日韓問題(初心者向け)

日韓問題について、初心者でもわかりやすい解説と、日韓問題とマスコミ問題の動画のテキスト版を投稿しています。

韓国には「許せ」はあっても「許す」は無い


さて、本日は朴大統領の弾劾や駐韓大使帰任問題などに関連し、以前の記事「【米大使襲撃事件】事件後の韓国人達による奇妙な言動の理由」にも関連した韓国独特の考え方について書いていきます。


以前から書いているように、韓国では他者の劣等性から自己の優越性や正当性を導き出す考え方があり、一度劣等と定義された相手は韓国的価値観で逆に相手が劣等であると証明できない限り、序列の下位に位置づけられるため、「他者を許す」という行為が殆ど行われない。


また逆に自身が問題を起こした場合には、他の劣等性の指摘や自己を「被害者にする」行為を行い序列を上げることで、相手に対して「許さなければいけない」という要求をしてくる場合が多い。


今回の朴大統領弾劾でもこの傾向があり、また日本による駐韓大使引き上げ問題において、彼らは日本に対して「許さなければいけない」という要求をしているが、もしここで日本が彼らの要求を呑んでしまうと、彼らのなかで「日本の劣等性」が証明されるため、「日本が悪かったのだ」という事になってしまう。



※一部を除き、引用記事が日本語の場合には文中にリンク用アドレスとタイトルのみ表記、韓国語のものやリンク切れで参照不能な記事のみ文末にまとめて本文を引用します。
※本文中のリンクは引用の元記事、或いはインターネットアーカイブウェブ魚拓(別サイト)へのリンクです。



1:「許す」の概念が希薄な社会


まずはこちらの記事から

朴氏は「重大な法違反」 裁判官全員一致で韓国初の大統領罷免
聨合ニュース 2017/03/10
http://japanese.yonhapnews.co.kr/Politics2/2017/03/10/0900000000AJP20170310002400882.HTML

【ソウル聯合ニュース】韓国憲法裁判所は10日、裁判官8人全員の賛成で朴槿恵(パク・クネ)大統領の罷免を認める決定を言い渡した。

 現職大統領の弾劾審判は2004年の盧武鉉ノ・ムヒョン)氏に続き2回目だが、罷免されるのは韓国史上初めて。

 憲法裁の決定は宣告と同時に効力が発生し、職務停止状態の朴大統領は任期を全うできず、大統領職から退くことになった。

 大統領職は当分の間、黄教安(ファン・ギョアン)首相が権限代行を務め、次期大統領選は5月初旬に実施されることが確実視される。

 憲法裁所長代行の李貞美(イ・ジョンミ)裁判官は14年の旅客船セウォル号」沈没事故当日の朴氏の動静がはっきりしない「空白の7時間」の疑惑について、「事故は残酷極まりないものだったが、当日に大統領が職責を誠実に遂行したかどうかは弾劾審判手続きの判断対象ではない」と述べた。

 だが、最も重要な事案で憲法と法律に反する重大な法の違反があったと指摘。朴氏が親友の崔順実(チェ・スンシル)被告の国政介入を認め、大統領としての権限を乱用したとした。

 李裁判官は「大統領に報告された書類は(秘書官の)チョン・ホソンが各種の人事資料、閣議の資料、大統領(海外)歴訪資料など、公務上の機密が盛り込まれている資料を崔順実に渡した」として、「チェ・ソウォン(崔被告の改名後の名前)はこれを見て、内容を修正したり被請求人(朴氏)の日程を調整したりするなど、職務活動に関与した」と認めた。

 また、「チェ・ソウォンは公職候補者を推薦したこともあるが、その一部は利権追求を手助けした」と述べた。

 崔被告が実質支配した「ミル財団」と「Kスポーツ財団」の設立に関しても、大企業から486億ウォン(約48億円)の拠出を受け、両財団を設立したが、職員の任命や資金執行など運営に関する意思執行は大統領と崔被告が行い、財団に拠出した企業は関与できなかったと説明した。

 その上で、「憲法は公務員を国民全体への奉仕者と規定している」として、「大統領の行為はチェ・ソウォンの私益のため、大統領の地位と権限を乱用したとみなさなければならない」とした。

 また、「大統領は憲法と法律にのっとって権限を行使しなければならず、公務遂行は透明に公開し、評価を受けなければならない」として、朴氏が崔被告の国政介入の事実を徹底的に隠し、疑惑が提起されるたびに否認してむしろ疑惑提起を非難したと指摘した。

