日韓問題(初心者向け)

日韓問題について、初心者でもわかりやすい解説と、日韓問題とマスコミ問題の動画のテキスト版を投稿しています。

駐韓大使の帰任について


さて、本日は先日発表された駐韓大使帰任関連について書くわけですが、今回少々書き始める時間が遅くなってしまったので短めとなります。


先日日本政府が駐韓大使の帰任を決定させたが、韓国ではこれが単なる帰任ではなく「日本が折れた」「韓国の正しさ(日本の劣等性)が証明された」と受け取られている。


また、これに日本のいくつかのメディアも同調しており、「日本政府の対応は誤りだった」と批判記事を書いている。そして今後韓国側は「自分達が正しかった」として、更なる(日本人からみた)反日を仕掛けてくることが予想できるが、現状は彼らが想定するほど甘くは無い。



※一部を除き、引用記事が日本語の場合には文中にリンク用アドレスとタイトルのみ表記、韓国語のものやリンク切れで参照不能な記事のみ文末にまとめて本文を引用します。
※本文中のリンクは引用の元記事、或いはインターネットアーカイブウェブ魚拓(別サイト)へのリンクです。


1:「大使帰任」を日本が負けたと考える韓国


まずは以下の記事から

各種挑発後こっそりと帰任日大使…安倍支持率上昇「一等功臣」
聯合ニュース(韓国語)  2017/04/03
http://www.yonhapnews.co.kr/bulletin/2017/04/03/0200000000AKR20170403159500073.HTML

(東京=聯合ニュース)キム・ビョンギュ特派員=日本政府が85日ぶり、4日に長嶺安政駐韓日本大使を帰任させることにしたことは長期間の大使の空白が日本にも得にならないという内部批判論に負担を感じたためと見られる。

日本政府は去る1月9日、釜山(プサン慰安婦少女像設置問題に抗議して長嶺大使と森本康敬釜山総領事を召還後、3カ月に近い85日間、留まらせて最長期録を樹立した。これは2012年8月、李明博(イ・ミョンバク)大統領の独島(ドクト、日本名:竹島)訪問に対する抗議表示で武藤正敏駐韓日本大使を一時帰国させた12日と比較すると7倍に達する。

このように長くなったのは日本が自国の保守極右世論に期待された「韓国たたき」という強攻外交を繰り広げたことと関連している。

召還初期から日本指導部の政治利用は露骨だった。安倍総理は帰国措置発表二日後の1月8日、NHK番組に出演して「韓国が10億円を受けたので韓日合意を履行せよ」と挑発した。ここに岸田文雄外相が「竹島(日本が主張する独島の名称)は日本固有の領土」と刺激、キム・クァニョン慶北知事の独島訪問にけちをつけて日本政府の報道官格の菅義偉長官は「とうてい受け入れられない」とした。

日本政府のこの様な態度は少女像という歴史問題を領土問題に「戦線拡大」した自国右翼勢力の支持を誘導しようとする悪賢い術策だったとされる。独島問題への戦線拡大でも満足せず、教科書問題まで挑発した。日本政府は小中学校社会科新学習指導要領に独島を「我が国(日本)固有の領土」と書いて告示し最近、確定した。先月末には大部分が「独島=日本の領土」という歪曲主張を入れて「慰安婦合意」内容も相当数明示した高等学校社会科教科書検定結果を公開した。

日本政府は駐韓日本大使召還後、すでに決まった「時刻表」のままに挑発を行った。そのような挑発は安倍支持率上昇につながった。韓国たたきを継続するほど安倍内閣支持率上昇の効果が明らかになったのだ。

最近、安倍総理と夫人アキエ(昭恵)の腐敗スキャンダルで支持率が下落するまで1月末~2月初め、安倍内閣支持率はそれ以前より5パーセントほど上がった。日本経済新聞の調査では66%まで上昇し、産経新聞の調査では駐韓大使などの帰国措置について5人中4人の80.4パーセントが圧倒的に支持した。駐韓日本大使の召還に続く韓日領土および教科書紛争に戦線拡大した理由は明らかだった。

日本政府は韓国たたきを楽しみながら「諸般の情勢を総合的に判断した後、(帰任時点を)決める」というむなしい話だけ繰り返した。そうするうちに日本国民が不安に思う北朝鮮弾道ミサイル挑発が続き、韓日対北朝鮮情報協力強化の必要性が提起され、朴槿恵(パク・クネ)大統領罷免で韓国が急激な大統領選挙局面に陥ったうえ、反日感情が高まって韓日慰安婦合意が失敗に終わる憂慮が大きくなると、すぐに日本は顔色を変えた。日本政界などでも「韓国たたきに集中して適切な帰任時期をのがした」という批判が出るとすぐに駐韓日本大使の帰任を決めた。

