日韓問題(初心者向け)

日韓問題について、初心者でもわかりやすい解説と、日韓問題とマスコミ問題の動画のテキスト版を投稿しています。

韓国の公共放送(KBS)による韓国起源説に突っ込みをいれてみる




(画像はKBSニュースより)


さて、本日は韓国の公共放送(日本のNHKに相当)であるKBSによる、製鉄技術の一つであるたたら吹きや、日本刀の起源主張について突っ込みを入れていきます。


日本刀や砂鉄精錬法のたたら吹きに対する韓国起源説は、韓国起源説の中でもかなり以前からあるものではあるが、ここ数年は他の起源主張に比べると少ない部類となっていた。


今回KBSが報じたものも、韓国を代表する偽剣道団体である大韓剣道の説に、2012年に同じくKBSが報じた七支刀に記載された内容を曲解し、たたら吹きの起源を主張した事例を合わせたような内容となっており、特に目新しさは無い。


ただし、今回の事例はソメイヨシノ韓国起源説のときと事例が良く似ており、ソメイヨシノの場合にはKBSの報道に端を発してその後国際社会へ向けて官民挙げてのプロパガンダ活動が活発化していったことから、今回も同じようになる可能性があり警戒しなければいけない。



※一部を除き、引用記事が日本語の場合には文中にリンク用アドレスとタイトルのみ表記、韓国語のものやリンク切れで参照不能な記事のみ文末にまとめて本文を引用します。
※本文中のリンクは引用の元記事、或いはインターネットアーカイブウェブ魚拓(別サイト)へのリンクです。



1:たたら吹きと日本刀に対する起源主張


まずはこちらの記事から


伝統技術蘇らせ、国際競争力育てる
KBSニュース(韓国語) 2016.06.27
http://news.kbs.co.kr/news/view.do?ncd=3302334

<アンカーコメント>
歴史的に世界最高あるいは最初だった私たちの伝統技術が現代に来て、より発展できずに、伝統文化程度にとどまった場合が多いですよ。

最近、優秀な伝統技術に先端科学を携え、新しい高付加価値製品を作ろうとする努力が続いています。
チェ・ゴニル記者の報道です。

<レポート>
伝統剣に穏やかな波模様が続きます。
鉄の塊を数千重打って作った古代鍛接方式に従いました。

私たちの伝統技術ですが、日帝強占期に命脈が切られました。
その一方、技術を伝授された日本は名品の日本刀や厨房用刀(※キッチンナイフ)を製作して世界市場を牛耳っています。

遅くなりましたが、私たちも伝統技術を現代化させ、世界市場に挑戦状を投げました。

<インタビュー>
ハン・チョンウク(伝統刀剣匠人):「立派な製鉄技術である鍛接方式の技術が、KIST(韓国科学技術研究院)と重なり、立派な鋼鉄を生産して、そのような鋼鉄で厨房刀や生活用品を...」

3Dプリンティングに使用される材料のフィラメントが作られています。
従来のプラスチック材質の代わりに天然伝統素材である檜の粉を活用して木の風合いがする環境にやさしい製品を作りました。

耐久性に優れ、人体に有害な成分がないため、従来の製品より高く売れます。
伝統素材を活用した方法はさまざまな側面で試されています。

<インタビュー>
イ・ホンジュ(韓国科学技術研究院の博士):「土とか樹木とか稲がら、こんな素材を用い、漆基盤で抽出した伝統接着剤を使って3Dプリンティング用建築用素材を作ることができます。」
私たちの伝統文化資源が先端科学の服を着て世界舞台に挑戦しています。



こちらの記事なのですが、まず起源主張の前に注目すべき内容があります。
「KIST(韓国科学技術研究院)」という組織がこの問題に関わっている事です。


ここは1981年に設立された韓国の国立大学であり、未来創造科学部という政府機関が所轄する組織です。


つまりこの韓国起源説は、韓国の国立大学と関係省庁、そして公共放送が深く関わった起源主張であり、「一部のおかしな人」が行っているわけでも、ましてや例外的な事例というわけでもなく、日本で言えば理系で有名な国立大学が起源主張に加担し、それをNHKが肯定的に報じているようなものです。


