日韓問題(初心者向け)

日韓問題について、初心者でもわかりやすい解説と、日韓問題とマスコミ問題の動画のテキスト版を投稿しています。

韓国が中国に逆らえない理由


さて、本日は韓国が中国に逆らえない理由を、歴史的な背景ではなく現在の韓国の事情の面から書いていきます。


現在韓国は、中国から実質的な内政干渉に近い態度を取られ続けており、今回の訪中でもかなり尊大な態度を取られているが、それでも文大統領は中国との「友好」を優先するような態度を取っている。


そこには過去朝鮮が清や明の朝貢国だったことから来る「恐れ」や、文大統領が自身の外交上の失敗を認めたくないがためという背景などもあるが、もう一つ重要な事として「対日本の共闘相手が欲しい」という背景もある。


特に文政権の場合、支持基盤のひとつである慰安婦系団体から慰安婦合意の撤回を強く求められており、これを単独では解決できないため「後ろ盾」が欲しく、その事で中国に足元を見られ「逆らえない」という背景がある。


始めて来られた方はまずこちらを先に読む事をお勧めします。

ブロマガ『日韓問題(初心者向け)』を始めた理由


※一部を除き、引用記事が日本語の場合には文中にリンク用アドレスとタイトルのみ表記、韓国語のものやリンク切れで参照不能な記事のみ文末にまとめて本文を引用します。
※本文中のリンクは引用の元記事、或いはインターネットアーカイブウェブ魚拓(別サイト)へのリンクです。


1:中国に逆らえない韓国


まずはこちらの記事から

【コラム】中国にお願いするのはやめよう
朝鮮日報 2017/12/10
1/3ページ) (2/3ページ) (3/3ページ

(一部抜粋)
 文在寅大統領は就任してまだ短いものの、中国の隠れた圧力や不意打ちのような策略を十分に感じている。その参謀たちの中には「金尚憲」もいるし「崔鳴吉」もいるだろう。中国の習近平国家主席は既に「始皇帝」として君臨しており、その下には如才ない王毅外相もいる。そうした状況だからこそ、文在寅大統領が中国の「力による圧力外交」にどのように対処し、韓国国内の意見の違いをどのように解消するかが今回の訪中のカギだ。文在寅大統領の選択と言動は対中関係だけでなく、対北朝鮮関係でも重要な意味を持つため、なおのこと重要だ。

 このような観点から、文在寅大統領に進言したいことがある。今回の訪中では徹頭徹尾、中国との双務的事項にだけ重点を置いてほしい。言い換えれば、両国間の経済貿易や協力問題だけに力点を置き、米朝や両国に関する軍事・安保問題などに言及しないということだ。その理由は、中国は既に韓中関係に関する自分たちの見解をしっかりと決めており、それは韓国が何と言おうと決して変わらないからだ。それなのに、「○○を緩和してほしい」とか「△△を修正してほしい」などとお願いするのは、無駄骨にしかならない。中国は自分たちが思い描く「大国」の道を歩むと決めた国であり、韓国との問題、さらに言えば韓国の存在などは、とてつもなく大きな将棋盤の上の駒、それも「歩」でしかない。

 その一例が、いわゆる韓国の「三不の約束」だ。「三不」で韓国に有利なものは1つもなく、3つすべてが中国に有利か、少なくとも不利ではない項目ばかりだ。THAADの追加配備をせず、米国のMDシステムに参加せず、韓米日軍事同盟を推進しないのは、すべて中国が要求したことであり、韓国の主張を反映したものではない。韓国にとっては、韓国の主権ないしは国家的決定権を放棄したも同然だ。これは文在寅大統領の訪中を受け入れてもらう(?)のと引き換えに、中国が提起したという説にも一理ある。結局、文在寅大統領の訪中は、中国にとっては従来の見解をあらためて明言する機会を提供する場だが、韓国にとってはまかり間違えば脇役扱いされかねないことになる。
(後略)

