日韓問題(初心者向け)

日韓問題について、初心者でもわかりやすい解説と、日韓問題とマスコミ問題の動画のテキスト版を投稿しています。

慰安婦合意を巡るやり取りをまとめてみた(前編)


さて、本日は一連の慰安婦合意を巡る問題について、韓国側や日本のいくつかのメディアから合意成立経緯などに対するミスリードが行われているため、2015年の前半頃から現在に至るまでの経緯の時系列を追ってまとめる内容となります。


ただし、資料を整理していてかなりの量になったため、タイトルにもあるように前・後編に分け、後編は次回とします。


内容的には、前半の今回は「~2015年10月まで」と「2015年11月・12月」と、慰安婦合意成立までについて、次回の後半では「2016年12月中盤」までと「2016年12月末~現在」までとなります。


つまり、これまでの経緯の「おさらい」記事となりますので、経緯を把握している方には無意味な内容となってしまうわけですが。


※一部を除き、引用記事が日本語の場合には文中にリンク用アドレスとタイトルのみ表記、韓国語のものやリンク切れで参照不能な記事のみ文末にまとめて本文を引用します。
※本文中のリンクは引用の元記事、或いはインターネットアーカイブウェブ魚拓(別サイト)へのリンクです。


1:2015年10月までの動き


知っている方も多いでしょうが、朴大統領は就任当初より「慰安婦問題を”含む”歴史問題で日本が反省しない限り日本との首脳会談は行わない」というスタンスを通しており、またこれによって日本とのパイプが切れたことの代替案として中国への接近政策をおこなっていました。


そして、「経済では中国、安全保障ではアメリカ」という形でいわゆる「バランサー外交」を行い、日本に対してはいわゆる「告げ口(イガンヂル)外交」を通じ、アメリカや中国さらには国際社会を味方につけて日本に圧力をかけるという目標を掲げていました。


しかし、2015年4月末の安倍首相による米議会演説阻止に失敗、「(韓国的価値観における)正しい事をしている」はずにも関わらず、アメリカが「韓国の正しさよりも日本から得られる利益を選んだ」と考えるようになり、これが更なる中国への接近の引き金となります。


ただこれと同じ時期に、韓国経済の陰りが目に見えてわかるようになり、韓国財界などを中心に日本からの支援が必要であるとの声が強まっていき、この時期にいわゆる歴史問題と(対日)外交を切り離す「ツートラック・アプローチ」という用語が韓国内から出てきます。


【寄稿】韓国の対日外交、安保・経済の両立を 朝鮮日報 2015/04/19
<インタビュー>朴大統領と安倍首相、国際舞台で何度も会えば問題解決するだろう(1)(2) (3) 中央日報 2015年04月20


ここで重要なのは、この頃から韓国では「歴史問題でこちらの言い分を飲まない限り首脳会談はしない」という「朴政権の対日方針」によって、経済的に非常に苦しい立場に置かれ、保守系政治団体や財界から実質的な外交方針の転換を迫る圧力が出てきていたわけです。


しかしこのツートラック・アプローチという「ご都合主義」な考え方は結局上手く行かず、歴史問題によって関係が停滞したまま時間だけが過ぎていくこととなります。


そしてその後、韓国は更なる中国接近政策によって朴大統領が中国の軍事パレードに参加、これがアメリカ側の韓国への不信感に拍車をかけ、韓国は9月の中ごろになってやっとその事に気付き、なんとか「自分達は日米の側にいる」という事をアピールしようと動き始めます。


恐らく、その後の慰安婦合意の元となる具体案はこの頃にアメリカから提案されたのではないでしょうか。


韓米日が29日にNYで外相会談 韓日2国間も調整中 聯合ニュース 2015/09/22
韓日首脳会談開催なるか 慰安婦問題も絡み「神経戦」  聯合ニュース 2015/10/02
韓国の尹炳世外相、慰安婦で譲歩要求 日韓首脳会談前に神経戦 産経新聞 2015.10.4


