日韓問題(初心者向け)

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韓国次期大統領候補トップの文在寅氏と親北派について書いてみる


さて、本日は現在韓国で次期大統領候補としてトップの支持を集めている文在寅氏と、文氏を含む韓国内の親北派がどのようなスタンスの人々で、過去にどのような事をしてきたかについて書いていきます。


現在韓国内の次期大統領候補支持率で独走状態となっている文在寅氏だが、彼はその所属政党も含め過去何度も北朝鮮の体制維持を助けるような言動を行ってきた人物であり、現在に至るまでそのスタンスは全く変わっていない。


また、彼は盧武鉉政権において重要なポストについていた人物だが、盧武鉉政権は国連などが行う北朝鮮への制裁を妨害したり、露骨に対北朝鮮で日米との連携を拒否したりと、「足並みを乱す」行いを多数行ってきた過去がある。


今後このまま彼が韓国の大統領に就任した場合、この当時と全く同じ状況になる可能性が高く、そうなった場合韓国に対して融和的な態度を取る事は北朝鮮問題も含めた状況の更なる悪化を招く可能性が高い。


※一部を除き、引用記事が日本語の場合には文中にリンク用アドレスとタイトルのみ表記、韓国語のものやリンク切れで参照不能な記事のみ文末にまとめて本文を引用します。
※本文中のリンクは引用の元記事、或いはインターネットアーカイブウェブ魚拓(別サイト)へのリンクです。


1:文在寅氏の政治的スタンス


まずはこちらの記事から

金正男殺害:「北朝鮮の仕業なら…」 歯切れが悪い韓国野党
朝鮮日報 2017/02/21
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野党側発言に見え隠れするジレンマ

 北朝鮮金正恩キム・ジョンウン朝鮮労働党委員長の異母兄、金正男キム・ジョンナム)氏の暗殺を指示したことが明らかになりつつある中、韓国の最大野党「共に民主党」や大統領選挙出馬候補者らの対北朝鮮政策に関する悩みも深まっている。共に民主党前代表の文在寅ムン・ジェイン)氏、忠清南道知事の安熙正(アン・ヒジョン)氏や野党主流派は「北朝鮮が暗殺を指示したなら…」という前提条件付きで糾弾に加わっているが、終末高高度防衛ミサイル(THAAD)配備・開城工業団地事業・金剛山観光事業再開といった対北朝鮮政策の中核的な部分については変化がない。同党内部では「それでも対話しかない」「国民情緒や国際的な制裁の流れを無視することはできない」と賛否が入り交じっている。

 共に民主党の主流派は当初、「はっきりしていないことがいろいろあり、おかしい」と疑問を投げかけていたが、今は「北朝鮮の仕業」という見方に傾いている。それでもまだ、北朝鮮を暗殺の黒幕として名指ししてはいない。早い時点で北朝鮮を黒幕だと名指ししていた政府とは温度差があるということだ。このため、北朝鮮に関する発言をするたびに「もし~なら」という前提条件を付けている。文在寅氏は19日、「もし北朝鮮の指令による政治的暗殺なら、全世界が糾弾すべき重大なテロだ」と述べた。「もし政治的暗殺なら野蛮な行為だ。まずは事実関係を正確に把握するのが先だ」と語った16日の発言よりも一歩踏み込んではいるものの、依然として慎重な姿勢だ。共に民主党の秋美愛(チュ・ミエ)代表も20日の党会議で、「北朝鮮は責任あるコメントを表明すべきだ。背後関係が明らかになれば、北朝鮮の反人倫的行為は国際社会の批判にさらされ、孤立に直面するだろう」と言った。禹相虎(ウ・サンホ)院内代表も「北朝鮮国籍の容疑者が殺害に関与していたなら、北朝鮮は捜査に協力するのが国際法上の慣例だ」と述べた。