大使在任時期、一時帰任措置された経験がある武藤前駐韓日本大使は「(駐韓日本)大使は本来ソウルで韓国と連係しながら(北朝鮮のミサイル発射に対する対応を)陣頭指揮することが望ましい「、自民党の第2人者である二階俊博幹事長は「帰任は早いほど良い」と話すなど安倍内閣を批判する声が大きくなった。

「戦線拡大」を望まなかった韓国政府の態度が日本政府の駐韓日本大使の帰任決定の背景にあったという見解もある。実際、日本政府が最近、独島挑発内容を入れた小中学校社会科新学習指導要領確定したことについて韓国政府は駐日韓国大使を召還する強硬策を展開せず、代わりに駐韓日本大使代理を呼んで抗議するに終わった。

長嶺駐韓日本大使の帰任は決定したが、葛藤の発端である慰安婦少女像問題が解決される可能性は殆どなく、いつでも葛藤がまたふくらむと予想される。韓国の5月大統領選挙で候補の大部分が少女像問題の土台である韓日慰安婦合意について再協議または破棄を決心しているが、日本政府は相変らず「韓国が慰安婦合意について誠意を見せるべきだ」という主張ばかり繰り返しているからだ。


類似記事
日本政府、政権移行期の機会を利用し駐韓大使の帰任を電撃決定 ハンギョレ新聞 2017.04.03


まずこの記事で注目すべき事は、以前から書いているように韓国の特徴的な考え方である「主観的・絶対的正しさ」を前提としており、「自分は常に絶対的に正しい」と想定して事態を考えているために、大使の帰国措置が「日本の右派政権による支持率目的である」としている事です。


しかし実際には、韓国側が「外交関係に関するウィーン条約の第二十二条」に違反する行為である大使館や領事館前への慰安婦像設置を行った事に対して、その抗議の目的としておこなわれたものです。


そのため、本来ならば上記の聨合ニュースのような論調になるわけがなく、一見すると強弁しているだけのよう見えますが、彼らはその独特の価値観から「本当にそう考えて」います。


そしてここで重要となるのが、なぜそうなるかといえば、韓国的価値観では他者の劣等性を指摘できれば自己の優越性が証明され、またこれにより「自身の落ち度(劣等性)は消えてなくなり相手の落ち度(劣等性)だけが残る」という考え方があるからです。


今回の場合ならば、「右派政権が支持率を稼ぐために強硬な態度に出た」「しかし大使帰任を決定し日本が折れた」がそれにあたり、これを日本側の劣等性として韓国の「ウィーン条約違反」が消えてなくなり、「日本の問題」だけが彼らの中に残った結果というわけです。


また朝鮮日報などでは、そこから更に想像力を働かせて、「安倍は後ろめたいことがあるからこっそり考えを変えたのだ」という論調になっており、また他にも「日本側が(大使帰任にあたり)一方的に大統領代行との面会を決めた、失礼だ」と、日本側の劣等性の補強を行っています。


【社説】85日ぶり駐韓日本大使帰任、ひそかに見解を変えた安倍首相 朝鮮日報 2017/04/04
大使帰任決めた日本、黄大統領代行との面会を一方的に発表 朝鮮日報 2017/04/03


その結果、それまで「合意を破棄すべきではない」というスタンスを維持してきた朝鮮日報ですら、合意破棄の論調へと舵を切り出しています。


ファクトチェック:「不可逆的」な韓日慰安婦合意は破棄できるのか 朝鮮日報 2017/04/01
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ここで興味深いのが、日本の劣等性として「韓日漁業協定についても、排他的経済水域EEZ)が12カイリから200カイリに変わり、両国漁業紛争が激化したことから、1998年1月に一方的に破棄している。」を挙げている事です。


しかし実際には、これは韓国側が一切この協定を守らずトラブルばかり起こして形骸化していたため、この協定を放棄し新たな漁業協定を結んだだけです。
そしてそれすらも韓国側は守っていません。


詳しくは以下を参照
韓国が日本の漁場を荒らしまくる悲惨な現実 東洋経済 2016年12月07日

日韓漁業交渉が再決裂… 密漁やり放題の韓国が自ら棚に上げて「中国は乱獲やめろ」というのは論理矛盾ではないか? 産経新聞 2016.7.10(1/5ページ) (2/5ページ) (3/5ページ) (4/5ページ) (5/5ページ


