日韓問題(初心者向け)

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韓国は慰安婦合意をどうしたいか


さて、本日はとうとう韓国の文政権が慰安婦合意に手を付け出したため、その件について書いていきます。


本日韓国が一昨年の慰安婦合意に関する検証結果なるものを発表したが、韓国的価値観における「相手の劣等性」の指摘を行っているだけで、実際のところ日本側にとって困る部分は一つも無い。


また、韓国側は外交交渉における非公開部分を公開した件で、2014年の安倍政権による河野談話検証に関連し、外交交渉を公開した件と相対化しようとしているが、そもそもあの検証の内容は1997年の時点で公開されており、非公開に該当する内容ではないが、文政権はこうして劣等性の指摘を積み重ねることで合意破棄の大義名分にしようとしている。


そして今後の文政権の動きは過去の文政権の態度にヒントがあり、数ヶ月前に建設中の原発の工事中止公約に関連し、中止に伴う損失をどう処理するのかの責任問題となり、文政権は「民間の作業部会」に建設再開を決断させ、「民意がそう判断した」と責任逃れをした事がある。
報告書の内容から、慰安婦合意の件でも同じ手法で破棄する可能性が高い。



※一部を除き、引用記事が日本語の場合には文中にリンク用アドレスとタイトルのみ表記、韓国語のものやリンク切れで参照不能な記事のみ文末にまとめて本文を引用します。
※本文中のリンクは引用の元記事、或いはインターネットアーカイブウェブ魚拓(別サイト)へのリンクです。


1:非常に「韓国的」


まずはこちらの記事から


慰安婦合意は朴前大統領が主導 外交当局の動き縛る指示も=韓国報告書
聨合ニュース 2017/12/27
http://japanese.yonhapnews.co.kr/headline/2017/12/27/0200000000AJP20171227002400882.HTML

【ソウル聯合ニュース】韓国外交部のタスクフォース(TF、作業部会)は27日午後、旧日本軍の慰安婦問題を巡る韓国と日本の合意の検証結果をまとめた報告書を発表した。報告書によると、韓国で慰安婦合意の交渉や後続措置は当時の朴槿恵(パク・クネ)大統領が中心となり、青瓦台(大統領府)が主導していたことが明らかになった。

 合意を主導した青瓦台は外交部に対し、基本的には国際舞台で慰安婦関連発言をしないよう指示していたことも確認された。

 報告書によると、2014年3月25日、米国を交えた3カ国の首脳会談で韓国と日本は慰安婦問題を巡る局長級協議を開催することで意した。

 合意により、韓国外交部の北東アジア局長と日本外務省のアジア大洋州局長による初協議が同年4月16日に開かれた。

 だが、その後の協議でも進展がなく、高官級による非公開協議が必要との意見が双方から出始めた。

 同年末、韓国は高官級協議の並行推進を決めた。日本側が交渉代表として国家安全保障局長(谷内正太郎氏)を充てたことを受け、韓国側は朴大統領の指示で李丙ギ(イ・ビョンギ)国家情報院長が代表を務めることになった。

 高官級協議は15年2月に始まり、同年12月28日の合意発表まで8回開催された。双方は随時、電話協議や実務級協議を並行した。

 担当官庁だった外交部は高官級協議に参加できなかった。ただ、青瓦台から協議結果の説明を受け、検討を行って意見を青瓦台に伝えたという。

 双方は高官級協議開始から約2カ月後の15年4月11日、4回目の協議で暫定的に合意した。暫定合意後、外交部は合意に盛り込まれていた「不可逆的」の文言の削除が必要という意見を青瓦台に伝えたが、青瓦台は受け入れなかった。

 だが、両国首脳の承認を得る際、日本が第三国で慰安婦被害者を追悼する碑の設置を韓国政府が支持しないとの内容を加えるよう求めたことや、朝鮮半島出身者が過酷な労働を強いられた端島炭坑軍艦島長崎市)を含む「明治日本の産業革命遺産」(全23施設)の国連教育科学文化機関(ユネスコ世界文化遺産登録を巡って対立が深まり、協議は再びこう着状態に陥った。

 交渉の突破口を開いたのは両国の首脳だった。15年11月2日の首脳会談で両国首脳は可能な限り早期に妥結を目指すことで一致。朴氏は年内合意に強い意欲を示し、約50日後の12月23日、8回目の高官級協議で最終決着した。

 合意後、青瓦台は「国際社会で互いに非難・批判することは控える」との文言と関連し、外交部に国際舞台で慰安婦関連発言をしないよう指示した。そのため、国際社会で慰安婦問題を取り上げない約束をしたような誤解を招いたと報告書は指摘した。

 さらに「慰安婦交渉と関連した政策の決定権限は青瓦台に過度に集中していた」として、「大統領の重要参謀らは大統領の強硬な姿勢が対外関係全般に負担を招きかねないにもかかわらず、首脳会談に合わせて日本を説得するとした大統領の意向に従った」と指摘した。

