日韓問題(初心者向け)

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慰安婦合意を巡るやり取りをまとめてみた(中編)


さて、本日なのですが前回は前・後編で今回が最後としていたのですが、ソースの吟味の時点で記事用に用意した資料が膨大になってしまい、とても今回で終わらせる事は不可能となってしまった(1年分の関連記事を1つの記事にまとめるのは無茶でした)ので、今回は中編とさせていただきます。


ですので、今回は2015年12月28日の慰安婦合意以降から2016年の9月頃までのまとめを行い、次回は2016年10月から現在までのまとめを行います。



※一部を除き、引用記事が日本語の場合には文中にリンク用アドレスとタイトルのみ表記、韓国語のものやリンク切れで参照不能な記事のみ文末にまとめて本文を引用します。
※本文中のリンクは引用の元記事、或いはインターネットアーカイブウェブ魚拓(別サイト)へのリンクです。


1:慰安婦合意後~2016年1月前半まで


まず最初に今回事前に書いておくこととして、資料を読み返して解った事は現在も続く慰安婦合意を巡る問題で韓国側が行っている言動とその動機は、そのほとんどが合意後から3月頃までに既に登場しており、以後はそれを繰り返しているという事です。


ですので、この期間に何があったのかや何を主張していたのかがわかれば韓国側が「どうしたいのか」「なぜ合意を受け入れられないのか」の大部分がわかります。


それを踏まえたうえでこちらの記事から

慰安婦合意:「最終的かつ不可逆的」明言、韓国は対日カード失う懸念も
朝鮮日報 2015/12/29
1/3ページ) (2/3ページ) (3/3ページ

(一部抜粋)
■最終的かつ不可逆的に合意

妄言再発時に韓国側がカード失う懸念

 今回の合意でもう一つ論議を呼ぶのは、両国が共同記者発表で「この問題が最終的かつ不可逆的に解決されることを確認する」と明言したことだ。「最終的かつ不可逆的に」という表現は日本の主張が通った表現だ。韓国側が政府レベルではもう慰安婦問題を取り上げないことを意味する。

 「日本政府が表明した措置を着実に実行する」という前提条件は付いている。しかし、同日配布された共同記者発表文によれば、その「措置」とは慰安婦支援財団の設置に限られている。すなわち、日本が財団に約束通りに予算を投入し続ける限り、日本政府の責任認定や安倍首相のおわびと反省とは反する妄言など「約束の不履行」があってもそれに制裁を加える手段はないと解釈可能だ。

 日本問題の専門家は「これまで日本の政治家の歴史後退的妄言が絶えず繰り返されてきたことで、慰安婦問題の解決が阻害された面が大きい。それに対する制約を設けずに最終的解決に同意したのは問題だ」と指摘した。北京の外交筋は「これまで慰安婦問題で対立が生じるたびに、中韓両国は一種の対日共同戦線を張ってきたが、今回の合意でそれが困難になるのではないか」と懸念した。

 双方が今回、「国連など国際社会において、本問題(慰安婦問題)について互いに非難・批判することは控える」と表明したことにも納得しにくいとの声がある。元外交官は「事実上韓国が国際社会で不適切に日本を非難していたと認めたように受け取られる可能性がある」と述べた。国策シンクタンク関係者は「これまで国際社会を通じ、慰安婦問題の解決を訴える戦略が非常に有効だったが、今回の合意で韓国が自ら日本に対するレバレッジ(てこ)を放棄したのかもしれない」と話した。

関連記事
(※1)
[社説]これ以上謝罪しないというのが日本の意図だったのか 京郷新聞(韓国語) 2015.12.30



まず記事を読んでもらうと解りますが、韓国側は慰安婦問題を政治的な「対日外交カード」と認識しており、更に「中国との連携手段」であるとも想定していることがわかります。