金大中(キム・デジュン)顧問


まずこの記事なのですが、書いた人物は元大統領ではなく同姓同名の別人で、韓国保守系の重鎮です。


そして記事内では、韓国が中国と実質的に「約束」してしまった3不(「THAAD追加配備排除」「ミサイル防御(MD)不参加」「韓米日安保協力が軍事同盟に発展しない」)の件には触れず、経済問題のみに触れるべきとしています。


これは要するに、中国の狙いは米韓の離間であるため、北朝鮮問題や3不の件で中国に要望を出したり取り繕うとすれば、逆に余計に深みにはまって中国に良いようにコントロールされてしまう事を解っているからです。


また中央日報では、朝鮮日報の論調とは少し違いますが、以下のように「北朝鮮問題のみに注視すべきであり、THAAD問題には触れるべきではない」としてます。


<チャイナインサイト>文大統領、習主席と「THAAD」でなく「北の急変事態」を議論する時() () 中央日報 2017年12月12日


この2つの記事から見えてくることとして、THAAD問題そのものよりもその先の「中国に取り込まれること」を恐れており、THAAD問題がその橋頭堡となることを危惧していることがわかります。


また少し論調は違いますが、親北左派系のハンギョレ新聞でも「THAAD問題には触れるべきではない」という内容の記事を掲載しています。


訪中する文大統領、敏感な「THAAD問題」避け経済協力と北朝鮮核問題に集中するか ハンギョレ新聞 2017.12.12


「この問題が続くのは不味い」というのは、韓国内の総意に近いことが解ります。


しかしこれらの記事では肝心の「なぜ文政権はそこまでTHAAD問題で中国に侵食されているのか」「なぜここまで言いなりにならないといけないのか」という部分に触れていません。
恐らく解ってはいるのでしょうが、韓国の社会情勢的に「触れられない」のです。


2:慰安婦合意を破棄したい


この件に関して、本日の文大統領による訪中で確実に文政権の思惑が出てくるだろうと見ていましたが、案の定出てきました。
それが以下の記事です。


訪中の文大統領 在中韓国人との懇談で南京大虐殺に言及 聨合ニュース 2017/12/13


何時もの韓国で別に不自然さはないように見えますが、実際にはこの態度に韓国が中国に拘る理由があります。


記事中で文大統領は、「両国は帝国主義による苦難も共に経験し、共に抗日闘争を繰り広げ、厳しい時期を一緒に乗り切ってきた」と発言したとなっていますが、要するに文政権は中国と「対日共闘」をしたいのです。


特に「慰安婦問題で」です。
なぜかといえば、それは韓国の国内事情にあります。


元々文政権は朴政権の「積弊」を清算をするという公約で大統領になったわけですが、その「朴政権の積弊」のなかでも、2015年末に締結された慰安婦合意は韓国内での最大の関心事でした。


そして文在寅氏は政権を取れば必ず合意を撤回すると訴えて大統領になったわけです。


しかし、当たり前の事ですが国家間の合意を、しかもアメリカやドイツなどの複数の第三国から肯定的に評価されている代物を、一方的に破棄すれば当然国際社会から相応のペナルティーがあります。


また、日本側からは「合意を一方的に破棄するような国とは今後何も約束できない」という態度を取られるわけですから、韓国は完全に国際社会から孤立してしまいます。


そのうえ韓国側の要求は慰安婦の定義を「軍や政府の命令で軍人や警官が行った奴隷狩り」としており、その「法的責任」を日本側が認めない事を不満としているわけですから、そんなデタラメを日本側が受け入れることが出来るわけがありません。


