の体制保証と経済支援」を訴えると、その件でも「われわれはボルトンがどういう者かを明らかにしたことがあり、今も彼に対する拒否感を隠しはしない」、「日本が(朝鮮半島)地域で孤立を免れる道は、対朝鮮(対北朝鮮)敵視政策を放棄することだ」と猛抗議してきています。


対米交渉専門家・金桂官氏 久々の表舞台でボルトン氏に「かみつき」 聨合ニュース 2018/05/16
北朝鮮紙「日本が孤立免れる道は対北敵視政策の放棄」 聨合ニュース 2018/05/16


更に、2016年に韓国に亡命した太永浩元駐英北朝鮮公使が韓国国会で演説を行い、更に北朝鮮の内幕を書いた本を出版すると、その件でも彼を名指しで抗議し韓国との会談キャンセルの口実にしました。


韓国亡命の元北朝鮮公使が著書出版 核開発や正恩氏の素顔語る 聨合ニュース 2018/05/14
【社説】韓国と対話しないという北朝鮮の態度は深刻 中央日報 2018年05月18日
太永浩氏「金正恩は統制が徹底した『開城式開発』を好む」 東亜日報 May. 14, 2018
「人間ゴミ」…北朝鮮がテ・ヨンホ元公使を猛非難した理由は? ハンギョレ新聞 2018-05-17


また他にも、北朝鮮から亡命してきた人々で作る「自由北韓運動連合」が北朝鮮に向けて体制批判のビラをバルーンにつけて散布する活動を行うと、これは民間団体の行為にも関わらず、「敵対行為をしないという約束を破った」として猛抗議してきました。
(ちなみに文政権は色々と口実をつけて中止させようとしていました)


北朝鮮 ビラ散布への韓国対応を批判=韓米首脳会談前に揺さぶりか 聨合ニュース 2018/05/22


また韓国最大野党であり、保守系自由韓国党が政府の「北朝鮮寄り」の態度を批判すると、それにも以下のように抗議というより中傷に近い反発をしてきました。

北朝鮮の労働新聞、洪準杓・自由韓国党代表を猛非難
東亜日報 May. 21, 2018
http://japanese.donga.com/List/3/all/27/1326076/1

(一部抜粋)
同紙は、「洪準杓の醜悪な自画像―汚名大辞典」と題して、「南朝鮮の各階層は歴史的な北南首脳対面と板門店(パンムンジョム)宣言を引き下げ、わきまえなく弄ぶ自由韓国党代表の洪準杓の対決狂乱に怒りを禁じ得ない」と非難した。そして、「元大統領(盧武鉉)を『賄賂をもらって自殺した人』と冒涜するなど雑巾のような舌が動くたびに、人々は「いきり立つ準杓」、「暴言準杓」と唾を吐いている」と強調した。


他にも細かいものはいくつかありますが、これは全てここ1週間くらいで北朝鮮が取り始めた態度で、今年1月から北朝鮮が取り、また金正恩文在寅首脳会談で取ってきた態度と正反対の非常に敵対的な態度です。


ここまで来ると、あまりの手のひら返しに韓国内でも北朝鮮金正恩への印象が悪くなるように見えますが、実は「そうならない」可能性が充分にあります。


2:ウリ・ナムで韓国を操る金正恩


ここで重要となるのが、北朝鮮の態度は一見すると韓国への否定的な態度に見えますし、外交上は「その通り」なのですが、実は北朝鮮は「批判相手」を限定しており、「韓国人への批判や敵視」にならないような態度しか取っていません。


例えば日本に対しては安倍政権を狙い撃ちしていますし、アメリカに対してはボルトン補佐官を名指しです。


他の事例でも、集団亡命事件では「北朝鮮人を拉致した前政権」つまり朴槿恵政権などの保守系を狙い撃ちしていますし、ビラ配りの「自由北韓運動連合」、太永浩元駐英北朝鮮公使、自由韓国党代表などでも批判は限定的で団体への名指しで行われています。


ここまでなら典型的な「離間工作」でしかなく、やられる側が対策をしっかりしていれば問題ないですし、ここまで露骨だと例えば日本人なら「その意図」に気付く人も多いでしょう。


しかし「ウリとナム」という独特の価値基準のある韓国では少々事情が変わってきます。


参考記事
韓国人独特の「ウリ」と「ナム」という概念


なぜかといえば北朝鮮は、一般の韓国人を(北朝鮮から見て)「ウリ」としたまま、批判している個人や集団を「ナム」認定し、そうした人々の「劣等性の指摘」を行い、更に「平和の妨げとなる態度を取っている」と「加害者認定」しているのです。


これまで過去記事で言及してきたように、韓国において「ナム認定」や「加害者認定」をされるという事は、「何をされても文句の言えない相手」になる事と同義ですので、北朝鮮はこの独特の価値観を巧妙に利用して韓国世論を「操ろうと」しているわけです。