ここで重要なのは、一連の慰安婦問題ではいわゆる韓国内の親北派や日本の親北日本人が主導してきたという背景があり、韓国最大の慰安婦団体である「挺対協」もその影響下にある団体である事から、日本でも保守系を中心に「韓国保守は世論と親北勢力に煽られているだけ」との認識があったわけですが、上記記事はその認識を覆す内容である事です。


要するに、「親北派の影響」という単純なものではなく、保守系のメディアでさえ慰安婦問題を政治的な外交カードと考え、慰安婦合意によって「カードが失われる」事を憂慮していたこと、また口実さえあれば「反故にしたい」という考えは韓国の便宜上の保守・革新の違いに関係なく共通認識だったわけです。


この事を踏まえて、12月30日に韓国政府が公式会見で主張した「誤解を生むような日本側の言行がないよう望む」というコメントを見返すと意味がかなり変わってきます。


「誤解生む言行ないよう」=慰安婦合意で日本側に―韓国外相 時事通信/yahoo 2015年12月30日
慰安婦めぐる日本の報道に懸念強まる 合意揺るがす恐れも  聯合ニュース 2015/12/30
【社説】慰安婦合意、日本政府内から問題発言あれば破棄せよ 朝鮮日報 2015/12/31 (1/2ページ) (2/2ページ
【中央時評】慰安婦問題、もう一度始めよう 中央日報 2016年01月02日


要するに韓国側は、「日本側が合意を反故にする発言をする」事をある意味で望んでいたのです、なぜなら日本に対して有利になれる「外交カードを手放したくなかった」ため、合意はその障害でしかなかったからです。


もう一つ重要な要素として、韓国は「自分達は道徳的に正しい事をしている」と考えているため、国際社会は「韓国側の気持ちをわかってくれる」と想定していたにも関わらず、予想に反してアメリカ側が韓国側の活動を自粛するよう呼びかけたことも、彼らが合意に不満を持った動機のひとつだったようです。


米政府 韓国系団体に活動の自制呼びかけ NHK 2016年12月30日


また、慰安婦合意は国際条約違反である日本大使館前の慰安婦像撤去を実質的な条件としていたことは前回書いた通りですが、韓国世論的にはそれは「日本の劣等性=韓国の優越性」を証明する最も効果的な手段を失うことになり、彼らにとってそれは許されない事であること。


以前言及しましたが、韓国社会において約束とは「相手の話を聞いた」程度の認識のものであるため、約束をした後でも都合が悪い事があれば後々覆しても良いというのが彼らの常識です。


そのため、元々韓国側が合意を急いだ一番の理由が「日本からの経済支援の取り付け」であったことから、彼らの価値観では「(経済援助の)目的は達したのだから不都合な部分は覆してよい」との考え方により、慰安婦像撤去を大々的に否定し始めます。


「少女像移転が前提」との報道を「ねつ造」と批判=韓国当局者 朝鮮日報 2015/12/30


参照記事
日本人と韓国人とでは「約束・契約」の概念が全く違う


実際この時期韓国では、慰安婦合意締結によって日韓の経済協力が可能になったという趣旨の記事が中央日報から出てきており、彼らの関心が「日本が韓国の経済的な支援をする事」と「日本側が合意に反する言動をしない事」のみに関心が集まり、自分達も合意を履行する側であるとの認識が完全に抜け落ちていたことが解ります。


【社説】慰安婦妥結後の韓日経済協力アップグレードに期待 中央日報 2015年12月30日


そしてこの時期、親北系の挺対協やその支援者、またそれらと足並みをそろえる野党から合意をした政府に対する抗議行動が頻発するようになり、世論の支持を受けて朴政権や与党の支持率を下げ続け、それも韓国政府が「合意を反故にしたい動機」の一つとなります。


