日韓問題(初心者向け)

日韓問題について、初心者でもわかりやすい解説と、日韓問題とマスコミ問題の動画のテキスト版を投稿しています。

韓国の文在寅大統領について


さて、本日は大統領に就任した文在寅氏について、少し短めですが改めて記事にします。


今回新たに就任した文在寅韓国大統領は、前評判としても「親北反日」であるという意見が各方面から出ており、また2015年12月に日本との間で合意されたいわゆる慰安婦合意についても、再協議か破棄を訴えており、今後の更なる日韓関係悪化が予想される。


また、彼は盧武鉉政権(2003~2008年)において政権内で重要ポストについていた人物でもあり、盧武鉉政権の政策を継ぐと公言しているが、この政権は当時明確に日本を「敵」北朝鮮を「味方」と定義していた経緯があり、この方針を継ぐとなると関係悪化どころではない。


このような人物であるが、彼はポピュリズム的な傾向が強く先鋭的な発言が多いわりに、具体性や実効性のある発言をした事が無く、発言した事をどれだけ実現できるのか疑問符が付くうえに、韓国そのものが国際社会へ向けた有効な外交カードを何も持ち合わせていないため、対日本のみが中途半端に先鋭化していく可能性が高い。



※一部を除き、引用記事が日本語の場合には文中にリンク用アドレスとタイトルのみ表記、韓国語のものやリンク切れで参照不能な記事のみ文末にまとめて本文を引用します。
※本文中のリンクは引用の元記事、或いはインターネットアーカイブウェブ魚拓(別サイト)へのリンクです。


1:文在寅政権は最初に何をするか


まずは以下の記事から

<韓国大統領選>文在寅氏 41.4%で他候補を圧倒=出口調査
聨合ニュース 2017/05/09
http://japanese.yonhapnews.co.kr/Politics2/2017/05/09/0900000000AJP20170509003400882.HTML

【ソウル聯合ニュース】韓国大統領選は9日、午後8時に投票を終え、地上波3社(KBS、MBC、SBS)は合同出口調査の結果を報じた。進歩(革新)系最大野党「共に民主党」の文在寅ムン・ジェイン)候補が41.4%でトップ。朴槿恵(パク・クネ)政権の与党セヌリ党だった保守系自由韓国党」の洪準杓(ホン・ジュンピョ)候補(23.3%)、中道系「国民の党」の安哲秀(アン・チョルス)候補(21.8%)らをリードしている。

 今回の選挙は朴槿恵前大統領の罷免に伴って当初予定の12月から大幅に前倒しされ実施された。


韓国では昨日大統領選が行われ、深夜に文在寅氏が約41%の得票率を得て新大統領に就任しました。
ここで重要となるのが、文氏支持の票が41%で思ったより圧倒的ではなく、過半数割れしている事です。


これは以前からいくつかの韓国紙でも指摘されていたことですが、現在の韓国には単独で多数派となれる政党が一つも無く、誰が当選しても少数与党であり、だからこそ朴政権などよりもずっと世論の支持が重要とされています。


韓国大統領選:誰が勝っても少数与党、国政のカギは「協治」 朝鮮日報 2017/05/05 (1/2ページ) (2/2ページ


得票率は?逆転ドラマの可能性は?…大統領選挙の4大観戦ポイント ハンギョレ新聞 2017.05.09


しかし実際の選挙結果では、以下の聨合ニュースの選挙特設ページを見てもらうと解るように、文氏の得票率は41%と過半数に届いておらず、慶尚北道慶尚南道では保守系の洪氏に得票率で負けています。
圧勝というほどではなかったのです。


2017年韓国大統領選挙 聨合ニュース


しかも文氏の所属する共に民主党は、イデオロギー的に近いはずの安哲秀氏の国民の党とも対立姿勢を見せていた事から、文在寅政権は低い支持率と少数与党というかなり厳しい状況からの政権運営となる事が確実です。


ここで重要となるのが、文氏が選挙中何度も口にしていた「積弊清算」という言葉です。


これは要するに、共に民主党や文大統領と対立関係にある保守系を政界から文字通り「駆逐する」という意味があり、盧武鉉政権下ではこれが「親日派」という名で呼ばれ親日派認定された人々の「子孫」が徹底的に弾圧されました。


参考記事
韓国の親日派財産没収法のとんでもなさとその背景


このため文政権では、まず外交的に難易度の高い慰安婦合意の破棄や再協議要求よりも、国内での足場固めのために親日派の子孫狩りや保守の駆逐など、政争としての「積弊清算」を行うのではないかと予想しています。


