日韓問題(初心者向け)

日韓問題について、初心者でもわかりやすい解説と、日韓問題とマスコミ問題の動画のテキスト版を投稿しています。

日韓通貨スワップ協定再開はありえるのか?


さて、本日は数日前から話題に挙がっている「日韓通貨スワップ協定再開議論」について、実際のところ再開はありえるのかありえないのか、私の考えを書いて行きます。


要約


結論を書くと「現状での再開はない」と言い切れる。
現在の日韓双方の主張を見ると、2012年~2015年までの期間で段階的に終了していったスワップ協定のやり取りと全く同じ構図であり、日本側は「韓国からの要請があれば」とし、韓国側は「日本からの要請があれば」とするスタンスを崩していない。


そのうえで、通貨スワップは名目上は金融危機に際して相互に通貨を融通し合うシステムではあるが、日本が韓国と通貨スワップを結ぶメリットが皆無であり、当然「日本からの要請で韓国とスワップ協定を結ぶ」という必然性がない。


したがって、国際常識としては韓国が日本に対してスワップ協定を結ぶよう要請するという形になるが、対等の概念が希薄であり、上下関係が全ての韓国にとって、日本にスワップをお願いするというのは、自身の劣等性を認め日本より序列が下であると認めるのと同じ事であることから、決して受け入れることができない。


つまり、日本側が「韓国からの要請があれば」とのスタンスを取り続ける限り、日韓スワップ協定再開はまずない。


※一部を除き、引用記事本文は文末にまとめて掲載しています。
※本文中のリンクは、引用の元記事、或いはウェブアーカイブウェブ魚拓(別サイト)へのリンクです。

1:韓国は通貨スワップ再開を望んでいる


まずは日本でも話題となった以下の記事から


韓国経済副首相候補「日本との通貨スワップ再開など考慮」
聯合ニュース 2016/01/11
http://japanese.yonhapnews.co.kr/economy/2016/01/11/0500000000AJP20160111002600882.HTML

【世宗聯合ニュース】韓国の次期経済副首相兼企画財政部長官に指名された柳一鎬(ユ・イルホ)氏は11日、国会で開かれた人事聴聞会で「日本との通貨交換(スワップ)再開など、通貨スワップの拡大を考慮することがきる」との考えを示した。

 米国の利上げなどで韓国も利上げの圧力が強まるのではないかとの質問に関連して答えた。

 金利政策に関しては「独立的な決定権が韓国銀行(中央銀行)の金融通貨委員会にあり、これが損なわれてはならない」としながらも、「状況認識を共有する機会は増やすべきだ」と述べた。


上記記事にも書かれている通り、最近韓国政府の要人から事実上日本との通貨スワップを再開したいとの趣旨の発言が出てきています。


過去韓国は、日本との通貨スワップ終了に関して、「韓国には十分な外貨準備があるので問題がない」としてきたのですが、実際には韓国の外貨準備は足りておらず、また現在韓国が他国と行っている通貨スワップは、通貨危機時にはまるで役に立たない事が目に見えており、韓国経済の低迷とも相まって、なんとか日本に助けて欲しいという状況が背景にあります。


(※1)


以前より韓国の財界では日韓通貨スワップ協定再開を望む声がありましたが、ここへ来て韓国の経済状態がより悪化し、経済危機が現実味を増してきたことから、政府内でも焦りが見えてきたことが、最初の記事の発言へと繋がったのでしょう。


(※2)


2:「日本にスワップ再開を要請する」ができない韓国


上記のような背景から、韓国で政府レベルでの「通貨スワップ再開論」が出てきたのですが、実はその数日後の14日には同じ人物から、「今すぐに韓日で通貨スワップを推進しなければならない状況ではない」との発言や、「日本が要請すれば反対する理由はない」という、消極的な発言が出てきています。

(※3)


しかし、そもそも日本が韓国からウォンやドルを融通してもらわないといけないという状況がまずありえない前提なので、日本から韓国に通貨スワップを要請するという状況はあり得ず、韓国政府のこの発言は事実上「通貨スワップは再開しない」と言っているも同じです。


また以前より日本との通貨スワップの必要性を訴えていた韓国の中央日報でも、日本との通貨スワップを再開するべきとの趣旨の記事で、あたかも日本との通貨スワップはさほど重要ではないとも取れる内容を書いており、言動がかなりチグハグです。


(※4 韓日通貨スワップから結ぼう(1)(2) 中央日報 2016年01月11日)


韓国がこうした矛盾を繰り返す背景には、日本政府が先日行った公式見解に理由があります。
それは「韓国からの公式の要請があれば検討する」「非公式の再開打診には応じない」という内容です。


(※5 日韓、通貨交換協定を再開へ 政府、韓国の正式要請があれば 中国景気の後退リスクに対応 産経新聞 2016.1.14 1/2ページ 2/2ページ


韓国としては、「韓国が日本に頼み込んでスワップを再開した」という状態にしたくないので、先ほど引用したようなチグハグな返答を即座に行い、自らスワップ再開の機会を閉ざしたわけです。