慰安婦合意:再交渉訴える野党に韓国大統領府「最善を尽くした」 朝鮮日報 2016/01/01
慰安婦合意:日本大使館入居ビルで無許可デモ、学生30人検挙 朝鮮日報 2016/01/01
慰安婦合意:不満爆発の挺対協「少女像、世界中に建てる」 朝鮮日報 2015/12/31
[ニュース分析]慰安婦合意で逆風…朴槿恵外交の不祥事へ ハンギョレ新聞 2015.12.30
[記者手帳]歴史に最終的かつ不可逆的な解決はない ハンギョレ新聞 2015.12.30

(※2)
[速報]慰安婦被害ハルモニ「安倍できなければ日王が謝罪しろ」 東亜日報(韓国語) 2015-12-31


これは、民族主義に根ざしたポピュリズム政治が基本の韓国にとって、この合意は日本に譲歩し「民族の誇りを傷つけた」と認識されていたことが主な原因です。


そしてこうした韓国内の動きの中で、慰安婦像は慰安婦合意を否定する象徴的存在となっていきます。


【コラム】少女像は「合意」の外側に座っている=韓国(1) (2) 中央日報 2016年01月05日
日本大使館の前に大学生「慰安婦像を死守」 東亜日報 JANUARY 04, 2016


そして恐らく韓国側が合意を更に軽視するようになる切っ掛けとなった原因は以下です。


韓日ハイレベル経済協議 12日に東京で開催  聯合ニュース 2016/01/08
韓日通貨スワップから結ぼう(1) (2) 中央日報 2016年01月11日
韓国経済副首相候補「日本との通貨スワップ再開など考慮」 聯合ニュース 2016/01/11


前回書いたように、この慰安婦合意はアメリカなどからの安保問題に関連した圧力があったのも事実ですが、韓国側が合意を受け入れた最大の理由は「日本からの経済支援が欲しかったから」です。


そして一応の合意がされたことで日本側が韓国の望んでいた経済支援へ向けて動き出したわけですが、先ほども書いたように彼らの価値観では「約束はその後不都合があれば自分(ウリ)は内容を変えても良い」という考え方があるため、彼らの中で日本は約束を守らなければいけないが、韓国側は「内容を見直す資格がある」と考えるようになってきたのです。


そのため、一応韓国政府は合意履行に向けて動いてはいましたが、その動きは鈍くほとんどがポーズだけでした。


韓国政府が元慰安婦を個別訪問 日本との合意を説明 聯合ニュース 2016/01/12


ここまでで書いたように、この時点で既に韓国内では合意自体が不都合なものであるうえに、「重要なのは日本が合意を履行するかどうか(できれば日本が合意不履行をして欲しい)」で、自分達が履行すべき義務はもはや関心が無かったのです。


彼らの中では、この時点で日本からの経済支援もスワップ再締結も韓国側では「確定していた」という認識だった事もそれに拍車をかけました。


2:2016年1月後半から3月


このように、この時期韓国では日本からの経済支援を主な目的とした慰安婦合意に対し、事実上2つの考え方が存在していました。


ひとつは「最大の目的であった経済支援を取り付けたのだから合意は事実上用済み(口実さえあれば反故にしたい)」とする考え方と、「合意は日本の加害者としての劣等性を否定するものであり受け入れられない、日本は半永久的に謝罪すべきだ(理由の如何に関わらず反故にすべき)」という考え方です。


そしてこうした中で北朝鮮による更なる核実験が行われ、対北朝鮮への対応を期待していた中国が、韓国側との間に設置されたホットラインを無視するという出来事が発生するわけですが、タイミング的に日韓の間で慰安婦合意がなされ対立点が消えることを牽制する目的があったのでしょう。


この事は朴大統領の中国離れを加速させましたが、韓国世論や親北派には合意を否定する更なる口実となっていきます。


【取材日記】冷たく途切れている韓中ホットライン 中央日報 2016年01月12日
【社説】朴槿恵政権の中国重視外交のツケ、誰が責任を取るのか 朝鮮日報 2016/01/12 (1/2ページ) (2/2ページ
[社説]中国が北朝鮮を庇護しても韓米日の堅固な協力で金正恩氏を懲らしめよ  東亜日報 JANUARY 11, 2016
THAAD配備に言及、中国が最も嫌うカードを切った朴大統領 朝鮮日報 2016/01/14 (1/2ページ) (2/2ページ
修復へ加速する韓日米の経済・安保同盟…「北朝鮮制裁・中国説得」議論 中央日報 2016年01月13日