そして次にこの起源主張なのですが、動機は文中にもある「技術を伝授された日本は名品の日本刀や厨房用刀を製作して世界市場を牛耳っています」「私たちも伝統技術を現代化させ、世界市場に挑戦状を投げました。」との部分です。


要するに、国際的に和包丁の評価が高まったので、起源を主張して評価の上書きをしようとしているわけです。


参考記事
【取材日記】日本製の刃物を眺める心地悪い視線 中央日報 2014年10月08日


そして次に注目すべきは「鉄の塊を数千重打って作った古代鍛接方式に従いました」との内容の部分です。


これなのですが元ネタがあります。
それは2012年に同じくKBSが報じたニュースで、そこでは日本の石上神社所蔵の七支刀が鍛造で製作されており、元々百済の技術であるのだから砂鉄精錬法であるたたら吹きや日本刀は韓国起源なのだとしているものでした。


(※1)
百済‘七支刀・環頭大刀’伝統技術で復元 KBSニュース(韓国語)  2012.03.19


しかしこれは原文の曲解をしているだけだったことが既に判明しています。
七支刀の表面には以下のような記述があります。


石上神宮
http://www.isonokami.jp/about/c4_2.html

泰□四年(□□)月十六日丙午正陽造百練釦七支刀□辟百兵供供侯王□□□□作



韓国側は文中の「造百練釦七支刀」という部分を「鉄の塊を数千重打って作った古代鍛接方式」としていますが、実際にはこれは「百度鍛えたる鋼の七支刀」という意味であって主語は七支刀の部分です。



韓国側は「鍛える」という部分の主語から七支刀を抜く事で、さも七支刀がたたら吹きによって作成された高炭素鋼を使い、日本刀などで使われる折り返し鍛造を行って作成されたことにしてしまっているのです。


しかし実際には、七支刀は既に何度もどのように作成されたのかの復元実験が行われており、結論としては「当時の鍛造技術での作成は不可能、七支刀は鋳造である」という結論に至っています。


参考記事
国宝「七支刀」の復元実験 東京都立産業技術研究センター (pdf注意)


そもそももっと根本的な問題として、韓国側はさも七支刀が朝鮮オリジナルであるかのように主張していますが、元々これは中国の古代王朝である東晋で魔よけに使われていた刀剣であり、日本にあるものは百済東晋から輸入したものを日本に献上したか、或いは百済で作成されたレプリカであるとする説が主流です。


この時点で、動機も根拠も何もかもが「おかしい」事が解ります。


2:実際の「たたら吹き」「日本刀」の歴史


次に実際のたたら吹きや日本刀の歴史と、韓国側の起源主張の比較を行います。


そこでまず注目すべきは、以前も何度か言及したことがありますが中国の王朝の一つである北宋の政治家であり学者でもあった欧陽脩(1007~1072年)の記録、「日本刀歌」の記述があります。


この中で彼は「日本刀(太刀)は非常に美しく、商人たちがこぞって日本へと買い付けに行っている」との記述があり、11世紀の時点で日本刀のような形状の刀が日本にしかなく、その作成技術が他には無かったという事がわかるのです。


もし同じ物が朝鮮半島にもあったのならば、欧陽脩が日本刀歌を書き記した晩年は、高麗が宋との交易で莫大な利益を得ていた時期でもあるのですから、商人たちがわざわざ危険をおかしてまで海を越えて日本に刀を買い付けに行く必然性が無いのです。


更に、日本刀が現在知られるような形状になるまでの歴史もしっかりと物証が残っており、6世紀頃に登場した蕨手刀から始まり、それが毛抜型蕨手刀へと進化し、そこから毛抜型太刀(衛府太刀)となり、太刀から刺刃を経て14世紀頃に打刀と進化して現在に至っています。