 今回の事件をきっかけに、対北朝鮮政策を大幅に変更したり、優先順位を「対話」から「制裁」に転換したりする予定は今のところない。文在寅陣営の総括本部長を務める宋栄吉(ソン・ヨンギル)議員は「正男氏暗殺の前後で北朝鮮に大きな変化がないので、対北朝鮮政策を突然変える理由はない。北朝鮮は今も昔も予測可能だが、依然としてうまくコントロールしながら協力を引き出さなければならない存在だ」と語った。田炳憲(チョン・ビョンホン)戦略本部長も「今の状況ではすぐに北朝鮮と対話することもできない。国際制裁とは別に行動するつもりもない。状況は変わっていない」と言った。「北朝鮮の核問題を解決するには対話と制裁という2つの手段を使わなければならない」という従来の戦略に変化はないということだ。
(後略)


記事にもあるように、金正男氏暗殺に関連して文氏らの態度は非常に歯切れが悪く、また北朝鮮に対しての制裁などにも消極的な姿勢を貫いており、文氏が北朝鮮に対してかなり親和的な態度の持ち主である事がわかります。


また、同記事でも少し触れていますが、韓国は去年2月に行われた北朝鮮による弾道ミサイル実験への制裁措置として、国際社会の支持を得て北朝鮮との共同運営を行っていた開城工業団地の操業停止を決定しました。


これは「開城工業団地から北朝鮮流入する資金が兵器開発に流用されることを防ぐ」事を目的としていたわけですが、文氏はこの問題がまるで解決しておらず、更に現在も北朝鮮が弾道弾実験を行っているにもかかわらず、「操業再開」を訴えているのです。


米下院でも「最有力大統領候補」として注目された文在寅氏 東亜日報 February. 09, 2017


他にも、彼は「大統領に当選したら、米国よりもまず北朝鮮に行く」と宣言しており、同盟国よりも北朝鮮を優先するとはっきりと公言しています。
アメリカを優先しない」ではなく、「北朝鮮を優先する」としていることが重要です。


文在寅氏「韓国大統領、まず米国に行くべきというのは固定観念」 朝鮮日報 2016/12/27


またこれは過去にも何度か書いていますが、文氏が民政首席や大統領秘書室長などの要職を務めていた盧武鉉政権が、2007年の国連北朝鮮人権決議案を棄権した際に事前に北朝鮮に「お伺いを立てていた」という内部告発がされており、この件は崔順実問題に隠れて未だに有耶無耶のままです。


北の意見聞き人権決議棄権 元外相回顧録「事実なら衝撃」=韓国 聨合ニュース 2016/10/17
「北にお伺い」暴露本、記述が韓国大統領府の説明と一致 朝鮮日報 2016/10/18
1/3ページ) (2/3ページ) (3/3ページ
[社説]北朝鮮人権機構を漂流させる「共に民主党」、2007年と変化なし 東亜日報 October. 20, 2016


更に彼は、THAAD配備慰安婦合意、日韓軍事情報包括保護協定(GSOMIA)など全てを「見直す」と宣言しており、これが全て実行された場合韓国と日米の対北朝鮮の連携は完全に崩壊する事となります。


文在寅前野党代表「THADD、慰安婦合意など見直す」 中央日報 2016年12月16日


また他にも、文氏の所属する最大野党(共に民主党)はTHAAD問題で中国との連携を強めており、現在実質的に韓国が大統領不在である事を利用して独自に中国との外交を行い中国側に歓迎されるという状況になっています。


THAAD:「配備先送り」共に民主議員8人が訪中へ、中国政府は歓待 朝鮮日報 
2017/01/03



このように、彼らは露骨に親北・親中であり本来ならば韓国において高い支持を得られる人物ではないはずなのですが、実際には高い支持となっている背景として、親北派は民族主義を前面に出した政策を行っており、民族主義教育を受けてきた若い世代の支持が高いという背景とともに、崔順実問題などで浮き彫りになった社会不信の問題があります。


韓国は徹底した序列社会である事は以前より書いていますが、現在韓国では所得格差の問題が広がっており、更に「努力しても社会的地位が上がらない」という考えが社会に蔓延し、序列が高い人間は低い人間に何をしても許されるという風潮がある韓国では、深刻な社会不信となっています。