以後韓国はTHAADの配備問題の事もあり、日米韓の連携を崩そうとする中国と北朝鮮にいいように内政を引っかき回されていくこととなります。


そして更に、この時期安倍総理の発言により慰安婦合意を巡る日韓の対立点が明確になります。


安倍首相「慰安婦強制連行の証拠ない…戦争犯罪と認めない」 中央日報 2016年01月19日
(※3)
[私の考えは]約束履行しなければ慰安婦妥結無効通告してこそ 東亜日報(韓国語) 2016-01-19


記事では、安倍総理が「『政府が発見した資料には軍や官憲による強制連行を直接示すような記述は見られなかった』という立場に何ら変更はない」と発言した事に対し、韓国政府は「日本政府の慰安婦強制動員はすでに国際的にも立証された確固たる真実であり、日本側がこれを論議の対象にしようとすることにいちいち対応する価値もない」と反発します。


要するに、以前から書いているように韓国側は慰安婦を「軍や国の命令で組織的に軍人や官憲の行った直接的な拉致」と定義しており、この定義における法的責任を日本側が認め謝罪し続ける事を慰安婦問題の解決としており、これを認めない日本側が「合意を守っていない」と反発していることがはっきりしたのです。


またこの発言により韓国野党からも合意を行った韓国政府への批判が噴出、朝日などの日本のいくつかのメディアの主張とは裏腹に問題の根幹が慰安婦の定義にある事がはっきりした事に大きな意味があります。


慰安婦合意:「日本の法的責任を免除、史上最悪の外交惨事」 朝鮮日報 2016/01/20


1月31日になると更に日本政府は国連機関でも同様の発言を行い、そこで更に実質的な韓国側からの言質を取ります。


慰安婦の強制連行の証拠ない 日本政府が国連機関に回答 聨合ニュース 2016/01/31
慰安婦の強制連行否定 「問題の本質ごまかす」と批判=韓国 聯合ニュース 2016/02/01
日本が「慰安婦合意文」を悪用 東亜日報 February. 01, 2016


これら一連の出来事で重要なのは、記事でも言及されているように韓国側は「軍人や官憲が命令で組織的に行った拉致」、つまり朝日新聞中央大学の吉見教授らが否定した狭義の強制を慰安婦の定義としていることが、『「広義の強制性」は否定しないながらも、軍や官憲による「狭義の強制性」を否定し、慰安婦の強制連行問題をごまかそうとしていると批判した』というコメントではっきりした事です。


これを受けて韓国最大野党(共に民主党)からも、「韓国政府は日本政府の厚顔無恥な歴史歪曲(わいきょく)に正面から立ち向かい、被害者たちの名誉と尊厳を守らなければならない。政府は今からでも合意の無効を公に明らかにすべきだ」という政府批判が起こります。


慰安婦合意:共に民主党「『最終的かつ不可逆』、日本が悪用」 朝鮮日報 2016/02/02


これは非常に重要な出来事で、韓国の側に立つ日本のメディアはこの部分をはぐらかし韓国側が「広義」と「狭義」、つまり「軍や国の命令で組織的に軍人や官憲の行った直接的な拉致」の有無における狭義の強制を慰安婦問題としていることを積極的に伝えませんが、韓国側が合意を不満とする原因の最も大きな要素がここにある事は明確なのです。


この対立点が明確になったことにより、韓国側では「日本が合意を守っていない」という考え方がより世論で支配的になったことも重要です。
韓国では「軍や国の命令で組織的に軍人や官憲の行った直接的な拉致」こそが慰安婦問題なのです。