恐らく韓国は、12日に開かれた「韓日ハイレベル経済協議」の場で日本へ通貨スワップ再開を依頼し、表向きの公式発表は日本から依頼してきたという事にして欲しいと話を持ち出したのでしょう。


韓国経済副首相の発言が11日、日韓ハイレベル経済協議が12日、日本政府によるスワップ再開に関する公式発表が13日、韓国経済副首相による実質的に前言を翻す発言が14日なので、時系列的にも発言の順序に整合性があります。


3:序列意識から再開を要請できない韓国


ではなぜ韓国側は、スワップが必要なのに自らそのチャンスを失うような言動をしてしまったのかなのですが、そこには以前から書いている韓国独特の序列意識が関係してきます。


韓国社会は、上下関係が社会において絶対的な意味を持ち、また対等の概念が非常に希薄であり、何をするにしても「どちらが上か下か」が重要視されます。


そしてこれも以前書きましたが、彼らの社会は契約の概念の代わりに序列が発達した社会であるので、韓国において契約というのは上位の存在の要求が一方的に優位に成り立つ、序列を決定する作業です。


そのうえで、韓国人にとって「相手に助けをお願いする」という行為は、自らの劣等性を認めてしまう行為であるので、日本に対し韓国からスワップ再開を依頼すれば、韓国的価値観では日本が上位で韓国が下位という序列になってしまいます。


そしてこの事は、過去日韓スワップ協定が延長されずに終了したときの、韓国側の態度からもよく解ります。


たとえば、2014年に日韓通貨スワップを今後も延長すべきかどうかが議論になったときにも、日本政府は「韓国が望めば通貨スワップ検討する」と公式コメントを出しているのですが、それに対して韓国政府は即座に「要請があれば延長するとの表現は適切ではない」と不快感を表明しており、韓国が「日本から依頼してきた」という形にこだわっていた事が解ります。


(※6 日本財務省局長「韓国が望めば通貨スワップ検討する」 聯合ニュース 2014/02/18


また2012年には、ハンギョレ新聞が日本政府の方針である「韓国から依頼があれば延長する」という方針を「姑息」と批判し記事にしていますし、2015年のソウル新聞では延長しなかった事に対して、日本へ何らかの報復をすべきとの記事が掲載されています。


(※7)


また上記ほど過激ではないですが、東亜日報中央日報は2015年2月に日韓の通貨スワップの全てが終了したときに、「両国間の葛藤が招いた結果」とか「外交対立が引き起こした事」と、双方の意地の張り合いであるとの記事を掲載しています。


(※8)
「葛藤の溝」深くなった韓日、通貨スワップ終了 中央日報 2015年02月17日
[社説]外交対立が招いた韓日スワップ打ち切り 東亜日報 FEBRUARY 18, 2015


そしてどの記事でも共通しているのが、「日本との通貨スワップはさして重要ではない」「終了しても問題ない」というスタンスである事です。
問題がないのならば、なぜ姑息と批判したり報復を考えたり、「どっちもどっちの外交対立の結果だ」と大騒ぎするのか、ここでもチグハグさが目立ちます。


このチグハグで矛盾した態度も、「どちらが上か下か」が全ての序列社会としての韓国の価値観を考慮すると、矛盾もチグハグさもなくなります。


韓国人的価値観では、韓国は日本よりも道徳的に優越した存在ですから、序列が日本より上位であり、韓国が困ったときには下位の日本が率先して「助けなければならない」という考えが一般的です。


つまり通貨スワップという「契約」においては、上位の韓国に対して下位の日本が自ら率先して韓国を助ける提案をしてきたという構図にすることで序列を明確にしたいわけです。


しかし日本側から「韓国から依頼があれば」と先に言われてしまうと、「韓国が日本に助けを求めてきた」という構図になってしまい、彼らの価値観では「上位の日本が韓国を助けてやる」となり、韓国のほうが下位の存在になってしまいます。


つまり、日本側の「韓国からの依頼があれば再開する」という提案は、国際常識や日本的価値観では特に何の問題もない当たり前の提案なのですが、序列が全ての韓国社会では「韓国は日本よりも下位である」と日本が言っているも同じなのです。


そして、韓国には「上位のものは下位のものに何をしても許される」という価値観があり、尚且つ殆どの韓国人は韓国的価値観は世界共通の価値観と考えているので、日本の提案が悪意あるものにしか見えないわけです。


結果、「スワップがなくとも問題がない」としながら、ハンギョレのように「姑息」と表現したり、ソウル新聞のように日本への報復を考えたり、東亜日報中央日報のように「どっちもどっちの対立」との表現になるわけです。


では、日本が韓国側の提案を受け入れ「日本からスワップを依頼してきた(事実上は日本が韓国を助けた)」という形にしたらどうなるでしょうか。
それも今回引用した記事にいくつか答えがあり、たとえば中央日報の記事(「葛藤の溝」深くなった韓日、通貨スワップ終了 中央日報 2015年02月17日)にあるように、日本が韓国を助けた事例が、逆に「日本は韓国を助けるどころか足を引っ張った」と非難されています。


