さて、今回はなぜ韓国との間でトラブルばかり起きるのか、その背景について書いて行きます。
現在日本と韓国の間でも様々なトラブルが発生しており、その大半が事実上解決不能となっているわけですが、なぜそうなるのかといえば、私達と韓国人では問題を認識する上での視点やプロセスがまるで異なるため、同じ問題を見ていても見え方や重視する部分がまるで異なり、話し合いをしても一切話がかみ合わない、そんな現象が起きるからです。
なぜそうなるのか結論を書いてしまうと、韓国人の多くは問題を認識する時に客観的な経緯や経過というものを殆どの場合重要視しません。
では何を重要視するのかというと、問題に対したときに感じた「その時の感情」を非常に重要視する傾向にあります。
例えば私達の場合には、問題が起きたらまず結果から順を追って客観的情報から経過や経緯を探り、最終的にその情報を総合して原因に行き着くというプロセスを通るわけですが、韓国社会においては殆どの場合このプロセスが発生しません。
ではどんなプロセスが働いているかいえば、まず結果を見てそこにどんな主観的感情を懐いたかを元にして、その感情に合致する経緯や経過を探し出し、その情報を総合して原因へと行き着くというプロセスを辿ります。
こうしたプロセスの違いがあるので、同じ事柄を見ていてもまるで異なる結論に至る場合が多く、同じ議題を話しているのにまるで話がかみ合わない、場合によっては根本的に意思疎通ができていないという事態になりやすく、その結果トラブルが次々と起きるわけです。
まずはこちらの記事から
【コラム】日本を偏愛する米国、韓国にも戦略的価値に見合う待遇を
朝鮮日報 2015/10/14
http://www.chosunonline.com/site/data/html_dir/2015/10/14/2015101401051.html
http://www.chosunonline.com/site/data/html_dir/2015/10/14/2015101401051_2.html
http://www.chosunonline.com/site/data/html_dir/2015/10/14/2015101401051_3.html
(ウェブアーカイブ)
http://web.archive.org/web/20151014111451/http://www.chosunonline.com/site/data/html_dir/2015/10/14/2015101401051.html
http://web.archive.org/web/20151014111606/http://www.chosunonline.com/site/data/html_dir/2015/10/14/2015101401051_2.html
http://web.archive.org/web/20151014111738/http://www.chosunonline.com/site/data/html_dir/2015/10/14/2015101401051_3.html
日本は、米国のために一滴も血を流さなかった
米国は、そんな日本を偏愛し続けた
韓国が米国にとって重要なら、その価値に見合うように扱ってほしい
1975年の時点で、人工衛星を宇宙に打ち上げた国は米国とソ連しかなかった。そんな時、日本が「きく2号」という衛星を宇宙に打ち上げた(編集部注:きく2号打ち上げは77年2月23日)。日本の船舶エンジン技術者らがロケットエンジンの開発を始めたのは、わずか6-7年前のことだった。そんな日本が、どうやって衛星を打ち上げることができたのか。米国のおかげだ。両国は69年、宇宙開発で協力するという協定を結んだ。「協力」とはいうが、実際には設計からソフトウエアまで、米国が技術を提供した。このとき学んだ技術で、日本は独自のロケットを打ち上げた。日本は現在、ロシア・米国に次いで多くの衛星打ち上げ実績を積んでいる。宇宙大国にして、ミサイル大国だ。
当時、財政難に陥っていた米ソは「ロケット販売で投資を回収できないだろうか」とそろばんをはじいていた。しかし、ミサイル技術と直結するという特性のため、ロケット技術はカネだけで売ることはできない。韓国がロケット「羅老号」を開発するとき、米国に断られ、ロシアのロケットを2000億ウォン(現在のレートで約208億円)という高値で買った理由でもある。ところが米国は、欧州の友邦を差し置いて、日本に技術を与えた。なぜ日本を選んだのか。
数年前、日本のロケット開発を主導した五代富文博士と会ったとき、理由を尋ねた。五代氏は「日本が自らロケットを開発するのは明らかだったから」と語った。技術があるので、米国が先んじてアプローチしてきたというのだ。ちょうど、羅老号打ち上げ失敗で苦しんでいた時期だった。気分は良くなかった。本当に、技術力が全てだったのか。技術力がないから、韓国はいつも冷たい扱いを受けているのか。間違ってはいないと思う。
