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ブロマガ『日韓問題(初心者向け)』を始めた理由
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・このブロマガは「日韓の価値観の違い」を初心者向けに扱っています
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・自身の常識が相手にとっても常識とは限りません、「他者がそれを見たらど
う思うか」という客観性を常に持ちましょう
・日常生活で注意する程度には言動に注意を心がけてください
さて、本日は12日にシンガポールで行われた米朝首脳会談に関連して、気になった部分があるのでその件について手短に書きます。
※一部を除き、引用記事が日本語の場合には文中にリンク用アドレスとタイトルのみ表記、韓国語のものやリンク切れで参照不能な記事のみ文末にまとめて本文を引用します。
※本文中のリンクは引用の元記事、或いはインターネットアーカイブやウェブ魚拓(別サイト)へのリンクです。
1:韓国内の評価は真っ二つ
まず今回の会談に関してなのですが、合意された内容とは以下の4つになります。
共同声明 完全な非核化など4項目
NHK 2018年6月12日
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20180612/k10011474841000.html
(一部抜粋)
▼米朝両国は、平和と繁栄に向けた願いに基づいて、新しい関係を樹立するために取り組んでいく
▼アメリカと北朝鮮は、朝鮮半島に永続的で安定した平和の体制を構築するため、共に努力する
▼ことし4月27日のパンムンジョム(板門店)宣言を再確認し、北朝鮮は朝鮮半島の完全な非核化に向けて取り組むことを約束する
▼米朝両国が、朝鮮戦争中の捕虜や行方不明の兵士の遺骨の回収に取り組むとともに身元が判明したものについては返還していく
これなのですが、あちこちで言われているように元々取り決められていた事を繰り返しただけであって、わざわざ会談をしてまで声明を発表するような内容ではありません。
しかも、これもいわれている事ですが「CVID(完全かつ検証可能で不可逆的な非核化)」が声明に含まれていないため、トランプ大統領が当初していた強気発言ともかなり食い違います。
このため、韓国三大紙などではこの件をかなり厳しく見ており、「アメリカに裏切られたのではないか」という観点から以下のような記事まで出てきています。
【コラム】韓国が完全にしてやられた非核化リアリティーショー 朝鮮日報 2018/06/13 (1/3ページ) (2/3ページ) (3/3ページ)
要するに記事では、トランプ大統領はアメリカ本土に届くミサイルのみ排除できれば良く、アメリカで今年11月に行われる中間選挙でその成果をアピールするため、今回の会談を利用したのではないかといった内容になっています。
また中央日報では、アメリカの専門家の言葉を引用し「トランプ大統領が金正恩に利用された」として、以下のような記事を掲載しています。
<米朝首脳会談>米国専門家「勝者は金正恩氏…また米国は北にだまされた」 中央日報 2018年06月13日
また逆に親北革新系のハンギョレ新聞などでは、文大統領による今回の会談に関する声明を引用して、「歴史的な大成果」と報じています。
(東亜日報に関しては後ほど)
文大統領「地球最後の冷戦解体へ…米国と南北が共に収めた偉大な勝利」 ハンギョレ新聞 2018-06-13
また「CVID(完全かつ検証可能で不可逆的な非核化)」に言及がない事に関しても、以下の記事にあるように
CVIDないが…トランプ大統領「信頼できなければ署名しなかっただろう」 ハンギョレ新聞 2018-06-13
「金正恩は信頼できるので問題ない」という論調となっています。
そのうえで、恐らく韓国内では様々な「工作書き込み」があるので一概に断定はできない部分はありますが、ネット上での韓国人の反応を見る限り、概ねこのハンギョレでの論調のように好意的です。
要するに韓国内ではこの件、いわゆる保守系以外では概ね好意的に受け取られており、そもそも韓国世論の論調として非核化問題よりも南北の関係改善や終戦宣言が注目されている事もあり、肯定的な論調が多いわけです。
2:アメリカ側が大幅に妥協