これも同じで、韓国的価値観では上位の存在が安易に下位の存在に感謝してはいけないので、「日本が助けた」という事実はあってはならず、また他者の劣等性が自己の優越性や正しさの担保となる独自の価値観から、「日本が助けた」という韓国の劣等性を打ち消すために日本の劣等さが必要になり、日本が助けた事例が日本が足を引っ張った事例に摩り替わるわけです。


このように、序列が全ての韓国に対しては、助けても助けなくてもいずれにせよトラブルになるうえに、助けた事例が妨害した事例に摩り替わり、それを国際社会にアピールされるわけですから、国際常識や日本人的価値観、日本の国益の観点では「助けない方がマシ」となります。


そのうえで、現状日本政府は「韓国から依頼があれば再開する」と公式見解を発表している事から、日本政府がこのスタンスを崩さない限りは、「スワップ再開はあり得ない」というわけです。



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(※1)
韓国の外貨準備高、危機対応には797億ドル不足=韓国経済研究院
朝鮮日報 2016/01/12
http://www.chosunonline.com/site/data/html_dir/2016/01/12/2016011200774.html

韓国政府が過去最高の外貨準備高を根拠に通貨危機再来の可能性を否定する中、韓国経済研究院は11日、現在の韓国の外貨準備水準では危機状況への対応に十分とは言えないとの分析を明らかにした。

 同院は「韓国経済の危機可能性評価と示唆点」と題する報告書で、2014年現在の韓国の外貨準備高(3636億ドル)では、通貨危機発生時に必要な外貨準備水準に797億ドル足りないと分析した。

 報告書は国際決済銀行(BIS)基準で、年間収入4分の1、短期対外債務、外国人による株式・債券投資の3分の1を合計した金額が危機時に必要な外貨準備高だと規定。それを当てはめると、韓国の外貨準備高は、現在より797億ドル多い4433億ドルなければならないことになる。同じ基準で比較すると、中国、タイ、ブラジルなどは十分な外貨準備高を確保している。

 国内総生産GDP)に占める外貨準備高の割合は韓国が26.1%で、台湾(80.5%)、中国(33.9%)、日本(27.1%)など周辺国を下回っていることが分かった。

 同院のキム・チャンベ研究委員は「外貨準備高などに基づき、格付け会社が最近、韓国の格付けを引き上げたが、1997年の通貨危機の際にも韓国の格付けは良好だった。実体経済の危機可能性が大きい状況で危機発生の可能性を排除できない」と述べた。

 同院の指摘について、企画財政部(省に相当)担当者は「海外から韓国の外貨準備高が不足しているの指摘を受けたことはない。外貨確保にもコストがかかる。外貨をむやみに積み上げることは難しい」と述べ、現在の外貨準備高が適正水準にあるとの認識を示した。

【社説】韓国政府はウォン急落・ドル資金流出を防ぐ対策急げ
朝鮮日報 2016/01/12
http://www.chosunonline.com/site/data/html_dir/2016/01/12/2016011200803.html
 11日の株式市場で、韓国総合株価指数(KOSPI)が1900の大台を割り込んだ。ウォンの対ドル相場も1ドル=1209ウォンまで下落し、ウォンは5年半ぶりの安値水準となっている。中国の上海市場が5%以上下落すると、台湾(1.34%安)、香港(2.76%安)などアジア株も下げ幅を拡大した。

 問題はかつて外資に「堅実だ」との評価を受けていた韓国の経済と金融市場が急速に信頼を失っているいることだ。韓国株式市場では11日も外国人投資家が1000億ウォン以上を売り越した。外国人による売越は12月2日以降、わずか1日を除き続いている。1カ月の外国人による売り越しは4兆ウォンを超え、昨年通年の売り越し規模(3兆5700億ウォン)を上回った。こうした「韓国売り」は世界的な金融危機直前(33日連続)、昨年8月の人民元切り下げ(29日連続)に匹敵するほど深刻だ。

 次期経済副首相に内定している柳一鎬(ユ・イルホ)氏は国会の人事聴聞会で、「中国の影響で当面韓国経済が大きな打撃を受けることはない」と述べた。韓国経済研究院は同日、危機が訪れれば、韓国の外貨準備高が750億ドル以上不足すると警告した。新たな経済運営チームはウォン急落や急激なドル資金流出を防ぐ対策をまず取るべきだ。


修復へ加速する韓日米の経済・安保同盟…「北朝鮮制裁・中国説得」議論
2016年01月13日13時38分
[ⓒ韓国経済新聞/中央日報日本語版]
http://japanese.joins.com/article/727/210727.html

(一部抜粋)
◆経済協力で加速する韓日

韓日はこの日3時間ほど行われた高位経済協議会で、韓国の日本産の水産物輸入規制と環太平洋経済連携協定(TPP)加入問題などについて意見交換した。昨年11月の韓日首脳会談から出た▼経済協力の活性化▼東アジア経済統合の協力▼気候変化などグローバルイシューの協力強化▼韓日高位級協議会の運営などに関した後続措置も議論した。ある参席者は「これまで政治・外交問題とは別に経済は相互協力するという政策基調を維持してきたが、昨年末の慰安婦交渉妥結をきっかけに相互協調的な雰囲気で対話が行き来した」と話した。