また当時日本側も「決着をつけるため」に動き出し、安倍首相の親書が朴大統領に届けられ、実質的な慰安婦合意へ向けての動きがこの頃から始まります。


安倍首相の親書を受けて慰安婦問題を取り上げた朴大統領 中央日報 2015年10月09日
安倍首相が朴大統領に親書 「未来をともに作り出すことを期待」 東亜日報 OCTOBER 09, 2015


しかしこの時点では韓国は「アメリカは韓国の側につく」と考えていたようで、日本と韓国が慰安婦問題で直接交渉をすればアメリカは韓国を擁護すると考えていたにも関わらず、「そうではない」と解ると韓国側はかなり動揺し始めます。


その事は、以前も私が「韓国内の用日論者の指標」にしていると書いた、朝鮮日報の鮮于鉦論説委員の「【コラム】日本を偏愛する米国、韓国にも戦略的価値に見合う待遇を」読むと、その焦りがわかり易いです。


【コラム】日本を偏愛する米国、韓国にも戦略的価値に見合う待遇を 朝鮮日報 2015/10/14 (1/3ページ) (2/3ページ) (3/3ページ


記事では「アメリカは日本のために韓国を犠牲にしている」「韓国に力があればアメリカも韓国をおざなりにはしない」といったような内容が書かれており、記事的には慰安婦の件などには言及されていませんが、韓国が日本とアメリカにどんな不満を持っているのかが非常にわかりやすい記事となっています。


そしてこうした焦りから、韓国は中国の軍事パレード参加によって取り付けた日中韓首脳会談開催で交渉を有利に進めようと計画、元々韓国側が朴大統領の外交方針による苦境から脱しようとはじめた慰安婦問題交渉へ向けての話を、「日本から提案してきた」という事をアピールしていきます。


日本政府、慰安婦基金造成を検討 東亜日報 OCTOBER 23, 2015


この2015年10月までの経緯から解るのは、慰安婦合意の元となった交渉は慰安婦問題を含む歴史問題で強硬な態度を取る韓国世論と、その世論に迎合する形で「歴史問題が解決しない限り日本との首脳会談はしない」という態度を取り続け、経済も安保も停滞させた挙句、中国への接近によってアメリカからの信用も失った韓国が、何とかして状況を打破しようと動いたのが切っ掛けだったという事です。


つまり元々慰安婦合意とは、大筋で歴史問題を口実に状況を拗れに拗れさせた韓国の都合から始まったものだったのです。


関連記事
韓国の中国傾斜、朴大統領訪米で米国の懸念は払拭できたのか 朝鮮日報 2015/10/19 (1/2ページ) (2/2ページ


2:2015年11月・12月までの動き


こうして始まった慰安婦合意へ向けての日韓の協議なのですが、とにかく韓国側は「日本から提案してきたのだ、韓国はそれを受けてやるだけなのだ」という形にしたかったらしく、マスコミを通じて「日本側が野田政権のころに提案してきた佐々江案を再度提案してきている」と訴え始めます。

<韓日首脳会談>慰安婦問題で進展した謝罪を求める韓国…被害者支援で終えようとする日本
2015年10月30日08時31分
[ⓒ 中央日報/中央日報日本語版]
http://japanese.joins.com/article/705/207705.html

4日後に迫った韓日首脳会談(11月2日)の核心の議題は旧日本軍慰安婦被害問題だ。朴槿恵(パク・クネ)大統領は会談で慰安婦問題に対する「誠意ある謝罪」と「責任ある措置」を要求する可能性が高いと、青瓦台(チョンワデ、大統領府)関係者らが29日に伝えた。ある参謀は「堂々たる姿勢で言うべきことをすべて話す席になるだろう」と述べた。しかし安倍首相があいまいな返答を続ける可能性もあり、駆け引きや対立も予想される。双方の立場と争点を質疑応答(Q&A)形式で整理した。

--慰安婦問題の解決にどんな努力があったか。

「日本は『1965年の韓日協定で慰安婦問題はすでに解決し、個人の請求権は消滅した』と主張する。日本の良心勢力が中心となり95年7月に慰安婦被害者を支援するためのアジア女性基金が作られた。日本首相の謝罪の手紙とともに慰労金と医療福祉支援金を支払うという趣旨だった」