かといって、完全に正しいというわけでもないだろう。少し前、李承晩(イ・スンマン)元大統領の政治顧問を務めたロバート・オリバー博士の著書を読んだとき、李大統領の手紙の一節が心に残った。「軍需品ですら韓国よりも日本から調達するための、継続的かつ精密に計画された、偏った傾向が大きな問題です」。韓国の物を差し置いて、韓国軍が使う物品すら日本から持ってくる米国の在り方を批判したのだ。単なる「日本製を好む風潮」を指摘したわけではない。日本の復興のため米国が韓国の犠牲を要求しているという、構造的な問題に触れたのだ。
李大統領のこうした判断は、学者によって事実だと立証されている。米国が日本を「アジアのパートナー」としてしっかりと選んだのは、1950年代初めのことだった。日本の戦略的価値を考えれば、文句をつけるべきことではない。問題は、韓国が米国の援助資金で韓国の物資ではなく日本の物資を買うようになっていたことだ。李大統領にとって、こうした戦略は、韓国経済を抜け殻にして日本に従属させるものだった。そこで李大統領は、「反日」を武器に米国と激しく対立した。故・金一栄(キム・イルヨン)成均館大学教授は、李大統領の反日政策を「日本を中心にした米国の政策構図に対する、韓国の対応論理」だと積極的に解釈した。
(後略)
韓国の記事ではよくある事なのですが、次々と話が飛んでまとまりが無く読みにくいです。
(あまりにもあちこちに飛んでいるので、本題と関係ありますが一部の内容を省略します、まとめられないので。気になる方はリンク先で本文を読んで下さい)
そしてこの事も含め重要なのですが、ロケットの件では「日本に技術力があったから」という話が出てきているのですから、本来ならばそれが結論のはずです。
が、記事ではそこから朝鮮戦争の軍需品の話しに飛び、全く異なる2つの出来事をつなげてしまい、ロケットの話まで「アメリカが韓国を日本発展の犠牲にしているからだ」という話になってしまっています。
要するに技術の蓄積があったという「客観的経緯」が軽視され、彼らの感情にとって都合の良い「アメリカが韓国を犠牲にした」という、アメリカや日本の「劣等性」の話に摩り替わっているのです。
またそもそも「犠牲にした」という話にしても、当時朝鮮半島の韓国側は気候が比較的温暖だった事もあり農地が多く、工業地帯は寒冷で農業にあまり向かない北朝鮮地域に多かったため、根本的に軍需品を生産するための設備が足りなかったという経緯があります。
要するに本来これは単純なインフラの問題です。
しかし彼らにとっては、自己の優越性や正しさを証明するためには他者の劣等性が重要であるため、まず「日本もアメリカも韓国を犠牲にしたのだ」という感情が先にあり、その感情に合致する経緯を集めた結果、上記のように次々と話が飛ぶ記事が出来上がったわけです。
次にこちらの記事を
【寄稿】日帝に迫害されたムクゲ、国花にふさわしい学名を
朝鮮日報 2015/10/18
http://www.chosunonline.com/site/data/html_dir/2015/10/17/2015101700370.html
http://web.archive.org/web/20151018154512/http://www.chosunonline.com/site/data/html_dir/2015/10/17/2015101700370.html
(前略)
ムクゲはわが民族と運命を共にしてきた。日本による植民地支配の時代には、花としては唯一、迫害を受けた。険しい歴史の中で、われわれの先駆者たちは国花への愛を、民族の魂を呼び覚ます象徴として強調した。このように、われわれの先祖がムクゲに対して涙ぐましいほどの愛を注いできたにもかかわらず、この国では国花をあまり目にすることができないのが現実だ。
今からでも、国家のアイデンティティーの象徴になり得る国花について、新たな認識と教育が必要だ。まずは青瓦台(大統領府)、政府庁舎、官公庁、学校、国立公園が率先してムクゲを植えるべきだ。そして何よりも重要なのはムクゲの正しい学名を調べることだ。自生地が「シリア」ではなく「コリア」であることを明らかにし、正当な名称を取り戻すべきだ。それが光復(日本による植民地支配からの解放)70年を迎えたムクゲに対してわれわれが示すべき最低限の礼儀ではないだろうか。
キム・ホリム教授(仁川大)
まず、日本がムクゲを迫害したという記録も根拠も何もありません。
そもそも今現在「あまり目にすることが出来ない」という事と、日本統治時代の話に根本的に繋がりがありません。
そして実態は以下です
ホン・ムンピョ議員、日本残滓桜の花木最も多く植栽、ムクゲは冷遇..