実際、現在の韓国でも慰安婦合意の破棄が外交的なリスクになる事は少なからず懸念されており、破棄により問題が発生した場合、対立勢力から文大統領の失点としてバッシングされることが目に見えているからです。


韓国新政権 慰安婦問題巡る韓日合意の扱いに注目 聨合ニュース 2017/05/10


また、彼の主張する政策は「米国、中国、日本、ロシアの4大国との新たな関係構築、南北関係改善」「北東アジアの秩序を韓国が主導する」「中国を説得して6カ国協議を再開し、米国を説得して朝米関係の改善を誘導する」等、具体的にどうやって「それを実現するのか」が不明な主張が多いのです。


文在寅政権の外交政策 米中日との連携重視=対北では融和模索 聨合ニュース 2017/05/10
文在寅「核のない朝鮮半島を韓国が主導」韓国役割論を提示 ハンギョレ新聞 2017.04.23


当然ですが、「○○をする」と発言しただけでそれが実行できるわけではないですから、言葉だけが先行している文政権は今後失政を続けることがほぼ確実視されており、だからこそ余計に「国内の反対勢力を黙らせる」事が最優先となるわけです。


これはあくまで私の個人的な予想ですが、このような背景から文政権は最初のうちは慰安婦合意にあまり手をつけず、日本に対して再協議を要求したり、国際社会に向けて「日本が合意を守っていない」等のプロパガンダを行う等にとどまるのではないかと考えています。


国内で足場が固まっておらず、その状態で「国家間の約束を破った」として国際社会から批判を受けるリスクの高い一方的な慰安婦合意破棄を行った場合、政権基盤が一気に崩れる可能性もあるからです。


ちなみに余談となりますが、韓国において「親日派の子孫」と定義されることは「社会的な死」を意味しており、最近も曽祖父が親日派辞典に掲載されているという理由だけで俳優が大バッシングを受け、何度もその件で謝罪をしています。


「俳優カン・ドンウォンは親日派の子孫」 ネットで騒動に 朝鮮日報 2017/03/05
韓流スター、親日派のひ孫だった問題を再び謝罪「恥ずべき歴史」 Record china 2017年5月8日



親日派辞典を作成したのは盧武鉉政権ですが、これが韓国社会でどれだけ大きな影響力を持つのかが良くわかるでしょう。
文大統領はこれを利用して国内の反対勢力の無力化をしていく可能性が高いわけです。

2:中長期的な動向


上記のように、あくまで個人的な予想でしかないですが私は文政権が最初から直接的な合意破棄に動く可能性は低いと考えています。


では中長期的にはどうかといえば、これは充分破棄までありえるうえに、むしろ「それどころではない」更なる関係悪化が発生する可能性が極めて高いです。


まず慰安婦合意破棄なのですが、そもそもこれを破棄した場合「慰安婦合意前に戻るだけ」ですので、いくつか弊害はありますがそこまで大きな変化はありません。
一つ違いがあるとすれば、韓国は慰安婦問題関連で合意前のような国際協力は取り付け難い事くらいで、日本にはまるで関係のない事です。


また文大統領の主張を見ても、「歴史問題では原則論を重視しながら、経済では協力関係を構築していく」としており、これは朴政権中期のいわゆる「ツートラックアプローチ」と全く違いがなく、実効性がまるで無いうえに韓国側には日本に経済支援をしてもらえるだけのカードがありません。


そもそも文大統領が日本との経済協力を望んでいるのは、自身に有効な経済政策が全く存在しない事から、経済の回復を「日本頼み」にしているからです。
裏を返せば、経済で日本の協力を取り付けることが出来なければ、文政権の支持率低下に繋がるという事でもあります。


どうなる韓日関係 最大の課題は慰安婦問題=韓国新政権 聨合ニュース 2017/05/10


ここまでなら「慰安婦合意前の朴政権中期頃の状態に戻る」だけなのですが、盧武鉉政権の政策や方針を継承するとしている文政権の場合、世論の支持を得るためにこれとは違った動きが予想できます。


これを説明するためには、まず過去盧武鉉政権で何が起きたのかを知ってもらう必要があります。


例えば、これは以前も書いていますが2005年に日本の海上保安庁が韓国の密漁船を拿捕しようとしたところ、密漁船が海上保安庁の職員を乗せたまま逃走、しかも韓国の海上警察が「密漁船を助けに」やってきて、暫く公海上で日韓が対峙するという事態にまでなったことがあります。


韓日海上警察が公海上で対立 中央日報 2005年06月01日

韓日海上対峙事件…よどむ韓日関係「災い転じて福となす」か 2005年06月03日


また2006年には、竹島周辺の日韓でEEZが重なり合う海域で海上保安庁の測量船が海底地形の調査をしようとしたところ、国際海洋法条約に基く調査で合法であったにも関わらず、韓国側が猛反発しこのときも一触即発の事態になりました。