この合意以上の解決法など事実上存在していないのです。


しかし韓国内では7割以上の人々が合意破棄を望んでいるうえに、以下の記事にもあるように慰安婦団体などが韓国政府にかなり強い圧力をかけています。


(※1)
挺身隊対策協、「ムン・ジェイン政府、韓.日合意無効化公約実行しなさい」 統一ニュース(韓国語)  2017.12.07


以前から書いていることですが、ナヌムの家や挺対協といった韓国の慰安婦系団体は、韓国最大の圧力団体であると同時に、文政権の支持基盤のひとつでもあります。


当然政治的な発言力も絶大であり、典型的なポピュリズム政権である文政権にとってここからの不支持表明や、そうでなくとも名指してバッシングされる事は致命傷になりかねません。
それどころか「劣等性の指摘」によって加害者認定され、朴大統領と同じ運命を辿る可能性すらあります。


そのため文政権は、この板ばさみによって結論を出す事ができず、慰安婦合意の検証作業の結果発表を延ばしに延ばしています。


慰安婦合意検証問題 「韓日が接点見いだすのが最善」=TF委員長 聨合ニュース 2017/12/07
韓国外相 慰安婦合意検証報告書の発表前訪日で調整=19日にも 聨合ニュース 2017/12/11


要するにもう、韓国単独ではどうにもならないのです。


そこで、韓国は中国にこの問題での後ろ盾になってもらい、中国の支持を得て慰安婦合意の破棄をしたいわけです。
典型的な「易地思之」ですが。


そして中国側は、それを解っているため意図して横柄な態度や失礼な態度を取り、文大統領に対して冷淡な態度を取り、「忠誠度」を計っているのではないか、だから文政権はどんなに失礼な態度を取られても中国に頭を下げ続けているのではないかと私は見ています。


勿論、韓国は中国への経済的依存度が高い事や、通貨スワップの件なども原因としてあるでしょうが。


ちなみに、中国は慰安婦合意の件でこの先も「思わせぶりな態度」以上の事はしないでしょう。
その方が文政権をコントロールしやすく、アメリカとの離間工作が容易だからです。


もし、中国がこの件で韓国の意図した通りの態度をとるとしたら、それはアメリカが韓国を完全に見捨て、韓国の「すがる場所」が中国しかなくなったときでしょう。


ある意味で韓国は「慰安婦問題に殺される可能性がある」という事です。






(※1)
挺身隊対策協、「ムン・ジェイン政府、韓.日合意無効化公約実行しなさい」
統一ニュース(韓国語)  2017.12.07
http://www.tongilnews.com/news/articleView.html?idxno=123021

来る10日、ロウソク革命で文在寅ムン・ジェイン)政権スタート7カ月をむかえる中、韓国挺身隊問題対策協議会(挺隊協)は韓国と日本政府の日本軍「慰安婦」合意(12.28合意)無効化の公約を実行せよと促した。

挺対協は7日、声明書を発表、「来る12月10日はロウソク(国民)の力で当選したムン・ジェイン大統領の就任7カ月になる日だ。そしてまもなく亡国的な2015韓日合意が発表されて2年」とし、「政権スタート7カ月になるのに、日本軍『慰安婦』問題と関連した外交部と女性家族部の政策は相変わらず『不可逆的で最終的解決』という2015韓日合意の反人権的な宣言の下で寝ている」と批判した。

そして「2015韓日合意は日本の歴史不正と軍国主義復活に翼をつけてやった」として「日本の歩みはまた戦争に向かう構造を作り、改憲等を通して戦争が可能な国家に変貌を試みるなど危険な軍国主義の歩みを継続している」と指摘した。

引き続き「今のように待つことを要求され耐えている間、今年、すでに七人の日本軍『慰安婦』被害者が亡くなった」として「もう被害者らのこの激しくて粘り強い努力が解決するようにムン・ジェイン政府が勇断を下す時」と強調した。

それと共に「これ以上高齢の被害者らに「待つ」という非現実的な要求をしてはならない」として「これは和解治癒財団解散、10億円返還措置を通じて2015韓日合意を実質的に無効にすることから始めなければならない。韓日合意に対するすべての真相を透明に明らかにしてその過程にあるすべての積弊と不正義の清算が行われなければならない」と促した。

チョ・ジョンフン記者



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