日韓問題(初心者向け)

日韓問題について、初心者でもわかりやすい解説と、日韓問題とマスコミ問題の動画のテキスト版を投稿しています。

韓国との歴史問題が決して解決しない理由



画像は韓国ソウルの光化門広場にある李舜臣


さて、本日は今でも度々問題となる韓国との間の様々な歴史問題関連のトラブル、これがなぜ解決不能なのかについて書いていきます。


韓国との間には様々な歴史問題があるが、その中には「なぜこれがトラブルになるのか」と首を傾げたくなるようなものも多数あり、そういった問題も含め、大抵の歴史問題で韓国側と議論をしようとすると「根本的に話が噛み合わない」状態になることが多い。


こうなる原因として、韓国では一般的に歴史や文化を「どちらが優れているか・劣っているか」で判断する習慣がある事が関係しており、「噛み合わない」原因は韓国視点から見て「劣っている」と判断されるために発生する。


また他にも、彼らは「民族の優れた歴史・文化」を前提として、自分達の理想とする「かくあるべき姿」で歴史を語り常時歴史が「アップグレードし続けている」ために、年々史料を前提とした歴史議論を受け入れることの出来る土壌が失われてきていることも関係している。



※一部を除き、引用記事が日本語の場合には文中にリンク用アドレスとタイトルのみ表記、韓国語のものやリンク切れで参照不能な記事のみ文末にまとめて本文を引用します。※本文中のリンクは引用の元記事、或いはインターネットアーカイブウェブ魚拓(別サイト)へのリンクです。



1:歴史の評価基準が「優劣」


まずはこちらの記事から


韓流文化人振興財団、「済州海女」漫画製作支援
NEWSIS/朝鮮日報 2016/03/22
http://www.chosunonline.com/site/data/html_dir/2016/03/22/2016032200601.html (リンク切れ)
https://web.archive.org/web/20160323144154/http://www.chosunonline.com/site/data/html_dir/2016/03/22/2016032200601.html (インターネットアーカイブ

 済州島の海女(ヘニョ)文化が国連教育科学文化機関(ユネスコ)の無形文化遺産登録に登録されるかどうかは今年11月に決まるが、韓流文化人振興財団はこれに向けて、漫画家志望のパク・スンヒさんの「済州島海女ユネスコ登録祈願文化保存プロジェクト」を支援すると21日、明らかにした。

 「済州島海女ユネスコ登録祈願文化保存プロジェクト」は、日本の海女(あま)文化とユネスコ世界遺産登録を競う済州島海女文化を応援するため、パク・スンヒさんの海女関連漫画製作を支援するプロジェクトだ。

 パク・スンヒさんは偶然、海女に関するドキュメンタリー映像を目にして以来、3カ月間済州島に滞在して海女を観察、漫画製作に取り掛かった。8月にシナリオ作業が完了する予定で、それから漫画冊子の製作に入ることになる。

 パク・スンヒさんは「韓国海女の潜水技術は日本の海女の潜水技術よりもはるかに優れているが、日本は海女文化のコンテンツ製作に特に力を入れており、韓国側はユネスコ世界遺産登録に苦労している。韓国も海女をテーマにしたコンテンツ製作に励み、ユネスコ世界遺産登録に努力しなければならない」と語った。

 韓流文化人振興財団は一般の人々と共に製作金を渡し、パク・スンヒさんの経済的困難を軽減させる方針だ。

 同財団関係者は「文化コンテンツの不在により、韓国の誇りある海女文化が日本の海女文化に押され、ユネスコ登録で困難を来している。今回のプロジェクトをきっかけに、一般の人々に海女文化への興味を持ってほしい」と話している。


この記事なのですが、ユネスコ無形文化遺産登録の動機として、彼らは「韓国海女の潜水技術は日本の海女の潜水技術よりもはるかに優れている」を動機としていることが解ります。


これなのですが、説明するまでもなくこうした文化遺産とは優劣で判断するようなものではなく、貴重な歴史文化が失われないように登録する事を目的としているのですから、彼らの動機は明らかに国際常識から見て常識外れです。


ここまでなら「いつもの価値観=常識やあり方の違い」となるわけなのですが、ここでこれまでこのブロマガを読んできてくださっている方ならふと疑問に思うはずです、「なぜここまで主張しておいて起源主張ではないのか?」と。