亜洲経済(韓国語) 2015-04-02
http://www.ajunews.com/view/20150402161557239
国花のムクゲが全国の街路樹の道に植える年間比率は平均5.6%に過ぎない反面、日本の国花の桜の植栽は平均23.5%にもなり、街路樹に最も多く植えられていることが分かった。
ホン・ムンピョ国会予算決算特別委員会委員長が4月5日の植樹の日を迎え、愛国、民族愛の象徴であるムクゲ植栽活性化のために山林庁から提出させた資料によれば、年間平均400億ウォンの予算を使って全国地方自治体が街路樹の道に最も多く植えた品種は2014年基準で桜(140万本)であり、次にイチョウ(16.4%)、ヒトツバタゴ(6.4%)、ケヤキ(6.3%)、メタセコイア、楓、ムクゲの順
と集計された。
2014年基準でこれまで桜の植栽を最も多くしてきた地域は京畿道(キョンギド)で23万本。続いて慶南(キョンナム)22万本、全南(チョンナム)16万本、全北(チョンブク)15万本の順で多く、釜山(プサン)、大邱(テグ)、仁川(インチョン)、世宗(セジョン)、済州(チェジュ)地域は街路樹にムクゲがただ一株も植えられていないことが確認された。
ムクゲはこれさえも植栽実績の統計だけで生育現況は全く把握されておらず、ムクゲ植栽および管理予算も今年6億ウォン(年間平均10億未満)に過ぎず、我が国を代表するムクゲが過小評価されていることが明らかになった。
特に全国にわたって花関連祭り65のうち13が桜の花祭りである反面、ムクゲ祭りを開催する地方自治体はただ一ケ所もないと確認された。
ホン・ムンピョ委員長は「私たちの魂がこもったムクゲはないがしろにしながら、他国の国花であり日帝残滓である桜の木をまだ最も多く植栽していることは非常に恥ずかしいことだ」とし「光復70周年を迎え汎政府次元で全国津々浦々にムクゲの木を植える運動を展開しなければならない」と主張した。
また、ホン委員長は「春、全国にわたって開催される桜祭り行事の名前を全部春の花祭りに変え、政府と地方自治体はムクゲの道、ムクゲの丘をたくさん作り、国民にムクゲを通した愛国、民族愛精神を育成するようにしなければならない」と話した。
(※本題以外にも突っ込みを入れたい部分があると思いますが、突っ込んだら負けです。
韓国ではよくある事です。)
時系列を追ってちゃんと経緯を調べてみれば、ソメイヨシノの韓国起源説にかまけて韓国人自身がムクゲを蔑ろにして来たという事が解ります。
つまり、実態としてはムクゲを「迫害した」のは独立後の韓国人自身なのです。
しかしそれでは「われわれの先駆者たちは国花への愛を、民族の魂を呼び覚ます象徴として強調した」という「現在の感情」と矛盾してしまうので、現在の感情に合う「日本が迫害した」という話になっているわけです。
またこちらの事例も同じです。
韓国の記者は「嫌韓」や日本社会をどう見つめているのか 特派員座談会
ハフィントンポスト日本版 2015年07月09日
http://www.huffingtonpost.jp/2015/06/30/korean-correspondant-talks_n_7695732.html
最近は韓国メディアの記事が日本語に翻訳され、ネット上で目にすることも多くなった。ただ、背景事情の異なる国に向けて書かれた記事は、ときに誤解も生む。どんな人が、どんな視点で日本を見つめているのか。
日韓関係の悪化が言われる。日本で「嫌韓本」が売れるなど、国民感情も悪化しているように見える。そんな日本を、韓国メディアの東京特派員たちはどう見つめ、どう母国に紹介しようとしているのか、聞いてみた。
【出席者】
尹熙一(ユン・ヒイル)京郷新聞・東京支局長
金秀恵(キム・スヘ)朝鮮日報・東京特派員
吉倫亨(キル・ユニョン)ハンギョレ新聞・東京特派員
(一部抜粋)
韓国の記事は元々、日本人を対象に書いたものではなかったのに、何の説明もなく日本語に翻訳されて日本社会に紹介される。産経新聞のソウル支局長がネットに書いた記事を巡って韓国で起訴されましたが、あれも日本人向けのネットの記事が、韓国語に翻訳されて問題になった。お互いの背景事情を無視して翻訳してリアルタイムに伝わることで「こんなとんでもない記事がある」と言われ、反感が広がることがある。私が朴槿恵大統領を「無能だ」と批判するコラムを書いたら、ヤフーのランキングで3位に入りました。自国民だからこその批判もあるわけだけど、日本的な文脈では、韓国バッシングになる。それは相互理解の妨げになっているのではないかと、最近思うようになりました。