そしてこの件で重要な事として、今回米朝で合意された内容の中で、明らかに「釣り合っていない合意」がある事です。
それは以下です。
トランプ氏 韓米軍事演習中止の意向表明=「近く終戦宣言」発言も 聨合ニュース 2018/06/12
トランプ大統領は会見で米韓軍事演習の中止と近い将来の終戦宣言などを北朝鮮側に約束し、この見返りに北朝鮮側はミサイルエンジン実験場の閉鎖を約束したわけですが、取引として明らかに見合っていません。
なぜかといえば、軍事演習は誰の目からも中止を確認できるわけですが、ミサイルエンジン実験施設の閉鎖に関しては、衛星監視にも限界があるためそもそも北が無条件に査察団を受け入れない限り確認のしようがなく、北が「そう言った」だけになる可能性があるわけです。
このため、「CVID(完全かつ検証可能で不可逆的な非核化)」が含まれなかった事もあり、完全に北朝鮮のペースで進められ、「トランプ大統領は中間選挙で宣伝できる成果がほしかっただけ」という論調が、韓国やアメリカなどから出てきたわけです。
実際、そもそも北の体制保証と核放棄はもともと両立が不可能です。北朝鮮が気にしているリビアの件に関しても、核技術の放棄後にアメリカが何かしたわけではなく、核放棄によってカダフィ大佐の求心力が低下し、反政府運動が起きた結果殺されたという背景があります。
つまり、核放棄によって政府の求心力低下が発生し金正恩が殺される可能性があるという事になるわけですが、これをアメリカがどうやって体制保証するのか、反乱が起きた場合米軍が赴いて彼を助けるわけにも行きませんし、実際のところアメリカによる体制保証など何の意味も無いわけです。
ですからアメリカは「経済支援」を条件にしたわけですが、それも「アメリカが支援するわけではない」事を当のトランプ大統領が公言しているわけで、実際のところ何の保証にもなっていません。
その為私は「北は中国の核の傘に入り非核化するのではないか」と考えたわけですが、現状その兆候もない事から、根本的にこの米朝会談には意味そのものがないわけです。
そのうえで、トランプ大統領が選挙を有利に進めるために手っ取り早い成果をほしがったというのはありえる話です。
3:気になるのは中国
ここまでならば、各国のメディアの論調のようにこの会談で利益を得たのは北朝鮮のみであり、トランプ外交の失敗というだけになるわけですが、一点気になる事があります。
まずこちらのブルームバーグの記事と、それを引用した東亜日報の記事で言及されていますが、
米朝会談、すべてが勝者中国の思惑通り-日韓は当惑、何も得られず ブルームバーグ 2018年6月13日
(※1)
中国は飛行機一台貸しすべてを得た 東亜日報(韓国語) 2018-06-13
要するに今回の合意内容は以前より中国が提示してきた「双中断」つまり北は(期限を決めず)核放棄に向かい、アメリカは同時に米韓軍事演習を中断するという非核化モデルです。
これの問題は、北が非核化するかどうかわからないうちに経済制裁まで解除されてしまう可能性があるうえに、そうなると過去の二の舞で北による核保有国としての既成事実化が進んでしまうことです。
そのため、ブルームバーグや東亜日報は、今回の会談の勝者は中国であるとしているわけですが、ここで私は少し考えました。
もしかすると、先月の中朝会談や今回シンガポールへ赴く金正恩に航空機を貸した件などで、水面下で中国の介入が活発化しており、このまま会談を行うと中国主導で話が進んでしまうため、アメリカは「ひとまず主導権を自分達のもの」にしておく事を優先し、この顔合わせ程度の会談を先手を打つ目的もあり行ったのではないかという「憶測」です。
実際、今となって考えてみると、当初この会談で「全てを決める」と宣言していたトランプ大統領が、会談1週間ほど前から「何度も会談をすること」を示唆し始めたり、金正恩をホワイトハウスへ招く事などに言及したりしていました。
当初私もなぜここまで方針転換をしたのか、選挙目的にしても極端すぎるうえに、それをアメリカ世論がどう判断するかも未知数で博打要素が強いと考えていたわけですが、今回はあくまで対中国を意識した顔見せ程度で、元々中国の影響力排除目的であったと考える事もできるわけです。
つまり、本番は「アメリカ主導」が確定した今後で決まるという「憶測」です。
勿論、これがただの「考えすぎ」で各メディアが報じている通りである可能性もありますが。
