日韓問題(初心者向け)

日韓問題について、初心者でもわかりやすい解説と、日韓問題とマスコミ問題の動画のテキスト版を投稿しています。

在韓米軍撤退説


初めて来られた方はまずこちらを先に読む事をお勧めします。

ブロマガ『日韓問題(初心者向け)』を始めた理由


注意
・このブロマガは「日韓の価値観の違い」を初心者向けに扱っています

・当ブロマガのスタンスは「価値観に善悪や優劣は存在しない」というものです

・相手が不法を働いているからと、こちらが不法をして良い理由にはなりません

・自身の常識が相手にとっても常識とは限りません、「他者がそれを見たらど
う思うか」という客観性を常に持ちましょう

・日常生活で注意する程度には言動に注意を心がけてください



さて、本日は先々週辺りから韓国で話題となっている「在韓米軍撤退論」に関して、私の「憶測」を書いていきます。


少し前から韓国では在韓米軍撤退論が大きく話題となっているが、この背景として文正仁大統領外交安保特別補佐官が「在韓米軍不要論」を先月末に公言し、この人物の「突発的発言」が過去「事実だった」事が多数あった事もあり、韓国で論争となったという背景がある。


また現在文在寅政権は北朝鮮金正恩北朝鮮の非核化について話し合ったが、出て来た答えは「朝鮮半島の非核化」であり、これは「アメリカの核の傘からの離脱」ともとることが出来、文正仁補佐官の発言の真実味が増す結果になっている。


更に、実は水面下で日本も含めた「東アジアの非核化」という話を進めている政治団体が日韓双方におり、勿論日本政府がそうした話に乗る可能性は無いが、場合によっては「非核化」という大義名分の下、日本も韓国と同じ「罠」にはまる可能性がゼロでは無い。



※一部を除き、引用記事が日本語の場合には文中にリンク用アドレスとタイトルのみ表記、韓国語のものやリンク切れで参照不能な記事のみ文末にまとめて本文を引用します。
※本文中のリンクは引用の元記事、或いはインターネットアーカイブウェブ魚拓(別サイト)へのリンクです。



1:在韓米軍撤退論


まずはこちらの記事から

【コラム】韓国は米国なしで生き残ることはできるのか
朝鮮日報 2018/04/29
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 今週の南北首脳会談を皮切りに始まる米国と北朝鮮北朝鮮と中国など一連の首脳クラスの往来は、韓半島朝鮮半島)の未来と運命に重大な変化をもたらされることを予告している。それが韓国にとって望ましい方向か、不吉な前兆なのかは分からないが、一つはっきりしていることがある。それは韓国における米国の役割と機能が終わり、韓国が北朝鮮、中国、日本などとの争いを迫られることだ。韓国は米国なしの争いで生き残る方策を自ら見つけなければならない。

 北朝鮮が核を廃棄するかどうかは現時点ではっきりしないが、核を放棄するならば平和体制、米国との関係正常化を求めるはずであり、それは在韓米軍の撤退につながる。北朝鮮が核廃棄を拒否すれば、米国の経済的または軍事的なオプションが後に続くはずで、北朝鮮破局を免れない。どの場合であれ、在韓米軍の役割と機能は終了する。

 中国は既に以前から北朝鮮が衛星国として生き残り、韓国が米国を失った一匹狼になれば、結果的に韓半島全体が中国の影響下に入ると期待してきた。中国が東アジアに君臨する上で、韓半島南部に陣を張る米軍の存在は常に邪魔だった。

 韓国はどうか。文在寅ムン・ジェイン)政権は少なくとも表面的には在韓米軍問題に保留的な立場だ。しかし、米軍撤退、平和協定締結などを求める反米勢力の活動は文在寅政権にとっては当然「自分たちが描く世の中」に出会った感覚だ。左派は「北朝鮮に非核化を求めるならば、少なくとも米朝関係の改善、在韓米軍の撤退程度は必要ではないか」という論理を公に唱えている。
(後略)


この記事なのですが、注目すべきはこの記事を書いた人物が韓国保守系の大物でアメリカの政治家ともつながりのある金大中朝鮮日報顧問(元大統領とは別人)である事で、この人物がこうした記事を書くのは、水面下で「そういう話がされている可能性が高い」という事です。


そしてその翌日に、文正仁大統領外交安保特別補佐官が以下のような発言をしており、「アメリカとの間で「何かあった」のは確実でしょう。


韓国外交安保特補「平和協定後、在韓米軍駐留の正当化は難しくなる」 中央日報 2018年05月02日



この発言をした文正仁補佐官は、韓国で「対米自主派」と呼ばれる実質的な韓国内の反米派の一人であり、元々反米的な発言の目立つ人物ではあったのですが、金大中氏の先ほどの記事の直後、更に元々北朝鮮が「在韓米軍撤退」を要求してきた過去があるため、対北交渉の中に在韓米軍撤退が選択肢としてあるのでは無いかという憶測が出来るわけです。


