日韓問題(初心者向け)

日韓問題について、初心者でもわかりやすい解説と、日韓問題とマスコミ問題の動画のテキスト版を投稿しています。

最近の韓国の反応は「易地思之」で大半が説明できる


さて、本日は以前も何度か記事にしている韓国独特の概念「易地思之」に関する内容となります。


初めて来られた方はまずこちらを先に読む事をお勧めします。

ブロマガ『日韓問題(初心者向け)』を始めた理由


以前何度か書いてきたように、韓国には「相手は自分の気持ちを汲まなければいけない」という独特の概念「易地思之」があるが、最近の文政権の北朝鮮を巡る日米への態度などもこれでほぼ説明できる。


またそれ以外にも、慰安婦合意や日韓スワップ関連、他にもアメリカのGMへの態度や平昌五輪に関する日本での報道へのクレームの件なども、「ウリとナム」の概念と組み合わせれば大半が説明できる。


そして問題は、こうした態度は一般的にダブルスタンダードや利己的な態度であり、韓国内でもそうした態度は通常批判の対象になるが、「ウリの利益」になる場合は「相手はこちらの気持ちを考えなければいけない」と判断される傾向にあり、これが解らないと混乱する事になる。


※一部を除き、引用記事が日本語の場合には文中にリンク用アドレスとタイトルのみ表記、韓国語のものやリンク切れで参照不能な記事のみ文末にまとめて本文を引用します。
※本文中のリンクは引用の元記事、或いはインターネットアーカイブウェブ魚拓(別サイト)へのリンクです。


1:文政権の不可解な態度


「易地思之」と「ウリとナム」に関しては以下の記事を参照してください。

戦後70年談話と韓国人の易地思之という概念
韓国人独特の「ウリ」と「ナム」という概念


まずはこちらの記事から

平昌五輪:米朝に挟まれた韓国憲法裁判所所長「バツが悪かった」
朝鮮日報 2018/02/27
https://web.archive.org/web/20180227131624/http://www.chosunonline.com/site/data/html_dir/2018/02/27/2018022700709.html

 平昌冬季五輪閉会式が行われた25日午後8時。五輪スタジアム貴賓席に到着した李鎮盛(イ・ジンソン)憲法裁判所所長は座席配置表を受け取って驚いたという。この日の座席配置は、文在寅ムン・ジェイン)大統領夫妻を中心に丁世均(チョン・セギュン)国会議長や金命洙(キム・ミョンス)大法院(最高裁長官に相当)院長ら「5府の要人」が海外の要人(VIP)の間に入って座る形になっていた。ところが、よりによって李鎮盛所長の座席は北朝鮮の金英哲(キム・ヨンチョル)朝鮮労働党副委員長兼統一戦線部長とビンセント・ブルックス在韓米軍司令官の間だったのだ。

 前列にはトランプ米大統領の長女・イバンカ大統領補佐官が座った。なんと、北朝鮮の核問題をめぐり神経をとがらせている米朝両国の最高実力者たちの真ん中に座ったのだ。国際社会の注目を集める場ということで、閉会式中継のテレビ画面には李鎮盛所長が何度もとらえられた。

 画面の中のイバンカ氏と金英哲氏は最近の状況を意識しているかのように握手どころか目を合わせることも一度もなかった。ブルックス司令官も同じだった。北朝鮮選手団が入場する時、イバンカ氏はそれまでしていた拍手を止めた。事前にこのような座席配置を知らされていなかった李鎮盛所長はその場に到着して非常に当惑したという。どんな表情をすればいいのか、何を言えばいいのか神経過敏になったということだ。

 閉幕式は2時間余りにわたって行われた。その間、李鎮盛所長は無表情の金英哲氏と少し会話を交わしたかと思うと、すぐにブルックス司令官とも英語で話す様子がテレビカメラにとらえられた。イバンカ氏ともあいさつした。

 李鎮盛所長は閉幕式が終わった後、周囲の人々に「米朝両国の間でじっと座っているだけでも何だし、何か言わなければならないのだが、席にいるのがあまりにもバツが悪かった。だからと言って、どちらか一方のみと話をすると、もう一方が『私のことを無視するのか』と考えるかもしれないので、わざわざ交互に、均等になるように一言ずつ話した」と愚痴ったという。同所長が話したのは主に平昌の天気や訪韓過程など社交辞令的なものだったようだ。同所長は周囲の人々に「そういう座席配置だということを教えておいてくれれば事前に準備をしてきたのに」と残念そうに語ったとのことだ。