 また、「大統領は意思疎通が十分でない状況にもかかわらず調整できていない指示をすることで、交渉関係者の身動きの幅を制約した」と説明。「主務部署の外交部は慰安婦交渉で脇役だったし、重要争点について意見を十分に反映させられなかった。高官級協議を主導した青瓦台と外交部の適切な役割分担と有機的な協力も足りなかった」とした。

 対日関係や国際政治、国際法、人権問題などの専門家や外交部の職員ら9人で構成されたTFは文在寅ムン・ジェイン)政権発足後の今年7月31日に設置され、外交資料の確認や関係者への聴き取り、被害者の意見聴取などを行ってきた。



以前から予告されていた慰安婦合意検証の結果報告なのですが、正直なところ内容に予想していた以上のものはありませんでした。


ある意味で、「ここまで韓国的な考え方を前面に出してくるとは思わなかった」という部分が予想外だったくらいです。
予想ではもう少し「取り繕う」であろうと考えていました。


そして肝心の内容なのですが、「国際社会で慰安婦問題を取り上げない約束をしたような誤解を招いた」との部分があります。これは明らかに合意の形骸化を狙った既成事実作りです。


元々この件は、アメリカが仲介し対北朝鮮や中国で日米と韓国の足並みが揃わない事態を回避する目的と、韓国側が日本に対して経済的な支援をしてもらうための取引という目的があり、「これ以上慰安婦問題で対立しない」ための合意だったわけですから、誤解もなにも無いわけです。


そしてもう一つ重要な事として、以下の記事で取り上げられているように「不可逆とは本来謝罪の不可逆性をもとめるものだったものが、いつの間にか合意の不可逆性に意味をすりかえられた」としています。


慰安婦合意 韓国が先に「不可逆的」言及=本来の趣旨から変化 聨合ニュース 2017/12/27



これなのですが、そもそもそれでは「何のための合意なのか」という事になり、合意そのものの意味がなくなってしまうわけですから、これは明らかに「どの時点でかはわかりませんが韓国側の後付け」です。
(朴政権時に責任逃れのために後付けした可能性が高いです)


以下の記事でも、当時「「最終的かつ不可逆的に」という表現は日本の主張が通った表現だ。」と認識されており、「いつの間にか意味が変わった」というさも「後付けで意味が改変され既成事実化した」という彼らの主張と時系列的にも矛盾します。


慰安婦合意:「最終的かつ不可逆的」明言、韓国は対日カード失う懸念も 朝鮮日報 2015/12/29
1/3ページ) (2/3ページ) (3/3ページ


2017年12月29日訂正
不可逆の意味について、韓国側は「元々謝罪の不可逆性のことだったが、いつの間にか合意の不可逆性に話を変えられた」としていますが、これは韓国側の言い訳であると考えています。


まずその理由として、この合意に際し当初日本側は「合意の文書化」を望んでいましたが、韓国側がこれを頑なに拒否し文書化できませんでした。


慰安婦妥結・冷戦時代から続く日韓関係の終わり
日経BP 2015年12月29日
http://business.nikkeibp.co.jp/atcl/report/15/230558/122900004/
(一部抜粋)
両外相は、口頭での「声明」に留め、合意文書は作成しなかった。韓国内の反発や世論に配慮したためだが、文書にしない合意は危険だ。


このためその代替案として合意に「不可逆」という文言を入れたのではないかと考えています。


そして、アメリカからの圧力や日本からの経済支援が欲しい韓国は、仕方なくそれを「飲んだ」わけですが、今後慰安婦問題を外交カードにできない事を国内向けに説明できないため、朴政権が以下のように言い訳したのではないかと考えています。


彼らは強引に前提の違うものを相対化することで、自身の問題を「相手に問題に摩り替えようとする」事が多いので、これもそのパターンに当てはまります。


<韓日慰安婦交渉妥結>「不可逆的」めぐり韓日間で解釈の違い
2015年12月30日10時04分
[ⓒ 中央日報/中央日報日本語版]
http://japanese.joins.com/article/176/210176.html

(一部抜粋)
韓国政府はこれに直ちに反論した。複数の政府当局者は「事実と異なる側面がある」と述べた。特に「不可逆的」という表現を入れる問題は交渉中に韓国側が先に提起したものだという。日本の政治家が旧日本軍の慰安婦強制動員を初めて認めた河野談話(1993年)などを否定する発言を繰り返すことを念頭に置き、「もうこれ以上は言葉を変えるな」という趣旨で強調したということだ。


そのうえで文政権が、慰安婦合意で最も韓国側が問題としているこの「不可逆」の部分を無効化させるために、この朴政権の言い訳を利用した可能性があるわけです。


そして更に興味深いのは、以下の中央日報に掲載されている「二国間交渉の非公開部分」を公開してしまったことに対する韓国政府の言い分です。


慰安婦TF発表>国益のために非公開にしたが、自ら外交記録を公開した韓国政府
2017年12月27日16時14分
[ⓒ 中央日報/中央日報日本語版]
http://japanese.joins.com/article/962/236962.html