竹島問題をめぐる社説3題(06年4月20・23・26日) 朝日新聞 2006年04月28日
独島:「日本の測量船に衝突・撃沈せよ」盧武鉉前大統領が指示 朝鮮日報 2012/09/26


また他にも、2006年の対北朝鮮決議において韓国側が「韓国は最後まで日本とは行動を共にしない」と名指しで抗議、日本が主導している北朝鮮の制裁決議は侵略主義であり賛同しないという立場をとったことがあります。


【ミサイル】「韓国は最後まで日本とは行動を共にしない」 朝鮮日報 2006/07/11


インターネットアーカイブがなぜか文字化けしているため本文を掲載

日本主導による対北制裁決議案は明白な侵略主義
朝鮮日報 2006/07/14
http://japanese.chosun.com/site/data/html_dir/2006/07/14/20060714000007.html (リンク切れ)
https://web.archive.org/web/20060715042429/http://japanese.chosun.com/site/data/html_dir/2006/07/14/20060714000007.html (文字化け)

韓国の与党ヨルリン・ウリ党議員43人は13日、「日本主導による国連の対北制裁決議案は明白な侵略主義」という声明を発表し、「日本が露骨に軍事大国化を試みている。膨張戦略を中断せよ」と主張した。


この事例から解るのは、当時の政権は北朝鮮を敵とみなしていなかったというだけではなく、むしろ日本を敵国と想定して動いていた事です。


そしてこれを裏付ける情報も当時出てきており、それが以下です。


韓国、昨年SCMで米国に「日本を仮想敵国に」要請 中央日報 2006年10月18日
「日本を仮想敵国に」盧武鉉政府が米国に提案、鄭夢準議員が暴露 東亜日報 July. 03, 2012


これら記事では、盧武鉉政権がアメリカに対して「日本を仮想敵国として扱うよう提案」した結果、むしろ韓国側がアメリカからその態度を疑われ不信感を持たれた事が書かれています。


この事をその前に挙げた事例に当てはめると、盧武鉉政権は北朝鮮ではなく日本を敵国と想定していた政権であったため、日本を挑発したり露骨に拒絶するような態度を取っていたことがわかります。


またこの時期の韓国では、「日本から独島(竹島)を守るために軍備を強化し、中露と領土問題で協力し、アメリカの支援も取り付けるべき」といった主張が出てきたり、小学生のアンケートで日本人を「追放すべき民族」としているなど、世論の過激化も進んでいました。


小学生の外国人認識、日本人に「非友好的」…仁川 聨合ニュース 2006/12/12
※1
我が国の領土「独島」を守ろう  Korean National Security Net(韓国語) 2007-07-13


文政権は原則的に盧武鉉政権の政策を継承するとしていますから、ほぼ確実にこうした方針も継承するという事であり、かつての「一触即発」の事態がまた繰り返されるという事でもあります。


しかも、当時はまだ日米共に「多少の事があっても韓国を支援すべき」といった方針がありましたが、現状はそうした資産を韓国が完全に食い潰してしまい、また「中国寄り」の態度で不信感を持たれた事などもあり、当時のように「何かあっても日本が折れる」という環境自体が消滅しています。


しかし韓国では「自分達の価値観が世界のスタンダード」と考え、異なる価値観の存在を「劣等な考え」としか認識していないため、慰安婦合意破棄なども含めた韓国の対日政策の過激化が国際社会から受け入れられないことを、「日本が離間事(イガンヂル=告げ口)を行ったからだ」としか認識しません。


実際、現在アメリカを中心にいわゆる「韓国外し(コリアパッシング)」が発生しているのは、日本や中国がトランプ大統領に韓国のネガティブな話を「離間事(イガンヂル)」しているからだといった意見が一般化しています。


つまり中長期的に見た場合、低い支持率の回復目的の慰安婦合意破棄と共に、対日本で様々な過激な言動が発生し、それに対して国際社会からの賛同を得る事もできず、その事すらも「日本のせい」にした結果、中途半端に更なる(日本から見た)反日の過激化が進み、結果的に今回書いた盧武鉉政権時代のような一触即発の事態が頻発するのではないかと予想しています。


当然のことですがそうなった場合、朴政権どころか盧武鉉政権時代以上の日韓関係の悪化が発生するでしょう。
つまり文在寅政権下では、慰安婦合意破棄が「些細な事」に思えるほどの事態が起きる可能性が充分にあるということです。