朴国熙(パク・ククヒ)記者


これなのですが、ご存知のように現在北朝鮮アメリカに対し核を背景とした挑発を続けており、お世辞にも「よい関係」と呼べない状況が続いています。しかも北朝鮮は同時に韓国に対して融和的な姿勢を示す事で米韓離間を仕掛けています。


この事は今更説明するまでもない事ですが、文政権はそれでも記事にあるようにイバンカ氏やブルックス司令官を北朝鮮の、しかも2010年に発生した韓国の天安撃沈事件の関係者と考えられている金英哲統一戦線部長のすぐ近くに座らせました。


その結果、間に座らされた韓国憲法裁判所所長は過剰に気を使わないといけないという、まるでコメディー映画のワンシーンのような状態に晒されるという酷い有様になりました。


そして結果どうなったかといえば、双方お互いを無視し金英哲氏は途中で退席してしまいました。


イバンカ氏、後列の金英哲氏と握手もせず…金英哲氏は閉会式の途中で離席 中央日報 2018年02月26日


さらには、イバンカ氏は韓国で金与正氏と比較された事で不快感を示し、以下のような発言までしていました。


金与正氏との比較に…イバンカ氏「韓国の女性と比較されたい」 中央日報 2018年02月27日


ここまで来ると、文大統領が何かの「嫌がらせ」のために意図してやったようにしか見えませんが、実際には事情が大きく異なっています。


要するに文大統領は、一触即発状態にあるアメリカと北朝鮮が、自分の「サプライズ」でお互いに打ち解け「和解の道に至った」という演出をしたかったのです。
そしてそのうえで、「朝鮮半島情勢の運転席にいるのは自分だ」と国際社会にアピールしたかったのです。


参考記事
[社説]南北首脳会談、今こそ本当に韓国が朝鮮半島の「運転席」に座る時だ ハンギョレ新聞 2018-02-12


文大統領は自分の手柄のために五輪をとことん政治利用したわけです。


しかし、文大統領はこれが外交上の欠礼になるとは考えていませんし、殆どの韓国人もそうは考えていません。
なぜなら、「易地思之」の概念に基き、「アメリカも北朝鮮も他の国も、自分達の立場に立って気持ちを汲まなければいけない」と考えているからです。


殆どの韓国人は、これは韓国の信用低下に繋がるという発想自体が無いのです。


2:どの事例も易地思之


この事例なのですが、実際問題文政権が特殊なわけでも、韓国内で文政権が所属する左派とか革新とか呼ばれている人々が特殊なわけではなく、むしろ文政権の上記のような態度を批判する人々や、直接関係ない人々にも現在進行形で同じ態度が観察できます。


例えば以下の事例などです。


「韓・日通貨スワップの再延長を準備」韓銀総裁 毎日経済新聞 2018-02-21


日韓通貨スワップ協定再開協議は、韓国側が慰安婦合意を守る意思が無いと取れる態度を取った結果、慰安婦合意の「見返り」として始まった経緯があるため中止になったという背景があります。


参考記事
慰安婦合意を巡るやり取りをまとめてみた(前編)
慰安婦合意を巡るやり取りをまとめてみた(中編)
慰安婦合意を巡るやり取りをまとめてみた(後編)


つまり、慰安婦合意を韓国側がしっかりと履行しない限り再協議が始まる事は無いわけですが、韓国の中央銀行である韓国銀行の総裁は勝手に「日本とのスワップ再開の準備を始めた」と言い出しています。


普通に考えれば、原因を解決していないうえに日本側との意見のすり合わせもなしに勝手にこんな事を言い出すのは外交上の欠礼にあたるわけですが、彼らにはそうした考えは一切ありません。


易地思之の概念に基き、「自分達は困っているのだから日本は韓国の気持ちになって考えなければいけない」と発想しているので、彼らにとってはこれは当たり前の事であり、もちろん慰安婦合意の見返りであった事も一切気にしていないからです。


またこちらの事例では


世界が一斉に評価も…平昌五輪をけなす日本メディア 中央日報 2018年02月27日


世界各国が平昌五輪を賞賛しているにも関わらず、日本だけがけなしていると批判していますが、そもそも平昌の問題点はいくつもの国のメディアがチケットの問題やインフラの問題、ノロウィルス騒動の問題など、散々批判しています。