「はしご」途切れた大韓民国…身分上昇への期待過去最低 中央日報 2017年02月07日
財閥の金の匙“超高速”昇進…入社5年以内で役員に ハンギョレ新聞  2017.02.09



そして崔順実問題が起きた事でこうした不信や不満が「2世」である朴大統領へと向き、相対的にこのような既得権と「無関係に見える」うえに、ポピュリズムの傾向が強くこうした問題に関連し過激な発言を繰り返す文氏に支持が集まったという背景があります。


社会的な価値観や背景が日本とは異なる韓国では、格差問題が日本とは違った捉えられ方や性質を持っているからこそなのです。


2:過去の事例から予測


文氏が大統領に就任した場合に何が起きるか、こればかりは「なってみないと解らない」ところがありますし、彼の言動は扇動的で場当たり的なポピュリズムの傾向が強く、現在の発言がそのまま就任後の政策になるかどうかも未知数です。


最近も、これまで慰安婦合意などの再交渉等、歴史問題の解決を日韓関係改善の前提条件と主張していたものが、数日前には歴史問題を関係改善の前提条件にしないと主張し出しており、発言にまるで一貫性がありません。


文在寅氏「慰安婦合意を韓日関係発展の前提条件と見なすな」 朝鮮日報 2017/01/16
歴史問題 韓日関係の前提条件にせず=次期大統領最有力候補 聨合ニュース 2017/02/16


要するに態度が場当たり的過ぎて予測し難い人物なのですが、過去に彼が要職に就いていた盧武鉉政権がどのような対北朝鮮政策をしていたのかと、2012年の大統領選挙に文氏が立候補した際にどのような態度であったかが参考になります。


まず盧武鉉政権時に何が起きていたのかなのですが、たとえば2006年7月に北朝鮮がミサイル実験を行った際には、「日本が主導している対北朝鮮制裁決議には賛同しない」という態度を取ります。


【ミサイル】「韓国は最後まで日本とは行動を共にしない」 朝鮮日報 2006/07/11


更に国連が対北制裁決議案を提出すると、韓国政府は制裁を「非難決議」に変更するよう要求していた中国と足並みをそろえようとしていました。


【ミサイル発射】韓国、北朝鮮制裁決議案の無力化図る 朝鮮日報 2006/07/13


また、日本がこのとき「北朝鮮への先制攻撃は可能」と発言すると、韓国は北朝鮮に同調し「ミサイルよりも日本のほうが脅威だ」という態度をとり、更に韓国の当時の与党議員が、「日本主導による国連の対北制裁決議案は明白な侵略主義」と、北朝鮮のミサイル問題を日本の問題に摩り替えてしまいます。


【ミサイル発射】南北、「ミサイルより日本が脅威」で一致 朝鮮日報 2006/07/13
「日本主導による対北制裁決議案は明白な侵略主義」 朝鮮日報  2006/07/14


結果的にこの年の10月になって決議は全会一致で一応採択されましたが、韓国が足並みを乱したことが国際社会の不信を呼び、また北朝鮮の問題を日本の問題に摩り替えた事で日本との関係も悪化しました。


こうした韓国の態度から、当時在韓米軍の司令官が韓国国会の安全保障フォーラムで「(アメリカと韓国の)同盟の存在理由をもう一度理解するべきだ」と不信感をあらわにしています。


ベル司令官「韓米同盟の存在理由を理解するべき」 朝鮮日報 2006/07/14


その後こうした行為を繰り返した結果アメリカなどから強い不信感を持たれ、恐らく裏で何らかの圧力を受けたのでしょう、韓国政府は急激に「親米的」に傾いていくのですが、当時まだ韓国に対して「融和的」な態度を取りすぎていた日本に対しては更に関係を悪化させる態度を繰り返していくこととなりました。