(一部抜粋)
これに先立ち、政府は2014年6月20日、日本政府が1993年に慰安婦の強制動員事実を認めた河野洋平官房長官の談話に対する検証結果を公開した時、当時外交部報道官名で深い遺憾を表明した。政府は「安倍政府が韓日外交当局間協議の内容を恣意的に取捨選択、再構成して一方的に公開した」と「(検証が)外交慣例と国際礼譲に反するだけでなく、韓日両国間信頼を傷つけて国際社会の行動規範から脱した非常識な行為」と指摘した。


要するに非公開部分を公開してしまった件に関して、「日本も同じ事をやっている」と相対化することで、「相手の劣等性の指摘」をして自身の問題を相手の問題に摩り替えようとしています。


しかし河野談話はそもそも日韓の合意や協定などではないうえに、この協議内容は1997年の時点で既に公開されています。
20年も問題になっていなかった件を、いきなり「問題にした」わけです。


参考
国会会議録検索
http://kokkai.ndl.go.jp/
平成9年1月30日 参議院 予算委員会
片山虎之助議員と平林博政府委員のやり取りで検索


つまり、本来相対化できるようなものではないのですが、韓国的価値観では曲解でもこじつけでもなんでもいいので、「相手の劣等性」を指摘できれば「自身の問題は消えてなくなる」ため、韓国的価値観ではこれで「非公開部分を公開しても問題が無い」となっているわけです。


このように、一連の韓国側の対応は「非常に韓国的」であり、韓国的価値観だからこそ「合意を破っても良い」条件が揃ったとも解釈できます。


また、これまで書いたようにこの韓国側による合意の問題点の指摘は、一般的な国際常識では「問題にならない事」ばかりですので、これから日本側にとって重要となるのは、いかに国際社会に「この件の問題点」をわかりやすく伝えていけるかになるでしょう。


つまり、「合意はしたのだから破る韓国が悪い」とそのまま何もしないのではなく、積極的にこの件を国際社会にアピールしていく事が重要となるわけです。


2:韓国政府の意図


そしてこの件なのですが、一連の出来事で文政権は明らかに合意の破棄を狙っている事がはっきりしたわけですが、実際のところ「どう破棄するか」もおおよそ見当がつきます。
なぜかといえば、「似た事例」が既にあるからです。


以下の記事に詳しく書かれていますが、文政権は反原発を公約としており、その公約の一つとして建設中の新古里5、6号機工事中止を掲げていました。


文大統領、「新古里は速やかに建設再開、新規原発は中止」 東亜日報 October. 23, 2017


しかし、工事中止をするとなると30%程度まで進んだ工事費が無駄になってしまううえに、今後数千億円の損失が出てしまう事や工事を請け負った業者が莫大な負債を抱える事も判明し、「誰が責任を取るのか」という問題にまで発展していました。


すると文政権は国民の代表から公論化委員会※を募り、その検証結果に従うと発表しました。
そして記事にもあるように10月に公論化委員会が「作業再開」という発表をしたため「政府はそれに従う」と発表したわけです。


これは、自身で「決断」をした場合、工事の中止でも再開でもどちらでも批判を免れないため、「国民の声を受けてそれに従っただけ」という言い訳をしたわけです。
要するに責任を「国民」に丸投げしたのです。


※公論化委員会
文政権が、「朴政権と違い国民の声を聞いている」というパフォーマンスを行うためと、本文にもあるように自身の責任の回避をするために、民間からという名目で政権支持者を集め、「政策の議論をさせる」ための組織。


これは実質公論化委員に文政権が「言わせた」だけですので、「そんな屁理屈が成り立つわけがない」ですし、とても「一国のトップがする態度」ではないですが、文政権はそれをやり、国民の多くもそれに不満の声を挙げなかったのです。


という事は、この慰安婦合意の件でも文政権は「民間の作業部会が決めたことだから、民意に従う」として、責任を国民におしけて合意破棄を行う可能性が高いわけです。


そしてそのタイミングなのですが、このまま行けばオリンピック後、もし安倍首相が「平昌オリンピックに出席しない」と確定したならその前に実行する可能性もあると見ています。


また、本来この件には先ほども書いたようにアメリカによる対北朝鮮・中国での連携目的と、韓国が望む日本からの経済支援という目的がありました。
ですから、本来韓国側は「国家間の合意を破棄することのリスク」以上にリスクがあったわけです。


しかし、これまで何度か書いてきたように韓国は「中国に後ろ盾になってもらう事」を選択し、これで文大統領的には「リスク回避をしたつもり」になっているため、恐らく合意破棄を躊躇い無く実行するでしょう。


だからこそ日本は「今後どのように日本の立場を国際社会にアピールしていくか」が重要となるわけです。



今回で今年の更新は最後となります。
動画のほうでもアナウンスしましたが、次回更新は1月10日を予定しています。
(何か大きな変化があれば更新しますが)


それでは皆様、今年はありがとうございました、よいお年を。



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