その後文政権は以下のように「在韓米軍は必要」と釈明、また続いて北は在韓米軍を容認していると釈明しています。


在韓米軍、平和協定後も必要=文大統領が強調 時事通信 2018/05/02
青瓦台「金正恩委員長、米朝会談で在韓米軍容認も」 中央日報 2018年05月03日


しかしそもそも文補佐官に対してこの政権は非常に対応が甘く、文政権の主張が事実ならば韓国の外交方針を無視する発言をしたわけですから、相応の処分をしなければいけないにも関わらず、実質的な口頭注意のみ、しかも駐ベトナム韓国大使も同様の発言をおこなっていたのです。


【社説】「平和協定締結後も在韓米軍は駐屯」韓米両首脳は明言せよ 朝鮮日報 2018/05/05
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要するに、文政権は公的には在韓米軍の重要性を認め撤退を否定していますが、彼の取り巻きやブレーンは頻繁に在韓米軍撤退を公言しており、しかもそれでも文政権はこうした人物を重要なポストに置いたままにしているわけです。


更に、元々アメリカのトランプ大統領も在韓米軍の縮小や撤退を視野に入れていた事、先ほどの朝鮮日報の記事にも書かれているように、過去にも対北朝鮮の非核化交渉で在韓米軍の縮小や撤退が話し合われてきた事も重要です。


またここのところアメリカ発でも、「在韓米軍の縮小」がこのタイミングで登場しホワイトハウスが否定するという流れが続いている事などから、対北朝鮮の非核化交渉で在韓米軍の撤退or大幅な規模縮小が交渉材料に入っている可能性がかなり高いのです。


※在韓米軍の規模縮小自体はブッシュ政権の頃から存在しています。


トランプ大統領 在韓米軍の削減検討を指示か=米紙報道 聨合ニュース 2018/05/04
トランプ氏の在韓米軍削減検討指示 「事実ではない」=韓国大統領府 聨合ニュース 2018/05/04


むしろアメリカのトランプ大統領が在韓米軍の撤退や縮小を外交交渉の材料に使い始めたため、北がこれを交渉材料として大きく持ち出した可能性が高いのです。

2:北に操られる韓国


またこの件でほかに重要な事として、先月の南北首脳会談において韓国は「朝鮮半島の非核化」を北朝鮮と約束した事です。


なぜこれが問題になるかといえば、元々「北朝鮮の非核化」という話だったのが「朝鮮半島の非核化」に論点を摩り替えられた上に、これだと北朝鮮は「在韓米軍の核の存在の有無」という、「悪魔の証明」を韓国側に突きつける外交カードを持つ事ができるからです。


更に「非核化」の範囲も問題で、例えば以下の記事で言及されているように


【寄稿】核凍結状態で北と平和協定を結ぶのは危険 朝鮮日報 2018/05/07 (1/3ページ) (2/3ページ) (3/3ページ
「韓半島の非核化」表現、在韓米軍の「核の傘」にも影響か 東亜日報 May. 04, 2018


アメリカの核の傘」すら「朝鮮半島の非核化」の範囲であり平和への障害と主張し始めた場合、現状のように韓国内で金正恩への好感度が極端に高まり、更に文政権への支持率も80%近い状態である以上、元々扇動され易い韓国の社会風潮が一気に「在韓米軍不要論」に傾く可能性すらあるわけです。


「流石にいくら韓国政府でもそこまで稚拙ではないだろう」と考える人もいるでしょうが、そもそも現状既に韓国内で「朝鮮半島の非核化」という文言に危機感を持つ人は朝鮮日報東亜日報のような保守系の一部にしかいないうえに、現状の韓国政府は北朝鮮に事実上操られている状態です。


どういう事かといえば、それは北が現状「言葉だけでまだ何もしていない」状態であるにも関わらず、韓国側は北朝鮮にとって都合の悪い政策を次々と中止にして行っているのです。


※2018年5月10日23時04分修正
例えば、北朝鮮は「放送停止」しただけにも関わらず、北朝鮮向けの宣伝用放送設備撤去。


北朝鮮への宣伝放送施設 あすから撤去=韓国 聨合ニュース 2018/04/30
北朝鮮への宣伝放送施設 きょうから撤去開始=韓国 聨合ニュース 2018/05/01


教科書から北朝鮮が不満を持つ内容の削除。


【記者手帳】教科書執筆基準の発表、南北首脳会談を理由に遅らせたのか 朝鮮日報 2018/05/04


北朝鮮への潜入特殊部隊用のヘリ開発白紙化。


韓国の斬首部隊用の潜入ヘリコプター事業、事実上の白紙化 中央日報 2018年05月05日


まだ北朝鮮は「何もしていない」にも関わらず、韓国側は北朝鮮にとって都合の悪い事をこれだけ取りやめてしまっているのです。


しかも、まだ核問題に関連した経済制裁が継続中にも関わらず、以下のような「経済支援」の話はどんどん進んでいます。


文大統領 金正恩氏に朝鮮半島新経済構想を提案=資料渡す 聨合ニュース 2018/04/30
現代グループ、南北経済協力の再開を始動…準備TF発足 ハンギョレ新聞 2018-05-08