この時期、上記の慰安婦の定義を前提とした映画「鬼郷」が韓国で上映を開始し、この手の映画としてはこれまで無かったほどのヒットとなります。


慰安婦映画監督「ユダヤ人虐殺のような犯罪の話として見てほしい」 朝鮮日報 2016/02/05
慰安婦描いた韓国映画「鬼郷」 観客300万人突破目前 朝鮮日報 2016/03/11


そして更に、この「日本が韓国の望む慰安婦の定義を認めていない」という事実が韓国側の更なる反発を呼び、慰安婦像設置の動きが韓国内で加速して行きます。
昨年末の釜山日本領事館前への慰安婦像設置も、実際のところこの頃から動きがあったわけです。


韓国の地方自治体が海外姉妹都市に少女像建設を推進 ハンギョレ新聞  2016.02.29


また、この時期国連女性差別撤廃委員会から、安倍総理の発言に対して「日本の指導者や公職者が慰安婦問題に対する責任を縮小するような説明や言行で被害者を再び苦しませることがないよう、こうした言行を慎むこと」という公式声明が発表されます。


慰安婦問題 日本の指導者らは慎重な発言を=国連委員会 聯合ニュース 2016/03/08


そしてこの事から解るのは、こうした機関が慰安婦の定義を韓国と同じく「軍や国の命令で組織的に軍人や官憲の行った直接的な拉致」と定義している事、またこの定義の根拠が存在しない事も知っており、事実上これ以上の追求がなされておらず、実はこの件はこうした機関にとっても「やぶ蛇」である事がはっきりします。


この時期、韓国が慰安婦問題において中国や北朝鮮の影響下にあり、彼らの望む形で日韓の安保連携を阻害するよう仕向けられ、しかもそれが韓国世論の利害と一致していた事、また慰安婦の定義が日本側で韓国を支援する人々とは大幅に異なっていた事など、日韓における慰安婦問題の対立点が次々と判明する重要な時期となりました。


3:2016年4月~9月


このように、2016年3月までで日本と韓国は慰安婦問題で全く相容れず、慰安婦の定義すら完全に異なっている事、また日本で韓国の側に立つ人々が問題をはぐらかし正確に伝えていない事、韓国世論が中国と北朝鮮の実質的なコントロール下にある事などがわかったわけですが、以後はこれら問題が更に韓国内の慰安婦合意に否定的な考えを定着させていく事になります。


まず、2016年3月までに噴出した慰安婦合意における様々な対立点や問題点の噴出により、合意を肯定するような発言を韓国野党議員がした結果、野党の支持率が下落するという現象が発生します。


韓国政党支持率 最大野党が首位陥落=「慰安婦発言」影響か 聯合ニュース 2016/05/02


これにより、最早韓国内で慰安婦合意を肯定する事は野党であっても政治的な危機を招くという事がはっきりします。


更に、合意に対して韓国側の「正しさ」を無視していると受け取られたアメリカへの不信感が韓国内で蓄積して行きます。


【コラム】日本の歴史覆しに対する米国の傍観、自国の損失に=韓国(1) (2) 中央日報 2016年05月16日


7月になると、韓国においていわゆる「吉田証言」が今だ事実として受け入れられているという事も判明します。


韓国反日教育 大学入試科目に慰安婦「吉田証言 NEWSポストセブン 2016.07.02


そしてこうした日韓における慰安婦の定義の対立から、韓国政府は「日本が合意を履行していない」という韓国世論の不満を受けて駐日大使が「慰安婦合意の誠実な履行が重要」
と再度不満を明らかにします。


駐日韓国大使が赴任「慰安婦合意の誠実な履行が重要」 聨合ニュース 2016/07/08


この時点で既に日韓における慰安婦問題は致命的な対立を引き起こしており、問題の本質が双方の慰安婦の定義の違いにあるうえに、根拠を必要とせず「かくあるべき姿」を重視する韓国社会との間では、この問題を客観的事実を前提に解決することが不可能である事がはっきりしたのです。


