日韓問題(初心者向け)

日韓問題について、初心者でもわかりやすい解説と、日韓問題とマスコミ問題の動画のテキスト版を投稿しています。

韓国では「戦略」よりも「戦術」が重視される


さて、本日は戦略的な優位性を放棄してでも戦術的優位性に拘ることが多い韓国の特徴について書いて行きます。


始めて来られた方はまずこちらを先に読む事をお勧めします。

ブロマガ『日韓問題(初心者向け)』を始めた理由


以前から書いているように、韓国社会では客観的な視点や根拠が軽視され易く、また自身の「正しさ」や「正当性」を相手の劣等性から導き出す考え方があるが、この影響で「その場」で自身が主観的に感じる「勝利」や「優位性」に拘る傾向にある。


先日のトランプ大統領訪問時の晩餐会における、元慰安婦のパフォーマンスやいわゆる「独島エビ」の事例、中国に対する恭順に近い態度など、その結果得られる実利が殆ど無いにも関わらず、「相手の劣等性」や「今の利益」に執着することが多い。


これがあるため、その場の「戦術的優位性」に拘る韓国を長期的な戦略に「組み込む」事が難しく、結果現在韓国社会で言われるところの「コリア・パッシング」が国際社会で発生し易い環境が出来上がっている。


※一部を除き、引用記事が日本語の場合には文中にリンク用アドレスとタイトルのみ表記、韓国語のものやリンク切れで参照不能な記事のみ文末にまとめて本文を引用します。
※本文中のリンクは引用の元記事、或いはインターネットアーカイブウェブ魚拓(別サイト)へのリンクです。


1:言動が「場当たり的」になり易い


まずはこちらの記事から

韓国大統領外交安保特補「独島エビ、意図したものではなく日本が誤解」
2017年11月21日10時54分
[ⓒ 中央日報/中央日報日本語版]
http://japanese.joins.com/article/656/235656.html

韓国の文正仁(ムン・ジョンイン)大統領統一・外交・安保特別補佐官〔延世(ヨンセ)大名誉特任教授〕は20日、韓米首脳会談の晩さん会に登場した「独島(ドクト、日本名・竹島)エビ」論争に関連し、「決して意図したものではない。(日本が)非常に誤解している」と述べた。

この日、ソウル中区(チュング)プレスセンターで開かれたソウル外信記者クラブ懇談会に出席した文特補は、「トランプ大統領の韓国晩さん会の時、慰安婦女性と独島エビが登場したことから『反日晩さん会』という言葉まで出てきた。どうしたら韓米行事でそんなことができるだろうか。外交的失敗ではないか」と問う日本記者の質問に対し、このように答えた。

文特補は「『(そんな)こと』ではなく『行動』」と日本記者の言葉を訂正しつつ、「私も晩さん会に同席したが、独島エビが出てきたことはない(当時は分からなかった)。独島エビがディナーメニューに目に見える形で出てきたことはない」と述べた。続いて「実は小さく刻まれて雑菜(チャプチェ)に入っていたという。料理を準備する側が晩さんに使われた材料を紹介する時に、『高敞(コチャン)韓牛』や『巨済島(コジェド)カレイ』などと同じように独島地域で獲れた大きなエビを地域の食材として表現したものだ」と説明した。

ただし、旧日本軍慰安婦被害女性の李容洙(イ・ヨンス)さんが出席したことについては「私が決めたことではないが、政治的メッセージが含まれている可能性はある」とし「日本が拉致日本人問題について世界中どこへ行っても問題提起ができるように、青瓦台(チョンワデ、大統領府)も慰安婦女性を招待して問題を強調したかった可能性もある」と述べた。
(後略)


記事にある「独島エビ」に関する件なのですが、「決して意図したものではない」「独島エビが出てきたことはない(当時は分からなかった)」等と、意図したものではなく偶然であったとしています。