要するに、韓国側が協定をまるで守らないため、協定そのものが機能していないというだけのことなのですが、韓国独特の価値観によって(大使帰任という形で)日本が落ち度を認めた=日本が自ら劣等性を認めたとなり、更にそれを補強するため(合意破棄の正当化のため)に漁業協定の曲解などを行い、とうとう朝鮮日報まで合意破棄の方向へ動いたわけです。


こうなってくると、韓国では次に行う事が更に過激化します。
相手が劣等性を認めた場合、韓国では「劣等者(=序列が下位)」には何をしても許されるという考え方から、相手への攻撃が激しくなるからです。


これは現在の朴大統領への世論の風当たりを見れば一目瞭然です。


【萬物相】大統領経験者に度が過ぎる侮辱を浴びせる韓国社会 朝鮮日報 2017/04/03
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民主政府時代に受刑者の人権進展、恩恵にあずかる朴槿恵前大統領 ハンギョレ新聞  2017.04.03


つまり今回の大使帰任を契機として、韓国では今後より露骨に日本に対する攻撃や嫌がらせが激化していくという事です。
なぜなら、先ほども書いたように韓国ではこの大使帰任を「日本が自ら劣等性を認めた」としているからです。


更に、日本のいくつかのメディアもこの韓国側の論調に同調している事から、これを韓国側は「日本人も多くは自分達と同じ考えなのだ」「韓国の正しさが認められた」と解釈し、今後の日韓関係はより「悪く」なっていくでしょう。


駐韓大使帰任/新政権へのパイプ作り急げ 河北新聞 2017年04月05日
駐韓大使帰任 関係立て直しに全力を 信濃毎日新聞 2017年4月5日
駐韓大使帰任 日韓関係の再構築急ぎたい 熊本日日新聞 2017年04月05日
駐韓大使3カ月ぶり帰任 選挙を控え妥当な判断だ 毎日新聞 2017年4月4日
(社説)駐韓大使帰任 日韓関係の再生を急げ 朝日新聞 2017年4月4日


要するに、韓国独特の価値観による解釈を、日本のメディアが煽る事でより状況を悪化させているのが現状になります。


2:大使帰任の動機


上記のように、韓国や日本のいくつかのメディアではこの問題を「次期政権とのパイプつくりのために日本が折れた」と解釈していますが、まずそもそも日本側には次期政権と関係を密にする必然性がありません。


現状、韓国の大統領候補は全員が慰安婦合意破棄を公約として掲げているうえに、現状支持率トップの文在寅氏などは日本と韓国の間で結ばれているGSOMIA(軍事情報包括保護協定)の破棄まで訴えています。


慰安婦合意 いずれも再交渉に重き=韓国大統領選の5党候補 聨合ニュース 2017/04/04


また韓国では、少しでも日本側の言い分に沿う行為をすると「親日的である」として大バッシングされるような空気が出来上がっています。


韓国民主党「李俊揆駐日韓国大使の妄言、日本に帰化したのか」 中央日報 2017年03月28日


という事は、日本が関係構築をしようにもできるような相手が大統領候補にいないですし、何より韓国全体が民族主義ポピュリズムで先鋭化しておりそれどころではないのです。


ここで重要となるのが、大使帰任の動機として岸田外務大臣が記者会見で伝えた「邦人保護」という動機です。


政府 一時帰国の駐韓大使をあす戻す方針 NHK 2017年4月3日


また他にも、先日麻生財務大臣が以下のような発言を行っています。


麻生太郎財務相、北朝鮮情勢「新聞が書いているより深刻」 有事の難民日本流入、可能性は「ゼロではない」 産経新聞 2017.3.31


この事から解る事として現状北朝鮮情勢が緊迫しており、恐らく岸田・麻生両氏の発言はこれを受けたものである事から、近いうちに北朝鮮に関連した何か大きな出来事、例えば米軍による攻撃などが実行される可能性が高くなっていると見ることができます。


またアメリカでも状況はかなり動いており、最近になって議会で北朝鮮テロ支援国家の再認定が行われ、更に菅官房長官により、米国による北への武力行使を実質的に支持するとの公式発表が行われました。


北のテロ支援国再指定へ米下院が法案可決 「強硬ムード反映」=韓国 聨合ニュース 2017/04/04
官房長官 米の武力行使排除しない姿勢を評価 NHK 2017年4月5日


またトランプ大統領からも武力行使を匂わせるような発言が出てきています。


トランプ大統領「北の核問題、中国が解決しないなら米国がやる」 朝鮮日報 2017/04/04
トランプ大統領、「北核問題、中国がしなければ米国が解決する」 東亜日報 April. 04, 2017