 李裁判官は「大統領はミル・Kスポーツ(財団)設立など、チェ・ソウォンの私益追求のために支援し、憲法・法律の違反行為は在任期間中、持続的に行われた」と述べた。

 その上で、「その結果、大統領の指示に従った安鍾範(アン・ジョンボム、前政策調整首席秘書官)、金鍾(キム・ジョン、前文化体育観光部第2次官)、チョン・ホソン(前秘書官)らが不正犯罪容疑で逮捕され、被請求人の違憲、違法行為は代議民主制の原理と法治主義の精神に反する」と断じた。

 また、「一連の言動をみると、法の違反行為が繰り返され、憲法を守る意志がみられない」として、「結局、大統領の違憲、違法行為は国民の信任を裏切ったもので、憲法守護の観点から容認できない重大な行為とみなさなければならない」と結論付けた。


知っている方も多いでしょうが、韓国の朴大統領が崔順実問題に関連した汚職等の容疑で弾劾裁判にかけられ、その結果大統領を罷免されたことを伝える記事です。


しかし以前から書いているように、韓国では過去歴代大統領はその多くが身内への利益誘導や身内による国政介入を招いた問題が発生していますし、財閥との癒着でも民主化以降は特に何度も問題になっています。


つまり、朴大統領が「だから問題ない」という事にはなりませんが、少なくとも「歴代韓国大統領と同じ事をしていただけ」なはずであり、しかも韓国人の多くも「過去の歴代大統領が同じ事をしていた」事を知っているにも関わらず、あたかも「朴大統領は歴代最悪の大統領」といった評価をしています。


特にそれが顕著なのは以下のハンギョレ新聞などです。


朴槿恵「無能な4年」…国内分裂あおり、外交空振り ハンギョレ新聞 2017.03.10


記事では朴大統領の失政を並べ立てて無能政権だったとしていますが、指摘されている中には確かに政府の対応の不手際が問題になったこともありますが、それ以上に韓国社会の構造的な問題が招いた事例などや、先ほども書いたように韓国の歴代大統領の大半に該当する問題が含まれています。


どうしてこんな事になっているかといえば、勿論ハンギョレ新聞などの親北・親中左派系が煽ったという事も関係していますが、それと同時に「任期中に問題点が指摘された事(韓国の大統領は任期末期に問題が指摘され、退任後に追及が始まるのが一般的)」と、利益誘導の相手が「親族ではなかった」事です。


そしてもう一つは、韓国社会において最も「他者の劣等性の指摘=自己の優越性の証明」の対象であった慰安婦問題を「解決(慰安婦合意)」してしまったため、日本に対する劣等性の指摘がし難くなり、「劣等性の指摘が内側へ向かった」事も関係しています。


そしてここからが重要なのですが、以前から書いているように韓国では「一つの正しさ(主観的・絶対的正しさ)」を重視する傾向にあり、そのため一度「劣等である」と定義されてしまうと、それが正しさとなってしまうため「許す」という行為が殆どの場合行われません。


つまり、朴大統領がこのような状態になったのは、一度劣等者という定義付けがされたため、多くの韓国人にとって「自己の優越性を証明する対象」となったので、決して許されない「劣等な加害者」になったからなのです。


こうした考えは何も朴大統領相手だけではなく、今現在も韓国で日常的に行われています。


たとえば以下の事例では


不服を呼ぶ不信の一発社会…より高い透明性備えるべき(1) (2) 中央日報 2017年03月10日


韓国では「一度落ちれば終わりという『ワンショット(一発)主義』が広まっている」とされており、「自身が指向する価値は善で、その反対は悪と見なす両極端的な意識」がこの状況を生み出しているとしています。


また以下の事例では


<WBC>韓国では3割、WBCでは三振…井の中の韓国野球(1)
 (2) 中央日報 2017年03月09日


韓国の球界は国際判定よりもストライクゾーンが狭いとしている記事なのですが、その原因として「Sゾーンから外れたボールをストライクと判定する審判は批判の対象となる。審判はインターネットで私の家族まで攻撃されることもある」ため、審判が萎縮してどんどんストライクゾーンが狭くなっていったのだそうです。


更に次の事例では


反文明的な文明高校への脅し 東亜日報 March. 08, 2017


「韓国社会には、考えの異なる他者を非難して、脅かすことが日常茶飯事となっている」という記事なのですが、韓国政府が導入を進めていた中高の国定教科書の導入研究学校に指定された高校が、反対派から激しい妨害や恫喝にあい、授業も入学式も妨害されるという、「異論を一切認めない状態」に晒されたという記事です。