韓日通貨スワップの再開についての具体的な言及はなかった。しかし柳一鎬(ユ・イルホ)副首相兼企画財政部長官が11日の人事聴聞会で「日本との通貨スワップ拡大を考えてみる必要がある」と言及しただけに近く議論が本格化するという展望が出ている。政府関係者は「昨年2月には通貨スワップ延長が韓国側の『要請』によるものなのかどうかをめぐり両国が神経戦を行って協議が中断されたが、今こそ互いに取り上げて話せる条件が造成された」と話した。



(※2)
朴大統領の対国民談話、「安保-経済の同時危機...国民は立ち上がってほしい」
東亜日報 JANUARY 14, 2016
http://japanese.donga.com/srv/service.php3?biid=2016011417398

朴槿恵(パク・クンヘ)大統領は13日、国民への談話と記者会見で「経済」に34回も言及し、韓国経済が非常事態に置かれていることを強調した。しかし、朴大統領は「このように難しい状況でも肯定的な面もある」とし、危機を機会にする「肯定マインド」の必要性にも言及した。

朴大統領は、「米国が金利を引き上げ、中国経済も不安なため、対外条件が厳しいと誰もが考える」としつつも、「これを機会にできるということを常に考え、困難を切り開いて行かなければならない」と述べた。米国の金利引き上げは、経済成長の勢いが本軌道に入ったという意味であり、中国の現状も内需中心に経済の基調を切り替えたことによる「成長痛」だと強調した。

対外変数による危機を突破するカードとして、朴大統領は輸出を挙げた。朴大統領は、「昨年、数ヵ国と自由貿易協定(FTA)を締結した」とし、「韓流のような韓国の長所とうまく結びつけ、輸出の機会を作っていかなければならない」と話した。昨年は輸出不振で貿易規模1兆ドル達成に失敗したため、今年はこれを反面教師として多彩なマーケティング戦略による輸出拡大を持続的に推進するというのが政府の戦略だ。

様々な悪材のため政府目標である年3.1%の経済成長率の達成が難しいのではないかという指摘に対しては、「昨年下半期から内需回復の傾向が続いているという希望的な報道がある」とし、「国内外の様々な機関が今年の韓国の成長率を3.0~3.2%と見通している」と述べた。朴大統領は、「成長率が高くても雇用率が高くなければ国民が体感できない」とし、「雇用率を高めることに焦点を合わせ、国民が成果を体感できる一年にする」と意欲を示した。

家計負債に関する質問に朴大統領は、「全体の負債規模は増えたが、質的な構造は画期的に良くなった」とし、「(変動金利-長期据え置き式融資に代わって)固定金利-分割償還融資の割合を増やす努力をしていく」と説明した。チョンセ(一定の住宅保証金を預けて生活し、転出時に全額返還される賃貸制度)難への憂慮に対しては、「住宅市場が構造的な転換点に来ている。金利が上がることはないのに、誰がチョンセをするだろうか。不動産の認識が所有から居住に変わっており、企業型賃貸住宅、公共賃貸住宅、幸福住宅などを今年も大幅に拡充していく」と明らかにした。


【社説】韓国の失墜、新産業が出てこられないこの現実
2016年01月14日10時54分
[ⓒ韓国経済新聞/中央日報日本語版]
http://japanese.joins.com/article/773/210773.html

韓国の「経済追撃速度」が、世界最高の先進国である米国からも押されたという報道は衝撃的だ。「すばやい追撃者(fast follower)」の中で代表ランナーに選ばれていた韓国の成長動力が消えつつあるという警告だ。経済追撃速度は、一国家の1人あたりのGDP増加率と世界経済に占めるGDP割合増加率などの指標を世界100カ国を対象に比較・分析した指数だ。韓国が2014年の21位から2015年は26位に押し出される間に米国は43位から20位へと23ランクも跳ね上がった。それぞれ7・8位だった中国とインドは2・5位に躍進した。韓国が競争国はもちろん先進国にも押されて世界経済の落伍者になっている姿だ。

韓国の成長が止まっているという事実が明白になっている。新しい産業が出てこなくなっている。サムスン電子・現代(ヒョンデ)自動車のほかに新しい事業でうまくいっている企業を探し難い。その一方で、一時は世界1位を誇っていた造船などは大々的な構造調整を目前に置くほどに失墜している。この上に公共・労働・金融・教育など政府が主導するいわゆる4大改革は進展がない。労働改革は、労使政の体制が維持されるだのされないだのと暇な時間だけを過ごしている。柔軟な雇用は話にも出てこない。企業が生まれ、雇用が生まれるというのは遠い話だ。