--アジア女性基金はなぜ解決策にならなかったのか。

「韓国挺身隊問題対策協議会などが拒否した。日本政府が法的責任を回避し、人道的責任レベルで慰労金を支払うのは受け入れられないということだった」

--慰安婦被害者個人の請求権に対する問題が本格的に議論されたのはいつからか。

「2011年8月に憲法裁判所は韓国政府が慰安婦被害者個人の賠償請求権確保のために日本政府に積極的な措置を取らないのは『不作為(法律的義務を履行しない)』という決定をした。同年12月に李明博(イ・ミョンバク)大統領は野田佳彦首相との韓日首脳会談で慰安婦問題を提起した」

--仲裁案として議論される「佐々江案」とは何か。

「2012年に当時の佐々江賢一郎外務事務次官(現駐米日本大使)が訪韓して提案したものだ。▼日本首相の直接謝罪▼駐韓日本大使館の被害者面談および謝罪▼日本政府の予算を通じた被害者補償--などが主な内容だ。政府は十分でないとして拒否した。民主党政権自民党政権に交代してなくなった」

--両国政府と慰安婦被害者団体の立場は。

「韓国の立場は佐々江案+アルファだ。日本政府の謝罪表現が以前より進展しなければならず、いかなる形であれ日本政府が組織的に慰安婦を強制動員したという事実が含まれなければいけないということだ。日本政府は法的な責任は絶対に認められないという立場だ。被害者支援金の支給には相対的に柔軟だ。しかしこれで慰安婦問題は最終的に解決したと韓国が宣言することを望む。慰安婦被害関連団体は日本の法的責任認定と国家賠償を固守している」

--国家賠償と補償の違いは何か。

「国家賠償は国の不法行為のために生じた損害に対する補填を意味する。補償は狭い意味で国の適法行為による損失補填を意味する。賠償は日本政府の『刑事的責任』に基づく結果となる。補償は法的責任認定の性格は弱まる」

--今回の首脳会談で突破口は開かれるのか。

「容易ではない。安倍首相は慰安婦動員の強制性を認めることに強い抵抗感を見せるという。国際社会に『日本が韓国人女性を拉致して獣のようにさらっていった』という形で映るのは受け入れられないということだ」


しかし当時の日本政府はその報道を否定します。
一連の流れから、恐らく野田政権当時韓国側が拒否したこの案を改めて韓国側から日本に提案、そして韓国側の面子を保つために「日本側から提案してきた事にして欲しい」と要求していたのでしょう。


慰安婦で基金設立と報道 韓国紙・東亜日報 信ぴょう性不明 zakzak 2015.10.23
(※1)
無礼な日本"韓国提案分からない" ソウル経済(韓国語)  2015/10/27


状況的に日本側がこの協議を急ぐ必然性はどこにも無く、日本との関係改善を急がなければいけない動機は韓国の側には幾つもあったからです。


そしてまたこの当時の韓国メディアの報道を見ると、韓国側が慰安婦問題で何らかの決着をつけることで、なんとしてでも日本側からの経済的支援を取り付けたいと考えていた事がわかります。


【社説】韓日関係が悪化した原因に対する別の解釈 韓国経済新聞/中央日報 2015年10月29日


そして2015年11月2日、韓国で安倍総理と朴大統領が会談、その後12月末に締結された慰安婦合意の直接交渉はここから始まります。


そして安倍総理はこの席上で、「大切なことは、お互いに合意をすれば、その後はもうこの問題は再び提議しないということだ」と提案しており、慰安婦合意の「不可逆的解決」はこの頃から日本側が要求していた事がわかります。


裏を返せば、当初からこのような提案があったという事は、合意に際して韓国側はそれを納得の上で慰安婦合意を行ったという事でもあります。


首相、慰安婦問題「合意すれば再び提議しないことが大切」  TBS 2015年11月2日


また、いわゆる「佐々江案」が日本側の提案ではなかった事も、この首脳会談後の朝鮮日報の記事に『安倍政権は「佐々江案」について、「前政権が先走ったものだ」として、受け入れられないと主張している。』と書かれている事からもわかり、あらゆる意味でとにかく韓国側が合意に至ろうと焦っていたことがわかります。