どれも同じで、主観によって決定された「一つの正しさ」が社会の多数派になった時点で、そこに従わない相手は「劣等な下位の序列」と定義され、一切許されること無くありとあらゆる攻撃を受けるという事例です。


正しさが常に「一つしかない」と認識されており、その正しさから逸れて劣等者認定されると原則的にそこから這い上がる事ができないのです。


例外的に「自身を劣等者と認定した主体」を逆に劣等者と認定できれば立場を入れ替える事ができますが、「一つの正しさ」から外れた相手が劣等者認定されることには変わりがありません。


このように韓国では、他者の劣等性から自己の優越性や正当性を導き出すという考え方や、「主観によって決定される一つの正しさ」といった概念があるために、「他者を許す」発想そのものが殆どの場合ではじめから存在していないわけです。


2:「許せ」が頻発する社会


上記のように、韓国社会では何らかの形で一度「劣等である」と定義されると、その後一切許されること無く「下位の序列」としてバッシングされ、他の人々の「優越性の証明」に利用される事となります。


また場合によっては、かつて朴大統領も受けた「親日派認定」のように、劣等性が血縁によって延々と連座し続けることもあります。


「俳優カン・ドンウォンは親日派の子孫」 ネットで騒動に 朝鮮日報 2017/03/05


このため韓国では、この「劣等な下位の序列」となることを避けるために、いかに自分が正しいか=いかに他が劣等か、またはいかに自分が被害者であるかをアピールし、彼ら独特の価値基準による下位の序列認定を避けようとします。


そしてこの過程で、相手に対して「自分達を許すべき」という要求をします。
以前書いた「【米大使襲撃事件】事件後の韓国人達による奇妙な言動の理由」は、自身が被害者であるとアピールして劣等者になることを避ける典型的な事例です。


またもう一つ「許せ」と要求を行う手段として、相手の劣等性を指摘することで立場を入れ替え、批判してくる相手に対し抗議等をやめさせる、変則的な「許すべき」という要求をしてくる場合もあります。


これの典型例が、慰安婦合意に違反する釜山日本領事館前の慰安婦像問題に関連した、日本側の対抗措置とその後の韓国側の対応です。


この問題では、以前記事にしましたが元々慰安婦合意は危機的状況にあった韓国経済を日本に支援してもらうために、韓国が日本への「歩み寄り案」として行った面があります。


慰安婦合意を巡るやり取りをまとめてみた(前編)
慰安婦合意を巡るやり取りをまとめてみた(中編)
慰安婦合意を巡るやり取りをまとめてみた(後編)


しかし韓国では一般的に、慰安婦問題とは「軍や国の命令で軍人や官憲が行った組織的な拉致」と定義し、この『法的責任』を日本が認め「韓国に謝罪し続ける事」を解決と想定しているため、その条件をまるで満たしていない合意に韓国世論が反発しました。


また、日本大使館前や釜山領事館前の慰安婦像は、「韓国人が日本人の劣等性を確認するための像」であるため、当然合意をしたからと撤去できるようなものではないうえに、彼らにとっては法や約束とは「一つの正しさ」よりも下位に位置する概念であるので、条約等を根拠に撤去を要求する日本が非常識に見えています。


そしてこの韓国側の態度に反発して、日本が駐韓大使帰国や経済支援中止を行った事でまた苦しい立場となった韓国が、この状態で日本に対して「折れる」のは自らの過ちを認めて「劣等な加害者」となってしまうので、逆に日本を劣等な加害者認定しようとしています。


例えば以下の記事では


(※1)
[ヤン・チャンギュンのBハインド]中国・米国より恐ろしい日本 イートゥデイ(韓国語)  2017-03-08


日本の世襲議員ポピュリズムに走って「我が国の情勢が不安で難しくなるたびに、そのスキを最大限活用した」と、韓国を非難することで自分達の支持率に利用したのだと日本の劣等性を指摘しています。


また以下の聨合ニュースの記事では


[韓国大統領罷免]どうなる韓日慰安婦合意 次期大統領選の争点に 聨合ニュース 2017/03/10


一応合意は守られるべきとの論調ですが、同時に「釜山の少女像を理由に駐韓大使を2カ月以上帰任させないなど、むしろ被害者であるかのように行動する日本の態度が韓国の世論を深刻に悪化させる場合、韓国の新政府発足後に再交渉論が強く提起される可能性も排除できない」と、この問題が日本にあるかのように論点を摩り替えています。