それだけではない。反企業感情に立った同伴成長など政府の規制はますます増えて、大企業さえ新しい産業に進出することが難しくなっている。こうなっては世界的に熱い関心事であるドローン・電気自動車・産業用IoT(モノのインターネット)・バーチャルリアリティなどは米国・日本・ドイツなどの先進国にみな奪われている。その上、規制の宝刀は青年たちのベンチャー創業の意志もそいでしまっている。韓国経済新聞の報道によれば、ソウル大学の学生たちが創業して1年後に累積取引額300億ウォンを突破した中古車競売企業「ヘイディーラー」は、後になって出てきた自動車管理法のために営業を暫定中断している状態だ。オンラインの競売企業も一定規模の駐車場などを備えるよう規定した法のためだった。行政規制を呪ってみるものの政府からは何の音沙汰もない。

(※3)
日本との通貨スワップ 現時点で考慮せず=韓国経済副首相
聯合ニュース 2016/01/14
http://japanese.yonhapnews.co.kr/relation/2016/01/14/0400000000AJP20160114005200882.HTML

【世宗聯合ニュース】韓国の柳一鎬(ユ・イルホ)経済副首相兼企画財政部長官は14日、就任後最初の記者懇談会で、「今すぐに韓日で通貨スワップを推進しなければならない状況ではない」と述べた。

 柳氏は日本が要請すれば反対する理由はないとしながらも、「原則的にみてそれも可能という程度に理解してほしい」と話した。現時点で米国と中国のリスクが急激に変化する状況ではなく、韓国が先に要請する段階ではないとした。

 柳氏は11日の就任前の人事聴聞会で、日本との通貨スワップ協定再開など通貨スワップの拡大に前向きな姿勢を示していた。

 一方、韓国銀行(中央銀行)が14日、今年の韓国の国内総生産(GDP)成長率見通しを従来の3.2%から3.0%に下方修正したことに関連し、柳氏は「正常な経済活動が行われるならば、(現在の政府目標である)3.1%を達成できる」と強調した。ただ、現在の経済状況については慎重な姿勢を見せた。



韓国経済副首相「韓日通貨スワップ、先に要請する状況ではない」
2016年01月15日10時59分
[ⓒ 中央日報日本語版]
http://japanese.joins.com/article/828/210828.html

柳一鎬(ユ・イルホ)副首相兼企画財政部長官は「今すぐに韓日通貨スワップを推進しなければならない状況ではない」と明らかにした。

柳副首相は14日、ソウルで開かれた記者懇談会で「日本が要請すれば反対する理由はない」としながらも「原則的に見て、それも可能だということと理解してほしい」と明らかにした。

柳副首相は日本に先に通貨スワップを要請する考えはないのかという質問に「状況変化に応じて異なると前提しながら、現在はG2(米国、中国)リスクが急激に変化する状況ではなく、韓国が先に要請する段階ではない」と伝えた。

一方、李柱烈(イ・ジュヨル)韓国銀行総裁はこの日、記者会見を開き、韓日通貨スワップについて「慎重に接近しなければならない」と強調した。李総裁は「現在、外貨準備高や経常収支などの対外健全性の指標は良好な水準であるため、日本との通貨スワップを具体的に検討していなかった」としてこのように話した。

李総裁はしかし、「今後、金融市場の展開状況に応じて、必要であれば検討する計画」と付け加えた。

(※4)
韓日通貨スワップから結ぼう(1)(2)
2016年01月11日11時19分
[ⓒ韓国経済新聞/中央日報日本語版]
http://japanese.joins.com/article/622/210622.html
http://japanese.joins.com/article/623/210623.html

2008年のグローバル金融危機を韓国が無事に乗り越えることができたのは、誰が何といおうと韓米通貨スワップのおかげだった。同年10月に米国と電撃的に締結した300億ドルの通貨スワップ契約は、リーマンブラザーズ破綻以降に急落した韓国ウォンと株価を反転させた。いつでも米連邦準備制度理事会FRB)の金庫に韓国ウォンを預けてドルを取り出して使える「ドルの傘」に入ったという事実だけでも、韓国は金融危機の台風を避けることができた。続いて日本や中国と300億ドルずつの通貨スワップまでも実現させ、韓国は「安全弁」を確保した。

現在、安全弁はほとんど失われた。韓米通貨スワップは数回の延長後、2010年に契約が終了した。2011年に一時700億ドルまで増えた韓日通貨スワップは、当時の李明博(イ・ミョンバク)大統領の独島(ドクト、日本名・竹島)訪問で両国関係がふさがり、昨年2月にすべて消えた。韓国がいま締結している通貨スワップ契約は中国との3600億元(約64兆ウォン)をはじめ、アラブ首長国連邦(UAE)、マレーシア、豪州、インドネシアの5カ国との約800億ドル規模だ。しかしこれら通貨スワップはすべて該当国の通貨と交換するものだ。ドルを直接調達できる通貨スワップ契約はない。通貨スワップでも韓日米三角同盟が崩れた結果だ。

◆非常時のドル調達ルート

旧日本軍慰安婦交渉が妥結した昨年12月以降、韓日通貨スワップ再開の話が出ている。日本財務省の関係者は「韓国側から(通貨スワップに対する)要請がいつきてもおかしくない」と述べた。全国経済人連合会は昨年10月に東京で開かれた韓日財界会議で韓日通貨スワップを再開しようと提案した。