彼らにとっては、北朝鮮は「同じ民族の同胞」であり、日本は「異なる民族で敵」という認識なのですから。


短いですが今回は以上です。




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(※1)

我が国の領土「独島」を守ろう
Korean National Security Net(韓国語) 2007-07-13
http://www.konas.net/article/article.asp?idx=11906

我が国の国防部は今月6日、「日本が、独島を自国の固有領土と記述した2007年度防衛白書を今日午前の閣議で通過させ、これを公開した」と明らかにした。国防部は同日午後、日本の韓国駐在武官
を呼んで強力な抗議の意を伝え、直ちに是正するよう要求した。日本は2005年の防衛白書から、「我が国の周辺安全保障環境」という項目の中で、「我が国の固有領土である北方領土竹島の領土問題が、引き続き未解決のまま存在している」と記述している。<中略>

教育人的資源部傘下にある北東アジア歴史財団の第3研究室長である裵珍洙(ペ・ジンス)博士は独島アカデミー講座(2007年4月30日)で、日本の「独島侵奪6段階戦略」を発表した。独島の紛争化を望む日本は、第1段階:名分蓄積のための独島領有主張継続、第2段階:独島問題本格化のための条件作り、第3段階:独島問題の国連総会上程推進、第4段階:軍事危機惹起後の国連安保理介入誘導、第5段階:独島問題の国際司法裁判所(ICJ)付託、第6段階:敗訴国のICJ判決不服とその後の軍事紛争化、という手順で推進するということだ。

今まで第1段階と第2段階から動いてきたが、間もなく第3段階の行動が予想されるという。裵室長は、「日本国内の右傾化雰囲気が熟し、国連で日本の地位が充分に上昇されたと判断すれば、直ちに独島問題の国連総会上程を試みる可能性が高い」と述べた。

来年から使われる日本の高校歴史教科書に、独島の日本領有権主張を強化する内容が含まれていることが、今年3月30日に判明した。そして日本は毎年初めにいわゆる「口上書」を韓国外交通商部に送り、独島が自国の領土だと主張している。後日の紛争に備えて資料を蓄積するためだ。その他にも東海の「日本海」表記主張、島根県のいわゆる「竹島の日」制定などがある。

以上のように日本は、韓国固有領土である独島を必ず奪うという一念で全方位で攻勢を強化し、準備を着々と進めている。それでは、我が国はどうすれば良いのだろうか。

第一に、政府次元で積極対応しなければならない。これまで韓国政府は、独島対応に相対的に微温的であった。独島が我が国の領土であることは明白であり我が国が現在実効支配しているからだ、という。しかし十分とは思われない。
(中略)
2005年に馬山市が、6月19日を「対馬島(テマド)の日」に指定した。これは、李朝初期に李従茂(イ・ジョンム)将軍が対馬島征伐のために馬山浦を出発した日を記念するために制定されたものだ。日本の独島領有権主張に正面対抗した良い方策だ。今後は我が国も対馬島領有権主張(対馬島旧領回復運動)を体系的に推進すべきだ。

第二に、軍事・外交的に徹底的に備えなければならない。日本は既に相当以前から独島武力侵奪計画を準備しており、機が熟すのを待っている。大型商船・漁船・ゴムボートなどに分乗した右翼分子らが独島に不法上陸して、武力紛争を誘発する。そして日本は自国民保護を目的に兵力を動員するというのだという。また日本は、独島近海での海洋測量を口実に我が国との海上衝突を意図的に誘導する方法を、2006年に一度試みたことがある。

従って我が国としては、日本の独島武力挑発を阻止しうる方策を多角的に準備せねばならない。対馬島占領計画も同時に立案すべきであろう。国土の防衛には必ず強い力(軍事力)の裏付けが必須であることを肝に銘じねばならない。独島周辺の防衛力を一層強化せねばなるまい。

そして海上領有権外交を多面化せねばならない。中日間の釣魚島(尖閣諸島)紛争では中国を、また露日間の北方領土紛争では日本を支持して、領有論理の一貫性を維持しなければならない。同時に韓米同盟を強化して、日本による軍事挑発時に我が国がアメリカの支援を得られるよう努力すべきだ。

日本は3年連続で防衛白書に独島領有権を明示することで、独島侵奪の野望をいよいよ実行に移す準備をしている。今度の事態を決して軽く見過ごしてはならない。「独島は我が領土(トクトヌン・ウリタン)」の歌だけでは独島は守れない。国土を守るという愛国・愛民族だけでも不十分だ。政府レベルでの組織的・体系的な備えが必要なのだ。  【金成萬(キム・ソンマン)/前海軍作戦司令官、予備役海軍中将】