更に以下の中央日報の記事では


日本外交幹部、釜山東区庁長と面談 「少女像は遺憾」 中央日報 2017年03月10日


日本側が慰安婦像を撤去するよう求めてきたことを、韓国側に不当な圧力をかけているといった趣旨の主張をしており、これも日本の劣等性を指摘しています。


このように彼らは、自身が批判された場合には何でも良いので相手の劣等性を指摘し、問題を「相手の問題」にしてしまう事で、「(自身への)批判等」をやめるように要求する=「許せ」と要求する態度を取るわけです。


この時点で彼らの中では、韓国の望む慰安婦の定義を認め謝罪しない=反省しないどころか、危機的状況に乗じて韓国を攻撃してくる「劣等な日本の問題」となっており、むしろ不当な圧力をかけて来る日本に迷惑をかけられている「被害者」となっていると言い換える事もできます。


要するに韓国では、主観的な視点のみによって成立する「自分は正しい」という大前提が存在しているため、自分達が批判される(=韓国的価値観における劣等な下位の序列)事はあってはならないので、相手は不当な行為をやめて自分達を「許せ」という要求をしてくるわけです。


つまり、他者が問題を起こした場合には「許す」発想そのものがない場合が多いが、自身が問題を起こした場合には「相手は不当な行為をしている」ので、「許さなければならない」と考えるため、上記のような反応になっているわけです。


3:韓国の「許せ」という要求を呑むことのリスク


今回書いたように、韓国においては他者に対して「許せ」と要求する発想は存在しても、自らが他者を「許す」という発想は殆どの場合で存在していません。


そして韓国ではこの「許せ」はあっても「許す」はないという状態を、どちらが上か下かという序列を絶対的なものとすることで成り立たせています。


つまり、「許せ」という要求を通せる者は序列の高い「正しい存在(優越性)」であり、要求を呑む側は「間違った存在(劣等性)」だから相手の要求を呑むのだという考え方によってこの構造が成立しているわけです。


そのため、現在日本は釜山日本領事館前とソウルの日本大使館前の慰安婦像問題を理由に駐韓大使を帰国させ、また経済支援もストップさせている状態を続けており、韓国側は「大使を帰任させろ=許せ」と要求、また韓国人から良心的日本人(例1 例2)と呼ばれている日韓友好論者たちもこれに同調しています。


社説 朴大統領罷免 挫折乗り越え安定望む 毎日新聞 2017年3月11日

(※2)
「安倍首相は在日本大使復帰のタイミングを逃した」...武藤前大使指摘 京郷新聞(韓国語) 2017.03.08


しかしこれ(大使帰任や経済支援)をやってしまった場合、韓国的価値観では日韓友好論者の言うような「和解=許す」ではなく、「日本が過ち(劣等性)を認めた」という事にしかなりません。


なぜなら彼らは「自分達は正しいから要求しているのだ」とする態度を前提にしていますし、何より韓国側は慰安婦像問題で何一つ状況を改善できていないどころか、そもそもする意思もないですから、韓国的価値観では「日本が韓国の要求を受け入れた」という事にしかなりません。


もう少し詳しく書くと、韓国的価値観では日本側の対抗措置は「日本側が許せと要求している」と認識されているので、その要求を突っぱねたうえで韓国側の「許せという要求」を日本側が受け入れるのですから、日本が過ち(=劣等性)を認めた、つまり韓国側の優越性が証明されたとなるわけです。


こうなると、最初に例に出した朴大統領の問題と同じで、彼らは「無制限に劣等性を導き出せる相手」として日本を更に攻撃してくることになります。
そうすれば彼らの中では「自己の優越性」が無制限に導き出せるからです。


つまり、日韓友好論者の主張通りの態度を取った場合、日韓の間の慰安婦問題を含む様々な歴史問題は更に悪化していく事になるわけです。


そのうえではっきり書けば、この問題の唯一の解決方法は韓国側が困り果てて一連の問題を自ら解決してくるまで「日本は現状維持」をし続ける事だけです。
韓国的価値観に対してはそれしかないのです。



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(※1)
[ヤン・チャンギュンのBハインド]中国・米国より恐ろしい日本
イートゥデイ(韓国語)  2017-03-08
http://www.etoday.co.kr/news/section/newsview.php?idxno=1464815

国際舞台で大韓民国が孤立無援の境遇に追い込まれている。よりによって国内情勢が最悪の流れになっている時にだ。大統領弾劾という初の事態がさく烈し、北朝鮮の挑発を待ってでもいたかの様に、ハイエナの群れのようにくいちぎるのに忙しい。

