日韓問題(初心者向け)

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【北朝鮮問題】韓国の反応が「鈍い」理由


さて、本日は一連の北朝鮮によるミサイル実験や核実験に対して、韓国側の反応がかなり鈍い理由について書いていきます。


最近北朝鮮は次々と核兵器関連技術の開発に成功し、ほぼ完全な形の長距離弾道ミサイルと搭載核の技術を手に入れたのではないかとされているが、その核の脅威に最も晒されているはずの韓国の反応が非常に鈍い。


これには政権が親北系である事や、現在の韓国の主流層のうち30~40代に特に親北系の傾向が強い事なども関係しているが、それ以外に韓国内での派閥争いや内紛が激化してきており、そちらに注意が向いているためという事情もある。


また、韓国の三大紙などは気付き始めているが、国際社会は北朝鮮問題から韓国を外す「コリア・パッシング」の傾向が強くなってきており、文政権の外交ミスもあり問題に関われないため関心も低いという背景もある。



※一部を除き、引用記事が日本語の場合には文中にリンク用アドレスとタイトルのみ表記、韓国語のものやリンク切れで参照不能な記事のみ文末にまとめて本文を引用します。
※本文中のリンクは引用の元記事、或いはインターネットアーカイブウェブ魚拓(別サイト)へのリンクです。



1:北に関心が薄い親北


まずはこちらの記事から


韓経:【取材手帳】韓国より切迫した日本の北核対応
2017年09月05日09時13分
[ⓒ韓国経済新聞/中央日報日本語版]
http://japanese.joins.com/article/047/233047.html

北朝鮮弾道ミサイルを発射したり核実験を実施したりした時、最も忙しそうだった人物は誰だろうか。日本の安倍晋三首相を挙げる人が多い気がする。

最近、安倍首相の時刻表には午前6時30分から午後12時まで、数十件の北朝鮮関連の対応日程がぎっしりと詰まっている。北朝鮮の脅威を最も深刻に感じている国も日本が1等を占める可能性が高い。北朝鮮が挑発した日であれば、全国各地の幼稚園・小学校などで避難訓練をし、休校する様子も目にすることができる。日本の高速鉄道である新幹線が止まったりもする。

安倍首相は北朝鮮が日本列島を通過する弾道ミサイルを発射した先月29日、ミサイル発射(午前5時58分)後30分もたたない午前6時24分に官邸で記者会見を行い、「国民の安全を守るために万全を尽くす」と明らかにした。午前7時8分には国家安保会議(NSC)を開いた。朝早くからボサボサ頭でテレビに登場する日本首相に接するのは日常になった。

北朝鮮が6回目の核実験を強行した3日も、日本政府はまるで日本が攻撃を受けたかのように慌ただしかった。安倍首相は午前8時59分と午後11時3分に、一日2回という異例の回数でドナルド・トランプ米大統領北朝鮮核問題をテーマに対応策について協議した。午後11時28分には北朝鮮制裁に中途半端な態度を示しているウラジーミル・プーチン露大統領に電話をして説得した。

同じ時期、韓国で伝えられるニュースを聞くと、韓国は北朝鮮の核問題をまるで「他人事」のように考えているのではないかと感じる。7月末に北朝鮮大陸間弾道ミサイルICBM)を発射した時、文在寅ムン・ジェイン)大統領は1週間の休暇に入った。安倍首相が最近1週間で4度もトランプ大統領北朝鮮問題を協議している間、当事国である韓国大統領はたったの1回だけ電話会談をした。日本ではNSC会議に首相が必ず参加しているが、韓国では日本より早く開催されないだけでなく、実務級中心で会議が行われる場合も多い。

北朝鮮の核・ミサイル問題が軍事的衝突に進む場合、最も大きな苦痛を受ける国は韓国だ。この問題の解決を韓国が最も切実に考えていると胸を張って言えるだろうか。

キム・ドンウク/東京特派員


北朝鮮と国境を接し、更に現在事実上の「戦争継続中」であるはずの韓国が、なぜか「他人事」でまるで危機意識が無い事を問題視している内容です。


これなのですが、元々韓国内の親北系というのは、北朝鮮から直に指令を受け工作員として活動している人物以外には、直接的に北朝鮮とのパイプを持っている人物がいません。
これは日本国内でもほぼ同じです。


そのため韓国内の親北派とは、民族主義の傾向から「同じ民族同士なのだから核を撃ってくるわけがない、挑発しなければ話し合える」程度の認識で北朝鮮問題に対している場合が多く、今回のように北朝鮮に強く出られると対応できなくなりがちです。


文大統領も恐らくこのタイプです。
こうしたタイプには、文大統領がどうかは知りませんが、一般的に「米軍が撤退すれば北朝鮮と和解でき、南北で連邦を形成して核武装できる」という考え方を持っている人々が多いのが特徴です。


またこれも文大統領がどうかは知りませんが、こうした人々は、「北の核は日本とアメリカ用だ」と考える傾向にあるのも特徴で、韓国ではこのタイプが特に親北系の教育を強く受けた現在の30代から40代に多い傾向にあるようです。


これが現在の韓国の反応が「薄い」理由の一つです。
ただしこれは現状の「薄い」理由の主な原因ではありません。


2:韓国内の政争


次の理由は朝鮮の伝統とも呼べる現象です。


元々朝鮮では、国が危機に陥ると政争を起こし内紛に陥る事が多いのですが、現在の韓国でもまさに「それ」が発生しています。


例えば、最近韓国では朴元大統領を支持する団体が警察から捜査されました。
その理由がかなりとんでもなく、デモで「戒厳令を宣布せよ」「軍隊が出動せよ」と書かれたビラを配ったため「内乱扇動容疑」だというのです。