つまり、軍事侵攻があるかどうかはまだ未知数ですが、少なくとも日本もアメリカも対北朝鮮で「何か大掛かりな事を行う」のがほぼ確定しており、それは日本大使館の大使が陣頭指揮を行って邦人保護に努めないといけないような事である可能性が高いのです。


またこの件に関しては未知数な部分が多く、本当に「事が起きるかは解らない」部分もありまずが、少なくとも韓国や日本のいくつかのメディアが想定している大使帰任の動機と、実際の動機には大きな隔たりがある事が解ります。


そしてもう一つ重要な事として、現状韓国は対北朝鮮問題で完全に蚊帳の外に置かれている事が挙げられます。


【コラム】ワシントンで高まる北脅威論、薄まる韓国の存在感 朝鮮日報 2017/04/02
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韓経:【社説】「中国は抜けろ」というトランプ大統領の北核解決法…韓国も抜けるのか 韓国経済新聞/中央日報 2017年04月04日
米中の「韓国無視」が懸念される中、「外交の地平が広がった」と言う尹外交部長官 東亜日報 April. 03, 2017
韓経:習主席-安倍首相が7月会談へ…首脳外交「韓国抜き」拡散 韓国経済新聞/中央日報 2017年04月04日


これまで韓国が行ってきたのは「アジアのバランサー」という名の蝙蝠外交であり、結果として対北朝鮮政策で何の役にも立たなかったどころか、中国と日米の間を行ったりきたりした事で情勢をいたずらに不安定化させてきました。


結果、対北朝鮮での各国の話し合いの場から完全に外されてしまい、「韓国の次期大統領が決まる前に北朝鮮の処遇について韓国抜きで決める」という状態になったのです。
つまり、北朝鮮情勢は今激しく動いているが、そこに韓国の席はないわけです。


そしてこの情勢で、ウォールストリートジャーナルから興味深い記事が出てきました。


【社説】日本が韓国に差し伸べた手 THE WALL STREET JOURNAL 2017 年 4 月 4 日


記事では慰安婦の定義について怪しい部分はありますが、「韓国では左派団体が慰安婦問題を利用して国の外交政策を人質に取っているようなものだ。」「日韓両国は北朝鮮の脅威に対抗するため緊急に協力関係を改善する必要に迫られている。」「長嶺氏の帰任は安全保障関係の円滑な発展を後押しするだろう。」と書かれています。


大使の帰任は緊迫した事態に向かいつつある北朝鮮情勢への対応であり、慰安婦合意破棄などの行為は北朝鮮への対応で足並みを乱す事となるのだから、韓国は合意を遵守すべきだとしています。


これは何もウォールストリートジャーナルのみの見解でも、アメリカのみの見解でもなく、恐らく現在のような情勢では殆どの国で同じ見解でしょう。
過去どうのこうのよりも、今の脅威の方が重要なのです。


しかし先ほども書いたように、韓国は最早慰安婦合意破棄が確定した状況であり、更に日韓軍事情報包括保護協定も破棄しようという情勢になっており、こうした動きに反する考えは「親日的である」として糾弾対象となっています。


そしてここからがどこのメディアでも言及していない事になるわけですが、この情勢で韓国が合意も情報協定も破棄した場合、そこに理解を示す国がどれだけあるでしょうか。


結果的に武力行使が無かったとしても、北朝鮮情勢で各国が足並みを揃える事は最重要にも関わらず、韓国が国内事情を優先し足並みを乱せば、当然それは韓国への不信感となります。


また、こうした対北朝鮮での協調が必要とされるときに、日本が日本の事情を優先して大使を帰任させなかった場合、それは少なからず日本への批判となりますが、逆に今回のように国際情勢を優先し面子よりも安定のために大使を帰任させ、韓国との協調をはかろうとしたにも関わらず、韓国がその手を払いのけるような真似をしたらどうなるでしょうか。


この状態で、再度日本が駐韓大使を帰国させた場合、それを批判する国はどれだけあるでしょうか?
先ほども書いたように、既に韓国は北朝鮮対策の主要メンバーから外されています、その状態で更に足並みを乱すような事をしたら、最早誰も味方にならず、逆に日本の態度は当然の事として受け取られるでしょう。


今回の大使帰任とは、私はこのようなシナリオなのではないかと考えています。


そしてこれは、韓国を観察し「他者の劣等性を指摘できれば自己の優越性が証明される」「下位の序列には何をしても許される」「要求が通るのは相手よりこちらの序列が高いからだ」等、韓国独特の価値観を理解していれば、おのずと出てくるシナリオです。


今回時間が無く短いですが、以上となります。




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