蕨手刀




毛抜型蕨手刀




毛抜型太刀




金地螺鈿毛抜形太刀(衛府太刀)




三日月宗近(太刀)




朱塗打刀拵(打刀)


当然ですがこの進化発展の過程に一切朝鮮は関わっていません。


そのうえ、韓国側はそもそもこうした歴史をまるで知らないらしく、彼らの主張通りならば打刀が新羅百済に存在していた事になってしまうのです。
(日本刀の起源主張をする韓国人は、皆打刀を朝鮮伝統の刀としています。)


その進化発展の過程が明確にわかっており、14世紀に誕生した打刀がなぜその遥か昔の朝鮮半島に存在するのか、しかもその前段階の「太刀」や「毛抜型太刀」などがなぜ一切存在しないのか、最初に引用した記事で登場したハン・チョンウク(伝統刀剣匠人)という人物は、なぜ映像中で打刀を伝統刀剣として説明しているのか、全てが矛盾だらけなのです。


またもう一つの矛盾として、たたら吹きに関するものがあります。
このたたら吹きなのですが、古代から同じ製法がそのまま受け継がれてきたわけではなく、大きく分けて3段階の進化が日本国内で発生しており、その過程でできたのが高炭素鋼(玉鋼)なのです。


まず最初は初期のものである自然送風を利用した弥生時代の方式、次に鞴(ふいご)を使用した飛鳥時代頃から平安時代初期に誕生した方式、そして最後に屋内で作成されるようになり作成時間も短くなった江戸時代の方式です。




江戸時代のたたら吹きの仕組み


日本刀などに使われるいわゆる玉鋼と呼ばれる高炭素鋼は、この進化発展の過程で作成されるようになったものであり、つまりたたら吹きの形式だから高炭素鋼が作成できたというわけではないのです。


あくまで砂鉄を精錬する製鉄法が日本に伝わり、その後様々な試行錯誤や効率化の工夫が行われる中で作成されるようになったのが玉鋼なのであって、仮に朝鮮半島経由で砂鉄精錬法が伝わっていたとしても、それが高炭素鋼が朝鮮半島でも作成されていたという証拠にはならないのです。


ましてや、最初に挙げた記事での根拠は七支刀に書かれた文章を曲解し、それをたたら吹きと高炭素鋼作成、そして折り返し鍛造などの技術が朝鮮半島にあったとしているのですから、これは当然根拠として成り立っていません。


これら根拠から、当然最初の記事の「私たちの伝統技術ですが、日帝強占期に命脈が切られました」という内容がそもそもあり得ない事になります。
彼らの主張は時系列も因果関係も全てがチグハグなのです。


以前から書いているように、彼らの歴史観では文化には序列があり、起源が最も偉く優れそこから伝わったものは全て劣化コピーであるという発想があり、文化が進化発展して洗練されていくとの考えが無いため、「古代から完成品がそこにあった」という発想になっているのでしょう。


ちなみに余談となりますが、砂鉄を精錬して鉄を取り出す技術そのものはインドを由来としており、また朝鮮半島を通じてこの技術が日本に入ってきたとする説は確定ではなく、他に東南アジアルート、中国ルート、シベリアルートなどがありどれが正しいのかは現在確定していません。


3:歪な日韓友好


今回書いたように、彼らは「和包丁が世界的に評価されている」という事を動機にして「元々朝鮮の伝統文化だったが日本の文化抹殺政策で失われてしまった」という、いつものパターンの起源主張を行っており、今回もそれを国際社会に広めようとしています。


わかり難いですが、ようするに今回の事例は起源主張を口実に和包丁の国際的評価に便乗し、自分達の包丁やその他刃物を世界に売り込もうという動きであり、恐らく韓食の世界化という韓国政府の方針とリンクしたものです。