つまり、慰安婦問題も突き詰めていくと「日韓の価値観やあり方の違い」に行き着くわけです。


そして日本側ではこの対立点の問題が殆ど報じられていないというより、特に朝日などのメディアの間では「存在しない事」になっており、こうした背景を見ようとしない韓国側はそれを右翼政権による洗脳の結果だと結論付ける記事が登場します。


60代より保守的な日本の若者... 右傾化教科書の「洗脳効果」か 東亜日報 July. 12, 2016


これは明らかに日本で韓国の側に立つ日韓友好論者が問題を誤魔化した結果なのですが、これにより日韓の間で一連の慰安婦合意に対する最早修復不能な隔たりが発生し、また日本側で問題が存在している事を知っている人が極端にすくない事もあり、「なぜ慰安婦合意がここまで問題になっているのか」が周知されず無駄な対立を呼び起こしています。


そしてとうとうこの対立は韓国政府の公式ページで直接的な日本批判となって現れます。
そしてその事すら多くの日本人には正確に伝わっていません。


「強制性の否定は慰安婦合意に違反!」韓国政府が外務省HPに反発 Record china 2016年8月23日


こうして、本来ならば伝えられる情報が双方で共有されないまま、対立だけが増幅されていき、更に8月末に日韓通貨スワップ協定再開協議が始まったことで、韓国側にとって慰安婦合意は更に価値を失っていきます。


【社説】韓日通貨スワップ再開、危機への防波堤は高いほどよい 朝鮮日報 2016/08/29
韓日通貨スワップ、話を切り出してすぐ受け入れた日本(1) (2) 中央日報 2016年08月29日


その結果を受けて、韓国側では「日本は謝罪していない」という世論が8割を超え、慰安婦像移転も7割が反対するという事態になります。
なぜなら「韓国側の望む慰安婦の定義」を日本政府が認めていないからです。


少女像の移転、76%が反対=「謝罪していない」84%-韓国調査 時事通信 2016/09/02
韓国人の76% 合意履行しても少女像移転に反対=世論調査 聨合ニュース 2016/09/02


そして韓国では上記のような理由から日本への不満が蓄積し、これを解決するために「告げ口(イガンヂル)」を前提とした世界各国への慰安婦像輸出が始まるのですが、これが日本側の反対で成立しなかったという事態が発生、韓国人の多くは「韓国の行う正義が日本によって妨げられている」という考えが強まって行きます。


欧州初の慰安婦少女像設置、日本の妨害で中止に 中央日報 2016年09月22日


ここまでで書いたように、日本と韓国の間の慰安婦問題とは、日韓の間の約束に対する考え方の違い、中国と北朝鮮による実質的な韓国世論のコントロール慰安婦の定義を巡る問題、更にこれに関連した日本メディアによる事実関係の隠蔽から来る日韓の温度差が原因であり、韓国において慰安婦合意を反故にしようとする考え方はこのような背景から現在に至っているというわけです。


今回はここまでです。
次回は一応2016年10月から現在までについてとなります。


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以下は当ブロマガのお勧め記事マイリストです、もしよかったらこちらもどうぞ。














(※1)
[社説]これ以上謝罪しないというのが日本の意図だったのか
京郷新聞(韓国語) 2015.12.30
http://news.khan.co.kr/kh_news/khan_art_view.html?artid=201512302037045&code=990101

慰安婦合意’以後、日本側のすれ違った言動が続いている。日本当局者らが言及したという内容は日本マスコミの報道で明らかになったことで事実関係が確認されたわけではない。しかし、少なくともメディアを通じて伝えられる日本政府と世論主導層の認識は果たしてこの様な合意をする必要があったのかという根本的懐疑を持つには十分だ。