韓日通貨スワップは2つの点で意味がある。一つは、非常時に韓国のドル調達手段となる。日本との通貨スワップで調達した日本円は国際外国為替市場でいつでもドルに変えることができる。さらに日本は外貨準備高が1兆2000億ドルを超える。日本との通貨スワップは韓米通貨スワップに匹敵するドル確保ルートだ。

もう一つは、米国が構築しておいた国際金融市場の安全網に韓国も足を踏み入れることができる。米国は国際金融市場の安定のために日本、英国、スイス、カナダ、欧州連合(EU)と常時無制限通貨スワップ契約を結んでいる。こうした日本と韓国が通貨スワップで結ばれれば、韓国も米国のグローバル金融安定体制に間接的に連結される。

◆危機が迫れば手遅れ

昨年末基準で外貨準備高が3680億ドルにのぼるが、韓日通貨スワップを結ぶ必要があるのかという反論もなくはない。しかし通貨スワップは万一の危機に対応した「保険」だ。2008年末の韓米通貨スワップ締結の実務の主役、申斉潤(シン・ジェユン)元金融委員長は通貨スワップを在韓米軍に例えた。存在自体で通貨危機を抑制するということだ。

韓日通貨スワップを再開するには急ぐ必要がある。中国経済ショック、国際原油価格下落、米利上げに北核リスクまで重なった「パーフェクトストーム(巨大経済危機)」がいつ韓国を襲うか分からない。危機が迫った後に通貨スワップを結ぼうとすれば手遅れとなる。1997年12月の通貨危機当時、林昌烈(イム・チャンヨル)経済副首相が日本財務省を訪ねて資金支援を要請したが門前払いされ、結局、国際通貨基金IMF)に手を出さなければならなかった苦い記憶がまだ鮮明に残っている。

(※5)
日韓、通貨交換協定を再開へ 政府、韓国の正式要請があれば 中国景気の後退リスクに対応
産経新聞 2016.1.14
http://www.sankei.com/politics/news/160114/plt1601140003-n1.html
http://www.sankei.com/politics/news/160114/plt1601140003-n2.html

日本政府は、緊急時に通貨を融通し合う「通貨スワップ(交換)」の日韓協定について、韓国政府から正式要請があれば再締結に応じる方針を固めた。日本政府高官が13日、明らかにした。北朝鮮の核開発問題や中国景気の悪化など安全保障と経済の両面で不安要素を抱える東アジア地域の安定に向け、正式要請には応じるべきだと判断した。再締結が実現すれば、協定は昨年2月以来となる。

 日本政府は、中国の景気後退が韓国経済に大きな影響を与えるリスクがあるため、国境を超えた景気悪化の連鎖を防ぐには通貨スワップ協定が有効だと判断した。韓国で経済危機が発生し米ドルや日本円が不足したときに、日本が通貨を融通し経済の安定化を図る。

 日本政府は、韓国政府から協定再開の申し入れを受けてから、融通枠の上限額などを検討する。協議がまとまれば国際会議に合わせた財務相会談や首脳会談などでの調印式も検討する。

 通貨スワップ協定は、経済力のある国が周辺国を支援する側面が強く、日韓間の場合は日本が韓国を支援する形となる。

 日韓両政府は平成13年に通貨スワップ協定を締結。23年には欧州債務危機を受けて融通枠を最大の700億ドルまで拡大した。

 しかし、24年に当時の李明博大統領が竹島島根県隠岐の島町)に上陸するなど日韓関係が冷え込んだ影響を受けて規模が縮小。協定期限を迎えた昨年2月、韓国側から延長要請がなかったため終了した。

ただ、昨年10月には日本経済団体連合会に対し、韓国の全国経済人連合会が再開を呼び掛けていた。

 日韓両政府が慰安婦問題で合意したことから、北朝鮮の核実験への対応などで「スムーズな日韓連携が可能になった」(首相官邸筋)とされる。日本政府にとって、歴史認識問題で中国の習近平国家主席と共闘してきた韓国の朴槿恵大統領との距離を通貨スワップ協定による支援でさらに縮める狙いもある。

 ただ、官邸サイドは韓国の非公式による再開打診に応じる気はなく、公式な要請を待つ考えだ。

◇ 

 《通貨スワップ協定》貿易決済や為替介入などに必要な外貨が不足した場合、協定を締結する国同士が決めた上限額の範囲内で外貨と自国通貨を交換し合う仕組み。経済危機のときの外貨不足に対応できる。日本は東南アジア諸国連合ASEAN)プラス3(日中韓)の13カ国が参加する通貨交換協定「チェンマイ・イニシアチブ」を主導した。2国間協定ではインドネシアやフィリピン、シンガポールそれぞれと締結している。

(※6)
日本財務省局長「韓国が望めば通貨スワップ検討する」
聯合ニュース 2014/02/18
http://japanese.yonhapnews.co.kr/relation/2014/02/18/0400000000AJP20140218003500882.HTML