実際、現在の韓国では北朝鮮からの亡命者への中傷や攻撃が既に発生していますし、他にも、集団亡命の件では親北系の弁護士が「北朝鮮人を拉致した」として朴政権で国情院院長を勤めた李炳浩氏らを告発しています。


【萬物相】攻撃目標 朝鮮日報 2018/05/13
弁護士団体「従業員集団脱北は韓国国情院による拉致劇」 朝鮮日報 2018/05/14
【社説】韓国国内で恐怖に震える3万人の脱北者たち 朝鮮日報 2018/05/15


亡命者が北朝鮮に戻れば待っているのは「死刑」にも関わらず、韓国の弁護士がまだ裏取りさえされていない集団亡命の件を黒と認定し、その「前例作り」を行っているのです。


また他にも、亡命者の件では北朝鮮による『個人攻撃』に呼応し、北朝鮮に名指して批判された太永浩英駐在北朝鮮大使館公使の韓国追放を求める大統領請願が行われる事態になっています。


反人権的な太永浩追放の請願 東亜日報 May. 18, 2018


既に韓国内で韓国人による自主的な「北朝鮮にとって都合の悪い相手」への「ナム認定」が始まっているのです。


ウリとナム、他者の劣等性を重視する習慣、被害者が偉い、こうした独特の価値観があるからこそ、金正恩の外交ブレーンや北朝鮮で対南工作を行う朝鮮人民軍偵察総局は、これを最大限利用し一般の韓国人に「誰がウリで誰がナムか」という誘導を行っているわけです。


彼らの価値観を詳細に分析しているからこそできる巧妙な戦略です。
韓国内の一般人や北朝鮮にとって有用な人物は誰一人ナム認定されない手法なのですから。


3:文政権が北のメッセンジャー


元々韓国社会には熱し易く冷め易い特徴があるためこれがいつまで継続されるかは不明ですが、少なくとも現在の韓国では北朝鮮にとって理想的な状況になっています。


また最近、今回紹介した北朝鮮の急激な態度硬化に関連し、日本だけでなく韓国も核実験場公開廃棄から除外するような態度を取っていましたが、今日になって突然韓国人記者も受け入れると言って来ました。


韓国政府が記者団訪朝を「歓迎」 核実験場廃棄取材へ 聨合ニュース 2018/05/23


これも非常に巧妙です。
韓国人からしてみれば「ナムのせいで自分達まで除外された」と感じていたところへ、いきなり北朝鮮が態度を変えてきたわけですから、韓国内での好感度の高さも相まって「金正恩の寛大さ」という印象を強く受けている人が多いでしょう。


また、文政権は元々親北の傾向がありましたが、それでも一応これまでは日米との連携を取る立場にいたのが、この北朝鮮の急激な態度変化に動揺し、先日の米韓首脳会談で文大統領はトランプ大統領に「金正恩労働党委員長の非核化は真剣だと思うが、望んでいる条件が充足されなければ会談はできない」「米朝首脳会談成功のための誠意を示している」「われわれは、なんとか整ったこのチャンスを逃してはならない」と言い出しました。


2018年5月25日0時50分、引用間違いを訂正しました。


韓米首脳会談:文大統領「北は誠意見せた、米は機会を生かすべき」 朝鮮日報 2018/05/23


事実上韓国の大統領が北のメッセンジャー化しており、これはアメリカの「核の完全廃棄が無ければ支援も体制保証もしない」という戦略を否定する発言です。


本来、この手の個人攻撃を伴った離間工作が仕掛けられた場合、同盟間の意見の一致や団結を強調するのが定石なのですが、典型的なポピュリズム政権である文政権は、北朝鮮による「ウリ・ナム認定戦略」にそのまま乗り、アメリカを「(少なくとも)ウリではない」と認識している事が解ります。


現状、北朝鮮は中国からの経済支援を取り付けた事で、アメリカ主導の経済制裁にそれほど神経を尖らす必要がなくなってきていたわけですから、それだけでも対北朝鮮包囲網に穴ができてしまっているところへこれでは、全てが北朝鮮の思うがままです。


どんなに日米が制裁強化に動こうとも、韓国がこれでは全てが台無しであり、余程の隠し玉でも無い限り来月12日に仮に米朝首脳会談が開かれたとしても、中身のある結果は得られず、過去にあった対北朝鮮交渉と同じ結果になるでしょう。


2018年5月24日23時40分追記
予想通り会談は中止になりました。

正恩氏との首脳会談を取りやめ=トランプ氏 聨合ニュース 2018/05/24


韓国社会の「扇動され易さ」は、見事なまでに北朝鮮に利用されています。
しかも北の核兵器によって恫喝されるのは韓国も同じはずですが、その危機感は韓国内には現状見当たりません。


韓国内では、この状態であっても「北朝鮮への経済支援で韓国経済も復活」という夢を見ているのです。


政府、「南北経済協力調査・研究」のコントロールタワー構築を検討 ハンギョレ新聞 2018-05-22
北は本当に327兆円分の鉱物資源を有する「黄金郷」なのか 朝鮮日報 2018/05/20






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