韓日首脳会談:「最悪のシナリオ」避けた点に意義 朝鮮日報 2015/11/03 (1/2ページ) (2/2ページ
[社説]関係改善の突破口を開いた韓日首脳会談、ツートラックで接近しなければ  東亜日報 NOVEMBER 03, 2015
<韓日首脳会談>「日本と経済まで疎遠になれば韓国さらに損害」 中央日報 2015年11月03日


しかし結局、韓国側の立場は以下の


A:慰安婦とは軍や政府の方針としての命令で、軍人や官憲が直接的に行った拉致
B:Aを踏まえて日本政府が法的責任を認める
C:A・Bを前提として韓国側が良いというまで謝罪し続ける


であったため交渉は難航、結局この条件は飲めるわけが無く早々に日本側から「年内妥結は不可能」という回答が登場し、韓国側は相当に焦る事になります。


慰安婦:安倍首相、解決期待に冷や水「年内妥結は困難」 朝鮮日報 2015/11/05


そして更に、先ほども引用した朝鮮日報の鮮于鉦論説委員は、この焦りからか「2007年の米下院決議や2014年のフランスアングレームマンガ祭での慰安婦マンガ出展ように、韓国政府が国際世論を味方につけて安倍政権にトラウマと恐怖を与えるべきだ」という趣旨のコラムを掲載します。


【コラム】慰安婦交渉、金泳三・李明博政権の失敗に学ばない朴槿恵政権 朝鮮日報 2015/11/04 (1/3ページ) (2/3ページ) (3/3ページ


この記事から、韓国側は年内解決に相当拘っていたことと、同時に「韓国単独での交渉材料が無い」という手詰まり状態であった事を露呈しています。
そして更に韓国側がどうしようもないほどの手詰まりである事を示す記事が出てきます。


慰安婦解決案 「加害者として日本が提示を」=韓国当局者 聨合ニュース 2015/11/06


タイトルにもあるように、解決の方法そのものを日本側に丸投げしてしまったのです。
これは要するに、韓国としてはなんとしても朴政権で続いた外交の停滞を改善したいと考えており、その糸口として慰安婦問題に何らかの決着を求めているが、妥結可能な内容はどうやっても韓国世論が納得しないため、「全て日本のせい」にしようとしたわけです。


これでは「年内解決は不可能」と指摘されても当然です。


そしてそのままこの状態がずるずると12月末まで続き、年末になって行われた交渉で日本側から韓国の責任丸投げを回避させるための提案が行われます。


慰安婦支援で日韓“折半”出資案が浮上 韓国の蒸し返しを封じる狙い 産経新聞 2015.12.26 (1/2ページ) (2/2ページ


当時その後「和解・癒し財団」と名付けられた団体への資金提供を折半するという案が日本側から提示され、恐らくこの時点では財団を日韓で共同管理するという形だったのでしょう。


また興味深い事として、この時点での交渉で韓国側から日本大使館前の慰安婦像を撤去するという趣旨の提案があったことが読売と産経の記事に掲載されています。


ソウル日本大使館前の少女像、韓国が移転を検討 読売新聞 2015年12月26日
韓国が大使館前の「慰安婦像」移転を検討 朴槿恵大統領の“告げ口”外交自制も 産経新聞 2015.12.26


また朝日の記事でも、上記2つの記事とは少々表現が異なりますが、韓国側から『「慰安婦問題が解決されれば、自然に少女像もなくなるはずで、議論の順序がおかしい」(政府関係者)』という回答があったことが記事になっています。


慰安婦基金、日本が新設検討 安倍首相の言葉焦点 朝日新聞 2015年12月26日


つまり、いずれにせよ合意が行われれば慰安婦像が大使館前からなくなるという前提で交渉が進められていたわけです。


そしてその後、こうした経緯を経て以下のように現在の慰安婦合意に比較的近い内容が話し合われていたことがわかります。


韓国、20億円の拠出を要求 日本は拒否 「像の撤去」と「請求権協定再確認」など文書化迫る 28日に外相会談 産経新聞 2015.12.27 (1/3ページ) (2/3ぺージ) (3/3ページ