しかし実際のところ、一週間前の会見では「メニューは儀典事項」であったとしており、これが意図的であった事をこの時点では認めているのです。


日本の「独島エビ」問題視 「合理的でない」=韓国次官 聨合ニュース 2017/11/13


要するに韓国政府は全く整合性の取れない言い訳をしている事になるのですが、彼らにこの件が問題であるという認識はありません。


以前から書いていることですが、彼らの判断基準では「今の感情や利益」が最も優先され、多くの場合で過去の言動との連続性がありません。
そのため過去の発言がどうであったかが「現在の発言に考慮され難い」のです。


今回の事例ならば、晩餐会で「独島エビ」を出したのは中国から何らかの「アドバイス」をされた可能性が高いという件もありますが、同時に「日本にこれだけのことができる自分達は優れている」というアピールのためです。


また11月13日の会見の場合には、その件を日本政府が問題にしたため「自分達のほうが優れている事が証明されたのだから口出しするな」という考えに基いた態度です。
韓国的表現における「自己弁護」ともいえます。


そして最後の今回の件の場合には、問題が韓国政府が予想したよりも大きくなり、しかも韓国側の「正しさ」に同調してくれる人々が殆どいなかったため、「偶然による不可抗力だ」ということにしたわけです。


私達の常識ですと、この3つの反応は連続したひとつの流れであり、だからこそ「矛盾している」という認識になるわけですが、韓国的価値観では常に「断続した今」として認識するため、この3つはそれぞれが「別の出来事」として独立しています。
つまり、「矛盾している」という認識そのものが無いのです。


3つの出来事を一つの大きな出来事として認識する視点、つまり「戦略的視点」というものが根本的に存在していないため、一つ一つの出来事で「戦術的優位性」を得ようとし、結果私達から見ると矛盾にしか見えない言動を当たり前のように行うわけです。

2:問題を認識するための「視点」が違う


こうした傾向は日本との関係以外でも頻繁に見られます。


例えば、韓国はこれまで米軍による韓国へのTHAAD(終末高高度防衛ミサイル)配備に関連し、配備に反対する中国側から実質的な経済制裁を受けていました。


そして先月、韓国は中国と会談を重ねいわゆる3不(THAAD追加配置をしない、米国ミサイル防衛に加わらない、韓日米の軍事同盟を行わない)という実質的な「約束」を行い、「制裁を解いてもらった」わけですが、現在この事を問題にする韓国人は殆どいません。


韓国の三大紙などは以下の記事にもあるように、「これまでの中国の行いを忘れ、中国人が戻ってきたら歓迎するのか」等と批判していますが、その件に同調する人が殆どいないのです。


【コラム】中国が帰ってきたのがそんなにうれしいのか 朝鮮日報 2017/11/18 (1/3ページ) (2/3ページ) (3/3ページ


逆に最近の韓国の世論調査では、中国の習近平国家主席に対する好感度が最も高いという数字が出てきているのです。


ギャラップ「トランプ大統領の好感度、訪韓後9%から25%に上昇」 ハンギョレ新聞 2017.11.18


これまでの日本への態度などから考えると、「制裁」の件で中国を加害者認定し、自分達を被害者認定する事で劣等性の指摘をしそうですが、そうした雰囲気は韓国には一切ありません。
三大紙がそうした空気を作り出そうとはしましたが、多くの人はそこに乗りませんでした。


なぜかといえばこれも「今」のみを重視し、戦略的な優位性よりもその場での戦術的優位性を手に入れようとしているからです。


日本と中国との事例の違いは何かといえば、それは問題を認めて謝罪しているかどうかです。
この件において、中国は自身の落ち度を認めていないどころか、制裁があったことすら認めていません。


THAAD:中国外務省「韓流禁止令は存在しない」 朝鮮日報 2017/11/13


更に、韓国側が「これで関係改善がされた」と喜ぶと、今度は「記念式典があるから来い」と「SMSで韓国の政府関係者を呼びつける」というかなり失礼な態度までしてきました。