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(※1)
(※1)
中国は飛行機一台貸しすべてを得た
東亜日報(韓国語) 2018-06-13
http://news.donga.com/MainTop/3/all/20180613/90553463/1
12日、北米サミットの勝者は中国であり、米国の同盟国である韓国と日本は、得られたことがないと、米国のブルームバーグ通信が評価した。
ブルームバーグは、米国のライバルである中国が1点は入れに比べ同盟国である韓国と日本は、スコアを記録していなかったとして、このように報道した。
今回の首脳会談の最大の勝者はもちろん、キム・ジョンウン、北朝鮮国務委員長である。 金委員長は「CVID(Complete、Verifiable、Irreversible Dismantlement、完全かつ検証可能で不可逆的な非核化)」を合意文に明記していないながらも、韓米合同軍事訓練キャンセルという贈り物を受けた。
金委員長以外の中国が最も多くの利益を手にした。 トランプ大統領はこの日、首脳会談後の記者会見で、「米軍撤退はありませんが、韓米合同軍事訓練を中止する」と明らかにした。 彼は「北朝鮮が非核化をする代わりに、米国は米韓合同軍事訓練を中止する」と付け加えた。
◇中国が主張してきた双中断実現 :これは中国がこれまで主張してきた、いわゆる「ペア中断」がシルヒョンドゥェムを意味する。 中国はこれまで、韓半島の平和のために、韓米軍事合同訓練と北朝鮮の核開発を同時に停止するペア中断を主張してきた。
中国は北米サミットに先立ち、キム・ジョンウン委員長を二回招待し、中朝首脳会談を持ち、金委員長に、シンガポール行きの飛行機も貸してくれた。 中国はこれまでの投資を収穫したわけだ。
◇中朝関係は完全に回復 :中国はもう一つ得たものがある。 中朝関係復元である。 金委員長と習近平主席ほぼ同じ時期に政権した。 しかし執権以後、金委員長が中国を一度も訪問していないほど、中朝関係は冷却された。
北朝鮮が親中派の巨頭である張成沢ラインを粛清し、中朝関係は韓国戦争以降の最高の危機を迎えた。 特に、昨年、中国が国連の対北制裁に積極的に参加しよう両国関係は完全に後間違っている。
しかし、今回の北米サミットを契機に時主席と金委員長は関係を完全に復元した。
◇同盟国である韓国と日本は、得られたものはない :しかし、同盟国である韓国と日本は、得られたものはない。 韓国が望ん終戦宣言は延ばされ、日本人拉致問題は大きく扱われなかった。 特に韓国は韓米合同軍事訓練の最小値を事前に通知することもなかった。
トランプ大統領は「お金があまりかかる「面」ウォーゲーム(韓米合同軍事訓練)を中止する」と明らかにした。 彼はさらに、北朝鮮が使う用語である「(韓米合同軍事訓練が)あまりにも挑発的」という言葉も書いた。
トランプ大統領は、今回のG-7サミットのような同盟ではなく、敵利しているのだ。
これにより、マイクポンペイオ国務長官が忙しく見通しだ。 彼は、シンガポール首脳会談直後、韓国と日本を訪問し、首脳会談の結果について説明する予定だ。
これに比べて、中国は満足げな微笑を浮かべている。 会談直後、王外交部長はすぐに歓迎の意思を明らかにした。
王部長は12日、北米サミット管関連して、「新しい歴史を書いた」と評価した。 王部長は記者たちと会って、「ドナルド・トランプ、米国大統領とキム・ジョンウン、北朝鮮国務委員長が同等の位置で向かい合って話を交わしたことは肯定的」とは明らかにした。 王部長は「中国は北米サミットを歓迎し支持する」と付け加えた。
◇中国のもう対北経済制裁緩和を主張する :これだけでなく、中国政府は、北米サミットを契機に制裁緩和も考慮する必要がありという立場を明らかにして出た。
ゴンスァン中国外務省スポークスマンは12日の定例ブリーフィングで、「北朝鮮の核・ミサイル開発に伴う国連安全保障理事会の対北朝鮮制裁は制裁自体が目的ではない」とし「北朝鮮への経済制裁の緩和も考慮する必要がある」と述べた。
ゴンのスポークスマンはさらに「中国も韓国戦争の休戦協定締結国であり、韓半島問題の主な国として、現在の休戦協定を平和協定に代替する過程で必要な役割を尽くしたい」と今後も韓半島問題に積極的に介入するという意思を明らかにした。
芸は、米国と北朝鮮が過ぎたが、お金はワングソバングが得たわけだ。 今ワングソバングは満足げな微笑を隠せずにいる。
(ソウル=ニュース1)