実際のところ、過去には韓国は公式に起源主張をしていましたし、今でも社会的に影響力のある国会議員などが海女の起源主張をしています。


(※1)
「済州(チェジュ)で海女技術習った日本に元祖奪われるところ」 済州の声(韓国語)  2016年6月21日


ここで重要となるのが、日本と韓国の海女の歴史についてです。


歴史を調べていくと、日本の海女に関する記述は魏志倭人伝に「海中へと潜り好んで魚や鮑を捕る」と書かれており、また神奈川県の1世紀頃の遺跡で潜水漁に使われたと思われる道具が発掘されています。


他にも、万葉集には海女や「海人(アマと読み海女の男性版)」の記述が幾つもあり、相当古くから存在していたことがわかります。


それに対し、韓国の海女に関しては5世紀頃に存在した痕跡があると同時に、この頃は男性が行うものだったようで、女性のいわゆる「海女」が登場したのは17世紀頃、更に職業としての海女が定着したのは日韓併合後のようなのです。


要するに、歴史資料からは韓国の方が歴史が浅く、それどころか日本の海女漁の影響を受けた可能性すらある事が解るのです。


しかし、以前から書いているように韓国では「起源のほうが偉く優れている」という考え方があるため、韓国から日本への文化の影響や伝播は肯定できても、日本から韓国への文化の影響や伝播は一切肯定できません。


そして恐らく、日本が海女のユネスコ登録を行おうとした際にどこかしらからこの件について韓国は突っ込みを入れられたのでしょう。


韓国内や日本と韓国の間のみでのやり取りならば、彼らはそんな事は気にせず「韓国が起源だ」と言い張ったでしょうが、ユネスコ登録に際して何らかの第三者の評価が入ったために歴史考証をせずにはいられなくなり、結果「韓国の方が優れている」と主張するようになったようなのです。


ユネスコ無形文化遺産、海女の登録めぐり「韓日戦」激化(1)
 (2) 中央日報 2013年12月18日


上記記事からは、日本が「文化の保護」を目的として登録をしようとしたところ、韓国側が「優劣の問題」を持ち出して「済州の海女の質は日本より優秀だ。釜山(プサン)や東海(トンヘ、日本海)はもちろん日本の海女の元祖も済州の海女」と論争化させた経緯が良くわかります。


この事から、彼らにとって歴史や文化とは「どちらがより優れているか」という優劣の問題であり、起源主張できないのならば「それ以外でなんとしてでも優越性を証明しようとする」という事が解ります。


そして現在、韓国は済州の海女のユネスコ登録を何らかの形で成功させたようなのです。


「済州の海女文化」、ユネスコ無形文化遺産登録が確実視 中央日報 2016年11月01日


日本は韓国との共同登録という形にしようとしていたようですが、彼らはあくまで「済州の海女のほうは優れている」という事を証明したいがために登録をしようとしていたわけですから、最初から話が噛み合っておらずこうなったのは必然でしょう。


2:年々エスカレートしていく「かくあるべき歴史」


次にもう一つ日本と韓国の歴史論争が解決しない原因について紹介します。


彼らは自分達が理想とする「かくあるべき姿」を何よりも重視しており、歴史に関しても史料よりもそちらを優先する事は以前から書いてきました。


そして実はそれだけではなく、韓国では近年の民族主義の高まりと共に「歴史のアップグレード」とも言えるような現象が発生しており、元々史実からかけ離れる傾向にあった歴史が更に現実離れしていく状況になっています。


代表的な事例はこのブロマガでも過去に何度か扱ったことのある李舜臣の事例でしょう。
彼は豊臣秀吉朝鮮出兵である文禄・慶長の役の頃の朝鮮の軍人なのですが、史実の彼は特にこれといって秀でた部分があるわけでもない平凡な軍人です。
(ただし文禄・慶長の役当時の『朝鮮の軍人の中では』相対的に非常に優秀です)


現在の韓国では、鳴梁海戦において13隻前後の軍船で日本の軍船133隻と輸送船200隻を撃破した「ネルソンに匹敵する世界五大提督」という事になっており、さらには「日露戦争において東郷は李舜臣の戦略を真似てロシア艦隊に勝利した」という事になっています。