更に北朝鮮は、南北が「双方の敵対行為の中断」を話し合っている最中にも韓国に対して攻撃を続けていた事が判明しています。


「敵対的行為の中断」合意した北、韓国に大規模ハッキング 朝鮮日報 2018/05/08


また、まだ北朝鮮は言葉だけで何もしておらず、韓国側だけが次々と北朝鮮の要求に答えている状態で、韓国に対して「追加注文をつけてきている」のです。


北朝鮮メディア「人権に触れるな」「THAAD撤収せよ」 朝鮮日報 2018/05/04
1/2ページ) (2/2ページ


この事から解るのは、現在の韓国政府には交渉能力がなく、北朝鮮の意図通りに動かされているという事で、北朝鮮が「在韓米軍が朝鮮半島非核化と平和の障害」と訴えれば、韓国政府は何もせず、極端に扇動され易い韓国世論に「在韓米軍撤退」の動きが「自主的に」出てくる可能性があるわけです。


こうした背景から、在韓米軍撤退論は絵空事ではないと私は考えます。


3:東アジアの非核化論


さて、ここからはあくまで私の「想像でしかない」という前提で読んで欲しいのですが、実はこの記事を書く切っ掛けになったのは先日の金正恩による訪中報道、つまり2日前の事です。


私は一連の北朝鮮の核問題を巡る動きを見ていて、「もしかして北朝鮮は中国の核の傘に入る事を選択したのではないか」と考えるようになってきており、「このシナリオなら北朝鮮は本当に非核化する可能性がある」と以前から考えていました。


そしてだからこその在韓米軍撤退論の再浮上なのではないか、特に最近はそう考えており、その状態で2日前の金正恩による訪中というイベントがあった事が「可能性を高めた」と考えたからです。


要するに、北朝鮮の核は中国にとっても厄介な問題であり、この問題を解決すると同時にもう一つの中国にとっての懸案である在韓米軍も排除してしまおうという動き、つまりこの問題は当初から中国の考えたシナリオだったのではないかという「想像」です。


北朝鮮にしてみても、このままいけば米軍による北朝鮮攻撃は時間の問題であり、さらには経済制裁も厳しさを増していたことから、北朝鮮と中国の利害が充分合致するわけです。
このシナリオでは韓国は完全に中国の衛星国化し北朝鮮の脅威ではなくなりますし、北主導の統一も充分ありえます。


そしてこの「想像」のシナリオではもう一つパズルのピースがあり、それが以下です。


[コラム]東アジアを“非核地帯”に ハンギョレ新聞 2018-05-01


朝鮮半島の非核化」を東アジアに広げる、つまり核の傘排除論に「日本も巻き込もう」という動きです。


勿論、日本の世論も政府もそんな話は現状寝耳に水でしょうが、日本のいくつかのマスコミは「東アジアの平和への道」として絶賛するでしょうし、反対意見には過去のこの事例のように


「安倍首相は批判すべきだ」 核実験禁止条約の批准否定 東京新聞 2018年2月4日


「東アジアの非核化を妨げる平和の敵」として世界規模の大キャンペーンをする可能性が充分あります。
北朝鮮と韓国がこんなに努力をしているのに、なぜ日本は何の努力もしないのか」といった具合です。


そしてこれは現政権では問題なかったとしても、次の政権ではそうした「外圧」にどれだけ政府が耐えられるかわかりませんし、受け入れなくとも長期の政権不安定化に繋がる可能性があります。
何せ国内メディアが国外に宣伝し、他国メディアや反戦団体から一斉に突き上げられる事になるわけですから。


2017年にノーベル平和賞を受賞した「核兵器廃絶国際キャンペーンICAN)」が介入してくる可能性も充分にあります。


いずれにせよ中国にとっては非常に都合のいい展開であり、在日米軍、特に沖縄駐留の米軍撤退論に大きく影響を与え、「朝鮮半島非核化を妨げる存在」としてアメリカと日本を「諸悪の根源」としてバッシングできる大義名分ができます。


長々と書いてしまいましたが、つまりどういう事かといえば、この北朝鮮を巡る一連の動きは、在韓米軍とあわよくば在日米軍の縮小や撤退を狙った中国が仕掛けたものの可能性があり、韓国がまんまとそれにはまったという事です。


ただ対日本に関しては、中国の意図は恐らく「全てが上手く行けばやれる」程度の認識でしょうが。


あくまで「想像」でしかありませんし、このシナリオではアメリカの動きの考察に不十分な点もあり完全ではありません、その点にご注意ください。



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