日韓問題(初心者向け)

日韓問題について、初心者でもわかりやすい解説と、日韓問題とマスコミ問題の動画のテキスト版を投稿しています。

【変な生き物】キングギドラシリス

大変お待たせしました、変な生き物動画第15回、今回は「キングギドラシリス」について扱っていきます。


本日の投稿動画
www.nicovideo.jp

youtu.be


お品書き

環形動物について

キングギドラシリス

・なぜあんな形?

※以下は動画のテキスト版です





レイム マリサ 大口
みなさま、あけましておめでとうございます。


大口
さて、今回は変な生き物動画第15回、予告通り「キングギドラシリス」について扱っていきます。


レイム
たしか、前回の動画で「これは特殊だから別に動画にする」と言っていた件よね。


大口
そうそう、キングギドラシリス含むシリス科は、生き物としてかなり特殊だから、別に動画にする必要があったんですよ。


マリサ
なあうp主、これネーミング大丈夫なのか?
東宝に怒られたりはしないのか?


大口
別に商業利用しているわけじゃないし、大丈夫なんじゃないかな。
他にも動物そのものではないけど「ソニック・ヘッジホッグ遺伝子」とか「ピカチュリン」という名前のついたタンパク質とかあるし。


大口
というか、アメリカでは国内で新種が見つかるたびに大統領の名前とかつけてるし。
まあ、ポケモン遺伝子みたいに「がんを誘発する遺伝子」でイメージが悪いとしてクレームがついて、名前を変更した事例もあるけど、去年はテネシー州で発見された新種のヤスデテイラー・スウィフトとかつけてるし。


マリサ
アメリカは自由の国過ぎるんだぜ。


レイム
ま、まあとりあえずクレームが来ない限りは問題なさそうって事ね。


大口
それじゃあそろそろ本編へいきます。


環形動物について


大口
では、まず前回あまり説明できなかった、ゴカイを含む環形動物についてなのだけど、以前も説明したように、あまりにも種類が多すぎて生活環境も性質も様々で、全部を総括なんて無理なんですよ。


マリサ
じゃあ何を説明するんだ?


大口
なので、大雑把に「環形動物はこんな生き物」って事を紹介するにとどめるよ。


大口
で、まずは環形動物とは何かについてなのだけど、以前も紹介した「環形動物門の高次系統に関する概説」によると、1990年代頃までは環形動物はムカデなどの節足動物と近縁と考えられていたらしいのね。


環形動物門の高次系統に関する概説
新潟大学
https://www.jstage.jst.go.jp/article/edaphologia/109/0/109_9/_pdf/-char/en

(一部抜粋)
環形動物と近縁な分類群

環形動物 と 近縁 な 分類群 に つ い て は, 冠輪動物 Lo-photrochozoa の 系統関係 に 関 す る 最近 の 総説(Bleidorn,2019) に基づいて解説する. 環形動物は体が細長く, 節に分かれるため,直感的にはムカデ類 chilopods などに近縁な分類群と誤解されるかもしれない. 実際に, かつて環形動物門は, 体節性やはしご形神経系といった特徴を共有する節足動物門 Arthropoda と近縁であると考えられていた(Eernisse et al., 1992 参照). しかし, 現在では分子系統解析や卵割の特徴から,節足動物門は脱皮動物 Ec-dysozoa に, 環形動物門は軟体動物門 Mollusca や扁形動物門 Platyhelminthes などとともに冠輪動物に含まれるとされている(Halanych, 2016; Bleidorn, 2019).この分類体系は広く認識されており,無脊椎動物に関する教科書にも採用されている(e.g., Brusca et al., 2016).さらに詳しく見てみると,これまで環形動物門は軟体動物門や紐形動物門 Nemertea と近縁であるという研究結果が得られていたが,最近では Parenchymia(紐形動物門と扁形動物門からなる単系統群)と姉妹群を形成することが示唆されている
(Marlètaz et al., 2019)(図 1A)

大口
でも遺伝子解析の技術が進み、色々調べていった結果わかったのは、関係動物は冠輪動物と近縁って事だったのね。


レイム
あまり聞かない名前だけど、冠輪動物って?