【世宗聯合ニュース財務省の山崎達雄国際局長は18日、ソウルで開かれたアジア経済・金融協力国際会議で記者団に対し、韓国が望めば韓日通貨交換(スワップ)協定の締結を前向きに検討すると述べた。 

山崎氏は韓国に限定したことではないとした上で、シンガポールインドネシアなどとの事例があるように、日本は通貨スワップに対し常に前向きに検討していると発言した。

ただ、 韓国政府は山崎氏のこの発言を重く受け止めてはいないとみられる。

韓国企画財政部の関係者は「儀礼的な発言をしたものとみている」とした上で、「日本との通貨スワップは検討していないし、推進もしていない」と話した。 

韓国と日本は昨年、期限を迎えようとしていた30億ドル(現在のレートで約3073億円)分の通貨スワップ協定を延長しなかった。

当時日本は、韓国の要請がない限り延長しないとの立場を表明し、韓国側は「要請があれば延長するとの表現は適切ではない」と不快感を示した。

(※7)
[社説]日本の姑息さ見せた通貨スワップ終了
ハンギョレ新聞(韓国語)  2012-10-09
http://www.hani.co.kr/arti/opinion/editorial/555007.html

韓日両国間の通貨スワップ問題がうまく解決しなかった。両国は今月末に迫る570億ドル規模の1年満期通貨スワップを終了すると明からにした。そうなると現在700億ドル規模の両国間通貨スワップ金融危機前水準の130億ドルに減る。

両国に得になる通貨スワップが終了したのも残念だが、領域内の緊密な経済協力のための信頼が損なわれた点が残念だ。日本の姑息さを嘆かざるをえない。

わが政府は安定した金融市場状況と健全なマクロ経済条件を考慮する時、通貨スワップの満期延長は必要ないと結論したという。純粋な経済的観点で決めたことで両国は必要時に適切な方法で協力することにしたと協力の可能性を残した。

しかし、日本は通貨スワップ契約延長を韓国が先に要請してくれば協議すると条件をつけ、韓国は延長要請しなかったという政治的理由が介入したと見なければならない。

日本は今年8月、李明博(イ・ミョンバク)大統領の独島(ドクト、日本名:竹島)訪問に反発して韓国を圧迫する手段として葛藤と関係がない通貨スワップカードを持ち出した。韓日通貨スワップがどのようになされたかを顧みれば日本の態度がどれほど拙劣なのか知ることが出来る。

通貨スワップは国の間に引き出し限度を定めたマイナス通帳といえる。どちらか一方だけ得するのではなく、どちらにも得になる。アジア外国為替危機再発を防ぐためアセアン10カ国と韓・中・日3カ国が参加して2000年スタートした金融協約チェンマイ・イニシアチブという大きな枠組みで韓日両国は通貨スワップを始め順次規模を増やしてきた。
(後略)


「韓経済体力十分」...不便な對日関係の産物
ソウル新聞(韓国語) 2015-02-17
http://www.seoul.co.kr/news/newsView.php?id=20150217006009

韓・日通貨スワップ終了の背景・影響
韓日両国政府は16日、韓日通貨スワップ終了に対して「十分に耐えられる両国の経済復原力」を理由にあげたが不快な韓日関係の産物ということが支配的な観測だ。両国の葛藤が尖鋭になるたびにスワップ規模が減ったという点がその傍証だ。一時700億ドルまで増えたスワップ規模がグローバル金融危機以前である100億ドル台に縮んだのも2012年のイ・ミョンバク大統領(当時)の独島(ドクト)訪問が決定打であった。政治・外交的葛藤が経済に悪い先例を残したわけだ。
(中略)
出口が見えない韓日関係を心配する声もある。また他の外交部関係者は「良い方向で両国が(通貨スワップ問題を)処理したら良かったがこのようになれば互いに感情が傷つくほかはない」として「当然他の分野にも影響を及ぼすことになるだろう」と憂慮した。一部では日本が粘り強く要求している日本産水産物に対する輸入規制措置解除に対してどのような形であれ無形の報復を加えるという展望も出している。

(※8)
「葛藤の溝」深くなった韓日、通貨スワップ終了
2015年02月17日09時56分
[ⓒ韓国経済新聞/中央日報日本語版]
http://japanese.joins.com/article/752/196752.html

韓国と日本の間で最後に残っていた100億ドル規模の通貨スワップ契約が今月23日に期限を迎えて終了する。

韓国企画財政部と韓国銀行(韓銀)は16日、韓銀と日本銀行が締結した通貨スワップ契約が予定通り23日に満了すると発表した。通貨スワップ通貨危機など緊急時に相手国に自国通貨を預けて相手国通貨やドルを受け取れるようにした契約だ。韓日両国は流動性危機が発生した場合、相手国通貨を100億ドルまで融通できるようにした。韓日間通貨スワップは、2012年10月700億ドルまで増えた後、過去の歴史や独島(ドクト、日本名・竹島)問題をめぐる外交的な葛藤の中で縮小の一途をたどった。