当面の懸案は中国だ。中国はTHAAD(高高度ミサイル防衛システム)配置を口実に経済報復のレベルをますます高めている。経済報復の圧迫戦線も文化だけでなく観光、輸出、企業規制などに広げながら被害規模さえ分からない状況だ。このような中国の措置は「政治的理由で貿易制限をしない」というWTO(世界貿易機構)規定に違反している。

血盟(?)関係と信じた米国ももはや友好的な存在ではない。米国の金利引き上げ速度が速くなり、来月には為替レート操作国指定の憂慮まで重なっている。我が国が為替レート操作国指定から抜け出せても中国が指定されれば、韓国経済はその余波から自由ではない。今までの構図を見れば、我が国は世界二大強大国(G2)の中国と米国の間に挟まった「くるみ割り」のくるみの境遇だ。

それでも、中国や米国の動きは目の前で予測可能なリスクだ。現時点で我が国に最も脅威的な存在は危機のたびに後頭部を打った日本だ。日本はこれまでも後頭部外交をためらいなく行った。1997年、IMF(国際通貨基金)外国為替危機当時、外貨準備高が底の時点でもそうした。我が国の外貨準備高が300億ドルに崩壊した危機的状況で日本は何と100億ドルを越える資金を抜き出して外国為替危機をけしかけた。

このような姿勢は最近もあった。今年1月、日本は釜山(プサン)領事館前少女像設置に対する抗議表示で韓日通貨スワップ議論を一方的に中断した。この時期は中国がTHAAD配置と関連した経済報復を拡大し、自国優先主義を前面に出した米国のトランプ政権スタート目前だった。我が国がG2の隙に挟まった状況を最大限悪用したのだ。

政府高位関係者は「日本の政治家たちは我が国の情勢が不安で難しくなるたびに、そのスキを最大限活用した」と耳打ちした。これには日本の世襲政治が無関係ではないように見える。日本の政治は「地盤(組織)」、「カバン(お金)」、「看板(認知度)」等3バンを前面に出した世襲政治が長い間の慣行として定着している。両親の後援会が子供の後援会に移譲され、自然に後援支援金問題が解決し、当然、誰々の子供という認知度が高まる。

現在の安倍内閣でも世襲政治家安倍晋三総理、麻生太郎副総理、岸田文雄外相などほぼ半分を占めるほどだ。生まれて成長する過程それ自体が政治と離そうにも離せない関係を形成している。このように見ると日本の政治家たちにとって我が国は政治生命の道具、それ以上でもそれ以下でもないわけだ。今のように我が国が内外で難しい時期に日本をより一層警戒しなければならない理由でもある。


(※2)
「安倍首相は在日本大使復帰のタイミングを逃した」...武藤前大使指摘
京郷新聞(韓国語) 2017.03.08
http://news.khan.co.kr/kh_news/khan_art_view.html?artid=201703080938011&code=970203

安倍晋三首相は(駐韓日本大使帰任の)タイミングを逃した。 「釜山総領事館前の慰安婦少女像の問題で帰国措置した長峰保正駐韓日本大使などの日本滞在期間が9日に二ヶ月になることについて武藤正敏元駐韓日本大使がこう言った。

武藤元大使は8日産経新聞とのインタビューで、保正大使などの復帰時点について「安倍晋三首相のアジア歴訪からの帰国や、2月12日に北朝鮮が新型ミサイルを発射した直後のタイミングを逸したので帰任は難しくなった。」と述べた。彼は「慰安婦像の撤去は現状では難しいだろう」とし、このような意見を明らかにした。

武藤元大使は、朴槿恵大統領の弾劾が決定された場合、60日以内に行われる大統領選挙に加え、民主党文在寅前代表が大きくリードしている状況と関連し、「本来、大使が直接、次期大統領候補の陣営とルートを作っておかなければいけないが、そうした活動もできずにいる」と駐韓日本大使が長期間不在の状況への懸念を示した。

彼は続いて北朝鮮が6日、ミサイルを発射した問題と関連し、「日米韓が協力し対処しなければいけない状況だ。大使は本来ソウルで韓国と連携しながら陣頭指揮を執ることが望ましい」と長嶺大使の帰任が必要である旨を明らかにした。

武藤元大使は、2012年8月、李明博大統領の独島訪問に対する日本側の抗議で一時帰国したが、12日目に帰任したことがある。