大口
冠輪動物には大きく分けて3種類あって、一つは今回紹介する環形動物、他に軟体動物、つまりイカやタコ、貝、ウミウシ、ナメクジなんかが含まれているね。


大口
あともう一つが扁形動物と呼ばれる分類で、KGBことコウガイビルさんやプラナリア、サナダムシなどが含まれているね。


マリサ
ゴカイってイカやタコの親戚なのか。


大口
すっごく遠縁のね。
なにせ分岐したのはカンブリア紀(約5億4200万年前から約4億8830万年前)みたいだし。


レイム
ああ、そういえば前回の動画でカンブリア紀環形動物の化石を紹介していたわね。


大口
ちなみに、同じく環形動物で身近な存在というと、ミミズとヒルがいるね。
ただミミズやヒル環形動物門環帯類という分類で、多毛類の「ゴカイ」とはちょっと遠いみたいだけどね。


キングギドラシリス


マリサ
やっと本題か。


大口
それで、本題のキングギドラシリスなんだけど、これは環形動物ゴカイ亜目シリス科に分類される種で、実は釣りなどで使われるいわゆる「ゴカイ」とは、他の環形動物よりもかなり「近い」種なんだよ。




レイム
まあ、この分岐?している部分を除けばいわゆる環形動物ではあるわよね。
というか、シリス科ってみんなこんな姿なの?


大口
そういうわけではなくて、現在確認されているのは3種、こちらの100年くらい前にアジア地域で発見され、以後発見がなかったのだけど、2005年に相模湾で再発見されたカラクサシリス。


マリサ
ちょっとまて、なんだこの絡まりすぎた毛糸みたいな物体は。

ラクサシリス※現在展示は行っておりません
美ら海生き物図鑑
https://churaumi.okinawa/fishbook/1665392272/

(一部抜粋)
水深350m付近に生息する「タカツキカイメン」の内部を棲みかとする、ゴカイの一種。
頭部は一つであるが、尾部がどんどんと枝分かれしていき、唐草模様のような見た目となることから和名が付けられた。
世界中には2万種を超えるゴカイ類が知られるが、体が枝分かれする種は、本種を含め3種のみが報告されている。
本種の、尾部に向かって幾度も体が枝分かれしていく体制は、宿主であるカイメンの体内に体をめぐらせ、効率よく栄養を吸収し、繁殖を行うための適応であると考えられている。
本種に近縁な「キングギドラシリス」という種では、尾部に開口した肛門に繋がる消化管内に多数の繊毛が生えていることが確認されており、この多数の尾部から海水を取り込むことで効率よく栄養を吸収している可能性が示唆されている。
また、枝分かれした体からは、生殖巣が密集した繁殖用の個体が出芽し、成長すると親から離れて遊泳し、放精放卵を行うことで有性生殖を行う。





【カラクサシリスは何者だ!?】
美ら海だより 2022年11月15日
https://churaumi.okinawa/blog/1668410089/

体が無数に枝分かれする希少ゴカイ 沖縄美ら海水族館が世界初展示
朝日新聞 2022年11月17日
https://www.asahi.com/articles/ASQCJ62TDQCJDIFI00B.html


大口
画像にもあるように、これで一個体で、深海性のカイメンの中に住みついているそうなのね。
後は、近年になってオーストラリアのダーウィン近海で発見された「ラミシリス・マルチカウダタ」という種がいるね。



大口
そしてもう一つが今回紹介するキングギドラシリスで、2022年に佐渡南部の宿根木という場所で、東京大学とドイツ・ゲッティンゲン大学を中心とした国際研究チームが発見したそうなのね。

体が分岐する環形動物の新種発見:佐渡島キングギドラシリス
東京大学理学部 2022.01.20
https://www.s.u-tokyo.ac.jp/ja/press/2022/7691/

(一部抜粋)
発表のポイント

佐渡島近海における潜水調査により、体が分岐する新種の環形動物(注1) を発見し、キングギドラシリス(注2) と命名した。
左右相称の動物において、体幹部が分岐する体制をもつものは極めて稀である。本種の体は尾部に向かって幾度も分岐し、宿主となるカイメン(注3) の中で縦横無尽に張りめぐらせている。
進化学的にも発生学的にも非常に興味深いキングギドラシリスの発見は、左右相称動物の形態の進化過程を探る手がかりともなりうる。