このような背景があるので、文氏の政権も似たような方向性へ向かう可能性が高いわけです。


また2012年の韓国大統領選挙での態度も重要で、彼は朴候補(当時)との討論会で「(文氏が)参加政府の5年間、北朝鮮とは一度も衝突がなかった」と発言しています。


<韓国大統領選>朴槿恵・文在寅・李正姫候補 テレビ討論で激しく攻防 中央日報 2012年12月05日



これに関してなのですが、先ほども書いたように北朝鮮盧武鉉政権の間中何度も核兵器関連の実験を繰り返しており、それに対して韓国政府が「何の対抗措置も取らなかった」からこそ、それ以上の衝突にならなかったというだけであり、北朝鮮が大人しかったわけではありません。


単に韓国側が北朝鮮の「核開発を邪魔しなかった」だけにも関わらず、文氏はそれをまるで自分達の成果のように訴えていたのです。


また文氏は、これは現在でも同じですが北朝鮮との対話が北の核開発阻止に繋がるというスタンスなのですが、それは文氏が参加した政府が北の核開発に対して一切無力であったことを無視しています。


【社説】3人の大統領候補、北非核化案を明確に提示すべき 中央日報 2012年11月11日


このように、文氏が過去に参加した政権や過去の大統領選においても、かなり親北朝鮮的な態度であったことがはっきりしており、日本では「反日かどうか」ばかりが注目されていますが、彼が政権をとった場合の最大の問題は「北朝鮮金正恩体制にとって都合のいい状況を作り出す」可能性が高い事なのです。


3:親北派と日韓友好論者


今回書いたように、このまま文在寅氏が高い支持率を維持し韓国の大統領に就任した場合、現在北朝鮮に対して行われている経済制裁等が無力化する可能性が高く、これまで制裁の影響で金正恩体制への不満が高まり亡命者が相次いだ状況がリセットされる可能性すらあります。


そして現在の韓国では、崔順実問題によって便宜上の保守系(反北朝鮮系)への不信感が高まっており、同時に既得権などへの反発も高まっている事から、その不満を利用して支持を集めている文氏は磐石です。


余談になりますが、興味深いことに2014年の時点では文氏はあまり高い支持を得られておらず、現在次期大統領候補支持率2位3位タイの安哲秀氏よりも20代を対象にしたアンケートですら低い支持しか得られていなかったのです。


20代が好む政治家、朴大統領は1.4%=韓国 中央日報 2014年06月30日
韓国大統領選支持率 文在寅氏32%・安熙正氏21% 聨合ニュース 2017/02/24


※2017年2月24日修正と追記
共に民主党所属の安熙正と国民の党の安哲秀氏がごっちゃになってしまっていたので修正しました。


崔順実問題や格差問題が相当に文氏にとって追い風になっており、北朝鮮問題が韓国において殆ど考慮されていない事が解ります。


また重要なこととして、現在日本のマスコミなどでは日本の行っている韓国への対抗措置が韓国との対北朝鮮政策の足並みを乱すかのように報じられていますが、実際には今回書いたように文氏がこのまま大統領になれば対北朝鮮政策は確実に後退します。


そしてこれは以前から書いていることですが、日本が現在行っている韓国への強硬な対応を中止することは、結局のところ文氏ら親北派が行っている慰安婦合意破棄や慰安婦像設置、軍事情報協定破棄などの態度に対し、韓国人へ向けて「容認した」というメッセージを与える事にしかなりません。


つまり、大使の帰任や経済協力の再開などを訴えている日本の日韓友好論者の態度は、韓国内の親北朝鮮派、そしてその先の北朝鮮に対するアシストでしかないという事になります。


結局のところ、彼らは間接的に北朝鮮を今でも支援しているのです。


また、現在日本で日韓友好論者が行っている「韓国への融和的な話し合いの態度が問題を解決する」といった態度は、韓国内の親北派による「北朝鮮への融和的な話し合いの態度が核問題を解決する」という態度と、現状を取り巻く背景を無視している態度も含め「そっくりである」事も興味深いです。



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