しかし、史実の秋山真之の戦術・戦略研究に李舜臣の名前など無く、この彼らの歴史観司馬遼太郎の著書「坂の上の雲」にある「水雷艇艦長が李舜臣の霊に必勝を祈った」という記述部分に対して拡大解釈に拡大解釈を重ねた結果でしかありません。


「李舜臣は世界史変えた偉大なリーダー…世界3大提督の資格充分」 中央日報 2015年01月06日
西洋にはネルソン、東洋には李舜臣…海外でも認識拡散中(1) (2) (3) 中央日報 2015年01月06日


また史実の李舜臣は、韓国人の上記歴史観の元となった鳴梁海戦において、1597年9月16日に「敵艦31隻を撞破」と自称しているだけであるうえに、その自称すらも史実とは整合性が取れない部分がいくつもあります。


また更に、実際には当時李舜臣は秀吉軍の先遣隊20~30隻前後と戦闘を行い、海流を利用して勝利しますが、その日の夕方には戦略拠点である鳴梁の根拠地を放棄し撤退、翌日には藤堂高虎脇坂安治らによって無血制圧されています。


もし、李舜臣が秀吉軍に彼らの主張する通りの勝利をしていたのならば、重要な戦略拠点であった鳴梁海峡を放棄する理由が無いですし、その後秀吉軍はそこから上陸を開始しているのですから、彼らの主張がいかにでたらめであるのかがわかるのですが、韓国人は往々にしてこの事実を無視します。


そして更に、2年前に韓国でこの鳴梁海戦をテーマにした映画が記録的な大ヒットとなり、これによって若い世代を中心にある種の「李舜臣ブーム」のようなものが発生した結果、更に「かくあるべき歴史」に基く歴史のアップグレード現象が発生しています。


たとえば以下の事例では、アメリカで韓国系の漫画家が李舜臣の功績を「忠武公が12隻の船で日本軍の330隻の船を撃退させた」と主張しノンフィクションのマンガとして発表していたり


米作家が描いた漫画「李舜臣」を忠武公誕生日の28日に公開 東亜日報 April. 28, 2016


民族主義団体のVANKが「李舜臣将軍の精神を受け継ぎ北東アジアの平和を導く人材を育てるプロジェクト」というものを立ち上げたりしています。


韓国に対する正しい認識促す 市民団体16年で462件 朝鮮日報 2015/02/18


また更に、韓国の理系の若手研究者達がなぜか李舜臣の「科学的歴史考証を行う」として論文を発表しているのですが、その中では「李舜臣は秀吉の艦隊を狭い海峡に誘い込んで全滅させた」という事になっています。


<インタビュー>核工学者が書き直した李舜臣将軍の「乱中日記」(1)
 (2) (3) 2016年09月09日


そしてこの記事を読む限り、この「撃破記録」は驚くべきことに全て「憶測と仮定の積み重ね」で書かれているのです。
「理系の研究者の行った考証が」です。


こうして現在、韓国ではある種の「李舜臣の神格化」のような現象が発生しており、多くの韓国人がこれを信じている上に、世界中の人々がこれを「正しい歴史」として受け入れることを望んでいるのです、当然日本にも。


当たり前の事ですが、「日本人の一般常識」ではこんな話を受け入れることは出来ません。
当然史実に基いた考証によって反論する事になるのですが、近年の韓国はこの李舜臣の事例のような「歴史のアップグレード」が頻繁に発生しており、年々史実を受け入れることが出来る土壌が消えていっているのです。


彼らにとっては、「自分達の理想とするかくあるべき姿」こそが歴史なうえに、年々民族主義が先鋭化していることから歴史観も常時それに見合った「誇らしい歴史」に改変が行われており、こうした面からも歴史問題は解決不能になっていっているのです。


3:韓国では異論が許されない


上記のように、彼らはその独特の価値観=常識から来る特異な歴史観を有しており、その特異性から史料を無視するため日本との歴史問題が発生し続けるわけです。


そしてこれは、上記のような問題だけではなく基本は慰安婦問題やその他韓国との戦後補償問題などでも全く同じです。
彼らは「自分達の望む歴史」以外は受け付けないのです。


そして韓国内でこの歴史観に少しでも異論を唱えるとどうなるかといえば、公開の場で土下座を強要されたり、暴力的な襲撃を受けたり、場合によっては司法や政府から弾圧を受けることなどもあり、文字通り「社会で生きていけない」状態になります。