発表概要

東京大学大学院理学系研究科 附属臨海実験所の三浦教授、ドイツ・ゲッティンゲン大学のAguado教授らを中心とする国際研究チームは、佐渡島における潜水調査によって、カイメンの中に共生し、体幹部が分岐する特異な体制を持つ環形動物を採集した。

外部形態、内部組織、生態の観察、および分子系統解析により、この環形動物はRamisyllis属の新種であることが判明し、体幹部が分岐することから、怪獣のキングギドラに因んで、R. kingghidorahi(キングギドラシリス)として記載した。

尾部に向かって幾度も分岐していく体制は、宿主であるカイメンの体内に体をめぐらせ、効率良く栄養を吸収し、繁殖を行うための適応であると考えられる。日本近海には、これまでの生物学の常識を逸脱する生物が未だに存在することがうかがわれ、今後の海洋生物学の進展に大きく寄与する可能性がある。

大口
で、体がカラクサシリスより短いため、分岐していない頭部や胴体部分のみをカイメン内部に突っ込み、分岐部分は体表に張り付いているそうな。

そうして海面から栄養を得ているようなのだけど、残り2種が深海で発見されているのに対して、キングギドラシリスだけは水深数十メートルの比較的「浅瀬」で発見されているそうな。


大口
で、よく分からないのが、東京大学とか新潟大学のページを読むと、「カイメンの中に共生し」となっているけど、共生って双方に利得がある場合に使われる言葉だけど、カイメン側にどんな利得があるのかはちょっとわからなかったよ。


レイム
というか、カイメンの体内に頭が入り込んでいるって事は、カイメンから栄養を奪っているって事?


大口
カイメンって内臓をもっていなくて、多孔質の体に海水を取り込んで、浮遊物をこしとって吸収する濾過摂食を行っているから、その「おこぼれ」をもらっているって事じゃないかな。
というか、カイメンって大半が体内で微生物と共生していて、中には体積の4割が微生物なんて事例もあるから、カイメンにはそれで何かしらの利益があるんだろうね。


マリサ
まあ、とりあえす研究で「共生」としているのなら、何か利益はあるって事だな。


大口
で、最も重要なのがこの体の分岐で、カイメンなどの含まれる海綿動物や、クラゲなどの含まれる刺胞動物以外は、「左右対称動物」と呼ばれていて、体の真ん中を基準に左右対称に育って行くものなのだけど、見ての通りキングギドラシリスなどのシリス科3種はその前提が成り立っていないんですよ。


レイム
一応この種も左右対称動物よね?


マリサ
そこが謎ってことか?


なぜあんな形?


大口
貴重な研究対象ではあるのだけど、実は体が分岐する理由自体はわかっているんですよ。


レイム
というと?


大口
これには、130種以上いるシリス科のいくつかの種でみられる生態が関わっていて、繁殖期になるとこれらの種はストロナイゼーションといって、体の後端部分の剛毛や筋肉、生殖腺が発達、更に脳と目が新たに出来上がり、本体から切り離される「ストロン」と呼ばれる遊泳個体ができあがり、それが繁殖活動を行うんですよ。

環形動物門シリス科で見られる特殊な生殖様式:ストロナイゼーション
うみうし通信/水産無脊椎動物研究所 2021.3
https://www.rimi.or.jp/wp-content/uploads/2022/04/tsushin110_2-4.pdf

(一部抜粋)
シリスの特殊な生殖様式:ストロナイゼーション

一方でゴカイ科と近縁なシリス科の一部の種では,「ストロナイゼーション」とよばれる特殊な生殖様式が見られる.前述のエピガミーでは全身が遊泳に特化した形態へと変化するのに
対して,ストロナイゼーションでは個体の一部のみが変化する.シリスは繁殖期になると,体の後端側のみで剛毛や筋肉そして生殖腺を発達させる.さらに,遊泳のための組織が発達した領域の前端には,新たな目などを持つ頭ができるのだ.このように変化した部位は,「ストロン」とよばれる遊泳繁殖個体として,やがて体から切り離される(図1,図2).繁殖に特化し
遊泳を行うストロンには雌雄の別があるため,卵または精子を放出したのちに死んでしまう.一方で,ストロンを切り離した本体は,尾部を再生し再びストロンの形成と放出を行うことで,
遊泳に伴う被食リスクを避けながら,繁殖を繰り返すことができる.このように,本体は生涯を通じ複数回ストロンを作るが,同じ個体が出すストロンの雌雄は変わりうることが知られている.