以下少々引用とは関係ない余談
(※こちらの記事は本文の別の箇所を以前紹介した事があるのですが、実はこの記事は日韓の価値観や考え方の違いのかなりの部分が詰まっており、ある程度知識があれば日韓の価値観やあり方の違いを知る上での教科書のような記事となります。
また、日本の価値基準を絶対として、日韓で価値観が異なる事を否定する人は、この記事で彼らの主張に安易に同意してしまう傾向にあるので、韓国に対する考え方を知るリトマス紙にもなります)
最近韓国検察が「朴大統領への名誉毀損」として1年6ヶ月を求刑した産経新聞の加藤元支局長関連です。
記事中では要するに支局長起訴の件を「韓国人が読むための記事を、その背景を無視して日本で翻訳して反感が広がった事と同じだ」としているのですが、これはいわゆる自身が指摘されたことを他者に転嫁して自己の問題では無くしてしまう「劣等性の天秤」が働いているのですが、それ以外にも今回指摘している「経緯や経過を無視する」という典型的傾向が見て取れます。
この件が「言論の自由の侵害」として問題にされた最大の理由は、当然記事中で韓国人記者が言及したような「お互いの立場の違い」ではありません。
問題となった産経の記事は、情報のソースが朝鮮日報と複数の雑誌の記事で書かれた内容であり、更にその情報元は当時韓国の野党が国会で指摘した内容です。
にも拘らず、引用元の朝鮮日報や雑誌、またその情報元となった国会議員は一部が口頭注意されただけで事実上お咎め無しです。
つまり、「韓国は国籍で罪の重さを決めた」ということになります。
これは当然法の下の平等に反する行為であり、韓国が法治国家として機能していない事を意味しています、だから国際的に報道の自由の侵害として批判されたわけです。
これがこの事件の客観的経緯です。
しかし彼らの判断基準では経緯や経過が軽視されることから、こうした客観的な経緯は殆ど問題視されず、「日本人が韓国の大統領を侮辱した」という現在の感情が重視され、その前提に合う経緯を探して「天秤を相手側に傾けた」結果が上記記事の内容なわけです。
以上のように、韓国では「今現在の感情」が最も重要であり、問題の経緯や原因もその現在の感情を元に逆算した結果となります。
ですから、客観的経緯や経過を重要視する私達とは根本的な部分の認識に違いが生じ、だからこそ次々と解決不能のトラブルが発生するわけです。
これは日本だけではなく、例えば今現在アメリカと韓国の間でトラブルになっている次期主力戦闘機の技術移転の問題や、韓国のTPPへの参加問題、韓国の中国傾斜問題、韓国の為替操作問題などでも同じです。
アメリカは客観的な経緯や経過をベースとして問題を考えているわけですが、韓国は「現在の主観的感情」をベースとして現在の問題を考えているため、お互いにまるで話がかみ合っていないわけです。
こうした価値観や考え方の違いがあるので、事が上手く行っているうちはいいですが、一度トラブルが発生すると彼らは「自分が不当に扱われている」と強く感じるようになりますから、更に別件でも次々とトラブルが発生していく事になります。
そして日本の場合には、現状殆どの人が日韓のこうした価値観の違いをまるで知らず、更にメディアを中心に韓国に対する肯定的な評価以外の全てを「差別」としてしまう風潮があるがために、この日韓で同じ価値観を共有しているという錯誤から、「そんなおかしな考えの人々は例外的な一部だけだ」と考える風潮にあり、この知識不足から来る態度が更なる問題の悪化を引き起こしています。
現実には、「おかしな考え」との発想自体が、日本人の価値観が絶対普遍でどこでも通用するという考えの非常に独善的なものであり、他の異なる価値観を見ようとしないからこその発想なのですが。
ですから、尚更にまずは「違いは違いとして認め認識する事」が、日韓関係においては非常に重要となるわけです。
現に違いが存在し、今回挙げたような問題は日韓の間で無数に存在しているのですから。
(今回挙げた事例はあくまで氷山の一角に過ぎません)
そして違いは違いとして認識したうえで、お互い適度な距離を取り必要以上に係わり合いにならないようにする、消極的ですがこの手の価値観の対立には現状ではこれが最も効果的です。
2015年10月21日23時10分追記
お勧め記事のマイリストを作成しました、もしよかったらどうぞ
2015年10月22日21時03分追記
文末部分を大幅に加筆修正、及び誤字等の修正をしました。