最近もアイスホッケーの南北合同チームの問題で、AFPが文政権の発表とは正反対の「一過性のものでしかない」と否定的な記事を掲載しています。


北朝鮮の五輪、「外交」で金メダルも緊張緩和は続かず 分析 AFP 2018年2月26日 (1/2ページ) (2/2ページ


更に問題なのは、記事中にある「韓国の競技関係者の間に、政治介入への不満がくすぶり続けたのは無理もない」や「米国のゴールデンタイムに合わせて今大会のフィギュアは午前10時に開始した。対照的に欧州に合わせたノルディックスキーのジャンプは午後9時半にスタートし、選手は極寒の中で競技した」といった件は、当の韓国メディアさえ批判していた内容です。


ではなぜこうなるかといえば、まず先ほどから挙げている「易地思之」の概念に基き、「自分達が成功したと言っているのだから、相手はその気持ちを汲まなくてはいけない」と考えている事が一つ目。


もう一つは、ウリとナムの概念に基いた考え方が背景にあります。


どういう事かといえば、韓国人自身が平昌の問題点を批判する場合には、政府や運営を「ナム」として批判できますが、外国から批判されると「韓国への批判」となるため、ナムとして政府や運営を切り離せません。
だから許せないのです。


また他にも、以前から書いているように韓国では他者を否定的に扱うという事は、同時に「自分がいかに優れているか」という自慢と同じ意味を持つため、「道徳的に韓国人より劣等なはず」の日本人が「韓国人に対して劣等性の指摘をしている」と受け取るためそれが許せないのです。


また日本が関わらない事例においても、以下のような事例があります。


GM、政府に「組合の苦痛分担を説得してほしい」 東亜日報 February. 26, 2018


GMの韓国撤退問題に関連し、「労組を何とかして欲しい」と韓国政府に要望した件に関連し、東亜日報が「政府ではなくGMが解決すべきだ」と批判している記事です。


これの何が問題かといえば、過去にどこかで書いた覚えがありますが、韓国の労組は非常に過激なうえに、会社が減収減益状態でも過剰な賃上げを要求したり、その要求を通すために生産に更なる打撃を与えるストを繰り返し行ったり、労組の子弟を優先的に会社に入社させたりとやりたい放題しているのです。


そして何より、その事はとうの東亜日報も過去に批判しています。


[社説]過激労組に足を引っ張られて構造調整を投げ出した韓国経済 東亜日報 April. 08, 2016


これも先ほどの「報道」の事例と構造が同じです。
自分達がナムとして切り離して批判できる場合は良いが、外国人が「韓国に対して」批判をしたり不利益を与える事は許せず、「韓国人の気持ちを考えないなんと非常識な態度なのか」と発想しているのです。


3:判断基準そのものが違う


このように、韓国では私達とは全く異なる判断基準が存在し、そのためダブルスタンダードや矛盾が日常化しており、最近の韓国の態度もこれが原因というわけです。


そしてここで問題となるのが、今回書いたように易地思之の概念によって「ウリの利益」が阻害された場合、彼らは日本人から見ると不合理で利己的としか見えない態度を取るわけですが、その事を彼らに伝えても全く意味が無いということです。


なぜなら、彼らは今回書いたような判断基準の下で「自分は正しい事をしている」と考えているため、矛盾やダブルスタンダードを指摘しても、「自分達の利益ばかり優先するなんと利己的なやつらなのだ」としか考えないからです。


以前易地思之の記事で解説したように、彼らには客観的な視点が存在せず自身の利益=正しさ=公益であり、それに反する主張は全て「利己的で傲慢な考え方」と解釈されるからです。


つまり、今回挙げた事例で問題点を韓国側に指摘するのは、彼らから見ると「自分達の利益しか考えない利己的な態度」でしかなく、こちらの意見との「すり合わせ」は根本から不可能なのです。


私達の価値観から見れば不可解な事この上ないですが、これが彼らの価値観であり常識である以上、こちらの常識で話し合いをしようとしてもまるで意味がなく、そのため韓国との間では何もかもが「こじれる」というわけです。


そして、だからこそ以前から書いているように、韓国側に対しては常に相手の主張を一切汲まず、「事務的な態度」に徹する事が重要なのです。
こちらの言い分は一切通じないですし、私達の常識の中で想定する「正論」は彼らにとって意味が無いのですから。




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