安倍晋三総理が「慰安婦問題はもう謝罪しない」と言ったという報道はかなり刺激的だ。彼は朴槿恵(パク・クネ)大統領との電話会談でもそのように話したと伝えられる。安倍総理が合意文上の‘不可逆’項目を聞いて「韓国が約束を破れば国際社会の一員として終わる」と言ったという報道も出てきた。

いくら過去の歴史を否定して妄言を日常的に行ってきた安倍総理といっても、合意文のインクが乾く前にこの様な卑劣なレベルの発言をしたとは信じたくない。日本政府が合意文で慰安婦問題に責任を痛感すると公言し、安倍総理が心から謝罪と反省の心を表明すると明らかにしたことをもう忘れたわけがない。

慰安婦合意は被害者らの名誉と尊厳を回復して傷を治癒するためだ。合意したことで人権抹殺行為自体が消えるわけではない。それでも謝罪と反省を約束して背を向けるやいなや当事者らの胸をかき乱す言動をするならば人権次元でも容認できないことだ。安倍総理は発言の事実関係など具体的な真相を明らかにしなければならない。そうしてこそ真正性のない合意をしたという疑いから脱することができる。

「平和の慰安婦少女像移転が10億円出演の前提条件」という報道も不快だ。日本としては‘邪魔な人’を除去したいが、後始末で解決される問題でないことぐらいは分からないはずがないだろう。少女像は人権蹂躙された慰安婦被害ハルモニらの象徴だけでなく、韓国人の自尊心と世界の良心を象徴する記念物に位置して久しい。

日本外務省は「今回の合意は共同記者会見場で発表した内容が総てで、それ以上でもそれ以下でもない」と説明したがそれでは十分に納得できない。被害ハルモニらと韓国政府を侮辱する日本の姿勢は危険水位を行き来している。日本が自ら慰安婦合意を破って進んで慰安婦強制動員を否定する退行的態度に帰るのではないかと疑わせる態度を見せている。

昨日、文在寅ムン・ジェイン)共に民主党代表が「慰安婦合意無効を宣言する」と発表したことから分かるように合意に対する韓国人の反発は順次広がっている。日本は「誤解を誘発しかねない日本側言動がないことを望む」というユン・ビョンセ外交長官の警告を重く受けとめなければならないだろう。


(※2)
[速報]慰安婦被害ハルモニ「安倍できなければ日王が謝罪しろ」
東亜日報(韓国語) 2015-12-31
http://news.donga.com/List/3/all/20151231/75671822/1 (リンク切れ)
https://web.archive.org/web/20160102101451/http://news.donga.com/List/3/all/20151231/75671822/1 (インターネットアーカイブ

「安倍(総理)が謝罪できなければ日王が謝罪しなければならない」

京畿広州ナヌムの家に住む慰安婦被害者のユ・ヒナム(88)ハルモニは31日、共に民主党文在寅ムン・ジェイン)代表一行と面談した席でテンノという表現を使って「日王も謝罪できる(普通の)人だ。両親が間違ったことについて謝るべきだ。ひざまずいて謝罪しなさい」としてこのように言った。

ユハルモニはまた「このままいけば再び(日本は)我が国を無視するだろう」とし、「私たちの力でできる方法がない。国会でもう一度扱って欲しい」とムン・ジェイン代表に頼んだ。彼女は「今回のこと(合意)は政府が間違ったようだ」として「政府が私たちを無視した。自分のお婆さんやお母さんだったらそうしたか」と反問して鬱憤を晴らした。

カン・イルチュル(88)ハルモニは「政府が(交渉について)私たちに話もしない」として「政府は(もっと)関心を持たなければならない。お金だけ与えれば良いと考えてはいけない」と言った。

イ・オクソン(89)ハルモニは「政府は私たちをみんな捨てたと思う」として「日本が私たちがみな死ぬのを待っているが、韓国政府も(日本と同じに)私たちが死ぬのを願っていると思える」と政府の態度を非難した。彼女はまた「今回の謝罪は謝罪ではない」として「日本の責任者が私たちの前でひざまずいて謝罪してこそ真の謝罪」と主張した。