◆韓日ともに「惜しく思うことはない」

2012年以降続いてきた両国の外交的葛藤が、14年近く続いた通貨スワップ契約の終了の直接的・間接的な原因になったと伝えられた。「韓国の要請がない限り延長しない」という立場は日本側が先に示した。韓国政府もそれほど惜しく思うことのない現状況で「頭を下げない」という立場を伝えたと実務者は説明した。

韓国は1997年通貨危機以降、通貨スワップを模索し始めた。日本が100億ドルに達する資金を韓国から引き出していったことが通貨危機を触発した決定打となったため、その後韓国政府は日本と2001年7月に初めて通貨スワップ契約を結んだ。20億ドル規模から始めてグローバル金融危機以後である2011年10月には700億ドルまで拡大した。

李明博(イ・ミョンバク)前大統領は先日出版した回顧録『大統領の時間』で、日本が2008年金融危機当時、通貨スワップ規の模拡大に冷たかったという秘話を公開したりもした。李前大統領は「姜万洙(カン・マンス)当時企画財政部長官が米国と300億ドル規模の通貨スワップ契約を締結した後、日本のもとに駆けつけたが日本は冷淡だった」と書いた。

だが、2012年8月15日の李前大統領の独島訪問以降、両国関係が急速に悪化しながら通貨スワップ規模も次第に縮小された。その年10月満期となった570億ドル規模の通貨スワップ契約が延長されなかったことに続き、2013年7月にも満期をむかえた30億ドルがそのまま中断となった。

◆今後議論再開の可能性

両国間通貨スワップ中断が直ちに韓国経済に及ぼす影響は大きくないというのが政府と専門家の共通した見解だ。通貨危機当時204億ドルに過ぎなかった外貨準備高は2014年3636億ドルと18倍に増えた。経常収支も1997年103億ドルの赤字だったが昨年は900億ドルの黒字を記録した。また、韓国は中国と64兆ウォン(6兆8700億円)、アジア領域内金融セーフティネットであるチェンマイ・イニシアチブ(CMIM)の多者間通貨スワップ384億ドルなどさまざまなチャネルによって通貨スワップを構築している。イ・スンホ資本市場研究院研究委員は「韓日通貨スワップは韓中通貨スワップとは違い、実際使われた事例がなかった」とし「韓国の流動性などを勘案した時、金融市場に及ぼす影響力は大きくないだろう」と予測した。ただ、米国が政策金利の利上げを早める場合、国際金融市場が不安になるおそれもあるのでこれに備えるべきだという声も少なくない。

閔庚ソル(ミン・ギョンソル)企画財政部地域金融課長は「今年5月23日、日本で開かれる韓日財務相会談で通貨スワップについて話し合われる可能性がある」と話した。


[社説]外交対立が招いた韓日スワップ打ち切り
東亜日報 FEBRUARY 18, 2015
http://japanese.donga.com/srv/service.php3?biid=2015021878128

韓国と日本が、23日に期限が切れる100億ドル規模の韓日通貨スワップ協定を延長しないことを決めた。通貨スワップとは、通貨危機などの異常な経済状況の際、相手国に自国通貨を預けて相手国の通貨やドルを借りることのできる契約だ。韓日通貨スワップは、2001年7月に20億ドルでスタートし2012年10月は700億ドルまで膨らんだが、両国間に過去史や独島(トクト)領有権を巡る対立が強まったことを受けて減少に転じ、今回は13年7ヵ月ぶりに終了となった。

今回の通貨スワップを巡る再交渉の過程で、日本が「韓国のほうから先に再延長の要請があれば、検討したい」と高飛車な態度を取ると、韓国は「両国が協議して決める事案だ」と切り返し平行線をたどった。どちらの責任がより大きいかは別として、外交的対立が経済協力にまで悪影響を及ぼしたのは、両国共に望ましいことではない。

日本は1997年、タイから始まったアジア通貨危機の際、韓国から100億ドルの資金をいきなり撤退させため韓国が通貨危機に追い込まれるのに大きな影響を及ぼした。2008年のグローバル金融危機の直後も、韓国との通貨協力の規模拡大に消極的な姿勢を見せた。韓国と中国が300億ドル規模の通貨スワップ協定の締結を進めると、交渉に積極的な姿勢に転じて、同じ規模の協定を締結した。資金力を武器に、韓国を手なずけしようとする日本の態度は後味が悪いが、それこそ国際的な経済関係の厳しい現実だ。

韓日通貨スワップが無くても、直ちに我が経済に及ぼす打撃は微々たるものだ。韓国の外貨保有高は3621億ドルと、短期外債の約3倍に上り、中国など5ヵ国と約800億ドル規模の通貨スワップを交わしている。しかし、外部変数に脆弱な我が経済の特性を考慮すれば、海外発悪材料に備えた防波堤は頑丈であるほどより安全だ。政府の経済チームや韓国銀行は、我々の急な都合で、日本に手を差し伸べてもらうことが再び無いよう、外貨流動性管理に万全を期さなければならない。