【社説】内乱扇動容疑で太極旗集会を捜査、不純な意図は明白だ 朝鮮日報 2017/08/29


そもそも、それを言い出したら去年の12月に憲法裁判所前で朴元大統領の弾劾裁判に関連し「(憲法裁判所が弾劾訴追案を棄却すれば)革命しかない」と訴えていた文大統領はどうなるのかと突っ込みを入れたくなります。


【社説】「法が駄目なら力で」 弾劾にふさわしい文在寅発言 朝鮮日報 2016/12/19


この危機的状況で韓国は政争をやっているのです。
更に政争は他でも起きています。


現在韓国では以下の記事に書かれているように、韓国の大手テレビ局であるKBSとMBCがストに入っており、北朝鮮情勢がまともに伝えられない状態になっています。


【社説】北核実験後も通常放送を続けた韓国の国営放送KBS 朝鮮日報 2017/09/05
北核実験:スト突入で特別番組を作れない韓国の放送局 朝鮮日報 2017/09/04


理由は朝鮮日報の記事では詳しく伝えられていませんが、ハンギョレ新聞にはその動機が詳しく書かれています。


「KBSが“軍コメント工作、MB大統領府報告”特ダネ報道を阻んだ」 ハンギョレ新聞 2017.08.30


記事によると、以前も取り上げた李明博政権時代の情報機関による世論操作事件、この件をKBSの記者がスクープとして報じようとしたところ、上層部からストップがかかり、その事を問題にして社長の退陣などを求めているようなのです。


またMBCのの場合には、KBSの日本語版に記事があります。


MBC 賛成93.2%でストライキ決定 KBS


記事によると、「2012年のストライキへの参加の有無などにもとづいて、社員を等級付けしたブラックリストを密かにつくり、人事評価や部署への配属などの参考にしていたとする文書が発見された」ことから、経営陣の辞任などを求めているようです。


更にMBCの社長に対しては、MBC労組が「会社側の労働組合への不当介入や組合員に対する懲戒処分について雇用労働部に特別勤労監督を申請」し、逮捕状が出されるという事態になっています。


MBC社長に逮捕状 KBS 2017-09-02


そしてそれが更なる政争を呼び、現在韓国ではこの一連の行為が「文政権による放送局の掌握行為である」として、最大野党の自由韓国党が国会活動の全面キャンセルを行うという事態にまで発展しています。


【社説】国難の最中でも政争に余念がない韓国の政治家たち 朝鮮日報 2017/09/04


このため現在の韓国では、韓国の三大放送局のうちSBSを除く2社が報道機関として機能しておらず、北朝鮮関連のニュースをまともに報じる事ができなくなっており、更に国会も空転状態なのです、危機意識を持とうにも持てるだけの情報が世間に伝わらないという事態に陥っている事になります。


つまり、北朝鮮の核危機という最悪のタイミングで政争が発生し、更にその政争が放送局や国会にまで波及した結果、北朝鮮情勢が詳細に報じられない・議論もされないという事態になっているわけです。


特に今回の場合、この2つの事例の要因が大きいでしょう。


3:コリア・パッシング(韓国素通り)


上記のような状況から、現在の韓国では北朝鮮の核危機に対する関心が日本に比べてずっと薄いのですが、他にも理由があります。


それは北朝鮮の核問題から韓国そのものがはじき出されつつあるからです。


日米首脳会談後の記者会見で抜けた「日米韓の連携」 中央日報 2017年09月04日


上記記事によると、先日4日の安倍首相の記者会見において、「両首脳は中国とロシアの役割が重要だという認識も共有し、国連を含めて日米が緊密に連携していくという立場を再確認した」と、韓国への言及が無かったとしています。


そしてこの事は、その少し前にトランプ大統領が文大統領に対して「私が韓国に述べたように、韓国は北朝鮮に対する融和的な発言に効果がないことを悟りつつある」と不満を漏らしたことを受けて、その不満をトランプ大統領が安倍首相に具体的に伝えた結果ではないかと書かれています。


また以前言及しましたが、韓国のどっちつかずの態度は中国の態度を硬化させ、最早話し合いの余地すらない状況になっていますし、北朝鮮は元々韓国の事を交渉相手としてすら見ておらず、日本とアメリカにばかり言及しています。 


しかもこの状況で、韓国は米国とはFTA問題と対北での安保問題を、中国とはTHAAD問題を、日本とは慰安婦問題に続き徴用工問題まで発生させ、ロシアはTHAAD問題で中国に同調しているため、そもそも足並みをそろえる糸口となる周辺国がありません。


結果、少し前から韓国を取り巻く国際情勢では、「北朝鮮と対話をしても完全な核廃棄を得ることはできない。中国は北朝鮮体制を崩壊(金正恩除去)させ、米国は在韓米軍を撤収する『事前ビッグディール』に合意すべき」という意見が目立ち始めています。


【時視各角】韓国には安倍首相も崔天凱大使もいなかった 中央日報 2017年09月05日


この方針通りに進んだ場合、韓国に選択権は一切ありません。
このやり方の場合、事実上朝鮮半島を「政治的空白状態にする」のが目的だからです。


そして私見ですが、国際社会はこの方向で意見のすり合わせを行っているように見えます。
「中国による北朝鮮への軍事介入で金正恩核兵器の排除」ならば、最も角が立たないからです。


韓国の保守系や三大紙が繰り返し訴えている「コリア・パッシング」や、頻繁に語られる韓国の核武装論はこれを意識したものなのではないでしょうか。


そのため韓国に北朝鮮問題へ介入できる余地が無く、その事が韓国知識層の「対北無関心(無気力)」を生んでいる可能性があるわけです。
どうにもならない事をあれこれ考えても無意味ですから。



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