キム・クンジャ(90)ハルモニは「私たちを飛ばしてやれば終わると考えたのか。被害者は私たちだ。もう家どうしで戦うようになった」と政府に対する刃が鋭くなった批判を吐き出した。彼女は「法的賠償と名誉回復、公式謝罪は必ず受けなければならない」と強調して「それ以上望むことはない」とした。

パク・オクソン、ハルモニは「眠れない。ちゃんと解決されるように努力して欲しい」とムン・ジェイン代表に頼んだ。ムン代表は「‘私たちをなぜ二回殺すのか’という報道を見て驚いた」とし、「国会の同意がなかったために無効だ。ハルモニらが受け入れられるように新しく交渉しなければならない」と主張した。

この日、ムン代表一行の訪問にハルモニらは拍手で歓迎を表わした。ムン代表はハルモニ一人一人の手を握ってうなずく返事をした。ハルモニらは「今回、民主党の徳をちょっと見よう」と冗談を言った。この日の面談は去る29日、趙兌烈(チョ・テヨル)外交部第二次官が訪問した時、ナヌムの家が芳名録を片づけてしまった程激昂した姿を見せたのとは全く違った雰囲気の中で進行された。


(※3)
[私の考えは]約束履行しなければ慰安婦妥結無効通告してこそ
東亜日報(韓国語) 2016-01-19
http://news.donga.com/3/all/20160119/75989229/1#

日本軍慰安婦被害者問題交渉妥結後、日本が誠意ある謝罪をしなくても韓国が強制できる方法がない事実が明らかになった。今後、日本が合意事項を履行しなければ民心が激昂する可能性も排除できない。しかし、日本が最後まで合意事項履行を拒否すればどうすべきか。

日本が「慰安婦強制動員と関連した文書がない」と騒いでも、国際社会では空を手の平で隠す問題に映るだけだ。慰安婦問題は韓国だけに被害者がいるのではなく、東南アジア、オランダにもいるからだ。

日本が過去の歴史を歪曲し軍国主義に回帰するのを抑制するために、これほど効果的な手段もない。これをうまく活用すれば、今後、政府が大きくすることもない。単に市民団体が米国などに少女像をたてていくのを見守り、日本が過去の歴史にごり押しする時、彼らがいることを時折、指摘しさえすればよい。

政府は慰安婦被害者ハルモニ亡後、謝罪を受けて何の意味があるのか、1人でもさらに亡くなる前に謝罪を受けるほうが良いではないかと強弁する。しかし、これはこの問題の本質を知らずに言う話だ。ハルモニらが得たいのは明らかにお金ではない。強制的にそしてだまされて引きずられて行ったことを世の中が分からなければならないということだ。それなら、今のように不明瞭に終えるよりは、子孫らに堂々と明らかになることを望むのではないだろうか。

朴槿恵(パク・クネ)大統領は今回、最終的で不可逆的という表現が入った謝罪を受けた後、日本総理に誠実な履行を強調している。ところが公平上、我が政府も誠実な履行をしなければこの問題を再論する可能性があることを明文化すべきであった。約束した以上、私たちも約束を守らなければならないだろう。慰安婦少女像移転問題でもハルモニらと誠実に協議する姿を日本に見せるべきだろう。だが、どうしてもハルモニらが反対するならば、政府では仕方ない問題だ。

ところが合意妥結後も日本でずっと妄言が出てきてその度が過ぎるならば、その対策としてパク大統領は誠実な履行を電話で促すだけでなく、韓国政府の解釈公文書を送る必要があると考える。
その中にはどんな事が誠実な履行でないのか、そして誠実に履行しなければ約束が無効になるという内容も入れなければならない。それで日本側もさらに気を付けることになるだろう。また、問題が再発する場合に備えて国際社会に私たちの立場をあらかじめ見せる効果もあるだろう。