しかしながら,ある種のシリス(Typosyllis prolifera)では,自然集団においてその性比は季節・地域に関わらず 1 : 1 に保たれているという報告がある(Franke, 1986).このことから,
本体は何らかの仕組みによってストロンの性を変化させ,集団内の性比を調節していることが予想される.そこで,筆者らはその仕組みを解明すべく,自然集団の生態調査および飼育実験によって,性決定要因の解析を試みている.ストロンは肥大した眼,触角,発達した筋肉系,伸長した剛毛といった,遊泳と繁殖に特化した本体とは異なる形態を持つ.また,ストロンは異性のストロンの存在をきっかけとして激しく遊泳し放精・放卵を行うため(Miura et al., 2019),外的環境に応じて自らの行動を制御していると言える.ストロンが作られる過程では,新たな目や触角などストロンの頭が本体の体幹部の途中に形成され,この「新たな頭」がストロンの行動を制御する中枢となっていると考えられる.私たちヒトや昆虫など多くの動物は左右相称動物とよばれ,左右がほぼ対称であると同時に「前後」という方向性を持った体のつくりをしており,前方にある頭部は胚発生の過程で形成されるのが普通である.シリスを含む環形動物も左右相称動物だが,体の後方に,しかも成長の途中で「新たな頭」が形成されることは,発生学の常識からすると驚異的な現象であると言える.では,ストロンの「新たな頭」はどのように生じるのだろうか? その謎に迫るべく,筆者らは分子発生学的な実験を進めている.

マリサ
子供を産むんじゃなくて繁殖用の分身を産むって事か?


大口
体の末端部分が分離するだけだから「産む」というより分裂かな。


レイム
ああそうか、本体は文字通りカイメンに埋まっていて移動できないから、より確実に子孫を残すため、異性の近くまで行く仕組みが必要なのね。


大口
「水産無脊椎動物研究所」のページに図があったので、どんな感じになるかはこれでイメージしてもらうといいよ。



マリサ
ちょっと疑問なんだが、さっきシリス科の一部の種って言ったが、この「ストロン」ができる種はみんなカイメンの内部で生活しているのか?


大口
それはちょっとわからなかったけど、体が分岐しない種でもこんな形をしていて、泳いだり歩いたりするのに適していなくて、しがみつくことしかできないっぽいんだよね。


大口
ストロンのみ剛毛が遊泳できるよう発達するみたいだし、カイメンではなくても、何かしらに共生や寄生をしていたり、岩などに張り付いたりしているパターンが殆どじゃないかな。


東大、ミドリシリスの「ストロナイゼーション」という繁殖様式における発生過程と遺伝子発現を解明
日経新聞 2023年11月22日
https://www.nikkei.com/article/DGXZRSP664722_Q3A121C2000000/

レイム
ああ、そうか。
だからキングギドラシリスとかは、体の末端部分を「増やす」ことで、能動的に動けるストロンの確実性をより高めたって事ね。


大口
そう、他のシリス科は繁殖期に一度に一回のストロンしか放てないからね。


マリサ
一見すると奇妙極まりないキングギドラシリスだが、そういう形をしている「理由」はちゃんとあるって事か。


大口
そういう事。
そんなわけで今回の本編はここで終わります。


レイム マリサ 大口
ご視聴ありがとうございました。


大口
おつかれ~



マリサ
というか、今回は意外と早く投稿したな。


大口
まあ、一応本来の予定ではもう一本とオマケ一本を予定していたのだけど、そっちは諸事情で次回持ち越しになったけどね。


レイム
オマケって?


大口
次回予定している内容って、微妙にオカルトネタと関係していて、それを本編で扱うのもどうかと考えたので、別にオマケで紹介しようかなと。


マリサ
宇宙生物か?未確認生物か?


大口
その生物ってまだはっきりと解明していない謎があって、そこに意味も解らず昔のオカルト関係者が食いついた結果話が明後日の方向に進んで、ネタ元の生物そっちのけで有名オカルトネタにまで発展したって事例だから。
ここまで話せば、ピンとくる人もいるんじゃないかな。


レイム
マリサが喜びそうなネタね。


マリサ
わくわくだぜ。


大口
そんなわけで今回はここで終わります。


レイム マリサ 大口
またいつか~



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