また、韓国側は最後まで先ほど挙げた以下の条件


A:慰安婦とは軍や政府の方針としての命令で、軍人や官憲が直接的に行った拉致
B:Aを踏まえて日本政府が法的責任を認める
C:A・Bを前提として韓国側が良いというまで謝罪し続ける


に拘っていた事も朝鮮日報の記事からは解ります。


慰安婦:韓日外相会談の成否を分ける「日本国の責任認定」問題 朝鮮日報 2015/12/26 (1/2ページ) (2/2ページ


そして最終的に合意を急ぐ韓国側が、「慰安婦像の撤去」「不可逆的解決」「財団は韓国政府が責任を持って解決する」という、韓国政府も責任を負う形での解決を飲んで合意がなされたわけです。


日韓外相会談 慰安婦問題で合意 NHK 2015年12月28日
日韓外相会談 外務省 平成27年12月28日


なぜなら韓国側が「経済や安全保障」「対米関係」などの問題を解決するために、どうしても「問題解決を阻害している歴史問題」を解決したかったからです。


またこうした経緯から、恐らくですが「崔順実の国政介入」については、この交渉以前の「歴史問題が解決しない限り首脳会談はしない」という朴大統領の方針に影響を与えていた可能性が高く、この合意はむしろ韓国側が崔順実の影響を払拭するためだったのではないかと私は考えています。


今回少々短いですが以上となります。
次回後編へ続きます。



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(※1)
無礼な日本"韓国提案分からない"
ソウル経済(韓国語)  2015/10/27
http://economy.hankooki.com/lpage/politics/201510/e20151027174938142830.htm
https://web.archive.org/web/20151027161026/http://economy.hankooki.com/lpage/politics/201510/e20151027174938142830.htm

韓国政府が韓日首脳会談開催と日本軍慰安婦問題を連係した既存の立場から一歩退いたのに対し、日本側は誠意を見せるどころか無礼を働いて両国間の神経戦が続いている。来月1日に予定された韓中日首脳会議が一週間前でもまだ難色を示し、軍慰安婦問題をめぐる韓日間接点が見つからず会談日さえ確定できずに揺らいている。

27日、日本政府報道官の菅義偉官房長官は記者会見で「11月2日の韓日首脳会談開催方案を日本側に提案した」という大統領府当局者の前日の発言について「そのような報道をしたことを私は知らない」と言った。確かに大統領府報道官の公式発表ではないが、韓日両国のほすべてのメディアが報道した内容について日本の官房長官が「知らない」として事実上無視するような発言をしたことは外交上の欠礼という指摘が出ている。

これについて外交部は報道官定例ブリーフィングで「菅長官が報道内容を知らないといっただけ」として、韓国政府が来月2日に首脳会談を開こうと提案した事実を無視したのではないと解釈した。
しかし、政府としては前日、日本を圧迫する次元で先制的に日付まで釘をさして会談を提案した事実を公開したが、球を日本側に渡して対応無策で待つほかない状況に置かれることになった。

特に政府が「意味のある韓日首脳会談のためには慰安婦問題が進展しなければならない」という従来の目標を低くして、安倍総理が問題解決に対する政治的意志を表明する水準を要求したにもかかわらず、日本側が難色を示しており、「やらない方がまし」な首脳会談になる可能性もある。

これと関連してユ・フンス駐日大使は前日、東京で開かれた韓日修交50周年関連シンポジウム演説で"(韓日)首脳会談前に(軍慰安婦問題を)解決できなくても'解決のための糸口を見つけることができる'というメッセージを(韓国)国民に伝える必要がある」と話した。

読売新聞は27日「韓国側は安倍総理がソウルに滞留する間、軍慰安婦問題について立場を表明することを要求したが、日本側が難色を示した」とし、「これに伴い、韓国側は昼食なしで約30分間、首脳会談を開催する日程を提示した」と報道した。