そして最初にも書いたように、今回の事例ではそこに韓国の国立大学や公共放送が深く関わっているのです。


ここで皆さんに想像してもらいたいのは、もし日本の有名国立大学が税金を使って歴史を捻じ曲げ他国の文化の起源を主張し、しかもそれをNHKと一緒になって世界中に広め商売をしようとしたら、皆さんはどのような反応をするかという事です。


当然のことですが大規模な抗議活動が発生するでしょう。


韓国が今回行おうとしているのはそのレベルの事なのですが、韓国内でそのような抗議活動は一切発生していません。


これはつまり、韓国内ではこの起源主張が広く受け入れられており、疑問に感じるような人は目立たないくらい少数派であるという事です。


日韓友好を訴える人々は、今回のような韓国起源説の問題提起をすると、「一部の人がやっているだけだ」「一部の事例を全体に当てはめるな」と、批判している側を黙らせようとします、しかし実際には今回の事例は明らかに一部の事例ではありません。


しかし日韓友好を訴える人々は、日韓の間でこのような問題が起きると、問題提起や批判をする側を攻撃したり黙らせたりするばかりで、決して韓国側の行いを批判したりやめさせようとしたりしないのです。


日韓友好を訴える人々にとっては、「韓国側に都合の悪い事」を指摘する人間は皆、日韓友好を妨げる差別主義者との認識なのでしょう。


これが現在の日韓の現状です。
おかしいものをおかしいと指摘することすら許されない、指摘すればそれは「過剰反応」であり差別主義者とされてしまう、そんな「歪」な関係が友好とされており、その状態を肯定する人々が日韓関係を主導しているのです。


しかも今回の起源主張の事例でもそうですが、ただ起源主張をするだけではなく「オリジナルの文化を日本に奪われた」という風評被害がセットになっているにも関わらずです。


当然の事ですが、こんな事をしていれば韓国への悪感情はどんどん大きくなっていきます。
要するに日韓友好を訴える人々のこうした歪な関係を肯定する態度が、更なる嫌韓を作り出す原因となっている背景もあるのです。


彼らは間違いなく現在の日韓関係悪化の原因の一つです。




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以下は当ブロマガのお勧め記事マイリストです、もしよかったらこちらもどうぞ。












(※1)

百済‘七支刀・環頭大刀’伝統技術で復元
KBSニュース(韓国語)  2012.03.19
http://news.kbs.co.kr/culture/2012/03/19/2452300.html

<アンカーコメント>七支刀と環頭大刀、同じ百済の刀が伝統そのままの技術で復元されました。私たちの先祖の優れた鉄鋼と武器製作技術を見る契機になっています。ヤン・ミノ記者が報道します。

<リポート>韓日古代史の秘密をうちに秘めた七支刀は製作技法もなぞでした。刀身に「百回鍛えた鉄で作った」と彫られていますが、このような鋳造法では七分岐の枝形が完全にできないからです。忠南(チュンナム)百済歴史館が伝統製鉄専門家と金属工芸専門家の考証を通じて古代の製作技法で七支刀の姿を原形そのまま再現しました。

<インタビュー>イ・ヘムン(学芸研究チーム長/忠南百済歴史文化館):「百済が持つ製鉄技術。当時の最先端ハイテク技術を今日また復元したことに大きな意義があります。」

武寧王陵から出土した環頭大刀と一緒に百済古墳の公州水村里と天安龍院里の環頭大刀もやはり伝統技法で復元されました。刃の厚さは3ミリに過ぎませんが鉄を15度たたんでたたいて3万2千重ねて作りました。原料の鉄は松炭で千五百度まで加熱した伝統'百済法'を利用して海辺砂の砂鉄から作りました。

<インタビュー>ミョン・ワンホ(忠南百済歴史文化館長):「日本にこのような優秀な技術が伝播したことも今回の契機を通じて立証する、また再確認する契機になったと思います。」

日帝強制占領期に命脈が絶たれて幻になった百済の武器製作技術が子孫の指先で復活しています。