【コラム】韓国国会議員にSMSで招待状を送りつけた在韓中国大使館 朝鮮日報 2017/11/20


それでも韓国内から大きな批判の声は挙がりません。


では日本はどうかといえば、日本政府は相手にしなくとも日本国内の様々な団体が韓国側の主張に同調するため、そこから「今」日本の劣等性を導き出せます。


他方中国ではどうかといえば、中国の方針に反対し韓国側の方針に同調する中国人は存在しません。
だから「今」劣等性を導き出せないのです。


この事から解る事として、韓国社会では「今すぐ」効果を実感できる戦術的優位性という直接的で分かり易い利益を重視することと、実は物事の判断を非常に受動的に行っているという事です。


反日」に関しても、実は能動的にそうしているわけではなく、受動的に韓国的価値観における「利益」を得られる側を選択した結果というわけです。


そうでなければ中国の事例が説明できません。
歴史的に中国を恐れているからという解釈もできますが、これまでの韓国側の態度では、そうなればアメリカの陰に隠れるだけです。
実際、同じく革新系であった盧武鉉政権では中国の脅威を感じるとそうしています。


3:「戦略的視点」を認識できない


今回書いたように、韓国では「断続した今」を最も重視する傾向にある事から、「今」効果が見え易い戦術的優位性に拘ります。
そして結果的に、「戦略的優位性を放棄してでも戦術的優位性に固執する」という現象になるわけです。


戦略的視点が見えていないというよりも、戦略的視点という「概念が存在していない」と表現した方が適切でしょう。


私がこの件に気が付いたのは偶然でした。
かつて存在していた日韓翻訳掲示板において、ある日一昨年韓国で映画にもなった李舜臣の鳴梁海戦が話題になった事があります。


この事例は、李舜臣が少数の日本側先遣隊に勝利したあと、戦略拠点であった鳴梁湾を放棄してしまい、鳴梁湾を占領した秀吉軍は翌日から朝鮮半島への上陸を開始しています。


つまり、李舜臣は戦術的勝利と引き換えに戦略的敗北をしたという事になるわけですが、この事を韓国側に何度説明しても彼らはそれを理解しませんでした。
「日本は海戦で負けた」と主張し続けたのです。


当初は引っ込みが付かなくなって意固地になっているだけかと考えたのですが、「実際に秀吉軍は鳴梁湾を占領して上陸しているではないか、これは戦略上の敗北だ」と説明しても、彼らの中の「李舜臣が勝ち秀吉が負けた」という前提が崩れないのです。


そこで気が付いたのが、彼らは「戦闘に勝利した」という直接的な利益にのみ価値を置いており、戦闘をせずに戦略的要衝の鳴梁湾を手に入れた秀吉軍の勝利であるという認識自体ができていなかった事です。


つまり彼らにとっては、李舜臣が「海戦で秀吉軍に勝利した」という「日本側の劣等性」のみが全てであり、その後に何が起きようとそれはこの勝利と「連続性が無い」わけです。


韓国側がこの鳴梁海戦を「十数隻の李舜臣軍が300隻の秀吉軍を撃退した」と主張するのも、恐らくこのためです。
戦略的視点に基き、時系列でその時の出来事を追うという視点がそもそも存在していないので、李舜臣が秀吉に勝利したという部分で完結してしまっているわけです。


こうした特殊な韓国社会の認識は現在の韓国を取り巻く情勢においても重要です。
彼らは「その時の利益」のみを重視し、その言動が以後どんな影響を与えるのかという視点が最初から存在していません。


それが韓国側のトランプ大統領歓迎晩餐会の出来事に繋がっているわけです。


日本人の視点から見れば、場当たり的な政治的パフォーマンスで国内人気を集め、その代償として長期的な国際的信用を失ったと解釈されるわけですが、韓国側からしてみれば「日本を出し抜きトランプ大統領に自分達の正しさを伝えられた」という認識なのです。


先ほど引用したハンギョレ新聞の記事において、中国の習氏の高い好感度と共に、トランプ大統領の好感度が上がったのはこのためです。
晩餐会での出来事を、「トランプ大統領が正しい歴史認識を持ってくれた」と解釈しているのです。


こうした認識があるからこそ、戦略的視点の存在しない韓国は各国から北朝鮮問題で「コリア・パッシング(韓国素通り)」されるわけですが、彼らにはなぜそうなっているのかが理解できず、そこを中国に上手く利用されているわけです。



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