韓両国における「慰安婦問題」の鎮静剤になるか JBPRESS 2016.11.22


実際、私は過去日韓翻訳掲示板において、「こんな事を(学校や会社や家庭で)言ったら生きていけなくなる」と嘆く韓国人を何人か見かけたことがあります。


民族主義の先鋭化によって年々「現実離れした歴史観」がアップグレードし続けている上に、韓国社会では「一つの正しさ」に拘る傾向にあり、その正しさ以外は「劣等なもの」と認識される事から、この歴史観に異論を提示することが「社会的に許されていない」のです。


また更に問題なのが、韓国人から良心的日本人(例1 例2)、私が便宜上「日韓友好論者」と呼んでいる人々がこの彼らの「正しい歴史観」を煽っていたり、或いは積極的に同調している場合がある事です。


偏見に満ちた日本人の目から見た三・一運動 朝鮮日報 2016/11/20


こうした人々は、韓国側の主張を安易に何でも受け入れてしまう上に、自分達の考えに反する主張を「差別主義者」と認定しメディアと組んで「脅す」傾向にあり、彼らはこの安易な同調を「絶対正義」としてしまっています。


結果、余計に韓国内で異論を口に出し難い状況を助長しており、同時に韓国人に対して「正しい道徳心を持つ日本人もいる」というある種の確信を持たせ、余計に日韓の歴史問題を「解決し難いもの」にしており、「異なる考えを持つマイノリティーな韓国人」を精神的・社会的に追い詰めることにもなっているのです。


主に今回紹介した3つの理由により、日本と韓国の間の歴史問題は「解決不能」となっているわけです。



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(※1)
「済州(チェジュ)で海女技術習った日本に元祖奪われるところ」
済州の声(韓国語)  2016年6月21日
http://www.jejusori.net/?mod=news&act=articleView&idxno=179047

済州海女(チェジュヘニョ)から潜水(ムルジル)技術を習った日本に海女(アマ)に元祖の席を奪われるかもしれないという憂慮が民意の殿堂で公式に提起された。

イ・ソンファ議員(セヌリ党)は21日午後に開かれた第341回第一次定例会第二次本会議で5分間の発言を通じて「最近、日本のSNSを見ると、済州海女や海女文化を国内だけでなく世界に知らせるマーケティング済州島(チェジュド)が一層拍車をかけなければならない」としてこのような憂慮を伝えた。

イ議員が最も憂慮した場面は去る5月25~27日、日本の三重県伊勢志摩で開かれたG7首脳会議だ。安倍総理夫人がG7首脳配偶者プログラムを通じて日本海女を世界に知らせる広報の場に活用したのだ。特になかなか国際行事に顔を出さなかったドイツのメルケル首相の夫(ヨアヒム・ザウアー)が今回のG7首脳会議に参加することになった理由について「海女文化に対する個人的な好奇心のため」と話した部分は大きな衝撃だった。

これについてイ・ソンファ議員は「日本は海女文化をこのように国家ブランドとしてグローバル・マーケティングするにあたって、すでに画家らが描いた切手もあり世界へ行って政府と首相夫人まで立ち上がって日本の海女を広報するとはうらやましいばかりだ」と吐露した。

イ議員はまたSNSで‘済州海女に海女技術を習った日本、あきれたことに海女の元祖を主張し日本に元祖の席を奪われる危機’というタイトルの文がトピックとして広がると聞いて「日本の海女の国家的関心は全世界に広がっている反面、これを見守る私たちは危機感に置かれている」と憂慮を伝えた。

済州海女文化をユネスコ登録に集中する戦略の問題点も指摘した。イ議員は「本来、世界の人々に愛されて共感を得るのは元祖の済州海女(チェジュヘニョ)ではなく日本の海女(アマ)」として「世界の人々に‘チェジュヘニョ’は発音するのも難しいが、日本の‘アマ’という発音は簡単で、政府の支援を受けた各種マーケティングを通じてグローバルブランド化されつつある」と話した。

それと共にイ議員はウォン・ヒリョン知事に‘SOS’を出した。本来、済州海女文化がユネスコ文化遺産登録されても全世界の人々から愛されるコンテンツは日本のアマになりかねない、という憂慮を伝えたイ議員は「済州海女文化の価値を高めるために、知事と済州が持つ全世界の人々とのネットワークを稼動して欲しい」と訴えた。